グランプリシリーズ19 女子シングル エントリー再

フィギュアスケートの19-20シーズンのグランプリシリーズが間もなく始まります。

以前、そのエントリーについて記しましたが、その後3カ月の間にケガなどの理由で変更もだいぶ入りましたので、ここで改めて記したいと思います。

 

今回は女子シングルについて全6試合のエントリーを再び記載し、昨シーズンのそれぞれのベストスコア、また、今シーズンのチャレンジャーシリーズでのベストスコアを記載して並べてみたいと思います。昨シーズンのベストスコアはISU公認のものだけでなく、ユニバーシアードや、クープドプランタンなどのB級大会も一部含みます。

 

基本的に、上から今シーズンのスコアが高い選手順ですが、今シーズンチャレンジャーシリーズに出ていなかった選手は昨シーズンのスコアをその序列には使います

 

スケートアメリカ

Skate America   18-19 19-20
Bradie TENNELL (USA) 225.64  
Anna SHCHERBAKOVA (RUS) 219.94 218.20
Elizaveta TUKTAMYSHEVA (RUS) 234.43 214.38
坂本花織 (JPN) 223.65 194.42
Amber GLENN (USA) 180.91 186.28
Eunsoo LIM (KOR) 205.57 184.64
Karen CHEN (USA) 52.93 173.66
樋口新葉 (JPN) 186.24 164.37
山下真瑚 (JPN) 203.06 163.54
Stanislava KONSTANTINOVA (RUS) 205.91 162.25
Yi Christy LEUNG (HKG) 177.22 153.20
Veronik MALLET (CAN) 170.68 147.74

初戦はラスベガス開催のスケートアメリカ

トゥルシンバエワ選手がエントリーから外れ、香港のクリスティレオン選手が入りました。昨シーズンジュニアグランプリシリーズに出場しながら、シーズン最後には世界選手権にも出て14位に入った選手です。

もう一人、アメリカの地元枠が確定して、アンバーグレン選手が入りました。

 

チャレンジャーシリーズで昨シーズン同様に高いスコア、200点越えをしてきたのはシェルバコワ選手とトゥクタミシェワ選手の二人だけです。ブレイディテネル選手はジャパンオープン(フリーのみ競技会)に出場しましたが120点台と今一つでした。坂本選手も200点に届いていませんが、それでも他も悪かったのでスコアは3番手。この辺までが表彰台争いの中心でしょうか。昨シーズン200点越えした選手が7人名を連ねているのですが、樋口選手、山下選手といったあたりの復調はあるでしょうか?

 

 スケートカナダ

Skate Canada Int.   18-19 19-20
Alexandra TRUSOVA (RUS) 222.89 238.69
Bradie TENNELL (USA) 225.64  
紀平梨花 (JPN) 233.12 224.16
Evgenia MEDVEDEVA (RUS) 223.80 217.43
Serafima SAKHANOVICH (RUS) 202.62  
Young YOU (KOR) 183.98 200.89
Yelim KIM (KOR) 196.34 186.27
本田真凛 (JPN) 188.61 174.01
Aurora COTOP (CAN) 162.56  
Alexia PAGANINI (SUI) 182.50 158.33
Gabrielle DALEMAN (CAN) 192.67 138.89
Alicia PINEAULT (CAN) 159.70 138.29

スケートカナダ三原舞依選手がエントリーから外れて本田真凛選手が入りました。また、カナダの地元枠にAlicia PINEAULT選手が入っています。

 

ここはトゥルソワvs紀平梨花 という今シーズン注目の対戦があります。そこにメドベージェワ選手が絡んでくることができるか。また、ユヨン選手がいますので、四回転一人とトリプルアクセルが二人、という豪華ジャンプの競演となっています。

カナダの選手以外はすごいスコアが並んでいて、今シーズン200点越えがすでに4人いる、という試合なのですが、本田真凛選手はどこまで勝負に絡んでいけるでしょう? ショートで上位に入ってフリー後半グループからの200点突破、くらいまではたどり着いてほしいなあと思います。

 

フランス杯

Internationaux de France   18-19 19-20
Alina ZAGITOVA (RUS) 238.43  
Alena KOSTORNAIA (RUS) 217.98 234.84
Mariah BELL (USA) 208.07 205.13
坂本花織 (JPN) 223.65 194.42
白岩優奈 (JPN) 191.46  
Star ANDREWS (USA) 187.69  
Laurine LECAVELIER (FRA) 180.05  
Nicole SCHOTT (GER) 170.56 177.76
樋口新葉 (JPN) 186.24 164.37
Maria SOTSKOVA (RUS) 179.72 155.25
Mae Berenice MEITE (FRA) 179.56 152.54
Lea SERNA (FRA) 149.49  

3戦目はグルノーブル開催のフランス杯。

地元枠はLea SERNA選手が入り、アメリカのTing CUI選手がエントリーから外れ、代わりにスターアンドリュース選手が入りました。また、ベルギーのルナヘンドリックス選手が欠場で、ドイツのニコルショット選手が入りました。

 

3戦目にしてザギトワ選手登場。ここではコストルナヤ選手との勝負になります。200点スコア持ちの坂本選手やマライアベル選手がこの二人に絡んでいけるか? 坂本選手は、シェルバコワ、トゥクタミシェワ、ザギトワ、コストルナヤ、というロシア勢の誰かに最低でも勝って2位3位としておかないとファイナル進出はない、ということになります。下手したら、220点を2試合出してもファイナルいけないかもしれません。

チャレンジャーシリーズ欠場の白岩選手、昨シーズンのケガ以降今一つ精彩にかける樋口選手、メンバー的にはフリー後半グループに入って5位くらいまでなら問題なく行けるはずなので、それくらいまで入ってくれたらと思います

 

 中国杯

Cup of China   18-19 19-20
三原舞依 (JPN) 220.68  
Anna SHCHERBAKOVA (RUS) 219.94 218.20
Elizaveta TUKTAMYSHEVA (RUS) 234.43 214.38
宮原知子 (JPN) 219.71 204.30
Viveca LINDFORS (FIN) 194.40  
Elizabet TURSYNBAEVA (KAZ) 224.76 186.09
Sofia SAMODUROVA (RUS) 213.84 179.65
本田真凛 (JPN) 188.61 174.01
Yi Christy LEUNG (HKG) 177.22 153.20
Hongyi CHEN (CHN) 165.55 146.65
Gabrielle DALEMAN (CAN) 192.67 138.89
Yi ZHU (CHN)    

4試合目は中国杯。今年はちゃんとやるかな中国杯

地元枠を中国が使ったのか返上して回っていったのか、どっちの経緯かわかりませんが、香港のクリスティレオン選手がエントリーされています。

ここは、1試合目分のエントリーを外れた三原舞依選手とトゥルシンバエワ選手の名前があるので、大会近づいたらまたメンバーが変わってくる可能性はあります。

トゥルシンバエワ選手の今シーズンのスコアは、チャレンジャーシリーズの出場はないのですが、上海の招待試合のスコアがあったのでそれを入れました。

 

昨シーズン210点越えの実績がある選手が6人いるというものすごい構成なのですが、今シーズンも順当に200点を超えてきているのは3人だけです。シェルバコワ選手、トゥクタミシェワ選手、宮原知子選手。この三人で勝負になるのかなあ、という印象です。ファイナルに進むにはここで優勝したい宮原選手なんですけどどうでしょう。

本田真凛選手はここが2試合目で入っています。表彰台に絡むのはやはり厳しそうですけれど、200点出して、4番5番くらいには来てほしいなあ

 

中国は地元枠なしでも国際試合の出場経験のない選手がエントリーされる、という状態です。北京オリンピック大丈夫なんでしょうか? 李子君選手の引退後、女子シングルがさっぱりで、昨シーズンISU公認スコアを残したのがHongyi CHEN選手一人だけ。もうちょっと頑張ってもらえると、国際スケート連盟の経済的に助かるような気がしています。

 

 ロステレコム杯

Rostelecom Cup   18-19 19-20
Alexandra TRUSOVA (RUS) 222.89 238.69
Evgenia MEDVEDEVA (RUS) 223.80 217.43
Mariah BELL (USA) 208.07 205.13
宮原知子 (JPN) 219.71 204.30
横井ゆは菜 (JPN) 184.09 191.90
白岩優奈 (JPN) 191.46  
Laurine LECAVELIER (FRA) 180.05  
Ekaterina RYABOVA (AZE) 179.88 178.06
Emmi PELTONEN (FIN) 172.02  
Stanislava KONSTANTINOVA (RUS) 205.91 162.25
Alexia PAGANINI (SUI) 182.50 158.33
Hongyi CHEN (CHN) 165.55 146.65

5戦目はモスクワ開催のロステレコム杯

ベルギーのルナヘンドリックス選手が外れ、フィンランドのペルトネン選手がエントリーされています。

 

メンバー的にはトゥルソワ選手が頭一つ抜けてますでしょうか。メドベージェワ選手宮原知子選手にマライアベル選手が挑む形。トゥクタミシェワ選手のデビューのころから、強いロシア勢はグランプリデビュー年に2戦2勝する、というのが普通に続いてますので、今回もそれが普通に起きるんでしょうかねえ。

宮原選手は連戦。中国で2位でも、ここでメドベージェワ選手に勝って2位になれればファイナル確定、という組み合わせです。5年連続ファイナル、現役最多を続けてほしいです。

トゥルソワ、シェルバコワ、トゥクタミシェワ、メドベージェワ各選手のうち最低1人に勝たないとファイナルはなし、2人勝てばほぼ当確、という組み合わせになっています。

横井ゆは菜選手はグランプリシリーズデビュー戦になります。表彰台に乗るにはやはりなかなか苦しいメンバーなので、何度も書いてる、ぜひ200点を、ということになるんでしょうか

白岩選手はここが2戦目。グランプリは4位と5位が多い選手なのですが、またその辺かも、というメンバー。ジュニアグランプリデビューの年のように、あっと言わせてくれる爆発的成長をそろそろもう一度見てみたいなあ、と思ったりします。

 

 NHK杯

NHK Trophy   18-19 19-20
Alina ZAGITOVA (RUS) 238.43  
Alena KOSTORNAIA (RUS) 217.98 234.84
紀平梨花 (JPN) 233.12 224.16
Viveca LINDFORS (FIN) 194.40  
横井ゆは菜 (JPN) 184.09 191.90
Eunsoo LIM (KOR) 205.57 184.64
Starr ANDREWS (USA) 187.69 181.18
Sofia SAMODUROVA (RUS) 213.84 179.65
Karen CHEN (USA) 52.93 173.66
山下真瑚 (JPN) 203.06 163.54
Mae Berenice MEITE (FRA) 179.56 152.54
Megan WESSENBERG (USA) 170.33 148.21

6戦目、最終戦は札幌開催のNHK杯です

地元枠に横井ゆは菜選手が入り、アメリカのTing CUI選手がエントリーから外れ、メーガンウェッセンベルク選手が入りました

 

今シーズンのザギトワvs紀平梨花第一章、となる試合なので、本来なら大注目なのですが、今年は昨年実績のある二人ではなくて、ジュニアから上がった三人の方が注目されるようなシーズンなので、むしろコストルナヤ選手が勝ってしまうのではないか? という方が注目点かもしれません。エテリ三人衆はきれいに六試合ばらけたので、ザギトワ選手は連敗して、ジュニア上がり三人で六勝、という構図がなくはなかったりします。

 

ファイナルに進むには3位二つではほぼなくて、最低線2位と3位というのが欲しいわけですが、そう考えると紀平選手は、トゥルソワ、メドベージェワ、ザギトワ、コストルナヤから最低誰か1人に勝つ、ということが求められます。2人に勝てばファイナルほぼ確定です。

日本からは横井選手が地元枠で入り2戦目、山下真瑚選手も2戦目で出場します。

 

 

こうしてみると、ファイナル、下手するとロシア6人がありえるんですね。

トゥルソワ、コストルナヤ、シェルバコワ、ザギトワ、メドベージェワ、トゥクタミシェワで6人

前シーズンのヨーロッパ選手権チャンピオンがその中に数えなくても6人になる、というのも何とも恐ろしい話です。

日本から可能性あるのはやっぱり3強で、紀平梨花宮原知子、坂本花織、と並びます

それ以外で可能性がある選手は、チャレンジャーシリーズから200点超えたマライアベル選手と、一発当てたら点は出るブレイディテネル選手、あたりでしょうか。日米露以外から探すのはちょっと難しいですかね。今シーズントリプルアクセル着氷して200点を超えたユヨン選手は、出場権が1試合なので、どこかにエントリー変更で入ったうえで表彰台に乗る、という他力まで含めないと可能性がありません。

 

210点が出せる可能性があるのは、その辺までですかねえ。

厳しい時代になりました。ファイナルどころか、全試合表彰台が日米露のみ、さらには日露のみ、となる可能性まであります。

 

 

以上、グランプリシリーズ開幕直前の、エントリー変更まで加味してのメンバーチェックでした

 

 

 

 

フィギュアスケート19 チャレンジャーシリーズ前半終了2 男子シングル

前回の女子シングルに続いて、男子シングルでもチャレンジャーシリーズの前半戦を振り返ってみたいと思います。チャレンジャーシリーズ全10戦のうち、グランプリシリーズ開幕以前に行われた、フィンランディア杯までの6戦分です。

 

