全日本選手権22 女子レビュー1

今年も全日本が終わり、1年が終わりました。全日本の振り返りは数字追うだけでなくてただの感想から入っていきます。

なんだか日本人だけで世界選手権やっている、みたいな女子シングルでした。全体的なスコアの分布も昨シーズンの世界選手権と似通った形になっています。どこかの国に帰化すればたぶん代表になれますよ、みたいな選手がたくさんいるのですが、ロシアと違って日本はあまりそういうことはしないようです、猫ひろしさん以外は。カップル競技になると実際にパートナーの国で練習もして、縁のある国に国籍を変えるという線もあるようですが、あれは相手があってのこと。シングルではなかなかそういうことは日本の場合はこの先も起こりづらいでしょうか。

いずれにしても、世界選手権を思わせる全体のレベルの高さがあったように感じました。

 

○女子シングル最終結

Pl Name Nation Total SP FS
1 坂  本  花  織 シスメックス 233.05 77.79 155.26
2 三  原  舞  依 シスメックス 219.93 74.70 145.23
3 島  田  麻  央 木下アカデミー 202.79 70.28 132.51
4 中  井  亜  美 MFアカデミー 201.49 64.07 137.42
5 千  葉  百  音 東北高校 200.12 71.06 129.06
6 吉  田  陽  菜 木下アカデミー 197.21 59.49 137.72
7 青  木  祐  奈 日本大学 191.89 62.48 129.41
8 櫛  田  育  良 木下アカデミー 190.58 63.29 127.29
9 河  辺  愛  菜 中京大中京高校 190.44 64.51 125.93
10 柴  山      歩 木下アカデミー 189.09 64.37 124.72
11 紀  平  梨  花 トヨタ自動車 188.62 60.43 128.19
12 渡  辺  倫  果 法政大学 183.99 56.23 127.76
13 松  生  理  乃 中京大中京高校 179.85 56.01 123.84
14 住  吉  りをん オリエンタルバイオ/明治大学 178.03 57.38 120.65
15 三  宅  咲  綺 岡山理科大学 175.38 66.29 109.09
16 山  下  真  瑚 中京大学 172.96 54.98 117.98
17 村  上  遥  奈 木下アカデミー 163.76 59.23 104.53
18 竹  野  比  奈 福岡大学 163.39 56.15 107.24
19 横  井  ゆは菜 邦和みなとSC/中京大 161.87 59.78 102.09
20 大  庭      雅 東海東京FH 159.94 59.77 100.17
21 髙  木      謠 MFアカデミー 158.86 58.87 99.99
22 江  川  マリア 明治大学 158.39 52.83 105.56
23 松  原      星 明治大学 152.22 52.45 99.77
24 竹  野  仁  奈 筑紫女学園大学 152.14 55.49 96.65
25 佐  藤  伊  吹 明治大学 52.27 52.27  
26 本  田  真  凜 JAL 51.81 51.81  
27 奥  野  友莉菜 駒場学園高校 49.29 49.29  
28 三  枝  知香子 日本大学 46.73 46.73  
29 吉  岡  詩  果 山梨学院大学 44.75 44.75  

坂本花織選手が2連覇で3回目の優勝となりました。オリンピックの次のシーズンは、初優勝だと時代が変わり、優勝経験者がまた勝った場合は次の4年もほぼ時代が維持されるという傾向があり、そのサイクルは8年おき、という風に見えます。4年前は坂本花織選手の初優勝で宮原知子時代からの変化が起こりました。次の4年は2番手3番手は多少入れ替わりながらも基本線は継続となっていく感じでしょうか。

そんな坂本選手、年明けの学生選手権エントリーしてますが、本気ですか?

 

三原舞依選手が自己最高位の2位。表彰台に乗ったのは6年ぶりです。世界選手権も6年ぶり。オリンピック翌シーズンに初優勝が出ると時代が変わる理論は、三原選手が優勝した場合はどうなるんだろう、とか思っていましたが届きませんでした。ノーミス勝負だと坂本選手が上、というのが今の力関係になっているでしょうか。次戦はワールドユニバーシティーゲームズです。一応間は2週間ありますが。いい加減休みをあげてくださいと思いましたが、これは志願で代表になっているのでそうもいかない。まあ、試合よりも大学生の祭典という意味の方を楽しんできていただけるとよいのではないかと思います。

 

島田麻央選手が3位表彰台。これも代替予想された立ち位置で、だいぶ荒れたように見える全日本ですが、結果的に表彰台3人は順番含め戦前に予想された位置に収まったようにも見えます。トリプルアクセルはショートで回避。あの振付だと2番目に入れたままアクセルをトリプルにしないといけないようにも見えるので振付との関係でこの1試合だけトリプルアクセルにするみたいなことはしづらかったかもしれません。フリーは2本転倒。トリプルアクセルはともかく4回転の確率が以前と比べて極端に低くなっているのが気になっています。アクセルと併用しているからが理由ならまだよいのですが普通に練習から確率落ちているようだと心配です。全体的に硬かった印象。1人だけ代表選考なにも掛らない気楽な立ち位置みたいなことを書きましたが、それでも緊張するのが全日本ということでしょうか。よく考えると、あの人数の観衆の前で試合をするのは初めてだったのだろうとも思います。

 

中井亜美選手が4位に入ってきました。世界ジュニア最後の1枠は直接対決で勝って文句なしにもぎ取っていきました。ただ、まさかの最後のダブルアクセル跳び忘れ。これちゃんと飛んでいれば基礎点が5.58プラスされますので、GOEが多少減るくらいだとしても表彰台に乗っていました。ルッツ降りた後、さあシークエンスという形に見えたのですが、あれ、飛ばない?????  ?が5つくらい頭の上に湧きました。戻ってきて中庭先生に最初に声かけられたところもその話をしていたように見えます。本人全くわかっていないという・・。序盤のトリプルアクセル2本決めたのが気持ち良すぎたでしょうか。あのダブルアクセル跳び忘れがあってもフリーの技術点は島田麻央選手より上であり、フリーのジャンプで取った点数は全体トップ。島田選手が高難度1本決めてもノーミスすれば上回れるのがはっきり見えました。それはつまり、世界ジュニアで優勝するチャンスが十分ある、ということかと思います。

 

千葉百音選手は届かず5位。冒頭ルッツ転倒が結局そのまま致命傷でした。決まっていれば表彰台。ショートがシンドラーのリストでフリーはバタフライラバーズ。そういう方向で攻めるのが似合う選手に見えます。そのタイプの選手はどうしてもノーミスが求められる。本人もそれがわかっていると思うのですが、その中で冒頭転倒すると、ああ、終わった、みたいな感覚になって崩れていきがちなところ、あとよく立て直したなあ、という印象でした。演技終わった時点で、これは表彰台に残ったかも、と思ったのですが、PCSが足りずに5位に終わりました。世界ジュニアならずも四大陸ゲット。3位表彰台に乗ってたら代表選考どうなるんだろう? と思っていましたが、5位だと世界選手権には選びにくいですね。何気に四大陸はいきなり優勝の可能性もあるかとも思います。

 

ショート14位から大逆転を賭けた吉田陽菜選手は6位まで来ました。フリーだけなら3位。大逆転表彰台までは5.58足りず。トリプルアクセルステップアウトとシットスピンのレベル3、3連続のq それこそシンパーフェクトなら表彰台に届くところまでは来ていました。逆襲のレイア姫。表彰台乗ってたら世界選手権の選考どうなっていたんだ? という。こちらは昨シーズンまでの実績は大差ないですし今シーズンもシーズンベストは大差ないですよ、ジュニアだけどファイナルまで出ましたよ、技術点なんか勝ってますよ、トリプルアクセルと将来性? という話で、それはそれは難しいことになっていたかと思います。こちらも四大陸で優勝のチャンスがあります。

 

 

過去最高14位。国内ベストスコア175.34だった青木祐奈選手が大学3年生になって7位にまで浮上してきました。ノービスAで優勝経験がある一方、同期の本田真凜選手、白岩優奈選手がジュニアからシニア初期に国際舞台で活躍する中いまいち光り切れてなかった青木選手がここにきて大復活。すごいなMFアカデミーの再生力。シニアエントリーの中で4番目ですよ。これくらいの順位だと四大陸代表に選んであげたいところでしたがミニマムスコアを持っていません。四大陸より前にB級大会は存在しますが、確か21日前以前に取得する必要があり、それに間に合う試合はない。2月3月のB級大会で国際舞台復帰は確実だと思いますが、来シーズンのチャレンジャーシリーズ、さらにはNHK杯地元枠で大学4年生にしてのグランプリデビューなんてのを期待してしまったりします。

 

ジュニア組から櫛田育良選手が8位。国内参考でパーソナルベスト相当の更新です。サムソンとデリラでノーミス。ノーミスなので130点台に乗せてあげたいところでしたけどPCSがなかなか出ませんでした。確かに上位と比べると少し落ちるかなという印象が無くはないですが、惜しかったなあ。ジュニアグランプリの2戦目がもらえなかった後、少し調子を落としていた感じがありましたが、全日本ジュニア以降は復調して国内参考パーソナルベスト。年明けたら全中~国際B級ジュニアという流れかと思いますが、全中表彰台くらいまではありそうです。

 

オリンピアンの河辺愛菜選手が9位でした。この年代は1年でずいぶんいろいろなことが変わるなあ、と思います。昨シーズンは完全にジャンプの河辺愛菜、という扱いでしたし、実際の点の入り方もそうでしたが、今シーズンはジャンプ以外でしっかり稼ぎますよ、という風に変化してきています。樋口先生とコーチとしても振付師としても相性がいいのでしょうか。今季初のトリプルアクセル挑戦はアンダーローテーションの転倒でしたが、そこはおそらく織り込み済み。残念なのはフリップの転倒。これをクリーンに決めていれば吉田陽菜選手の上の6位まではあったわけで、そうなると代表選考でずいぶん違う立ち位置になっていました。

 

ジュニア組から柴山歩選手が10位。国内参考でパーソナルベスト相当更新。最近は櫛田選手と際どい勝負を繰り返す立ち位置に収まっています。ほぼノーミスなのですが、ノーミスなのに124点台しか出ないのが逆に苦しいところ。どうしてもまわりのジュニアと比べてもPCSが伸びずにフリー55点台はつらいです。トゥーランドット荒川静香さんに解説させるというなかなかのシチュエーションでしたが、かわいらしすぎて冷たさが足りない。たぶんジュニア向け矯正プログラムとして与えられたものだと思いますが、そのあたりはこれからの選手なのでしょう。ノーミスに見える演技でも120点台なところが逆につらいなあ・・。以前飛ぼうとしていたトリプルアクセルはどうなったでしょうか。それが入れば同世代で上にいるジュニア勢に追いつけます。

 

紀平梨花選手は11位に終わりました。結果的には無理しない方がよかったんじゃ・・・、みたいな今シーズンになっています。来期グランプリ枠2枠残るかどうか。千葉選手や吉田選手が2枠持っていくと結構危ないです。今季のプログラムはフィンランドの試合で難易度は落としているのである種の完成形だったかもしれませんが、大きな試合で構成上げての完成形が見たいので来シーズンも継続してほしいかなあ、と思います。

