チャレンジャーシリーズ18一区切り1

 

シニアの選手にとってはグランプリシリーズの前にある、シーズン最序盤の一連のチャレンジャシリーズが一区切りしました

チャレンジャーシリーズ自体は全10戦あって、まだあと3試合あるのですが、グランプリシリーズが始まるとトップ選手のほとんどはそちらに向かい、チャレンジャーシリーズにはあまり出てこなくなります

トップ選手がグランプリシリーズ前の小手調べとして出てくる、という形でのチャレンジャーシリーズは、10/7までのフィンランディア杯で終わったと言ってよいと思います

 

ここまでの7試合は以下のスケジュールでありました

8/1-5 アジアンオープンフィギュア(タイ バンコク)

9/12-16 USインターナショナル(米国 ソルトレイクシティ)

9/12-16 ロンバルディアトロフィー(イタリア ペルガモ)

9/19-22 オンドレイネペラトロフィー(スロバキア ブラティスラバ)

9/20-22 オータムクラシック(カナダ オークビル)

9/26-29 ネーベルホルン杯(ドイツ オーベルストドルフ)

10/4-7 フィンランディア杯(フィンランド エスポー)

 

突出して早くにあるアジアンオープン以外は9月に入ってから4週続けて欧米各地で開催されます。

 

7試合分をいろいろと振り返るのは結構分量が多くなりそうなので、何回かに分けてみようと思います

 

今回は、日本女子編ということにします

 

全7試合に出場したのは以下の選手です

アジアンオープン:白岩優奈 山下真瑚

USインターナショナル:宮原知子 白岩優奈

ロンバルディア杯:山下真瑚 坂本花織

オンドレイネペラ杯:紀平梨花 新田谷凛

オータムクラシック:樋口新葉 松田悠良

ネーベルホルン杯三原舞依 本田真凛

フィンランディア杯本郷理華

 

顔ぶれとしては、日本スケート連盟指定の特別強化選手6名と、強化選手Aのうちシニアの選手4名、強化選手Bのうちシニアの選手1名、つまり強化選手に名を連ねるシニアの選手全員11名が出場した形になります

アジアンオープンフィギュアに出た二名は、9月以降の中の試合を含めて2試合、他の選手は1試合です

 

かなりはっきり明暗分かれてます

違う大会で得点比べるのはいかがなものか? という意見もあるかと思いますが、ここでは大会関係なく、得点順に並べてみたいと思います。

 

紀平梨花 218.16(70.79(40.67+31.12) 147.37(81.05+66.32)優勝 オンドレイネペラ杯

三原舞依 209.22(70.94(39.06+31.88) 138.28(72.92+65.36)2位 ネーベルホルン杯

宮原知子 201.13(67.53(32.53+35.00) 133.70(66.54+68.16)優勝 USインターナショナル

山下真瑚 182.22(55.33(27.73+28.60) 126.89(65.93+60.96)3位 ロンバルディア

坂本花織 180.85(49.91(20.63+30.28) 130.94(66.70+64.24)4位 ロンバルディア

本田真凛 178.89(56.66(27.38+30.28) 122.23(58.79+63.44)6位 ネーベルホルン杯

白岩優奈 173.01(55.35(28.79+27.56) 118.54(59.30+60.24)2位 アジアンオープン

白岩優奈 170.74(54.47(28.91+26.56) 115.39(55.39+60.00)5位 USインターナショナル

樋口新葉 167.01(57.54(28.22+29.32) 109.47(48.23+62.24)5位 オータムクラシック

山下真瑚 163.45(50.97(24.53+27.44) 112.48(55.44+57.04)3位 アジアンオープン

松田悠良 143.02(47.75(24.23+24.52) 95.27(45.59+49.68)9位 オータムクラシック

新田谷凛 133.86(45.57(20.41+26.16) 88.29(39.05+50.42)9位 オンドレイネペラ杯

本郷理華 133.66(46.54(19.69+26.85) 87.12(39.91+49.21)16位 フィンランディア杯

 

