グランプリシリーズ22展望 男子シングル

今シーズンは、個人的にはジュニアグランプリでだいぶおなか一杯感もありますが、シニアのグランプリシリーズはこれから始まります。スケートシーズンはこれからが本番です。

今回は、そのグランプリシリーズの展望をしていきます。

まずは男子シングル。この後まだエントリーが変わっていく可能性はありますが、現段階で公表されている各試合のメンバーを、昨シーズンのベストスコア、セカンドベスト、今シーズンのベストスコアの3つのスコアを並べています。ベストスコアはISU公認とは限らずB級大会も含めますが、各国のナショナル選手権など国内レベルの試合は含めません。なお、今シーズン国際大会に出ていない日本人選手は国内参考記録をかっこ付きで入れました。

 

スケートアメリカ

Skate America   21-22Best 21-22 2nd 22-23Best
Junhwan CHA KOR 282.38 273.22 253.20
Daniel GRASSL ITA 278.07 274.48  
Ilia MALININ USA 276.11 263.79 257.28
Roman SADOVSKY CAN 253.80 245.36 222.74
Kao MIURA JPN 251.07 232.89 (232.39)
Mikhail SELEVKO EST 241.52 234.72 220.33
Sena MIYAKE JPN 240.02 222.21 (205.30)
Koshiro SHIMADA JPN 228.77   235.90
Wesley CHIU CAN 232.39 228.29 171.69
Eric SJOBERG USA 221.12 212.77 200.40
Liam KAPEIKIS USA 219.81 210.94 209.56
Donovan CARRILLO MEX 218.13 208.41 181.44

初戦はスケートアメリカ。初戦から誰が勝っても初優勝という試合になりました。

昨シーズン以降のスコアトップはチャジュンファン選手です。オリンピック5位ですから当然優勝候補ということになります。イタリアのグラスル選手がそれに続きます。まだ今シーズンはショートフリー揃った国際試合には出てきていませんが、フリーのみのジャパンオープンでは166.21というまずまず位のスコアは出していました。

しかし何と言ってもこの試合の目玉はマリニン選手になるのだろうと思います。昨シーズンの世界ジュニアで出した276.11がベストスコア。4回転アクセルを決めたUSインターナショナルはショートがひどかったのでトータルスコア257.28にとどまっています。鍵はショートフリーと2本そろえられるかとPCSがどこまで出るか、になるのでしょうか

日本勢は鍵山選手がシードでここにいたはずなのですがけがで欠場となりました。代役で入った島田高志郎選手はこれでグランプリ2戦が揃いました。今は国際舞台で戦える選手として残れるかどうかの当落線上あたりにいるのでこのチャンスを生かしたいところです。

ベストスコア的には三浦佳生選手が251.07を持っています。展開次第では表彰台も狙えるのですがグランプリに合わせてこられるか。

日本からはもう一人三宅星南選手。こちらもこの先国際舞台で戦っていけるかどうかが問われるシーズンになってきます。

 

スケートカナダ

Skate Canada Int.   21-22Best 21-22 2nd 22-23Best
Shoma UNO JPN 312.48 293.00  
Deniss VASILJEVS LAT 272.08 254.48 214.19
Camden PULKINEN USA 271.69 237.97 219.49
Boyang JIN CHN 270.43 242.27  
Keegan MESSING CAN 265.61 255.07 245.74
Matteo RIZZO ITA 255.84 255.75 253.34
Kao MIURA JPN 251.07 232.89 (232.39)
Jimmy MA USA 250.97 233.58 216.76
Lukas BRITSCHGI SUI 218.91 218.56 239.66
Aleksandr SELEVKO EST 238.42 225.89 200.51
Stephen GOGOLEV CAN 224.49 206.17 208.43
Conrad ORZEL CAN 222.75 219.20 193.15

2戦目はカナダ。ここに宇野昌磨選手がいます。ちゃんと滑れば順当に勝てるという力関係かと思われます。今シーズンまだショートフリー揃った試合には出ていませんが、ジャパンオープンは193.80のスコアではありました。

バシリエフス選手がスコア2番手。2人で表彰台乗ったらランビエール先生うれしいでしょうねえ。今シーズンは島田高志郎選手も2試合あってグランプリシリーズに忙しくなったランビエール先生です。

