23-24 吉岡希

2003年12月5日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$0

世界ランキング:28位

シーズンランキング:38位

シーズンベストスコア 233.56(30位) スケートアメリカ

ショートプログラムシーズンベスト 87.44 スケートアメリカ

フリーシーズンベスト 146.12 スケートアメリカ

スピンレベル4率 30/54 = 55.6%(国際大会:12/18 = 66.7%)

ステップレベル4率 6/18 = 33.3%(国際大会:2/6 = 33.3%)

スピンオールレベル4 1/9(国際大会:1/3)

スピンステップオールレベル4 0/9(国際大会:0/3)

ジャンプ回転不足率 0/90 = 0.00%(国際大会:0/30 = 0.00%)

ジャンプ回転不足なし 9/9(国際大会:3/3)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/9(国際大会:0/3)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL げんさんサマーカップ 6 189.84 61.20 128.64
CS Lombardia Trophy 5 210.46 70.07 140.39
RT 東京選手権 4 221.72 78.66 143.06
GP Skate America 6 233.56 87.44 146.12
RT 東日本選手権 2 220.27 82.06 138.21
NC 全日本選手権 8 249.38 85.27 164.11
CC 日本学生氷上選手権 3 245.65 79.29 166.36
NG 国民スポーツ大会 2 226.61 74.26 152.35
IC Tallink Hotels Cup 2 219.98 78.02 141.96

吉岡希選手は昨季ジュニアグランプリファイナル3位、世界ジュニア3位という実績を持って今シーズンからシニアに上がりました。

 

初戦は8月にげんさんサマーカップに出てきます。ショートでスピン2つ零点や、ルッツ転倒でコンビネーションなしなど散々な出来、フリーもスコア伸びずに189.84 200点に届かないスコアで始まります。

 

国際大会はチャレンジャーシリーズのロンバルディア杯。国際大会復帰戦の鍵山選手との遠征です。ショートプログラム、得意の4回転トーループで転倒。ルッツからのコンビネーションもセカンドが2回転になり70.07 4位スタートとなります。フリーは4回転-3

回転を決めてきますが、2本目のトーループは2回転になります。それでもあとはまとめてフリー140.39とまずまず。トータル210.46で5位に入りました。

 

9月はもう1試合、東京選手権に出場します。ショートプログラムは全要素プラス評価で78.66 鍵山佐藤三浦、3人に次ぐ4位に付けるとフリーも4回転2本を降り143.06 トータル221.72で4位となりました。徐々にスコアは上がってきています。

 

グランプリシリーズは、昨季の世界ジュニア表彰台により1枠権利があります。初戦のスケートアメリカアサインされました。日本からは佐藤駿選手、壷井達也選手と遠征、アメリカのマリニン選手やフランスのエイモズ選手、ラトビアのバシリエフス選手などビッグネームも並びます。そんなグランプリデビュー戦、冒頭に4回転-3回転をクリーンに決めつつスピンステップオールレベル4で全要素プラス評価のノーミス。パーソナルベスト大幅更新、87.44で4位に付けます。フリー、どこまで行けるか、デビュー戦逆転表彰台なるか? 冒頭でセカンド3回転付きの4回転を決め、2本目の4回転も決めた時は行けるか、と期待されたのですがトリプルアクセルで少し苦労し、最後の2つルッツとフリップが1回転に。フリー146.12 トータル233.56はパーソナルベストですが6位。いい結果と見るか、大魚を逸したもったいない結果と見るか。3位までは13.94差。ノーミスなら手が届くところにありました。

 

帰国して11月、免除は無く東日本選手権です。ここは220.27の2位。問題なく通過、全日本へ駒を進めます。

 

全日本はシーズン後半の代表権を争う試合ですが、選考基準には何も入ってきていません。世界選手権は厳しそうですが、表彰台に近いところまで行くと4大陸はチャンスがあるか、というくらいの位置です。ショートプログラム、引いちゃいました最終滑走。しかも直前に宇野昌磨選手が104.69を出した直後という重圧掛る場面での登場となりました。冒頭は4回転-3回転。きれいに決まったように見えましたがGOEはわずかにマイナス。トリプルアクセルに後半のルッツは加点をもらい、ほぼミスは無し。スピンステップもオールレベル4で85.27 難しい状況で決めてきました、上位は強かったですが8位に付けます。

