全日本選手権20 女子シングル数値編3

前回まで全日本選手権20の振り返りを進めてきていますが、今回は女子シングルの数値編3です。ジャンプ編になります。

 

 

表のBaseValueは基礎点、GOEは9人のジャッジがマイナス5からプラス5までを評価した9人分の平均を取ったものを載せています。なので5.000なら9人全ジャッジが+5を付けた、という意味です

実際の採点には評価の一番良い1人、一番悪い1人を切り捨てた後平均とるので、8人が+5で一人が+4以下でもGOE+5分の加点がもらえるのですが、ここでは全ジャッジの平均を取っています

 

●四回転

  Name Elements   BaseValue   GOE
FS 紀平梨花 4S   9.70   3.222

ついに女子シングルで要素別を見るときに四回転が載るようになってきました

紀平選手がフリーで四回転サルコウを決め評価も+3.222という高いものでした

 

トリプルアクセル

  Name Elements   BaseValue   GOE
SP 紀平梨花 3A   8.00   2.778
SP 吉田陽菜 3A   8.00   -2.444
SP 河辺愛菜 3Aq q 8.00   -4.556
SP 樋口新葉 3A<< << 3.30   -5.000
FS 樋口新葉 3A   8.00   -4.000
FS 河辺愛菜 3Aq q 8.00   -5.000
FS 紀平梨花 3A< < 6.40   -0.111

トリプルアクセルに挑んだのは4人で7回でした。成功ジャンプはショートの紀平選手のみ。吉田陽菜選手はGOEマイナスですがしっかり着氷しています。

フリーはしっかり決めた成功者はなし。紀平選手は決まったように見えましたが回転不足でした。また、紀平選手もフリーで一本に留めたことで、コンビネーションのトリプルアクセルというのが今大会はありませんでした。

 

●セカンドループジャンプ

  Name Elements   BaseValue   GOE
SP 青木祐奈 3Lzq+3Lo q 10.80   -1.222
FS 青木祐奈 3Lz+2Lo   7.60   -3.333

コンビネーションの二つ目にループを付けたのは青木祐奈選手のみでした。ジュニアの頃からというべきか、ノービスのころからルッツループで有名だった青木祐奈選手。今大会はショートでqマークながらも基礎点満額もらって着氷。GOEは-1.222ですが、セカンドトーループの基礎点よりは高い点数を得ました。フリーは残念ながら2回転になり、かつ大きな減点です。

 

●三連続ジャンプで平均GOE+1.000以上

  Name Elements   BaseValue   GOE
FS 山下真瑚 3Lz+3T+2T   12.54 X 3.000
FS 紀平梨花 3F+1Eu+3S   10.10   3.000
FS 樋口新葉 3Lz+2T+2Lo   9.79 X 1.889
FS 河辺愛菜 2A+3T+2T   9.68 X 3.000
FS 住吉りをん 2A+3T+2T   9.68 X 2.222
FS 新田谷凜 2A+3T+2T   9.68 X 2.000
FS 坂本花織 2A+3T+2T   9.68 X 1.667
FS 千葉百音 3F+2T+2Lo   8.30   1.111
FS 川畑和愛 2A+2T+2Lo   6.93 X 1.333
FS 野比 2A+1Eu+2S   5.61 X 1.889

三連続ジャンプでプラス評価をもらったのは16選手と女子は結構いました。その中から+1.000以上をもらった10選手を載せています。

ダブルアクセルにトリプルトーループを付けての三連続を1.1倍ボーナスタイムに決める、というのは女子シングルのある種の定番なような気もしていますが、そのコンビネーションで+1以上をもらった選手が5選手いました。

それよりも高難度、3Lz+3Tにさらに2Tを付けるコンビネーションを山下真瑚選手は1.1倍に入れてGOEが+3.000 フリーの出来は決して良いとは言えなかった山下選手でしたが、能力の高さはこんなところでしっかり示されていました。

 

 ●セカンドジャンプでトリプルトーループを入れて平均GOE+2.000以上

  Name Elements   BaseValue   GOE
SP 山下真瑚 3Lz+3T   11.11 X 2.333
SP 川畑和愛 3Lz+3T   10.10   2.667
SP 横井ゆは菜 3Lz+3T   10.10   2.667
SP 野比 3T+3T   8.40   2.333
SP 永井優香 3T+3T   8.40   2.222
FS 山下真瑚 3Lz+3T+2T   12.54 X 3.000
FS 新田谷凜 3Lz+3T   11.11 X 2.556
FS 紀平梨花 3F+3T   10.45 X 2.778
FS 樋口新葉 3Lz+3T   10.10   3.111
FS 三原舞依 3Lz+3T   10.10   2.778
FS 白岩優奈 3Lz+3T   10.10   2.000
FS 河辺愛菜 2A+3T+2T   9.68 X 3.000
FS 住吉りをん 2A+3T+2T   9.68 X 2.222
FS 新田谷凜 2A+3T+2T   9.68 X 2.000
FS 坂本花織 3F+3T   9.50   4.111
FS 横井ゆは菜 2A+3T   8.25 X 3.667
FS 樋口新葉 2A+3T   8.25 X 2.667

トリプルトーループをセカンドジャンプに入れる、というのはすでに女子シングルでも常識化してきています。ショートで22例、フリーでは34例ありました。

3連続でセカンドトリプルトーから大きな加点をもらっていた山下選手はショートでも3Lz+3Tを1.1倍に入れてGOEをしっかりプラスで成功させています。ショートで1.1倍に3-3を入れたのは三選手のみ。やはりリカバリー可能なようにコンビネーションは先に飛ぶ選手が多いのですが、それを後半に入れてしっかり高評価を得たことが4位スタートの原動力となっています。

ルッツではなくフリップからでしたが坂本選手がフリーで入れた3F+3Tが最高評価でGOE+4.111 +5の満点をつけたジャッジが二人いました。

ショートフリーで両方名前があるのは山下選手の他に、横井ゆは菜選手がいます。フリーで1.1倍にすべてコンビネーション、というのは横井選手がジュニア時代の終盤からやっていたものですが、今回もしっかり決めています。

フリーで二つ名前があるのが新田谷凜選手と樋口新葉選手。抜けも結構ある選手ですが、コンビネーションはしっかり決まっていました

 

 ●平均GOE+3.000以上の単独ジャンプ

  Name Elements   BaseValue   GOE
SP 紀平梨花 3Lz   6.49 X 3.556
SP 山下真瑚 3Lo   4.90   3.111
SP 坂本花織 2A   3.30   4.222
SP 横井ゆは菜 2A   3.30   3.111
FS 紀平梨花 4S   9.70   3.222
FS 横井ゆは菜 3F   5.30   3.444
FS 河辺愛菜 3Lo   4.90   3.222
FS 紀平梨花 3Lo   4.90   3.111
FS 樋口新葉 3Lo   4.90   3.111
FS 河辺愛菜 3S   4.73 X 3.000
FS 坂本花織 2A   3.30   4.778
FS 横井ゆは菜 2A   3.30   3.667
FS 松生理乃 2A   3.30   3.111

単独のジャンプとはいえ、平均GOEで+3.000以上をもらうのはなかなか難しいです。

ショートでは坂本花織選手のダブルアクセルが+4.222と最高評価。フリーでも坂本花織選手のダブルアクセルが+4.778と7人のジャッジが満点付ける高評価でした。

 

もう一回続きます