まず、200点以上のスコアを並べます。日本人選手はすべてこの中に入っています

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
Autumn Classic 1 Yuzuru HANYU JPN 279.05 98.38 180.67
Lombardia Trophy 1 Boyang JIN CHN 268.31 101.09 167.22
Autumn Classic 2 Kevin AYMOZ FRA 262.47 94.76 167.71
Autumn Classic 3 Keegan MESSING CAN 256.02 89.57 166.45
Nepela Memorial 1 Dmitri ALIEV RUS 255.32 101.49 153.83
Finlandia Trophy 1 Shoma UNO JPN 255.23 92.28 162.95
US International 1 Keiji TANAKA JPN 249.96 88.76 161.20
Lombardia Trophy 2 Dmitri ALIEV RUS 249.62 81.18 168.44
US International 2 Sota YAMAMOTO JPN 240.11 82.88 157.23
Nepela Memorial 2 Matteo RIZZO ITA 232.70 75.87 156.83
US International 3 Vincent ZHOU USA 231.95 89.03 142.92
Autumn Classic 4 Junhwan CHA KOR 230.44 84.23 146.21
US International 4 Alexei KRASNOZHON USA 230.11 76.92 153.19
Nepela Memorial 3 Deniss VASILJEVS LAT 229.97 79.76 150.21
Lombardia Trophy 3 Matteo RIZZO ITA 227.38 71.76 155.62
Finlandia Trophy 2 Sota YAMAMOTO JPN 223.24 92.81 130.43
Finlandia Trophy 3 Roman SADOVSKY CAN 222.23 86.34 135.89
Lombardia Trophy 4 Morisi KVITELASHVILI GEO 220.96 74.15 146.81
Nebelhorn Trophy 1 Makar IGNATOV RUS 220.51 65.28 155.23
Lombardia Trophy 5 Egor MURASHOV RUS 219.39 74.83 144.56
Nepela Memorial 4 Alexander SAMARIN RUS 218.45 79.56 138.89
Autumn Classic 5 Camden PULKINEN USA 216.25 81.34 134.91
Autumn Classic 6 Conrad ORZEL CAN 214.98 76.64 138.34
Nebelhorn Trophy 2 Koshiro SHIMADA JPN 214.98 74.32 140.66
US International 5 Tomoki HIWATASHI USA 214.82 76.96 137.86
Nebelhorn Trophy 3 Alexei BYCHENKO ISR 214.70 70.46 144.24
Finlandia Trophy 4 Jimmy MA USA 213.49 66.48 147.01
Nebelhorn Trophy 4 Nam NGUYEN CAN 209.84 60.52 149.32
Nepela Memorial 5 Mitsuki SUMOTO JPN 209.15 68.14 141.01
Finlandia Trophy 5 Aleksandr SELEVKO EST 206.81 67.63 139.18
Finlandia Trophy 6 Sergei VORONOV RUS 206.19 79.48 126.71
Nebelhorn Trophy 5 Daniel SAMOHIN ISR 205.11 69.52 135.59
Finlandia Trophy 7 Andrei LAZUKIN RUS 203.91 75.59 128.32
Lombardia Trophy 6 Roman GALAY FIN 203.52 67.04 136.48
Lombardia Trophy 7 Kazuki TOMONO JPN 203.08 61.69 141.39
US International 6 Jimmy MA USA 200.30 67.34 132.96

200点以上は延べ36選手となりました。

 

トップスコアは羽生結弦選手。279.05は驚くほどの高スコアなわけでもないですが、もちろん誰でも取れるようなスコアでもなく、昨シーズンこれより高いスコアを出せたのは、羽生選手自身を含めて4人だけでした。ショートプログラムでは100点に届いていませんし、フリーも180点ほどで、羽生選手のベストと比べるとあまり高くないスコアではありました。

今回のチャレンジャーシリーズの中で、オータムクラシックだけやたらレベルが高く、ほかの大会では250点に乗せれば優勝なのですが、オータムクラシックだけ3位まで250点台でした。昨シーズン、ヨーロッパ選手権4位、世界選手権も11位と、フェルナンデス+ロシア、だけでほとんど構成されていたヨーロッパの男子シングルに、久しぶりに表れたフランスのケビンエイモス選手が、昨シーズンのベストを超えるパーソナルベストで262.47のスコアを出してきました。今シーズンの注目選手になってきそうな感じがします。

 

トータルスコア2番手はボーヤンジン選手の268.31でした。これもボーヤンジン選手のスコアとしてはそれほど高いものではないような気もしますが、最近元気のなかったボーヤン選手が昨シーズンのベストスコア273.51に近いスコアをチャレンジャーシリーズから出してきてくれたことは大変うれしいですし、今シーズンに期待が持てることだと思います。

 

宇野選手は全体六番手。255.23は昨シーズンのワーストスコア270.32を著しく下回るスコアです。環境が著しく変わり、というより今現在も変わっている最中なのではないかと思われるのですが、そういったあたりの理由で、まだ調整が今一つ進んでいないでしょうか。少し心配ではありますけれど、今の宇野選手の立場ならシーズン序盤から結果を出す必要性はないので、年が明けてから調子が上がる、というようなピーキングにシフトしていっていいんだろうとも思います。

 

一方で、全日本選手権にピークを合わせないといけない選手はやや明暗分かれている感じです。

 

田中刑事選手がチャレンジャーシリーズ初優勝で249.96のスコアを出しました。山本草太選手は、USインターナショナル2位のスコアが240.11あります。昨シーズンチャレンジカップで253.87を出しましたが、これはISU公認スコアとしては残っておらず、公認スコアとしてはこの240.11がパーソナルベストとなりました。

昨シーズンのシーズンベストスコアで24位は236.70だったかと思われますので、それを超えるスコアを出してきたことになります。今シーズンはジュニアのレベルがあがっていて、ベストスコア順位でもジュニアが何人か上位に入ってくることで、24位のラインが上がってしまいそうなので、240.11だとやや心もとないのですが、田中選手の249.96ならおそらく24位ラインには入って、グランプリシリーズの来シーズンの枠取りでかなり優位になっていると思われます。

山本選手はチャレンジャーシリーズに日本人選手としてはただ一人2試合出て、2位が2回となりました。これで270ポイントを二つ獲得。世界ランキングは上がっていきます。今シーズン中に24位以内にまで上げるには、四大陸ないしは世界選手権に出場しないと苦しいのですが、全日本で上位に入りそういったチャンピオンシップに出ることができれば、そこまで順位を上げて、来シーズンこそグランプリシリーズを2枠に出来る、という可能性を拡げています。

 

一方調子が上がってこないのがシニアデビューシーズンになる島田選手須本選手。また、2シーズン前に世界選手権5位に入った友野選手も今一つです。

グランプリシリーズの出場権がない須本選手は、このチャレンジャーシリーズで高めのスコアを出して次へつなげたかったところですが、209.15ですと、あまり先へはつながらない感じがします。

島田選手、友野選手は、グランプリ2戦があるので、そこで調子を上げていくことが、シーズン後半にチャンピオンシップの出場権を得るために必要でしょうか。今年の全日本の表彰台争いは本当に熾烈です。世界選手権の常連になってきている田中刑事選手が今のところ筆頭ですが、ショートでは宇野選手の上に出た山本草太選手も十分チャンスあるところをチャレンジャーシリーズ2戦ですでに見せてくれました。ジュニアから鍵山選手はシニアルールでコレオ付き+ショート四回転入れたら250点普通にあるよ、というスコアを出していますし、佐藤駿選手もポテンシャルの高さを見せている。そして、今度の全日本が最後と言っていて、昨シーズンは宇野選手に次ぐ2位だった高橋大輔選手がいます。

それらに打ち勝っていかないと表彰台に乗れませんので、200点そこそこのスコアではちょっと勝負にならない。ここからの復調を期待したいところです。

 

 

ここからは要素別を見ていきます

 

四回転のループ、フリップ、ルッツ

Event   Name Nation   Elements    BaseValue   GOE Scores
Lombardia Trophy SP Boyang JIN CHN 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15
Nepela Memorial SP Dmitri ALIEV RUS 1 4Lz+3T   15.70   3.45 19.15
US International SP Vincent ZHOU USA 1 4Lz<+3T < 13.40   -1.29 12.11
US International FS Vincent ZHOU USA 7 4Lz<<+2T << 7.92 x -2.01 5.91
Lombardia Trophy FS Dmitri ALIEV RUS 1 4Lz   11.50   4.37 15.87
Lombardia Trophy FS Boyang JIN CHN 1 4Lz   11.50   3.91 15.41
Finlandia Trophy FS Andrei LAZUKIN RUS 1 4Lz   11.50   1.92 13.42
Nepela Memorial FS Alexander SAMARIN RUS 1 4Lz   11.50   1.84 13.34
Finlandia Trophy SP Andrei LAZUKIN RUS 1 4Lz   11.50   -1.73 9.77
Autumn Classic FS Keegan MESSING CAN 1 4Lz   11.50   -5.52 5.98
Lombardia Trophy SP Dmitri ALIEV RUS 1 4Lz   11.50   -5.75 5.75
Nepela Memorial SP Alexander SAMARIN RUS 1 4Lz<+COMBO < 9.20   -4.60 4.60
Lombardia Trophy FS Andrei LAZUKIN RUS 1 4Lz< < 9.20   -4.60 4.60
US International FS Vincent ZHOU USA 1 4Lz<< << 5.90   -2.95 2.95
Finlandia Trophy FS Shoma UNO JPN 2 4F   11.00   2.57 13.57
Finlandia Trophy SP Shoma UNO JPN 1 4F   11.00   -0.18 10.82
Nepela Memorial SP Alexander SAMARIN RUS 2 4F   11.00   -3.52 7.48
Autumn Classic FS Junhwan CHA KOR 1 4F< < 8.80   -0.70 8.10
US International FS Alexei KRASNOZHON USA 1 4Lo   10.50   0.63 11.13
Autumn Classic FS Yuzuru HANYU JPN 1 4Lo   10.50   -2.94 7.56
Nepela Memorial FS Matteo RIZZO ITA 1 4Lo< < 8.40   -2.69 5.71
Lombardia Trophy FS Matteo RIZZO ITA 1 4Lo< < 8.40   -3.36 5.04
US International SP Alexei KRASNOZHON USA 1 4Lo< < 8.40   -3.36 5.04
Lombardia Trophy SP Matteo RIZZO ITA 2 4Lo<< << 4.90   -2.45 2.45

チャレンジャーシリーズでは四回転アクセルに挑んだ選手はいません。

まず、四回転の中の高難易度側、ルッツ、フリップ、ループを見てみます。

この三つだと、一番多いのはルッツです。ボーヤンジン選手、ドミトリーアリエフ選手、二人が、ショートプログラム冒頭え、4Lz-3Tという最高難度のコンビネーションを平均GOE+3.00という高評価で飛んでいます。そうすると、一つの要素で19.15というとてつもない点数が出るわけです。

アリエフ選手は、単独四回転ルッツではさらに上をいく平均GOE+3.714という評価を受けました。ボーヤンジン選手もそれに続いています。シーズン序盤はこの二人が高難度四回転で高い評価を受けました。

 

フリップは4例だけで、回転足りてGOEがプラスついたのは宇野選手のみです。フリップは宇野選手のジャンプ、というイメージがあるのですが、それは成功率が高いからか、初めて飛んだのが宇野選手だからか。いずれにしても、調子上がってないと言いつつも四回転フリップは決めてきています。

 

ループは6例で回転足りて加点はクラスノジョン選手の1例だけ。ルッツやフリップより全体の成功率は低くなっています。個人的な印象なのですが、1回転や2回転の少ない回転の時と、3回転あるいは4回転と回転数が増えていった時で、ジャンプの難易度順というか、基礎点順が変わらないのは違和感があって、回転数少ないときは基礎点低い側だけど、回転数上がると基礎点順が逆転して難易度高い扱いになる、というジャンプがあってもよいかと思っています。ループというのはそういうジャンプなのではないかな、と思ったりしています。

 

成功していませんが、フリップではチャジュンファン選手、ループはマテオリッツォ選手といった、昨シーズン飛躍を遂げた選手が、さらなら上積みを目指して挑んでいるようです。

 

四回転サルコウ

Event   Name Nation   Elements    BaseValue   GOE Scores
Nebelhorn Trophy FS Nam NGUYEN CAN 1 4S+3T   13.90   3.10 17.00
Finlandia Trophy SP Roman SADOVSKY CAN 1 4S+3T   13.90   2.10 16.00
US International SP Sota YAMAMOTO JPN 1 4S+3T   13.90   1.55 15.45
US International FS Sota YAMAMOTO JPN 1 4S+3T   13.90   -0.97 12.93
Autumn Classic SP Junhwan CHA KOR 1 4S+3T< < 13.06   -2.13 10.93
US International FS Keiji TANAKA JPN 2 4S+2T   11.00   2.13 13.13
Lombardia Trophy FS Kazuki TOMONO JPN 2 4S+2T   11.00   1.94 12.94
Finlandia Trophy SP Sota YAMAMOTO JPN 1 4S+2T   11.00   1.78 12.78
Finlandia Trophy FS Sota YAMAMOTO JPN 1 4S+2T   11.00   0.81 11.81
Lombardia Trophy SP Kazuki TOMONO JPN 2 4S<+2T < 9.06   -3.88 5.18
Nebelhorn Trophy FS Makar IGNATOV RUS 1 4S   9.70   3.10 12.80
US International SP Vincent ZHOU USA 2 4S   9.70   2.52 12.22
Autumn Classic SP Conrad ORZEL CAN 2 4S   9.70   0.39 10.09
Nebelhorn Trophy FS Daniel SAMOHIN ISR 2 4S   9.70   -0.19 9.51
Finlandia Trophy FS Roman SADOVSKY CAN 1 4S   9.70   -2.59 7.11
Autumn Classic FS Yuzuru HANYU JPN 2 4S   9.70   -2.72 6.98
Lombardia Trophy SP Morisi KVITELASHVILI GEO 1 4S   9.70   -2.91 6.79
US International FS Keiji TANAKA JPN 1 4S   9.70   -3.49 6.21
Nebelhorn Trophy FS Nam NGUYEN CAN 2 4S   9.70   -4.66 5.04
US International FS Vincent ZHOU USA 2 4S< < 7.76   -3.10 4.66
Autumn Classic SP Yuzuru HANYU JPN 1 4S< < 7.76   -3.88 3.88
US International FS Sota YAMAMOTO JPN 2 4S< < 7.76   -3.88 3.88
Nebelhorn Trophy SP Makar IGNATOV RUS 1 4S< < 7.76   -3.88 3.88
Finlandia Trophy FS Sota YAMAMOTO JPN 2 4S< < 7.76   -3.88 3.88