 

今期ブレイクの渡辺倫果選手は12位。もう少し上なら世界選手権選びやすかったのですが、12位まで落ちて選ばれると物議をかもす・・・。結果的に男子の紛糾ぶりが大きすぎて普通にスルーされていますが・・・。ショートももったいないはもったいないですが、フリーは序盤良かっただけに後半がもっともったいない。最後のルッツは今シーズンも成功率が異様に低く、おそらく体力面が課題で、いくらか予想された結果ではあるのですが、その前の3連続は安定したもの。ここで転倒してしまうと大逆転が潰えます。吉田陽菜選手までは13.22差なのでちょっと届かないですが、その下、7位なら7.90差でしたから十分に届くところでした。個人的には12位だとちょっと選ばれないと思っていましたが代表選出。それもシングルではただ一人四大陸とのダブル選出であり、日本勢ではただ一人のファイナル、全日本、四大陸、世界選手権とフルコース味わう選手になります。ノーマークだと強いけれど、欲をかくと勝ち切れない、この1年そんな感じになっているようにも見えます。

 

グランプリ組の松生理乃選手、住吉りをん選手が13位14位と続きます。グランプリ表彰台に乗っていても14位に沈んでしまうという恐ろしい全日本。松生選手は来期のグランプリ枠が残るかどうか。昨シーズン4大陸で4位、B級大会とはいえ220点超えるスコアも出しているのですが、今シーズン結果が残せず。何か巡り合わせが悪いのですが、どこかでピタッと合わせて、大事な大会でいい結果というのを出してもらいたいところです。住吉選手はワールドユニバーシティーゲームズの代表を全日本のはるかに前から内定済み。坂本選手、三原選手という、場違いオーバースペック2選手がいるので大変ですが、表彰台に乗って帰ってきていただければと思います。

 

中野組に加入した三宅咲綺選手はフリー最終グループ入りでしたがトータルは15位。175.38はパーソナルベストにあたります。さすがにいきなり最終グループに放り込まれると経験不足が出てしまったところはあったようですが、ショートが素晴らしかったからこそそれが体験できたわけで。15位はちょっと微妙な順位ですが、ジュニア組が上位に多いので、B級大会派遣くらいはもらえるかな? どうかな? 来期以降のためにミニマムスコアは持たせておいた方がいい選手だと思います。

 

実績のある山下真瑚選手は16位、横井ゆは菜選手は19位。ちょっと近年中京勢が振るわない女子シングルです。MFアカデミーの再生力を見ると名古屋にもアカデミーが欲しくなります。LYSアカデミーでどうでしょう樋口先生。山下選手も力はあるのでB級大会やチャレンジャーシリーズには送って、ランキングやシーズンベストを作って繋げておくといいと思うのですが、なかなか制度の立て付けとしてそうはなっていないようで。横井選手は引退表明。横井家の姉妹全日本は結局成し遂げられずに終わりました。国際B級大会とは言え214点まで出した選手。もう少し大きな結果を残せる選手だったと思うのですが、残念な思いがあります。公式戦では決められませんでしたが、全日本ジュニアの6分間練習で決めたトリプルアクセルが鮮明に思い出されます。最後の要素に2A+3T+2Tを入れてくる構成、好きでした。今回も最後に決めてほしかったなあ。

 

竹野姉妹は姉18位妹24位。姉妹で出る全日本は姉の全勝で終わったようです。スピンの竹野姉妹。昨年に続いてショートフリー2人そろってスピンオールレベル4 さすがです。竹野姉妹はこれで最後と表明されているようですが、横井家も姉が引退となるので、この先しばらく姉妹全日本は出てこないでしょうか。

 

ベテラン大庭雅選手は20位。11回目の全日本。昔はよくわからないですが近年は鈴木明子さんの13回、浅田真央さんの14回、村主章枝さんの16回というのがあるわけですが、そこにどこまで迫っていけるでしょう。西日本はレベルが高いので勝ち上がるのが大変なのですが、何とか頑張ってほしいところ。安藤美姫さんが来てましたね。

 

東日本勢で江川マリア選手が22位、松原星選手が23位。東日本勝った江川選手は枠取りに貢献しないといけない立場でしたがスコア伸びませんでした。今季好調に見えたのですが全日本は難しい。国際舞台も未経験ですしあの観衆の前で滑るのは初めてで大変かと思います。松原選手はこれで最後の全日本と聞きます。最高位は11位。全日本常連でこれくらいの位置で滑り続けるのもなかなか大変だったと思いますがお疲れさまでした。

 

ジュニア組では村上遥奈選手の17位、髙木謠選手の21位というのもありました。村上選手はペアとの両立。思いがけず14歳にして全日本制覇してしまったペア。シングルはシングルでレベル高いので、来期はジュニアグランプリ派遣があったりしますかね。世界ジュニアが終わったらしばらくはペアで試合に出られないようですがシングルだけでも十分戦っていける。どうするんでしょう将来的に。髙木選手はMFアカデミーのジュニア2番手。フリーの99.99を中庭先生に笑われていましたが、明るいなあ中庭先生。ジャンプのミスが続いてどう見ても満足いく出来ではなかったのですが。あの辺が再生力の秘訣だったりするのでしょうか。サルコウが苦手なようでなぜかフリーの構成に入っていないのですが、その辺の確度も上げて来期は中井選手と二人でジュニアグランプリで活躍していただければと思います。

 

ミスがどうしても出るのでスコア的には伸びない部分もありましたが、全体のレベルはやはり高いなあという日本の女子シングル。少しのミスの差で順位がすぐに変わります。ロシアという変な国はありますがそれを除くと上位だけでなく中位以下でこれだけのレベルの選手が揃う国はありません。世界選手権や四大陸の枠が拡がらないのはどうしようもない部分もありますが、B級大会やチャレンジャーシリーズの派遣はもう少し増やしてほしいなあと思います。

あとは、大舞台で強い選手が増えるとさらに面白くなるなあ、とも思いました。

 

 

全日本選手権22前に代表選考展望男子シングル

前回の女子に引き続いて今回は男子シングルの代表選考展望です

 

○世界選手権 男子シングル 3枠

全日本選手権優勝者:未定
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。

A) 全日本選手権大会2位、3位の選手:未定

B) ISUグランプリファイナル出場者上位2名:宇野昌磨、山本草

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンベストスコア上位3名

 宇野昌磨:304.46 山本草太:274.35 三浦佳生:273.19

➂以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①②で選考された選手を含め、3名に達するまで選考する。

A) ②のA)B)C)に該当し、②の選考から漏れた選手

B) 全日本選手権大会終了時点でのISUワールドスタンディング上位3名

宇野昌磨:1位 鍵山優真:4位 友野一希:12位

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンワールドランキング上位3名

宇野昌磨:4位 山本草太:8位 佐藤駿:12位

D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位3名

宇野昌磨:166.01 山本草太:155.54 三浦佳生:149.62 ただし全日本選手権も対象大会となる

 

現段階で選考基準の何かに名前が載っているのは6人です。おそらくこの6人の中から代表は決まるでしょう。全項目宇野選手が筆頭にいます。昨シーズン以前の実績もトップですので順当に代表になるかと思います。

後の2人はまだ混戦でしょうか。世界ランキング以外は山本草太選手がすべて2番目にいますが、それでも飛びぬけた存在なわけではないです。結局のところ、この6人の中から表彰台3人が出れば、そのまま代表になると思われます。この6人以外だと島田高志郎選手、壷井達也選手あたりは比較的高めなシーズンベストスコアを持っているので逆転表彰台の可能性はあるとは思いますが、その場合にはそのまま選ばれずに上記に名前のある4位に入った選手の方を選んでくる可能性はありそうです。

 

○ワールドユニバーシティーゲームズ 男子シングル3枠

内定済み:鍵山優真 佐藤駿 壷井達也

補欠内定:山本草太 大島光祥 長谷川一輝

 

四大陸以下の前に先にワールドユニバーシティーゲームズを見ます。以前のユニバーシアードのことです。これは代表がすでに決まっています。鍵山優真選手はいりました。これは驚き。オリンピックメダリスト出すか。オーバースペック感ありますが、ケガからの回復の調整にはちょうどいいかもしれないはしれないです。

鍵山優真、佐藤駿、三浦佳生と3人並んだら面白かったのに、と思ったりしましたが、三浦選手は高校生なのでそもそも出られませんね。ワールドユニバーシティーゲームズは大学生の祭典です。

佐藤駿選手、壷井達也選手はこういうところで実績積むのはいいように感じます。ただ、中堅選手の活躍の場ということでは補欠の大島選手や長谷川選手にチャンスを回してあげたかったようにも感じました。

 

四大陸選手権 男子シングル3枠

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。

A) 全日本選手権大会10位以内:未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位6名

宇野昌磨:1位 鍵山優真:4位 友野一希:12位 山本草太:16位 佐藤駿:20位 三浦佳生:21位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位6名

 宇野昌磨:4位 山本草太:8位 佐藤駿:12位 三浦佳生:14位 友野一希:16位 島田高志郎:28位

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位6名

 宇野昌磨:304.46 山本草太:274.35 三浦佳生:273.19 佐藤駿:262.21 友野一希:251.83 島田高志郎:247.17

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位6名

宇野昌磨:166.01 山本草太:155.54 三浦佳生:149.62 佐藤駿:141.43 壷井達也:129.66 島田高志郎:129.11 ただし全日本選手権も対象大会となるので変わる可能性がある。

 

四大陸選手権は上位選手に出る気があるかどうか、というのがまず大きく影響してきます。

ユニバーシティーゲームズ、四大陸、世界選手権という3試合代表を本人が望むか、協会が認めるか。また、宇野昌磨選手はもう四大陸には出ない、ということにする可能性もあるかもしれません。四大陸のタイトルを持っているのは宇野選手だけですので、オリンピックメダリストの鍵山選手であっても出られるなら出たいだろうとは思いますが、スケジュール感としてどうか。

その辺の制限が全くなさそうなのは、友野一希選手、三浦佳生選手、島田高志郎選手あたりでしょうか。山本草太選手もユニバーシティーゲームズは補欠なので四大陸に選出するのも特に支障はないかもしれません。グランプリシリーズでは不調だった三宅星南選手も全日本で復活出来れば昨シーズンに続いての代表の線もありそう。

例年、ジュニアから1人くらい入ってくることもあるのですが今シーズンはちょっとジュニアとシニアの差がありそうなので難しいでしょうか。吉岡希選手がショートフリーで4回転を決めてノーミスすれば届く可能性もあるでしょうか。片伊勢武アミン選手もノーミスで上位が崩れれば選考対象に入ってくるかもしれません。

 

○世界ジュニア 男子シングル 2枠

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。:吉岡希
②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①で選考された選手を含め2名に達するまで選考する。

