グランプリファイナル22 女子シングル展望

ジュニアが終わりましたので続いてシニア。今回はシニアの女子シングルになります。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
Skate America Kaori SAKAMOTO JPN 217.61 71.72 145.89
MK John Wilson Trophy Mai MIHARA JPN 217.43 72.23 145.20
Grand Prix de France Loena HENDRICKX BEL 216.34 72.75 143.59
MK John Wilson Trophy Isabeau LEVITO USA 215.74 72.06 143.68
Finlandia Trophy Yelim KIM KOR 213.97 71.88 142.09
Lombardia Trophy Rinka WATANABE JPN 213.14 66.83 146.31
Nebelhorn Trophy Loena HENDRICKX BEL 208.05 76.19 131.86
Philadelphia International Isabeau LEVITO USA 207.67 70.72 136.95
Skate America Isabeau LEVITO USA 206.66 71.30 135.36
Lombardia Trophy Kaori SAKAMOTO JPN 205.33 72.93 132.40
NHK Trophy Yelim KIM KOR 204.49 72.22 132.27
Grand Prix Espoo Mai MIHARA JPN 204.14 73.58 130.56
Grand Prix Espoo Loena HENDRICKX BEL 203.91 74.88 129.03
NHK Trophy Kaori SAKAMOTO JPN 201.87 68.07 133.80
Ondrej Nepela Memorial Isabeau LEVITO USA 198.99 65.37 133.62
Skate Canada Rinka WATANABE JPN 197.59 63.27 134.32
Grand Prix de France Yelim KIM KOR 194.76 68.93 125.83
US International Yelim KIM KOR 190.64 58.32 132.32
NHK Trophy Rinka WATANABE JPN 188.07 58.36 129.71

グランプリシリーズに限らず今季出場した国際大会を全て並べています。ただしジャパンオープンは含めません。

それぞれのシーズンベストは217.61から213.14までの4.47の中に含まれます。6人いるというのに非常に僅差です。ただし下位の二人、キムイェリム選手と渡辺倫果選手はチャレンジャーシリーズでのスコアでありグランプリシリーズではここまでのスコアは出せていません。

セカンドベストが一番高いのはヘンドリックス選手。ネーベルホルン杯の208.05です。210点台を2回出した選手はまだ今シーズンいません。レビト選手は200点台後半も2回出しています。

ジュニアの方はほとんどの選手が2戦目の方がスコアがよかったのですが、シニアはグランプリ2戦目がシーズンベストになっているのはレビト選手だけです。年齢的にはジュニアに混ざっているのが自然なレビト選手だけというのは印象的です。大事な試合に合わせるシニアの調整力をファイナルに持ってきた選手が勝つ、ということになるでしょうか。そうなると、この後にシーズン後半の代表選考会になるナショナル選手権を控えている国の方が調整の難しさがあり、選考会無縁なヘンドリックス選手が有利な部分があるかもしれません。

 

ショートプログラムの構成

  Kaori SAKAMOTO Mai MIHARA Loena HENDRICKX Isabeau LEVITO Yelim KIM Rinka WATANABE
1 2A 2A 3F 3F 3Lz+3T 3A<<
2 3Lz 3F 2A 2A 2A 3Lz+3T
3 FCSp3 FSSp4 CCoSp4 FSSp2 FCSp4 CSp4
4 CCoSp4 3Lz+3Tq 3Lz+3T 3Lz+3Lo 3F 3Lo
5 3F+3T CCoSp4 StSq4 CCoSp4 StSq3 CCoSp4
6 StSq3 StSq4 FCSp4 StSq4 CCoSp4 StSq4
7 LSp4 LSp4 LSp4 LSp3 SSp4 FSSp4
Base 31.95 32.81 33.01 32.58 31.73 31.79
GOE 6.60 6.67 8.27 5.82 7.38 4.12
PCS 34.38 34.10 34.91 32.32 33.11 30.92
Total 72.93 73.58 76.19 70.72 72.22 66.83

グランプリシリーズに限らず今シーズンの技術点が一番高かったショートプログラムの構成です。

シニアはショートからトリプルアクセルあり。トリプルアクセルを構成に入れているのはこの中では渡辺倫果選手1人だけです。ただし、今シーズンショートプログラムでのトリプルアクセル成功はありません。シーズンベストの試合の時にはダウングレードでした。

基礎点トップはヘンドリックス選手です。ショートのシーズンベストも同様にヘンドリックス選手。今シーズン70点台後半まで出しているのはヘンドリックス選手だけです。

三原選手もヘンドリックス選手同様に3Lz+3Tのコンビネーションを1.1倍に入れているのですがスピンの構成の差で0.20劣ります。ノーミスならレビト選手はトリプルアクセル無し組では一番高い基礎点になります。セカンドループを1.1倍に入れる。ただしスピンレベル4を揃えきれないところがあります。また、ファイナルでセカンドループを入れてくるかもわかりません。

ノーミス勝負したら基礎点は渡辺倫果選手が当然一番高くなります。しかしながらショートでは今シーズンそれが出来ずシーズンベストはただ一人60点台です。どこまでかき回せるか? また、世界王者の坂本選手も今シーズンベストの演技は出来ていません。それがここで出ると強いですが、どうでしょうか。

 

○フリーの構成

  Kaori SAKAMOTO Mai MIHARA Loena HENDRICKX Isabeau LEVITO Yelim KIM Rinka WATANABE
1 2A 2A 3Lz!+3T 3Lz+3Lo 3Lz+3T 3A
2 3Lz 3Lz+3T 2A 3T 2A 3Lo
3 3S 3S 3F 2A 3Lo 3Lo+3T
4 CCoSp4 3F!q 2A CCoSp4 3F 3F
5 3F+2T FSSp4 CCoSp4 3F! CCoSp4 FCSp4
6 StSq3 CCoSp4 ChSq1 ChSq1 3F+2A+SEQ ChSq1
7 3F+3T 2A+3Tq 3Lz!+2T 2A 3Lz+2T+2Lo 3Lz+2A+SEQ
8 FSSp4 3Lz+2T+2Lo 3F+2T+2Lo 3Lz+1Eu+3S 3S 2A+1Eu+3S
9 2A+3T< 3Lo 3S 3F!+2T FCSp4 CCoSp4
10 ChSq1 StSq4 FCCoSp4 FCSp4 StSq2 3Lz<<
11 3Lo ChSq1 StSq4 StSq4 ChSq1 StSq4
12 FCCoSp4 FCCoSp4 LSp3 FCCoSp4 FCCoSp4 FSSp4
Base 59.57 63.33 60.08 63.36 63.38 65.24
GOE 13.08 11.09 11.79 10.82 11.08 12.32
PCS 73.24 70.78 71.72 69.50 67.63 68.75
Total 145.89 145.20 143.59 143.68 142.09 146.31

フリーの構成。技術点が一番高い時の構成で基礎点が一番低いのは坂本花織選手だったりします。回転不足あり、ステップレベル3あり。それでもスコアは145点台まで出ています。

フリーのシーズンベストトップはショートのシーズンベスト最下位の渡辺倫果選手です。トリプルアクセルが決まると強い。これでも最後のルッツジャンプはダウングレードのミスです。PCSも上位3人と比べるとまだ少し落ちる。これが本当のノーミスで滑った時にどこまで行くのかは楽しみではあります。

トリプルアクセルを除いた時には63.3台で3人の基礎点が続きます。このあたりがトリプルアクセル無しの限界ではあるのですが、そこまで出せている3人はほぼノーミスの試合があったということでもあります。レビト選手はセカンドループがあるのですが、次のジャンプで単独3Tというよくわからない構成なので、結局セカンドループが何も生きておらず三原選手やキムイェリム選手と変わらない基礎点になります。

基礎点が低いのは世界選手権のメダリスト2人という不思議構図。ヘンドリックス選手は3Lo無しの6トリプル構成なのでどうしても基礎点は低くなります。

出来栄え勝負の坂本選手にヘンドリックス選手、安定して全体で稼ぎたい三原選手、レビト選手、キムイェリム選手、基礎点高く取っていきたい渡辺倫果選手という構図です。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Kaori SAKAMOTO 217.61 108.06 59.73 11.44 24.05 14.33
Mai MIHARA 217.43 104.93 65.13 6.30 25.61 15.46
Loena HENDRICKX 216.34 106.59 62.48 8.60 24.74 13.93
Isabeau LEVITO 215.74 103.49 65.97 7.25 24.94 14.09
Yelim KIM 213.97 100.67 66.81 10.91 24.08 11.50
Rinka WATANABE 213.14 99.67 67.43 8.05 23.65 14.34
Loena HENDRICKX 208.05 104.47 57.20 5.81 25.59 14.98
Isabeau LEVITO 207.67 98.94 64.23 7.49 21.90 15.11
Isabeau LEVITO 206.66 101.63 62.07 4.42 24.30 14.24
Kaori SAKAMOTO 205.33 104.47 60.78 5.63 23.02 12.43
Yelim KIM 204.49 99.48 65.06 4.88 23.49 12.58
Mai MIHARA 204.14 100.74 58.27 5.57 24.67 14.89
Loena HENDRICKX 203.91 104.12 58.82 1.62 25.51 14.84
Kaori SAKAMOTO 201.87 103.02 59.51 1.31 24.06 13.97
Isabeau LEVITO 198.99 94.09 66.05 1.72 22.87 14.26
Rinka WATANABE 197.59 95.70 67.87 -1.34 22.29 13.07
Yelim KIM 194.76 97.36 62.61 2.22 22.53 12.04
Yelim KIM 190.64 93.47 60.14 0.98 22.77 14.28
Rinka WATANABE 188.07 91.38 62.43 -0.03 22.44 12.85

ショートとフリーを合わせた要素別のスコアです。大会名入れると横幅がひどいことになったので残念ながら外していますが、見づらくて申し訳ないです。

PCSは坂本選手が108.06まで出した試合がありぬけていますが、悪い試合ではヘンドリックス選手や三原舞依選手で上へ行けます。渡辺倫果選手は100点にまだ乗らずにこのメンバーの中では分が悪いです。

ジャンプの基礎点はやはり渡辺倫果選手が強い。ただそれほど差はなくキムイェリム選手や三原舞依選手も続きます。坂本選手とヘンドリックス選手はややここは落ちます。

ジャンプの加点は坂本選手とキムイェリム選手の2人が二桁出しています。マイナスが付くのは渡辺倫果選手のみ。やはりまだ博打感のある構成というところでしょうか。

スピンは25.61がある三原舞依選手がトップでヘンドリックス選手は25.5台を2度出してます。渡辺選手以外は24点以上出していますでそれほど差はないです。

ステップ系要素も15.46がある三原選手がトップです。レビト選手も15点台があります。他の選手も14点台までは出していますのでそれほど差はないですが、キムイェリム選手は11点台12点台も目立ち、ここで少し差がつく可能性もあります。

 

シニアの女子も日本勢が3人。そこにアメリカ、韓国、ベルギーから1人づつが加わってきます。ここもシーズンベストトップは日本勢から出ていますが非常に混戦です。全く誰が勝つかわからない。ショートで一番出遅れる可能性が高いのは渡辺倫果選手になっていますが、フリーで一発逆転する可能性が一番高いのも渡辺倫果選手ということで、出遅れてもチャンスが残る。グランプリシリーズでいきなり躍進した新鋭はファイナルで3位に入る、という伝統を何となく感じていたりしますが、どうなるでしょう。優勝争いもさっぱり読めない。これはこれで面白いグランプリファイナルになりそうです。