200点超えは3人で優勝が二人。二位だった三原さんも、優勝はザキトワですので、他の優勝した二人と比べて見劣りするということはありません

160~180点台に5選手。この辺は多少ばらけてはいますが、それほど大きな差はない感じでしょうか。大会ごとの採点傾向の違いなんかで入れ替わるような範囲に見えます

150点を下回る水準で3選手はちょっと苦しそうですね。どうしてしまったのだろう、という感じです

 

以下、個別にみていきましょうか

 

まずは下位三選手から

おそらくこの三選手は今シーズンはユニバーシアードを目指すコースになるんだろうと思います。この中では本郷選手は昨シーズンはオリンピックを目指すコースにいたので、本来は今シーズンも世界選手権を目指す方向性なはずなのですが、どうしちゃったのでしょう。

 

本郷選手新田谷選手は、長久保門下生でしたが、長久保先生が昨シーズンの始まるころに退任した影響、というのがここにきて効いてきているでしょうか

新しい先生について、移籍して、だからちゃんと先生がいるから問題ない、とはさすがに簡単にはいかないというのはありがちなことではあるのだろうと思います

 

本郷選手はショートでジャンプが全滅。フリーも回転不足三つとダウングレード一つにコンビネーションはいらずのリピートに、3回転予定がそもそも2回転というのが少なくとも一つと、コンビネーションの二つ目ジャンプでもそういうのがありそうなので二つないしは三つ

いいとこなしで、これで点が出るわけがない、という状態でした

ゼロからやり直し、という感じです

 

新田谷選手はショートでは冒頭のルッツで転倒、後半のコンビネーションは2T-2Tになるミス。フリーも、コンビネーションが1つだけでしかも3-2になり、ループとフリップは単独で2回転に、アクセルはシングルになったのとノーバリューになったものと二つ、サルコウは三回転回り切ったものの転倒。7つあるジャンプ要素で3回転飛んでGOEがプラスになったのは二つのみ。

二シーズン前のユニバーシアードでは、トゥクタミシェワの上行って銀メダルを取った選手

一度くらいはグランプリシリーズに出場してほしい、と思っているのですが、今回の点数も、来シーズンに枠をもらうにはだいぶ程遠い、という域です

彼女が国際大会で結果を出したのは、ユニバーシアードくらいしか記憶にありません

国内戦は強いのですが、海外に出ると弱い

全日本には特に強いので、ユニバーシアードの出場権を取ってくる可能性は十分あるとは思うのですが、それよりもう一段上の舞台に上がっていくのは、ちょっと苦しくなってしまっています

 

松田選手はショートでは冒頭コンビネーションが回転不足になり二つ目は二回転。次の単独サルコウが回転不足。フリーでも冒頭コンビネーションは3-2、全体でコンビネーションが二つしかなく、単独トーループサルコウが回転不足、ループは2回転、フリップもルッツも構成になし。構成自体がだいぶ弱く、どうやらケガ明けということですが、スピンでもGOEでマイナスをつけるジャッジが散見するなど、細かい部分の出来もいまいちです

怪我から回復さえすれば何とかなる、という部分もあるのかもしれませんが、グランプリは10月末、二戦目のカナダでエントリー。どこまで戻してきてくれるでしょうか

 

おそらくユニバーシアードの出場枠は2です

大学生、というくくりでは、三原宮原両選手もいますが、その辺はそちらの選出にはそもそも希望を出さないと思われます

他にも、前回出場した磯辺ひな乃選手や、グランプリ出場経験のある中塩美悠選手、グランプリシリーズで表彰台経験もある永井優香選手あたりも絡んでくるとは思いますが、代表争いの中心はこの3選手かと思います(本郷選手あたりは、希望を出してない可能性もありますが)

トップレベルと比べると、一段落ちる水準の戦いになってしまいますが、それぞれの選手の中で、よい出来を出しての比較になってもらえたらと思います。

 

長くなってきたので次回へ続く