宇野昌磨

主な戦績を記します。

出場した試合のうち、国内では全国級の試合、国際大会はチャレンジャーシリーズ以上の試合を並べます。

 

Season Grade Event Pl Total SP FS
06-07 NN 全日本ノービスB 4 50.19   50.19
07-08 NN 全日本ノービスB 1 60.37   60.37
08-09 NN 全日本ノービスB 1 74.74   74.74
09-10 NN 全日本ノービスA 1 91.91   91.91
09-10 NJ 全日本ジュニア 3 148.04 52.95 95.09
10-11 NN 全日本ノービスA 1 101.33   101.33
10-11 NJ 全日本ジュニア 4 152.04 57.62 94.42
10-11 IJ 全国中学スケート大会 1 161.12 52.19 108.93
11-12 JGP JGP Gdansk 4 163.24 48.69 114.55
11-12 JGP JGP Tallinn 3 175.15 56.29 118.86
11-12 NJ 全日本ジュニア 5 173.46 61.56 111.90
11-12 NC 全日本選手権 9 190.42 63.49 126.93
11-12 Others Youth Olympic Games 2 167.15 51.52 115.63
11-12 IJ 全国中学スケート大会 1 183.58 62.76 120.82
11-12 WJ World Junior 10 175.92 57.71 118.21
12-13 JGP JGP Slovenia 6 174.34 61.42 112.92
12-13 JGP JGP Chemnitz 2 188.48 63.48 125.00
12-13 NJ 全日本ジュニア 2 190.58 66.21 124.37
12-13 NC 全日本選手権 11 199.03 67.56 131.47
12-13 IJ 全国中学スケート大会 1 202.01 69.28 132.73
12-13 WJ World Junior 7 187.08 61.66 125.42
13-14 JGP JGP Riga 3 175.81 58.22 117.59
13-14 JGP JGP Tallinn 4 197.82 67.09 130.73
13-14 NJ 全日本ジュニア 2 206.10 71.61 134.49
13-14 NC 全日本選手権 7 216.49 72.15 144.34
13-14 IH 全国高等学校選手権 1 209.98 70.86 139.12
13-14 NG 国民体育大会 1 210.78 69.40 141.38
13-14 WJ World Junior 5 206.50 70.67 135.83
14-15 JGP JGP Aichi 2 219.99 69.78 150.21
14-15 JGP JGP Croatia 1 227.51 74.82 152.69
14-15 NJ 全日本ジュニア 1 210.72 82.72 128.00
14-15 JGPF JGP Final 1 238.27 75.21 163.06
14-15 NC 全日本選手権 2 251.28 85.53 165.75
14-15 IH 全国高等学校選手権 1 239.07 73.67 165.40
14-15 4CC Four Continents 5 256.45 88.90 167.55
14-15 WJ World Junior 1 232.54 84.87 147.67
15-16 CS US International 5 207.41 52.45 154.96
15-16 GP Skate America 2 257.43 80.78 176.65
15-16 GP Trophee Eric Bompard 1 89.56 89.56  
15-16 GPF Grand Prix Final 3 276.79 86.47 190.32
15-16 NC 全日本選手権 2 267.15 97.94 169.21
15-16 4CC Four Continents 4 269.81 92.99 176.82
15-16 WC World Championships 7 264.25 90.74 173.51
15-16 Others Team Challenge Cup 1 298.66 105.74 192.92
16-17 CS Lombardia Trophy 1 258.93 86.68 172.25
16-17 GP Skate America 1 279.34 89.15 190.19
16-17 GP Rostelecom Cup 2 285.07 98.59 186.48