 

 

 

ジュニアグランプリファイナル22 男子シングル展望

前回のジュニア女子に続いて今回はジュニアの男子の展望です。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
JGP Gdansk2 Takeru Amine KATAISE JPN 234.24 79.06 155.18
JGP Riga Nikolaj MEMOLA ITA 225.76 83.04 142.72
JGP Gdansk2 Robert YAMPOLSKY USA 223.06 77.39 145.67
JGP Ostrava Nozomu YOSHIOKA JPN 219.68 72.03 147.65
JGP Courchevel Shunsuke NAKAMURA JPN 219.65 77.68 141.97
JGP Ostrava Nikolaj MEMOLA ITA 214.11 71.56 142.55
JGP Egna Lucas BROUSSARD USA 211.14 74.79 136.35
JGP Egna Shunsuke NAKAMURA JPN 211.01 73.61 137.40
JGP Gdansk Lucas BROUSSARD USA 209.39 69.12 140.27
JGP Egna Takeru Amine KATAISE JPN 201.35 65.56 135.79
JGP Riga Robert YAMPOLSKY USA 196.67 65.05 131.62
JGP Gdansk Nozomu YOSHIOKA JPN 194.63 69.97

124.66

ジュニアグランプリシリーズ以外の国際大会に出ている選手もいますが、ここではジュニアグランプリ2戦の結果を載せています

スコアトップは片伊勢武アミン選手です。234.24が今シーズンのここまでのジュニア全体のトップスコアになります。ただ、連戦となった2戦目は201.35とスコアが伸びていません。安定して高いスコアを出しているわけではなく、盤石感はないです。

スコア2番手にイタリアのメモラ選手が続きます。メモラ選手はシニアチャレンジャーシリーズも出場していて230点台のスコアを出していました。高めのスコアを複数回出せているという点で表彰台確率の高い選手に見えます。

3番目にアメリカのヤンポリスキー選手。ジュニアグランプリは初戦の4位から2戦目で2位に入っての逆転ファイナル進出という立ち位置です。

日本勢が4番目5番目で続きます。全日本ジュニアで勝った吉岡希選手に中村俊介選手。二人ともジュニアグランプリの1戦目で優勝してファイナルを掴みました。

アメリカからもう一人ブルサード選手が入ってきています。ブルサード選手はただ一人2戦2勝なのですが、シーズンベストは一番低いと不思議な構図があります。

 

ショートプログラムの構成

  Takeru Amine
KATAISE
Nikolaj
MEMOLA
Robert
YAMPOLSKY
Nozomu
YOSHIOKA
Shunsuke
NAKAMURA
Lucas
BROUSSARD
1 3A 3A 3A 3A 3A 3A
2 3Lo 3Lo 3Lo 3Lz+3T 3Lo FCSp4
3 CSSp3 FCSp4 CCoSp4 FCSp3 FCSp3 3Lz+3T
4 3Lz+3T 3Lz+3T 3Lz+3T 3Lo 3Lz!+3T 3Lo
5 StSq4 StSq4 StSq4 CSSp4 CSSp4 CSSp3
6 FCSp3 CCoSp4 CSSp4 StSq2 StSq3 StSq4
7 CCoSp4 CSSp4 FCSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp3
Base 36.81 37.61 37.61 35.39 36.61 36.19
GOE 6.58 7.62 4.46 3.36 4.68 2.87
PCS 35.67 37.81 35.32 33.28 36.39 35.73
Total 79.06 83.04 77.39 72.03 77.68 74.79

それぞれの選手の技術点が高かった試合の構成を出しています。基礎点がこれより高い構成だけど、GOEが伸びず技術点はこれより低かったという試合がある選手もいます。

ジュニアのショートプログラムは4回転禁止です。それによりジュニアではショートから大きな差が付きにくくはなっています。

全員冒頭トリプルアクセルを入れ、全員が単独ジャンプは指定なのでループが入り、コンビネーションは全員が3Lz+3Tとなり、ジャンプ構成は同じです。1.1倍にコンビネーションを入れるとか3Loを入れるかの違いだけです。後はスピンステップでレベル4を取れるかで基礎点には差が付きますが、一番高い構成で37.61に対し一番低くて35.39となります。スピンステップのレベル差で2.22の基礎点差が付くのは大きいので吉岡希選手はもう少しスピンステップでレベルを取りたいところではありますが、それを含めても全体の出来栄えでの勝負になるというのがショートの構図です。

PCSはメモラ選手が一人だけ37点台後半まで出していて高めです。吉岡選手とはPCSで4.53の差が出ています。ショートでメモラ選手が抜ける展開があるか? 吉岡選手はショートで離れずついていけるか? いずれにしても70点台は出さないとフリーで苦しくなるかと思います。

 

○フリーの構成

  Takeru Amine
KATAISE
Nikolaj
MEMOLA
Robert
YAMPOLSKY
Nozomu
YOSHIOKA
Shunsuke
NAKAMURA
Lucas
BROUSSARD
1 3A+3T 2A 3A+3T 4T+2T 4T 3T
2 3A 3A+1Eu+3S 3A 3F 3A 3Lo
3 3F 3F! 3Lo 3A CSSp4 2A
4 CCoSp4 3Loq 3S FCSp2 3Lz+3T FCSSp4
5 3Lo CSSp3 CSSp4 3Lo 3F 3F+1Eu+3S
6 3Lz FCSp4 FCSp4 4T 3A+3T 3Lz+3T
7 2A+3T 3A ChSq1 3A+1Eu<<+2S ChSq1 2A
8 3S+2A+2T+SEQ 3Lz!+3Tq 2A ChSq1 FCSp2 CSp3
9 CSSp4 3Lz!+2A+SEQ 3Lz+1Eu+3F! 3Lz+2A+SEQ 3Lz*+1Eu+3S ChSq1
10 ChSq1 ChSq1 3Lz+2A+SEQ CSSp4 3Loq 3Lz+2T
11 FCCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp3
Base 67.93 68.63 68.72 71.10 68.79 56.46
GOE 11.73 3.39 6.42 4.72 2.58 10.55
PCS 75.52 70.53 70.53 71.83 71.60 73.26
Total 155.18 142.55 145.67 147.65 141.97 140.27

フリーもショートと同じように技術点合計が高かった試合の構成を載せています。

こちらは片伊勢武アミン選手がただ一人150点台を出しています。基礎点高めで加点も稼いでPCSもトップです。ただ全日本ジュニアで大崩れしたように、安定感はまだないのでこれがそのままファイナルで出せるかはわからないところがあります。

4回転が構成に入っているのは中村俊介選手と吉岡希選手の2人。ただ中村選手は転倒なので、実質的には吉岡選手のみです。しかも吉岡選手は2本入っています。その関係で基礎点はトップ。ただしセカンド3回転が入っておらず基礎点差があまり拡がっていません。セカンド3回転や3連続のサルコウも3回転で決めてくるようだとショートで順位が下でも一気に逆転していけるだけの構成になっています。

中村俊介選手はこの大舞台で初の4回転を決められるか? あるいは展開次第では4回転無しで手堅くいくという手もあるかもしれません。

ショートでシーズンベストを持っているメモラ選手はフリーの4回転無し。ただしトリプルアクセル組の中では高い基礎点になっていて、これをしっかりミス少なく決めてくれば店はある程度出てきます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Takeru Amine KATAISE 234.24 111.19 78.94 12.66 22.48 8.97
Nikolaj MEMOLA 225.76 112.38 79.28 2.86 21.49 9.75
Robert YAMPOLSKY 223.06 105.85 80.03 4.66 23,57 8.95
Nozomu YOSHIOKA 219.68 105.11 83.29 5.44 18.47 7.37
Shunsuke NAKAMURA 219.65 107.99 81.00 4.49 18.97 8.20
Nikolaj MEMOLA 214.11 105.20 80.34 -1.28 21.27 8.58
Lucas BROUSSARD 211.14 109.45 69.13 3.20 21.04 9.32
Shunsuke NAKAMURA 211.01 102.56 81.55 -0.01 20.64 7.27
Lucas BROUSSARD 209.39 107.56 67.05 6.04 22.08 7.66
Takeru Amine KATAISE 201.35 105.02 71.04 -4.86 23.65 8.50
Robert YAMPOLSKY 196.67 100.10 69.13 -2.84 23.48 7.80
Nozomu YOSHIOKA 194.63 99.54 67.05 2.15 19.13 6.76

PCSは片伊勢選手とメモラ選手が110点台を出せます。吉岡選手はここが105点までで上位2人と少し差が出ます。

ジャンプの基礎点は吉岡選手がトップ。中村選手、メモラ選手、ヤンポリスキー選手も80点台に乗せていて4回転2本分の差は付いていません。片伊勢選手は78.94までで5番手。ただ、僅差なので出来栄えで追いつけるくらいの差ではあります。

ジャンプの加点が片伊勢選手がトップで1人だけ二桁稼いでいます。2番目に構成低めのブルサード選手が6.04稼いでいて吉岡選手が3番目。ジャンプのスコアとしては片伊勢選手の方が吉岡選手より上になります。吉岡選手はセカンド、サードの3回転を入れられるかと全体の出来で伸ばせるかでこの辺のスコアは伸びてきます。

スピンは片伊勢選手が23.65まで出していてトップ、ヤンポリスキー選手も23点台で続きます。中村俊介選手は20点台、吉岡選手は19点台までです。

ステップ系要素はメモラ選手が9.75でトップ、ブルサード選手も9点台があります。片伊勢選手は8点台後半で中村選手は8点台前半まで、吉岡選手は7点台までです。スピンステップで片伊勢選手と吉岡選手は6点ほど差が出る計算です。

 

男子は日本3、アメリカ2、イタリア1の6人。突出した選手がおらず、その日の出来で誰が勝つかが決まる混戦模様に見えます。開催国イタリアの選手が優勝する可能性もある立ち位置で出場してきますので地元パワーの後押しで勝ち切るか? あるいは日本勢がここも勝っていくか。

誰が勝つかは読めませんが、優勝スコアは230点台には乗って来るのかなあ、と思います。これだけいれば誰かはいい滑りをするでしょうきっと、という予想です。

日本勢では全日本ジュニアを優勝した吉岡選手以外の二人は、世界ジュニアの切符を取っていくための一つの過程であり、全日本でシニアコースの選手と対決しないといけない状況の前に、ここで結果を出しておきたいところもあると思います。

3人いますが、表彰台独占、みたいな可能性は低いかな、とは思いつつ、でも3人いると誰かは勝つのではないか、と期待できそうな男子のジュニアになります。

 

ジュニアグランプリファイナル22 女子シングル展望

グランプリシリーズが終わったので次はファイナル。ファイナルはジュニアシニア同時開催です。ファイナル進出選手もすべてそろいましたので、展望を見ていこうと思います。

シニアジュニア男女の4カテゴリー、それぞれ追っていきます。今回はまずジュニアの女子シングルからです。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
JGP Gdansk Mao SHIMADA JPN 217.68 68.81 148.87
JGP Ostrava Mao SHIMADA JPN 212.65 71.49 141.16
JGP Egna Hana YOSHIDA JPN 208.31 66.89 141.42
JGP Gdansk2 Ami NAKAI JPN 205.90 69.00 136.90
JGP Egna Chaeyeon KIM KOR 203.94 70.29 133.65
JGP Courchevel Hana YOSHIDA JPN 203.52 66.56 136.96
JGP Gdansk Chaeyeon KIM KOR 195.46 67.61 127.85
JGP Gdansk2 Jia SHIN KOR 194.69 63.72 130.97
JGP Riga Jia SHIN KOR 194.68 70.41 124.27
JGP Ostrava Minsol KWON KOR 189.37 62.73 126.64
JGP Gdansk2 Minsol KWON KOR 186.63 66.81 119.82
JGP Riga Ami NAKAI JPN 185.62 63.87 121.75

ジュニアグランプリシリーズ以外にシニアの試合に出ている選手もいますが、ここではジュニアグランプリ2戦の成績を載せます。

島田麻央選手が2戦とも210点を超えるスコアでトップです。それに次ぐのが吉田陽菜選手。中井亜美選手が3番手と日本勢が続きます。ただし中井亜美選手は悪い方の試合ではエントリー選手6人の中で1番悪いスコアとなっています。韓国勢ではキムチョン四選手が203.94と200点を超えています。シンジア選手は昨シーズンの世界ジュニアで2位表彰台。その時は206.01を出した実績がありますが今シーズンはまだ200点をだしていません。

ほとんどの選手が1戦目より2戦目の方がスコアを上げています。例外はクォンミンソル選手くらいです。3戦目にあたるファイナルでそれぞれスコアを上げてくることができるでしょうか?

