フィギュアスケートの今シーズンもクライマックスが近づいてきました。
ヨーロッパ選手権も四大陸も終わり、B級大会もチャレンジカップが終了して、世界選手権までに残っているのは、世界選手権前週のクープドプランタンのみとなっています。
というわけで、世界選手権出場予定のシニア選手は、基本的には国際大会をすべて終えました。ただ、ジュニアとの二本立ての選手が下位の国にはいますので、そういった選手は世界ジュニアを経て世界選手権へと回ってきます
女子シングルは、現在、世界選手権のエントリーは36選手です。各国で代表が入れ替わる可能性はありますが、基本、このままいくとして考えます。
まず、エントリー選手たちの今シーズンのベストスコアを並べます。ここでいうベストスコアは、B級大会やユースオリンピックまで含めた国際大会で出したスコアです。ISU公認シーズンベストスコアに含まれない大会もここでは含んでいます。
●世界選手権エントリー選手のシーズンベスト
Event | Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
Grand Prix Final | 1 | Alena KOSTORNAIA | RUS | 247.59 | 85.45 | 162.14 |
Skate Canada | 1 | Alexandra TRUSOVA | RUS | 241.02 | 74.40 | 166.62 |
Grand Prix Final | 2 | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 240.92 | 78.27 | 162.65 |
Four Continents | 1 | Rika KIHIRA | JPN | 232.34 | 81.18 | 151.16 |
Four Continents | 2 | Young YOU | KOR | 223.23 | 73.55 | 149.68 |
Four Continents | 3 | Bradie TENNELL | USA | 222.97 | 75.93 | 147.04 |
Internationaux de France | 3 | Mariah BELL | USA | 212.89 | 70.25 | 142.64 |
Cup of China | 2 | Satoko MIYAHARA | JPN | 211.18 | 68.91 | 142.27 |
Four Continents | 4 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 207.46 | 72.95 | 134.51 |
Four Continents | 6 | Yelim KIM | KOR | 202.76 | 68.10 | 134.66 |
Warsaw Cup | 1 | Ekaterina KURAKOVA | POL | 201.47 | 66.08 | 135.39 |
Sofia Trophy | 1 | Alexandra FEIGIN | BUL | 195.02 | 64.56 | 130.46 |
Europe Championships | 4 | Alexia PAGANINI | SUI | 192.88 | 68.82 | 124.06 |
Golden Spin | 2 | Viktoriia SAFONOVA | BLR | 192.49 | 64.35 | 128.14 |
Rostelecom Cup | 5 | Ekaterina RYABOVA | AZE | 187.77 | 64.01 | 123.76 |
Golden Spin | 3 | Nicole SCHOTT | GER | 182.71 | 61.78 | 120.93 |
Europe Championships | 5 | Emmi PELTONEN | FIN | 181.79 | 66.49 | 115.30 |
Europe Championships | 7 | Eva Lotta KIIBUS | EST | 181.24 | 59.70 | 121.54 |
Youth Olympic Games | 5 | URUSHADZE Alina | GEO | 179.50 | 63.10 | 116.40 |
Youth Olympic Games | 6 | TORNAGHI Alessia | ITA | 178.60 | 62.19 | 116.41 |
Rostelecom Cup | 8 | Hongyi CHEN | CHN | 175.77 | 57.17 | 118.60 |
Four Continents | 10 | Alicia PINEAULT | CAN | 173.55 | 57.09 | 116.46 |
Golden Bear | 2 | Olga MIKUTINA | AUT | 172.99 | 62.32 | 110.67 |
Warsaw Cup | 6 | Emily BAUSBACK | CAN | 172.48 | 55.29 | 117.19 |
Europe Championships | 9 | Mae Berenice MEITE | FRA | 172.08 | 60.64 | 111.44 |