A) 全日本ジュニア選手権大会2位、3位の選手:片伊勢武アミン、佐々木晴也

B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者:(吉岡希) 中村俊介 片伊勢武アミン

C) 全日本選手権大会参加者のうち上位3名:未定

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名

片伊勢武アミン:234.24 (吉岡希:219.68) 中村俊介:219.65 中田璃士:200.41

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会(但し全日本選手権大会を除く)におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位3名

片伊勢武アミン:123.05 (吉岡希:114.57) 中村俊介:112.66 佐々木晴也:111.13

 

上記はジュニアカテゴリーで今シーズン試合をした選手から上げています。ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手、というのがジュニアカテゴリーで試合をしてきた選手に限らず、シニアの選手の中にもおそらくいますので、それを加えて上記を書き直すと全く違うものが浮かび上がってくることになるはずです。

全日本ジュニア優勝の吉岡希選手は内定済みで残りは1枠。ジュニア組からは片伊勢武アミン選手と中村俊介選手が争う構図なのですが、シニアコースの佐藤駿選手、三浦佳生選手、さらには鍵山優真選手あたりが、世界ジュニアに出る意志を示すと、明らかにそちらへ代表枠が流れそうに感じます。オリンピックのメダリストである鍵山選手が今から世界ジュニアに、というのは少し考えにくいですが、佐藤駿選手、三浦佳生選手あたりは、世界選手権の代表になれなければこちらに回ってくる可能性はあるかと思います。

 

全日本は代表選考もあるのですが、そのもう少し下にはシーズン後半のB級大会の派遣をもらえるかどうか、という線もあります。前半国内組はそこに入り込みたい部分もある。さらには来期の強化指定選手入りもこの全日本の結果が多くの部分を占めます。そして来期の東日本、西日本の出場枠も変わってきます。優勝争い、表彰台争いだけでなく、下の方のランクでも激しい争いがある。それが面白い反面、全部何もかも全日本に詰め込むのどうなんだ、という思いもあります。

いずれにしても年内最後の大一番。樋口新葉選手の欠場は決まっていますが、それ以外の欠場者なく、無事最後まで試合が進んでいってくれることを祈ります。

 

 

全日本選手権22前に代表選考展望:女子シングル

いつもなら、プレビューという呼び方で今期の戦績とか構成要素とか並べていくわけですが、全日本は代表選考会ということで、ちょっと違う形で、現段階での選考基準がどうなっているかと、それを元に代表に選ばれそうな選手はどのへんか、というのを見ていくということをしようと思います。

今回は女子シングルで、次回に男子シングルと進みます。

 

○世界選手権 女子シングル 3枠

全日本選手権優勝者:未定
②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して1名選考する。

A) 全日本選手権大会2位、3位の選手:未定

B) ISUグランプリファイナル出場者上位2名:三原舞依、渡辺倫果

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンベストスコア上位3名

(島田麻央:217.68) 坂本花織:217.61 三原舞依:217.43 渡辺倫果:213.14

➂以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①②で選考された選手を含め、3名に達するまで選考する。

A) ②のA)B)C)に該当し、②の選考から漏れた選手

B) 全日本選手権大会終了時点でのISUワールドスタンディング上位3名

 坂本花織:1位 三原舞依:4位 渡辺倫果:20位

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンワールドランキング上位3名

 渡辺倫果:4位 三原舞依:5位 坂本花織:6位

D) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位3名

 (島田麻央:123.91) 吉田陽菜:122.44 (中井亜美:116.11) 渡辺倫果:113.47 三原舞依:112.50 ただし全日本選手権も対象大会となる

 

今期はジュニアの島田麻央選手がベストスコアを持っているという異常事態。こんな状態で全日本選手権を迎えるのは2005年の浅田真央さん以来のこと。まさに2代目MAOです。それを横に置くと坂本花織選手、三原舞依選手、渡辺倫果選手、グランプリファイナルに進んだ3人が普通に強いです。ここに名前がない選手は基本的には全日本で表彰台に乗らないと選考対象になりません。ただ、実際には①で1人選ばれた後、その選手を除外して②の選考が始まるという形になるので、シーズンベストで4番目以下の選手もその段階では名前が入ってはくるはずです。ただ、そのシーズンベスト4番目はすでに➂の最後に名前のある吉田陽菜選手です。

表彰台に乗るハードルが島田麻央選手の存在により世界選手権の選考対象年齢の選手にとって上がってしまっているので逆転はだいぶ難しく、坂本、三原、渡辺、3選手が高確率で選ばれそうに見えます。波乱があるとしたらすでに名前がある残りの一人、吉田陽菜選手でしょうか。渡辺選手は大崩れする可能性があるので、その際に吉田選手が表彰台ないしは、島田選手が台に乗っていての4位だと、全日本印象で吉田選手を選ぶ可能性もあるかもしれません。

あとは、この一か月で紀平梨花選手の状態が上がっていた場合、というのも逆転代表の可能性はあるかと思われます。紀平選手が表彰台に乗ってきたときの代表選考は大変難しいものになると思われます。

 

○ワールドユニバーシティーゲームズ 女子シングル3枠

内定済み:坂本花織 三原舞依 住吉りをん

補欠内定:渡辺倫果 江川マリア 山下真瑚

 

四大陸以下の前に先にワールドユニバーシティーゲームズを見ます。以前のユニバーシアードのことです。これは代表がすでに決まっています。驚きの、坂本、三原両選手の選出。日程は1/14から16日。全日本から間2週間をおいての試合です。四大陸までは3週間あるので大会のはしごは可能です。従って、全日本、ユニバーシティーゲームズ、四大陸、世界選手権と出ることも可能ですが、世界チャンピオンとファイナル金メダリストがこれに出るのはほとんど反則です。住吉選手はちょうどこれくらいの大会を目標とするのにいい立ち位置にいる選手だと思います。補欠の選手くらいの位置の選手の出る試合だと思うんですよね。結果的に渡辺選手は今季飛躍しすぎて役不足的ですが、昨シーズン中止になったこともあって出たい気持ちはわかる。このレベルの試合に坂本選手と三原選手はオーバースペック過ぎて、ちょっと中堅選手たちの活躍の場を奪ってしまっているように感じます。これに出るから四大陸の方は出ないです、ということであれば、それはそれでまあありかな、とは思いますが・・・。ということで、この試合に坂本選手、三原選手が選ばれていることが四大陸の代表選考にどう影響するかが気になっています。

 

四大陸選手権 女子シングル3枠

全日本選手権大会終了時に、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して選考する。

A) 全日本選手権大会10位以内:未定

B) 全日本選手権大会終了時点での ISU ワールドスタンディング上位6名

 坂本花織:1位 三原舞依:4位 渡辺倫果:20位 (樋口新葉:21位) 松生理乃:24位 河辺愛菜:25位 住吉りをん:41位

C) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンワールドランキング上位6名

 渡辺倫果:4位 三原舞依:5位 坂本花織:6位 河辺愛菜:14位 住吉りをん:21位 (島田麻央:22位) 紀平梨花:25位

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位6名

 (島田麻央:217.68) 坂本花織:217.61 三原舞依:217.43 渡辺倫果:213.14 吉田陽菜:208.31 (中井亜美:205.90) 千葉百音:205.82 河辺愛菜:197.41

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会におけるシーズンベストトータルエレメントスコア上位6名

 (島田麻央:123.91) 吉田陽菜:122.44 (中井亜美:116.11) 渡辺倫果:113.47 三原舞依:112.50 千葉百音:111.22 坂本花織:109.55 住吉りをん:101.95 ただし全日本選手権も対象大会となる

 

四大陸選手権は上位選手に出る気があるかどうか、というのがまず大きく影響してきます。ワールドユニバーシティーゲームズに選出されている坂本選手、三原選手が四大陸まで出ることを望むかどうか。他の選手は選ばれれば出るでしょう。渡辺倫果選手はしっかり滑ってくればここには入ってきそうに感じます。

坂本三原両選手が出ない、あるいは協会側が選手をばらけさせたいと二人を外すと、ジュニアグランプリを戦っていた吉田陽菜選手、千葉百音選手が浮上してきます。この2人は世界ジュニアとどちらを選ぶか? あるいは両方出すか? という選択にも迫られる。ジュニアの方で櫛田選手や柴山選手が絡んでこない場合、吉田陽菜選手を濱田先生は両方出すように押すかと思いますが果たしてどうなるか。

また、紀平選手もフィンランドでの状態からすると、間1か月置いて全日本で四大陸の枠を争うくらいのところまでは来るのではないかと思われます。トップ6くらいにまで入ってきたら選んでみたくなる選択肢にも思われます。

あとは、河辺愛菜選手、松生理乃選手、住吉りをん選手というあたりが当然絡んでくる位置にいるのですが、ユニバーシティゲームズの代表になっている住吉選手は四大陸の選考対象として見られるかどうか。国内組からは今季好調の江川マリア選手あたりは絡んでくるかもしれません。

勝手に予想すると、渡辺倫果、吉田陽菜、紀平梨花、という3選手の絵柄がなんとなく浮かびます。

 

○世界ジュニア 女子シングル 2枠

①全日本ジュニア選手権大会優勝者を選考する。:島田麻央
②ジュニア対象年齢で派遣希望のある選手の中で、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、上記①で選考された選手を含め2名に達するまで選考する。

A) 全日本ジュニア選手権大会2位、3位の選手:千葉百音、中井亜美

B) ISU ジュニアグランプリファイナル出場者:(島田麻央) 中井亜美 吉田陽菜

C) 全日本選手権大会参加者のうち上位3名:未定

D) 全日本選手権大会終了時点での ISU シーズンベストスコア上位3名

(島田麻央:217.68) 吉田陽菜:208.31 中井亜美:205.90 千葉百音:205.82

E) 全日本選手権大会までに派遣した国際競技会、および強化部が指定した国内競技会*1(但し全日本選手権大会を除く)におけるシーズンベストトータルエレメントスコア*2上位3名

(島田麻央:123.91) 吉田陽菜:118.15? 中井亜美:116.11 千葉百音:111.22

シニアの試合からはステップ要素を引く、とだけあるのですが、ショートのステップも引くの? という疑問があって、吉田陽菜選手の118.15はシニアルールの西日本で出したもので、フリーのステップだけ引いたスコアとして記しているので?付きです。ショートも引くとジュニアグランプリで出した114.10を下回るのですが、いずれにしても上位3名の中には入ります。

 

世界ジュニアは残り1枠ですがこれが難しい。千葉百音選手、中井亜美選手、吉田陽菜選手の三つ巴が見えますが千葉選手、吉田選手は四大陸や世界選手権がありえる。世界選手権と世界ジュニアの両方選出は無いと思われるので、表彰台に乗るレベルまでいい結果を出すと世界ジュニアの方に選ばれない可能性が高い。四大陸と世界ジュニアの両方選出はなくはない。濱田先生ならそれを押しそう。そして、シニアコースの10代選手もいるので、上記選考基準に名前が全くない選手も絡んできます。