世界選手権で躍進したプルキネン選手、復活なるかのボーヤンジン選手が続き、ベテランの実力者キーガンメッシング選手もカナダの試合ですので表彰台には絡んできたいという立ち位置です。

日本からはもう一人、三浦佳生選手がアメリカからの連戦。マリニン選手とはスケート年齢でいえば同い年区分になりますので、俺もいるぞ、というのを見せたいところでしょうか。

 

○グランプリフランス

Grand Prix de France   21-22Best 21-22 2nd 22-23Best
Kazuki TOMONO JPN 269.37 268.99 210.77
Adam SIAO HIM FA FRA 266.12 250.15 237.19
Kevin AYMOZ FRA 254.80 252.21 236.17
Sota YAMAMOTO JPN 247.65 238.90 (271.41)
Mikhail SELEVKO EST 241.52 234.72 220.33
Luc ECONOMIDES FRA 241.06 207.69 197.41
Sena MIYAKE JPN 240.02 222.21 (205.30)
Sihyeong LEE KOR 224.05 223.18 235.71
Mikhail SHAIDOROV KAZ 234.67 234.31 201.52
Wesley CHIU CAN 232.39 228.29 171.69
Nika EGADZE GEO 227.57 225.60 217.64
Ivan SHMURATKO UKR 223.29 214.57 216.25

3戦目はヨーロッパへ移ってフランスです。この試合も誰が勝ってもグランプリ初優勝となります。

トップスコアは友野一希選手が持っています。初優勝のチャンスではあるのですが、今シーズンここまでの出来はいまいちです。

フランス勢がそれに続きます。二人とも突出したスコアはもっていません。ただ250点は普通に出してきますし260点台の力もある。4回転決まるかどうかがとにかく勝負。

スコア上位3人にエンターティナーな選手がそろっていてエキシビジョン面白そうですが、その3人に挑むのが山本草太選手です。昨シーズン時点でスコア4位。今シーズンは国内参考記録ですが271.41をだしていますし、3試合で一番悪くて253.80 グランプリ初表彰台を超えてグランプリ初優勝のチャンスもあります。

日本からもう一人は三宅星南選手。鍵山選手の代役で入り、これでグランプリが2戦揃いました。三宅選手もこのメンバーだと表彰台チャンスがあるので一勝負したいところだと思います。

 

○MKジョンウィルソン杯

MK John Wilson   21-22Best 21-22 2nd 22-23Best
Daniel GRASSL ITA 278.07 274.48  
Deniss VASILJEVS LAT 272.08 254.48 214.19
Morisi KVITELSASHVILI GEO 272.03 268.62 231.30
Shun SATO JPN 264.99 256.16 (205.76)
Roman SADOVSKY CAN 253.80 245.36 222.74
Jimmy MA USA 250.97 233.58 216.76
Tatsuya TSUBOI JPN 238.34 233.82 (195.03)
Koshiro SHIMADA JPN 228.77   235.90
Tomoki HIWATASHI USA 222.37 221.77 206.30
Corey CIRCELLI CAN 213.20 201.62 182.66
Graham NEWBERRY GBR 210.40 202.34 182.99
Edward APPLEBY GBR 190.69 184.46 182.64

4戦目はイギリスです。スコアトップはオリンピック6位のグラスル選手。初戦の結果次第ではここでファイナルを賭けた試合になるわけですがチャンスが来ていそうに見えます。

バシリエフス選手がスコア2番手。グランプリ表彰台経験は昨シーズンまではまだありません。プチヨーロッパ選手権のようなこの試合、4回転入れば勝つチャンスもあるのでしょうか。

クビテラシビリ選手はここが初戦。できれば勝ちたいでしょうけれど表彰台に乗っておけばファイナルには繋がるというくらいの立ち位置です。正直なところジョージア国籍でモスクワで練習している選手にとって、ロステレコムもないグランプリシリーズとファイナルにどこまで価値を感じているかはわからないのですが、実績から見ればファイナル候補です

日本勢では佐藤駿選手がスコア4位にいます。万全の調子なら表彰台が狙えると思うのですが、ケガの具合はこのころどうなっているか。壷井達也選手はグランプリデビュー戦になります。こちらもケガの具合がどうか。