Golden Bear | 3 | Natasha MCKAY | GBR | 170.26 | 55.83 | 114.43 |
NHK Trophy | 10 | Kailani CRAINE | AUS | 165.46 | 55.82 | 109.64 |
Skate America | 9 | Yi Christy LEUNG | HKG | 163.68 | 54.25 | 109.43 |
Bavarian Open | 3 | Niki WORIES | NED | 160.87 | 60.01 | 100.86 |
Doragon Trophy | 4 | Eliska BREZINOVA | CZE | 157.18 | 56.28 | 100.90 |
Nepela Memorial | 8 | Ivett TOTH | HUN | 155.79 | 50.23 | 105.56 |
Denis Ten Memorial | 6 | Anastasiya GALUSTYAN | ARM | 154.13 | 53.94 | 100.19 |
Tallinn Trophy | 4 | Angelina KUCHVALSKA | LAT | 153.55 | 52.67 | 100.88 |
Europe Championships | 18 | Anita OSTLUND | SWE | 152.91 | 60.57 | 92.34 |
Bavarian Open | 5 | Isadora WILLIAMS | BRA | 151.79 | 49.23 | 102.56 |
Warsaw Cup | 16 | Alisson Krystle PERTICHETO | PHI | 139.70 | 46.50 | 93.20 |
世界ジュニアと掛け持ちな選手が一部いますので、そのあたりの選手は世界ジュニアでベストを更新してくる可能性があります。
上三人はロシアが並んでいるのがわかります。その下は日米韓で7人。ここまでで10人です。基本的にはこの10人、日米露韓の四か国で上位が争われるという構図です。
ただ、昨シーズンと比べると、190点以上を出している非ロシアのヨーロッパ国がいますので、最終的に上位10人をこの四か国で占めることができるかはまだわかりません。
ロシア勢三人は240点を超えるスコアを出しています。230点台は紀平梨花選手ただ一人。優勝争いができるのはこの辺まで四人でしょうか。
次に、日米露韓の10人の今シーズンの国際大会のスコアを見ていきます。ジャパンオープンはフリーしかないので含みません。
●日米露韓の各選手の今シーズンスコア
Event | Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
Grand Prix Final | 1 | Alena KOSTORNAIA | RUS | 247.59 | 85.45 | 162.14 |
Skate Canada | 1 | Alexandra TRUSOVA | RUS | 241.02 | 74.40 | 166.62 |
Grand Prix Final | 2 | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 240.92 | 78.27 | 162.65 |
Europe Championships | 1 | Alena KOSTORNAIA | RUS | 240.81 | 84.92 | 155.89 |
NHK Trophy | 1 | Alena KOSTORNAIA | RUS | 240.00 | 85.04 | 154.96 |
Nepela Memorial | 1 | Alexandra TRUSOVA | RUS | 238.69 | 74.91 | 163.78 |
Europe Championships | 2 | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 237.76 | 77.95 | 159.81 |
Internationaux de France | 1 | Alena KOSTORNAIA | RUS | 236.00 | 76.55 | 159.45 |
Finlandia Trophy | 1 | Alena KOSTORNAIA | RUS | 234.84 | 77.25 | 157.59 |
Rostelecom Cup | 1 | Alexandra TRUSOVA | RUS | 234.47 | 74.21 | 160.26 |
Grand Prix Final | 3 | Alexandra TRUSOVA | RUS | 233.18 | 71.45 | 161.73 |
Four Continents | 1 | Rika KIHIRA | JPN | 232.34 | 81.18 | 151.16 |
NHK Trophy | 2 | Rika KIHIRA | JPN | 231.84 | 79.89 | 151.95 |
Challenge Cup | 1 | Rika KIHIRA | JPN | 230.65 | 74.27 | 156.38 |