有力どころでは松生理乃選手、河辺愛菜選手、住吉りをん選手がいますが、オリンピックにまで出た河辺選手を出戻り世界ジュニアはちょっと出しにくい。しかしながら、松生選手は全日本ジュニア優勝経験があるのに世界ジュニアに出たことがないという試合運の無さもあるので、条件が合えば世界ジュニアの代表には入って来るでしょう。ただ、今期の成績で見て、吉田、千葉、中井3選手の方がそれらの選手より上です。昨年の渡辺倫果選手のようないきなり大化けする選手、例えば江川マリア選手あたりが出てくると分かりませんが、3人の勝負というのが順当なところと思われます。ただし、柴山歩選手、櫛田育良選手は一発逆転を当然狙っているとは思います。

 

次回、男子シングルへ続きます。

 

グランプリファイナル22 

ジュニアと同スケジュールでシニアのグランプリファイナル。今シーズンこそ、3シーズンぶりにしっかり開催されました。コロナ欠場も無し。世界の混迷は続いていますが、スポーツ界は何カ国かいないことを除くと平常運転に近づいてきています。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Shoma UNO JPN 304.46 99.99 204.47
2 Sota YAMAMOTO JPN 274.35 94.86 179.49
3 Ilia MALININ USA 271.94 80.10 191.84
4 Shun SATO JPN 250.16 76.62 173.54
5 Kao MIURA JPN 245.74 87.07 158.67
6 Daniel GRASSL ITA 244.97 80.40 164.57

男子は日本勢1,2となりました。思い出しました。羽生選手の隣に宇野選手がいるのが通常運転だったように、宇野選手の隣には山本草太選手がいるというのが正しい姿でした。ジュニアグランプリファイナルから8年経ってシニアのグランプリファイナルでこの2人が表彰台に並び立つ日が戻ってきました。

宇野選手の304.46は今シーズン全体のベストスコアただ一人の300点超えです。山本草太選手はフリーとトータルでパーソナルベストを更新しました。

3位にはマリニン選手。ショートうまくいかないけどフリーで伸ばす、が今シーズン続いていますが今回は逆転優勝は届かず3位に留まりました。

佐藤駿選手は4位。これもショートの出遅れが響きすぎました。

三浦佳生選手は5位。こちらはフリーで伸びず。2位までは普通にあったのですがグランプリ2戦のような結果はここでは出せませんでした。

イタリアのグラスル選手は6位。フリーは巻き返してきたのですが一つ一つの要素で今一つ点が取り切れませんでした。

 

宇野昌磨選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lo   10.50   3.75 14.25 3.556
2 4S   9.70   3.19 12.89 3.333
3 4F   11.00   3.14 14.14 2.889
4 3A   8.00   1.37 9.37 1.667
5 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.333
6 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.111
7 4T+2T   11.88 x 2.58 14.46 2.667
8 4T   10.45 x -1.36 9.09 -1.444
9 3A+2A+SEQ   12.43 x 1.94 14.37 2.333
10 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.556
11 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
12 CSSp3   2.60   0.89 3.49 3.333
  TES   90.16   21.43 111.59  

4回転5本にトリプルアクセル2本という構成。ただ今回も3連続は入らず、セカンド3回転も無し。コンビ券を使えるかがずっと宇野選手の課題ですが今シーズンもそれは続いています。ショートのコンビネーションも今回は入ったもののセカンド2回転でした。世界選手権にすべて合わせてくるでしょうか。

それでも4回転5本は着氷。マイナスは2本目の4回転のみです。技術点111.59はGOE±5時代になって以降のベストスコアです。フリー204.47も同様でした。今回のフリーは世界選手権の時より上だったという形になります。

構想通りにいけば最初のトリプルアクセルが3連続でフリップが付き、4T-2Tは4T-3Tになるはずでスピンのレベルも取れると基礎点99.55の構成が完成します。そこまで出せるならノーミスマリニン選手と技術点で普通に勝負できます。

 

○山本草太選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   2.49 12.19 2.556
2 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
3 4T   9.50   2.71 12.21 2.778
4 3A+1Eu+3S   12.80   1.37 14.17 1.667
5 FCSp4   3.20   0.78 3.98 2.444
6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.778
7 3Aq q 8.80 x -0.69 8.11 -0.889
8 3F+2A+SEQ   9.46 x 1.21 10.67 2.333
9 3Lz! ! 6.49 x 0.34 6.83 0.556
10 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
11 CSSp4   3.00   0.99 3.99 3.333
12 CCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.778
  TES   86.45   14.42 100.87  

ショート2位発進で自分の滑りができれば表彰台というかえってプレッシャー掛りそうなフリー。そこで自分の滑りで表彰台、それも2位に入ってきました。

4回転は2種類3本。セカンド3回転、3連サルコウ、シークエンスアクセル、しっかり基礎点稼ぐカードを使い切り、技術点100.87と3桁に乗せました。

4回転フリップを国内の試合では試していましたがまだ完成はしていないようです。

グランプリファイナルで日本勢2番手、シーズンベストスコアも日本勢2番手、シーズンワールドランキングも日本勢2番手、シーズンの技術点ランキングも日本勢2番手。ほとんどの選考基準で2番手にいますので、全日本で表彰台に乗れば、問題なくついに世界選手権の代表を掴めるという位置にいます。

三原舞依選手の苦労はよく言われていましたが、山本草太選手の苦労も相当なものです。ここで一つ、大きなメダルを手に入れました。次は世界選手権へ、いや、展開次第では全日本制覇へ、と続いていきます。

 

○イリアマリニン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4A   12.50   3.04 15.54 2.333
2 4F   11.00   3.30 14.30 3.111
3 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
4 4S   9.70   1.80 11.50 1.778
5 CCSp3   2.80   0.64 3.44 2.222
6 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.111
7 4T+1Eu+3Sq q 15.73 x -0.68 15.05 -0.556
8 3F+3T   10.45 x 0.91 11.36 1.778
9 3F+3A+SEQ   14.63 x 1.14 15.77 1.444
10 FSSp3   2.60   0.45 3.05 1.667
11 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
12 CCoSp3   3.00   0.56 3.56 1.889
  TES   98.81   16.07 114.88  

マリニン選手、今回もフリーはしっかり決めてきました、4回転アクセル。それを含めて4回転5本にトリプルアクセル1本構成。1.1倍にコンビネーションをすべてつぎ込みます。2回転が構成に1つも入らないというトンでも構成です。

基礎点は98.81 スピンがすべてレベル3なのでこれをレベル4に出来れば1.30基礎点が上がって100.11と基礎点3桁に乗ります。

マリニン選手は飛べる4回転はこれだけではないので構成をさらに上げることは可能です。ルッツが入っていない。一方で3F+3Tがまだいるので、これを4Lz+3Tに置き換えられます。そこまで行くと6.82さらに基礎点を上げることが出来て106.93まで行けます。さらに2本飛ぶ4回転を変えたりして基礎点を上げることも可能です。ノーミスパーフェクト宇野昌磨に勝つには、PCS差を考えると4回転6本構成までもっていきたいところでしょうか。

まだどうしても、難しい技発表会に見えてしまう演技でもありPCSが伸びてきませんが、技術点の強さは圧倒的です。ショートをしっかり決めてくると世界選手権で頂点に立つ可能性も十分あるかと思われます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Shoma UNO 304.46 138.45 104.56 21.57 24.39 15.49
2 Sota YAMAMOTO 274.35 118.81 102.65 15.23 24.65 13.01
3 Ilia MALININ 271.94 116.20 115.71 5.45 20.58 14.00
4 Shun SATO 250.16 110.23 100.05 9.53 20.86 10.49
5 Kao MIURA 245.74 118.71 94.13 0.21 23.16 11.53
6 Daniel GRASSL 244.97 115.97 106.00 -9.64 21.55 12.09

PCSは宇野昌磨選手が圧倒的です。20点近い差を付けました。2番目は山本草太選手で三浦佳生選手もほぼ並びます。

ジャンプの基礎点はさすがにマリニン選手がトップでした。それを含めて5人が100点超えです。グラスル選手は基礎点2番目、宇野選手より上です。宇野選手はコンビネーションが入らないことで4回転の本数の割には基礎点低めとなります。

ジャンプの加点は宇野選手の21.57がすごい数字ですが、山本草太選手も15.23というこれも素晴らしい数字です。この二人は今シーズンのジャンプの加点ワンツーなります。

スピンは山本草太選手がトップです。宇野昌磨選手が2番目でこの2人が24点台あります。マリニン選手は6番目。スピンの差で山本選手に負けた形になりました。

ステップ系要素は宇野昌磨選手がただ一人15点台ありました。佐藤駿選手は10点台。スピンステップが伸びませんでした。

技術点で宇野昌磨選手がマリニン選手を上回っているのはわかるのですが、今回山本草太選手とマリニン選手ほぼ同じで、0.20だけマリニン選手が上でした。フリーで4回転5本決めてきたマリニン選手ですが、ショートフリー両方揃えた山本選手が総合力で上回った形になりました。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mai MIHARA JPN 208.17 74.58 133.59
2 Isabeau LEVITO USA 197.23 69.26 127.97
3 Loena HENDRICKX BEL 196.35 74.24 122.11
4 Rinka WATANABE JPN 196.01 72.58 123.43
5 Kaori SAKAMOTO JPN 192.56 75.86 116.70
6 Yelim KIM KOR 180.58 61.55 119.03

ついに、三原舞依選手がビッグタイトルを手に入れました。208.17 結果的には10点以上の大差がついています。なんだか報われない選手扱いされてましたが、4大陸2回も勝っていますから十分実績はあります。ただ、グランプリシリーズの異常な4位率や、オリンピックや世界選手権にあと一歩で届かないあたりからそういう印象が強くついてしまっていたでしょうか。確かに不運なところが多かったですが、今回はミスがありながらも勝ったように、そろそろ風が巡ってきたかもしれません。

ショート5位だったアメリカのレビト選手が2位表彰台です。まずまず位の出来に見えたのですが、あれ?あれ?と最後まで落ちていかずに2位に残りました。

3位にはベルギーのヘンドリックス選手。ベルギー史上初のグランプリファイナル表彰台ではありますが、先に世界選手権2位を持っているとむしろ負けた感あるでしょうか。大魚を逸した感じになりました。

4位に渡辺倫果選手。こちらも惜しかった。表彰台まで0.34差。中庭先生はジュニアもシニアも僅差の4位。どちらかメダルを南船橋に持って帰らせてあげたかった感じがします。

現世界チャンピオンの坂本花織選手はフリーで崩れて5位に終わりました。ショートの時点ではなんだかんだで強いのか、とも思ったのですが難しいものです・・。

韓国のキムイェリム選手は6位。ちょっと今回は思い通りにはいかなかったようです。

 

三原舞依選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.90 4.20 2.556
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
3 3S   4.30   0.80 5.10 1.889
4 3F! ! 5.30   0.15 5.45 0.333
5 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.778
6 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
7 2A+3T< 7.33 x -0.48 6.85 -1.444
8 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.18 10.97 1.889
9 2Lo F 1.87 x -0.85 1.02 -5.000
10 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
11 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.111
12 FCCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
  TES   58.89   8.58 67.47  

