全日本選手権22 男子レビュー3

今回は男子シングルのレビュー3回目。1つ1つの要素別を見ていく最終回です。

 

○4回転のルッツ、フリップ、ループ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS 宇野昌磨 1 4Lo   10.50   3.75 14.25 3.444
SP 宇野昌磨 1 4F   11.00   3.14 14.14 2.889
FS 佐藤駿 1 4Lz F 11.50   -5.75 5.75 -5.000
FS 宇野昌磨 3 4Fq q F 11.00   -5.50 5.50 -5.000

4回転の高難度3種類を飛んだのは2人。そのうち決めたのは宇野昌磨選手一人だけでした、宇野選手はフリップとループどちらも決めています。佐藤駿選手はルッツを飛びましたが転倒でした。

 

○4回転サルコウ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 鍵山優真 1 4S   9.70   3.60 13.30 3.778
FS 壷井達也 1 4S+3T   13.90   3.05 16.95 3.111
SP 友野一希 2 4S+2T   11.00   2.49 13.49 2.444
FS 三浦佳生 3 4S   9.70   2.22 11.92 2.333
FS 鍵山優真 2 4S+REP   6.79   -2.91 3.88 -3.000
FS 友野一希 3 4Sq q 9.70   -3.05 6.65 -3.111
SP 島田高志郎 1 4S   9.70   -3.33 6.37 -3.333
FS 島田高志郎 1 4S   9.70   -4.02 5.68 -4.111
SP 三宅星南 1 4Sq q 9.70   -4.71 4.99 -4.778
SP 壷井達也 1 4Sq q F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
SP 三浦佳生 1 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
FS 鍵山優真 1 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
FS 三宅星南 2 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
FS 壷井達也 2 4S<< << F 4.30   -2.15 2.15 -5.000

4回転サルコウはトップ選手にとってはほぼ必須となってくるジャンプです。ただ、これを今大会でGOEプラスの成功ジャンプとしたのは4人だけでした。最高評価は鍵山選手のショート冒頭のジャンプ。これを見た時は、復帰戦でもいけるのか、と思ったのですが・・・。

壷井達也選手がコンビネーションで最高評価。ただ、2本目がダウングレードの転倒となったため、フリーの大逆襲は不発に終わりました。

宇野選手の名前がありませんが、フリーのサルコウは2回転になったためリストに入ってきません。山本草太選手はショートフリーどちらも2回転になったことでやはりリストに入っていません。佐藤駿選手はルッツを採用したこともあってか今シーズンサルコウはもともと構成に入れていません。

 

○4回転トーループ

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 佐藤駿 1 4T   9.50   3.39 12.89 3.556
FS 佐藤駿 5 4T   9.50   2.99 12.49 3.222
FS 佐藤駿 2 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
SP 本草 1 4T+3T   13.70   2.71 16.41 2.778
FS 宇野昌磨 8 4T+2T   11.88 X 2.44 14.32 2.556
FS 櫛田一樹 1 4T   9.50   2.44 11.94 2.556
FS 宇野昌磨 7 4T+3T   15.07 X 1.90 16.97 2.111
FS 三浦佳生 7 4T+3T   15.07 X 1.76 16.83 2.000
SP 吉岡希 1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
FS 島田高志郎 2 4T   9.50   1.76 11.26 1.889
SP 宇野昌磨 2 4T+2T   10.80   1.63 12.43 1.778
FS 友野一希 1 4T+3T   13.70   0.81 14.51 0.889
FS 吉岡希 2 4T   9.50   -0.14 9.36 -0.111
SP 島田高志郎 2 4Tq+3T q 13.70   -0.95 12.75 -1.000
FS 垣内珀琉 1 4Tq+3T q 13.70   -1.09 12.61 -1.111
FS 吉岡希 1 4T+3T   13.70   -1.76 11.94 -1.667
FS 本草 3 4T+3T   13.70   -1.76 11.94 -1.889
FS 三浦佳生 2 4T   9.50   -2.17 7.33 -2.333
FS 中村俊介 1 4Tq q 9.50   -3.53 5.97 -3.556
FS 垣内珀琉 3 4Tq q 9.50   -4.75 4.75 -4.889
SP 三浦佳生 4 4T+COMBO F 10.45 X -4.75 5.70 -5.000
SP 友野一希 1 4Tq q F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
SP 垣内珀琉 1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
FS 本草 2 4Tq q F 9.50   -4.75 4.75 -5.000

4回転トーループは4回転の1種類目として選ぶ選手が多く、トップ選手以外でも試みる選手が多かったです。

GOEプラスの成功者は8人。佐藤駿選手がショートフリーの3本すべて高評価で上から3つ名前を並べています。櫛田一樹選手はトップ選手とはいいがたいですが、その中で4回転を決めました。

こうやって並べると、これだけの選手が4回転トーループを飛んでいますが、qはあってもアンダーローテーションやダウングレードはない、ということで、多くの選手が4回転まわり切れるようになってきています。

 