四回転サルコウは24例ありました。ナムグエン選手がコンビネーションで飛んで平均GOE+3.143と高評価でした。山本草太選手はUSインターナショナルではショートフリー共に4S-3Tのコンビネーションを着氷していますし、フィンランディアでは4S-2TでGOEプラスにしました。コンビネーションは飛べるのに、二つ目の要素で単独4S跳ぶと転倒する、という流れになってますが、とりあえず四回転サルコウは習得したけれど、体力的になのか確率の問題なのか、二つ続けては決まらない、というのがあるようです。シーズン中にこれが決まりだすと、世界選手権への道も見えてくるんでしょうか。

日本勢では友野選手が二分の一で成功、田中選手も二分の一成功で、羽生結弦選手が2回飛んでGOEプラス無し、という意外な結果になっています。

 

四回転トーループ 単独で平均GOE2.0以上か、コンビネーションでGOEプラス

Event   Name Nation   Elements    BaseValue   GOE Scores
Autumn Classic SP Yuzuru HANYU JPN 3 4T+3T   15.07 x 3.99 19.06
Lombardia Trophy FS Dmitri ALIEV RUS 3 4T+3T   13.70   2.85 16.55
Finlandia Trophy SP Sergei VORONOV RUS 1 4T+3T   13.70   2.06 15.76
Autumn Classic SP Conrad ORZEL CAN 1 4T+3T   13.70   0.57 14.27
Autumn Classic FS Yuzuru HANYU JPN 7 4T<+1Eu+3S < 13.64 x 0.46 14.10
Finlandia Trophy SP Shoma UNO JPN 2 4T+2T   10.80   2.69 13.49
Lombardia Trophy FS Boyang JIN CHN 4 4T+2T   10.80   2.66 13.46
Lombardia Trophy SP Matteo RIZZO ITA 1 4T+2T   10.80   2.47 13.27
Autumn Classic FS Kevin AYMOZ FRA 1 4T+2T   10.80   1.33 12.13
Lombardia Trophy SP Dmitri ALIEV RUS 2 4T+2T   10.80   0.38 11.18
Lombardia Trophy FS Boyang JIN CHN 7 4T   10.45 x 1.90 12.35
Finlandia Trophy SP Sota YAMAMOTO JPN 2 4T   9.50   3.17 12.67
Lombardia Trophy SP Boyang JIN CHN 2 4T   9.50   3.04 12.54
Autumn Classic FS Keegan MESSING CAN 2 4T   9.50   2.85 12.35
Nebelhorn Trophy FS Makar IGNATOV RUS 2 4T   9.50   2.85 12.35
Nepela Memorial SP Dmitri ALIEV RUS 2 4T   9.50   2.66 12.16
US International FS Sota YAMAMOTO JPN 3 4T   9.50   2.47 11.97

 

四回転トーループは55例もある普通のジャンプとなってきたので、加点が得られたようなものだけにしてみました。

羽生結弦選手の4T-3Tというコンビネーションのそれも1.1倍ボーナスジャンプが、平均GOE4.286と、+4を上回る評価を得ました。四回転でGOE+4がつくって、どこまで行くんでしょうこの選手はって、四回転アクセルまで行くんでしたね。

他にはドミトリーアリエフ選手、ボーヤンジン選手といった四回転で名高い二人はやはりこういうところで上の方に名前がいます。

日本からは山本草太選手が二つ入っていて、サルコウトーループ、どちらも習得したよ、というのがはっきり見えてきました。

 

 

ショートフリー合計の技術点が120点以上

Event Pl Name Nation Total TES PCS
Lombardia Trophy 1 Boyang JIN CHN 268.31 147.56 120.75
Autumn Classic 1 Yuzuru HANYU JPN 279.05 144.00 136.05
Autumn Classic 3 Keegan MESSING CAN 256.02 130.47 126.55
Nepela Memorial 1 Dmitri ALIEV RUS 255.32 130.12 126.20
US International 1 Keiji TANAKA JPN 249.96 129.61 121.35
Lombardia Trophy 2 Dmitri ALIEV RUS 249.62 128.37 122.25
Autumn Classic 2 Kevin AYMOZ FRA 262.47 128.02 134.45
Finlandia Trophy 1 Shoma UNO JPN 255.23 124.55 131.68
Autumn Classic 6 Conrad ORZEL CAN 214.98 123.78 91.20
US International 2 Sota YAMAMOTO JPN 240.11 123.41 118.70
Nebelhorn Trophy 1 Makar IGNATOV RUS 220.51 122.26 99.25

今回のチャレンジャーシリーズ、技術点だけで見ると羽生結弦選手よりボーヤンジン選手の方が上にいました。トゥルソワ選手が出した141.05を上回っているのは男子でも二人だけ、という何とも恐ろしい事実もあったりします

表現面で評価される傾向が強かったように感じるキーガンメッシング選手が3番目。技術点もかなり高い水準です。

日本からは羽生選手だけでなく、田中刑事選手、宇野選手に山本草太選手まで入ってきています。

 

ショートフリー合わせてスピンで23.0以上

Event Pl Name Nation Total Spin
Finlandia Trophy 3 Roman SADOVSKY CAN 222.23 26.24
Autumn Classic 1 Yuzuru HANYU JPN 279.05 25.88
Nepela Memorial 3 Deniss VASILJEVS LAT 229.97 25.78
Autumn Classic 3 Keegan MESSING CAN 256.02 25.30
Lombardia Trophy 1 Boyang JIN CHN 268.31 24.20
Nepela Memorial 4 Alexander SAMARIN RUS 218.45 24.19
Nebelhorn Trophy 8 Nikolaj MAJOROV SWE 186.36 23.83
Finlandia Trophy 1 Shoma UNO JPN 255.23 23.81
Autumn Classic 2 Kevin AYMOZ FRA 262.47 23.64
Finlandia Trophy 6 Sergei VORONOV RUS 206.19 23.61
Nebelhorn Trophy 2 Koshiro SHIMADA JPN 214.98 23.13

スピンで点を稼いでいるのはこのあたりの選手。カナダのサドフスキー選手がトップでした。バシリエフス選手が3番目。トータルスコアで上位にまで来ることができない選手でも、スピンだけなら一級品、というのは男女ともによくあることなようです。

ジャンプのイメージの強いボーヤンジン選手ですが、スピンのスコアも5番目とかなり高い位置にいます。

日本からは島田高志郎選手も名前が入っています。バシリエフス選手と共にランビエール先生の門下生ですが、その辺が出ているでしょうか。ちなみに、二人とも、トリプルアクセルが飛べないなんてことはないですけど。

 

ショートフリー合わせて、ステップとコレオで13.5以上

Event Pl Name Nation Total Step
Autumn Classic 1 Yuzuru HANYU JPN 279.05 15.41
Nepela Memorial 2 Matteo RIZZO ITA 232.70 14.88
Lombardia Trophy 3 Matteo RIZZO ITA 227.38 14.80
Nepela Memorial 3 Deniss VASILJEVS LAT 229.97 14.62
Lombardia Trophy 7 Kazuki TOMONO JPN 203.08 14.20
US International 1 Keiji TANAKA JPN 249.96 14.14
Nepela Memorial 1 Dmitri ALIEV RUS 255.32 14.02
Lombardia Trophy 1 Boyang JIN CHN 268.31 13.89
Lombardia Trophy 2 Dmitri ALIEV RUS 249.62 13.89
Nepela Memorial 4 Alexander SAMARIN RUS 218.45 13.75
Finlandia Trophy 1 Shoma UNO JPN 255.23 13.74

ステップでは羽生結弦選手がトップ。マテオリッツォ選手が続きます。バシリエフス選手がまた三番手に出てきました。バシリエフス選手はスピンステップが高い位置にいますので、あとはジャンプなんですね。

トータルスコアは203.08とうまくいかなかった友野一希選手ですが、ステップだけ見れば4番目。4回転サルコウしっかり決まればまた上位進出できるんでしょうか。

ボーヤンジン選手はここにも名前があります。高難度四回転だけの選手ではないです。

 

 

ショートフリー合わせて演技構成点120点以上

Event Pl Name Nation Total TES PCS
Autumn Classic 1 Yuzuru HANYU JPN 279.05 144.00 136.05
Autumn Classic 2 Kevin AYMOZ FRA 262.47 128.02 134.45
Finlandia Trophy 1 Shoma UNO JPN 255.23 124.55 131.68
Autumn Classic 3 Keegan MESSING CAN 256.02 130.47 126.55
Nepela Memorial 1 Dmitri ALIEV RUS 255.32 130.12 126.20
Nepela Memorial 3 Deniss VASILJEVS LAT 229.97 109.57 122.40
Lombardia Trophy 2 Dmitri ALIEV RUS 249.62 128.37 122.25
US International 1 Keiji TANAKA JPN 249.96 129.61 121.35
Lombardia Trophy 1 Boyang JIN CHN 268.31 147.56 120.75
US International 3 Vincent ZHOU USA 231.95 112.60 120.35

演技構成点のトップは羽生結弦選手。これは予想された出来事な感じですが2番目にケビンエイモス選手が名を連ねています。今シーズン注目選手、だと思っています。

バシリエフス選手や田中刑事選手も、名だたるメンバーに交じって名を連ねています。PCS120点というのは、各コンポーネントで平均8.0という意味ですので、それなりに高得点です。平均9.0に達すると、135点で、これを超えたのは今のところ羽生結弦選手のみ、となっています

 

 

以上、チャレンジャーシリーズ前半を振り返った男子シングルでした。

 

 

 

フィギュアスケート19 チャレンジャーシリーズ前半終了1 女子シングル

19-20シーズンのチャレンジャーシリーズが進んでいます。チャレンジャーシリーズは全10戦あるのですが、フィンランディア杯までの6戦が終わりました。例年、フィンランディア杯までがグランプリシリーズの前哨戦として見られ、残り3~4戦は、グランプリシリーズと被る時期なのでやや格下な試合、という印象になっています。まあ、前半終わったと言っても、すぐ次週、グランプリシリーズのスケートアメリカの裏にあるアイススターには、昨シーズンのヨーロッパ選手権覇者サムドゥロワ選手がエントリーしていたりと、強い選手が全く出ないわけではないのですが、グランプリシリーズの前哨戦感のある試合はフィンランディア杯までで終わりです

 

というタイミングで、グランプリシリーズの前哨戦という役割としてのチャレンジャーシリーズの今季の結果を振り返ってみます。今回も一試合一試合振り返るのではなく、全部まとめて、スコアを並べる形です。

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
Nepela Memorial 1 Alexandra TRUSOVA RUS 238.69 74.91 163.78
Finlandia Trophy 1 Alena KOSTORNAIA RUS 234.84 77.25 157.59
Autumn Classic 1 Rika KIHIRA JPN 224.16 78.18 145.98
Lombardia Trophy 1 Anna SHCHERBAKOVA RUS 218.20 67.73 150.47
Autumn Classic 2 Evgenia MEDVEDEVA RUS 217.43 75.14 142.29
Lombardia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 214.38 73.66 140.72
Finlandia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 212.53 72.66 139.87
Nebelhorn Trophy 1 Mariah BELL USA 205.13 68.45 136.68
US International 1 Satoko MIYAHARA JPN 204.30 74.16 130.14
Lombardia Trophy 3 Young YOU KOR 200.89 70.47 130.42
US International 2 Young YOU KOR 199.29 58.04 141.25
Nepela Memorial 2 Kaori SAKAMOTO JPN 194.42 59.97 134.45
Finlandia Trophy 3 Yuhana YOKOI JPN 191.90 65.09 126.81
US International 3 Amber GLENN USA 186.28 66.09 120.19
Nebelhorn Trophy 2 Yelim KIM KOR 186.27 67.06 119.21
Autumn Classic 3 Eunsoo LIM KOR 184.38 56.31 128.07
Lombardia Trophy 4 Yelim KIM KOR 182.60 65.65 116.95
Nepela Memorial 3 Hanul KIM KOR 182.50 62.59 119.91
Finlandia Trophy 4 Jenni SAARINEN FIN 181.20 60.06 121.14
Lombardia Trophy 5 Starr ANDREWS USA 181.18 66.38 114.80
Nebelhorn Trophy 5 Marin HONDA JPN 174.01 58.08 115.93
Lombardia Trophy 8 Wakaba HIGUCHI JPN 164.37 52.33 112.04
Nepela Memorial 6 Mako YAMASHITA JPN 163.54 55.99 107.55

 

180点以上と日本人選手を取り上げています。

180点以上で延べ20人、190点以上述べ13人、200点以上述べ10人です。200点出せれば一流選手、という感じでしょうか。

 

トップスコアは今シーズンからシニアに上がったトゥルソワ選手の238.69 これは、昨シーズンのザギトワ選手の238.43というスコアを上回って、現行ルールでの最高スコアとなっています。これをシニアデビュー戦で出してきました。フリーの163.78がこれまでの最高点の158.50を5点以上上回るハイスコア。やはり四回転がそろうフリーの得点がすごいことになるので、彼女に勝つにはショートプログラムで5点以上のリードが必要になるのかな、という風に見えます。

 

