23-24 ソミンギュ

2008年10月14日生まれ

ジュニア2シーズン目

シーズン獲得賞金:$12,000

世界ランキング:51位

シーズンランキング:27位

シーズンベストスコア 231.30(34位) JGPイスタンブール

ショートプログラムシーズンベスト 80.58 世界ジュニア

フリーシーズンベスト 155.63 JGPイスタンブール

スピンレベル4率 24/24 = 100.0%(国際大会:18/18 = 100.0%)

ステップレベル4率 4/5 = 80.0%(国際大会:2/3 = 66.7%)

スピンオールレベル4 4/4(国際大会:3/3)

スピンステップオールレベル4 3/4(国際大会:2/3)

ジャンプ回転不足率 1/40 = 2.50%(国際大会:1/30 = 3.33%)

ジャンプ回転不足なし 3/4(国際大会:2/3)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 3/4(国際大会:2/3)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
JGP JGP Bangkok 5 196.12 67.40 128.72
JGP JGP Istanbul 1 231.30 75.67 155.63
NC Korean Championships 3 232.62 73.72 158.90
WJ World Junior 1 230.75 80.58 150.17

ソミンキュ選手は2008年10月生まれ。日本の中田璃士選手などとスケート年齢では同じジュニア2シーズン目になる選手です。昨季はジュニアグランプリ2戦で3位と4位。韓国ナショナルでも3位で200点台を連発していたのですが、韓国の枠が1つしかなく、世界ジュニアには出てくることができませんでした。

 

今期はジュニアグランプリシリーズの初戦、バンコクから登場。3番滑走と早い出番でした。冒頭のコンビネーションジャンプで転倒。こうなるとショートダブルアクセル組としては厳しく67.40で5位スタートとなります。3位まで7.88差。ファイナルを目指すには表彰台に乗っておきたいところ。フリーは冒頭のアクセルがおそらくトリプルアクセルにしたかったはずなのですがしっかり入らずダブルアクセルのダウングレード扱いに。このミスが祟って、中盤に単独ダブルアクセルが入り、最後はシークエンスでダブルアクセルを入れるとこれが3つ目カウントでノーバリュー。フリーは128.72でトータル196.12 5位に終わりました。

 

続いて間1週で早くも2戦目。イスタンブールで出てきます。今度は27人中21番滑走と比較的後半に出てきます。フリップからのコンビネーション、単独ルッツ、そしてダブルアクセルとジャンプを決めていき全要素プラス評価のスピンステップオールレベル4 パーソナルベスト更新の75.67を出して2位に付けます。フリーは最終滑走を引きました。先に滑った中田選手がいい滑りで点を出していて優勝するためには146.69が必要です。この場面で冒頭にトリプルアクセルを初成功。以降も3連続が入らなかった以外はミスなく、全要素全ジャッジプラス評価でスピンオールレベル4 フリーのパーソナルベスト大幅更新で155.63を出し、トータル231.30 ジュニア2シーズン目でジュニアグランプリシリーズ初優勝を遂げました。

 

1位と5位なので展開次第ではジュニアグランプリファイナルも無くはなかったのですが補欠の2番手で回ってきませんでした。

年が明けてナショナルに出てきます。世界ジュニアの出場枠は2つ。何としてもこれに入りたいところです。ショートプログラムからトリプルアクセルを投入してきましたが転倒。後半に入れたルッツもe判定を取られて73.72に留まり6位スタートとなります。ジュニア勢の中では3位のキムヒョンギョム選手と5.72差。4位のイムジュヒョン選手と4.00差。このあたりをひっくり返していきたいというところです。

フリーも冒頭からトリプルアクセル、これを転倒したら苦しくなるところでしたが平均GOE+2.286もらって成功。その後はフリーでもルッツでeをもらいましたが後はジャンプもすべて決まって、スピンステップオールレベル4 フリー158.90でトータル232.62 最終的に2年連続3位で表彰台に上がり、ジュニア勢の中では1位。世界ジュニアの代表に選出されました。

 

念願の世界ジュニア、ショートプログラムは41人中の37番目と最終グループに入ります。冒頭のトリプルアクセルを成功。ルッツで!を取られますが後半のコンビネーションも決め80.58のパーソナルベストで首位に立ちました。2位とは1.79差、3位と2.26差。フリーは最終滑走を引きました。3位表彰台までなら134.89で届きますが優勝には148.74が必要です。155.63の自己ベストを持っていますのでしっかり滑れば勝てるという展開。ここで冒頭トリプルアクセルをセカンド2回転付きのコンビネーションで決めてきました。次は点計算するならそこまでしなくても足りていたはずのトリプルアクセルを跳びに行きますがこれが1回転半になります。1ミスならまだ大丈夫。次のループを決めて立て直します。そこからはスピンにコレオ、さらにコンビネーションジャンプなど全ジャッジにプラス評価を受けていきます。際どい勝負にはなりましたがフリー150.17を出し、トータル230.75 1.44差で逃げ切って、世界ジュニアのタイトルを手に入れました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Bangkok 196.12 92.88 104.24 57.78 3.52 22.93 8.65
JGP Istanbul 231.30 116.39 114.91 69.61 12.21 24.44 10.13
Korean Championships 232.62 113.95 119.67 73.40 2.40 23.63 14.52
World Junior 230.75 117.78 112.97 73.46 10.80 23.77 9.75

