フィラデルフィアインターナショナル シーズン開幕

フィギュアスケート22-23シーズン国際大会の開幕戦としてフィラデルフィアインターナショナルが行われました。新ルールの国際大会初戦でもあります。

 

○女子シングルシニア

Pl Name Nation Total SP TSS FS TSS
1 Isabeau LEVITO USA 207.67 70.72 136.95
2 Lindsay THORNGREN USA 203.62 69.57 134.05
3 Gracie GOLD USA 180.26 67.01 113.25
4 Ava ZIEGLER USA 146.26 46.66 99.60
5 Maryn PIERCE USA 143.82 49.80 94.02
6 Jill HEINER USA 128.45 52.97 75.48
7 Tara PRASAD IND 126.54 45.60 80.94
8 Cheuk Ka Kahlen CHEUNG HKG 121.51 41.79 79.72
9 Amanda HSU TPE 110.81 36.72 74.09
10 Sofia FRANK PHI 110.45 43.59 66.86

8月のフィラデルフィアでの試合。ほとんどはアメリカの選手のエントリーであり、それ以外の国の選手もアメリカ拠点の選手がほとんどだろうと思われます。

優勝は昨シーズン世界ジュニアチャンピオンで今シーズンからシニアにあがるイサボーレビト選手。アメリカ勢はオリンピックの代表3人が今シーズンは誰もグランプリシリーズにエントリーしていないという形ですので、レビト選手がある種エース格に近い形になっていくのかもしれません。グランプリシリーズは初戦アメリカ大会から現世界チャンピオンの坂本花織選手に挑戦することになります。

2位には世界ジュニア3位のソーングレン選手。この二人までが200点突破。今のシニアの上位陣となら十分に戦える力を見せています。グランプリシリーズは2戦目のカナダから。復活なるかの紀平梨花選手やユヨン選手との対決になります。

そして3位。グレイシーゴールド選手が入ってきました。180.26 6年ぶりの180点到達、6年ぶりの世界ランキングポイント獲得です。ショートの技術点35.70は世界選手権のミニマムスコアを超えてきました。フリーの技術点は52.63でわずかに世界選手権のミニマムポイント53.00に届きませんが、四大陸選手権の42.00ははるかに上回っています。1995年8月生まれ、間もなく27歳になります。今シーズンも氷の上に立ってくれました。カレンチェン選手やマライアベル選手がグランプリ休んで全米選手権に出てくるかわかりませんが、メンバー一新した状態であれば、四大陸選手権あたりに再びゴールド選手が戻ってくる選手が見られるかもしれない、と思わせてくれる試合でした。

 

○ゴールド選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.571
2 2A   3.30   0.53 3.83 1.714
3 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.714
4 3S   4.30   0.86 5.16 2.000
5 FCSp4   3.20   0.77 3.97 2.286
6 StSq2   2.60   0.47 3.07 1.857
7 3T   4.62 x 0.00 4.62 0.143
8 2Lz   2.31 x 0.29 2.60 1.286
9 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.571
10 2S   1.43 x 0.05 1.48 0.571
11 CCoSp3   3.00   0.60 3.60 2.000
12 FCCoSp3   3.00   0.66 3.66 2.143
  TES   45.76   6.87 52.63  

ゴールド選手は3回転-3回転をしっかり取り戻していて、ショートでもフリーでも3Lz-3Tを成功させてきています。ただ、体力面の問題なのでしょうか、後半の構成が弱くなっています。コンビネーションが結局冒頭の1つしか入りませんでした。2回転になったルッツとサルコウ、見ていて2回転になってしまったという風にあまり見えなくて、最初から2回転でいいやという風に入っていったようにも見えます。昨シーズンも後半はコンビネーションを入れるでもなく、2回転の単独ジャンプが入って来る構成でした。この辺で3回転のジャンプが入って来るだけでもスコアが上がっていきます。そういった、スコアの上積みを目指す方向へ行くのかどうか。そっちへ進んでくれると、四大陸選手権で姿を見られるかもしれません。

 

○男子シングルシニア

Pl Name Nation Total SP TSS FS TSS
1 Liam KAPEIKIS USA 209.56 72.91 136.65
2 Dinh TRAN USA 198.65 71.54 127.11
3 Gabriel BLUMENTHAL CAN 188.15 68.12 120.03
4 Samuel MINDRA USA 183.38 63.30 120.08
5 Darian KAPTICH AUS 182.61 60.12 122.49
6 Goku ENDO USA 163.45 59.13 104.32
7 Paul YEUNG USA 153.34 62.67 90.67

男子もほとんどがアメリカ人選手のエントリーとなっています。

優勝は昨シーズンは全米選手権7位、世界ジュニア8位のリアムカペイキス選手でした。グランプリシリーズではマリニン選手と並んでスケートアメリカからエントリーです。男子もアメリカは昨シーズンのオリンピック代表がグランプリシリーズに誰もエントリーしていませんので、これくらいの位置の選手から世界選手権の代表に入ってくる可能性があります。

 

○ディントラン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S   4.30   0.52 4.82 1.286
2 3A+2T   9.30   0.00 9.30 0.143
3 3A   8.00   -2.24 5.76 -2.857
4 3T+2A+2A+SEQ   10.80   -1.18 9.62 -2.714
5 CCoSp3   3.00   0.30 3.30 1.000
6 ChSq1   3.00   0.20 3.20 0.429
7 3Lz+2T   7.92 x -0.83 7.09 -1.429
8 3Lz   6.49 x 0.12 6.61 0.286
9 3F   5.83 x -0.11 5.72 -0.429
10 FCCoSp4   3.50   0.49 3.99 1.429
11 StSq3   3.30   0.26 3.56 0.714
12 FSSp2   2.30   0.23 2.53 1.000
  TES   67.74   -2.24 65.50  

2位に入ったトラン選手のフリーの構成です。4つ目の要素で今シーズンの新ルール、シークエンス1.0倍基礎点が生かされたものが入っています。3T+2A+2A この選手は3回転のループが構成に入っていないのでちょっと使い方が異なりますが、トリプルアクセルを2本飛べる選手はセカンド3回転1本と3連続で3つ目3サルコウを使ってもダブルアクセルが余ります。3つ目サルコウを使わなければダブルアクセルが2本余ります。

従って、男子の上位選手は多くの場合ダブルアクセルが余ってきて、従来ルールではセカンドで2回転トーループが入る箇所が1つはありましたので、そこをダブルアクセルのシークエンスにしていく、ということで基礎点が2点ほど上げることができる計算になります。

男子のトップの方までいくと、シークエンスはトリプルアクセルを使った方が、みたいな計算になるケースが出てくるのですがそこまでいかない中堅から上位の男子の選手では、ダブルアクセルシークエンスをこの先よく見ることになっていくと思われます。

 

ということで、シーズン初戦の国際大会では、アメリカ勢のシニアデビュー、ゴールド選手のミニマム獲得、ルール変更に由来する構成の変化、と見どころがいろいろある試合となりました。