島田高志郎選手はここが2戦目です。日本勢の中ではパーソナルベストが劣るのですが、次のオリンピックに向けて上位で戦えるところを見せてほしいです。

 

NHK杯

NHK Trophy   21-22Best 21-22 2nd 22-23Best
Shoma UNO JPN 312.48 293.00  
Junhwan CHA KOR 282.38 273.22 253.20
Boyang JIN CHN 270.43 242.27  
Kazuki TOMONO JPN 269.37 268.99 210.77
Adam SIAO HIM FA FRA 266.12 250.15 237.19
Matteo RIZZO ITA 255.84 255.75 253.34
Gabriele FRANGIPANI ITA 250.51 238.95 230.99
Sota YAMAMOTO JPN 247.65 238.90 (271.41)
Maurizio ZANDRON AUT 228.27 220.81 213.74
Nika EGADZE GEO 227.57 225.60 217.64
Stephen GOGOLEV CAN 224.49 206.17 208.43
Tomoki HIWATASHI USA 222.37 221.77 206.30

今年は5戦目にNHK杯があります。

当然、宇野選手がここにいます。順当にいけば勝てるはずという立ち位置です。

スコア2番手がチャジュンファン選手。初戦次第ですが久しぶりのファイナルを狙う試合になっているでしょうか。

復活してほしいボーヤンジン選手が3番手にいて、友野一希選手が4番目。こちらも初戦次第でファイナルチャンスのある試合。安定感あるといいのですけど、不安定さがあるので2戦続けて結果を出すということができるでしょうか。

日本勢もう一人は山本草太選手。気づけば5年連続のNHK杯です。NHK杯縁のある選手ですが最高位は6位。今シーズンの調子を考えると表彰台チャンスもありそうです。友野選手、山本選手の調子次第では日本勢表彰台3人という絵柄もあり得なくはない顔ぶれがそろいました。

 

○グランプリエスポ―

Grand Prix Espoo   21-22Best 21-22 2nd 22-23Best
Ilia MALININ USA 276.11 263.79 257.28
Morisi KVITELSASHVILI GEO 272.03 268.62 231.30
Camden PULKINEN USA 271.69 237.97 219.49
Keegan MESSING CAN 265.61 255.07 245.74
Shun SATO JPN 264.99 256.16 (205.76)
Kevin AYMOZ FRA 254.80 252.21 236.17
Tatsuya TSUBOI JPN 238.34 233.82 (195.03)
Mikhail SHAIDOROV KAZ 234.67 234.31 201.52
Lucas Tsuyoshi HONDA JPN 225.89 196.83 (196.42)
Arlet LEVANDI EST 222.61 221.54 202.29
Nikolaj MAJOROV SWE 220.78 216.45 202.89
Valtter VIRTANEN FIN 197.80 190.97 185.19

最終6戦目はフィンランド開催です。

スコアトップはマリニン選手。2戦2勝でファイナルへ進んで新時代の幕開けを印象付けるか、そうは簡単にいかないよとなるのか

グランプリ優勝経験者のクビテラシビリ選手もここにいます。初ファイナルのチャンス。

昨シーズン世界選手権で大躍進したプルキネン選手がスコア3番手。一発屋ではない証明をグランプリシリーズの間に出来るかどうか

日本勢では佐藤駿選手がここにいます。初戦で表彰台に乗っていればここでファイナルチャンスなわけですがどんな状態でこの試合に臨むことになるか。怪我もそろそろ癒えるころかな?

壷井選手もグランプリ2戦目。こちらもこのころにはケガからの回復は十分できているころかと思います。勝負所で結果を出せる選手の印象があるのでぜひ一勝負期待したい。

本田ルーカス剛史選手は本格的なグランプリシリーズはこれが初参戦となります。ちょっと昨シーズン以降結果が出ておらず、今シーズンの国内2戦でも200点に届いていないというのが気になりますが、なんとか巻き返していきたいという試合になります。

 

世界選手権やオリンピックの表彰台経験者は宇野昌磨選手一人しかいないという今シーズンのグランプリシリーズです。誰が勝っても初優勝という試合も2つあります。最大の注目はどうしてもマリニン選手になると思われますが、新時代を到来させることができるでしょうか?