JGP無錫 MFアカデミーインカラミ

ジュニアグランプリ最終戦、7戦目が中国の無錫で行われました。女子は4人、男子は3人、まだまだ決まっていないファイナル進出枠を賭けての闘いです。

なお、無錫は上海と比較的近い場所にある都市です。上海-無錫で東京-富士山程度の距離になります。日本人学校児童が襲われた深圳とは飛行機で2時間以上かかる距離があります。

 

○女子シングル(上位15名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ami NAKAI JPN 204.88 68.66 136.22
2 Yuseong KIM KOR 192.23 64.20 128.03
3 Yihan WANG CHN 192.11 63.15 128.96
4 Shuxian JIN CHN 189.89 62.95 126.94
5 Yo TAKAGI JPN 185.45 66.03 119.42
6 Inga GURGENIDZE GEO 179.14 50.45 128.69
7 Shiqi GAO CHN 170.27 50.20 120.07
8 Jeongyul HWANG KOR 164.14 61.81 102.33
9 Hana BATH AUS 161.16 53.25 107.91
10 Ariel GUO HKG 161.13 56.76 104.37
11 Chiara MINIGHINI ITA 152.81 51.95 100.86
12 Phattaratida KANESHIGE THA 151.51 51.12 100.39
13 Sophie Joline von FELTEN USA 150.25 51.41 98.84
14 Kara YUN CAN 145.94 58.70 87.24
15 Olivia LENGYELOVA SVK 142.23 42.03 100.20

ものすごい試合でした。今回はフリーを時系列で振り返ります。

ジュニアグランプリシリーズのフリーは中盤までは緩い雰囲気で進むもの。本番は最終グループ、せいぜい最後の2グループというのが相場ですが、今回はその前から雰囲気変わります。

ショートでコンビネーションを転倒し14位と出遅れた中国のシーチーガオ選手。中国勢のあと2人は最終グループ。昨季のユースオリンピック代表のプライドに掛けて巻き返したいところ。最初のジャンプこそ手をつきますが後はほぼ完ぺき。中盤グループながら120.07を出してトータル170.27 フリーとトータルでパーソナルベスト更新。残り13人もいるのに早くも170点台が出ます。

続いてジョージアのグルゲニゼ選手。実力者ながら力を発揮しきれない試合が続いていたのですが、決めてきましたトリプルアクセル。結果的にqが付いてGOEはわずかにマイナスが付きますが以降も完璧。技術点74.72は最後まで超える選手が出ませんでした。128.09のパーソナルベストでトータル179.14 残り2グループ、最後の製氷前の段階で180点近いスコアが出てしまいました。

ここから製氷を挟んで残り2グループ。タイのカネシゲ選手が大きなミスなく滑ってシーズンベストで次へつなぎます。ここで出てくるのがアメリカのソフィーヨリーンフォンフェルテン選手。先週優勝したもののショートはトリプルアクセルをステップアウトして11位。ジュニアルールでショートからトリプルアクセルを入れようとするとこれが怖いわけです。フリーもトリプルアクセル投入。1本目はまたもステップアウト、これで逆転ファイナルは難しくなりましたがそれでも2本目、意地の着氷。セカンド2回転もつけてGOEプラスの評価。今シーズン5本目のトリプルアクセル成功。本物です。以降はミスも目立ってスコアは伸びず98.84に終わりトータル150.25 この時点で4位は実質的にファイナルはなくなりました。ただ、先週の5日にスロバキアリュブリャナでフリーを滑って優勝。そこから急遽この試合が決まって、どう移動したのかわかりませんが、拠点はボストンなことを考えると大西洋を渡ってそこへ戻って、そこからアメリカ横断して太平洋渡ったのか、あるいはもう一度大西洋とユーラシア大陸を超えて無錫へ向かったのか。いずれにしても先週まで実績のほとんどなかったジュニアの選手がビジネスクラスなど乗れるはずもなく、エコノミークラスでの大移動を経て、何回どういう時差調整したのかよくわからないような状態で10日にはショートプログラムを滑るというトンでもスケジュール。よく頑張ったと思います。

 

最終グループを迎えてグルゲニゼ選手が1位を保ったままです。残り6人は日韓中2人づつの決戦となります。1番滑走は韓国のファンジョンヨル選手。初の表彰台は射程圏。しかし冒頭のフリップを転倒。ルッツは降りたもののループで転倒し残念ながらスコア伸びず102.33でトータル164.14はこの時点で3位。表彰台争いから実質的に脱落です。