16-17 GPF Grand Prix Final 3 282.51 86.82 195.69
16-17 NC 全日本選手権 1 280.41 88.05 192.36
16-17 4CC Four Continents 3 288.05 100.28 187.77
16-17 Others Asian Winter Games 1 281.27 92.43 188.84
16-17 WC World Championships 2 319.31 104.86 214.45
16-17 WT World Team Trophy 1 302.02 103.53 198.49
17-18 CS Lombardia Trophy 1 319.84 104.87 214.97
17-18 GP Skate Canada 1 301.10 103.62 197.48
17-18 GP Internationaux de France 2 273.32 93.92 179.40
17-18 GPF Grand Prix Final 2 286.01 101.51 184.50
17-18 NC 全日本選手権 1 283.30 96.83 186.47
17-18 4CC Four Continents 2 297.94 100.49 197.45
17-18 OG Olympic Team SP 1 103.25 103.25  
17-18 OG Olympic Games 2 306.90 104.17 202.73
17-18 WC World Championships 2 273.77 94.26 179.51
18-19 CS Lombardia Trophy 1 276.20 104.15 172.05
18-19 GP Skate Canada 1 277.25 88.87 188.38
18-19 GP NHK Trophy 1 276.45 92.49 183.96
18-19 GPF Grand Prix Final 2 275.10 91.67 183.43
18-19 NC 全日本選手権 1 289.10 102.06 187.04
18-19 4CC Four Continents 1 289.12 91.76 197.36
18-19 WC World Championships 4 270.32 91.40 178.92
18-19 WT World Team Trophy 3 282.24 92.78 189.46
19-20 CS Finlandia Trophy 1 255.23 92.28 162.95
19-20 GP Internationaux de France 8 215.84 79.05 136.79
19-20 GP Rostelecom Cup 4 252.24 87.29 164.95
19-20 NC 全日本選手権 1 290.57 105.71 184.86
20-21 NC 全日本選手権 2 284.81 94.22 190.59
20-21 WC World Championships 4 277.44 92.62 184.82
20-21 WT World Team Trophy 7 242.42 77.46 164.96
21-22 GP Skate America 2 270.68 89.07 181.61
21-22 GP NHK Trophy 1 290.15 102.58 187.57
21-22 NC 全日本選手権 2 295.82 101.88 193.94
21-22 OG Olympic Team SP 2 105.46 105.46  
21-22 OG Olympic Games 3 293.00 105.90 187.10
21-22 WC World Championships 1 312.48 109.63 202.85
22-23 GP Skate Canada 1 273.15 89.98 183.17
22-23 GP NHK Trophy 1 279.76 91.66 188.10
22-23 GPF Grand Prix Final 1 304.46 99.99 204.47
22-23 NC 全日本選手権 1 291.73 100.45 191.28
22-23 WC World Championships 1 301.14 104.63 196.51
23-24 GP Cup of China 2 279.98 105.25 174.73
23-24 GP NHK Trophy 2 286.55 100.20 186.35
23-24 GPF Grand Prix Final 2 297.34 106.02 191.32
23-24 NC 全日本選手権 1 298.04 104.69 193.35
23-24 WC World Championships 4 280.85 107.72 173.13