Skate Canada | 2 | Rika KIHIRA | JPN | 230.33 | 81.35 | 148.98 |
Skate America | 1 | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 227.76 | 67.60 | 160.16 |
Cup of China | 1 | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 226.04 | 73.51 | 152.53 |
Europe Championships | 3 | Alexandra TRUSOVA | RUS | 225.34 | 74.95 | 150.39 |
Autumn Classic | 1 | Rika KIHIRA | JPN | 224.16 | 78.18 | 145.98 |
Four Continents | 2 | Young YOU | KOR | 223.23 | 73.55 | 149.68 |
Four Continents | 3 | Bradie TENNELL | USA | 222.97 | 75.93 | 147.04 |
Lombardia Trophy | 1 | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 218.20 | 67.73 | 150.47 |
Skate Canada | 3 | Young YOU | KOR | 217.49 | 78.22 | 139.27 |
Grand Prix Final | 4 | Rika KIHIRA | JPN | 216.47 | 70.71 | 145.76 |
Skate America | 2 | Bradie TENNELL | USA | 216.14 | 75.10 | 141.04 |
Youth Olympic Games | 1 | YOU Young | KOR | 214.00 | 73.51 | 140.49 |
Internationaux de France | 3 | Mariah BELL | USA | 212.89 | 70.25 | 142.64 |
Grand Prix Final | 5 | Bradie TENNELL | USA | 212.18 | 72.20 | 139.98 |
Skate Canada | 4 | Bradie TENNELL | USA | 211.31 | 72.92 | 138.39 |
Cup of China | 2 | Satoko MIYAHARA | JPN | 211.18 | 68.91 | 142.27 |
Four Continents | 4 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 207.46 | 72.95 | 134.51 |
Rostelecom Cup | 3 | Mariah BELL | USA | 205.67 | 67.11 | 138.56 |
Nebelhorn Trophy | 1 | Mariah BELL | USA | 205.13 | 68.45 | 136.68 |
US International | 1 | Satoko MIYAHARA | JPN | 204.30 | 74.16 | 130.14 |
Four Continents | 6 | Yelim KIM | KOR | 202.76 | 68.10 | 134.66 |
Lombardia Trophy | 3 | Young YOU | KOR | 200.89 | 70.47 | 130.42 |
US International | 2 | Young YOU | KOR | 199.29 | 58.04 | 141.25 |
Philadelphia International | 1 | Young YOU | KOR | 193.48 | 64.87 | 128.61 |
Rostelecom Cup | 4 | Satoko MIYAHARA | JPN | 192.42 | 63.09 | 129.33 |
Bavarian Open | 1 | Satoko MIYAHARA | JPN | 192.02 | 66.11 | 125.91 |
Cup of China | 4 | Young YOU | KOR | 191.81 | 61.49 | 130.32 |
Warsaw Cup | 2 | Bradie TENNELL | USA | 189.01 | 70.10 | 118.91 |
Nebelhorn Trophy | 2 | Yelim KIM | KOR | 186.27 | 67.06 | 119.21 |
Lombardia Trophy | 4 | Yelim KIM | KOR | 182.60 | 65.65 | 116.95 |
Skate America | 6 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 181.32 | 71.76 | 109.56 |