続いてシュシエンジン選手。国際大会初出場。このフリーが素晴らしい出来でした。ショートもノーミスフリーもノーミス。スピンオールレベル4の全要素プラス評価。フリー126.94のトータル189.89 4人を残して表彰台ラインが一気に上がりました。

ここからは自分が終わって首位に立てばファイナルが決まる4人です。まずはイーハンワン選手。中国の前に中国が立ちはだかった形で首位に立つには126.75が必要になります。セカンド3回転は無いながらもルッツフリップ2本立てで60点を超える基礎点があるイーハンワン選手。その構成をスピンオールレベル4の全要素全ジャッジプラス評価。中国勢の連続ノーミスに会場盛り上がり。ただ本人意外と冷静。技術点は72.20で自己最高でしたがフリー128.96はわずかに前の試合の方が高くトータル192.11で首位。ファイナル確定。

残り3人、キムユソン選手登場。127.92で首位に立ち、125.70以上でファイナル確定という条件。過去トリプルアクセルが決まった試合は126.88以上、決まらなかった試合は117.89以下。ほぼアクセルで決まるユソン選手、冒頭トリプルアクセル平均GOE+1.000で決めました。これが決まると強い。ループでオーバーターンがあったくらいであとは決めていきフリー128.03 トータル192.23で0.12差、際どく首位に立ちます。ファイナル確定。

残り2人。ファイナルの椅子は結果待ちのグラッキ選手、シンジア選手に最終滑走中井亜美選手と、これから滑る髙木謡選手から2つ。126.21で首位に立ち、126.09でファイナル確定。自己ベスト124.73を超えていけるか? 試合の流れとしてはノーミスが続いていていい空気です。冒頭のジャンプどう選択するか? というところでしたがルッツからセカンド2回転。確実性で勝ちに来ています。ダブルアクセルにセカンド3回転もつけて前半のジャンプは順調。ノーミスペース。PCSは中韓勢より出るので大きなミスが出なければ、というところでしたが後半に入ってのルッツを転倒。これが痛かった。フリーは119.42 トータル185.45で最終滑走を残して4位。この時点で結果待ちのグラッキ選手がファイナル確定、結果待ちのシンジア選手が脱落です。

最終滑走中井亜美選手。この時点でファイナルの椅子は残り1つ。候補は2人、中井亜美選手は123.58以上で優勝。116.80以上で4位以内に入り、髙木謡選手を上回り、また、2試合合計でシンジア選手も上回りファイナル確定。116.79以下だと髙木謡選手が4位に残って2試合合計でシンジア選手を上回りファイナル進出です。中井選手は冒頭トリプルアクセル。今日はトリプルアクセルが決まる日。ここまで3人降りています。これをしっかり降りるとセカンドにお久しぶりの3回転付けました。次のジャンプは? 構えはアクセル。これはダブルではなくて…、やはりのトリプルアクセル2本目。これも降りた。トリプルアクセル2本決めればファイナルはほとんど見えました。後はスコアどこまで出るか。3連続でやや怪しげなところもあったものの大過失なく進み、かつてトリプルアクセル2本決めた全日本でやらかしたダブルアクセル跳び忘れも無くしっかりシークエンスを入れ、最後まで滑って飛び跳ねガッツポーズ。満足げで饒舌なキスアンドクライ。勝利は確信しながらも、スコアはどこまで出るか。136.22は自己ベストにわずかに届かなかったもののPCSは62.94もらって過去最高評価。トータル204.88 完勝で3期連続のファイナル進出を決めました。

 

○中井亜美選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq+3T q 12.20   -0.69 11.51 -0.889
2 3Aq q 8.00   -1.03 6.97 -1.333
3 3Lz   5.90   1.69 7.59 2.667
4 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
5 2A   3.30   0.71 4.01 2.333
6 3Lz+1Eu+3S< 10.82 x -0.84 9.98 -1.444
7 3Lo+2A+SEQ   9.02 x 0.98 10.00 2.000
8 3F   5.83 x 1.14 6.97 2.222
9 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.889
10 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.778
11 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.444
  TES   67.27   6.01 73.28  

トリプルアクセル2本。回転にq判定付きましたが降りました。全日本以来のトリプルアクセル2本。全日本のダブルアクセル跳び忘れの反省があるのか、後半のジャンプの構成はトリプルアクセル1本の時と同じにしてあります。トリプルアクセル1本の時は2つ目のアクセルのところにトリプルループが入る形です。