2番手はこれもシニアデビュー戦のコストルナヤ選手。234.84は現行ルールで3番目のスコアです。トゥルソワ選手のハイスコアはある程度予想されていましたが、コストルナヤ選手がここまで出してくるとはちょっと思いませんでした。初戦からフリーでトリプルアクセル2本を組み込んでいて、ここで得点を押し上げています。今シーズンのロシア勢は、トゥルソワ選手が抜けていて、世界選手権は後の2枠を5人ほど、トゥクタミシェワ選手、メドベージェワ選手、ザギトワ選手、シェルバコワ選手にコストルナヤ選手で争うのかな、とみていましたが、その中からトリプルアクセル実装で昨シーズンから基礎点を押し上げたコストルナヤ選手が一歩抜け出して、トゥルソワ選手への挑戦権を得たように見えます。

 

3番手に紀平梨花選手が入りました。まだ足の痛みがあって本調子ではなく四回転挑戦も控えているようですが、ショートプログラム78.18は今シーズンのトップスコアです。昨シーズンは、トリプルアクセル2本を武器にショートの失敗をフリーで逆転する、という流れでしたが、今シーズンは逆に、ショートにトリプルアクセルを持っていることを武器に、まずリードしてフリーもノーミスで滑れば逃げ切れる、というシナリオにならないと苦しくなります。最終的にはショート85点フリー160点くらい出ないとワールドでの優勝はなさそうなのですが、その可能性は十分にあるように見受けられます。

 

210点台にはロシア代表を争うシェルバコワ選手、メドベージェワ選手、トゥクタミシェワ選手が並びました。シニアデビュー念のシェルバコワ選手がその中で一番上のスコア。フリーで早々と150点に乗せています。メドベージェワ選手は今シーズンは早々に217点を出して昨シーズン序盤のような、環境変化などに起因した不調状態とはだいぶ異なった出足のように一見見えるのですが、このリストにはない上海の試合では191.78にとどまっています。スピンやステップでレベル4を取れないケースが多い、というのがちょっとに気になるんですよね。

トゥクタミシェワ選手はチャレンジャーシリーズに2戦して、シェルバコワ選手、コストルナヤ選手との直接対決で連敗。グランプリ一戦目のスケートアメリカにエントリーしてるのに、その前週にフィンランドでチャレンジャーシリーズの試合に出る、という相変わらず多忙な多戦スタイルなのですが、今シーズンはトリプルアクセルをついにフリーで2本並べてきています。

 

日露勢に次ぐスコアを出したのはアメリカのマライアベル選手。昨シーズンも終盤には200点台を並べていましたので、それほど驚くことではないでしょうか。今シーズン、アメリカの世界選手権出場枠は2つに減ってますが、いまのところ彼女のが代表最有力という位置にいるんでしょうか。ブレイディテネル選手は、チャレンジャーシリーズには出場しておらず、スケートアメリカが初戦になります。

 

200点以上を出した選手がいるもう一つの国は韓国で、ユヨン選手が200.89を出してきました。彼女もトリプルアクセルをプログラムに組み込んでいて、今シーズン4回飛んで3回は回転が足りる認定ジャンプとして着氷しました。ただし、GOEはまだマイナス評価です。彼女も今シーズンのシニアデビュー組。チャレンジャーシリーズで200点以上を出した9人のうち4人は今シーズンシニアデビューということで、何やら時代が変わるシーズンになりそうな雰囲気がこんなところにも出ています。

韓国勢は180点台付近に名前が並んでいて、トップの少し下の層に厚みがあるのが見て取れます。昨シーズンの世界選手権でイムウンス選手が10位に入ったことで、今シーズンの枠は2つあります。

 

日本勢では宮原知子選手も順当に200点に乗せて204.30を出しました。国際大会の連続200点記録はこれで13まで続いています。ただ、フリーの130.14というスコアはオリンピックシーズンのケガ明け試合であったNHK杯の126.75以来の低いスコアです(ジャパンオープン除く)。このフリー、時差の関係で同日にあったトゥルソワ選手のフリー163.78の数時間後だったんですね。情報聞いていたかどうかわかりませんが、聞いていたとしたら、なんらかの精神的な影響があってもおかしくなかったでしょうか。このフリーは回転不足が目立っただけではなく、昨シーズンは全試合全要素でレベル4だったスピンで、一つレベル3と取りこぼすという珍しいことも起きました。宮原選手は今シーズン環境が変わったようですが、ここから調整していってどこまで伸ばせるでしょう? 現役最多のグランプリファイナル4年連続出場を5年に延ばせるかどうか。

 

 

坂本花織選手は、まあいつものことといえばいつものことなんでしょうが、チャレンジャーシリーズはあまり出来が良くなく194.42に終わっています。チャレンジャーシリーズの位置づけ、というのも各選手違いますし、まあ最初は悪くても、という選手がいるのもトップクラスならそりゃそうだよね、で終わらせといていいような気はしますが、本人はきっと中野先生に怒られてるんだろうな・・・。トリプルアクセル実装はあるか?

 

昨シーズンの日本勢は3強+1という感じでしたが、今シーズンは3強とその下の差が開いてしまった感じがします。+1だった三原選手がシーズン序盤は休養確定。グランプリ2戦目はエントリーが残ってますがこれもどうなるかわかりません。全日本の5番手6番手で、グランプリ表彰台経験のある樋口選手、山下選手は今シーズン初戦は160点台という低調なスコアに終わっています。白岩選手はチャレンジャーシリーズにエントリーがあったものの欠場。本田真凛選手も伸び切らず170点台に留まっています。そういった関係で、日本女子で、昨シーズンチャレンジャーシリーズに出ていた選手は今シーズンのチャレンジャーシリーズでは全員が得点を落とす、あるいは欠場という形になりました。トゥルソワ選手らの4回転時代突入のあおりを受けて、各選手練習からそちらへ舵を切り時間を割かざるを得ない部分があって、一旦全体のバランスが崩れる、というようなことが起きた結果なんでしょうか。

 

そんな中で今シーズンシニアに上がってきた新顔の横井ゆは菜選手が191.90のパーソナルベストを出して日本勢の4番手に入ってきました。4番手にいると四大陸選手権には出られる可能性が高いので、この位置までまず上がってくることも重要です。また、今シーズン横井選手が得ていたグランプリシリーズの枠は本来1つで、そこに地元枠としてNHK杯に入れてもらえたので2試合になった、という現実があります。190点台のシーズンベストスコアを出したことで、来シーズンはベストスコア上位24位以内でグランプリ1枠、という優先度の高い位置に入れる可能性が高くなり、結果として来シーズンは2枠を得られる可能性が高くなりました。国際試合に弱い印象のある選手で、この直前の中部選手権に失敗していたので心配だったのですが、一つ結果を出した形になりました。

 

昨シーズンの上位選手ではザギトワ選手、トゥルシンバエワ選手、ブレイディテネル選手といったところはチャレンジャーシリーズへの出場がありません。トゥルシンバエワ選手は上海での招待試合に出場して186.09の2位でしたが、グランプリ初戦のスケートアメリカは欠場を表明しましたので状態はあまりよくないのでしょう。ザギトワ選手はジャパンオープンに出場し、これはフリーだけですが154.41、ブレイディテネル選手も同様に124.91のスコアでした。ザギトワ選手は順調。テネル選手は、いつも波がある選手で大事な時しか活躍しない印象なので、ジャパンオープンならまあこんなもんなのかな、という気はします。

 

 

以下、要素別を見ていきます

 

四回転の要素

Event   Name Nation   Elements    BaseValue GOE Scores
Nepela Memorial FS Alexandra TRUSOVA RUS 1 4Lz   11.50 3.22 14.72
Lombardia Trophy FS Anna SHCHERBAKOVA RUS 1 4Lz   11.50 2.53 14.03
Nepela Memorial FS Alexandra TRUSOVA RUS 2 4T+3T   13.70 2.66 16.36
Nepela Memorial FS Alexandra TRUSOVA RUS 3 4T   9.50 3.23 12.73

四回転はショートプログラムに入れられないルールなので、すべてフリーで入ってきた要素です

四回転を組み込んだのは二人。すべてGOEがプラスの成功ジャンプなあたりが恐ろしいです。トゥルソワ選手は1つのプログラムで3回四回転を決めました。ジャパンオープンでは4本入ってましたが、ここではチャレンジャーシリーズだけ拾い上げているので入ってきません。

それにしてもGOEがものすごい。単独の四回転トーループなんか、平均GOEが3.286と3を超えてきています。コンビネーションでも平均GOE2.714 着氷できるとかそんなレベルではなく、普通の選手が3回転をきれいに飛んだ、というのと同じ水準で4回転をきれいに飛んでいます。

 

トリプルアクセル

Event   Name Nation   Elements    BaseValue GOE Scores
Finlandia Trophy FS Alena KOSTORNAIA RUS 1 3A+2T   9.30 2.67 11.97
Finlandia Trophy FS Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 1 3A+2T   9.30 1.73 11.03
Autumn Classic FS Rika KIHIRA JPN 1 3A+2T   9.30 0.80 10.10
Lombardia Trophy FS Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 1 3A+2T   9.30 -1.28 8.02
Autumn Classic SP Rika KIHIRA JPN 1 3A   8.00 3.04 11.04
Finlandia Trophy SP Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 1 3A   8.00 1.60 9.60
Finlandia Trophy FS Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 2 3A   8.00 1.60 9.60
Lombardia Trophy FS Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 2 3A   8.00 0.64 8.64
Lombardia Trophy SP Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 1 3A   8.00 -0.80 7.20
US International FS Young YOU KOR 1 3A   8.00 -0.80 7.20
Lombardia Trophy SP Young YOU KOR 1 3A   8.00 -1.12 6.88
Lombardia Trophy FS Young YOU KOR 1 3A   8.00 -2.56 5.44
Autumn Classic FS Rika KIHIRA JPN 2 3A< < 6.40 0.00 6.40
Finlandia Trophy FS Alena KOSTORNAIA RUS 2 3A< < 6.40 -0.11 6.29
US International SP Young YOU KOR 1 3A< < 6.40 -3.20 3.20

トリプルアクセルがこんなに並ぶ時代になりました。並んでいる名前は四つです。

コンビネーションで飛んでの最高点はコストルナヤ選手。彼女はトリプルアクセルを組み込んできたことで、少し前に書いた、トゥルソワ選手の四回転に勝つには、最低線トリプルアクセル3本+高PCSが必要、というのを満たした選手になってきました。トリプルアクセルというジャンプの、前に向かって踏み切るというほかのジャンプにはないある種の勇ましさが生む美しさ、というのは浅田真央さんの時代から感じられるものでしたが、そのあたりはコストルナヤ選手にはとてもよく似合うような気がしています。四回転よりトリプルアクセルが似合っている。

トリプルアクセルとしてのGOE最高点は昨シーズン、時代を変えていった紀平選手でした。平均GOE+3.714

ここに並んでいる4選手は、トリプルアクセルに挑戦中、ではなくて、すでに試合で複数回着氷~加点、という形で組み込んでいる水準にあります。これだけ並びだすと、周りも、最低線トリプルアクセルは飛ばないと、とい風になっていくんでしょうね

 

 

ショートフリー合わせて、技術点が110点以上

Event Pl Name Nation Total TES PCS
Nepela Memorial 1 Alexandra TRUSOVA RUS 238.69 141.05 97.64
Finlandia Trophy 1 Alena KOSTORNAIA RUS 234.84 129.02 105.82
Lombardia Trophy 1 Anna SHCHERBAKOVA RUS 218.20 123.24 94.96
Autumn Classic 1 Rika KIHIRA JPN 224.16 121.56 102.60
Lombardia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 214.38 118.38 96.00
Finlandia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 212.53 112.03 100.50
Lombardia Trophy 3 Young YOU KOR 200.89 111.49 89.40

ちょっと視点を変えて、一つ一つの要素ではなく、もう少しまとまりで見てみます

技術点合計で110点以上という高いスコアを出したのは6人で7例。これは、四回転とトリプルアクセルのところに名前があった6人と完全に一致します。技術点出すには高難度ジャンプが必須、という構図。

なかでもトゥルソワ選手だけ130点はおろか140点も超えていて圧倒的です。

演技構成点よりの印象なコストルナヤ選手が、技術点でも2番手につけていて、総合力もちゃんと高いよ、今シーズン勝っちゃうかもよ? という雰囲気を出してきました

 

ショートフリー合わせてスピンが23.0以上

Event Pl Name Nation Total Spin
Finlandia Trophy 1 Alena KOSTORNAIA RUS 234.84 25.98
Autumn Classic 4 Karen CHEN USA 173.66 25.14
Nepela Memorial 1 Alexandra TRUSOVA RUS 238.69 25.12
Autumn Classic 2 Evgenia MEDVEDEVA RUS 217.43 24.32
Lombardia Trophy 1 Anna SHCHERBAKOVA RUS 218.20 24.21
Autumn Classic 1 Rika KIHIRA JPN 224.16 23.87
Nebelhorn Trophy 1 Mariah BELL USA 205.13 23.77
US International 1 Satoko MIYAHARA JPN 204.30 23.56
Lombardia Trophy 5 Starr ANDREWS USA 181.18 23.46
US International 2 Young YOU KOR 199.29 23.34
Finlandia Trophy 3 Yuhana YOKOI JPN 191.90 23.28
Autumn Classic 11 Chloe ING SGP 147.85 23.14

スピンはあまり点差がつかないようになっています。トップスコアはコストルナヤ選手。2番目にトータルスコアは170点台ながらカレンチェン選手が入ってきていたりします。昨シーズンは1試合出てショートだけで棄権し、あとはお休みだったのですが、今シーズン復調してくれますでしょうか。

トータルスコアで上位にいる選手の中ではトゥクタミシェワ選手の名前がないでしょうか。

ジャンプではやや見劣りし始めてしまってますが宮原選手はこういうところでは名前が上の方に入ってきます。シニアデビューの横井選手も入ってくるんですね。

驚いたのは、トータルスコア147.85のシンガポールの選手。正直なところ全く知らない選手で、グランプリシリーズへのエントリーもないのですが、こういった全体では上位に及ばないけれど、ある特定の要素ならトップに引けを取らない、という選手もいます。頑張ってほしいな、東南アジア