トータルスコアは初戦こそ200点を割りましたが、あとは230点台が並びました。ジュニアグランプリイスタンブールの231.30は今期全体で34位ですがジュニア選手中では1位です。また、韓国選手の中では3位です。

技術点は110点台が並びます。世界ジュニアの117.78はジュニア選手中で3番目にあたります。PCSの方も110点台が多く、ジュニアグランプリイスタンブールの114.91が最高でした。1項目平均7.5を少し超えてきています。ジュニアの選手中2位、ISU公認なら1位です。技術点より演技構成点の方が順位が高いというタイプです。

ジャンプの基礎点は世界ジュニアで73.46まで上がってきました。トリプルアクセルがショートフリー共に入ってきています。ただ、ジャンプの基礎点順位はジュニアの中で23位とそれほど高くありません。

加点の方は二桁稼ぐ試合が2試合あり、それがすなわち優勝につながったという形です。イスタンブールの+12.21はジュニアの稼いだ加点としては1位です。

スピンはジュニアグランプリイスタンブールで24.44まで出ています。今期の全選手中11位、ジュニアの中で1位のスピンのスコアになります。

ステップ系要素はジュニアルールですがイスタンブールで10.13を出しました。今期のジュニアの中で2位になります。

基礎点高くないけれど全体的に出来が良い、というタイプになっています。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Bangkok 46.25 39.63 55.90 58.73 56.16 48.79
JGP Istanbul 55.34 46.72 66.66 63.92 67.40 55.91
Korean Championships 55.68 48.99 54.52 61.13 64.02 59.09
World Junior 55.20 49.03 64.91 61.62 64.89 54.62

トータルスコアは初戦は平均割れしています。後は50台中盤でした。

ジャンプの基礎点はまだ平均に届いていません。トリプルアクセルがショートフリーで3本入った試合がまだない、ということでこういう形になっているのでしょう。

一方、加点の方は60台後半まで出すことも出来ています。

スピンの偏差値は普通に60台に乗せています。スピンのレベル4率は100% なかなかできることではありません。

ステップ系要素はジュニア補正もありますが60台中盤以上のところまで出せています。

PCSはジュニアなこともあり抑えられがちですが、50台中盤までは出しています。

まだまだ平均に届かないジャンプの基礎点でも世界ジュニアを勝ってしまったわけで、ここにジャンプが揃ってきたらどうなるでしょう末恐ろしい、という状態です。

 

ソミンキュ選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャート作ると、両肩凹む形です。まだ高難度ジャンプが入ってこず、PCSも抑えられるけれど、それぞれ出来栄えは良いよ、というときにこうなります。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○世界ジュニア ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.49 9.49 1.889
2 3Lz! ! 5.90   0.67 6.57 1.111
3 CCSp4   3.20   0.23 3.43 0.667
4 FSSp4   3.00   0.21 3.21 0.556
5 StSq4   3.90   1.06 4.96 2.556
6 3F+3T   10.45 x 1.67 12.12 3.222
7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
  TES   37.95   6.38 44.33  

ショートプログラムは世界ジュニアで37.95が出ました。これは3人いる今期のジュニアの最高基礎点になります。

トリプルアクセルが入り、単独ジャンプは強制ルッツ。1.1倍にフリップからコンビネーションを入れてスピンステップオールレベル4で37.95です。ジュニアルールのショートプログラムでこれ以上基礎点出すにはセカンドループ投入しかありません。

 

JGP イスタンブール フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.37 9.37 1.889
2 3F+3T   9.50   1.67 11.17 3.111
3 2A+3T   7.50   1.02 8.52 2.444
4 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.444
5 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.889
6 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
7 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667
8 3Lz   6.49 x 1.52 8.01 2.556
9 3F   5.83 x 1.36 7.19 2.556
10 3S+2A+SEQ   8.36 x 0.80 9.16 1.889
11 CSSp4   3.00   0.81 3.81 2.778
  TES   63.28   13.76 77.04  

フリーの最高基礎点は63.28でした。トリプルアクセル1本で2回飛ぶジャンプはフリップとトーループ。3連続が入らずスピンオールレベル4、ジュニアルールで63.28です。ダブルトーループを10番目の要素に付けていれば1.43基礎点上がって64.71になります。シニアルールでステップレベル4出せるとさらに3.90基礎点上がって68.61です。韓国ナショナルではほぼその構成で、ルッツにeがついて67.31という基礎点になっていました。