宇野選手の記録に残っている最初の大会は2005年2月に愛知県の競技会に出ています。1997年12月生まれですのでまだ7歳の小学校1年生です。この試合は旧ルールでまだ要素別採点方式にもなっていません。ジュニアAクラス、という扱いの試合であり6点満点方式でそれぞれ2点台の評価を受けていました。

要素別採点方式の最初の試合は2005年11月にやはり愛知県の競技会に出ています。ルッツ、フリップ、ループ、トーループと4種類の1回転ジャンプ、サルコウが唯一2回転のジャンプで入っていました。シングルアクセル-シングルアクセルというシークエンスを最後の要素に入れています。要素別採点方式最初のスコアは37.64 ここから始まります。

全日本ノービスには翌年、2006年に8歳で出場しています。現在ではありえませんが、昔は特例飛び級みたいなこともあったようで、全日本ノービスBに3回出場しています。8歳で出た最初の年は4位でしたが、2007年、2008年と全日本ノービスBを2連覇。さらに2009年2010年は全日本ノービスAを連覇しました。2006年、8歳で出た中部選手権で2回転ルッツを初成功、8歳の全日本ノービスでは2回転を5種類そろえます。

2007年の中部選手権では2回転ルッツにeが付きました。これが将来的にルッツが苦手で要素から外していく最初の兆候のようです。

 

この07-08シーズンからダブルアクセルや3回転サルコウが構成に入ってきますが、実際に初成功させるのは、ダブルアクセルが08年の中部選手権、3回転は結局トーループの成功が先になって、09年、11歳になっての中部日本選手権でのことでした。

そんな形ですので、2009年、初めて全日本ジュニアに出た時には、まだ3回転はトーループサルコウしか決まってこない状態でした。それでもこのノービスA1年目で出場した全日本ジュニアで3位表彰台に乗っています。この試合で優勝していたのが羽生結弦さん。この時の、いかにも子供な宇野選手と、真ん中に立つ羽生結弦さん、という写真がその後よく使われるようになりました。

 

その後、3回転サルコウと3回転ループには2010年3月に成功、フリップとルッツは翌シーズンになって2010年10月の中部選手権、ノービス最終シーズンになって成功させます。翌年、愛知県選手権でプログラムの中に初めてトリプルアクセルを入れましたがダウングレードとなります。この試合は2011年3月12日。異様な状況下で開催された試合でもありました。

 

翌シーズンジュニアに上がったところで国際大会デビューを果たします。2011年9月、ジュニアグランプリシリーズのグダンスク。163.24がまず最初の国際大会のスコアとなって4位に入ります。10月にはジュニアグランプリシリーズの2戦目、タリンで175.15を出して3位表彰台に上りました。全日本ジュニアは5位に終わりましたが全日本選手権は初出場で9位に入り世界ジュニアの出場権を掴みます。

このシーズンはユースオリンピックにも出場。ハンヤン選手には及びませんでしたが2位表彰台に上りました。世界ジュニアではパーソナルベスト更新の175.92のスコアを出して10位に入りました。

 

翌シーズンは中学3年生になりました。ジュニアグランプリシリーズは2戦目のケムニッツで188.48とパーソナルベストを更新して2位に入ります。全日本ジュニアも2位。全日本では199.03まで出しますが11位。世界ジュニアの代表権を逃しましたが、補欠からの代打出場となっています。このシーズンは全中で202.31と初の200点突破して3連覇も果たしています。世界ジュニアは7位。徐々に順位も上がってきました。

 

高校1年生になった13-14シーズンはソチオリンピックのシーズンです。年齢的にシニアに上がることも可能ですし、挑戦権が無いわけではなかったですが、その道は選ばずにジュニアに留まります。まだトリプルアクセルも装備できておらず、オリンピックを狙うには準備が足りていない状態でした。

ジュニアグランプリシリーズは初戦で3位に入り、2戦目はファイナルが掛っていました。197.82とパーソナルベストは更新したものの4位でファイナルには届きません。全日本ジュニアは2位。3度目となる全日本はショート会心の演技でフリー最終グループ入り。羽生結弦選手の次、残りは織田信成高橋大輔町田樹小塚崇彦と続く、オリンピックよりレベル高いのではないかという最終グループに放り込まれましたが出来る演技はしっかりしました。トータル216.49で7位、自己最高位を更新します。

このシーズンはインターハイ、国体ジュニアの部も制覇。世界ジュニアは206.50と初の国際大会200点超えを果たして5位に入ります。3月末には初めてシニアの国際大会ガルデナスプリングトロフィーにも出場し217.77を出して優勝してシーズンを終えました。

 

14-15シーズン、高校2年生になりました。一躍飛躍のシーズン。これまでは演技の上手な小さい昌磨君。でも、4回転時代に入ってきたのにジャンプ全然飛べないから大変かな、というような位置付けになっていました。シーズン初戦、アジアンオープンフィギュア。ここでそれが一変します。ショートプログラムトリプルアクセルは転倒でしたが初めて回転十分扱いで基礎点満額を得ます。そしてフリー、冒頭になんと4回転トーループ。これは試合への投入は初だったのですが、これをプラス評価を得て成功させます。トリプルアクセルより先に4回転が決まりました。なかなかトリプルアクセルが決まらない宇野選手へ無良崇人さんの、先に4回転練習してみれば、のアドバイスがきっかけだったとされます。