 

 

ショートフリー合わせてステップとコレオで13.5以上

Event Pl Name Nation Total Step
US International 1 Satoko MIYAHARA JPN 204.30 15.84
Finlandia Trophy 1 Alena KOSTORNAIA RUS 234.84 15.42
Autumn Classic 1 Rika KIHIRA JPN 224.16 15.25
Nebelhorn Trophy 1 Mariah BELL USA 205.13 15.17
Autumn Classic 2 Evgenia MEDVEDEVA RUS 217.43 14.36
Nepela Memorial 1 Alexandra TRUSOVA RUS 238.69 14.13
Lombardia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 214.38 14.12
Nebelhorn Trophy 5 Marin HONDA JPN 174.01 13.82
Autumn Classic 4 Karen CHEN USA 173.66 13.73
Finlandia Trophy 6 Eva Lotta KIIBUS EST 162.77 13.69
Nebelhorn Trophy 3 Nicole SCHOTT GER 177.76 13.65
Finlandia Trophy 4 Jenni SAARINEN FIN 181.20 13.58
Lombardia Trophy 1 Anna SHCHERBAKOVA RUS 218.20 13.58
Nepela Memorial 4 Lara Naki GUTMANN ITA 178.12 13.47
Finlandia Trophy 3 Yuhana YOKOI JPN 191.90 13.44
Lombardia Trophy 3 Young YOU KOR 200.89 13.41
Finlandia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 212.53 13.31
Lombardia Trophy 5 Starr ANDREWS USA 181.18 13.07
US International 4 Ting CUI USA 177.47 13.03

ステップ系のスコアは宮原知子選手がトップでした。さすがです。そしてここでも2番目に入るコストルナヤ選手。シニアデビュー戦でステップ系スコアが全体2番目という恐ろしさ。紀平選手も強いですね。

そして、近年不振ですが、本田真凛選手もこういうところなら上位に顔を連ねます。ジャンプ決まればなあ・・・。トリプルアクセルとは言わないので、ルッツまで決めてもらって200点台までまず乗せてもらえたらいいなあ、と思います。

その下当たりにはヨーロッパの中堅選手が並ぶんですね。ジャンプでは、身体能力ではかなわないけれど、こういった滑る美しさではトップに引けを取らないよ、という選手がロシア以外のヨーロッパには何人もいる、ということです。こういった人たちが生きる場が広がっていくと、フィギュアスケートというスポーツがもっと発展していく気はするのですけれど、どうしたらいいんでしょうね?

 

ショートフリー合わせて演技構成点95点以上

Event Pl Name Nation Total TES PCS
Autumn Classic 2 Evgenia MEDVEDEVA RUS 217.43 109.59 107.84
Finlandia Trophy 1 Alena KOSTORNAIA RUS 234.84 129.02 105.82
US International 1 Satoko MIYAHARA JPN 204.30 101.54 102.76
Autumn Classic 1 Rika KIHIRA JPN 224.16 121.56 102.60
Finlandia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 212.53 112.03 100.50
Nepela Memorial 2 Kaori SAKAMOTO JPN 194.42 97.18 98.24
Nebelhorn Trophy 1 Mariah BELL USA 205.13 107.01 98.12
Nepela Memorial 1 Alexandra TRUSOVA RUS 238.69 141.05 97.64
Lombardia Trophy 2 Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 214.38 118.38 96.00

演技構成点のトップはメドベージェワ選手。元々点は出ていた選手ですが、オリンピックでザギトワ選手に敗れてから、演技という点ではより評価が上がったように感じられます。

そして、シニアデビューのコストルナヤ選手がここでも2番目に名を連ねるという・・・。これでも、シニアデビューキャップがかかってるはずなんですけどね。シーズン終盤にはどこまで行くんでしょう。

三番手四番手に宮原選手紀平選手が続いています。坂本選手も6番手。日本の三強はPCSもちゃんと高い数字を出してきています。

日露以外ではマライアベル選手が8番手。ステップと合わせてこちら側の評価が高い選手です。

トゥルソワ選手もトップではないですが、悪くない評価でこういったところでも名前は連ねます。

 

 

以上、チャレンジャーシリーズ前半の女子シングルについてでした

 

 

フィギュアスケート19 ジュニアグランプリ終了2 男子シングル

 

 19-20シーズンのジュニアグランプリシリーズが終了しました。

前回は女子シングルを振り返りましたが、今回は男子シングルです

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
Baltic Cup 1 Daniil SAMSONOV RUS 250.51 87.33 163.18
Baltic Cup 2 Yuma KAGIYAMA JPN 245.35 84.72 160.63
Egna 1 Daniel GRASSL ITA 241.53 82.77 158.76
Croatia 1 Andrei MOZALEV RUS 236.44 78.85 157.59
Courchevel 1 Yuma KAGIYAMA JPN 234.87 80.61 154.26
Egna 2 Petr GUMENNIK RUS 232.39 80.99 151.40
Baltic Cup 3 Daniel GRASSL ITA 228.64 81.01 147.63
Croatia 2 Artur DANIELIAN RUS 223.82 82.11 141.71
Riga 1 Andrei MOZALEV RUS 223.72 78.42 145.30
RUS 1 Petr GUMENNIK RUS 222.14 74.15 147.99
RUS 2 Artur DANIELIAN RUS 221.93 83.31 138.62
Egna 3 Ivan SHMURATKO UKR 221.44 75.26 146.18
Croatia 3 Shun SATO JPN 219.69 78.41 141.28
Riga 2 Sihyeong LEE KOR 218.31 77.30 141.01
LakePlacid 1 Shun SATO JPN 217.12 79.19 137.93
Egna 4 Ilya YABLOKOV RUS 213.40 70.39 143.01
Croatia 4 Andrew TORGASHEV USA 212.86 80.53 132.33
Croatia 5 Stephen GOGOLEV CAN 212.46 72.12 140.34
Baltic Cup 4 Gleb LUTFULLIN RUS 212.01 76.35 135.66
Riga 3 Daniil SAMSONOV RUS 211.62 72.28 139.34
Croatia 6 Sihyeong LEE KOR 211.58 66.76 144.82
Baltic Cup 5 Joseph PHAN CAN 207.70 71.88 135.82
RUS 3 Ilya YABLOKOV RUS 207.68 73.73 133.95
Egna 5 Adam SIAO HIM FA FRA 206.40 66.20 140.20
Baltic Cup 6 Ryan DUNK USA 205.90 72.90 133.00
Egna 6 Yudong CHEN CHN 205.16 64.93 140.23
LakePlacid 2 Stephen GOGOLEV CAN 203.70 78.85 124.85
LakePlacid 3 Gleb LUTFULLIN RUS 203.50 66.27 137.23
Egna 7 Ilia MALININ USA 203.47 72.19 131.28
Baltic Cup 7 Ivan SHMURATKO UKR 201.90 70.13 131.77
LakePlacid 4 Ilia MALININ USA 201.72 71.34 130.38
Courchevel 2 Aleksa RAKIC CAN 200.71 69.54 131.17
Egna 10 Sena MIYAKE JPN 189.24 68.08 121.16
Riga 8 Kao MIURA JPN 185.50 59.94 125.56

 200点以上プラス日本人選手を並べました。

トップスコアはロシアのサムソノフ選手で250.51 ジュニアにして250点を超えてきました。ただ、まだ安定感というものはなく、もう一戦は211.62に終わっています。

直接対決でサムソノフに敗れましたが、全体スコア2番手は鍵山優馬選手。245.35ともう一戦も234.87とジュニアとしてはかなりのハイスコアで、二戦合計は鍵山選手がトップです。このスコアを出しても二戦二勝出来ない、そんな時代なんですね。

 

スコア三番手で昨年の世界ジュニア3位表彰台、イタリアのグラスル選手がいます。ここまでが240点オーバーの241.53 二戦して優勝と3位でファイナル進出。イタリア男子のジュニアグランプリファイナル進出は、ジュニアグランプリシリーズが始まって以来初めてのことです。イタリアは、男子シングルはここ一二年でマテオリッツォ選手が上位で活躍するようになりましたが、それ以前はまったく名前が上がらないという国でした。コストナー選手やカップル競技での活躍はあるのに、男子シングルでは名前が出てこないので、日本でのペアくらいに、他と比べて手薄だったのですが、ここにきて上位に名前が出てくるようになりました。

 

日本から佐藤駿選手は210点台後半を2試合並べてファイナル進出。ショートは80点近い点数が出ているのですが、フリーが140点前後にとどまってしまっていて、もう少し伸びてもいいんだけどな、という印象はありますが、鍵山選手と並んで日本勢から二人、ファイナルへ進出しました。

 

上位は、女子シングルほどではないですけど、男子シングルでもRUSという文字が並んでいますね。シニアでは女子シングルほど男子シングルはロシアが席巻しているという印象はなく、シニアに上がったらまた別の勝負が始まります、という感じではあるのですが、ジュニアの段階では順調にロシア勢が好成績を上げてきています。

 

昨年のファイナル覇者ゴゴレフ選手は212.46がシーズンベストと伸びてこずファイナル進出ならずです。昨年2位、ロシアのグメンニク選手はベストスコア232.29で全体6番目ですが、優勝一つと2位一つでファイナルに進出しています。

 

日本勢は今シーズンは4人が6試合に出場。鍵山選手佐藤選手以外は200点に届かず、三宅星南選手が189.24 三浦佳生選手が185.50にとどまっています。

ジュニアグランプリシリーズの出場枠は、前シーズンの世界ジュニアの結果で決まるのですが、最大フル枠取れると全7試合に2人づつ、合計延べ14人派遣できるはずでした。ジュニア時代にこういった国際大会に派遣されること、というのは強化のために重要なことだと思われますので、来シーズンは14枠取れることを期待したいです。鍵山選手佐藤選手で仮に挑んだとしたら、問題なく取れそうな気もします。

 

 

以下、要素別を見ていきます

まず、4回転を試みた選手たちです。

 

Event Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Egna Daniel GRASSL ITA 1 4Lz 11.50 2.79 14.29
Baltic Cup Daniel GRASSL ITA 1 4Lz 11.50 -3.45 8.05
RUS Petr GUMENNIK RUS 1 4Lz 11.50 -3.78 7.72
Egna Petr GUMENNIK RUS 1 4Lz< 9.20 -0.66 8.54
Riga Daniil SAMSONOV RUS 2 4Lz< 9.20 -4.60 4.60
Baltic Cup Daniil SAMSONOV RUS 2 4Lz< 9.20 -4.60 4.60
Egna Daniel GRASSL ITA 2 4Lo 10.50 -4.80 5.70
Baltic Cup Daniel GRASSL ITA 2 4Lo< 8.40 -0.84 7.56
Croatia Stephen GOGOLEV CAN 2 4S 9.70 2.22 11.92
LakePlacid Gleb LUTFULLIN RUS 1 4S 9.70 1.52 11.22
Egna Adam SIAO HIM FA FRA 3 4S 9.70 0.83 10.53
Croatia Adam SIAO HIM FA FRA 3 4S 9.70 0.55 10.25
LakePlacid Shun SATO JPN 1 4S 9.70 -2.91 6.79
Baltic Cup Gleb LUTFULLIN RUS 1 4S 9.70 -4.85 4.85
LakePlacid Stephen GOGOLEV CAN 2 4S< 7.76 -3.88 3.88
Egna Petr GUMENNIK RUS 2 4S< 7.76 -3.88 3.88
Egna Sena MIYAKE JPN 2 4S< 7.76 -3.88 3.88
Croatia Andrei MOZALEV RUS 2 4T+3T 13.70 2.17 15.87
Baltic Cup Joseph PHAN CAN 1 4T+3T 13.70 2.04 15.74
Riga Andrei MOZALEV RUS 1 4T+3T 13.70 1.76 15.46
Egna Adam SIAO HIM FA FRA 1 4T+3T 13.70 0.81 14.51
LakePlacid Shun SATO JPN 2 4T+3T 13.70 -2.71 10.99
Baltic Cup Yuma KAGIYAMA JPN 1 4T+2T 10.80 3.53 14.33
Croatia Adam SIAO HIM FA FRA 1 4T+2T 10.80 1.90 12.70
Croatia Adam SIAO HIM FA FRA 5 4T+2T 10.80 -0.14 10.66
Courchevel Yuma KAGIYAMA JPN 1 4T+2T 10.80 -0.41 10.39
Croatia Shun SATO JPN 2 4T+2T 10.80 -1.09 9.71
Riga Joseph PHAN CAN 1 4T<+2T 8.90 -1.19 7.71
Courchevel Yuma KAGIYAMA JPN 3 4T 9.50 3.26 12.76
Baltic Cup Yuma KAGIYAMA JPN 3 4T 9.50 2.58 12.08
LakePlacid Shun SATO JPN 3 4T 9.50 2.04 11.54
Riga Kao MIURA JPN 2 4T 9.50 1.36 10.86
Riga Andrei MOZALEV RUS 2 4T 9.50 -0.95 8.55
Croatia Shun SATO JPN 1 4T 9.50 -2.99 6.51
Croatia Andrei MOZALEV RUS 1 4T 9.50 -3.26 6.24
Croatia Andrew TORGASHEV USA 2 4T< 7.60 -0.65 6.95
Riga Andrew TORGASHEV USA 1 4T< 7.60 -1.19 6.41
Croatia Gabriele FRANGIPANI ITA 1 4T<< 4.20 -2.10 2.10

ジュニアではルール上ショートプログラムで四回転を飛ぶことはできませんので、四回転の要素はすべてフリーで行われたものになります。要素の順番としては、1番目からせいぜい3番目までにほとんどの選手は入れていて、一番遅くても5番目、1.1倍ボーナスタイムに入れていた選手はいませんでした。シニアのトップ選手はトーループあたりになると1.1倍で入れてくる選手もいますので、その辺の差はまだあります。とは言え、ジュニアグランプリシリーズの段階で、延べ38例のチャレンジがありました。