フリーは第3グループ5番滑走。シニア版パイレーツカリビアン。得意の4回転トーループを2本クリーンに決めました。ループで軽いミスは出ましたが全体通していい演技。ここから違う大会が始まった、というくらいのレベルの違う演技を見せて164.11 トータル249.38 上位は強く最終順位は結局8位でしたが、9位とは20点以上の差があります。日本以外の国籍だったら世界選手権の代表にもなれていただろうという出来でした。

 

年が明けての学生選手権ではフリーで166.36とさらにスコアを上げてトータル245.65で3位。160点台はたまたま1度の奇跡ではないことを示します。

1月は国民スポーツ大会にも登場。ここはややショートでスコアが出ずトータル226.61に留まりますが2位に入りました。

 

2月はB級大会の派遣をもらいました。タリンクホステルズカップ。国際大会で250点前後まで出したいところでしたが、この試合は4回転がしっかり決まらず。ショートはqが付いてGOE-3.000 フリーは1つ目転倒で2つ目は3回転になりました。トータル219.98 2位に入ってランキングのポイントは得ました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
げんさんサマーカップ 189.84 88.63 102.21 73.21 -6.40 12.34 9.48
Lombardia Trophy 210.46 109.38 102.08 80.05 -0.16 18.40 11.09
東京選手権 221.72 116.99 104.73 82.02 4.52 20.29 10.16
Skate America 233.56 119.41 114.15 79.91 6.01 21.30 12.19
東日本選手権 220.27 115.36 104.91 80.36 0.37 22.01 12.62
全日本選手権 249.38 135.55 113.83 91.02 9.96 21.12 13.45
日本学生氷上選手権 245.65 127.71 117.94 89.64 8.66 18.74 10.67
国民スポーツ大会 226.61 116.18 110.43 85.64 1.11 18.79 10.64
Tallink Hotels Cup 219.98 109.97 111.01 79.50 -2.17 21.00 11.64

スコアは240点台が2試合国内ではありますが、国際大会は233.56まででした。ISUシーズンベストは27位。24位が237.44でしたので惜しいところでした。

技術点は全日本で135.55まで出ました。国際大会では119.41が最高です。PCSの方は国際大会では114.15 1項目平均7.5を少し超えるあたりでした。

ジャンプの基礎点はナショナルで90点台に乗りました。国際大会はロンバルディア杯で80.05があります。加点の方は全日本で9.96と10点近いところまで稼ぎました。国際大会では6.01があります。

スピンは昨季は20点を超えなかったところから、今期は21点台まで普通に出るようになってきました。レベル4率も上がってきています

ステップ系要素はナショナルで13.45があり、国際大会で12.19があります。決してトップ選手と比べて高いというほどではないですが、ジュニアの頃のステップ・コレオのスコアと比べるとだいぶ上がってきています。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
げんさんサマーカップ 44.63 48.88 43.63 22.34 41.00 47.44
Lombardia Trophy 49.96 52.98 51.35 43.16 48.36 47.35
東京選手権 52.87 54.16 57.14 49.66 44.11 49.12
Skate America 55.93 52.90 58.99 53.13 53.38 55.41
東日本選手権 52.49 53.17 52.00 55.57 55.34 49.24
全日本選手権 60.02 59.56 63.87 52.51 59.13 55.19
日本学生氷上選手権 59.05 58.73 62.26 44.33 46.44 57.94
国民スポーツ大会 54.13 56.33 52.92 44.50 46.30 52.92
Tallink Hotels Cup 52.42 52.65 48.86 52.10 50.87 53.31

トータルスコアはシーズン初めの2戦は平均割れしていましたが、スケートアメリカで50台中盤に達し、全日本では60に到達しました。

ジャンプの基礎点は50台。全日本や学生選手権では50台後半まで出してきています。加点の方は50台後半から60台前半あたりです。

スピンは昨季は平均を超えたことが無かったのですが今季は平均を超える試合も多いです。

ステップ系要素も平均を超える試合が出てきました。

PCSもスケートアメリカで50台中盤まで出るようになってきました。

昨季までほとんど平均に届かなかったスピンステップPCSがしっかり平均を超えるところまで出せるようになってきて、ジャンプも昨季の水準を保てています。

 

吉岡希選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートは右に偏る部分が多いは多いですが、極端さはだいぶ無くなってきました。ステップもレベル4が取れるようにもなってきて高めなところに来ることもあるようになってきています。

 