ジュニアグランプリシリーズは愛知で2位。ファイナルのかかったクロアチアでは4回転をコンビネーション付きで決めて227.51とパーソナルベスト更新で優勝、初のジュニアグランプリファイナル進出を決めます。

そして全日本ジュニアではついにトリプルアクセルを成功させ初優勝。ジュニアグランプリファイナルはショート3位からフリーでは4回転とトリプルアクセル2本を成功させて238.27までスコアを伸ばしてこちらも初優勝を果たします。全日本ではショートから4回転トーループを投入して成功させ3位に付けると、フリーはここでも4回転とトリプルアクセル2本を成功させて、国内参考ながら251.28を出して2位。初の表彰台に立ち、世界ジュニアだけでなく4大陸選手権の代表権まで手に入れることになりました。

その4大陸選手権ではショートから4回転、トリプルアクセルを成功させ、なんと2位発進。フリーは逆転を許し5位には終わりましたが、シニアに混ざっても戦えることを示した試合でした。

そして世界ジュニア。ショートは好発進で首位に立ちますが、フリー、冒頭の4回転トーループが抜けて3回転のダウングレード扱いに。しかしながらこのジャンプが何回転とカウントされたか本人にはわからないまま進んでいき、ジャンプ構成をどうしたらいいか難しい展開に。最後のコンビネーション、セカンドに3回転を付けるかどうか迷ったようですが、結果的にこれを2回転に留めたことでノーバリューを避けて232.54を出して2位と2.84差の逃げ切り優勝。迷った最後のコンビネーションで3回転を付けていたら優勝できない形でしたので、宇野選手の冷静さ、判断力が最後はタイトルを掴む要因となりました。これにてジュニアを卒業となりました。

 

15-16シーズンはシニアのグランプリシリーズデビュー。スケートアメリカを2位で終えると、エリックボンバール杯はファイナル進出が懸かる試合になります。ショート1位で終えてフリーへ、というところだったのですが、テロが発生しフリーは中止。ショートの順位のまま最終順位が確定、という煮え切らない形でしたが初優勝となってファイナルへ進出します。このファイナルはショート4位からフリーで技術点を初の100点超え、パーソナルベストの190.32を出してトータルも276.79のパーソナルベスト、逆転3位表彰台となりました。

シニアに上がってからは国内の試合は全日本しか出場しない形になっていきます。このシーズンは2位。4大陸と世界選手権の代表権を掴みます。

4大陸はショート2位で表彰台チャンス。フリーもしっかり滑って269.81まで出して3位の状態で最終滑走を待ちます。最終滑走はショート5位のパトリックチャン選手。ピークはすでに過ぎていてこれは表彰台なったかな、と思われたのですが、この最終滑走がディスイズフィギュアスケート、のような文句のつけようのない演技で203.99という異次元スコア。パトリックチャン選手の逆転優勝により、宇野選手は4位となりました。

世界選手権はショート4位から、23番滑走で逆転表彰台のチャンスも十分あるスコアでしたが結果は7位。3位とは6.74差。惜しい試合でした。

この後このシーズンはチームチャレンジカップがありました。ここで4回転フリップを初チャレンジし初成功。史上初めて4回転フリップを成功した選手、としてフィギュアスケートの歴史に名を刻みました。4回転フリップは宇野昌磨のジャンプです。

 

翌シーズンは中京大学に進学し大学生として迎えました。今期はスケートアメリカでグランプリシリーズ2勝目。ロステレコム杯では2位でファイナル進出を決めます。ファイナルはショートで4回転を転倒し4位と出遅れますが、フリーは195.69とパーソナルベストを更新して逆転3位表彰台。昨季の大健闘3位に続いて、今期は多少悪くても普通に3位に入る、というくらいな表彰台でした。

全日本では初優勝。4大陸選手権ではフリーで史上2人目の4回転ループを成功させて3位。シニアのチャンピオンシップで初の表彰台となります。これで4回転は3種類目が入りました。

