前回からの続きで全日本選手権のプレビューです。
今回は男子シングルの上位選手について要素別に切ってみました。
○フリーTESシーズンベストの構成
UNO | KAGIYAMA | SATO | TOMONO | YAMAMOTO | TANAKA | |
1 | 4Lo | 4S | 4Lz | 4T+3T | 4S | 2S |
2 | 4S | 3Lz | 4F! | 4Sq | 4T | 4S |
3 | 4T+2T | 4T+3T | 4T+3T | 4T | 3A+2T | 3A |
4 | 3A | 3A+1Eu+3S | FCCoSp3 | 3Lo | 3A | 3Lz+3T |
5 | FCSp4 | CSSp4 | 4T | StSq4 | FCSp4 | FCSp4 |
6 | ChSq1 | StSq3 | 3A+1Eu+3S | FSSp4 | StSq2 | StSq3 |
7 | 2F | 4T | FSSp3 | 3A+1Eu+3S | 3F+2T | 3A+2T |
8 | 4T | 3F+3Lo | 3F! | 3A | 3F+1Eu+3S | 3F+1Eu+2S |
9 | 3A+1Eu+3F | 3A | 3A+2T | 3F+2T | 3Lz! | 3Lo |
10 | FCCoSp4 | ChSq1 | StSq2 | FCCoSp4 | CSSp3 | CSSp3 |
11 | CCoSp4V | CCoSp4 | ChSq1 | CCoSp4 | ChSq1 | ChSq1 |
12 | StSq3 | FCCoSp4 | CCoSp4 | ChSq1 | CCoSp4 | CCoSp4 |
Base | 82.24 | 88.87 | 90.54 | 84.84 | 76.26 | 68.13 |
GOE | 14.75 | 19.84 | 11.68 | 1.20 | 6.23 | 13.90 |
オリンピック代表を争う選手たちの構成を見てみます。
宇野選手は4回転4種類5本の失敗4本、鍵山選手は2種類3本、佐藤駿選手は種類4本、友野選手は2種類3本、山本選手は2種類2本、田中刑事選手は1種類2本の失敗1本
という構成です。
基礎点が最も高いのは佐藤駿選手になります。スピンステップのレベルは取れていませんがジャンプは基礎点が満額入っていますしセカンド3回転も入っているので高い水準にあります。鍵山選手は佐藤駿選手より4回転は1本少ないですが、セカンド3Loもあるので匹敵した基礎点が出せています。友野選手は3番目。基礎点はしっかり取れたのであとは完成度という形になっています。
加点は鍵山選手が最大です。宇野選手もそこそこ加点があり、難易度低め構成の田中刑事選手も加点は多く得ていました。田中刑事選手は四回転2種類3本まで上げてもこの完成度を発現できるならかなり勝負できる水準になってくるのですがそこまで構成を戻せているかどうか。一方、友野一希選手は四回転2種類3本まではそろってきたので、あとは全体の出来栄えというところにきています。
○フリーTESシーズンベストの構成(ジュニア年齢)
SATO | 三浦佳生 | 壷井達也 | 本田ルーカス | 片伊勢武 | 吉岡希 | |
1 | 4Lz | 3A | 4S | 4T< | 3A | 4T+3T |
2 | 4F! | 4S | 3A+2T | 3A | 2A | 2Fe |
3 | 4T+3T | 4T+3T | 3A | 3F! | 3Lz | 3A |
4 | FCCoSp3 | FCSp4 | CSSp2 | FSSp3 | CCoSp4 | 2T |
5 | 4T | 3A+2T | 3Lo | 3A+REP | 1Lo | FSSp1 |
6 | 3A+1Eu+3S | 4T< | 3F+3T | StSq2 | 3Lz+3T | CCSp2V |
7 | FSSp3 | 2A+1Eu+3F | 3Lz!+1Eu+3S | 3Lz+3T | 3F | 3A+1Eu+3S |
8 | 3F! | CSSp3 | 3F | 2A+1Eu+3S | CSSp4 | 3Lz+2T |
9 | 3A+2T | StSq3 | FCCoSp4 | ChSq1 | StSq3 | 3Lo |
10 | StSq2 | 3Lo | StSq2 | 3Lz+2T | 3S+2T+2Lo | StSq2 |
11 | ChSq1 | CCoSp3 | CCoSp4 | CCoSp4 | FCCoSp4 | CCoSp4 |
12 | CCoSp4 | FCCoSp4 | ||||
Base | 90.54 | 76.56 | 71.85 | 69.64 | 54.96 | 61.66 |
GOE | 11.68 | 14.12 | 5.40 | -0.47 | 9.87 | 3.59 |
世界ジュニアを目指すジュニア年齢の選手の上位選手で同じものを見てみました。佐藤駿選手も一緒に入れてあります。シニアの試合に出た選手以外はジュニア構成でコレオが入っていない、というのは考慮する必要があります。
三浦佳生選手は4回転2種類3本構成ですが回転不足などもあり基礎点が80点に届いていません。それでも全日本ジュニアコースの中でははっきりとトップです。壺井選手は4回転を1本入れました。本田ルーカス剛史選手はシニアの試合ですが回転不足の四回転が一本。200点台のシーズンベストがある片伊勢選手は4回転無し、全日本ジュニア3位の吉岡選手は4回転1本です。
こうやって並べると本田ルーカス選手とその下との間には大きな落差があるように見えます。順位次第ではありますが、全日本ジュニアで優勝したことがあるのに世界ジュニアに出たことがない19歳の選手は世界ジュニアに回ってくる可能性が高いように感じます。片伊勢選手や吉岡選手がそれを押しのけて世界ジュニアの3枠に入っていけるかどうか?