トリプルアクセルを含む要素で平均GOE+2.000以上

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 三浦佳生 2 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
FS 森口澄士 2 3A   8.00   2.29 10.29 2.889
SP 島田高志郎 4 3A   8.80 X 2.29 11.09 2.778
SP 友野一希 4 3A   8.80 X 2.17 10.97 2.778
FS 宇野昌磨 4 3A   8.00   2.29 10.29 2.778
FS 宇野昌磨 9 3A+2A+2A+SEQ   16.06 X 2.06 18.12 2.667
FS 三浦佳生 8 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.94 16.02 2.556
FS 森口澄士 1 3A+2T   9.30   1.94 11.24 2.556
SP 宇野昌磨 4 3A   8.80 X 1.94 10.74 2.556
SP 中村俊介 1 3A   8.00   1.94 9.94 2.556
FS 佐藤駿 3 3A+1Eu+3S   12.80   2.06 14.86 2.444
SP 吉岡希 2 3A   8.00   2.06 10.06 2.444
FS 島田高志郎 3 3A+3T   12.20   1.71 13.91 2.222
FS 佐藤駿 7 3A   8.80 X 1.83 10.63 2.222
SP 壷井達也 2 3A   8.00   1.71 9.71 2.222
FS 大島光翔 1 3A   8.00   1.71 9.71 2.000

トリプルアクセルは男子にとっては標準装備されているべきジャンプとなっています。最高評価は三浦佳生選手のショートプログラムで+3.000でした。今大会大活躍した森口澄士選手が2番目の評価と共に、冒頭のコンビネーションも+2.556と高評価でした。

3連続でトリプルアクセルを使って高評価なのは3人。宇野昌磨選手、三浦佳生選手、佐藤駿選手。宇野選手は時間のかかる3連シークエンスで結果タイムオーバーになってますがスコアは18.12と今大会全体で最高のものでした。

 

○3連続ジャンプで平均GOE+1.000以上

Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
森口澄士 7 3S+2A+2A+SEQ   11.99 X 1.29 13.28 3.000
宇野昌磨 9 3A+2A+2A+SEQ   16.06 X 2.06 18.12 2.667
三浦佳生 8 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.94 16.02 2.556
佐藤駿 3 3A+1Eu+3S   12.80   2.06 14.86 2.444
友野一希 8 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.60 15.68 1.889
島田高志郎 7 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.49 15.57 1.889
本草 4 3A+1Eu+3S   12.80   1.49 14.29 1.889
中村俊介 9 3Lz+1Eu+3S   11.77 X 1.01 12.78 1.667
鍵山優真 7 3Lz+1Eu+2S   8.47 X 0.76 9.23 1.333
佐々木晴也 3 3Lz+1Eu+3S   10.70   0.76 11.46 1.222
垣内珀琉 7 2A+3T+2T   8.80   0.48 9.28 1.111

3連続ジャンプはフリーで1度だけ入る要素です。最高評価は森口澄士選手でした。こういう1つ1つの要素で高い評価を得られるのはペアの効果があったりするんでしょうか?

+2以上は4選手。トップ選手は3A+1Eu+3Sが標準なようです。宇野選手は3A+1Eu+3Fが得意だったと思いますが、3A+2A+2Aはそれよりも基礎点が高くなります。ただ、2連続で2Aを使って3連続は+1Eu+3Fの方が合計基礎点は高くできるのですが、その辺はもう好みの問題でしょうか。

 

○平均GOE+3.200以上の要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
SP 宇野昌磨 5 StSq3   3.30   1.37 4.67 4.111
SP 本草 5 CSSp4   3.00   1.24 4.24 4.111
FS 宇野昌磨 10 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
SP 鍵山優真 1 4S   9.70   3.60 13.30 3.778
SP 本草 6 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
FS 西山真瑚 10 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.667
FS 西山真瑚 11 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.667
SP 友野一希 7 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.667
SP 佐藤駿 1 4T   9.50   3.39 12.89 3.556
FS 宇野昌磨 5 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.556
SP 本草 7 CCoSp4   3.50   1.25 4.75 3.556
FS 本草 11 CSSp4   3.00   1.03 4.03 3.556
FS 宇野昌磨 1 4Lo   10.50   3.75 14.25 3.444
FS 本草 12 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.444
FS 森口澄士 5 3F   5.30   1.74 7.04 3.333
FS 友野一希 11 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.333
SP 宇野昌磨 6 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.333
SP 島田高志郎 7 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
FS 佐藤駿 5 4T   9.50   2.99 12.49 3.222
SP 鍵山優真 6 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.222

今大会の最高評価は宇野昌磨選手のショートのステップと山本選手のスピンでした。宇野選手のステップはレベル3なのが少し残念です。

ジャンプの最高評価は鍵山選手のショート冒頭の4回転サルコウ。繰り返しになりますが、これを見た時は復帰戦でも行けるのかと思ったものですが・・・。

特徴的なのは総合16位の西山真瑚選手がフリーでステップ、コレオ共に高評価なところ。さすがアイスダンサー、というところを見せています。

 

年越してしまいましたが全日本選手権振り返りはここまでです。

大会自体は平日の観客の入りの薄さが少々心配になったりしましたが、平日の昼間はああなる方がむしろ普通で、土日はちゃんと入っていてよかったなとも思いました。収益はどうだったのかがわかるのはまだだいぶ先です。

大会そのものより代表選考が物議をかもしていましたが、結局のところ、はっきり差をつけて上に行けなかった場合は運を天と選考委員に任せるしかない、ということなようです。特に今回はグランプリファイナル初出場組が多く、ファイナルを経ての全日本をどう戦うか? の経験値がそれぞれ少なすぎました。

もう少しミスが少ない演技が見たいという本音もありますが、この辺はグランプリファイナル慣れすることでもう1レベル上がっていくのだろうと思老います。また来年、というかもう今年になりますが、次の1年も楽しみにしたいと思います。