 

4回転ルッツは6例あって回転足りたのが3例、GOE加点は1例ですので、確率はまだまだ低いです。3人で6回飛んで、ちゃんと決めたのはイタリアのグラスル選手のみ、ということでした。

 

グラスル選手は4回転ループも跳びます。これは回転足りたのは1回だけで、しかも加点は得られず、成功ジャンプとはとても言えない、という形です。

 

フリップはだれも試みていません。

 

サルコウあたりになると増えてきて9回試技があり6回は回転がしっかり足りていて4回はGOEがプラスとなり、成功率も5割に近づいてきます。

 

トーループになるとコンビネーションで入れる選手もかなりの数います。11回コンビネーションが試みられていて、10回はジャンプ二つともしっかり回転が足りていて、6回はGOEプラスの成功ジャンプです。

むしろ単独の四回転トーループの方が確率低めで、10回飛ばれて3回回転が足りず、GOEプラスは4例となり、5割切ります。これは、一つ目跳んで、うまく跳べたら二つ目も跳んでコンビネーションになるけど、一つ目でダメなときはそのまま一つになる、というあたりの理由かと思います。

 

いずれにしても、ジュニアの段階でもトップに出るには四回転の一つは必要、できれば二本欲しい、というのが現状なようです

 

トリプルアクセルを含む要素で平均GOE+3.0以上(加点2.40以上)

 

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Baltic Cup SP Yuma KAGIYAMA JPN 1 3A 8.00 3.09 11.09
Baltic Cup SP Daniil SAMSONOV RUS 1 3A 8.00 2.74 10.74
Courchevel SP Yuma KAGIYAMA JPN 1 3A 8.00 2.63 10.63
Croatia SP Artur DANIELIAN RUS 1 3A 8.00 2.63 10.63
LakePlacid SP Shun SATO JPN 1 3A 8.00 2.51 10.51
Riga SP Andrei MOZALEV RUS 2 3A 8.00 2.40 10.40
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 1 3A+3T 12.20 2.40 14.60

トリプルアクセルくらいになると、ジュニアでも全体の半分以上の選手が飛んできます。その中で平均GOEが+3.0以上のものを取り出すと7例ありました。

そんな中でトップスコアは鍵山選手。鍵山選手はショートプログラムで2回とも大きな加点をもらうトリプルアクセルを飛びました。日本からは佐藤駿選手も名前があります。他はロシア選手ばかり。

ショートプログラムで大きな加点をもらっている選手が多いですが、これは、ショートプログラムでは四回転が入れられないルールなので、トリプルアクセルが一番難しいジャンプになり、気を使ってジャンプを飛べるから、というあたりにありそうな気がします。一番難しいのはトリプルアクセルになるのですが、基礎点は3-3のコンビネーションの方が高くなるので、そちらを1.1倍ボーナスタイムに入れる選手が多く、単独トリプルアクセルが冒頭のジャンプになる、その結果高評価を得やすい、という関係性がありそうです。

そんな中、トータルスコアでトップスコアを出しているサムソノフ選手はフリーのコンビネーションジャンプでGOE+3.0を並べました。この時は二つ目の四回転ルッツが決まらなかったのですが、そこまで決まってくるとシニアの上位で戦える点数にまでなってきそうです。

 

 

ステップレベル4で平均GOE+3.0以上

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Croatia FS Andrew TORGASHEV USA 11 StSq4 3.90 1.34 5.24
RUS SP Artur DANIELIAN RUS 6 StSq4 3.90 1.28 5.18
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 10 StSq4 3.90 1.28 5.18
Baltic Cup FS Yuma KAGIYAMA JPN 7 StSq4 3.90 1.28 5.18
Riga FS Andrew TORGASHEV USA 11 StSq4 3.90 1.23 5.13
Baltic Cup SP Daniil SAMSONOV RUS 6 StSq4 3.90 1.23 5.13
Egna SP Petr GUMENNIK RUS 6 StSq4 3.90 1.23 5.13

ステップではアメリカのトルガシェフ選手が平均GOE3.444でトップです。フリーで2試合とも高GOEを得ています。トータルスコアは212.86までの選手なのですが、ステップでハイスコアを出しました。

鍵山選手、サムソノフ選手、トータルスコアの上位2選手は、ジャンプだけでなくステップでも高GOEとして名前を連ねています。

 

 

スピンでレベル4かつ平均GOE+3.0以上

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 9 FCCoSp4 3.50 1.25 4.75
Riga FS Daniil SAMSONOV RUS 9 FCCoSp4 3.50 1.05 4.55
Baltic Cup FS Daniil SAMSONOV RUS 5 FCSp4 3.20 1.28 4.48
Riga FS Daniil SAMSONOV RUS 5 FCSp4 3.20 1.05 4.25
Baltic Cup SP Daniil SAMSONOV RUS 5 FSSp4 3.00 1.11 4.11
Courchevel SP Yuma KAGIYAMA JPN 6 FSSp4 3.00 0.94 3.94
Courchevel FS Andrei KUTOVOI RUS 4 FSSp4 3.00 0.90 3.90
Baltic Cup SP Yuma KAGIYAMA JPN 6 FSSp4 3.00 0.90 3.90

スピンでレベル4かつGOE+3.0以上というのは名前が三つだけですが、その中でサムソノフ選手の名前が5つあります。この選手は、スピンで加点トップ、ステップで加点トップなうえに、決まりませんでしたが4回転ルッツを構成に入れています。フィギュアスケートが高難度ジャンプ大会になってしまっている、という話をよく聞くんですが、こうやって見ると、カテゴリーの中で全体の一番上に立つ選手、というのはジャンプが高難度なだけでなく、スピン、ステップ、しっかり点を取っているんですね。

全体スコア2番手の鍵山選手も、こういうところにしっかり名を連ねています。

 

 

以上、ジュニアグランプリシリーズの男子シングルでした

 

 

 

フィギュアスケート19 ジュニアグランプリ終了1 女子シングル

19-20シーズンのジュニアグランプリシリーズが終了しました。残すは、12月に行われるジュニアグランプリファイナルを待つばかりです。今回は、ジュニアグランプリシリーズの全体の結果を振り返ってみたいと思います。まずは女子シングルです。

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
RUS 1 Kamila VALIEVA RUS 221.95 73.56 148.39
Egna 1 Kseniia SINITSYNA RUS 215.58 74.65 140.93
LakePlacid 1 Alysa LIU USA 208.10 69.30 138.80
RUS 2 Kseniia SINITSYNA RUS 204.25 73.04 131.21
Croatia 1 Haein LEE KOR 203.40 69.29 134.11
Baltic Cup 1 Alysa LIU USA 203.10 64.11 138.99
Courchevel 1 Kamila VALIEVA RUS 200.71 62.31 138.40
RUS 3 Viktoria VASILIEVA RUS 198.79 67.04 131.75
Riga 1 Haein LEE KOR 197.63 66.93 130.70
Croatia 2 Daria USACHEVA RUS 197.19 71.09 126.10
Baltic Cup 2 Viktoria VASILIEVA RUS 196.47 67.52 128.95
Baltic Cup 3 Anastasia TARAKANOVA RUS 194.74 68.14 126.60
Riga 2 Daria USACHEVA RUS 194.40 69.04 125.36
Riga 3 Rino MATSUIKE JPN 193.03 66.41 126.62
Courchevel 2 Seoyeong WI KOR 191.07 65.75 125.32
Riga 4 Maiia KHROMYKH RUS 190.73 68.93 121.80
LakePlacid 2 Yeonjeong PARK KOR 186.58 64.35 122.23
Croatia 3 Anna FROLOVA RUS 181.96 67.93 114.03
RUS 4 Nana ARAKI JPN 181.80 59.05 122.75
Baltic Cup 4 Seoyeong WI KOR 180.68 63.81 116.87
Courchevel 3 Maiia KHROMYKH RUS 179.32 67.72 111.60
LakePlacid 3 Anastasia TARAKANOVA RUS 179.29 58.43 120.86
LakePlacid 4 Seoyeon JI KOR 179.23 67.23 112.00
Baltic Cup 5 Tomoe KAWABATA JPN 177.86 67.70 110.16
Baltic Cup 6 Seoyeon JI KOR 177.45 61.92 115.53
Egna 2 Anna FROLOVA RUS 176.21 61.43 114.78
Riga 5 Ekaterina KURAKOVA POL 175.97 58.65 117.32
Egna 3 Alessia TORNAGHI ITA 175.93 56.67 119.26
Courchevel 4 Nana ARAKI JPN 175.13 58.83 116.30
Baltic Cup 7 Ekaterina KURAKOVA POL 172.59 60.54 112.05
Courchevel 5 Tomoe KAWABATA JPN 171.67 57.75 113.92
RUS 5 Chisato URAMATSU JPN 171.32 63.59 107.73
Croatia 4 Mana KAWABE JPN 163.73 53.12 110.61
LakePlacid 5 Mana KAWABE JPN 163.04 53.78 109.26
Croatia 5 Chisato URAMATSU JPN 161.07 57.90 103.17
Riga 8 Rion SUMIYOSHI JPN 161.06 56.74 104.32
Baltic Cup 9 Moa IWANO JPN 157.51 54.32 103.19
LakePlacid 14 Azusa TANAKA JPN 125.74 51.37 74.37

170点以上プラス日本人選手を並べました。

今シーズンは200点オーバーが4人で7回もありました。昨シーズンはロシアの三天才が騒がれていましたが、ジュニアグランプリシリーズの段階では、その3人で4回、200点をクリアしただけで、トゥルソワ選手以外の二人は、一試合は200点に届いていないんですね。それが今回は200点オーバーを2試合とも出した選手が3人います。

 

トップスコアは221.95のワリエワ選手。これは昨シーズンのトゥルソワ選手のジュニアグランプリシリーズ段階でのベストスコア221.44をわずかではありますが上回ります。

ロシア二番手はシニツィナ選手。ショートプログラムのスコアは74.65を出してワリエワ選手を上回りました。今シーズンのロシア女子はこの二人がトップにいます。三枚目のカードはちょっと薄いでしょうか。

 

今シーズンはロシア以外からも200点オーバーがでました。昨シーズン、全米選手権最年少優勝を果たしたアリサリュウ選手が全体三番手の208.10のスコアを出しています。彼女も二試合二百点オーバー。ロシア勢のジュニアグランプリシリーズの連勝記録を18で止めました。アメリカ勢がジュニアグランプリシリーズで表彰台に乗ったのは15年のビビアンリー選手以来4シーズンぶり、優勝は13-14シーズンのポリーナエドモンズ選手とカレンチェン選手以来6シーズンぶりです。

韓国からイ・ヘイン選手も200点オーバーの203.40を出し、2戦2勝でファイナル進出です。2010年バンクーバーオリンピックを見て親に言われてあるいは自分の意志でスケートを始めました、という世代がジュニアに上がってくるような時期になってきて、韓国勢の層が厚めになってきています。ここにシーズンはジュニア女子の成績では日本を上回るようになってきました。

 

というわけで、日本勢のトップは全体14番目のスコアの松生理乃選手の139.03となっています。ちょっと寂しいですが、ジュニアグランプリシリーズで190点台を出すのは、16-17シーズンの紀平梨花選手以来3シーズンぶりではあります(17-18シーズンのファイナルでは紀平選手が出してます)。ちょっとジュニアの厚みが薄くなっている今日この頃。

松生選手は3戦目に3位表彰台でしたので、エントリーしていた7戦目次第でファイナルへの目もあったのですが欠場しました。どうやらケガの影響のためなようですが、非常に残念でした。

 

今シーズン表彰台に乗った日本勢は、この松生選手一人です。昨シーズンの全日本ジュニアにいの荒木菜那選手は日本勢二番目の181.80のスコアを出していますが、2戦とも4位。全日本ジュニア3位の川畑和愛選手は2戦とも5位。表彰台が近くて遠い、という位置です。

今年の世界ジュニアの日本の枠は二つなのですが、順当にいくと、ケガさえ治れば松生選手が当確で、二枠目を荒木選手と川畑選手、高校三年生の二人で争う、という形になりそうでしょうか。

 

この三人の下に、浦松千聖選手が171.32を持っていて、2戦して5位二回、河辺愛菜選手も2戦出場して4位と5位ですが、ベストスコアは163.73でした。日本勢は4位と5位が今シーズンは多いです。昨シーズンは何とか3位表彰台、というのが多かったのですが、そこから一段落ちてしまった、という印象です。

 

また、ロシア勢も実は少し力を落とし始めているのかな? という感じはあります。トップは変わらないのですが、層がいくらか薄くなった。昨シーズンは7試合に延べ14選手が出場して優勝7つ、全員が表彰台を確保、一番悪くても182.87というスコアでした。それが今シーズンは7試合で3勝にとどまり、表彰台落ちも1つありで、最低点は176.21 180点割れが3例ありました。もちろんまだまだ強いのですが、誰が出ても勝つんでしょ、という状態からは少し変わってきた印象です。

 

今回170点以上のスコアは32例ありましたが、該当国は、ロシア、米国、韓国、日本、ポーランド、イタリアの六か国のみでした。180点以上だと、ポーランドとイタリアが外れて4か国のみです。上位選手の国籍の幅が狭いのがフィギュアスケートの泣き所。卓球中国化してしまうと、競技としての世界的な人気が落ちて行ってしまうので、もう少し上位選手の幅が出てきてくれたらと思います。女子シングルなら、中国と、ロシア以外のヨーロッパ勢ですね。

 

以下、要素別を少し見ていきます

まずは、トリプルアクセル以上の高難度ジャンプに挑んだ人

 