2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルルッツサルコウがアンダーローテーション取られて0.95基礎点下がっていて、合計基礎点67.27 この67.27は今期3位の構成です。ノーミス基礎点は68.22 これでも今期3位になります。なお1位の島田麻央選手は73.77 5点以上の差はありますが、勝負にならない差でもありません。細かいことを言うと、トリプルサルコウを単独にして、ダブルアクセルはシークエンスで2つ使って3連続にすると、1Euを2Tに出来て0.8あるいは1.1倍の0.88基礎点を上げることができます。

トータル204.88は今期のジュニアで2位。2試合平均も日本勢で2位に上がりました。世界ジュニア代表選考争いでは各項目現在2番目。この試合の204.88は非常に大きかったです。

次の試合は東日本選手権を経て、全日本ジュニアへとなります。

 

○髙木謡選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2T   7.20   1.01 8.21 1.778
2 2A+3T   7.50   1.08 8.58 2.444
3 3F   5.30   0.83 6.13 1.444
4 3S   4.30   0.68 4.98 1.444
5 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
6 3Lz< F< 5.19 x -2.36 2.83 -5.000
7 3Lo   5.39 x 0.91 6.30 1.667
8 3T+2A<+SEQ 7.52 x -0.36 7.16 -0.556
9 FCCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.667
10 ChSq1   3.00   2.00 5.00 4.000
11 CCoSp3   3.00   0.17 3.17 0.778
  TES   54.90   5.63 60.53  

前半良かったのですが後半のジャンプが決まらなかったです。ルッツのアンダーローテーション転倒が響きました。また、3連続がはいっていません。表彰台には6.66差。これがファイナルとの差でもありました。ルッツを回転十分でGOE0だった場合スコアで3.66プラスされ減点1がなくなり4.66足されます。そこに3連続で最後にダブルループを付けていれば1.98基礎点上がって合計6.64得点が高かったことになります。ルッツはしっかり降りればGOE0ということもないので、このルッツと3連続が結局ポイントになった形でした。

3-3が無くてもフリーは7トリプルに2アクセルでしっかり点が出せることはイーハンワン選手が実証しています。今回のようにショートで3-3を決めてくれば勝負になります。ただしノーミスすれば、という条件がついて、それが今回は決めきれませんでした。

ルッツの成功率は割と高い選手だったのですが、前半うまくいっての後半、何か頭をちらついたのかどうか。非常にもったいないルッツでした。ただ、今回ショートのルッツからの3-3は国際大会で初のGOEプラスでの成功です。ショートのISU自己ベストは更新しました。一歩一歩階段は登っています。なお、コレオの平均GOE+4.000は今期、シニアまで含めた全選手のこれまでのコレオの中で最高評価になります。過去のシーズン通じてもジュニアで+4.000は2人目。ジュニア史上最高タイの評価になります。点数としては評価されていますが、それだけでなく選手としてもっと評価されていい側面だと思われます。

シーズンベストは日本ジュニアの中で5番目。2試合平均は4番目。世界ジュニアの代表選考の項目ではまだラインの内側に入れるものがありません。東日本と全日本ジュニアで2試合平均を高めるのと、全日本ジュニア表彰台、全日本で上位へというのが望まれる立場になります。

 

○今大会のトリプルアクセルを含む要素

  Name   Elements    Base   GOE Scores AvGOE
FS Yuseong KIM 1 3A   8.00   1.26 9.26 1.000
FS Sophie Joline von FELTEN 3 3A+2T   9.30   0.69 9.99 0.889
FS Inga GURGENIDZE 1 3Aq q 8.00   -0.23 7.77 -0.333
FS Ami NAKAI 1 3Aq+3T q 12.20   -0.69 11.51 -0.889
FS Ami NAKAI 2 3Aq q 8.00   -1.03 6.97 -1.333
FS Hana BATH 2 3A< 6.40   -3.02 3.38 -4.556
SP Sophie Joline von FELTEN 1 3A+COMBO   8.00   -4.00 4.00 -4.778
FS Sophie Joline von FELTEN 1 3Aq q 8.00   -4.00 4.00 -4.889

今大会、トリプルアクセルに挑んだのは5選手いました。GOEプラスで決めたのは結局2人。2位表彰台のキムユソン選手と、3本飛んで意地の3本目で決めたフェルテン選手です。グルゲニゼ選手と中井選手はqが付いたので評価としてはマイナスですが点計算的にはこれだけ入れば十分です。ハナバース選手はアンダーローテーションですが降りました。3.38だとダブルアクセルよりスコアが低くなりますが、ダブルトーループの代替になるのでこれでも十分ではあります。