グランプリファイナル優勝、素晴らしい、と言いたいところなのですが、あまり後半よくなかった三原舞依選手のフリー。前半終わって表彰台は行けそう、あとは後半と思ったらそこから崩れたので、ああ、今回は勝ち切れないか、というのが正直な感想でした。

1,1倍でセカンド3回転がアンダーローテーション、最後のループが2回転になって転倒。これで勝てるとは思わないじゃないですか。長い雌伏の時を経て、ついに運が回って来る星回りに入ってきたのでしょうか。

基礎点は58.89 本人比で平凡です。技術点67.47も決して素晴らしいというほどでもなく、まあ、まあ、まあ、というくらい。でも勝ちは勝ちです。

ちょっとこれだと全日本も勝つ、というわけにはいかなさそうですが、次はノーミスできるでしょうか。ただ、勝てないにしても、今シーズンこそは世界選手権の代表がかなり近づいてきていると思われます。

 

○渡辺倫果選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A< 6.40   -3.02 3.38 -4.667
2 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.556
3 3Lo<+3T 8.12   -0.54 7.58 -1.333
4 3F   5.30   0.98 6.28 1.889
5 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.667
6 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.889
7 3Lz<< F 2.31 x -1.05 1.26 -5.000
8 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.86 9.77 2.000
9 CCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.333
10 3Lz+1A+SEQ   7.70 x -0.34 7.36 -0.556
11 StSq4   3.90   0.72 4.62 1.667
12 FSSp4   3.00   0.73 3.73 2.444
  TES   60.24   1.92 62.16  

今回はショートでトリプルアクセルを決めてフリーではアンダーローテーションとなりました。回転不足ならきれいに立ちたかった、きれいに立てないなら回転足りさせたかった、というところでスコアは3.38 もう少し欲しかったところでした。

ただ、問題はそのあと。ループでアンダーローテーション、さらにはルッツのダウングレードの転倒。最後にリカバリーアクセルが1回転。どれかを決めていれば2位表彰台でした。大魚を逸した感が強いです。もったいなかったなあ、という感想。

ファイナルではこういう、このシーズンに伸びてきました、みたいな選手が3位に入る、と勝手に思っていたのですが、それもあって残念。ただ、そのパターンで3位に入った選手はそのシーズンの勢いはそこで止まって後半は今一つ、な印象もあるので、4位は4位でよかったのかも、とも思います。

グランプリファイナルで日本勢2番手、シーズンベストスコアはシニア勢で3番目、シーズンワールドランキングで日本勢1位、世界ランキングで日本勢3番目、シーズン技術点ランクはシニア年齢の中で2番目。世界選手権の選考基準で全日本以外のところではすべて3番目以内に入ってきました。順当にいけば、世界選手権が見えています。後は全日本。一発当てれば優勝もある。シーズンワーストのショートはフリーに進めないレベルのスコアがある。どれが出るかさっぱりわからないのが渡辺倫果選手。その運命やいかに?

 

○坂本花織選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.23 4.53 3.778
2 3Lz   5.90   -1.77 4.13 -2.889
3 3S   4.30   1.11 5.41 2.444
4 CCoSp3   3.00   0.69 3.69 2.222
5 3F+2T   6.60   1.51 8.11 2.778
6 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.444
7 2F   1.98 x -0.15 1.83 -0.778
8 FSSp3   2.60   0.45 3.05 1.778
9 2A+2T+2T* * 5.06 x 0.38 5.44 1.111
10 ChSq1   3.00   1.21 4.21 2.556
11 1Lo   0.55 x -0.09 0.46 -1.778
12 FCCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.889
  TES   43.69   6.56 50.25  

坂本選手はフリーで崩れました。三原選手が首位で待つ最終滑走、どちらが勝っても私の勝という中野先生に送られて出ての冒頭ダブルアクセルはさすが。次のルッツはもともと苦手なジャンプなのでまあこういうこともあるかな、くらいに思いました。サルコウはまずまず。スピンがショートからレベル取れないんだよなあ、でもコンビネーションはまあ決めて、ステップはよし。この時点ではまだ勝つんじゃないかと思ってました。PCS差あるからなあ、ちょっと三原選手に勝ってほしい気分もあるんだけど、というところから後半ジャンプが総崩れ。まさかの5位に終わりました。

なんだったんでしょう。練習不足的なコメントになっていますが。単にそういうものでもないような感じもします。オリンピック金メダリストで翌シーズンに勝ち続けた選手はほとんどいません。坂本選手は金メダリストではないですが、上にいたロシア勢は誰もいない。オリンピックシーズンの世界選手権チャンピオンもなかなか次のシーズンに勝てない、というか出てこないことも多い。難しいのでしょうか、オリンピックの次のシーズンというのは。2週間しか時間が無いですが、全日本で立て直せるかどうか。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mai MIHARA 208.17 101.83 61.70 6.03 24.84 14.77
2 Isabeau LEVITO 197.23 97.43 61.97 0.59 23.73 14.51
3 Loena HENDRICKX 196.35 102.50 58.34 -3.42 25.74 14.19
4 Rinka WATANABE 196.01 93.80 67.13 -0.47 23.03 13.52
5 Kaori SAKAMOTO 192.56 101.94 47.34 7.03 21.40 14.85
6 Yelim KIM 180.58 93.81 58.24 -3.02 20.58 11.97

要素別でみるとPCSトップはヘンドリックス選手でした。それでも102.50 ヘンドリックス選手でも、もう2,3点は取れるので、全体的に伸びなかったPCSです。まあ、全体的に出来が悪かったから自然ではあります。渡辺倫果選手はここでのヘンドリックス選手との差が大きいのは仕方ないですが、ジュニア上がりのレビト選手に3.63負けたのは痛いです。

ジャンプの基礎点はショートフリーでトリプルアクセルを入れた渡辺倫果選手がトップ。高難度ジャンプ無しで比較的ミスが少なかったレビト選手と三原舞依選手が続きます。坂本選手は渡辺選手と20点近い差がついてしまいました。

ジャンプの加点はあれでも坂本選手がトップでした。飛べたジャンプの質はやはり随一でした。三原舞依選手が2番目です。ヘンドリックス選手はミスが目立ってGOEは6番目になっています。

スピンはヘンドリックス選手がさすがのトップ、三原選手が2番目です。坂本選手は今回スピンのレベルも今一つ取れませんでした。ヘンドリックス選手とは4.34差あり、これはトータルスコアの3.79の差よりも大きなものになっています。

ステップ系要素は坂本選手がさすがのトップで三原選手が2番目、中野組が高い評価でした。渡辺選手は13点台。スピンステップの差でヘンドリックス選手やレビト選手に敗れた、という見方もできます。

 

平均年齢が男子(20歳6か月)よりも女子(20歳10か月)の方がわずかですが高いという世にも珍しいグランプリファイナルでしたが、結果として男女とも日本勢が優勝しました。どちらも出場者中最年長選手による初優勝。さらにはペアでも日本勢が歴代初の優勝を果たします。日本のペアがグランプリファイナルで優勝するなんて、ワールドカップで日本が優勝するより先の未来にならないとこないことだと思ってました。それが、何が驚きって、まさかの優勝ではなくて本命扱いで、きっと勝つと思われている中で競った試合をちゃんと勝つという。そこがすごいです。

というわけで、日本勢にとっては素晴らしいグランプリファイナルでした。残念なのは、もう少し観客入ってほしいかな。ヨーロッパのフィギュアスケート、もうちょっと頑張って、というのは思ってしまいました。

 

 

ジュニアグランプリファイナル22 

ジュニアグランプリシリーズはずいぶん前のことのようですが、ファイナルはシニアと同時なのでこのタイミングでジュニアグランプリファイナルも行われました。男女とも日本からは3選手出場。理想の滑りができた選手は残念ながらいなかったように感じましたが、それでもそれぞれの立ち位置で健闘しました。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mao SHIMADA JPN 205.54 69.66 135.88
2 Jia SHIN KOR 200.32 69.11 131.21
3 Chaeyeon KIM KOR 190.36 66.71 123.65
4 Ami NAKAI JPN 189.23 65.97 123.26
5 Minsol KWON KOR 175.43 59.91 115.52
6 Hana YOSHIDA JPN 158.30 55.51 102.79

女子シングルは日韓決戦。際どい勝負になりましたが島田麻央選手が逃げ切りました。14歳の初栄冠。ジュニア1年目で勝つのはやはり強いです。

2位には昨シーズンの世界ジュニアで2位に入ったシンジア選手が入りました。いい演技でプラス評価の数は島田選手より多かったのですが、最終的に構成差で届かず2位に終わりました。ジュニアは200点超え2人。ジュニアの2位のスコアはシニアでも2位になれるスコアでした。

3位にはキムチェヨン選手。こちらの表彰台争いも僅差だったのですが、ここはPCS差で逃げ切った形です。

中井亜美選手は届かず4位。チャンスはあったのですがわずかに届きませんでした。ショートもフリーも僅差。技術点は3番目なのですがフリーのPCSで差がついていました。

猫耳クォンミンソル選手が5位。力は発揮したと思うのですが少しまわりとの差はあったようです。

吉田陽菜選手は6位に終わりました。ショートでコンビネーション転倒が痛かったです。ここで出遅れて、フリーも精彩を欠いた演技になりました。勝つチャンスのある試合だったのですが残念です。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   -3.43 4.57 -4.222
2 4T< 7.60   -1.30 6.30 -1.778
3 3Lz+3T   10.10   1.26 11.36 2.111
4 FSSp4   3.00   0.69 3.69 2.333
5 3F+2A+SEQ   8.60   1.44 10.04 2.556
6 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.667
7 3Sq+3Tq+2T q 10.78 x -1.11 9.67 -2.444
8 3Lo   5.39 x 1.12 6.51 2.222
9 3Lz   6.49 x 1.69 8.18 3.000
10 CCoSp4   3.50   1.55 5.05 4.333
11 LSp4   2.70   1.04 3.74 3.889
  TES   69.16   4.24 73.40  

高難度ジャンプ2種類。今回は不発でした。トリプルアクセルステップアウト。4回転トーループはしっかり降りましたがはっきり回転不足でした。他はさすが。基礎点削られるようなミスがありません。これ、4回転でダウングレードの転倒だと負けるところでした。

4回転のアンダーローテーションがあっても基礎点69.16はやはり飛びぬけています。ただ高難度2本が決まらないと加点が出てこないので技術点は73.40にとどまりました。80点台後半まで出せる本人比ではあまりよくない出来、と言えました。それでもまずは1つタイトル確保。ジュニアでいる間にどれだけ勝てるか。24年の冬季ユースオリンピックまっで取っていくでしょうか。

次は全日本ですが、一人だけ何もかかっていないプレッシャーの低い状態で臨めます。シニアルールの全日本ではショートからトリプルアクセルを入れることができる。ショートフリーで高難度3本決めればジュニア1年目の全日本制覇もありえますが、PCS差があるので高難度ジャンプが決まらないとさすがにそこまで行くのは難しい。それでも表彰台に乗ってくるくらいの力はありそうです。

