ネーベルホルン杯が終了し、北京オリンピックの各国枠が確定しました。前回までと配分ルールが多少変わっていたのですが、多くの場合は、世界選手権で複数枠に出来る可能性を持った国が、ネーベルホルン杯でも強かった、という形になりました。ただ、二枠目確保の選手そのものを出せなかったという国が、日本のペア含めていくつかありますので、そういう意味ではこのルール改正は良かったのではないかと思います。
○男子シングル 上位15人まで
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Vincent ZHOU | USA | 284.23 | 97.35 | 186.88 |
2 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 243.78 | 89.23 | 154.55 |
3 | Mark KONDRATIUK | RUS | 241.06 | 81.48 | 159.58 |
4 | Gabriele FRANGIPANI | ITA | 229.39 | 83.11 | 146.28 |
5 | Sihyeong LEE | KOR | 229.14 | 79.95 | 149.19 |
6 | Vladimir LITVINTSEV | AZE | 228.65 | 80.54 | 148.11 |
7 | Brendan KERRY | AUS | 218.95 | 85.89 | 133.06 |
8 | Roman SADOVSKY | CAN | 207.62 | 76.10 | 131.52 |
9 | Burak DEMIRBOGA | TUR | 203.28 | 73.56 | 129.72 |
10 | Basar OKTAR | TUR | 203.22 | 74.77 | 128.45 |
11 | Slavik HAYRAPETYAN | ARM | 199.47 | 69.89 | 129.58 |
12 | Peter James HALLAM | GBR | 196.39 | 66.77 | 129.62 |
13 | Paul FENTZ | GER | 194.70 | 73.32 | 121.38 |
14 | Maurizio ZANDRON | AUT | 192.73 | 62.85 | 129.88 |
15 | Jari KESSLER | CRO | 190.39 | 69.28 | 121.11 |
男子シングルは大方の予想通りヴィンセントジョー選手の圧勝。ショートフリー共に問題なく1位で、世界選手権4位相当のスコアです。世界選手権では自らの失敗でショート落ちし、オリンピック3枠を確定させられなかったのですが、今回のこれで、その失敗を自分で取り返した形になりました。
2位は2枠目確保を狙ったフランスからのアダムシャオヒムファ選手。3位は3枠目確保を狙ったロシアのコンドラチュク選手が入っています。ロシアはこういう時のやらかし勢が結構いるので、3枠目取れない危険も結構あるかも、なんて思っていましたが、しっかり3枠確保に成功しました。
イタリアは枠取りには関係なくて、5位の韓国イシヒョン選手。パーソナルベストのスコアでこれも2枠目確保です。
6位、アゼルバイジャンのリトヴィンツェフ選手は、世界選手権ショート落ちの27位から今回は6位に入って、実質的には自分の分としての1枠を確保しました。
7位のブレンダンケリー選手も1枠目確保。カナダのサドフスキー選手は際どいところでしたが、何とかカナダ2枠目確保です。ここまでがオリンピック枠確保組。
次点がトルコ勢。また、前回大会出場のドイツのポールフェンツ選手なども、オリンピック枠を確保できませんでした。
結局男子は、2枠目3枠目の追加の可能性があった5カ国すべてが枠を確保したことになります。
○女子シングル 上位15人まで
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Alysa LIU | USA | 207.40 | 70.86 | 136.54 |
2 | Ekaterina KURAKOVA | POL | 193.58 | 61.04 | 132.54 |
3 | Viktoriia SAFONOVA | BLR | 190.29 | 62.02 | 128.27 |
4 | Alexia PAGANINI | SUI | 180.48 | 65.65 | 114.83 |
5 | Anastasiia SHABOTOVA | UKR | 177.70 | 61.49 | 116.21 |
6 | Josefin TALJEGARD | SWE | 166.05 | 54.96 | 111.09 |
7 | Kailani CRAINE | AUS | 165.35 | 61.62 | 103.73 |
8 | Lara Naki GUTMANN | ITA | 164.60 | 57.16 | 107.44 |
9 | Emilea ZINGAS | CYP | 158.16 | 52.90 | 105.26 |
10 | Tzu-Han TING | TPE | 157.21 | 51.33 | 105.88 |