Skate Canada | 7 | Yelim KIM | KOR | 176.93 | 61.23 | 115.70 |
Internationaux de France | 6 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 174.12 | 64.78 | 109.34 |
Lombardia Trophy | 8 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 164.37 | 52.33 | 112.04 |
ワールドベストスコアを持つコストルナヤ選手のワーストスコアは234.84 このスコアは紀平梨花選手のベストスコアを上回ります。四回転がなくてもここまでのスコアは安定して出せるという証左だったりもします。また240点以上を3回出すという高レベルの安定感も見せています。隙が見えないですが、四回転無しが強いて言えば弱点でしょうか。
シェルバコワ選手は平均点出すと紀平選手より下に行ったりしますが、シーズン中盤以降、グランプリファイナル、国内のロシア選手権、ヨーロッパ選手権と高得点を出しているので、流れとしては一番よく世界選手権を迎えています。
流れがよくないのはトゥルソワ選手。シーズンワーストはヨーロッパ選手権、次に悪いのがグランプリファイナル。序盤の勢いが途絶えています。シーズン中盤に一旦落として、最後にしっかり合わせてくるのか、それともこのまま下降線を描いていくのか? 昨シーズンはジュニアグランプリファイナルで負けましたが、世界ジュニアはシーズンベストで勝っていますので、同じ流れで行ければ今回もチャンスはあるのですがどうでしょう? 四回転全部決めたら問答無用で勝ちなんですけれど
紀平選手はシーズンベストも四番目ですが、シーズンワーストも四番目。グランプリファイナルのスコアまで落ち込むと、ユヨン選手とブレイディテネル選手には上に行かれます。ただ230点台4試合というのは、ロシア勢除くと破格の安定感。四回転を入れた時は210点台まで落ちてしまっているので、その辺の感覚からすると、四回転を入れることのリスクの高さも感じます。優勝狙いの場合は入れることで可能性が高まるのですが、表彰台狙いを考える場合は、四回転無しの高い安定感を誇るトリプルアクセル構成の方がよい、という可能性も見えます。ショートプログラムで上位3人に入る可能性は極めて高いので、場合によっては最終滑走になり、それまでの選手の出来を見て決める、という戦略も取れるのですが、あまりそういう、直前にまわりを気にしてのプログラム変更、という手を取るタイプの選手にも感じないので、ショート終わった時点、六分間練習終わった時点での体の感触から決めていくんですかね。
やはりこう並べても、優勝争いに絡めるのはロシア3と紀平梨花選手まで、という構図に見えます。
ただ、トリプルアクセル持ちのユヨン選手は、シーズンワーストスコアが三番手のシェルバコワ選手のワーストよりは高いベストスコアがあります。シーズン序盤は200点前後のスコアで、シニアデビューしたてです、という感じがよく見えましたが、ユースオリンピックではジュニアルールのトリプルアクセル無しショートで73.51のハイスコアからの210点台で優勝、四大陸ではついに220点台まで乗せてきました。流れとしては表彰台に絡む勝負が出来そうなところまで来ています。トリプルアクセルはまだ二本構成ですが、これが三本になるとチャンスは高まります。
シーズンベスト六番手のブレイディテネル選手。ここまでがベストスコアがシーズンワーストスコア3位の選手より上、という水準です。今シーズンのシーズン通しての安定感はユヨン選手より上です。調整試合感のあるチャレンジャーシリーズのワルシャワカップでは180点台に沈みましたが、それ以外は四試合、210点を超すスコアを並べています。トリプルアクセル以上の高難度ジャンプを持たない中ではトップスコアです。ただ、表彰台を争うのは少し厳しいかなという情勢です。ショートは75点台まで出してくることができるのですが、フリーで150点に届かず、また、大技もないので点数の伸び代が少ない。
ただ、ユヨン選手あたりの上まで行って5位まで来ることができるか? というのは、来シーズン米国3枠を考えるうえで大変重要な課題になっています。
シーズンベスト7番手は、上位6人から少し離れて210点台前半のマライアベル選手です。国際大会は3試合ですが、安定して200点を超えるスコアを出しています。テネル選手6位にベル選手7位なら米国3枠なのですが、そのためには、近いシーズンベストを持っている宮原選手樋口選手に勝つ必要があります。一人に負けて8位になってもテネル選手が5位に入れば3枠ですが、9位にまで落ちると、テネル選手4位が必要になるので大変苦しくなる。まだ、アリッサリュウ選手は来シーズンもシニアには上がってきませんが、オリンピックシーズンには上がってくる。その前にアメリカが安定して3枠を取っていけることが、マライアベル選手のオリンピックへの道でもあるので、7位か8位か9位か、というあたりの順位の動きが、この先二シーズン重要です。
シーズンベスト210点越えは8番手の宮原知子選手まで。ただ、今シーズンは210点越えは1試合のみ。200点台がもう一試合あって、あとは190点台前半です。回転不足がどれだけ取られるか? というのが宮原選手の運命の分かれどころ。最終的には、ジャッジが誰か? テクニカルコントローラーが誰か? というので点数が大きく変わってくるという可能性があります。