●シーズン最高の基礎点構成

スケートアメリカ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
2 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
3 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.667
4 3Lz   6.49 x 1.26 7.75 2.111
5 CCSp4   3.20   0.05 3.25 0.111
6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.556
7 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.667
  TES   41.79   7.16 48.95  

ショートプログラムは41.79の基礎点がありました。4回転トーループがあり、セカンド3回転をしっかり飛んで、1.1倍はトリプルルッツ。スピンステップオールレベル4で41.79です。

コンビネーションは1.1倍に入れてルッツからにした方が0.42基礎点はあがりますが、飛べるときに飛んでおいた方が安全ではあります。また、トリプルアクセルを1.1倍に持っていくという形でも0.21基礎点は上げられます。

それ以上基礎点上げるには2種類目の4回転が求められます。

 

○タリンクホステルズカップ フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3T+2T   5.50   0.28 5.78 0.600
3 3A   8.00   1.60 9.60 1.800
4 FSSp3   2.60   0.35 2.95 1.200
5 3Lo   4.90   -0.49 4.41 -1.000
6 ChSq1   3.00   0.50 3.50 1.000
7 3A+1Eu+3S   14.08 x 0.53 14.61 0.600
8 2F+2A+SEQ   5.61 x -0.33 5.28 -1.000
9 StSq3   3.30   0.77 4.07 2.000
10 3Lz   6.49 x 0.79 7.28 1.400
11 CCSp3   2.80   0.28 3.08 1.000
12 CCoSp4   3.50   0.58 4.08 1.600
  TES   69.28   0.11 69.39  

フリーは国際大会の最高基礎点は69.28でした。4回転は結果的にトーループ1本。2本目は3回転になって、その結果セカンドは2回転になり、後半のフリップも2回転。スピンは2つレベル3でステップもレベル3となっての69.28です。

全日本では79.03を出しています。4回転2本、セカンド3回転も入りステップレベル4 スピンは1つレベル3で3連続の3つ目が2回転でした。狙っている構成は上記の69.28でも全日本でも同じです。全日本からさらにスピンレベル4揃えて3連続も3回転入れば82.73の基礎点になります。今の構成は80点台の基礎点になる構成ですので、まずはそれを出すことを目指すのだろうと思われます。セカンド3回転や3連3サルコウ、シークエンスアクセルといったカードは揃っていますので、それより上へ行くには2種類目の4回転というのが求められることになります。

 

○平均GOE2.200以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
全日本選手権 FS 1 4T+3T   13.70   2.99 16.69 3.111
日本学生氷上選手権 FS 1 4T   9.50   2.85 12.35 3.000
日本学生氷上選手権 SP 6 StSq2   2.60   0.69 3.29 2.600
げんさんサマーカップ FS 1 4T+3T   13.70   2.53 16.23 2.600
全日本選手権 FS 10 3Lz   6.49 X 1.52 8.01 2.556
Skate America SP 6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.556
全日本選手権 SP 1 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.556
Skate America SP 2 3A   8.00   1.94 9.94 2.444
全日本選手権 SP 6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
げんさんサマーカップ SP 6 StSq2   2.60   0.61 3.21 2.400
日本学生氷上選手権 FS 9 StSq2   2.60   0.78 3.38 2.400
Tallink Hotels Cup SP 6 StSq3   3.30   0.77 4.07 2.400
東日本選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   0.84 4.34 2.286
全日本選手権 FS 9 StSq4   3.90   0.84 4.74 2.222
日本学生氷上選手権 SP 4 3Lz   6.49 X 1.38 7.87 2.200
東京選手権 SP 7 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.200
日本学生氷上選手権 FS 4 FSSp2   2.30   0.46 2.76 2.200
日本学生氷上選手権 FS 7 3A   8.80 X 1.60 10.40 2.200
東京選手権 SP 4 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.200
Tallink Hotels Cup SP 2 3A   8.00   1.87 9.87 2.200

今期は国際大会で+3以上の評価の要素は得られませんでした。

評価の高い要素はやはりジャンプです。昨季はトリプルアクセルが並んでいたのですが、今期は国内参考が多いですが4回転トーループがかなり上位に並んできています。全日本フリー冒頭の4T+3Tが今期の最高評価。ここからが本当の全日本のフリーです、というのを告げる素晴らしいジャンプでした。

 