 

○中井亜美選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -1.03 6.97 -1.222
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
3 3Lo+2A+SEQ   8.20   0.70 8.90 1.556
4 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
5 2A   3.30   -0.14 3.16 -0.333
6 3F!+1Eu+3Sq ! 11.11 x -1.29 9.82 -2.333
7 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
8 3Lo   5.39 x 1.05 6.44 2.111
9 3Lz   6.49 x 1.01 7.50 1.778
10 LSp4   2.70   0.54 3.24 2.000
11 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.778
  TES   64.79   4.30 69.09  

トリプルアクセル、qながらも降りました。これで国際大会4試合でトリプルアクセルの転倒無し。今シーズン3回目でアンダーローテーション1、q1で完全な成功1となっています。回転qでもダブルアクセル比で十分上ですから計算できるジャンプになっています。

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。セカンドジャンプで3Tと2A 3連続で3つ目3S 基礎点が高くできる構成でジュニアルールながら64.79 島田麻央選手がいるので目立てませんが、ジュニアルールでこの基礎点はかなり高いです。

フリップの!はいつものことなのですが、ダブルアクセルサルコウのqがややもったいなくここをきれいに決めていれば3位表彰台でした。全体の印象はよくもう少し点が出ていることが期待されたのですが、今大会他の選手もそうですが、意外と点が伸びなかった印象です。PCSインフレをオリンピックシーズン終えていったんリセットして押し下げつつ差もつくようにしようとしているかな、とも感じています。そのあたりで少し損をする側に回ってしまったかもしれません。

中井亜美選手は次戦の全日本で世界ジュニアの代表権を賭けます。ライバルはジュニア組もいますが、松生理乃選手、場合によっては住吉りをん選手といった20歳未満のシニア勢もいます。ジュニアルールでシーズンベスト205.90があり、それ以外も180点台後半までありますので、トリプルアクセル持ちの中井選手はシニアルールだと非常に強さがある。残り1枠の世界ジュニア代表は激戦。ファイナルで表彰台に乗ってアピールしたいところでしたが、それはならないながらも島田選手以外では1番手の位置を確保しました。

 

○吉田陽菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
2 2A+3T   7.50   0.78 8.28 1.889
3 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.111
4 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.111
5 SSp3   2.10   0.48 2.58 2.222
6 3Fe e 4.24   -0.48 3.76 -1.222
7 3Lz   6.49 x 0.42 6.91 0.667
8 FCCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.444
9 1Lz   0.66 x -0.09 0.57 -1.444
10 ChSq1   3.00   0.64 3.64 1.222
11 3Sq+3Tq q 9.35 x -1.41 7.94 -3.222
  TES   51.64   -0.98 50.66  

ショートフリーノーミスなら優勝も、ショート6位からでもフリーノーミスなら表彰台くらいまではある、そういう立ち位置。フリー、逆転を目指しての冒頭トリプルアクセルがアンダーローテーションの転倒となり希望はついえました。

その後も精彩を欠いていて、元々!が付きがちなフリップにe が付き、ルッツは1回転になり、3連続も入らず。これだと厳しいです。ジャンプだけでなくスピンコレオもいつもと比べてだいぶスコアが低く出ています。

トリプルアクセルの転倒は木下トロフィー以来で今シーズン2回目。逆転を目指すところでこれが決まらないと難しいです。それもあり基礎点は51.64 これを下回る基礎点は2シーズン前の京都府選手権まで遡らないとないというくらいの悪い出来でした。ショートで失敗した時点で苦しい展開でしたが、本人は意外とさばさばしていて、ある程度こうなることが覚悟されているような状態だったのでしょうか。

次は全日本。吉田選手は世界ジュニア狙いなのか、あわよくば世界選手権狙いなのかよくわからない立ち位置なのですが、世界選手権の選考に乗るには表彰台が欲しいです。ただ、一応、選考対象になる年齢の中で、今シーズンの獲得技術点がトップなので、島田選手が上にいての4位なら可能性があります。4大陸も当然可能性があるというかちょうどそれくらいの位置に見える。世界ジュニアは権利があるけどどうなんでしょうか中井亜美選手との関係性。いずれにしても全日本で上位を目指すという点は変わりはありません。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mao SHIMADA 205.54 93.30 76.27 2.26 25.37 8.34
2 Jia SHIN 200.32 89.38 66.65 10.52 24.42 9.35
3 Chaeyeon KIM 190.36 88.49 65.30 3.18 24.40 8.99
4 Ami NAKAI 189.23 83.25 71.38 3.58 22.24 8.78
5 Minsol KWON 175.43 80.26 62.14 2.59 22.00 8.44
6 Hana YOSHIDA 158.30 82.96 52.95 -3.63 20.00 8.02

要素別ではPCSで島田麻央選手がトップでした。シリーズでは吉田陽菜選手の方が上にいましたが今回は出来が悪すぎました。中井亜美選手とキムチェヨン選手の差が大きくこの辺が表彰台に乗れたかどうかの差になっています。

ジャンプは基礎点から島田選手が高く、中井選手が続きます。韓国勢は60点台です。一方で加点はシンジア選手が二桁稼ぎました。結果としてジャンプで得た点数は島田選手とシンジア選手で1.36しか差がなく、シンジア選手の方が中井亜美選手より上になっています。

スピンは島田選手がトップ。シンジア選手とキムチェヨン選手が24点台で続きます。中井選手はここが24点台で韓国勢と並べれば表彰台でもありました。上位4人はショートフリーすべてレベル4 スピンのレベルを取る難易度が上がっているのですが、それでもレベル4をすべて獲って来るのはさすがです。

ステップ系要素はシンジア選手がトップ。島田選手はショートでレベル3と少し伸びませんでした。ステップ系要素がやや弱点です。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Nikolaj MEMOLA ITA 230.50 79.84 150.66
2 Lucas BROUSSARD USA 220.43 81.11 139.32
3 Nozomu YOSHIOKA JPN 208.01 66.83 141.18
4 Shunsuke NAKAMURA JPN 198.64 74.81 123.83
5 Robert YAMPOLSKY USA 198.02 73.31 124.71
6 Takeru Amine KATAISE JPN 182.49 58.19 124.30

男子は地元イタリア、メモラ選手が優勝しました。ジュニアルールでのベストスコアですが、ここ2試合チャレンジャーシリーズで230点台を続けていましたので順当なスコアとも言えます。地元パワーと今シーズンの経験値と、ある種順当な優勝だったかもしれません。後は4回転が揃えばシニアで戦えそう。イタリアは2枠あれば十分でしょ、という感じだったのですが、この選手が出てきたこともありそろそろ3枠欲しい国になってきました。26年のオリンピックの頃には4回転も揃えて期待できる位置に入ってきそうにも感じます。

2位にはアメリカのブルサード選手。ジュニアグランプリは2戦2勝ながらシーズンベストは6人中最下位だったわけですが、ここでは勝負強さの方が出て2位に入ってきました。

3位に日本から吉岡希選手が入りました。ショート出遅れましたがフリーで伸ばして3位表彰台です。

中村俊介選手、片伊勢武アミン選手と日本勢は他に2人出場していましたが、200点に届かないスコアで終わり、力を発揮しきれませんでした。

 

○吉岡希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   1.22 14.92 1.333
2 3T   4.20   0.36 4.56 0.778
3 3A   8.00   1.83 9.83 2.222
4 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.556
5 3Lo   4.90   0.00 4.90 0.000
6 3A+1Eu+3S   14.08 x 0.91 14.99 1.000
7 3F!+2A+SEQ ! 9.46 x -1.29 8.17 -2.333
8 ChSq1   3.00   0.64 3.64 1.000
9 3Lz   6.49 x 1.01 7.50 1.667
10 CCSp2   2.30   -0.07 2.23 -0.333
11 CCoSp4V   2.63   -0.04 2.59 -0.111
  TES   71.76   5.08 76.84  

結局今大会で4回転を決めたのは吉岡選手のみでした。それを原動力にフリーは2位で総合3位表彰台です。ただ、本当は2本決めたいところだったのですが2本目は3回転になりました。

2回飛ぶジャンプは結果的にトリプルアクセルと3回転トーループですが、本来は4回転トーループが来ます。3連サルコウにシークエンスアクセルと基礎点高くするカードはしっかり使われています。フリーのスコアはパーソナルベストではありませんが、技術点はベストスコアです。

4回転が2本入ってノーミスに出来れば基礎点は78.63まで出ます。4回転が1種類2本なのでまだシニアの上位と比べると基礎点に差はありますがグランプリシリーズでも中位で戦えるくらいの構成にはなってきます。

全日本ジュニア優勝でジュニアグランプリファイナルも日本勢最高位。世界ジュニアでも日本のトップとして表彰台を狙いつつ、来期の世界ジュニア枠、来期のジュニアグランプリ枠を確保する戦いとなりますが、その前にまず全日本。あわよくば4大陸の代表を狙う、という試合になるかと思います。

 

中村俊介選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3A   8.00   2.17 10.17 2.667
3 CSSp4   3.00   0.51 3.51 1.778
4 3Lz+3T   10.10   1.10 11.20 1.889
5 3F! ! 5.30   -0.08 5.22 -0.111
6 3A<+REP F 4.93 x -3.20 1.73 -5.000
7 ChSq1   3.00   0.21 3.21 0.444
8 FCSp3   2.80   0.08 2.88 0.222
9 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.67 12.44 1.333
10 3Lo< 4.31 x -1.12 3.19 -2.778
11 CCoSp3   3.00   -0.17 2.83 -0.556
  TES   65.71   -4.58 61.13  

中村選手もフリーで4回転に挑みましたが転倒となりました。まだ4回転の成功はありません。

2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツ。アクセルが2つ目でアンダーローテーションの転倒となったこともあり基礎点伸ばせず65.71と60点台半ばになってしまいました。フリーの技術点61.13 フリートータル123.83 いずれもジュニアになってからの国際大会ワーストです。今回は力を発揮できませんでした。トリプルアクセル転倒が非常に痛かったですここをしっかりコンビネーションで決められれば表彰台まではありました。

次は全日本で世界ジュニアの代表を争うことになります。他のジュニア組よりは、シニアカテゴリーの10代選手で世界ジュニアに回ってくる選手がいるか、という方が鍵になりそうです。

 

○片伊勢武アミン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.26 9.26 1.444
2 3A+3T   12.20   1.03 13.23 1.222
3 1F   0.50   -0.02 0.48 -0.556
4 CCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.778
5 2Lo<< <<  0.50   -0.25 0.25 -5.000
6 3Lz   6.49 x 0.84 7.33 1.444
7 2A+3T   8.25 x 0.90 9.15 2.111
8 3S   4.73 x -1.47 3.26 -3.444
9 CSSp3   2.60   0.41 3.01 1.778
10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
11 FCCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.444
  TES   53.27   4.80 58.07  