 

ショートプログラムの構成

  Mao
SHIMADA
Hana
YOSHIDA
Ami
NAKAI
Chaeyeon
KIM
Jia
SHIN
Minsol
KWON
1 3Lo 2A 2A 3Lz+3T 3Lz+3T 3Lo
2 2A 3Lz!q+3T 3Lz+3T 2A 2A 2A
3 LSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4 FCSp4
4 3Lz+3T 3Lo CCoSp4 3Lo 3Lo 3F+3T
5 FCSp4 StSq4 3Lo StSq4 StSq4 LSp4
6 StSq4 SSp4 StSq4 CCoSp4 CCoSp4 StSq4
7 CCoSp4 CCoSp4 LSp4 LSp4 LSp4 CCoSp4
Base 32.61 31.89 32.09 32.09 32.09 31.95
GOE 9.23 5.06 7.17 8.36 8.26 6.46
PCS 29.65 29.94 29.74 29.84 30.06 28.40
Total 71.49 66.89 69.00 70.29 70.41 66.81

技術点が高かった試合の方のショートプログラムの構成です

普通に全員スピンステップすべてレベル4 ジュニアでステップレベル4はなかなか取れないという時代もありましたが、現代はそうでもなくなってきています。

ジュニアは単独トリプルアクセルショートプログラムに入れられないのでジャンプ構成での差は付きにくいです。コンビネーションを1.1倍に入れている島田麻央選手の基礎点が高くなります。クォンミンソル選手も1.1倍にコンビネーションなのですが、ルッツではなくフリップなので基礎点は落ちます。単独ジャンプはルールとして全員固定でループになります。ジュニアはコンビネーションのリカバリーがルール上ほぼ不可能なので、最後のジャンプをコンビネーションにするリスクは最初に飛ぶのと体力面以外では変わりません。吉田選手と中井選手が冒頭ダブルアクセルなのは、全日本などシニア構成でトリプルアクセル組む前提でプログラムを変えたくないためでしょう。

トップジュニアは基礎点32.09になりがちですが吉田陽菜選手はシットスピンで基礎点が下がる分31.89になっています。ただ、基礎点は32.61から31.89までに6人収まっているわけで、ほとんど差がなく、出来栄えで順位が決まっていくという構図です。70点台が何人出るでしょうか?

 

○フリーの構成

  Mao
SHIMADA
Hana
YOSHIDA
Ami
NAKAI
Chaeyeon
KIM
Jia
SHIN
Minsol
KWON
1 3A 3A 3A 3Lz+3Tq 2A 3F+3T
2 4Tq 2A+3T 3Lz+3T 3Lo 3Lo 3Lo
3 3Lz+3T 3Lo 3Lo+2A+SEQ 3S 1S 3F
4 FSSp4 CCoSp4 FSSp4 2A 3F+2T+2Lo 2A
5 3F+2A+SEQ SSp4 2A FCCoSp4 FCSp4 FCCoSp3
6 ChSq1 3F! 3F!+1Eu+3S 3F!+2A+SEQ 3Lz+3T 2A+3T
7 3S+3T+2T 3Lz+3T CCoSp4 3Lz+2T+2Lo 3F+2A+SEQ 3Lz!+2T+2Lo
8 3Lo FCCoSp4 3Lo 3F! 3Lz 3S
9 3Lz 3Lz 3Lz FCSp4 CCoSp4 ChSq1
10 CCoSp4 ChSq1 LSp4 ChSq1 ChSq1 FCSp4
11 LSp4 3S+2A+2T<+SEQ ChSq1 CCoSp4 FCCoSp4 CCoSp4
Base 71.06 65.30 64.79 60.88 57.16 58.47
GOE 14.39 11.85 12.06 10.03 12.69 9.25
PCS 63.42 64.27 60.05 62.74 61.12 58.92
Total 148.87 141.42 136.90 133.65 130.97 126.64

続いてフリー。技術点が高かった方の試合の構成を載せています。基礎点はもう一試合の方が高かったけどGOEが低かったというケースがある場合もあります。

基礎点は高難度ジャンプを持つ日本勢が明らかに高く、2本入っている島田麻央選手がその中でも突出しています。吉田選手、中井選手はトリプルアクセル2本構成を取る選択肢もありますがそれをここでぶつけてくるかどうか。ただ、そこまで行っても島田麻央選手の方が基礎点は高くなります。

GOEは5人が二桁稼ぎます。この試合の島田麻央選手は高難度2本着氷していますが、他の試合では着氷は1本まで。1本でも微妙ですが、2本とも転倒した場合はおそらく勝てません。それくらいのプレッシャーを与える構成・実績をまわりの選手も持っています。

PCSは吉田選手が島田選手の上を行きます。トリプルアクセル2本構成でノーミス勝負をするといい勝負くらいかもしれません。中井選手はPCSが少し落ちるのでトリプルアクセル2本構成でもノーミス勝負なら少し負けます。高難度ジャンプ含め日本勢にミスが出るとしっかりと加点を稼ぐ力のある韓国勢にもチャンスが出てきます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Mao SHIMADA 217.68 93.77 78.17 11.37 25.63 8.74
Mao SHIMADA 212.65 92.36 76.27 9.09 26.14 9.79
Hana YOSHIDA 208.31 94.21 71.59 9.19 23.24 10.08
Ami NAKAI 205.90 89.79 71.38 11.09 23.93 9.71
Chaeyeon KIM 203.94 92.58 66.47 9.36 25.83 9.70
Hana YOSHIDA 203.52 94.42 71.88 3.96 23.04 10.22
Chaeyeon KIM 195.46 88.97 65.74 8.72 23.90 8.13
Jia SHIN 194.69 91.23 62.75 9.32 25.36 7.03
Jia SHIN 194.68 90.72 63.46 7.25 25.07 9.18
Minsol KWON 189.37 84.58 64.42 8.60 22.38 9.39
Minsol KWON 186.63 87.14 63.10 4.87 22.81 9.71
Ami NAKAI 185.62 86.46 62.80 6.72 22.20 7.44

ジュニアグランプリ2戦でのショートフリー合わせたそれぞれの選手の要素別スコアです。

PCSは吉田陽菜選手が2戦とも94点台でトップです。島田麻央選手がそれに続き、シンジア選手が3番手。中井選手は吉田選手や島田選手とPCSでいい時でも3~5点のビハインドを負うのはちょっとつらいところ。

ジャンプの基礎点は日本勢が70点を超えていて島田麻央選手は70点台後半です。韓国勢は60点台中盤まで。ジャンプのGOEは島田選手と中井選手は二桁に達したことがあります。吉田選手はコンビネーションで削られることが多く二人より少し劣ります。

スピンは島田選手が26点台を持っていてシンジア選手やキムチェヨン選手の25点台も十分強いです。吉田選手中井選手は23点台までで少しここで差が出ます。

ステップ系要素は吉田選手だけ二桁に乗り島田選手中井選手は9点台までです。島田選手は意外とこのステップでミスをすることが全日本ジュニアでもそうですがあります。

 

ジュニアの女子シングルは日韓3vs3決戦。特に日本勢の構成レベルが高く、もしかしたらシニアの優勝スコアをジュニアが超えてしまうのではないか、あるいは表彰台ラインがジュニアの方が高くなるのではないか、ということが心配されるような状況です。全日本ジュニアを勝った島田麻央選手がここもタイトルを持っていくのか。全日本ジュニアをスキップしてスケジュール的には少し余裕があった吉田陽菜選手が勝つか。あるいは世界ジュニア2枠目に入りたい中井亜美選手がここで大きなタイトルを掴むのか? 韓国勢も甘くはないと思いますが、大変期待されるジュニアグランプリファイナルとなります。

 

 

日本カーリング協会2022年5月期決算

最近あまりこういう財務系のお話してませんでしたけど、久しぶりに見てみます。

カーリング協会の直近の決算が出ています。今回はオリンピックを挟んだシーズンであり、また、一年中ずっとコロナだったシーズンの決算でもあります。オリンピックで史上最高の銀メダルを獲得したカーリング協会は潤っているのかどうか? 気になるところです。

理由はよくわからないのですが、今回は2021年5月1日から2022年5月31日までという、13カ月の変則決算になっていました。

 

○21年度22年度決算

  2021年4月期 2022年5月期
経常収益 17,719万円 27,922万円
経常費用 16,519万円 27,277万円
当期計上増減額 1,200万円 645万円
正味財産期末残高 6,372万円 6,749万円

普通こういう会計話では万円単位で記載はされないのですが、わかりやすさのためにこういう表記にしています(今回に限らずいつもこの手の話ではそうしてます)。

オリンピックのあった今期は売上というか収入というかそういうものにあたる経常収益が前期と比べて大幅に増えました。一方で費用の方も大幅に増えています。その差し引きにあたる経常増減額はプラスですのでようは黒字でした、という形です。2021年4月期はコロナ1年目にあたるわけですがここでも黒字でした。2期連続黒字決算になりました。

正味財産期末残高は一般的な貸借対照表でいうところの純資産ですが、これが6,000万円台です。同じ冬の人気競技の日本スケート連盟ですとここが30億円ほどあるのと比べると50分の1という極めて小さい水準になっています。

 

○収益内訳

  2021年4月期 2022年5月期
基本財産運用益 1,040 240
受取会費 15,243,500 14,938,500
事業収益 77,120,520 94,386,952
受取補助金 74,421,968 152,229,488
受取負担金 9,227,093 14,064,220
受取寄付金 272,536 2,216,083
雑収益 902,673 1,384,165
経常収益計 177,189,330 279,219,648

21年4月期から22年5月期で増えた収益の主なものは、結局補助金です。8,000万円近い増加をしています。事業収益もいくらか増えました。

 

日本カーリング協会2022年5月期収益内訳

比率で表すとこうなります。22年5月期の収益は半分以上が補助金です。補助金がないとやってられない、というのがカーリング協会の現状です。3分の1ほど事業収益というのもあります。

