JGP グダンスク 女子表彰台6人目

ジュニアグランプリの4戦目はアルメニアで行われるはずでしたが、そちらも戦争勃発してしまい中止に。急遽4戦目のメンバーを他の試合に振り分けることとなり、5戦目も人数が一気に増えての開催となりました。

 

○女子シングル上位12人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mao SHIMADA JPN 217.68 68.81 148.87
2 Mone CHIBA JPN 205.82 70.16 135.66
3 Chaeyeon KIM KOR 195.46 67.61 127.85
4 Kimmy REPOND SUI 180.45 59.39 121.06
5 Xiangyi AN CHN 179.31 65.40 113.91
6 Lorine SCHILD FRA 179.00 60.15 118.85
7 Iida KARHUNEN FIN 173.75 57.53 116.22
8 Clare SEO USA 170.33 57.23 113.10
9 Josephine LEE USA 169.01 53.87 115.14
10 Kara YUN CAN 166.88 57.08 109.80
11 Heesue HAN KOR 156.66 59.17 97.49
12 Polina DZSUMANYIJAZOVA HUN 156.16 56.58 99.58

優勝はこれが2戦目の島田麻央選手でした。ショートは軽いミスがあり68.81 ルッツが低空で入ってq判定入っていました。現地時間朝9時台。日本時間ならちょうどいい時間でしたが、時差調整しながら現地時間で朝が早いというのがいくらか影響したりしたでしょうか。ショート2位スタートでしたがフリーは圧巻、逆転優勝、パーソナルベスト更新です。2連勝でファイナル進出決定。

2位には千葉百音選手が入りました。予定では4戦目のアルメニアだったところからのスライド。調整難しかったのではないかと思います。結果として何のめぐりあわせかシンドラーのリストポーランドで演じるというすごいシチュエーションになりました。そのショート、完璧な演技で70点に乗せるとフリーもほぼミスのない演技でトータル205.82 ISU公認の200点突破がこれで日本女子現役選手として11人目となりました。ジュニアでの突破は4人目。2017年の本田真凜選手以来絶えて無かったジュニアの200点突破がこの1か月で一気に3人も出てきています。ジュニアグランプリに2シーズン派遣がなかった日本女子のエネルギーが一気に爆発しています。これで今シーズン派遣の6選手は全員表彰台に乗りました。

3位には韓国からキムチェヨン選手。韓国に数多い190点前後の選手の一人。世界ジュニアの枠を賭けた熾烈な争いにまた名乗りを上げていますが、その前に、ファイナル進出を賭けた7戦目の出場予定もあります。

4位にスイスのレポンド選手。180点に乗せてきました。パーソナルベスト更新。日本としては昨シーズンの世界ジュニアでこのレポンド選手に勝てなかったことで、ジュニアグランプリの枠7戦×2を得られなかったという因縁の選手。やはり力はあります。近年パガニーニ選手の調子があまり上がっていないように見えるので、世界ジュニアと世界選手権の2本立てがあるかもしれません。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.83 9.83 2.333
2 4Tq q 9.50   -0.27 9.23 -0.444
3 3Lz+3T   10.10   1.94 12.04 3.222
4 FSSp4   3.00   0.86 3.86 2.667
5 3F+2A+SEQ   8.60   1.36 9.96 2.556
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 3S+3T+2T   10.78 x 1.17 11.95 2.667
8 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 2.889
9 3Lz   6.49 x 1.85 8.34 3.111
10 CCoSp4   3.50   1.60 5.10 4.444
11 LSp4   2.70   1.08 3.78 3.889
  TES   71.06   14.39 85.45  

構成はオストラバの時と同じで4回転トーループが基礎点満額になったことで合計基礎点71.06と70点に乗ってきました。

トリプルアクセルと4回転トーループ、両方着氷は初めてになります。4回転の方はqがついていますがGOE-0.27なら十分です。習得は4回転の方が先だったはずですが今シーズンはトリプルアクセルの方が安定しています。

技術点は85.45を叩きだしました。これは日本勢では紀平梨花選手が18年NHK杯で出した87.17に次ぐスコアです。シニアルールでステップ入れば90点が見えます。そうするとフリー150点に乗りますしPCSが伸びてくれば160点が見えることになります。

今シーズン、世界ジュニアの優勝スコアが世界選手権の優勝スコアを超えるなんて事態が生じるのではないかという心配が出てきました。

オストラバの時にも書きましたが、島田麻央選手のオリンピックチャンスは7年半後です。

 