実績としては実は出場選手中トップ。オリンピック4位より良い順位の経験者はいませんし、世界選手権のメダル二つ持ちもいません。ただ、今回はパーフェクト演技をしても表彰台争いに絡むのは難しいかな、という印象です。四回転勢がよほど崩れてくれば可能性はありますが、220点台表彰台圏というのは、確率低そうです。一方で、今シーズンの出来だと10位以下まで落ちる可能性があります。ヨーロッパ勢で190点を超えるスコアを出す選手が何人か出てきていますので、これに負けると10位以下に落ちる。その場合、日本勢三枠には紀平選手の表彰台が必須です。現在の序列のまま、紀平選手が4位に落ち着いた場合には9位が必要条件。米露韓で7人なので、それ以外の国の選手に負けなければ9位には残れるという計算なので、ヨーロッパ諸国の上位選手のスコアが日本勢3枠の一つのポイントになります。シーズン中盤、グランプリシリーズ2戦目から全日本選手権、さらには年が明けてのB級大会ハバリアンオープンと190点台が続いているのが心配です。
シーズンベスト9位は樋口新葉選手。シーズン前半は190点もはるかに遠い、というスコアでしたが全日本で200点台に乗せて、四大陸も200点台を続けました。樋口選手のミッションも宮原選手と同じで最低でも9位以内、できれば8位に入っておくと紀平選手がユヨン選手に負けて5位まで落ちてきても大丈夫、というものです。樋口選手は宮原選手と比べると安定感は劣るのですが、シーズン半ばから調子を上げてきています。どちらか一人が8位以内でよいので、あまり心配はしていませんが、ショートプログラムを終わった時点では、人々をハラハラさせる順位になっている可能性はそれなりにありそう。
調子を上げてきているとはいえ、まだフリーのシーズンベストは134点にすぎません。伸びしろは、トリプルアクセル。ここまでの流れは、昨シーズンにトゥルシンバエワ選手が四回転を決めた時に似ている印象です。世界選手権では決めてきそう。ただ、四大陸の出来にトリプルアクセルがただ加わっても、まだ210点台半ばまでしか出ません。表彰台争いには厳しい水準です。
韓国のキムイェリム選手がシーズンベスト10番手で202.76となっています。この選手がもし、宮原選手樋口選手の上まで行ければ、8位まで来ることができれば、ユヨン選手と合わせて韓国が3枠になる可能性が高まってきます。9位でもユヨン選手が紀平選手あたりの上で4位まで行けば3枠。逆に、宮原選手、樋口選手は、この選手に負けなければほぼ確実に日本は3枠確保できるだろう、となるわけで、日米韓三国の3枠争い上、カギを握る選手です。ただ、四大陸以前のシーズン前半は180点前後のスコアしか出せていませんでした。四大陸で200点ランカーに仲間入りしましたが、それが地元パワーに頼ったものなのか、再現可能なものなのかが世界選手権で問われる、という流れになってきています。ただ、ショートのベストが70点に届かず、フリーのベストも140点に届かない、ということなので、上位9人とは少し差があるのも事実です。
●ショートプログラム70点以上
Event | Name | Nation | TSS | TES | PCS |
Grand Prix Final | Alena KOSTORNAIA | RUS | 85.45 | 49.48 | 35.97 |
NHK Trophy | Alena KOSTORNAIA | RUS | 85.04 | 49.38 | 35.66 |
Europe Championships | Alena KOSTORNAIA | RUS | 84.92 | 48.90 | 36.02 |
Skate Canada | Rika KIHIRA | JPN | 81.35 | 45.96 | 35.39 |
Four Continents | Rika KIHIRA | JPN | 81.18 | 46.16 | 35.02 |
NHK Trophy | Rika KIHIRA | JPN | 79.89 | 44.44 | 35.45 |
Grand Prix Final | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 78.27 | 43.72 | 34.55 |
Skate Canada | Young YOU | KOR | 78.22 | 45.54 | 32.68 |
Autumn Classic | Rika KIHIRA | JPN | 78.18 | 44.54 | 33.64 |
Europe Championships | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 77.95 | 42.78 | 35.17 |
Finlandia Trophy | Alena KOSTORNAIA | RUS | 77.25 | 43.11 | 34.14 |
Internationaux de France | Alena KOSTORNAIA | RUS | 76.55 | 42.98 | 33.57 |
Four Continents | Bradie TENNELL | USA | 75.93 | 40.93 | 35.00 |