 

○事業収益の内訳

  2021年4月期 2022年5月期
本部事業収益 61,600 1,663,552
協賛金受入収益 68,530,000 74,024,000
選手肖像権使用料収益 0 1,375,000
物品販売等収益 828,920 824,400
入場料収益 0 0
放送権料収益 7,700,000 16,500,000

事業収益の中の8割ほどは協賛金収益です。残りのほとんどは放映権料。カーリング協会の自力で得ている収益の主なものはその辺です。協賛金も放映権料もこれでも過去最高です。協賛金のメインは全農だと思うのですがいくらもらっているんだろう? あれだけオリンピックで盛り上がるのですからもう少しこれからは協賛がついてもいいと思うのですがどうでしょう。

放映権料は全日本選手権のNHKBSでの放映がおそらくメインだと思われます。ちなみに、スピードスケートの年間の放映権料が3,000万円弱ですのでそれよりもかなり少なく、フィギュアスケートは2億円弱ですからその10分の1の水準になります。地上波に出られるといいのでしょうが、地上波でカーリングが映るのはオリンピックだけで、オリンピックでの放映が日本カーリング協会の収益には直接は繋がらないです。

残念ながら大会の入場料収益はゼロ。コロナなんでね無観客、というのもありますが、コロナ以前でもあまりそこの収益は大きくなく、19年4月期なので平昌オリンピックでメダルを取った次のシーズンに1,404万円あったのが最高です。人気はあるので主催大会で稼げるとよいのですが、今シーズンはどうでしょう。1月末の全日本も常呂で行うところまでは発表されていますが、観客入れるのかどうかも公表されておらず、まして前売りチケットなど販売していない状態です。

 

日本カーリング協会2022年5月期負担金以外の収益

事業収益に限らず補助金と負担金以外の収益の内訳をみるとこうなります。結局事業収益の中の3分の2が協賛金です。

協賛金、放映権料以外では競技者登録料が10%を占めています。金額にして1,130万円弱。カーリングの場合は競技者の登録料も重要な収入源になります。これも収益規模が大きいスケート連盟あたりとの大きな違いです。気になるのは20年4月期の1,268万円ほどをピークに減少しているところ。コロナ以前と比べてカーリング競技者人口が減ってしまったという現実があるのだろうと思われます。

 

日本カーリング協会2022年5月期費用内訳

費用の内訳はこんな感じになります。国際大会の派遣費と国内外の強化合宿費で全体の半分くらいです。22年5月期はわずかな黒字でしたが、費用と収益でほぼ変わらないところからすると、収益の半分ちょっとを占めていた補助金が、ほぼこの国際大会の派遣と国内外の強化合宿に掛った費用に相当することになります。

これは補助金がないと強化合宿が出来ないという意味である一方、補助金なくても強化が止まるし国際大会に行けなくなるだけで、国内の大会開催などは成り立つ程度に収入があるので、ある種身の丈にあった強化をしている、というところもあるのかな、と見て取れます。

また、上記の収入の方で競技者登録料の減少から、競技人口が減っているのではないかということも記しましたが、普及啓発事業への費用の投入は全体の0.5% 金額にして130万円ほどと非常に小さなものにとどまっている状態にあります。

前期と比べて増えた費用は国際大会派遣事業費と海外強化合宿事業費でした。コロナで海外に行けなかったというのがはっきり出ています。

 

日本カーリング協会2022年5月期合宿費用の比率

では、その強化合宿の費用は誰に掛けられているのか、というのを見てみました。海外と国内、そして男女ミックス、それぞれ見ています。区分無しというのは男子とか女子とか区分せずにナショナルチーム強化合宿のような表記になっているものです。実際には表記がないだけで男子だったり女子だったりだけのものもあれば、男女両方いるものもおそらくあります。

区分無しが国内海外で合わせて21%ありますが、それを入れても女子が全体の46%を占め、男子とはっきり記載されている29%と比べるとだいぶ差があります。ここに差があるから結果に差があるのか、結果に差があるから強化費用に差が出るのか。鶏が先か卵が先か。ミックスは男子と比べてもだいぶ少ないですが、これはいつもは男子あるいは女子のチームで活動している選手が、大会直前に組んで試合に出る、という形がトップ選手だと多いからということかと思われます。

なお、ここで取り上げた合宿費用の合計は8,800万円ほどで、その外数として大会派遣関係の費用が4,500万円ほどあります。強化と派遣合わせると1.23億円ほどになるわけですが、これはスケート連盟の中のショートトラック部門の1.17億円とほぼ同じくらいになり、フィギュアスケート部門の3.27億円からすると4割弱になります。収益規模の割には結構強化に費用が使えているな、とも見えますがこの辺は補助金の効果ということかと思いました。一方で、あれだけ稼いでいるんだからフィギュアスケートにもう少し強化費費やしてもいいよね、と思うのと、同じくらいの強化費でオリンピックのメダルをカーリングが獲っているのだから、ショートトラックももうちょっと頑張ろうね、というのも思います。

 

カーリング協会としては、オリンピックで初めて決勝に残るまでのチームをつくることができた記念すべきシーズンとなりました。一方で、金銭面ではあまり潤沢な状態ではないこともわかります。補助金があるので強化にはそれなりの金額を出せてはいますが、自力で稼ぐことが出来ていないので完全に補助金頼みになっています。あまり金儲けに励むのもよくはないとは思うのですが、お金があればいろいろできるのも事実。せっかくそれなりに人気もあり結果も出ている競技ですので、集金力を増やして、選手達の金銭的負担を減らしたり、普及に力を入れたりすることができればと思います。

 

 

全日本ジュニア22 まずは2連覇

ジュニアグランプリファイナルの前哨戦のような全日本ジュニアが行われました。女子は2人、男子は3人、ファイナリストが出場しています。

 

○女子シングル 上位24名

Pl Name Nation Total SP FS
1 島  田  麻  央 木下アカデミー 199.19 66.52 132.67
2 千  葉  百  音 東北高校 193.15 65.72 127.43
3 中  井  亜  美 MFアカデミー 190.70 65.12 125.58
4 櫛  田  育  良 木下アカデミー 184.29 62.32 121.97
5 柴  山      歩 木下アカデミー 184.28 65.39 118.89
6 奥  野  友莉菜 駒場学園高校 166.32 60.45 105.87
7 髙  木      謠 MFアカデミー 166.07 61.44 104.63
8 村  上  遥  奈 木下アカデミー 163.65 57.52 106.13
9 穂  積  乃  愛 駒場学園高校 161.47 57.22 104.25
10 和  田  薫  子 グランプリ東海クラブ 158.58 57.37 101.21
11 清  水  咲  衣 大阪スケート倶楽部 150.89 51.77 99.12
12 河  野  莉々愛 木下アカデミー 149.96 54.05 95.91
13 上  薗  恋  奈 LYS 148.99 56.17 92.82
14 山  田      恵 木下アカデミー 144.03 48.76 95.27
15 岡  万佑子 ROYCE' F・S・C 142.99 52.99 90.00
16 田  邊  桜  香 星槎国際横浜 140.61 46.91 93.70
17 鴨  井  彬莉彩 パピオフィギュアクラブ 138.05 45.22 92.83
18 杉  山  菜  那 京都宇治FSC 136.39 54.81 81.58
19 今  関  友梨香 MFアカデミー 136.11 51.20 84.91
20 中  尾      歩 埼玉アイスアリーナFC 136.04 44.60 91.44
21 瀬  川  穂  乃 仙台FSC 129.23 46.63 82.60
22 花  田  実  優 宇都宮フィギュアC 126.75 47.89 78.86
23 長  岡  柚  奈 藤女子 122.52 45.20 77.32
24 宮  本  琉  花 白鳥T・FSC 120.83 44.90 75.93

島田麻央選手が2連覇を達成しました。全日本ジュニア2連覇は樋口新葉選手以来7年ぶりとなります。過去には3連覇というのが安藤美姫さん、荒川静香さんと2人います。あと3年はジュニアに閉じ込められることになる島田選手、連覇を続けることができるでしょうか? フィギュアスケートにはあまりない概念ですが、199.19は全日本ジュニアの大会新記録となります。200点超えると思ったのですが、そこまでは届きませんでした。

2位には千葉百音選手が入りました。2年連続表彰台。来シーズンにはシニアに上がるのではないかという実績をもっているので、全日本ジュニアを勝って終わりたいところにも思いましたがわずかに届きませんでした。193.15は千葉選手の国内最高スコアです。

3位にはMFアカデミーから中井亜美選手。昨年の7位から順位を上げて表彰台に乗ってきました。190.70はやはり自身の国内最高スコア。表彰台ラインが190点を超えるというのは史上初。レベルの高い試合になりました。

櫛田育良選手が僅差の4位。ジュニアグランプリ勢ではただ一人、この試合で国際大会含めた自身の最高スコアを出しました。ジュニアグランプリの2戦目をもらえなかったあたりから少し調子を落としていたようにも感じましたが復調してきています。ジュニア2年目で初の全日本となりました。

柴山歩選手が5位でした。ショート3位でしたが残念ながら表彰台に届かず。4位とは0.01差。ダブルアクセルが抜けてシングルになったのが痛かったです。今シーズン6試合滑ってフリーは最低で118.32 最高で121.55 もう一伸びさせてトータル200点に近づいていきたい柴山選手です。2年連続全日本出場権を得ました。

全日本選手権の出場枠は今年は8に広がっています。奥野選手、高木選手、村上選手とその椅子を掴みました。結局ショート8位までがそのままトータルでも8位に入り逆転はなし。村上遥奈選手はペアと合わせてダブル全日本となりました。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A<< <<F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
2 4T   9.50   2.09 11.59 2.286
3 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
4 FSSp4   3.00   0.72 3.72 2.429
5 3F+2A+SEQ   8.60   1.27 9.87 2.429
6 ChSq1   3.00   1.20 4.20 2.286
7 3S+3T+2T   10.78 X 0.77 11.55 1.714
8 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 2.000
9 3Lzq q 6.49 X -0.47 6.02 -0.857
10 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
11 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.000
  TES   66.36   8.57 74.93  

島田選手は冒頭トリプルアクセルで転倒。今シーズン、トリプルアクセル成功率100%だったのですがここで失敗。次のジャンプは今シーズン一度も成功がない4回転トーループ。この瞬間連覇に黄色信号が灯っていました。そんな状態から4回転トーループを成功。平均GOE+2.286はこれまでの最高評価です。以降のジャンプもルッツのqくらいでほぼミスなく成功させ2連覇を飾ります。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。基礎点は66.36 トリプルアクセルが飛べていれば71.06まで基礎点は出ますが、この66.36でもかなり高い水準です。

基礎点をさらに上げるには手っ取り早いのはダブルアクセルのシークエンスを1.1倍に入れること。これで0.33上げられますし、3連続を+2A+2Aにして、セカンド3Tは2連続で2回使うという形にすればさらに基礎点はあがります。それ以上上げていくには、トリプルアクセルか4回転トーループの2本目投入、ということになっていきます。

優勝スコアは200点を超えていくだろうと思ったのですが199.19 技術点の方はトリプルアクセルの転倒は仕方ないにしてもダウングレードにまでなって基礎点が大きく削られたのが痛かったです。そしてPCSも転倒1で同じ条件だったジュニアグランプリの1戦目と比べてもだいぶ低めでした。