このシーズンは冬季アジア大会も札幌であったのですが、ジュニア時代からのライバルボーヤンジン選手に1.19差の僅差で勝利し優勝します。

3月の世界選手権。ショートは完璧、104.86を出して2位に付けます。フリーは苦手の3回転ルッツでミスが出ましたが4回転のフリップ、ループ、トーループ2本と決めて214.45を出しトーテル319.31のパーソナルベスト。最終順位は2位表彰台となりました。

 

17-18シーズンは平昌オリンピックがあります。宇野選手にとっては最初のオリンピックチャレンジということになります。ロンバルディア杯でシーズンを始めますが、ここで4回転サルコウを初成功させて319.84のパーソナルベストを出します。4種類目の4回転が入ったことになり、オリンピックでどういう構成にしていくかが楽しみにされました。スケートカナダでグランプリ3勝目を上げると、フランス杯は2位。順当にファイナルに駒を進めます。ちなみに、このフランス杯で宇野選手の選手人生で跳んだ最後のルッツジャンプがありました。オリンピックを前に、どうしてもエッジが決まらないルッツジャンプを構成から外す決断をした、ということになるかと思います。

グランプリファイナルはフリーで4回転4種類5本構成を組んできました。ループはアンダーローテーション、トーループは2本目がダウングレードとなり、すべてはきまりませんでしたが286.01で0.50差の2位。際どい勝負で届かなかったですが2年連続表彰台となりました。

全日本は2連覇。時期的に出場するかどうか、と思われた4大陸選手権はボーヤンジン選手に敗れて2位に終わります。

2位が多い、という評判のままオリンピックへ。オリンピックはまずチームイベントに参加。ショートプログラムを滑って1位と責任を果たします。本番、個人戦ショートプログラムはほぼミスなく滑って本人比標準的なスコアの104.17を出して3位に付けます。フリーは最終滑走になりました。195.61以上で3位表彰台。2位には201.07以上が必要、優勝には213.68が求められます。パーソナルベストはロンバルディア杯で出した214.97 勝つチャンスもありました。しかし冒頭の4回転ループで転倒すると優勝は遠のきます。次のフリップは成功。サルコウは回避して4回転4本構成。残りをきっちり決めて2位に入れるか際どい勝負。結局202.73でトータル306.90 際どく2位で銀メダルを獲得しました。

世界選手権はオリンピックの疲れもあったでしょうか、273.77とスコア伸びませんでしたがそれでも2年連続の2位。今期はグランプリファイナル、4大陸選手権、オリンピック、世界選手権とすべて2位、素晴らしいと取るか、惜しいと取るか、そんなシーズンになりました。

 

18-19シーズンはグランプリシリーズを初めて2連勝します。グランプリファイナルは3回目の2位。あと一歩届きません。全日本は直前にケガをしたようですがそれでも3連覇して4大陸選手権へ。怪我の影響は続いていたようでショートでコンビネーションを3S+3Tにしていたりして4位スタート。今回は苦しいかな、というフリーでしたが最終グループ1番目に出てきて4回転をフリップとトーループ2本の3本構成にしてほぼミスなく滑るとトータル289.12 残り5人を待ちますが、誰も届かずそのまま優勝。初のシニアのチャンピオンシップ制覇となりました。

この勢いで世界選手権へ、というところでしたがショートで4回転フリップを転倒し91.40の6位と出遅れるとフリーもジャンプ決まらず178.92に留まりトータル270.32で4位。3期ぶりにワールドの表彰台を逃しました。

 

シーズン終了後、グランプリ東海を離れることを発表。次のコーチを探しているということでしたが翌シーズンはコーチ無しでスタートすることになります。グランプリシリーズフランス杯。ことごとくジャンプ決まらず驚きの8位。215.84はシニアに上がってからのワーストスコア。グランプリデビューから5シーズン目にして初めて表彰台に乗れません。コーチ不在で明らかに精彩を欠いた演技、精彩を欠いた表情。どうなるのか心配されましたが、次のロステレコム杯にはランビエール先生が帯同してくれました。まだ本調子とまではいきませんが、落ち着きを取り戻したでしょうか252.24までスコアは戻して4位にまでは上げてきます。