○4回転トーループ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
げんさんサマーカップ SP 1 4T   9.50   1.90 11.40 1.800
げんさんサマーカップ FS 1 4T+3T   13.70   2.53 16.23 2.600
Lombardia Trophy SP 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Lombardia Trophy FS 1 4T+3T   13.70   1.33 15.03 1.429
東京選手権 SP 1 4T+2T   10.80   1.58 12.38 1.800
東京選手権 FS 1 4T+2T   10.80   1.58 12.38 1.600
東京選手権 FS 2 4T   9.50   -0.95 8.55 -1.000
Skate America SP 1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
Skate America FS 1 4T+3T   13.70   1.63 15.33 1.667
Skate America FS 2 4T   9.50   1.76 11.26 1.889
東日本選手権 SP 1 4T+3T   13.70   -0.95 12.75 -0.857
東日本選手権 FS 1 4T   9.50   -0.19 9.31 -0.286
東日本選手権 FS 2 4T+1T   9.90   -1.33 8.57 -1.429
全日本選手権 SP 1 4T+3T   13.70   2.58 16.28 2.556
全日本選手権 FS 1 4T+3T   13.70   2.99 16.69 3.111
全日本選手権 FS 2 4T   9.50   1.90 11.40 2.000
日本学生氷上選手権 SP 1 4T+3T   13.70   -1.90 11.80 -2.200
日本学生氷上選手権 FS 1 4T   9.50   2.85 12.35 3.000
国民スポーツ大会 SP 1 4T+3T   13.70   0.00 13.70 0.400
国民スポーツ大会 FS 1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
Tallink Hotels Cup SP 1 4Tq q 9.50   -2.85 6.65 -3.000
Tallink Hotels Cup FS 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000

4回転トーループはショートフリーで3本飛ぶジャンプです。上記に乗っていないものも含め27回飛ぼうとして2回転になったのが2回、3回転になったのが2回、転倒2回。それ以外のGOEマイナスが6回なのでGOEプラスの成功ジャンプは15回です。成功率は6割弱になります。中学生時代から成功経験のあるジャンプですのでもう少し確率は上げたいとも思われますが、スケートアメリカや全日本のように3本しっかり決める試合も珍しくはないので、十分武器になっているとは言えます。

 

○3連続の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
げんさんサマーカップ FS 8 3A+1Eu+2S   10.78 X -1.87 8.91 -2.400
Lombardia Trophy FS 7 3A+1Eu+2S   10.78 x -0.16 10.62 -0.286
東京選手権 FS 7 3A+1Eu+2S   10.78 X -1.87 8.91 -2.400
Skate America FS 7 3A+1Eu+2S   10.78 x -0.34 10.44 -0.444
東日本選手権 FS 3 3A+1Eu+3S   12.80   -0.32 12.48 -0.286
全日本選手権 FS 7 3A+1Eu+2S   10.78 X -0.23 10.55 -0.333
日本学生氷上選手権 FS 3 3A+1Eu+3S   12.80   1.60 14.40 1.800
国民スポーツ大会 FS 3 3A+1Eu+3S   12.80   0.80 13.60 1.000
Tallink Hotels Cup FS 7 3A+1Eu+3S   14.08 x 0.53 14.61 0.600

3連続ジャンプはフリーで必ず入る要素です。今期は9試合すべてでしっかり入りました。7番目にトリプルアクセルから飛ぶのが基本でしたが、3番目のトリプルアクセルから入れることもあり、フリーの構成には試行錯誤も見られます。

GOEマイナスが6回あります。成功率は3分の1 シーズン中盤まではGOEはマイナスですし、3つ目が2回転になるしで、思い通りにはいかなかったようですが、それでも大きく崩れてはいません。シーズン後半は3つ目も3回転入り、GOEもプラス。徐々に安定していったようでした。

 

今期はグランプリデビューシーズン。昨季からつながった1枠である程度の結果は残しましたが、シーズンベスト順位はわずかに24位に届かず。来期枠があるかどうか。国内では全日本と学生選手権で結果を残しました。あの240点台あたりの出来を国際大会で見せられると、グランプリシリーズでも展開次第で表彰台争いに絡めそうです。

全日本8位はありますので、グランプリの枠はもらえなくてもチャレンジャーシリーズの派遣はあると思われます。そこで結果を残せればその次のシーズンへのチャンスは出てきますし、展開次第で4大陸くらいならあるとも思われます。また、来期はISU外の試合でワールドユニバーシティーゲームズや冬季アジア大会も予定されています。そのあたりに出て表彰台に乗って来る、という展開もあるかもしれません。