今シーズンここまで無敗。この後ジュニアグランプリファイナルに全日本と続きますが、そこまで無敗を続けて行ってしまう可能性も感じます。

 

○千葉百音選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.42 11.52 2.429
2 2A   3.30   0.66 3.96 1.857
3 3S   4.30   0.69 4.99 1.429
4 FCCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
5 3Fq q 5.30   -0.42 4.88 -0.857
6 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 1.857
7 CCoSp4   3.50   0.84 4.34 2.429
8 3F+2A+SEQ   9.46 X 0.95 10.41 1.714
9 3Lz+2T+2Lo   9.79 X 0.12 9.91 0.143
10 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.857
11 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.143
  TES   60.34   8.36 68.70  

千葉選手のフリーはほぼノーミス。フリップのqだけがわずかなミスと言えるものでした。2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。基礎点60.34は135.66をマークしたジュニアグランプリの1戦目と同じ自身の最高基礎点です。

ここから基礎点上げていくには1.1倍をもう少しハードモードにする、というのと、スピンがレイバックスピンでやや基礎点低めなのでそこを変えていくことができるかというくらいで、それ以上は高難度ジャンプの投入となっていきます。4回転トーループ待ちかもしれませんが、今シーズン中に間に合ってくるかどうか。

千葉選手もフリーでほぼノーミスの割には130点まで届かず。ジュニアグランプリのいい時と比べるとPCSで5点ほど低い評価ですし、1つ1つの要素の評価もジュニアグランプリよりGOEにして0.5から1くらい低めなところで、スコアが伸び切らない形になりました。

千葉選手は全日本に世界ジュニアの出場権を賭けることになりますが、年齢的には四大陸あるいは世界選手権も表彰台に乗れば無くはないという位置です。2枠しかない世界ジュニア代表枠に入れるか、あるいは4大陸か。はたまたインターハイからB級大会巡りか。オリンピックチャンピオンの系譜を継ぐ東北高校2年生のシーズン後半は全日本次第となりました。

 

○中井亜美選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.76 9.76 2.143
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.714
3 3Lo+2A+SEQ   8.20   0.69 8.89 1.286
4 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
5 2A   3.30   0.59 3.89 1.571
6 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.32 11.43 0.571
7 CCoSp4   3.50   0.63 4.13 1.714
8 3Lo F 5.39 X -2.45 2.94 -4.857
9 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.000
10 LSp4   2.70   0.49 3.19 1.714
11 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
  TES   64.79   5.99 70.78  

中井亜美選手はフリー冒頭トリプルアクセルをきれいに決めてきました。これでジュニアグランプリの2戦目、東日本、全日本ジュニアと3試合連続成功です。今シーズン6回飛んでまだ転倒がなく最低でも4.64というスコアを出していますので、多少ミスしてもダンブルアクセルよりお得というジャンプに出来ています。

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。基礎点64.79は優勝したジュニアグランプリ2戦目と同じ、自身の最高基礎点になります。ここから基礎点を上げるには3Lo+2Aを3Lo+2Tにして、3連続を3F+2A+2Aに変え、単独2Aのところに単独3Sを入れる、というパターンがあり得て1.1倍にどれを入れるかで変わりますが、少なくとも1Euが2Tに代替されることでその分の基礎点は上がります。今の持ち札で基礎点を上げるにはあとは1.1場合にさらにつぎ込むのとスピンの組み合わせがレベル4でも基礎点9.20までしか出ないものなので変えていくことというのはあります。それ以上はトリプルアクセル2本目投入が求められますが、中井亜美選手の場合はトリプルアクセル2本目が1番早いのかもしれません。

中井選手はPCSが55点台で上二人と少し差が付きました。ジュニアグランプリのノーミス優勝の60点台と差が出るのは仕方ないですが、ミスがあった1戦目の58点台と比べても低い評価を付けられています。

こうしてスコアを見るとループをしっかり決めていれば2位でしたし、トリプルアクセル2本目投入のノーミスが出来ていれば優勝までありました。

中井選手は年齢的に4大陸などシニアの試合はありえませんので、全日本で2枠目の世界ジュニア出場を目指すことになります。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア(上位15名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 島  田  麻  央 199.19 86.93 73.47 7.86 24.82 7.11
2 千  葉  百  音 193.15 88.40 65.59 5.36 24.17 9.63
3 中  井  亜  美 190.70 83.59 71.38 6.12 22.32 8.29
4 櫛  田  育  良 184.29 83.59 64.74 6.58 20.86 8.52
5 柴  山      歩 184.28 83.66 62.84 6.58 23.08 8.12
6 奥  野  友莉菜 166.32 85.33 48.03 5.16 19.98 7.82
7 髙  木      謠 166.07 78.19 59.13 5.43 15.06 8.26
8 村  上  遥  奈 163.65 71.33 63.67 1.52 19.37 7.76
9 穂  積  乃  愛 161.47 76.80 50.69 4.04 22.06 7.88
10 和  田  薫  子 158.58 69.75 61.48 -0.84 21.86 7.33
11 清  水  咲  衣 150.89 69.14 59.59 -3.74 19.29 6.61
12 河  野  莉々愛 149.96 67.55 56.34 -0.02 19.27 6.82
13 上  薗  恋  奈 148.99 68.34 59.85 -4.70 20.94 6.56
14 山  田      恵 144.03 63.74 62.94 -7.52 21.22 5.65
15 岡  万佑子 142.99 65.60 52.77 -2.89 20.71 7.80

要素別を見るとPCSは千葉百音選手がトップでした。島田選手が2番目で3番目には6位に入った奥野選手が続きます。ジュニアグランプリ組の後の3人は83点台半ばでほぼ同じ評価です。ジュニアグランプリ組の5選手の中でPCSでジュニアグランプリのいい方の試合も上回った選手は誰もいません。なかなか厳しい評価です。

ジャンプの基礎点は島田麻央選手がトップ。中井亜美選手も肉薄しています。70点を超えるジャンプの基礎点は今シーズンシニアまで含めてもこの二人の他には日本勢では吉田陽菜選手しかいません。3番目が高難度ジャンプがないながらも千葉百音選手が来ます。PCS3位の奥野選手はジャンプの基礎点は低めでした。

ジャンプの加点は島田選手がトップですが、3,4,5位の3人が6点台でそれに続き、5点台も3人います。ここがプラスの選手がたくさんいる試合というのは国際大会でも珍しいくらいなもので、今大会の質の良さを感じられるものでした。

スピンは島田選手がトップで千葉選手が2番目、二人は24点台で世界のトップクラスです。柴山選手が23点台で続きます。

ステップ系要素は千葉選手がトップ。櫛田選手が2位でした。島田選手はショートでミスをしてレベル2になったことでここの要素は伸びていませんでした。

 

○男子シングル 上位24名

Pl Name Nation Total SP FS
1 吉  岡      希 法政大学 209.57 71.84 137.73
2 片伊勢 武 アミン 関西大学 208.22 83.27 124.95
3 佐々木  晴  也 京都大学 207.96 67.31 140.65
4 中  村  俊  介 木下アカデミー 196.92 70.28 126.64
5 中  田  璃  士 MFアカデミー 190.24 63.26 126.98
6 垣  内  珀  琉 ひょうご西宮FSC 180.73 63.39 117.34
7 周  藤      集 MFアカデミー 179.85 60.65 119.20
8 田  内  誠  悟 名東FSC 179.25 51.77 127.48
9 高  橋  星  名 木下アカデミー 179.16 60.79 118.37
10 菊  地  竜  生 目黒日本大学高等学校 178.03 63.92 114.11
11 森  本  涼  雅 木下アカデミー 177.70 57.96 119.74
12 西  野  太  翔 神奈川FSC 170.74 56.37 114.37
13 朝  賀  俊太朗 木下アカデミー 166.06 55.28 110.78
14 名  倉  一  裕 大阪スケート倶楽部 164.78 57.86 106.92
15 花  井  広  人 邦和みなとスケート部 154.34 51.62 102.72
16 佐  藤  和  那 邦和みなとスケート部 153.91 50.58 103.33
17 芳  岡  優  希 LYS 152.83 49.15 103.68
18 大  村  健  太 岡山FSC 150.29 51.81 98.48
19 北  村  凌  大 日本大学 144.31 53.90 90.41
20 小  島  志  凰 浪速中・高スケート部 142.64 48.96 93.68
21 本  田  大  翔 東北高校 139.27 53.89 85.38
22 小田垣      櫻 目黒日本大学高等学校 137.34 49.61 87.73
23 三  原  庸  汰 ノイエス金沢FSC 135.76 49.78 85.98
24 三  島  舞  明 名古屋FSC 133.84 51.28 82.56

優勝は昨シーズン3位の吉岡希選手でした。前年に表彰台に乗った選手が強い、というジンクスというか実績通りというか、その通りに勝ちました。世界ジュニアの代表内定です。ショートで点差がある2位。フリーも中盤以降自分のミスが目立っていたこともあり、滑り終わった時点では優勝はイメージしていなかったようですが、結果としてジュニア最終年で優勝を果たしました。

2位にはショート1位の片伊勢武アミン選手。フリーで崩れてしまい痛い逆転負けです。11.43差は安全圏かと思われたのですがリードを守り切れませんでした。ジュニアグランプリファイナルでリベンジを目指すことになりますし、全日本で世界ジュニアを目指すことにもなります。

3位にはジュニアグランプリ勢に割って入った佐々木晴也選手。フリーは1位の演技。もう少しで優勝までありました。

これで結局表彰台は全員大学生が占めるという珍しい全日本ジュニアになりました。

4位から8位まではジュニアグランプリ組が占めました。全日本進出ラインは179.25 9位の高橋星名選手は0.09差。際どい所で全日本に届きませんでした。(高橋星名選手はノービスでした。8位に入っていても推薦券はありません)

 

○吉岡希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   -0.57 8.93 -0.571
2 4T+3T   13.70   1.14 14.84 1.143
3 3A   8.00   -0.32 7.68 -0.429
4 FCSp2   2.30   -0.18 2.12 -0.857
5 3Lo   4.90   -1.47 3.43 -3.143
6 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.28 15.36 1.571
7 3F!+2Aq+SEQ !F 9.46 X -2.65 6.81 -5.000
8 ChSq1   3.00   0.50 3.50 1.000
9 3Lz   6.49 X 0.00 6.49 0.000
10 CSSp4   3.00   0.00 3.00 0.000
11 CCoSp3V   2.25   0.05 2.30 0.286
  TES   76.68   -2.22 74.46  

吉岡選手はフリーに4回転2本を入れていてこれを2本とも降りました。トリプルアクセルも2本ありどちらも着氷。高難度ジャンプはしっかり決めてきたのですが単独のループでミス、さらに1.1倍のシークエンスで転倒。そこで? というところでミスが重なり、滑り終わったところではいまいちだったな、という印象になっています。ただ、基礎点の高いジャンプが成功していたことでトータルスコアは上に出ました。

基礎点76.68は自身の最高基礎点です。アンダーローテーションも一つもなかったというのが最後に勝ち残った一つの要因とも思います。ただスピンの基礎点で取れていない部分があるのでそこをレベル4に持っていけると1.95基礎点が上がり78.63にまでなります。シニア構成なら基礎点80点に乗ってきて日本のトップで争える水準になってきます。

