23-24 デニスバシリエフス

1999年8月9日生まれ

シニア8シーズン目

シーズン獲得賞金:$3,000

世界ランキング:13位

シーズンランキング:17位

シーズンベストスコア 257.80(15位) 世界選手権

ショートプログラムシーズンベスト 89.42 世界選手権

フリーシーズンベスト 174.14 ラトビア

スピンレベル4率 37/42 = 88.1%

ステップレベル4率 11/14 = 78.6%

スピンオールレベル4 4/7

スピンステップオールレベル4 4/7

ジャンプ回転不足率 13/70 = 18.6%

ジャンプ回転不足なし 4/7

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 3/7

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Nepela Memorial 7 215.78 82.40 133.38
GP Skate America 9 215.34 75.84 139.50
GP NHK Trophy 7 221.95 82.14 139.81
IC Latvia Trophy 1 255.15 81.01 174.14
EC European Championships 6 237.42 82.34 155.08
IC Bavarian Open 1 256.18 85.36 170.82
WC World Championships 7 257.80 89.42 168.38

バシリエフス選手は昨季グランプリシリーズ初表彰台がありました。ヨーロッパ選手権5位、世界選手権13位。一定の結果を出していたシーズンでした。

 

今期は昨季と同じネペラメモリアルが初戦です。ショートプログラムはまずまずでしたが、フリーは4回転サルコウ含めアンダーローテーション3つ、ダウングレード1つと厳しい出来でトータル215.78に終わります。

 

グランプリシリーズは当然2戦あります。昨季は表彰台に乗りましたが、例年あまりこの時期は結果を残していません。今期もスケートアメリカではショート2転倒、フリーもトリプルアクセルで転倒しスコア伸びずトータル215.34で9位でした。

2戦目はNHK杯で来日です。ショートは4回転サルコウ転倒し、コンビネーションもセカンドでアンダーローテーション付きましたがそれでも82.14で5位に付けます。3位までは4.28差で迎えたフリーですが冒頭のサルコウは1回転に、2本目で4回転を飛びなおしに行きましたがダウングレードの転倒。次のトリプルアクセルアンダーローテーションとジャンプ苦しんで139.81 トータル221.95で7位となりました。

 

12月にラトビアは国内だけのナショナルは無く、国際大会のラトビア杯の形で他国の選手もいる試合の形でナショナル扱いになる試合があります。ここでフリーの冒頭、4回転サルコウを決めました。しかもセカンドで2回転のコンビネーション付き。2つ目の4回転サルコウは転倒しましたが基礎点は満額入りました。スコア的には255.15まで出して優勝です。

 

シーズン後半、1月に入ってヨーロッパ選手権。例年この辺から調子が上がってきます。ショートプログラム、最終グループの2人目で登場。4回転サルコウはアンダーローテーションが付き、コンビネーションもセカンドでアンダーローテーション。それでも82.34までは出して5位に付けます。3位までは7.71差、厳しいですがチャンスはある点差です。フリーは冒頭に4回転サルコウ持ってきましたが転倒。2つ目にも4回転サルコウ入れましたがアンダーローテーションでしかもセカンドつかないのでリピート扱いになります。以降はまずまず滑りましたが155.08でトータル237.42 6位となりました。

 

2月にはババリアンオープンに登場。フリーで4回転サルコウをqついてGOE-3.600ではありましたが降りました。トータル256.18で優勝します。

3月、世界選手権。最終グループの1つ前のグループで4番滑走。このショートでは4回転を回避。コンビネーションもしっかり決めて全要素プラス評価。シーズンベストの89.42で8位スタートとなります。フリーは第3グループの最終滑走。4回転どうするかと思われましたが冒頭に入れてきました。ただ、これは2回転になります。飛びなおしは無しで次は3Lz+3Tを決めます。以降、qが付く場面はありましたが全体的にいい滑りでした。フリー168.38とシーズンベストを出してトータル257.80 最終的には7位。しっかり上位入賞をしてきました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Nepela Memorial 215.78 96.03 119.75 71.09 -10.18 22.49 12.63
Skate America 215.34 97.08 121.26 73.36 -13.09 22.57 14.24
NHK Trophy 221.95 99.36 124.59 68.57 -9.80 25.85 14.74
Latvia Trophy 255.15 128.10 128.05 82.20 5.07 25.54 15.29
European Championships 237.42 111.93 126.49 80.25 -9.28 25.90 15.06
Bavarian Open 256.18 127.02 129.16 86.60 -0.40 25.53 15.29
World Championships 257.80 126.54 131.26 78.20 8.30 25.15 14.89