Skate America | Bradie TENNELL | USA | 75.10 | 41.33 | 33.77 |
Europe Championships | Alexandra TRUSOVA | RUS | 74.95 | 40.53 | 34.42 |
Nepela Memorial | Alexandra TRUSOVA | RUS | 74.91 | 42.71 | 32.20 |
Skate Canada | Alexandra TRUSOVA | RUS | 74.40 | 40.96 | 33.44 |
Challenge Cup | Rika KIHIRA | JPN | 74.27 | 41.47 | 33.80 |
Rostelecom Cup | Alexandra TRUSOVA | RUS | 74.21 | 40.29 | 33.92 |
US International | Satoko MIYAHARA | JPN | 74.16 | 40.20 | 33.96 |
Four Continents | Young YOU | KOR | 73.55 | 40.81 | 32.74 |
Youth Olympic Games | YOU Young | KOR | 73.51 | 40.25 | 33.26 |
Cup of China | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 73.51 | 40.08 | 33.43 |
Four Continents | Wakaba HIGUCHI | JPN | 72.95 | 38.82 | 34.13 |
Skate Canada | Bradie TENNELL | USA | 72.92 | 38.46 | 34.46 |
Grand Prix Final | Bradie TENNELL | USA | 72.20 | 37.74 | 34.46 |
Skate America | Wakaba HIGUCHI | JPN | 71.76 | 38.67 | 33.09 |
Grand Prix Final | Alexandra TRUSOVA | RUS | 71.45 | 39.65 | 32.80 |
Grand Prix Final | Rika KIHIRA | JPN | 70.71 | 37.29 | 34.42 |
Lombardia Trophy | Young YOU | KOR | 70.47 | 40.67 | 29.80 |
Internationaux de France | Mariah BELL | USA | 70.25 | 37.70 | 32.55 |
Warsaw Cup | Bradie TENNELL | USA | 70.10 | 36.58 | 33.52 |
ショートプログラムの70点以上を並べるとこうなります。名前があるのは9人。75点以上で5人、80点以上になると2人になります。上三つがコストルナヤ選手。次の三つが紀平梨花選手。トリプルアクセル使いが並びます。ダブルアクセルでの最高点がシェルバコワ選手で、その下にトリプルアクセル組のユヨン選手がいます。ショートで上位に来るのはこのあたりの選手たちでしょう。ショートのベストスコアはトゥルソワ選手よりブレイディテネル選手の方が上。トゥルソワ選手、シェルバコワ選手あたりは、ショートで少しミスをすると、フリー最終グループに入れない危険があります。この辺が他の大会との大きな違い。フリーで最終組に入れないとPCSが伸ばしにくくなるため、逆転優勝は厳しくなります。そういった点では、宮原選手、樋口選手あたりのショートの出来というのが優勝争いに影響を与える可能性もあります。
●フリー140点以上
Event | Name | Nation | TSS | TES | PCS |
Skate Canada | Alexandra TRUSOVA | RUS | 166.62 | 100.20 | 67.42 |
Nepela Memorial | Alexandra TRUSOVA | RUS | 163.78 | 98.34 | 65.44 |
Grand Prix Final | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 162.65 | 94.52 | 69.13 |
Grand Prix Final | Alena KOSTORNAIA | RUS | 162.14 | 88.87 | 73.27 |
Grand Prix Final | Alexandra TRUSOVA | RUS | 161.73 | 96.80 | 65.93 |
Rostelecom Cup | Alexandra TRUSOVA | RUS | 160.26 | 95.34 | 66.92 |
Skate America | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 160.16 | 92.20 | 67.96 |
Europe Championships | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 159.81 | 89.62 | 71.19 |