吉岡選手はジュニアグランプリファイナルが決まっています。ファイナルも混戦なので表彰台さらにはノーミスなら優勝のチャンスもある。優勝すれば来期のグランプリ1枠が入りますし、代表になった世界ジュニアで表彰台でも1枠入って来る。来期はシニアに上がりますので、国際大会で活躍できるスケーターになるか、国内が主な活動場所になるか、この後の2つの大きな大会で決まって来る、勝負のときになりそうです。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 吉  岡      希 209.57 96.67 89.62 1.89 15.93 6.46
2 片伊勢 武 アミン 208.22 106.42 65.19 3.80 24.54 9.27
3 佐々木  晴  也 207.96 96.83 75.23 6.10 22.53 7.27
4 中  村  俊  介 196.92 97.67 83.16 -6.49 18.84 5.74
5 中  田  璃  士 190.24 97.34 63.82 3.76 18.23 8.09
6 垣  内  珀  琉 180.73 91.33 71.45 -2.91 16.09 6.77
7 周  藤      集 179.85 96.52 62.13 -6.94 20.78 8.36
8 田  内  誠  悟 179.25 92.58 59.42 1.53 20.66 6.06
9 高  橋  星  名 179.16 85.33 61.42 3.94 21.45 7.02
10 菊  地  竜  生 178.03 93.24 65.08 -6.46 18.44 7.73
11 森  本  涼  雅 177.70 86.66 65.90 -1.89 21.27 6.76
12 西  野  太  翔 170.74 85.16 62.93 -1.61 20.10 5.16

PCSは片伊勢武アミン選手がダントツでした。2番目が中村俊介選手ですが9点近い差があります。

ジャンプの基礎点は吉岡選手がトップ。中村俊介選手が2番目でこの二人が80点台を出しています。今シーズンの国際大会でジュニアのトップは吉岡希選手の83.29でしたから、吉岡選手は自身のスコアを大きく上回り、中村選手もそれに近いスコアです。一方、片伊勢選手はフリーのミスが大きくここのスコアが伸びませんでした。

ジャンプの加点は佐々木晴也選手がトップ。3位表彰台の原動力となりました。2番目は総合9位の高橋星名選手。もうひと伸びで全日本でしたが・・・。片伊勢選手は3番目。トリプルアクセル以外のジャンプはダウングレードの形で点が削られていたのでGOEはそれほど痛んでいない形でした。

スピンは片伊勢選手が24.54でトップ。これは国際大会で上位に来る水準です。佐々木晴也選手が22点台で2番手。優勝した吉岡選手は15.93で19位でした。

ステップ系要素も片伊勢選手がトップ。周藤集選手が2番目です。吉岡選手は6.46で17番目。スピンステップが伸びていません。片伊勢選手とはスピンステップで11.42もの差があります。ファイナルではここはもう少し何とかしたいところです。

PCSとスピンステップで片伊勢選手が稼ぎ、ジャンプの基礎点で吉岡選手、ジャンプの加点で佐々木選手でしたが、最終的に僅差で吉岡選手が勝った、という全日本ジュニアでした。

 

これで今シーズンの全日本選手権、全エントリー選手が確定しました。グランプリシリーズも終わりましたし、この後はジュニアとシニアのグランプリファイナルに全日本という12月に突入していくことになります。

 

 

 

グランプリエスポ― 6連続表彰台

グランプリシリーズも早6戦目、最終戦まで来ました。日本勢はここまで男女ともに全試合表彰台に乗っています。そして、この最終6戦目も表彰台に乗ってきました。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mai MIHARA JPN 204.14 73.58 130.56
2 Loena HENDRICKX BEL 203.91 74.88 129.03
3 Mana KAWABE JPN 197.41 67.03 130.38
4 Rika KIHIRA JPN 192.43 64.07 128.36
5 Madeline SCHIZAS CAN 187.84 65.19 122.65
6 Lindsay THORNGREN USA 183.23 65.75 117.48
7 Anastasiia GUBANOVA GEO 166.57 56.03 110.54
8 Bradie TENNELL USA 163.98 60.64 103.34
9 Jenni SAARINEN FIN 155.64 59.69 95.95
10 Janna JYRKINEN FIN 154.45 42.89 111.56
11 Linnea CEDER FIN 151.91 55.63 96.28
12 Eva-Lotta KIIBUS EST 138.89 49.27 89.62

三原舞依選手が2連勝となりました。三原選手が滑り終わった時点では、ミスも出ていたしこのスコアでは厳しいかな、と思われたのですがヘンドリックス選手もミスを連発。結果として三原選手が逆転優勝です。これでグランプリファイナル進出決定であり、すなわち西日本選手権から始まる隔週の5連戦が確定したことでもあります。全日本で疲れのピークが来なければよいのだけどと外野は心配してしまいますが、そんなことは考えずに、まずはグランプリファイナルに全力を尽くすという選手なようにも感じます。

ヘンドリックス選手は2位。ベルギー選手権を先週こなしていて、楽勝とはいえ連戦。コンディションはあまりよくなかっただろうと思われます。ファイ夏の次はヨーロッパ選手権まで間が空きますから、ファイナルにまずすべて合わせてくるでしょう。

河辺愛菜選手が3位に入りました。トリプルアクセル無し構成で表彰台。一つ自信になったというか少し自信を取り戻したというか、そんな試合になったのではないかと思います。フリーのPCSは66.55まで出て、昨シーズンのNHK杯も上回り自己ベストです。樋口先生も全日本ジュニアを置いてついてきた甲斐がありました。

紀平梨花選手が4位に入ってきました。フリーは技術点トップ。上々の出来ではありましたがPCSはスケートカナダより下げられていて思ったほどは点が出なかった印象でもありました。

ファイナルを争ったグバノワ選手は7位。調子が悪い感じが出てしまっていてファイナルの椅子には座れず。次はヨーロッパ選手権の表彰台を目指すことになりそうです。

紀平選手同様復帰シーズンのテネル選手は8位。まだまだ本調子からは遠い模様ですが全米選手権まで一カ月半ほどはあります。そこまでにどこまで戻してこられるでしょうか。

 

三原舞依選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.94 4.24 2.778
2 3Lz+2T+2Lo   8.90   1.18 10.08 2.000
3 3S   4.30   1.17 5.47 2.667
4 2F<< <<  0.50   -0.25 0.25 -5.000
5 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.111
6 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
7 2A+3Tq q 8.25 x -0.18 8.07 -0.556
8 3Lzq+2T q 7.92 x -0.59 7.33 -1.000
9 3Lo   5.39 x 0.70 6.09 1.333
10 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.556
11 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.333
12 FCCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.444
  TES   55.46   8.46 63.92  

三原選手のフリーの構成はイギリスから少し変わっていました。2つ目に3連続が入っています。イギリスの時はここが3-3で8番目が3連続でした。この位置に3連続はリカバリーでもないですし何となくつけたということもあり得ないですし、意図的に動かしたということだと思われます。8番目が3-3ではなく3-2なので、構成を少し落としたということでしょうか。調子が悪いという認識でそうしたのかもしれませんし、あるいは8番目を3-3にして構成を上げるのが本来の目的だったのかもしれませんし、どちらなのかは判別できません。

基礎点合計は55.46 フリップが抜けたのが大きくここで4.80基礎点が下がっています。8番目が3-3にするつもりだったのであれば、そこで基礎点は3.19基礎点は上がるのでノーミス基礎点は7.99上がって63.45になります。イギリスの時は63.33ですから、少し基礎点が上がる計算でした。

三原選手はGOE±5のルールに変わってからISU公認の国際大会では200点を下回ったことがまだありません。ISU非公認扱いになった2年前のNHK杯では194.73でしたがこれが唯一の例外です。極めて高い安定感を見せています。そんな中で今回フリーで130.56というのは昨年のジャパンオープンに次いで低いフリーのスコア。珍しくはっきりしたミスが見られた試合となりました。そんなミスが出ても優勝。割と運に恵まれない選手という印象だったわけですが、ここにきて少し風が吹いてきたのかな、とも思われる試合でした。

 

○河辺愛菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.80 4.10 2.556
2 3Lz!+3T+2T ! 11.40   0.17 11.57 0.222
3 3Lo   4.90   0.77 5.67 1.667
4 2A   3.30   0.66 3.96 2.000
5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
6 3Lz!q+3Tq ! 11.11 x -2.70 8.41 -4.556
7 FCSp4   3.20   0.69 3.89 2.222
8 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
9 3Fq+2T< 6.97 x -2.42 4.55 -4.444
10 3S   4.73 x 0.80 5.53 1.778
11 CCoSp3   3.00   0.51 3.51 1.667
12 SSp4   2.50   0.43 2.93 1.667
  TES   61.31   2.52 63.83  

河辺愛菜選手は今シーズンここまでトリプルアクセルを入れていません。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。基礎点は61.31でした。トリプルアクセル無し構成では過去最高の基礎点になっています。2Tのアンダーローテーションとスピンで一つレベル3というのがあるのでノーミス基礎点は0.79上がって62.10になります。

全体通していい演技に見えたのですが、GOEで著しく下げられているのが2つ。6番目の要素は!にq2つとマークがつきまくって平均GOE-4.556 9番目のコンビネーションもqと<が揃って平均GOE-4.444 この2つのジャンプをしっかり飛んでいれば優勝までありました。今大会ショートのルッツも!なので、3回飛んだルッツがすべて! 実はフランス杯でも3回飛んだルッツすべて!ですのでグランプリシリーズで6回飛んだルッツがすべて!ということになりました。またフリップが今回はショートフリーどちらもq フランスでもフリーではqでした。ルッツとフリップからマークが外せれば全体で5点くらい上げられますので、トリプルアクセル入れるよりもそちらに取り組んでいく方が先かもしれません。

今回表彰台という結果をだして、しっかり存在をアピールしました。これで来期のグランプリで少なくとも1枠は確保できたと思います。普通は2枠来るのですが日本は層が厚い。NHK杯地元枠除くと合計17枠しか1カ国では取れないのですが、樋口選手紀平選手も来期2枠あるという前提で計算すると、河辺選手に2枠目が回ってこない可能性が結構あります。厳しいなあ日本。自力でどうにかするには全日本の好結果が求められるわけですが、その期待はこの試合を見る限りではもてそうではあります。

 

紀平梨花選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S   4.30   0.98 5.28 2.222
2 2A+1Eu+3S   8.10   1.17 9.27 2.667
3 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.667
4 3Lo+2T   6.20   0.91 7.11 1.778
5 FSSp4   3.00   0.43 3.43 1.444
6 3F   5.83 x 0.91 6.74 1.556
7 2A+2T   5.06 x 0.57 5.63 1.667
8 3T   4.62 x 0.72 5.34 1.778
9 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
11 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.556
12 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.667
  TES   54.51   10.25 64.76  

紀平選手はスケートカナダから構成が上がってきました。フリップ投入。そしてノーミス。基礎点は54.51 ステップレベル4なら55.11まで出ます。それほど高い基礎点ではないですが、全要素プラス評価でマイナスジャッジなしにより技術点トップでした。

3回転は3種類まであれば、なんとかまともな構成が組めます。ここにフリップが入って4種類目が来たので、セカンドサードのジャンプに3回転を1つ入れられるようになります。紀平選手はそこでセカンドトーループではなく3連サルコウの方を選びました。4回転を飛んだこともあるサルコウがやはり得意なのでしょうか。セカンド3Tにして3Sを1つ目にしたコンビネーションを入れて、3連続を2T+2Loの方が基礎点は高くなるのですが無理はしなかったようです。