片伊勢選手はショート出遅れてのフリー巻き返しを目指すという局面。トリプルアクセル2本までは良かったのですが、3つめのフリップ以降崩れてしまいました。実質1回転になったものが2つ、3連続入らずだと構成弱く基礎点も53.27にとどまりました。4回転無し構成ではノーミスが求められます。

今シーズンのジュニアカテゴリーでは全体最高のスコアを持っているのですが、なかなか同じようには出来ず、2本揃う試合を作れていません。

全日本ジュニア2位、ジュニアグランプリファイナルも出場、ということで世界ジュニアの2枠目には近い位置にいるはずではあるのですが、10代シニア勢が世界ジュニアを希望してきたときにはちょっとかなわない、というのが現実になっています。そのあたり、代表をどう割り当てるか次第ではあるのですが、少なくとも全日本で、中村俊介選手などジュニア組の上には行っておきたい、という形になるかと思います。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Nikolaj MEMOLA 230.50 109.72 80.34 10.03 20.83 9.58
2 Lucas BROUSSARD 220.43 113.38 72.05 4.18 21.13 9.69
3 Nozomu YOSHIOKA 208.01 96.07 84.32 3.47 17.02 7.13
4 Shunsuke NAKAMURA 198.64 99.18 76.91 -1.06 18.39 7.22
5 Robert YAMPOLSKY 198.02 97.63 77.13 -4.41 21.27 8.40
6 Takeru Amine KATAISE 182.49 98.26 60.06 -3.75 21.91 8.01

PCSはブルサード選手がトップでした。メモラ選手が2番目。吉岡選手はブルサード選手とはPCSで17.31の差がついていて、技術点では勝っているのですがPCS差で総合3位にとどまった形になっています。

ジャンプの基礎点は4回転入りの吉岡選手がトップ、総合力でメモラ選手が2番目にいます。加点の方でメモラ選手が二桁稼いだのでジャンプのスコアとしてはメモラ選手が上になります。

スピンは片伊勢武アミン選手がトップですが21点台にとどまりました。全体的にスピンはレベルも取れておらず、今シーズンのスピンレベルの難化の影響をジュニア男子は強く受けた印象です。

ステップ系要素はブルサード選手がトップ。吉岡選手、中村選手はここも伸びておらず、スピンステップが弱いです。

結果的に総合力が高くミスも少なかった二人が上へ行ったという構図になったようでした。

 

表彰台は結局男女とも1人でした。女子は表彰台独占もあるかな、と思っていましたが甘くなかったです。

男子は来年は皆シニアにいって誰もいなさそうというメンバーなのに対し、女子は半分以上はまた同じメンバーが来年もいそうという若さ。ジュニアが長くなるので、シニアのようにおなじみのメンバーで戦うジュニアの試合という今までなかった構図が生まれそうにも感じました。

シーズン序盤から楽しませてもらったジュニアの試合もこれで終了。ジュニアメインは次は3月の世界ジュニアまで間が空きます。各国どんなメンバーが代表に選ばれてくるでしょうか。

 

 

 

 

ゴールデンスピン アメリカ勢で締める

今シーズンのチャレンジャーシリーズ最終戦です。チャレンジャーシリーズは中堅選手がISU公認のパーソナルベストを得るための大事な試合。これが終わると以降は代表レベルの選手以外はISUベストスコアを記録することが出来なくなります。

今回ゴールデンスピンライブストリーミングも見つけられず、残念ながら全く視聴出来ていないので結果からしか読み取れませんでしたが、最後の試合はアメリカ勢が締めたようです。

 

○女子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Lindsay THORNGREN USA 196.48 60.49 135.99
2 Bradie TENNELL USA 193.31 68.84 124.47
3 Madeline SCHIZAS CAN 183.28 58.66 124.62
4 Lara Naki GUTMANN ITA 175.71 50.06 125.65
5 Lindsay van ZUNDERT NED 174.81 58.66 116.15
6 Kristina ISAEV GER 163.79 49.47 114.32
7 Nicole SCHOTT GER 162.96 52.36 110.60
8 Jade HOVINE BEL 161.66 49.51 112.15
9 Yasmine Kimiko YAMADA SUI 159.62 47.35 112.27
10 Anastasia GOZHVA UKR 155.23 52.35 102.88
11 Marilena KITROMILIS CYP 150.01 54.58 95.43
12 Anna LEVKOVETS KAZ 146.57 48.65 97.92

優勝はアメリカのソーングレン選手でした。チャレンジャーシリーズ初優勝。ショートは出遅れたのですがフリーは135.99のパーソナルベストを出して逆転優勝です。196.48はISU公認のシーズンベストです。アメリカの中でシーズンベスト順位はこれで3番目ですが、B級大会では203.62まで出しています。世界選手権代表枠にそのまま入ってこられるか。

2位にはブレイディテネル選手が入りました。ショートでは68.84の首位でした。フリーはそれほどスコアを伸ばせず2位に終わった、という見方もできますが、今シーズンのベストまでは出してきました。193.31はアメリカのシーズンベスト順位で4番目にまで上がってきています。来期に向けてはここでランキングポイントを確保できたのも価値があります。

3位にはカナダのマデリンシーザス選手が入りました。チャレンジャーシリーズ初表彰台。今季は3回目の180点台です。スコアは安定しているのですが、たぶん本当はもう少し伸ばしたいのだろうと思います。カナダでは今シーズン180点を超えているのはシーザス選手のみですので、おそらく順当にいけば世界選手権の代表には入ってこられるとは思うのですが、来期に2枠取れるトップ10に入っていくためには200点台を出すところまで行きたいでしょうか。

 

○ブレイディテネル選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2T   7.20   0.47 7.67 0.857
2 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.571
3 3S   4.30   0.69 4.99 1.571
4 FCCoSp4   3.50   1.26 4.76 3.571
5 2A   3.30   0.92 4.22 2.857
6 3Lo+1Eu+2S   7.37 x 0.98 8.35 2.000
7 3Lz!< F 5.19 x -2.36 2.83 -5.000
8 2Aq q 3.63 x -0.53 3.10 -1.429
9 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
10 ChSq1   3.00   1.40 4.40 2.857
11 CCSp4   3.20   1.09 4.29 3.286
12 CCoSp3   3.00   1.20 4.20 4.000
  TES   52.49   7.30 59.79  

テネル選手は今シーズンはケガからの復帰シーズン。まだ本調子ではないようでセカンド3回転がありません。2回飛ぶジャンプはルッツとループ。ルッツまで入ってきているあたりは紀平選手より状態は良く見えますが、ショートもフリーもセカンド3回転なしなあたりは状態が少し悪いようにも見えます。その辺はケガの場所にもよるのでしょうか。

3回転は3種類5本。トーループの他にフリップが入っていません。単独ダブルアクセルのところはセカンドで使わない単独トーループを入れた方が基礎点は上がるのですが、セカンド3回転を入れるための準備段階であって、今この試合でより高い基礎点を求めていく必要はない、というところかと思います。それにしても基礎点52.49だとかなり低いです。ここから転倒ありで124点台を出していけるわけですから、しっかりした構成を組めれば140点近いところまで行けるのでしょう

2週間前のグランプリシリーズと比べてスコアは格段に上がってきました。これなら全米選手権で十分戦えます。全米はまだ1カ月以上ありますので状態を上げていけば表彰台に乗るのが順当というところになりそうです。それがだめでも4大陸に派遣されるくらいまでは来るかと思われます。

○男子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Camden PULKINEN USA 242.09 85.45 156.64
2 Matteo RIZZO ITA 228.86 68.79 160.07
3 Mihhail SELEVKO EST 217.51 77.32 140.19
4 Mikhail SHAIDOROV KAZ 211.21 73.97 137.24
5 Aleksandr SELEVKO EST 211.11 65.18 145.93
6 Mark GORODNITSKY ISR 203.42 71.93 131.49
7 Corey CIRCELLI CAN 193.65 60.03 133.62
8 Alexander ZLATKOV BUL 188.07 62.14 125.93
9 Dias JIRENBAYEV KAZ 180.31 56.19 124.12
10 Edrian Paul CELESTINO PHI 178.35 69.46 108.89
11 Lev VINOKUR ISR 159.76 49.95 109.81
12 Noah BODENSTEIN SUI 158.32 48.46 109.86

男子も優勝はアメリカのプルキネン選手でした。チャレンジャーシリーズ初優勝。242.09はシーズンベストであり、昨年の世界選手権に次ぐセカンドベストにもなります。フリーは伸びなかったのですがショートのリードを生かして逃げ切りました。このスコアは今シーズンのアメリカ勢の中ではマリニン選手に次ぐ2番目のスコアです。この調子なら今シーズンも世界選手権に出てきそうに見えます。

2位にイタリアのマッテオリッツォ選手が入ってきています。こちらはショートでジャンプ決まらず出遅れましたがフリーで巻き返しました。ただ、それでもスコアは本人比でみて今一つです。レベルが上がってきていてイタリアで代表に入るのは簡単ではなくなっているのですが、次週イタリア選手権。そちらに照準合わせていてこの試合は調整、という理解でよいのか、調子が上がっていないのか。

3位にはエストニアのミハイルセルフコ選手が入りました。チャレンジャーシリーズ初表彰台です。スコアは本人比で平凡ではありますが、オリンピックに出たお兄さんのアレクサンデル選手に勝ちました。エストニアは世界選手権代表枠1を兄弟プラスアルファで争うことになるのですが、まずその前に兄弟仲良くヨーロッパ選手権には出ることになると思います。コロナでつぶれた4大陸選手権とか世界ジュニアとか、代理開催国として行ってくれるフィギュア界にとって恩のあるエストニアなので、頑張ってほしいところ。話変わってますが、ああいうのは開催国枠増とかしてもいいと思ったりします。

 

○マッテオリッツォ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   0.57 14.27 0.429
2 4Lo<< <<  4.90   -2.45 2.45 -4.857
3 3F+1Eu+2S   7.10   1.06 8.16 1.857
4 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.143
5 CCoSp3V   2.25   0.50 2.75 2.143
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 3A+2A+SEQ   12.43 x 2.40 14.83 2.857
8 4T<< <<  4.62 x -2.10 2.52 -4.857
9 3A   8.80 x 2.08 10.88 2.714
10 CCSp4   3.20   0.51 3.71 1.714
11 FSSp4   3.00   0.54 3.54 1.714
12 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.571
  TES   72.80   7.19 79.99  

リッツォ選手は4回転2種類3本構成。今シーズンから4回転ループを構成に入れてきています。そのループはダウングレードとなりました。4回転ループはまだGOEプラスの成功は1度だけ。完成度の向上が待たれます。

もう1種類の4回転、トーループは冒頭はコンビネーションで成功しましたが、後半はダウングレードになりました。全体がこの出来で160点出せているのは逆に流石と言えるかもしれません。

2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセル。セカンド3回転を1つ入れ、3連続にサルコウで、新ルールのシークエンスアクセルも使っていてノーミス時には持ち札の中で基礎点がしっかり高くなる構成を組んでいます。現行基礎点は72.80ですがノーミス時には88.48までになります。技術点100点超えが普通に見える構成です。