久しぶりにファイナル無しで全日本へ。4連覇がかかるこの試合は4シーズンぶりに国内で羽生結弦選手と直接対決になります。この全日本直前に正式にランビエール先生の門下で活動していくことを発表。体制を整えました。ショートプログラムは全要素全ジャッジプラス2以上で105.71 十分高いスコアですが、セカンドが2回転になった分、羽生選手の110.72とは5点差が付きました。フリーは先に滑る展開。4回転はフリップにトーループ2本、まだマックス構成ではないですが184.86まで出してトータル290.57で最終滑走の羽生選手を待ちます。最終的に羽生選手のスコアが伸びず逆転優勝。4連覇を果たしました。

4大陸選手権はスキップして、チャレンジカップで調整して世界選手権へ、というところでしたが、この世界選手権はコロナで中止となりました。

 

翌シーズンはコロナでほぼ試合が成り立ちません。グランプリシリーズも在住周辺国にのみ出場できるというレギュレーションでしたが宇野選手はどこにも出場せず。全日本には出場しますが、ここは5連覇は果たせず2位でした。

世界選手権は男女問わず多くの選手が試合勘の欠如もあったでしょうか、全体的にそれぞれの選手の力と比べてスコアが伸びていなかった印象でしたが、宇野選手も277.44に留まって4位に終わりました。このシーズンは国別対抗戦が行われました。いろいろ暗い雰囲気の中、何か挑戦したかったのでしょうか。フリーではトリプルアクセル-4回転トーループというコンビネーションへ挑戦。残念ながらセカンドがアンダーローテーションの転倒となりましたが、3A+4Tの表記はElementsとして入りました。宇野選手が以後このコンビネーションを飛ぶことはありませんでしたが、誰かがこの先復刻させて使うことになっていくでしょう。

 

コロナがどうなっていくか不透明なまま北京オリンピックシーズンを迎えます。グランプリシリーズもこのシーズンはしっかり開催されました。スケートアメリカで2位。NHK杯では通算6勝目を上げます。ただ、グランプリファイナルは直前で中止となりました。日本、どうなる? コロナ大丈夫か? という中で全日本は開催。295.82で2位となり、問題なくオリンピック代表となります。今回も団体戦のショートから出場。自己ベスト更新の105.46としっかり仕事を果たします。これも重要なポイントでした。日本は団体戦、試合終了時点で3位、銅メダルを確定。数年の時を経てこれが銀メダル扱いに変わりますが、それはまだ先の話。いろいろあって表彰式はありませんでしたが、ワリエワ騒動は男子なので比較的影響は少なかったでしょうか、個人戦へ移ります。ショートプログラムは105.90とさらに自己ベスト更新で3位に付けます。フリーは2人残しての登場。4回転4種類5本構成。ノーミスでプレッシャー掛ければあるいは、という状況でしたがサルコウとフリップが決まらず、コンビネーションもしっかり決まったものが無い、ということで187.10まででトータル293.00 首位に立って残り2人を待っての結果は3位。2大会連続のメダル獲得となりました。

オリンピックシーズンは世界選手権を休養する選手も多いですが、宇野選手はしっかり出てきます。好調の報道が事前にありましたがショートプログラム、フリップを決め、トーループもしっかりセカンド3回転を決めて成功。全要素全ジャッジプラス2以上という素晴らしい出来で109.63とパーソナルベストを更新して首位に立ちます。フリーは最終滑走。197.98以上で優勝出来るというシチュエーションです。4回転ループ、サルコウトーループと成功。後半に入って4回転フリップも決めたところでほぼ優勝は見えたでしょうか。後の2つのジャンプはコンビネーションがしっかり入らず流石に疲れは見えましたがスピンステップしっかりまとめて202.85はこの時点のルールでのベストスコア。トータル312.48で初の世界チャンピオンに輝きました。