2試合続けてフリーほぼノーミス(ステップだけレベル3)を続けてきました。全日本でさらに構成を上げてノーミスすると200点台に乗って来る。場合によっては210点台。世界選手権はいまの紀平選手だと全日本表彰台が選考に乗る条件になるのでちょっと苦しいですが、4大陸くらいまではあるかもしれません。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mai MIHARA 204.14 100.74 58.27 5.57 24.67 14.89
2 Loena HENDRICKX 203.91 104.12 58.82 1.62 25.51 14.84
3 Mana KAWABE 197.41 98.14 64.94 -1.85 21.40 14.78
4 Rika KIHIRA 192.43 94.37 55.12 6.63 22.72 13.59
5 Madeline SCHIZAS 187.84 92.87 55.32 5.78 22.27 11.60
6 Lindsay THORNGREN 183.23 91.92 60.41 -6.05 24.47 13.48
7 Anastasiia GUBANOVA 166.57 89.04 55.84 -7.27 19.42 11.54
8 Bradie TENNELL 163.98 90.52 45.70 -7.24 23.37 13.63
9 Jenni SAARINEN 155.64 85.16 40.99 -1.25 20.77 10.97
10 Janna JYRKINEN 154.45 73.57 50.48 -1.01 20.96 10.45
11 Linnea CEDER 151.91 81.74 44.32 -2.26 18.90 10.21
12 Eva-Lotta KIIBUS 138.89 78.56 36.58 -0.80 15.81 9.74

PCSはヘンドリックス選手がトップでした。三原選手はフリーPCSが伸びずに100.74にとどまりました。河辺選手が3番目。オリンピックシーズンよりPCS上がっている河辺選手です。紀平選手はまだPCSも復活途上です。

ジャンプの基礎点は河辺選手がダントツのトップ。トリプルアクセル抜きでもこのメンバーの中ならジャンプの基礎点が上に来ます。ソーングレン選手が2番目でヘンドリックス選手で3番目です。

ジャンプの加点は構成抑えて加点を稼いだ紀平選手がトップでした。2番目はシザース選手。ジャンプの抜きで基礎点削られながらも跳んだジャンプの出来は良かったシザース選手です。三原選手も同様で3番目にいます。逆に河辺選手は、!やQが効いてGOEはマイナスでした。

スピンはヘンドリックス選手がトップで三原選手が2番目。ソーングレン選手が3番目にいます。紀平選手は前からスピンはそれほど点が出る選手ではありませんでしたが、オールレベル4ならもう少し点が欲しいところ。河辺選手もこの辺でもう1,2点欲しい水準です。

ステップ系要素は三原選手、ヘンドリックス選手、河辺選手と上位3選手が14点台後半とスコアを伸ばしています。三原選手の14.89はグランプリシリーズ6戦のなかで上から2番目のスコアであり、トップのスコアは15.46 イギリスでの三原選手のスコアでした。というわけで、グランプリシリーズ通じて三原選手のステップが最高評価となっています。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ilia MALININ USA 278.39 85.57 192.82
2 Shun SATO JPN 262.21 81.59 180.62
3 Kevin AYMOZ FRA 255.69 88.96 166.73
4 Tatsuya TSUBOI JPN 244.90 78.82 166.08
5 Camden PULKINEN USA 229.92 72.45 157.47
6 Nikolaj MAJOROV SWE 209.55 69.94 139.61
7 Arlet LEVANDI EST 209.50 72.67 136.83
8 Keegan MESSING CAN 205.02 80.12 124.90
9 Valtter VIRTANEN FIN 204.02 69.15 134.87
10 Aleksandr SELEVKO EST 199.47 66.96 132.51
11 Lucas Tsuyoshi HONDA JPN 197.90 67.92 129.98
12 Morisi KVITELASHVILI GEO 196.80 62.42 134.38

また今回もマリニン選手がショート伸びないところからフリーで逆転優勝しました。278.39はスケートアメリカから少しスコアを落としています。フリーではqが3つあって印象ほどはスコアが伸びませんでした。それでも192.82ではあります。ショートフリーで4回転ルッツなしなど調子はあまりよくなかったようですがそれでも順当に勝ちました。ファイナルも勝って時代を築き始めるか、まだ早いと跳ね返されるか。

佐藤駿選手が2位に入ってファイナル出場権を掴みました。ショート終わった時点では、これはダメかと思ったのですが、まわりもスコアが伸びずに3位発進。首位のエイモズ選手が今回は4回転無しが見込まれたのでフリーしっかり滑れば逆転あるか、というところでしっかり滑っての2位確保です。

3位はケビンエイモズ選手。佐藤駿選手を抑えれば同じフランスのアダムシャオイムファ選手がファイナルに行けたところでしたが、まだ本調子ではなく4回転なし、フリーはセカンド3回転も無しではちょっと届きませんでした。滑り自体は素晴らしかったと思います。

4位に壷井達也選手が入ってきました。パーソナルベスト更新。一歩づつ階段上がっているように見えます。

優勝すればファイナルがあったメッシング選手は8位。フリーは記録的な大崩れをしてしまいました。さすがにあそこまで崩れると子供写真アピールタイムもなかったようです。

日本からもう一人本田ルーカス剛史選手は11位。200点に届かないスコアではちょっと苦しい。

グランプリ優勝経験のあるクビテラシビリ選手はショートから崩れフリーも伸びず12位に終わりました。昨シーズンまではモスクワで練習していましたが、今シーズンから離れた模様それだけでが理由でもないのでしょうが、明らかに今シーズンは調子がおかしい。ウクライナ戦争がこんなところにも影響してきてしまっています。

 

○佐藤駿選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lz   11.50   2.96 14.46 2.667
2 4T+3T   13.70   2.04 15.74 2.111
3 3A   8.00   1.26 9.26 1.556
4 FCSp3   2.80   0.32 3.12 1.222
5 4T   9.50   1.63 11.13 1.778
6 CSSp4   3.00   0.73 3.73 2.444
7 3A+2T   10.23 x 1.71 11.94 2.222
8 3F!+1Eu+3S ! 11.11 x -0.30 10.81 -0.556
9 3Lo   5.39 x 1.12 6.51 2.333
10 StSq2   2.60   0.59 3.19 2.222
11 ChSq1   3.00   0.79 3.79 1.556
12 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.556
  TES   84.33   13.40 97.73  

佐藤駿選手は4回転3本構成。それをすべてしっかり決めました。2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセルです。基礎点は84.33 ジャンプで削られた部分はないのですが、スピンステップで1.70基礎点を上げる余地がまだあります。

昨シーズンは4回転のフリップも構成に入っていたのですが今シーズンはまだ入ってきていません。4回転3本だとマリニン選手に肉薄するのは苦しいですが4本になってくるとノーミスなら戦える芽があります。昔、ジュニアの頃には4回転サルコウも跳ぼうとしていました。GOEマイナスの着氷まではあるので、全く飛べないジャンプでもないです。4種類5本までそろえば、あとは出来栄え勝負。今すぐとはいかないまでもミラノオリンピックシーズンまでにはそこまで行けそうです。ただし、その頃マリニン選手は4回転7本とんでそうではあります・・。

 

○壷井達也選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   2.49 12.19 2.444
2 3A   8.00   1.49 9.49 1.889
3 3A+1Eu+3S   12.80   1.71 14.51 2.111
4 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.000
5 StSq3   3.30   0.57 3.87 1.556
6 3Lo   4.90   1.05 5.95 2.111
7 3F+3T   10.45 x 0.98 11.43 1.889
8 3F   5.83 x 0.91 6.74 1.667
9 3Lz!+2T ! 7.92 x 0.08 8.00 0.222
10 CCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.556
11 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.222
12 FCCoSp4   3.50   0.00 3.50 0.111
  TES   75.90   11.56 87.46  

壷井選手は4回転サルコウをクリーンに決めました。平均GOE+2.444は過去最高評価です。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルフリップ。基礎点は75.90 ステップレベル3を4に上げると76.50までは出ます。今回はこの構成で166.08まで出ました。4回転1本でもPCSももう少し上がると思うので170点までは十分出せます。ショートノーミスならトータル255点くらいまで出せます。その上目指すなら4回転2本、さらには2種類目というのが必要となってきそうです。

壷井選手はこの4位のスコアでシーズンベストランク16位まで入ってきました。シーズン終わって24位以内に残るかは微妙ですが、グランプリ2戦で5位4位としっかり結果を出していますし、来シーズンのグランプリ2枠も確保できそうです。

 

○本田ルーカス剛史選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S   4.30   1.17 5.47 2.667
2 1A   1.10   0.00 1.10 -0.111
3 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
4 3Loq q 4.90   -0.56 4.34 -1.111
5 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
6 StSq2   2.60   0.26 2.86 1.000
7 3Lz+3T   11.11 x 1.10 12.21 1.778
8 3F+1A+SEQ   7.04 x -1.06 5.98 -2.000
9 CCoSp3   3.00   0.39 3.39 1.222
10 FCCoSp3   3.00   0.17 3.17 0.444
11 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.333
12 3Lz+2T+2T   9.35 x 0.17 9.52 0.444
  TES   58.80   -0.25 58.55  

本田ルーカス剛史選手はスコアが伸ばせませんでした。4回転は無し構成。冒頭はやがて4回転にするという意志かと思われます。2回飛んだジャンプは結果的にトリプルルッツだけですが、トリプルアクセルも跳びたかったはずです。

最後に3連続を入れたり、序盤の失敗がありながらも最後まで点を取りに行く姿勢はありましたが、それでも技術点50点台だとちょっと厳しい。今シーズンも1枠でしたが、これで来シーズンは枠がなくなりそうに感じます。国内戦でトリプルアクセルをショートフリー3本決めるところから出直しになるのかと思います。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Ilia MALININ 278.39 124.77 115.71 3.87 20.89 13.15
2 Shun SATO 262.21 121.78 100.53 7.56 22.31 11.03
3 Kevin AYMOZ 255.69 134.54 72.58 8.68 24.50 15.39
4 Tatsuya TSUBOI 244.90 115.24 88.41 7.54 21.93 11.78
5 Camden PULKINEN 229.92 120.88 74.58 3.29 18.67 12.50
6 Nikolaj MAJOROV 209.55 111.54 65.83 0.25 21.66 12.27
7 Arlet LEVANDI 209.50 113.22 71.43 -5.95 22.77 11.03
8 Keegan MESSING 205.02 124.86 65.05 -14.09 18.57 12.63
9 Valtter VIRTANEN 204.02 108.87 59.44 1.89 22.01 12.81
10 Aleksandr SELEVKO 199.47 112.01 63.57 -5.78 19.99 12.68
11 Lucas Tsuyoshi HONDA 197.90 107.61 67.01 -5.13 20.02 10.39
12 Morisi KVITELASHVILI 196.80 110.73 76.02 -16.78 19.91 10.92

PCSはケビンエイモズ選手が一人だけ抜けています。9点平均近く出してきました。2番目はトータルスコアは伸びなかったメッシング選手。マリニン選手は3番目です。

ジャンプの基礎点は当然マリニン選手が頭抜けているのですが、佐藤駿選手も100点に乗せました。100点に乗せたのは今シーズン5人目。全員ファイナル進出者だったりします。3番目は4回転1本ながらミスがなかった壷井選手が続いています。