Event   Name Nation   Elements    BaseValue GOE Scores
LakePlacid FS Alysa LIU USA 2 4Lz   11.50 2.30 13.80
Baltic Cup FS Alysa LIU USA 2 4Lz   11.50 1.81 13.31
RUS FS Kamila VALIEVA RUS 1 4T+2T   10.80 2.99 13.79
Courchevel FS Kamila VALIEVA RUS 1 4T   9.50 2.99 12.49
RUS FS Kamila VALIEVA RUS 2 4T   9.50 -4.75 4.75
Baltic Cup SP Alysa LIU USA 1 3A+3T   12.20 1.26 13.46
LakePlacid FS Alysa LIU USA 1 3A+2T   9.30 1.26 10.56
Baltic Cup FS Alysa LIU USA 1 3A+2T   9.30 -1.14 8.16
Baltic Cup FS Alysa LIU USA 3 3A   8.00 1.14 9.14
Croatia FS Mana KAWABE JPN 1 3A< < 6.40 -2.65 3.75
LakePlacid FS Alysa LIU USA 3 3A<< << 3.30 -1.65 1.65

カミラワリエワ選手とアリサリュウ選手、二人の名前が並びます。四回転ルッツ+トリプルアクセル2本、というアリサリュウ選手の方が、四回転トーループ2本のワリエワ選手より基礎点は高くできるんですけど、今の段階ではトータルスコアはワリエワ選手の方が上です。

そんな中に、日本から河辺愛菜選手もトリプルアクセル挑戦者として名前が入っていますが、回転不足認定になりました。

 

 

セカンドトリプルループ

Event Name Nation   Elements    BaseValue GOE Scores
RUS Kate WANG USA 7 3Lz+3Lo   10.80 0.25 11.05
RUS Kseniia SINITSYNA RUS 6 3Lz+3Lo< < 10.80 -2.95 7.85
Riga Gabriella IZZO USA 1 3F+3Lo   10.20 0.08 10.28
Egna Kate WANG USA 1 3Lz+3Lo< < 9.82 -0.42 9.40

セカンドジャンプにトリプルループを入れた構成を3選手が4回試していました。今シーズンはショートプログラムの指定ジャンプがループのため、ショートプログラムでコンビネーションのセカンドジャンプにトリプルループを入れることはできません。したがって、この構成はフリーのみになります。

やはりセカンドループは難しいんですかね。試みた選手自体が少ないですし、回転が十分に足りたのは二人だけ、それでもついた加点はごくわずかです。

 

 

ステップレベル4で平均GOE3.0以上

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
Egna SP Kseniia SINITSYNA RUS 5 StSq4 3.90 1.50 5.40
RUS SP Kseniia SINITSYNA RUS 5 StSq4 3.90 1.45 5.35
Croatia FS Haein LEE KOR 10 StSq4 3.90 1.45 5.35
Baltic Cup FS Viktoria VASILIEVA RUS 9 StSq4 3.90 1.39 5.29
Courchevel SP Kamila VALIEVA RUS 6 StSq4 3.90 1.34 5.24
Baltic Cup SP Viktoria VASILIEVA RUS 6 StSq4 3.90 1.34 5.24
Baltic Cup FS Moa IWANO JPN 9 StSq4 3.90 1.34 5.24
Courchevel FS Kamila VALIEVA RUS 6 StSq4 3.90 1.28 5.18
RUS FS Kamila VALIEVA RUS 6 StSq4 3.90 1.28 5.18
Baltic Cup SP Moa IWANO JPN 6 StSq4 3.90 1.28 5.18
Egna FS Kseniia SINITSYNA RUS 4 StSq4 3.90 1.28 5.18
RUS FS Kseniia SINITSYNA RUS 4 StSq4 3.90 1.23 5.13
Croatia SP Daria USACHEVA RUS 6 StSq4 3.90 1.23 5.13
Croatia SP Haein LEE KOR 6 StSq4 3.90 1.23 5.13

ステップのレベル4は全体で34例ありましたが、その中でGOEが平均3.0以上の好スコアが14例ありました。

ここではロシアのシニツィナ選手が好スコアを並べています。ワリエワ選手はここでも名前が出てきますが、アリサリュウ選手は出てきません。アリッサリュウ選手のステップは平均GOEが+2台であることが多く、また四回中三回はレベル3でした。この辺でワリエワ選手との差が出ています。

日本からは岩野桃亜選手が、ショートとフリーどちらも高いGOEを得て名前を連ねています。トータルスコアは157.51と伸びず、9位に終わりましたが、ブノワリショーさんに振付したいと懇願された、といわれるだけあり、さすがのステップで高得点を出していました。ジャンプの回転さえ足りるようになれば、という感じの選手で、今回もショートで二つ、フリーで四つ、回転不足を出されています。

 

レベル4のスピンで平均GOE+4.00以上

Event   Name Nation   Elements  BaseValue GOE Scores
RUS SP Kamila VALIEVA RUS 5 CCoSp4 3.50 1.70 5.20
RUS FS Kamila VALIEVA RUS 11 CCoSp4 3.50 1.70 5.20
Courchevel SP Kamila VALIEVA RUS 5 CCoSp4 3.50 1.65 5.15
Riga FS Daria USACHEVA RUS 9 CCoSp4 3.50 1.45 4.95
Croatia SP Haein LEE KOR 7 CCoSp4 3.50 1.45 4.95
Croatia FS Haein LEE KOR 11 CCoSp4 3.50 1.45 4.95
Courchevel FS Kamila VALIEVA RUS 11 CCoSp4 3.50 1.40 4.90
LakePlacid SP Alysa LIU USA 6 CCoSp4 3.50 1.40 4.90
Croatia FS Daria USACHEVA RUS 9 CCoSp4 3.50 1.40 4.90
Courchevel FS Kamila VALIEVA RUS 5 FCSp4 3.20 1.42 4.62
RUS FS Kamila VALIEVA RUS 5 FCSp4 3.20 1.37 4.57
Courchevel FS Seoyeong WI KOR 11 LSp4 2.70 1.31 4.01
LakePlacid FS Alysa LIU USA 11 LSp4 2.70 1.31 4.01
RUS SP Kamila VALIEVA RUS 7 LSp4 2.70 1.27 3.97
Courchevel SP Seoyeong WI KOR 7 LSp4 2.70 1.23 3.93
Courchevel SP Kamila VALIEVA RUS 7 LSp4 2.70 1.23 3.93
LakePlacid SP Alysa LIU USA 7 LSp4 2.70 1.23 3.93
Croatia SP Daria USACHEVA RUS 7 LSp4 2.70 1.23 3.93
RUS FS Kseniia SINITSYNA RUS 11 LSp4 2.70 1.20 3.90
Egna SP Yeonjeong PARK KOR 7 LSp4 2.70 1.20 3.90
Riga SP Daria USACHEVA RUS 7 LSp4 2.70 1.16 3.86
Baltic Cup SP Alysa LIU USA 7 LSp4 2.70 1.08 3.78
Egna FS Yeonjeong PARK KOR 11 LSp4 2.70 1.08 3.78

平均GOE4.00以上でレベル4のスピンは23例ありました。ワリエワ選手の名前が8つあります。スピンは1試合6回で2試合で12回ですから、三分の二はレベル4は当然でGOEも+4以上つく、ということです。彼女はジャンプだけの選手ではない、というのがはっきりわかります。アリッサリュウ選手も4つあります。

日本人選手の名前が一つもありません。高難度ジャンプの習得はまだ出来ていないけれど、ほかで確実に点を取れるよ、スピンとかしっかり点を取るよ、というタイプの選手がいればよかったのですが、そうでもなく、日本のジュニアは全体的にどのパートも上位と比べて差があるよ、というのが見えてしまった、という感じがしています。

 

 

 

フィギュアスケート19 地方大会終了4 ジュニア男子

2019年シーズンのフィギュアスケート、地方大会が終了しました。各地の上位選手が次の東日本選手権、あるいは西日本選手権へと進んでいきます。

 

今回はそのシリーズの最終回、ジュニア男子の結果を見てみます。

地方大会を通過し、東日本/西日本へ進出した選手の得点をまず並べます。

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
関東選手権 1 鍵山優真 星槎国際高等学校横浜 236.85 76.50 160.35
中部選手権 1 壷井達也 中京大中京高校 198.13 68.10 130.03
関東選手権 2 三浦佳生 KOSE新横浜プリンスFSC 196.75 69.80 126.95
中四国九州選手権 1 三宅星南 岡山理大附高校 187.70 62.71 124.99
北海道・東北選手権 1 長谷川一輝 ROYCE'F・S・C 186.44 65.00 121.44
近畿選手権 1 吉岡希 アクアピアスケーティングC 178.81 67.86 110.95
中四国九州選手権 2 木科雄登 金光学園 177.82 63.50 114.32
近畿選手権 2 中村俊介 関西大学KFSC 175.62 60.64 114.98
近畿選手権 3 片伊勢武 神戸クラブ 172.79 56.53 116.26
近畿選手権 4 本田ルーカス剛史 綾羽高校スケート部 171.53 61.38 110.15
関東選手権 3 大島光翔 埼玉アイスアリーナFC 171.30 61.32 109.98
中四国九州選手権 3 杉山匠海 就実学園 159.21 52.47 106.74
近畿選手権 5 佐々木晴也 関西大学KFSC 158.55 56.23 102.32
近畿選手権 6 垣内珀琉 ひょうご西宮FSC 153.15 54.53 98.62
中四国九州選手権 4 松岡隼矢 沖学園 152.39 52.10 100.29
東京選手権 1 堀義正 新渡戸文化中高SC 150.28 50.59 99.69
関東選手権 4 菊地竜生 神奈川FSC 141.91 52.80 89.11
近畿選手権 7 森口澄士 京都両洋高校 139.48 52.95 86.53
近畿選手権 8 森田真沙也 京都両洋高校 138.14 50.49 87.65
中四国九州選手権 5 鈴木零偉 広島スケートクラブ 136.41 49.51 86.90
近畿選手権 9 朝賀俊太朗 大阪スケート倶楽部 135.48 52.39 83.09
中四国九州選手権 6 垂水爽空 パピオフィギュアクラブ 135.26 49.31 85.95
関東選手権 5 佐藤由基 アクアリンクちばSC 134.17 53.49 80.68
東京選手権 2 西山真瑚 目黒日本大学高等学校 132.47 42.11 90.36
関東選手権 6 大中惟吹 秀明英光高校 128.69 39.49 89.20
関東選手権 7 志賀海門 KOSE新横浜プリンスFSC 126.77 43.17 83.60
東京選手権 3 藤城柊治 シチズンクラブ 124.51 40.20 84.31
北海道・東北選手権 2 加藤海里 盛岡中央高校 124.46 43.08 81.38
中四国九州選手権 7 門脇慧丞 岡山理大附高校 122.95 56.47 66.48
近畿選手権 10 清水晴陽 大阪スケート倶楽部 122.19 42.27 79.92
東京選手権 4 小田垣櫻 江戸川クラブ 121.07 44.49 76.58
中四国九州選手権 8 三島悠生 広島スケートクラブ 117.31 41.20 76.11
中部選手権 2 和田龍京 中京大学 117.13 37.32 79.81
中部選手権 3 誉田知己 長久手FSC 116.10 39.48 76.62
近畿選手権 11 北村凌大 ひょうご西宮FSC 115.67 39.77 75.90
近畿選手権 12 國中敬太 上野芝スケートクラブ 114.26 47.47 66.79
中四国九州選手権 9 鈴木空 就実学園 112.95 42.40 70.55
関東選手権 8 深瀬憲人 霞ヶ関高校 111.47 38.69 72.78
東京選手権 5 鈴木楽人 駒場学園高校 110.69 43.08 67.61
中四国九州選手権 10 山田琉伸 クラブ サザンクロス 110.55 40.01 70.54
近畿選手権 13 小林隼 滋短附高スケート部 110.39 38.41 71.98
中部選手権 4 彦阪昇吾 静岡西FSC 110.28 34.76 75.52
中四国九州選手権 11 松井努夢 関西高等学校 110.10 36.45 73.65
東京選手権 6 矢島司 西武東伏見FSC 104.59 35.15 69.44
東京選手権 7 廣田聖幸 青梅フィギュア 102.95 34.88 68.07
東京選手権 8 田村篤彦 西武東伏見FSC 101.18 36.65 64.53
関東選手権 9 渡邊元 日光明峰高校 101.11 35.69 65.42
関東選手権 10 永尾澪 神奈川FSC 100.54 37.63 62.91
関東選手権 11 大久保政宗 長野市スケート協会 97.26 39.14 58.12
北海道・東北選手権 3 小形冴々也 青森GOLD F・S・C 96.92 36.73 60.19
関東選手権 12 福島寛輝 神奈川FSC 95.79 33.46 62.33
関東選手権 13 栖川源二郎 横浜創英スケート部 87.09 32.49 54.60
北海道・東北選手権 4 岩野颯太 帯広工業高校 83.10 26.38 56.72
東京選手権 9 桃井光 ムサシノFSクラブ 77.63 24.54 53.09

東日本/西日本に進むのは、以上の54人と、ジュニアグランプリで地方大会免除の佐藤駿選手の合計55人です。実際には枠の方が余っている地区が多く、地区予選を通過できない選手がいたのは、近畿と中四国九州の二つの地区のみでした。

 

トップスコアはただ一人200点を超え、それもはるか大きく超えた236.85のスコアをたたき出した鍵山優真選手。ジュニアグランプリシリーズも二戦出場し、234.87と245.35というスコア。安定して高いスコアを出してきています。シニアの地方大会の最高点215.26をはるかに上回るスコアです。今シーズンの日本のジュニアは、鍵山選手と、今回地方大会には出なかった佐藤駿選手の二強の闘い、という形に完全になりそうです。世界ジュニアの出場枠は二つ、なので、まあ、ぴったりはまりますかね。