トータルスコアはシーズン序盤に210点台から始まりましたが最後は250点台が並びます。シーズンベストランクは15位でした。

技術点は120点台が出ています。ラトビア杯はB級大会ですが128.10があってこれは今期全選手中22位です。一方PCSの方は120点台から世界選手権で130点台に乗せてきました。1項目平均8点台後半まで出ます。世界選手権の131.26は今シーズン全選手中7位。技術点より演技構成点の方が点が出る選手です。

ジャンプの基礎点はいい時で80点台までです。4回転がなかなかしっかりはいってこないので あまり伸びてきません。加点の方もマイナスが多いですがショートで4回転を回避した世界選手権はしっかりプラスが出ました。

スピンは最初の2戦はひどかったですが、あとは25点台が並びます。ヨーロッパ選手権の25.90が今期全選手中4位という高い評価になります。

ステップ系要素はB級大会で15.29 ヨーロッパ選手権で15.06が出ました。B級大会ですが15.29は今期全選手中8位になります。

スピンステップPCSが高い評価、という選手です。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Nepela Memorial 51.33 47.61 38.95 57.22 55.39 59.15
Skate America 51.22 48.97 35.35 57.49 62.74 60.15
NHK Trophy 52.93 46.10 39.42 68.76 65.02 62.38
Latvia Trophy 61.51 54.27 57.82 67.70 67.53 64.69
European Championships 56.93 53.10 40.06 68.93 66.48 63.64
Bavarian Open 61.77 56.91 51.05 67.66 67.53 65.43
World Championships 62.19 51.87 61.82 66.36 65.71 66.83

トータルスコアはシーズン後半に60台の偏差値に乗せてきました。

ジャンプの基礎点は50台中盤までです。加点の方は平均割れが多いですが世界選手権では60に乗せています。

スピンは60台後半とかなり高い偏差値を叩きだしました。

ステップ系要素も60台後半が出ます。

PCSは60台中盤あたりまで出ます。

ジャンプが・・・、という構図が垣間見えます。

 

デニスバシリエフス選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートは明らかな左寄りです。ジャンプは基礎点も加点もあまり伸びていないのがよく見えます。

 

●シーズン最高の基礎点構成

スケートアメリカ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Sq F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
2 3Lz+3T   10.10   0.76 10.86 1.222
3 CCSp4   3.20   0.96 4.16 3.000
4 3Aq F 8.80 x -4.00 4.80 -5.000
5 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.000
6 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.222
7 FSSp4   3.00   0.94 3.94 3.111
  TES   42.20   -4.60 37.60  

ショートプログラムは42.20という基礎点がありました。4回転サルコウが基礎点満額入り、コンビネーションはルッツから、1.1倍にトリプルアクセルでスピンステップオールレベル4です。基礎点自体はそれなりにあるのですがこの試合は転倒が2つです。4回転サルコウは基礎点満額取れることはあるのですが、着氷がなかなかできないので基礎点が活かせていません。

無理に4回転飛びに行かない方が点は出るのですが…、飛びたいんでしょうねえ…。

 

ラトビア杯 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S+2T   11.00   1.29 12.29 1.600
2 4Sq F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
3 3A+2A+SEQ   11.30   1.60 12.90 2.200
4 3Lo   4.90   1.14 6.04 2.200
5 FSSp4   3.00   1.10 4.10 3.600
6 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
7 3A   8.80 x 1.87 10.67 2.400
8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
9 3F   5.83 x 1.24 7.07 2.400
10 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.400
11 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
12 FCCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.800
  TES   80.20   9.49 89.69  