まだ15歳ですのでジャンプは習得中です。まずトリプルアクセル2本構成にしていける程度の確度にしつつ、4回転の習得へと向かっていくことになるのだろうと思われます。

 

○平均GOE2.600以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
JGP Istanbul FS 5 ChSq1   3.00   2.00 5.00 3.889
World Junior FS 5 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.667
JGP Istanbul SP 7 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.333
JGP Istanbul FS 6 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
World Junior FS 6 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
World Junior SP 6 3F+3T   10.45 x 1.67 12.12 3.222
Korean Championships SP 5 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.143
Korean Championships FS 11 StSq4   3.90   1.25 5.15 3.143
JGP Istanbul SP 5 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
JGP Istanbul FS 2 3F+3T   9.50   1.67 11.17 3.111
JGP Bangkok FS 5 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
World Junior SP 7 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
World Junior FS 11 CSSp4   3.00   0.86 3.86 2.889
JGP Bangkok SP 7 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
JGP Istanbul FS 11 CSSp4   3.00   0.81 3.81 2.778
JGP Bangkok SP 5 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.667
World Junior FS 4 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.667
JGP Istanbul FS 7 3Lo   4.90   1.33 6.23 2.667

ソミンギュ選手の評価の高い要素はコレオとスピンが目立ちました。イスタンブールで出した+3.889という評価は今期の全選手の中で8位タイ、ジュニアの中で1位タイの高評価です。足替えのコンビネーションスピンで+3.333の評価を受けています。これは今期の足替えのコンビネーションスピンを入れた全選手の中で8位タイ、ジュニアの中では1位タイという評価になります。

このあたりはすでにシニア顔負けの技量があると言えそうです。

 

トリプルアクセル

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
JGP Istanbul FS 1 3A   8.00   1.37 9.37 1.889
Korean Championships SP 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Korean Championships FS 1 3A   8.00   1.76 9.76 2.286
World Junior SP 1 3A   8.00   1.49 9.49 1.889
World Junior FS 1 3A+2T   9.30   1.37 10.67 1.778

ソミンギュ選手は今期からトリプルアクセルを入れてきました。要素として入ったのは5回ですが、初戦のフリーや世界ジュニアのフリーでもさらにもう1本入れようとして入らなかったようでした。従って7回飛ぼうとして転倒1、回転できなかったもの2、あとの4回が成功ジャンプです。

徐々に習得度が上がってきているように見えます。世界ジュニアではショートフリー3本構成に挑んで、コンビネーションを初めて成功させました。徐々に確率が上がってきていて練習も楽しい時期なのではないかと思われます。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
JGP Bangkok FS 3 3Lz+2T+2Lo   8.90   1.26 10.16 2.111
Korean Championships FS 9 3F+2A+2T+SEQ   10.89 x 0.85 11.74 1.714
World Junior FS 9 3F+2A+2A+SEQ   13.09 x 1.14 14.23 2.111

今季4試合で3連続ジャンプは3試合入りました。初戦は3番目の要素ですがナショナルからは9番目の要素に入れています。世界ジュニアではアクセル2本までは行って13.09という高い基礎点なうえに加点を稼ぎました。

 

○セカンド3回転

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
JGP Bangkok SP 1 3F+3T F 9.50   -2.65 6.85 -4.889
JGP Bangkok FS 2 3F+3T   9.50   1.21 10.71 2.222
JGP Istanbul SP 1 3F+3T   9.50   1.36 10.86 2.556
JGP Istanbul FS 2 3F+3T   9.50   1.67 11.17 3.111
JGP Istanbul FS 3 2A+3T   7.50   1.02 8.52 2.444
Korean Championships SP 2 3F+3T   9.50   0.74 10.24 1.429
Korean Championships FS 2 3F+3T   9.50   1.27 10.77 2.429
Korean Championships FS 7 2A+3T   7.50   1.09 8.59 2.571
World Junior SP 6 3F+3T   10.45 x 1.67 12.12 3.222
World Junior FS 7 3F+3T   9.50   1.29 10.79 2.556

セカンド3回転はショートでフリップから、フリーはフリップからとダブルアクセルからありましたが、世界ジュニアではダブルアクセルは3連続で2本使う形にしてセカンド3回転は1本にしました。初戦のバンコクも最初からセカンド3回転は1本です。

今期はフリップから8回飛んで転倒が1回ありますが残りの7回は+1以上の評価で成功しています。ダブルアクセルからの2回も+2を超える評価で成功です。このあたりはしっかり決めていました。

 

 

ソミンギュ選手はジュニア2シーズン目にして世界ジュニアを制しました。女子の島田麻央選手ともども、まだあと2シーズンはジュニア残留です。今期トリプルアクセルを習得。4回転はまだ構成に入ってきていませんが、まだ15歳。あと2シーズンの間にはおそらく習得していくのでしょう。次のオリンピックには間に合いませんが、2030年のオリンピックでも21歳。チャジュンファンの跡を継いで、韓国男子を背負っていく存在になっていくのだろうと思われます。