○千葉百音選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.222
2 2A   3.30   0.80 4.10 2.444
3 3S   4.30   1.04 5.34 2.333
4 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.889
5 3F   5.30   1.36 6.66 2.444
6 3Lo   5.39 x 1.33 6.72 2.667
7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.111
8 3F+2A+SEQ   9.46 x 1.36 10.82 2.556
9 3Lzq+2T+2Lo q 9.79 x -0.59 9.20 -1.000
10 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.333
11 LSp4   2.70   1.08 3.78 4.000
  TES   60.34   11.64 71.98  

千葉百音選手のフリーはルッツで一つqが付きましたがそれくらいで大きなミスなく滑りました。2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。シークエンスにダブルアクセルも使って基礎点60.34です。シニアルールでステップが入ればレベル4なら64.24まで出ますし技術点は75点を超えてきます。ここから基礎点上げるには1.1倍にコンビネーション全部持ってくるとかする以外は、もう高難度ジャンプ持ってくるしかなさそうです。4回転トーループを練習中で8月の国内試合では組み入れていましたが、まだ回転が全く足りていないという水準だったようです。完成はまだ先でしょうか。

PCSはショートもフリーも島田選手を上回って1位でした。ショートフリーの合計PCSは94.60で今シーズンのジュニアカテゴリーではトップとなっています。

今回のこの結果で2戦目も得ました。グダンスク2連戦で1人残ってシンドラーのリストポーランドで再演するかと思ったのですが2戦目は最終7戦目のイタリアに回ることになりました。しかし、これまで最高スコアがシニアルールで184.30 ジュニアルールでは3シーズンも前の181.86だった選手がいきなり205点まで出してくるとは思いませんでした。吉田陽菜選手がブロック大会ではシニアカテゴリーにエントリーしていたので、全日本ジュニアは島田麻央選手と対抗できる選手がいないなと思っていたのですが、今回の滑りを見ると千葉選手も十分対抗できそうです。

205.82というスコアは昨シーズンのシーズンスコアランキング25位相当です。ロシアのいない今シーズンでは順位が上がると思われるので、これで来シーズンのグランプリシリーズが見えてきました。JGPの2戦目ももらえたこととあわせ、先につながる切符を手に入れた大会になったことと思います。

 

○男子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Lucas BROUSSARD USA 209.39 69.12 140.27
2 Yudong CHEN CHN 201.84 53.76 148.08
3 Raffaele Francesco ZICH ITA 200.73 70.02 130.71
4 Younghyun CHA KOR 199.18 65.72 133.46
5 Nozomu YOSHIOKA JPN 194.63 69.97 124.66
6 Francois PITOT FRA 194.28 72.22 122.06
7 Michael XIE USA 193.48 61.51 131.97
8 Naoki ROSSI SUI 187.85 66.50 121.35
9 Joseph KLEIN USA 187.50 70.13 117.37
10 Alec GUINZBOURG CAN 184.00 64.75 119.25
11 Ryoga MORIMOTO JPN 182.02 63.53 118.49
12 Jakub LOFEK POL 164.41 54.62 109.79

男子はアメリカのブルサード選手が優勝しました。2006年生まれの16歳。昨シーズンのJGP2戦では200点に届かないスコアでしたが初めて200点に乗せての優勝です。ジュニアグランプリ、2戦目の割り当てをもらえていないのですがどうなのでしょう? 優勝したけどこのまま2戦目がないのかどうか

2位にはショート16位から中国のチェンユドン選手が飛び込んできました。フリーで冒頭から4回転2本を決めて一気に2位まで浮上してきました。18歳になってますので来期はシニアに上がるでしょうか。2位に入ってますので2戦目を上げたいところですが、中国は昨シーズンの世界ジュニア参加を見送ったので枠がない。ファイナル進出のチャレンジが出来ずこの1戦でジュニアグランプリは終了なはずです。

3位にイタリアからフランチェスコジッチ選手が入ってきました。イタリア勢男子はこれで3戦連続表彰台です。2戦目をこの後残しているのですが、ファイナルへイタリア勢2人目の進出なるでしょうか。

日本からは吉岡希選手が5位でした。3位以内でファイナル確定という試合だったのですが5位。1戦目優勝なので4位でも高確率でファイナルだったのですが、5位だと微妙な位置になります。他選手の結果待ち。意外と2位3位経験者で2戦目が無いという選手もいるのでチャンスはあります。

森本涼雅選手は11位。優勝でファイナル確定というチャンスのある試合ではあったのですが、生かせませんでした。

 

○吉岡希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   -3.12 10.58 -3.333
2 3F   5.30   1.36 6.66 2.556
3 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
4 FCSp2   2.30   -0.07 2.23 -0.333
5 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.778
6 2T   1.43 x 0.02 1.45 0.111
7 2A+COMBO+2S* * 3.63 x -1.27 2.36 -3.889
8 ChSq1   3.00   0.71 3.71 1.444
9 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.17 10.29 0.333
10 CSSp4   3.00   0.09 3.09 0.222
11 CCoSp3   3.00   0.47 3.47 1.667
  TES   58.38   1.21 59.59  