 

チャレンジャーシリーズがこれで終了しました。

誰も気にしてませんがチャレンジャーシリーズにも順位というものは付きます。順位点関係なしに、出場した中でスコアのいい2試合の合計点で順位付けされます。

男子は1位ケビンエイモズ選手、2位ルーカスブリッチギー選手、3位マッテオリッツォ選手。女子は1位キムイェリム選手、2位エカテリナクラコワ選手、3位リンジーソーングレン選手となりました。みなさんグランプリ級の選手なので、あまりうれしくもなんともないというか、場合によってはご本人も把握されてなかったりするのではないかとは思われます。

 

 

 

グランプリファイナル22 男子シングル展望

グランプリファイナルの展望、最終回はシニアの男子シングルになります。

 

○今季の成績

Event Name Nation Total SP FS
Skate America Ilia MALININ USA 280.37 86.08 194.29
NHK Trophy Shoma UNO JPN 279.76 91.66 188.10
Grand Prix Espoo Ilia MALININ USA 278.39 85.57 192.82
Skate America Kao MIURA JPN 273.19 94.96 178.23
Skate Canada Shoma UNO JPN 273.15 89.98 183.17
Skate Canada Kao MIURA JPN 265.29 94.06 171.23
MK John Wilson Trophy Daniel GRASSL ITA 264.35 86.85 177.50
Grand Prix Espoo Shun SATO JPN 262.21 81.59 180.62
Grand Prix de France Sota YAMAMOTO JPN 257.90 92.42 165.48
NHK Trophy Sota YAMAMOTO JPN 257.85 96.49 161.36
Warsaw Cup Daniel GRASSL ITA 257.76 76.44 181.32
Skate America Daniel GRASSL ITA 257.68 88.43 169.25
US International Ilia MALININ USA 257.28 71.84 185.44
MK John Wilson Trophy Shun SATO JPN 249.03 82.68 166.35

グランプリシリーズに限らず今シーズンショートフリー通じて滑った国際大会を載せています。従ってジャパンオープンは含みません。

シーズンベストはマリニン選手が持っています。280.37 とんでもないスコアというわけでもないです。初戦は257.28でしたし、特にショートでのミスが目立ちます。

宇野選手がスコア2番手で279.76 僅差です。宇野選手もマリニン選手もまだノーミスは出来ていませんが、フリーに関しては宇野選手の方がミスが多い中でのこのスコアです。

三浦佳生選手が3番手で270点台を持っています。上二人とは差があると見るか僅差と見るか。上位3人のセカンドベストまでで下位3人のシーズンベストを上回っています。

グラスル選手がシーズンベスト4番目。佐藤駿選手、山本草太選手とスコアは続きます。

 

ショートプログラムの構成

  Ilia MALININ Shoma UNO Kao MIURA Daniel GRASSL Shun SATO Sota YAMAMOTO
1 4Lzq+3T 4F 4S+3T 4Lz 4T+2T 4T+3T
2 4T 4T+COMBO 3A 3A 4Lzq 4S
3 CCSp4 FCSp4 FCSp4 FSSp4 CSSp4 FCSp4
4 3A 3A 4T 3Lz+3T FCSp4 3A
5 StSq4 StSq4 CSSp3 CCSp4 3A CSSp4
6 CCoSp3 CSSp3 StSq3 StSq3 StSq3 StSq3
7 FSSp4 CCoSp4 CCoSp3 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4
Base 47.10 42.50 44.45 43.11 44.10 45.20
GOE -0.29 5.79 10.36 4.29 -0.40 10.26
PCS 40.27 44.37 41.15 41.03 38.89 41.03
Total 86.08 91.66 94.96 88.43 81.59 96.49

ショートプログラムの基礎点が一番高いのはマリニン選手です。ただGOEがマイナス。ショートはノーミスが全くできておらず80点台のシーズンベストです。これをショートからノーミスで行かれるとちょっとまわりは大変です。

宇野選手は基礎点最下位。コンビネーションがまだ一度も決まっていないためこうなります。宇野選手はノーミスで100点台後半まで出るわけで、全く本領は発揮されていません。

上二人がこの状態ならほかのメンバーもショートは普通についていけるし上にも出られます。

グラスル選手はショートは4回転1本構成です。全員がノーミス勝負すると少し弱いですが、4回転はルッツですしそれほど遜色ないスコアまでは出す力があります。

佐藤駿選手はルッツとトーループなのでノーミスならマリニン選手と同じ基礎点構成に出来ますが、コンビネーションで3回転を飛べるかどうか。

ショートのシーズンベストは山本草太選手が持っています。トーループサルコウの2本構成。目標の100点までこの構成で十分出せます。

男子はこの上位6人、誰もスピンステップすべてレベル4の選手がいません。女子だとこの辺で厳しい勝負になって来るのですが、男子はどうしてもジャンプ中心になるようです。

ジャンプの出来次第でショートの順位が決まって来るのでしょう。

 

○フリーの構成

  Ilia MALININ Shoma UNO Kao MIURA Daniel GRASSL Shun SATO Sota YAMAMOTO
1 4A 4Lo 4Lo 4Lz+3T 4Lz 4S
2 4T 4S 4T+3T 4F 4T+3T 4T+3T
3 4Lz 2F 4S 4Lo 3A 4T
4 4S 3A+2A+SEQ FCSp3 3A+1Eu+3S FCSp3 3A+1Eu+3S
5 CCSp4 ChSq1 3A CSSp4 4T FCSp2
6 StSq3 FCSp4 StSq2 4Lz< CSSp4 StSq3
7 4Lz<+1Eu+3S< 4T 4T 3Lz+3T 3A+2T 1A
8 3F+3T 4T+2T 3A+2A+SEQ ChSq1 3F!+1Eu+3S 3F+3T
9 3Lz+3A+SEQ 3A 3F+1Eu+3S 3F 3Lo 3Lz!
10 FSSp4 StSq3 CSSp2 FCCoSp3 StSq2 ChSq1
11 ChSq1 CCoSp4 ChSq1 StSq2 ChSq1 CSSp4
12 CCoSp4 CSSp3 CCoSp4V CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4
Base 99.39 80.03 89.22 91.66 84.33 78.95
GOE 13.02 18.26 5.59 7.08 13.40 5.48
PCS 82.88 89.81 84.42 83.58 82.89 82.05
Total 194.29 188.10 178.23 181.32 180.62 165.48

フリーはアクセル込みで4回転5本のマリニン選手、4回転5本予定ながら決めたのは4本な宇野選手、4本構成の三浦選手にグラスル選手、3本の佐藤選手と山本草太選手です。シーズンベストが結局4回転の本数順というのはわかりやすいというかなんというか。

基礎点はマリニン選手が圧倒的です。宇野選手は4回転4本成功させながら基礎点は下から2番目。コンビネーションで3連続がない、セカンド3回転がない。ショートも合わせてとにかくコンビネーションが課題ですが、加点は凄まじいものがあります。

本草太選手は表彰台を争うにはもう少し基礎点が欲しい。4回転は決まっているのでトリプルアクセルを決めていきたいというところです。

グラスル選手は4回転4本で基礎点の高いものが揃っているのでノーミスでもう少し基礎点が上がると強いです。ノーミス勝負したら表彰台に乗ってこれそうにも見えます。

佐藤駿選手はルッツとトーループの2種類。フリップが入ってきて4回転4本構成があり得るのですがそこまで来るとやはり表彰台に絡めそうです。

三浦選手はシーズンベストが3番目ですし、普通にこのままノーミスならやはり表彰台に絡めます。

この6選手、ステップレベル4がいません。ジャンプの出来と比べるとスコアという点では影響が小さいわけですが、このレベルの選手たちにはレベル4取ってほしいなあ、と思ったりもします。

結局男子は、4回転何本決めるか勝負になるでしょうか。ただ、コンビネーションもしっかり入れましょうね、という添え書きも付きます。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア

Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
Ilia MALININ 280.37 123.15 117.39 5.73 23.11 12.99
Shoma UNO 279.76 134.18 93.73 13.62 24.38 14.85
Ilia MALININ 278.39 124.77 115.71 3.87 20.89 13.15
Kao MIURA 273.19 125.57 108.24 10.89 18.81 11.68
Shoma UNO 273.15 135.32 102.27 -3.29 23.71 16.14
Kao MIURA 265.29 124.14 101.85 3.52 23.15 13.63
Daniel GRASSL 264.35 124.18 100.97 3.33 24.19 12.68
Shun SATO 262.21 121.78 100.53 7.56 22.31 11.03
Sota YAMAMOTO 257.90 122.31 96.05 3.63 23.00 13.91
Sota YAMAMOTO 257.85 123.32 96.86 2.37 24.82 12.48
Daniel GRASSL 257.76 122.82 96.17 6.86 22.91 11.00
Daniel GRASSL 257.68 122.99 100.97 1.27 22.10 11.35
Ilia MALININ 257.28 114.99 114.37 -5.73 23.26 13.39
Shun SATO 249.03 121.00 95.85 -1.23 23.29 11.12

要素別でみると宇野選手のPCSは圧倒的です。ここで10点ほどマリニン選手と差がつくので、4回転アクセルの分は帳消しに出来ます。まだ今シーズンは同じミスの量なら宇野選手に分があります。

ジャンプの基礎点はマリニン選手が圧倒的。宇野選手、三浦選手、グラスル選手、佐藤選手と100点台に乗せています。三浦佳生選手はマリニン選手とジャンプの基礎点差は10点以内のところにいます。これくらいだとPCSが同等でも出来栄え勝負がぎりぎり可能なくらいです。

ジャンプの加点は宇野選手と三浦選手が二桁あります。マリニン選手はあの難易度だとまだノーミスは出来ずにここは伸びてきません。

スピンは24.82がある山本草太選手がトップです。マリニン選手は20点台、三浦選手は18点台というひどい試合もありますが、いい試合は23点台までは出してきますので、それほど差は付きません。

ステップ系要素は宇野選手が一人だけ16点台を持っていて抜けています。他は13点台以下。意外と差がつく要素になっています。

 

シニア男子の日本勢は4選手が出場。始まる前から表彰台は確定しています。誰が勝っても初優勝のグランプリファイナル。これはジュニアも含めて男女シングルすべてそうなるわけですが、日本勢4種目制覇もありえます。(ペアも勝つという線も当然ある)。

表彰台に2人乗るところまで行けるかどうか。3人乗って独占はちょっと難しいでしょうか。グランプリファイナルはそのシーズンに一気に伸びてきた新鋭が3位で表彰台に乗る、という傾向が多いと思っているのですが、三浦佳生選手、山本草太選手あたりがそういう雰囲気をもっています。シニア1年目か、苦労人か。あるいは佐藤駿選手でもここで表彰台に乗ることで今シーズン躍進した、の表現にあたる選手になってくると思います。

4回転ゴッドか日本勢か、あるいは地元イタリアか。男子シングルもまた楽しみです。