Internationaux de France | Alena KOSTORNAIA | RUS | 159.45 | 88.38 | 71.07 |
Finlandia Trophy | Alena KOSTORNAIA | RUS | 157.59 | 85.91 | 71.68 |
Challenge Cup | Rika KIHIRA | JPN | 156.38 | 85.10 | 71.28 |
Europe Championships | Alena KOSTORNAIA | RUS | 155.89 | 84.31 | 72.58 |
NHK Trophy | Alena KOSTORNAIA | RUS | 154.96 | 82.61 | 72.35 |
Cup of China | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 152.53 | 84.71 | 67.82 |
NHK Trophy | Rika KIHIRA | JPN | 151.95 | 79.43 | 72.52 |
Four Continents | Rika KIHIRA | JPN | 151.16 | 80.34 | 70.82 |
Lombardia Trophy | Anna SHCHERBAKOVA | RUS | 150.47 | 86.15 | 64.32 |
Europe Championships | Alexandra TRUSOVA | RUS | 150.39 | 85.14 | 67.25 |
Four Continents | Young YOU | KOR | 149.68 | 79.94 | 69.74 |
Skate Canada | Rika KIHIRA | JPN | 148.98 | 77.50 | 71.48 |
Four Continents | Bradie TENNELL | USA | 147.04 | 76.17 | 70.87 |
Autumn Classic | Rika KIHIRA | JPN | 145.98 | 77.02 | 68.96 |
Grand Prix Final | Rika KIHIRA | JPN | 145.76 | 77.90 | 68.86 |
Internationaux de France | Mariah BELL | USA | 142.64 | 73.39 | 69.25 |
Cup of China | Satoko MIYAHARA | JPN | 142.27 | 69.91 | 72.36 |
US International | Young YOU | KOR | 141.25 | 78.37 | 62.88 |
Skate America | Bradie TENNELL | USA | 141.04 | 71.88 | 69.16 |
Youth Olympic Games | YOU Young | KOR | 140.49 | 73.11 | 67.38 |
フリーの140点以上を並べるとこうなります。名前があるのは8人。150点以上だと4人だけになります。160点以上で3人。優勝を争うには最低でも150点以上は必要、現実的にはショートで大きくリードした人で155点、トリプルアクセル無し組からは160点が最低ラインになるでしょうか。コストルナヤ選手のシーズンワーストが154.96 通常、ショートトップで来る選手のフリーワーストがこれくらいなわけですから、それを超える力がない選手は優勝争いには絡めません。
トゥルソワ選手のシーズンワーストは150.39 ひどい出来、と自他ともに認める試合でもこのスコアは出してきます。技術点で見ると最低で85.14 これは、紀平選手のシーズンベスト85.10を上回ります。やはり強力。
トリプルアクセル使いではユヨン選手もいるのですが、技術点のベストが79.94で80点に乗ってきません。PCSも70点に乗らない中で技術点がここまでだと、表彰台争いではまだ苦しいのですが、四大陸からの一か月でどこまで伸びてきているでしょう
PCSが70点台に安定して乗っているのはコストルナヤ選手と紀平梨花選手。シーズン最後の試合はPCSが自然と伸びやすい傾向があるのですが、このスコアがどこまで出るか? シェルバコワ選手がヨーロッパ選手権で71点に乗せてきているので、ジャンプをしっかりそろえた場合総合で165点あたりまで出してくる展開もあるでしょうか。
今回はトゥルシンバエワ選手がエントリーしていません。この選手がいると、日米韓の3枠争奪戦が大きく影響を受けたのですが、いないのでそれぞれだいぶ難易度が下がっています。
現在の情勢は紀平選手も含めシニアデビュー二年目以内の選手たちがトリプルアクセル以上の高難度ジャンプを操って上位5番目までを占めていて、その下を20代選手で固める、といった力関係になっています。PCS勝負なら宮原選手、ブレイディテネル選手あたりも勝負になるのですが、ジャンプ勝負に持ち込まれてしまっているので、ちょっと表彰台を争うには厳しい。ただ、ショートでは上位に入って最終グループに顔を出せると、最終グループの雰囲気、というのが出てよいなあ、と思ったりもします。
以上、世界選手権の女子シングル展望でした。