フリーはラトビア杯で80.20の基礎点がありました。4回転はサルコウ2本入ってセカンドは2回転。シークエンスアクセルに3連3サルコウあり、スピンステップオールレベル4で80.20です。

この試合は4回転サルコウ1本目が決まっていたのですが2本目は転倒。やはりまだ4回転2本は無謀な印象です。4回転1本を何とか決められるようになりつつ、他も決めていくという方がいいように感じるのですが、表彰台を狙っていこうとすると、2本入れたい、というのもわからなくはないです。でもノーミスが見たいです。

 

○平均GOE3.400以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
European Championships SP 7 FSSp4   3.00   1.33 4.33 4.444
World Championships FS 12 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.222
NHK Trophy SP 7 FSSp4   3.00   1.24 4.24 4.111
World Championships FS 6 StSq3   3.30   1.32 4.62 4.111
Bavarian Open FS 5 FSSp4   3.00   1.20 4.20 4.000
World Championships FS 11 FSSp4   3.00   1.20 4.20 4.000
Latvia Trophy FS 11 StSq4   3.90   1.56 5.46 4.000
European Championships FS 5 FSSp4   3.00   1.20 4.20 3.889
NHK Trophy FS 11 StSq4   3.90   1.50 5.40 3.889
World Championships FS 5 FCCoSp4   3.50   1.40 4.90 3.889
Nepela Memorial SP 5 StSq3   3.30   1.25 4.55 3.857
Bavarian Open SP 5 StSq4   3.90   1.43 5.33 3.800
Bavarian Open SP 7 FSSp4   3.00   1.10 4.10 3.800
European Championships FS 11 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
European Championships SP 5 StSq4   3.90   1.45 5.35 3.778
Bavarian Open FS 11 StSq4   3.90   1.56 5.46 3.600
Latvia Trophy FS 5 FSSp4   3.00   1.10 4.10 3.600
Latvia Trophy SP 7 FSSp4   3.00   1.10 4.10 3.600
Skate America FS 11 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
Nepela Memorial SP 7 FSSp4   3.00   0.96 3.96 3.429
Nepela Memorial FS 5 FSSp3   2.60   0.88 3.48 3.429

評価の高い要素はスピンが多いです。

得意なのはフライングシットスピン。ヨーロッパ選手権の+4.444は今期のスピンの評価として全選手中2位、フライングシットスピンとして1位です。

世界選手権ではコレオで+4.222というのがありました。これはコレオの評価として全選手中4位になります。

ステップはラトビア杯でレベル4の+4.000をもらいました。レベル4のステップとして今期全選手中7位の評価です。世界選手権ではレベル3ながら+4.111という評価がありましたが、ステップの評価として全選手中7位にあたります。

スピンステップは高い評価になっています。

 

○4回転サルコウ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial SP 1 4S<< <<  4.30   -2.15 2.15 -5.000
Nepela Memorial FS 1 4S< 7.76   -3.72 4.04 -4.714
Skate America SP 1 4Sq F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
NHK Trophy SP 1 4S< < F 7.76   -3.88 3.88 -5.000
NHK Trophy FS 2 4S<< << F 4.30   -2.15 2.15 -5.000
Latvia Trophy FS 1 4S+2T   11.00   1.29 12.29 1.600
Latvia Trophy FS 2 4Sq F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
European Championships SP 1 4S< 7.76   -3.88 3.88 -5.000
European Championships FS 1 4S F 9.70   -4.71 4.99 -4.778
European Championships FS 2 4S<+REP 5.43   -2.33 3.10 -3.000
Bavarian Open FS 1 4Sq q 9.70   -3.23 6.47 -3.600