○シーズンベストの試合の要素別スコア
Name | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
Shoma UNO | 290.15 | 136.61 | 97.21 | 19.22 | 24.27 | 12.84 |
Yuma KAGIYAMA | 286.41 | 135.42 | 97.18 | 14.98 | 25.55 | 13.28 |
Shun SATO | 264.99 | 121.90 | 100.44 | 7.28 | 23.17 | 12.20 |
Kazuki TOMONO | 264.19 | 124.34 | 100.14 | 2.93 | 23.23 | 14.55 |
Sota YAMAMOTO | 247.65 | 123.00 | 86.16 | 3.46 | 24.11 | 12.92 |
Kao MIURA | 232.89 | 112.07 | 92.30 | 0.71 | 18.00 | 10.81 |
Keiji TANAKA | 229.75 | 115.14 | 74.77 | 3.61 | 22.45 | 13.78 |
Koshiro SHIMADA | 228.77 | 123.20 | 75.75 | -2.60 | 22.51 | 11.91 |
Lucas Tsuyoshi HONDA | 225.89 | 112.50 | 71.16 | 6.18 | 23.28 | 12.77 |
国際大会に出ていた上位9選手のシーズンベストの試合の要素別のスコアを見てみます。
PCSは宇野選手と鍵山選手がやはり抜けていて130点台半ばまであります。他は120点台までで友野選手の124.34で3番手。PCSで上二人と10点以上の差がつく形です。
ジャンプの基礎点は佐藤駿選手がトップで友野一希選手がほぼそれに並び二人は100点を超えます。宇野選手鍵山選手もそれに近い水準。三浦佳生選手は5番目です。4回転の本数の少ない田中選手島田選手本田ルーカス選手は70点台に留まっています。
ジャンプのGOEがやはり上位二人は高いです。佐藤駿選手もそこそこありますが、他は何とかプラスに出来るかどうかという水準。出来栄え差はやはりだいぶあります。
スピンは鍵山選手がトップです。山本草太選手が3番目にいます。ここは三浦佳生選手が極度に弱い要素。鍵山選手と7.55差がありますので出来のいいトリプルルッツ一本分くらいの差をスピンで付けられています。
ステップ系要素は友野一希選手がトップ。鍵山選手で13点台、宇野選手は12点台と全体的にステップで点が稼げていない男子シングル陣。その中でも三浦佳生選手は凹んでいて、スピンステップで点が取れていない現状が垣間見えます。
こうやって見ると、佐藤駿選手、友野一希選手はジャンプの基礎点は上位二人を超えるところまで来ていて、スピンステップでも著しく劣ることはないわけですから、ジャンプの出来さえよければ表彰台に肉薄することができるように見えます。PCS差は・・、その日の出来でもう少し縮まるでしょう、きっと。
オリンピック代表は3枠。順当にいけば去年の表彰台3人がそのまま今年も、と言われていますが、実際どうなんでしょう? 今シーズン全く試合に出ていない羽生結弦選手。回復具合は? 全くよくわかりません。本人のモチベーションは四回転半、と言っていましたがケガをした状態ではそれも難しい。オリンピック三連覇が目標になるか? モチベーションになるか? 普通はなりそうなものな気はしますが、普通じゃないレベルの人にはどうなのか? 凡人にはよくわかりません。
佐藤駿選手、友野一希選手。ノーミスすればチャンスがある、という風に見える二人。どこまで肉薄できるか? そして、世界選手権、従来通りなら全日本4位でもチャンスがあるし、羽生選手次第ではオリンピック代表と二人入れ替わって5位まで世界選手権に入るかもしれない。山本草太選手、田中刑事選手あたりもその辺までは普通にチャンスがある。
四大陸選手権はどうなるのでしょう? オリンピックと日程がかなり近い。オリンピック代表は四大陸に出ることがあるかどうか? 全日本の6位、あるいは7位あたりの選手にも回ってくるかもしれないですし、4位の選手が出た場合、ISUのチャンピオンシップである四大陸選手権を優勝するチャンスだったりもしそうです。
世界ジュニアはシニアカテゴリーに上がったジュニア年齢選手をどう扱うか? すでに代表権を持っている三浦佳生選手は四大陸の出場権も獲るか?
また、10位前後の選手たちも、シーズン後半の国際B級大会に派遣してもらえるか? 強化指定選手に入れるかどうか?
などなど、興味は尽きません。
男子シングルは24日金曜日にショートプログラム、26日日曜日にフリーというスケジュールになっています。代表は26日夜に決まるはずです。