 

世界チャンピオンとして迎えて22-23シーズンはグランプリシリーズ2戦、スケートカナダNHK杯を連勝。グランプリ通算8勝目を上げます。グランプリファイナルは日本勢4人とグラスル選手に、飛ぶ鳥を落とす勢いのマリニン選手という6人。4回転アクセルを装備したマリニン選手に勝てるのか? というのがこのシーズンの注目どころでした。結果的にはこのファイナルは完勝。フリーで4回転4種類5本をほぼミスなく降りてトータル304.46 グランプリファイナル5回目の出場で初制覇となりました。

全日本は2位に39.17差つけてのこれも圧勝。代表選考やり方どうなんだ、というたぐいの発言をして物議をかもしますが、第一人者としていうことは言うスタイルで行きます。

4大陸選手権は今シーズンもスキップし、連覇のかかる世界選手権へ。ショートプログラムはジャンプ3本決めて全要素全ジャッジプラス2以上で104.63を出し首位に立ちます。2位のマリニン選手とは4.25差。フリーは最終滑走になりました。191.61以上で連覇。楽ではないですが、実績考えればしっかり滑れば大丈夫と言う領域になりました。4回転ループをまず決めて、サルコウはアンダーローテーションになりましたがフリップを平均GOE+3.889とこれまでの最高評価で決めます。後半4回転トーループ2本をq付ながら決めるとあとは圧巻。ステップは+1.85 満点評価をもらいます。フリー196.51 トータル301.14で日本男子史上初の世界選手権2連覇を果たし、今期を全勝で終えました。

 

23-24シーズン、いつもならジャパンオープンでシーズンに入っていくのですが、このシーズンはワンピースで調整してジャパンオープンはスキップ。実戦はグランプリシリーズからになります。中国杯はアダムシャオイムファ選手との勝負でしたがここは2位。次のNHK杯は鍵山選手との勝負でこれも僅差の2位となります。グランプリファイナルは連覇のかかる試合。ショートはセカンド3回転も決まって全要素全ジャッジプラス評価。106.02のシーズンベスト更新で2位に付けます。今期伸びていないフリー。ループ、フリップ、2本の4回転を決めた後トリプルアクセルが1つシングルになりました。今回はミスはそれくらいで191.32まで出してトータル297.34ですが2位。グランプリファイナル6回目の表彰台となりました。

全日本はショートで10.11差のリードを奪って首位に立ったものの、フリーは苦戦。187.42で優勝出来るという最終滑走でした。中盤まで悪くない演技でしたが、後半にはいって4回転トーループのセカンドが2回転になり、3連続余っていて最後どうするんだろう、というところが単独のトリプルサルコウ。あれ、これ結構微妙なスコア? ということになりましたが193.35でトータル298.04 5.96差逃げ切り、本人の演技終了直後のポーズそのまま、セーフ、といったところで6回目の全日本制覇となりました。

4大陸選手権は今回もスキップ。3連覇のかかる世界選手権となります。ただ今期は国際大会でまだ優勝がありません。マリニン選手とアダムシャオイムファ選手、鍵山選手に宇野選手、この4人の優勝争い、と見られるメンバーとなりました。ショートは4回転フリップで平均GOE+4.222をもらい107.72を出して首位に立ちます。今期ショートはすべて100点台となりました。フリーは22番滑走。鍵山選手とマリニン選手を後に残して先に滑る形です。基礎点差があるのでノーミスで先に滑りたいところだったのですが4回転ループを転倒。次のフリップも決まらず、全体的にジャンプがすっきりいかずフリーは173.13に留まりトール280.85で2人残して2位。最終的に4位となりました。

しばらくの時を経て、2024年5月9日、SNSにて現役引退を発表。14日に引退会見を開き、現役を退きました。

 