ジャンプの加点はエイモズ選手がトップでした。構成落としてますが出来は良かった。佐藤駿選手が2番目で壺井選手が3番目に続きます。qのオンパレードだったマリニン選手はここが伸びていません。このジャンプの加点が伸びていかない限りはまだ他の選手も手が届きます。

スピンはエイモズ選手がトップ。23点台がいなくて22点台でエストニアのレバンディ選手が2番目です。マリニン選手は20点台と伸びませんでした。

ステップ系要素はエイモズ選手が15.39で断トツ。今シーズン全体で3位です。マリニン選手が13点台で2番目でした。佐藤駿選手や壷井選手は11点台。ここはもう少し伸ばしたい要素です。

 

これでグランプリシリーズ6戦が終了しました。一週空いてグランプリファイナルへ進みます。

一応確認しておくと、ファイナル進出者は男子は、イリアマリニン、宇野昌磨、三浦佳生、山本草太、ダニエルグラスル、佐藤駿の6選手。女子は三原舞依、ルナヘンドリックス、坂本花織、キムイェリム、イザボーレヴィト、渡辺倫果の6選手になります。

男子は日本から4人、女子も3人。シングルは日本が過半数を占めるということになりました。男子は日本勢表彰台確定です。

非常に楽しみではあるのですが、まずは、3年ぶりのグランプリファイナルが、問題なく開催されること、というのを祈り、そして、コロナ欠場なく全員出場できることを願います。

 

全日本ジュニア22 男子シングルプレビュー

前回は女子シングルのプレビューでしたが今回は引き続いて男子シングルです

 

○男子シングルエントリー者今シーズンのベストスコア

  Name Nation Total SP FS
1 Takeru Amine KATAISE JPN 234.24 79.06 155.18
2 Nozomu YOSHIOKA JPN 219.68 72.03 147.65
3 Shunsuke NAKAMURA JPN 219.65 77.68 141.97
4 Rio NAKATA JPN 200.41 76.15 124.26
  (吉  岡      希) 法政大学 197.73 66.68 131.05
5 朝  賀  俊太朗 木下アカデミー 196.14 69.46 126.68
  (中  村  俊  介) 木下アカデミー 194.94 73.89 121.05
6 垣  内  珀  琉 ひょうご西宮FSC 191.04 58.46 132.58
7 Ryoga MORIMOTO JPN 188.66 69.46 119.20
  (中  田  璃  士) MFアカデミー 187.70 70.05 117.65
8 周  藤      集 MFアカデミー 184.09 63.23 120.86
  (Tsudoi SUTO) JPN 183.30 69.64 113.66
9 佐々木  晴  也 京都大学 180.56 56.04 124.52
  (片伊勢 武 アミン) 関西大学 179.41 64.25 115.16
10 Seigo TAUCHI JPN 179.11 64.47 114.64
  (Haru KAKIUCHI) JPN 178.01 64.58 113.43
  (田  内  誠  悟) 名東FSC 177.71 60.76 116.95
11 蛯  原  大  弥 明治神宮外苑FSC 176.89 60.05 116.84
12 菊  地  竜  生 目黒日本大学高等学校 176.50 62.27 114.23
13 三  島  舞  明 名古屋市立冨士中学校 169.61 66.42 103.19
  森  本  涼  雅 木下アカデミー 168.18 60.67 107.51
14 名  倉  一  裕 大阪スケート倶楽部 165.74 56.70 109.04
15 高  橋  星  名 木下アカデミー 164.90 53.41 111.49
16 芳  岡  優  希 LYS 157.05 52.96 104.09
17 小  島  志  凰 浪速中・高スケート部 156.65 46.80 109.85
18 木  村  智  貴 西武東伏見FSC 156.09 53.34 102.75
19 磯  和  大  智 京都宇治FSC 155.96 52.35 103.61
20 北  村  凌  大 日本大学 153.21 53.36 99.85
21 本  田  大  翔 東北高校 152.51 49.77 102.74
22 小田垣      櫻 目黒日本大学高等学校 148.28 50.35 97.93
23 大  村  健  太 岡山FSC 146.94 50.15 96.79
24 佐  藤  和  那 邦和みなとスケート部 146.74 50.09 96.65
25 垂  水  爽  空 パピオフィギュアクラブ 146.72 46.83 99.89
26 三  原  庸  汰 ノイエス金沢FSC 143.93 48.80 95.13
27 鈴  木  零  偉 法政大学 142.77 52.65 90.12
  西  野  太  翔 神奈川FSC 107.65   107.65
  花  井  広  人 邦和みなとスケート部 96.60   96.60

男子は29人がエントリー。ノービスからの推薦選手が3人にとどまったことによります。

国際大会出場者は国際大会のベストと国内のベストとそれぞれ入れてあり、スコアの高い方で順位は付けています。女子と異なり男子は国内の方がスコアが高いという選手が何人かいました。ノービスからのエントリー組ではショートフリーと入るジュニアの公式戦を今シーズン積んでいない選手が2人いるのでそちらはフリーのみのスコアで記載です。

ジュニアグランプリファイナル組が上位を占めます。当たり前と言えば当たり前ですが。200点に乗っているのはもう一人、今シーズンジュニアに上がった中田璃士選手です。

国内組では西日本で優勝した朝賀俊太朗選手がトップで全体の5番目のスコアを持っています。この辺までは表彰台争いのチャンスがあるでしょうか。

全日本進出枠は8 その8番目のラインは184.09となっています。ジュニアグランプリ派遣組は8人いますが、その8人に割って入って上位8番までにいる国内組は朝賀選手1人だけです。9番目に京都大学の佐々木選手がいます。

12位の菊地選手までが170点台を出しています。このあたりまでが全日本進出を争う選手となって来るかと思われます。

 

○シーズンベスト上位6名のフリーの構成

  片伊勢武アミン 吉岡希 中村俊介 中田璃士 朝賀俊太朗 垣内珀琉
1 3A+3T 4T+2T 4T 3A 2A 4T
2 3A 3F 3A 3T+3T 3Lz+3T 3Lo
3 3F 3A CSSp4 FCSp4 3Lo 3Lz+3T
4 CCoSp4 FCSp2 3Lz+3T 2Lz CSSp4 FCSp3
5 3Lo 3Lo 3F 3F 3F 3F!
6 3Lz 4T 3A+3T 2A+1Eu+2S FCSp4 3S+2A+SEQ
7 2A+3T 3A+1Eu<<+2S ChSq1 CSSp3 3Lz 2A+3T+2T
8 3S+2A+2T+SEQ ChSq1 FCSp2 3Lo+2A+SEQ 2A+3T ChSq1
9 CSSp4 3Lz+2A+SEQ 3Lz*+1Eu+3S ChSq1 ChSq1 3Lz
10 ChSq1 CSSp4 3Loq 3S 3S+1Eu+2S CSSp4
11 FCCoSp4 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4 CCoSp4
Base 67.93 71.10 68.79 55.46 57.75 65.87
GOE 11.73 4.72 2.58 4.80 5.16 5.27
PCS 75.52 71.83 71.60 71.00 63.77 61.44
Total 155.18 147.65 141.97 131.26 126.68 132.58

今シーズン一番技術点が高かったときの構成です。基礎点はこれより高かったけれど技術点は伸びなかった、みたいなものや、PCSが良かったのでトータルスコアはこれよりよかった、というものも他にある場合があります。

シーズンベストトップの片伊勢選手は構成に4回転が入っていません。4回転が入っているのは3人。ただ中村選手は転倒であって成功は出来ていません。吉岡選手は表記の試合では2本決めていました。2本入れる構成が多いですが成功は1本目だけということが結構多いです。基礎点差が吉岡選手と片伊勢選手でそれほどないのは、吉岡選手がトーループサルコウが2回転になっているためで、そこまで含めたノーミスを出してくると基礎点差が大きく吉岡選手が強いです。

中田選手はトリプルアクセル1本構成なのでまだ上位とは基礎点差があります。コンビネーションも3T+3T 発展途上感が強いので、ここ1カ月で構成上がっているという可能性もありますが、そうではない場合は表彰台や頂点を狙うにはノーミス必須になりそうです。

朝賀選手はまだトリプルアクセルなし。全体の出来栄えで勝負という立ち位置です。

 

○シーズンベスト上位12名の点の取り方

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Takeru Amine KATAISE 234.24 111.19 78.94 12.66 22.48 8.97
2 Nozomu YOSHIOKA 219.68 105.11 83.29 5.44 18.47 7.37
3 Shunsuke NAKAMURA 219.65 107.99 81.00 4.49 18.97 8.20
4 Rio NAKATA 200.41 102.58 59.73 6.47 22.55 9.08
5 朝  賀  俊太朗 196.14 95.92 63.84 5.90 21.79 8.69
6 垣  内  珀  琉 191.04 90.92 69.69 5.89 18.08 6.46
7 Ryoga MORIMOTO 188.66 95.76 62.14 -0.33 23.25 7.84
8 周  藤      集 184.09 94.44 60.07 -1.33 21.47 9.44
9 佐々木  晴  也 180.56 92.33 65.30 -1.99 18.80 7.12
10 Seigo TAUCHI 179.11 99.38 48.38 1.08 22.15 8.12
11 蛯  原  大  弥 176.89 87.50 62.42 0.36 19.82 6.79
12 菊  地  竜  生 176.50 86.58 73.43 -1.87 11.16 7.20

PCSはジュニアグランプリ組が高いというか国際大会が高いというか。片伊勢選手が110点を超えてきています。100点超えは上位4人です。

ジャンプの基礎点は4回転2本入れる吉岡選手がトップ。中村選手も4回転1本を回転不足なく基礎点もらえているのでそれに続きます。中田選手はここが弱点です。国内組では菊地選手が高い基礎点を持っていて全体4番目です。

ジャンプの加点は片伊勢選手だけ二桁もらっています。4回転入れて基礎点勝負するか、トリプルアクセルまで出出来栄え勝負するか。男子のジュニアはこの辺のせめぎあいもありそうです。中田選手は高難度ジャンプがなく、GOEの幅も狭まりがちではあるのですが、出来栄えはよく評価の良いジャンプが多いようです。

スピンは森本涼雅選手がトップ。高難度ジャンプはないですがこういうところで稼いでいます。片伊勢選手はここでは22点台ですが、ここに記載のものとは別の試合で23点台後半まで出していました。菊地選手はレベル1頻発でここが弱点すぎるのですが、スピンのスコアを伸ばせれば全日本圏内が見えてきます。

ステップ系要素は須藤集選手がトップ。森本選手もそうですが、ジュニアグランプリ派遣組はトータルスコアが伸びず表彰台に乗れていない選手でも、こうやって要素別でみると特色ある選手が多いです。吉岡選手は上位の中ではこの辺のスピンステップが落ちます。僅差になってくるとこの辺が効いてくる可能性もあります。

 

基本的には前年までに表彰台経験のある選手が強い、というのが男子のジュニアですので吉岡希選手がその条件を満たします。しかしながら、前年5位から一気に頂点に上った鍵山選手のような例もあります。今季はジュニアグランプリファイナル進出者が3人いる高いレベル。ジュニアグランプリファイナル前哨戦な要素もありつつ、楽しみな試合となります。