4回転サルコウは今期要素として入ったのは11回ありました。実際にはこれ以外に1回転になったもの1回、2回転になったのが3回、3回転になったのが1回あります。従って16回のうち4回転にならなかったのが5回、ダウングレード2回、アンダーローテーション4回で、基礎点が満額入ったのが5回だけでした。GOEプラスで成功ジャンプと言えるのは1回だけ。確率は低い、というより、現時点ではまだほとんど飛べないジャンプと言わざるを得ません。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial SP 4 3A   8.80 x 1.28 10.08 1.714
Nepela Memorial FS 2 3Aq q 8.00   -3.52 4.48 -4.286
Nepela Memorial FS 3 3A<+2A+SEQ 9.70   -1.41 8.29 -2.143
Skate America SP 4 3Aq F 8.80 x -4.00 4.80 -5.000
Skate America FS 3 3Aq q 8.00   -2.29 5.71 -2.778
Skate America FS 7 3Aq+REP F 6.16 x -4.00 2.16 -5.000
NHK Trophy SP 4 3A   8.80 X 1.26 10.06 1.556
NHK Trophy FS 3 3A<+3Tq 10.60   -2.19 8.41 -3.111
NHK Trophy FS 7 3Aq q 8.80 X -0.46 8.34 -0.556
Latvia Trophy SP 4 3A   8.80 x 1.60 10.40 1.800
Latvia Trophy FS 3 3A+2A+SEQ   11.30   1.60 12.90 2.200
Latvia Trophy FS 7 3A   8.80 x 1.87 10.67 2.400
European Championships SP 4 3A   8.80 x 1.26 10.06 1.556
European Championships FS 3 3A+2A+SEQ   11.30   2.06 13.36 2.556
European Championships FS 7 3Aq q 8.80 x -0.11 8.69 -0.111
Bavarian Open SP 4 3A   8.80 x -1.07 7.73 -1.000
Bavarian Open FS 3 3A+2A+SEQ   11.30   1.60 12.90 2.000
Bavarian Open FS 7 3A   8.80 x -2.93 5.87 -3.600
World Championships SP 4 3A   8.80 x 2.17 10.97 2.556
World Championships FS 3 3A+2A+SEQ   11.30   2.06 13.36 2.444
World Championships FS 7 3A   8.80 x 2.06 10.86 2.556

4回転がなかなか入らないのでトリプルアクセルはしっかり決めたいジャンプです。今期7試合で21回入って転倒2、アンダーローテーション2、それ以外のGOEマイナス7回あって、GOEプラスの成功ジャンプは10回。成功率は5割を切ります。ただ、ヨーロッパ選手権では3本中2本成功で1本も-0.111とごくごくわずかなマイナス。世界選手権では3本とも+2以上の成功と大事な試合では決めています。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial FS 8 3Lzq+1Eu+3S< 10.82 x -2.83 7.99 -4.714
Skate America FS 8 3Lz+1Eu+2S   8.47 x 0.51 8.98 0.778
NHK Trophy FS 8 3Lz+1Eu<<+2S <<  7.92 X -2.11 5.81 -3.556
Latvia Trophy FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 1.18 12.95 2.000
European Championships FS 9 3F+1Eu+2S   7.81 x 0.61 8.42 1.111
Bavarian Open FS 8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.39 12.16 0.600
World Championships FS 8 3Lz+1Eu+3Sq q 11.77 x -1.10 10.67 -1.778

3連続ジャンプは後半でルッツから飛びます。今季7試合すべて入りました。転倒は無し。セカンドでダウングレード1つ、3つ目アンダーローテーション1つ、3つ目が2回転になったのは3つ。3つ目がちゃんと3回転になってGOEプラスなのは2回だけです。4回転がほぼ決まっていない状態なので、3連続くらいはしっかり確率高く決めたいのですが、これがなかなかしっかり入ってきませんでした。

 

今期もシーズン後半は試合を盛り上げてくれました。ジャンプに偏らない貴重な選手の一角です。ただ、本人はやっぱり4回転を飛びたい。このあたりのバランスは難しい。確かにチャンピオンシップの表彰台を目指すには4回転が欲しいのは事実です。ファン目線だと、順位は横に置いてノーミスの素晴らしい演技が見たい、と簡単に言えてしまうのですが、アスリートとしては簡単にそんな気分にはならないのでしょう。