○満点スコア要素

Season Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
15-16 全日本選手権 SP 1 3A   8.50   3.00 11.50 2.889
16-17 Grand Prix Final FS 13 CCoSp4   3.50   1.50 5.00 3.000
16-17 World Team Trophy SP 5 3A   9.35 X 3.00 12.35 2.889
16-17 World Team Trophy FS 5 StSq4   3.90   2.10 6.00 2.889
17-18 全日本選手権 FS 2 3A   8.50   3.00 11.50 2.889
22-23 World Championships FS 10 StSq4   3.90   1.95 5.85 4.889

全ジャッジの満点の時と、ジャッジ1人は満点付けなかったけれどスコアとして満点になった要素合わせて拾っています。

±3時代の満点評価が多いです。何かに偏っているわけでもなく、ジャンプ、スピン、ステップとそれぞれ満点実績がありました。習得に苦労したトリプルアクセルでしたが3度の満点を得ています。

 

○歴代4回転ループ高評価(平均GOE+3.000以上)

Event   Name   Elements GOE Scores AvGOE Date
World Championships FS Shoma UNO 1 4Lo 4.05 14.55 3.89 2022/3/26
Grand Prix Final FS Yuzuru HANYU 1 4Lo 4.05 14.55 3.78 2019/12/7
Grand Prix Final FS Shoma UNO 1 4Lo 3.75 14.25 3.56 2022/12/10
World Championships FS Shoma UNO 1 4Lo 3.75 14.25 3.44 2023/3/25
Olympic Games FS Shoma UNO 1 4Lo 3.45 13.95 3.33 2022/2/10
World Team Trophy FS Yuzuru HANYU 1 4Lo 3.36 13.86 3.29 2021/4/16
NHK Trophy FS Shoma UNO 1 4Lo 3.30 13.80 3.11 2021/11/13

4回転ループは成功者が少ない4回転です。宇野選手は2022年の世界選手権で、歴代最高評価の平均GOE+3.889を得ています。

+3.000以上を高評価とすると、その実績があるのは2人だけ。宇野選手は5回もあり、高いレベルで4回転ループを飛び続けていたことがわかります。ちなみに、日本国内の試合で4回転ループをGOEプラスで決めたのは、現時点でまだ宇野選手1人だけです。

 

○4回転フリップ 成功年齢順

Event   Name   Elements AvGOE Date age months
World Championships SP Shoma UNO 1 4F 4.222 2024/3/21 26 3
Olympic Games FS Nathan CHEN 2 4F 3.889 2022/2/10 22 9
Internationaux de France SP Alexander SAMARIN 2 4F! 0.000 2019/11/1 21 4
NHK Trophy FS Vincent ZHOU 2 4F 2.889 2021/11/13 21 0
World Championships FS Yuma KAGIYAMA 2 4F 4.111 2024/3/23 20 10
US International SP Yaroslav PANIOT 1 4F+3T 0.857 2018/9/13 20 8
Warsaw Cup FS Daniel GRASSL 2 4F 1.571 2022/11/19 20 7
Four Continents FS Mikhail SHAIDOROV 2 4F 0.444 2024/2/3 19 7
Grand Prix Final FS Ilia MALININ 2 4F 3.111 2022/12/10 18 0
Internationaux de France FS Shun SATO 2 4F! 0.444 2021/11/20 17 9

4回転フリップをISU公認でGOE±0以上の成功させた選手というのもそれほど多くありません。宇野選手は4回転フリップの最初の成功者でもありましたが、現時点では4回転フリップ成功の最年長記録ということにもなっています。これはしばらく塗り替えられない記録になるかもしれません。

 

 

グランプリシリーズ出場 16回 歴代18位タイ 日本人4位

グランプリシリーズ優勝8回 歴代4位タイ 日本人歴代1位タイ

グランプリ表彰台 14回 歴代5位タイ 日本人歴代2位タイ

グランプリファイナル出場6回 歴代5位 日本人歴代3位

グランプリファイナル表彰台率100% 100%の選手の中で最多出場(6回)

グランプリファイナル表彰台6回 歴代2位タイ 日本人歴代1位タイ

世界選手権2連覇 日本人選手歴代最高

日本選手権6回優勝 歴代2位タイ