 

2番手には昨シーズンの全日本ジュニア優勝の壷井達也選手がいます。今回はトリプルアクセル無しの構成でここ前のスコアを出してきました。ケガがあってまだ本調子ではないようですが、本番前にしっかり回復&練習も積めていれば、二強に絡んでいけるでしょうか。

三番手は三浦佳生選手。鍵山選手佐藤選手の二強とは少し離されてしまってますが、それでも今の日本のジュニアの中では上位にいます。ジュニアグランプリでは185.50に終わっていて、今回も196.75にとどまり、どうにも200点まで届いていないのですが、全日本ジュニアあたりでそこに届かせて、全日本へ突き進んでいくんでしょうか。

 

男女のシニア、男女のジュニア、四つのカテゴリーのうち、男子のジュニアのみが東高西低な力関係になっていますでしょうか。佐藤駿選手も関東ブロックですし、男子のジュニアは関東ブロックがやたら強いという状況です。

 

全日本ジュニアの出場枠は、東日本西日本ともに12です。

東日本の11番目のスコアは124.51 西日本の12番目のスコアは139.48ですが、昨年全日本ジュニア優勝でシード権のある壺井選手が混ざっているので、さらにもう一つ下の13番目のスコアとして138.14というあたりが、全日本ジュニアへ進むボーダーラインの雰囲気になっています。昨シーズンのボーダーは、東日本が127.91 西日本が128.12でした。

昨シーズンの全日本ジュニアの結果により、だいぶ西日本の枠が減り、今年は東と西で同数になったことで、西日本のボーダーラインが上がっていくのかもしれません。

 

 

最後に、今回の地区予選で四回転に挑んだ選手を見てみます

 

Event Name Nation   Elements    BaseValue GOE Scores
中四国九州選手権 三宅星南 岡山理大附高校 2 4S< < 7.76 -3.88 3.88
近畿選手権 吉岡希 アクアピアスケーティングC 1 4T   9.50 1.90 11.40
近畿選手権 垣内珀琉 ひょうご西宮FSC 2 4T<< << 4.20 -2.10 2.10
関東選手権 鍵山優真 星槎国際高等学校横浜 1 4T+2T   10.80 2.85 13.65
関東選手権 鍵山優真 星槎国際高等学校横浜 3 4T   9.50 2.85 12.35
関東選手権 三浦佳生 KOSE新横浜プリンスFSC 1 4S   9.70 1.94 11.64
関東選手権 三浦佳生 KOSE新横浜プリンスFSC 2 4T   9.50 2.22 11.72

 

ジュニアはルール上、ショートプログラムに四回転は入れられないので、試みたのはすべてフリーになります。

5人が7回挑んで、回転が足りたのは3人の5回。コンビネーションまで入ったのが一回あります。トーループが4例、サルコウが1例。トーループの習得が先なことが多いようです。予選免除で出場しておらずここに名前がない佐藤駿選手も含め、関東勢三人がフリーでは複数本の四回転を普通にプログラムに入れている、という水準になっていて、シニアの上位選手並みの構成にすでになってきています。

 

 

 

フィギュアスケート19 地方大会終了3 ジュニア女子

2019年シーズンのフィギュアスケート、地方大会が終了しました。各地の上位選手が次の東日本選手権、あるいは西日本選手権へと進んでいきます。

 

今回はそのシリーズの三回目、ジュニア女子の結果を見てみます。

地方大会を通過し、東日本/西日本へ進出した選手の得点をまず並べます。

 

Event Pl Name Nation Total SP FS
近畿選手権 1 河辺愛菜 関西大学KFSC 176.82 63.03 113.79
中部選手権 1 吉田陽菜 名東FSC 159.12 56.67 102.45
中部選手権 2 荒木菜那 中京大中京高校 158.29 48.35 109.94
関東選手権 1 吉岡詩果 植草学園大学附属高校 157.22 58.82 98.40
北海道・東北選手権 1 千葉百音 仙台FSC 151.72 53.38 98.34
中部選手権 3 横井きな結 邦和スポーツランド 150.18 50.43 99.75
中部選手権 4 手嶋里佳 名東FSC 149.83 50.94 98.89
中四国九州選手権 1 片山緋奈子 倉敷FSC 145.61 45.08 100.53
中部選手権 5 田村珠里亜 富士FC 145.02 44.89 100.13
中四国九州選手権 2 鴨井彬莉彩 飯塚フィギュアクラブ 144.99 47.77 97.22
近畿選手権 2 岩野桃亜 関西大学KFSC 142.89 52.38 90.51
近畿選手権 3 滝野莉子 関西大学KFSC 142.79 51.24 91.55
東京選手権 1 平金桐 明治神宮外苑FSC 142.25 50.36 91.89
中四国九州選手権 3 岡本真綸 倉敷FSC 141.85 48.15 93.70
中部選手権 6 長縄和奏 中京大中京高校 139.72 50.29 89.43
近畿選手権 4 岡田芹菜 大阪スケート倶楽部 138.56 48.70 89.86
近畿選手権 5 吉本玲 神戸クラブ 136.93 48.33 88.60
中部選手権 7 加藤日向子 邦和SC 135.84 50.70 85.14
中部選手権 8 森実愛 名古屋FSC 133.54 50.35 83.19
東京選手権 2 依田茉里紗 城西大城西スケート部 133.05 46.85 86.20
近畿選手権 6 本田望結 関西大学中・高スケート部 132.52 43.09 89.43
東京選手権 3 穂積乃愛 明治神宮外苑FSC 132.29 45.58 86.71
北海道・東北選手権 2 鈴木なつ 仙台FSC 132.10 43.18 88.92
中部選手権 9 磯村彩姫 中京大中京高校 130.94 47.28 83.66
東京選手権 4 横谷杏林 城西大城西スケート部 130.14 48.31 81.83
北海道・東北選手権 3 渡辺倫果 青森山田高校 129.79 49.77 80.02
北海道・東北選手権 4 三浦向日葵 東北高校 129.70 45.34 84.36
近畿選手権 7 田中梓沙 京都醍醐FSC 129.25 54.49 74.76
近畿選手権 8 芳岡優釉 関西大学KFSC 128.73 50.46 78.27
近畿選手権 9 清水咲衣 大阪スケート倶楽部 128.59 51.08 77.51
中部選手権 10 柳川加奈 CRYSTAL F・S・C 128.51 42.62 85.89
北海道・東北選手権 5 聖前埜乃華 八戸FSC 126.94 43.03 83.91
北海道・東北選手権 6 中川涼 仙台FSC 125.41 44.25 81.16
北海道・東北選手権 7 宮本藍里 北海高等学校 124.93 44.64 80.29
中四国九州選手権 4 伊勢野花 広島スケートクラブ 124.28 41.79 82.49
近畿選手権 10 岩崎陽菜 なみはやクラブ 124.25 47.78 76.47
中部選手権 11 鬼頭まりあ 愛知みずほ大瑞穂高 124.01 47.28 76.73
東京選手権 5 岩男藍 明治神宮外苑FSC 122.85 47.23 75.62
中四国九州選手権 5 江川マリア パピオフィギュアクラブ 121.63 45.16 76.47
中四国九州選手権 6 宇多村彩花 岡山国際FSC 120.87 42.24 78.63
関東選手権 2 三枝知香子 アクアリンクちばSC 120.79 44.63 76.16
中四国九州選手権 7 村岡那菜 就実学園 119.91 39.73 80.18
北海道・東北選手権 8 伊吹有紗 札幌アースFC 117.67 44.81 72.86
北海道・東北選手権 9 長岡柚奈 ROYCE'F・S・C 117.07 42.85 74.22
北海道・東北選手権 10 柚木心結 帯広FSC 117.00 39.99 77.01
東京選手権 6 齋川怜子 明治神宮外苑FSC 116.50 45.93 70.57
東京選手権 7 箱崎聖怜 明治神宮外苑FSC 115.32 36.29 79.03
関東選手権 3 田邊桜香 KOSE新横浜プリンスFSC 114.84 38.57 76.27
東京選手権 8 馬場はるあ 駒場学園高校 113.01 41.68 71.33
東京選手権 9 松岡あかり 新渡戸文化中高SC 111.21 38.86 72.35
関東選手権 4 田中陽織 山梨学院高校 110.48 36.76 73.72
東京選手権 10 小川日菜子 明治神宮外苑FSC 109.96 36.97 72.99
東京選手権 11 堀川美咲 西武東伏見FSC 109.95 36.65 73.30
関東選手権 5 杉本くるみ 神奈川FSC 106.43 36.18 70.25
関東選手権 6 石田真綾 埼玉アイスアリーナFC 105.19 38.94 66.25
関東選手権 7 増田未夢 白鵬女子高校 103.51 33.60 69.91
関東選手権 8 北條楓 栃木県スケート連盟 99.39 36.82 62.57
関東選手権 9 吉野汐香 神奈川FSC 98.33 36.70 61.63

地方ブロック予選を通過したのはこの58人です。実際には、荒木菜那選手は、上記に名前がありますが、昨年全日本ジュニア2位のシードで、地方予選へ出場する義務はないので、予選通過という表現には当たらないので、通過、といえるのは57人になります。

 

最高点は176.82と一人突出した点数を出した河辺愛菜選手。ジュニアグランプリのレークプラシッドで5位に入った中学三年生です。フリー冒頭のトリプルアクセルは決まりませんでしたがショートフリー共に3回転-3回転のコンビネーションをしっかり決めてトップスコアを出しました。

そこから少し離れて150点台が5人います。スコア二番手の吉田陽菜選手は今年ジュニアに上がった中学二年生。彼女もトリプルアクセルの使い手で、今シーズンは国内で三試合すでに出場して1回トリプルアクセルを決めています。

スコア6番手の横井きな結選手もトリプルアクセルを飛びます。彼女の今シーズンのトリプルアクセル成功率は3分の3、100%です。ただ、その他の要素が今一つ伸びないため、トリプルアクセルがあるのにフリーで100点に届かない、といったことになっています。大技があってもそれだけでは高得点は出ない、という構図。吉田選手横井選手、ともに今シーズンはジュニアグランプリへの派遣がなく、やや残念な感じでした。

 

東日本勢では四番手に吉岡詩果選手が入ってきています。昨シーズンはジュニアグランプリで表彰台にも乗った選手ですが、今シーズンは派遣なし。ジュニアグランプリの派遣選手がだいぶ入れ替わってますね今シーズン。ただ、それで今シーズン結果が全然出せないかというとそうでもなく、こうやって全国の中で上位のスコアは出せているわけで、割と小さな差の中でジュニアグランプリの派遣、未派遣が決まっているような印象です。

 

ジュニアでは話題になる選手として本田望結選手がいます。近畿選手権6位の132.52で西日本選手権進出。全体21位というスコアは彼女としてはあまり良いものではありません。今シーズン三試合に出て、ベストはショートで54.47はいいとして、フリーは89.43 トータルでは139.18  140点にも満たないスコアしか出せていません。昨シーズンは150点台を何度も出していましたから、それと比べるとだいぶ悪い位置にいます。昨年の全日本ジュニアは12位。上位にはシニアに抜けた選手もいますし、けがで欠場の選手、調子の上がっていない選手もいて、今年はチャンスなのですが、彼女自身の調子も上がっておらず、ちょっと心配です。近畿選手権では3回転のルッツとフリップは一つも決まらず、ループも回転が足りたのは三分の一、ということでジャンプの精度が苦しいなあ、という状態は変わっていません。彼女の近畿選手権の点数は、このままだと西日本選手権を抜けられない、という位置になります。

 

昨年全日本まで進んだ、全日本ジュニアの上位6人では、優勝した横井ゆは菜選手はシニアに上がりました。5位の青木祐奈選手は残念ながらけがで欠場。3位の川畑和愛選手はシードがあるため地方予選には出場しなかったようです。

心配なのは4位の渡辺倫果選手と6位の長縄和奏選手。長縄選手は139.52と140点にも届かないスコアで全体の15番目。渡辺選手に至っては129.79で26番目です。渡辺選手の位置だと、東日本選手権を通過できない序列になっています。

長縄選手は今シーズンショートのコンビネーションが3S-2Tだったり、フリーで単独の3Tがあったりと、ジャンプ構成が明らかに本調子の時のそれではありません。げんさんサマーカップにも出場していたので、ケガで全然滑れない、というほどのひどい状態ではないのでしょうが、ちょっと心配です。

渡辺選手もフリーで回転不足なく跳べた3回転のジャンプは3Lo一つだけ、という状態になっています。ジャンプは、これくらいの世代の選手が突然飛べなくなってそこから復活できない、というのをよく見るような気がしますが、それに当てはまっていないことを願います。

 

全日本ジュニアへの出場枠は東日本からは10、西日本からは14です。上記のリストにある選手のほかに、西日本選手権には、中部選手権をジュニアグランプリ免除になっていた浦松千聖選手と松生理乃選手が加わってきます。

地方選手権での東日本勢の10番目の得点は126.94 西日本勢の12番目の得点は139.72でした。

昨シーズンの通過スコアは、東日本が125.34、西日本が136.58  西日本の方が厳しい、というのは昨年も今年も変わらなさそうです。東は130点、西は140点が欲しい、という情勢でしょうか。

 

 

最後に、地方選手権でトリプルアクセルに挑んだジュニアを改めて並べてみます

 

Event   Name Nation   Elements    BaseValue GOE
中部選手権 FS 吉田陽菜 名東FSC 1 3A<< ! 3.30 -1.65
中部選手権 FS 横井きな結 邦和スポーツランド 1 3A   8.00 1.33
近畿選手権 FS 河辺愛菜 関西大学KFSC 1 3A< 6.40 -3.20

3人いますが、回転が足りたのが一人だけ。その横井きな結選手はしっかり着氷し加点の付くトリプルアクセルでした。