11 | Oona OUNASVUORI | FIN | 155.67 | 51.94 | 103.73 |
12 | Dasa GRM | SLO | 148.79 | 50.19 | 98.60 |
13 | Taylor MORRIS | ISR | 148.34 | 53.36 | 94.98 |
14 | Lea SERNA | FRA | 146.52 | 50.93 | 95.59 |
15 | Jocelyn HONG | NZL | 146.41 | 49.13 | 97.28 |
女子も優勝はアメリカのアリサリュウ選手。207.40は本人比では平凡ではありますが、枠確保という面では何の問題もないスコアです。アメリカ3枠確保。
2位のポーランド、クラコワ選手は世界選手権32位ショート落ちの失敗をここで取り返して自らの分の1枠を確保しました。4位のスイスからのパガニーニ選手や7位のオーストラリア カイラニークライン選手も同様です。
3位に入ったベラルーシのサファノワ選手は200点実績があるのですが世界選手権は欠場。こういった、欠場した選手が最後のチャンスで自分の枠を確保していく、というのもネーベルホルン杯の一つの姿ではあります。
5位ウクライナのシャバトワ選手はまだジュニアグランプリシリーズにも出ている、今シーズンからシニアの試合出場が可能になった選手。ウクライナの先輩が確保できなかった出場枠を、自分で出てきて確保しました。これも、オリンピックシーズンにシニアに上がる選手で実力がある場合は自力で枠を取れる、というネーベルホルン杯の価値だと思います。
6位のタイガード選手は世界選手権15位で枠取り無関係です。
最終的に残り6枠は7位のカイラニークライン選手までで決まりました。時点はイタリア。その差0.75 僅差ですが、イタリアには枠が回ってきません。
また、フランスのリーセルナ選手は14位。オリンピック枠無しです。グランプリ開催国のフランスが女子シングルでオリンピック枠が取れない、というのは極めて珍しい事象になります。
○北京オリンピックの出場枠
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男子 |
女子 |
ペア |
|
3枠 |
日本 米国 ロシア |
ロシア 日本 米国 |
ロシア |
ロシア 米国 カナダ |
2枠 |
イタリア フランス 韓国 カナダ |
韓国 |
中国 カナダ 米国 イタリア |
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1枠 |
中国 スイス メキシコ オーストラリア |
ベルギー カナダ オランダ ドイツ 中国 イギリス スイス オーストラリア |
日本 ドイツ スペイン |
イタリア イギリス スペイン 中国 フランス ドイツ 日本 |
ロシアは厳密には、ドーピング問題でロシア国家としての参加は認められていないので違う表記になるのですが、わかりにくいのでここではロシアと表記します
こうしてみると、ロシアは全12枠を確保したことになります。ロシアを排除してオリンピック開いてしまうと、フィギュアスケートとしてはほとんど価値のない大会になってしまう、という構図も垣間見えます。
アメリカはペア以外で3枠確保で全11枠。カナダはカップル競技が3枠あって合計9枠確保です。日本はシングル競技が3枠あって合計8枠。この辺までがフィギュアスケートの強豪国、という感じではありますが、ロシアがやっぱり頭一つ抜けているなあ、という感じもあります。
4種目すべてで枠を取ったのは他には中国、ジョージア、チェコがあります。ジョージアというのが意外な名前ですが、ペア、アイスダンスのカップル競技で、ネーベルホルン杯で枠を確保してきました。3種目で出場枠を持つのがイタリア、ウクライナ、ドイツです。
オリンピックの団体戦は、個人戦で3種目以上の出場権を持っていること、が条件になっているので、結果的にこの時点で10カ国きまったことになります。
もう一度しっかり並べると、ロシア、アメリカ、カナダ、日本、中国、ジョージア、チェコ、イタリア、ウクライナ、ドイツの10カ国です。
この先、出場辞退などで補欠が繰り上がった場合、韓国が、アイスダンスの補欠2番手にいるので、ここまで枠が降りてくると、韓国が3種目目を手に入れて、団体戦の出場権を逆転で手に入れて、ポイント下位の国(現段階ではウクライナ)が団体戦から外れる、という可能性がわずかながらあります。男子で補欠3番手のイギリスやペアで補欠3番手のオーストラリアも、同様に同じ形でわずかながら同じ可能性を残してはいます。
オリンピックの出場枠を取り合う戦いの決着は付きました。この先は、確保した枠を国内で取り合う戦いが進んでいきます。
次週はネペラメモリアルの予定でしたが中止によりチャレンジャーシリーズの試合はありません。日本でジャパンオープンが行われます。チャレンジャーシリーズの次戦は2週後の10月7日からフィンランディア杯。コストルナヤ、トゥクタミシェワ、ワリエワ、三選手がエントリー。アメリカからはカレンチェン選手やジェイソンブラウン選手がエントリーしています。他にも、キーガンメッシング選手。マッテオリッツォ選手、ミハイルコリヤダ選手など、グランプリレベルの顔ぶれが集まっています。