冒頭4回転はきまったのですがコンビネーション2つ目でステップアウト。そこから波に乗れなかった印象でした。オストラバの時と目指した構成は同じようですが、後半の4回転は2回転に、3連続はトリプルアクセルからのはずがうまく入りませんでした。

本来2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセルですが今回は結果的に無しです。まずはオストラバの時の基礎点71.10の構成をしっかりできるようにしつつスピンのレベルを上げていくというのが今の段階なのだろうと思います。

表彰台まで6.10差、2位まで7.21差。2本目の4回転決めるか、3連続しっかり決めるかでファイナル決まっていたのですが、非常に残念でした。

吉岡選手は国内のジュニアではシードもついていて地方大会のエントリーもありません。次戦はいきなり全日本ジュニアということになるのか、その前に西日本選手権に出るのか。地方のローカル大会入れるか。その辺考えつつ、ファイナル進出なるかの結果待ちということになります。

 

○森本涼雅選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A<< F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
2 3Lz+3T   10.10   0.84 10.94 1.444
3 3F! ! 5.30   -0.15 5.15 -0.333
4 FCSp4   3.20   0.14 3.34 0.556
5 3Lo   4.90   0.70 5.60 1.333
6 FCSSp4   3.00   0.39 3.39 1.222
7 2A+1Eu+3Sq q 8.91 x -0.31 8.60 -0.556
8 3Fe+1T e 5.10 x -1.33 3.77 -3.111
9 3Lz   6.49 x 0.84 7.33 1.444
10 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
11 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.778
  TES   56.80   1.22 58.02  

冒頭トリプルアクセルは決まらず。現在習得中のジャンプ。まだトリプルアクセルの成功がありません。以降は大きなミスは上半身見ている限りは無かったのですが、課題のフリップで!とeに3連続ではqが付き加点を稼げませんでした。基礎点56.80は初戦の56.05より上がっています。後半のミスの少なさによります

2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。フリップはeが付きがちなのですが、高難度ジャンプがないのでここまで攻めるしかないのでしょうきっと。

男子はシニアの上位でもスピンが荒い選手が多いのですが、森本選手は今回ショートフリー6つのスピンのうち5つでレベル4をしっかり取りました。クールシュベルの時は6分の6レベル4 スピンがしっかりしている選手です。

今後は、スライドでグダンスクに回った結果、近畿選手権が免除になってますが、エントリーはしているので来週出場するかどうか。その後西日本選手権から全日本ジュニアが待っています。

 

これで4戦というか5戦というか終わり、日本からの派遣選手は一巡しました。女子は派遣6人全員が表彰台です。6人中5人は国内参考記録を含めても自身の最高スコアを出すという素晴らしい結果を出しています。合計11枠しかないので、表彰台にしっかり乗っていた櫛田育良選手がはじき出されて2戦目が無いという事態に陥ってしまいました。どういう事情で11枠になったのかわからないのですが、元々本来は7戦×1枠だったはずで、そうなっていた場合3人×2戦+1で2位表彰台を持っていても2戦目が無いという事態に陥るところでした。この先、有力ジュニアでも4シーズンシニアに上がらず滞留する、ということになりますので、ジュニアグランプリの枠取り争いも大変激烈なことになっていきます。

 

次戦は6戦目でグダンスクでまた行われます。女子では柴山歩選手と中井亜美選手。この試合はファイナル進出枠を賭けた激烈なつぶしあいの形で、1戦目優勝の韓国シンジア選手に、2位が3人いて韓国のクォンミンソル選手、アメリカのソーホーリー選手に柴山歩選手、ここまで4人は当初からのエントリーでここに7戦目予定だった中井亜美選手は回ってきました。と思ったら逆にアメリカのソーホーリー選手は7戦目に回ったので、少しメンバーは楽になって日韓対決の構図になりましたが、4戦目が無くなったことで、ぎりぎりまでメンバーは変わる可能性はありそうです。

いずれにしても2人とも優勝でファイナル確定、柴山選手は2位でも確定で3位でも比較的高い確率でファイナルへ行けそうですが4位だと可能性は残るけれど厳しいです。中井選手は2位でも他の選手との兼ね合いですが割と確率は高く、3位だとほぼアウトになります。

男子は中田璃士選手、田内誠悟選手に4戦目予定だった片伊勢武アミン選手がここに回ってきました。初戦2位の中田選手は2位以内でファイナル確定、3位でも高確率でファイナルが見えます。