今回これだけトリプルアクセルが飛ばれているのですが、アンダーローテーションやqは付くのですが、ダウングレードは無いですし転倒も無いです。ショートにジュニアでトリプルアクセル入れるとコンビネーション付かないとき悲惨なので、その点でフェルテン選手は残念でしたが、フリーではアンダーローテーションでも降りれば損害はないです。

ここまでトリプルアクセルが乱れ飛ぶ試合も珍しく、それも失敗ではない形で降りるところまで来ており、非常にレベルの高い試合になっていました。

 

○女子シングル上位15名の要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Ami NAKAI 204.88 93.07 74.30 4.73 24.01 8.77
2 Yuseong KIM 192.23 84.59 72.17 3.15 23.36 8.96
3 Yihan WANG 192.11 84.22 66.49 8.44 24.66 8.30
4 Shuxian JIN 189.89 80.24 66.38 9.88 25.09 8.30
5 Yo TAKAGI 185.45 88.86 61.43 4.23 21.97 9.96
6 Inga GURGENIDZE 179.14 79.24 67.13 4.06 20.63 8.08
7 Shiqi GAO 170.27 76.06 60.86 2.35 23.52 8.48
8 Jeongyul HWANG 164.14 75.69 62.98 -3.09 22.80 7.76
9 Hana BATH 161.16 70.91 71.20 -8.12 20.16 7.01
10 Ariel GUO 161.13 74.32 59.27 -1.80 21.40 7.94
11 Chiara MINIGHINI 152.81 74.72 55.19 -1.93 17.20 7.63
12 Phattaratida KANESHIGE 151.51 68.83 63.63 -3.43 16.19 6.29
13 Sophie Joline von FELTEN 150.25 75.60 65.64 -15.86 20.04 6.83
14 Kara YUN 145.94 72.14 58.36 -10.28 20.85 7.87
15 Olivia LENGYELOVA 142.23 62.30 61.49 -6.98 18.92 6.50

PCSは中井選手が1人だけ90点台と突出しています。今期のジュニアで2位のPCSです。髙木選手が2位で88.86まで出しました。昨季は90点に乗せていますので、本人比ではこれくらいは普通です。中国のシュシエンジン選手はPCSが伸びず80点ほどでしたが技術点は2位でした。フェルテン選手は75.60 ジャンプがうまくいかないときにPCSが伸びないのでカバーが効かないというのがまだ大きな弱点になっています。

ジャンプの基礎点は中井選手が74.30で1位でした。2位もトリプルアクセルを入れたキムユソン選手。3位もトリプルアクセルを入れたハナバース選手です。ジャンプの基礎点が70点を超えたのが3人いるのはシニア含めても、今シーズンこの試合だけですまだ。髙木謡選手は61.43で上位の選手の中ではここが凹んでいます。高難度ジャンプが無いので回転不足を取られず決めていきたいところでした。

ジャンプの加点が上位7選手はプラスです。これも珍しいです。ジャンプのGOEでプラスの選手が多い試合は印象のいい試合になります。その中でも中国勢2人が高得点を得ました。

スピンは総合4位のシュシエンジン選手が25点台に乗せて1位です。これはシニアまで含めても今期3位のスピンです。イーハンワン選手、中井亜美選手も24点台で続きます。中井選手は初の24点台。トリプルアクセル2本が目立った試合でしたが、スピンも成長を見せました。髙木選手はここが21点台で上位選手と比べてやや落ちています。

ステップ系要素は髙木選手が9.96で1位です。今期のジュニア中1位の評価です。髙木選手は国際大会のステップがすべてレベル4 コレオの評価も高くこの要素は強いです。

 

○男子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Rio NAKATA JPN 233.53 81.55 151.98
2 Tonghe TIAN CHN 207.95 69.33 138.62
3 Yanhao LI NZL 206.45 76.10 130.35
4 Jaekeun LEE KOR 201.45 74.08 127.37
5 David BONDAR CAN 196.86 63.98 132.88
6 Patrick BLACKWELL USA 196.47 64.24 132.23
7 Jiarui LI HKG 182.99 64.35 118.64
8 Qihan ZHAO CHN 182.56 56.63 125.93
9 John KIM CAN 175.56 60.46 115.10
10 Artur SMAGULOV KAZ 173.32 62.41 110.91
11 Hyunseo PARK KOR 160.28 61.94 98.34
12 Ruiyang ZHANG CHN 153.44 53.65 99.79

2位以内でファイナル進出が決まる中田璃士選手が優勝しました。ジュニアグランプリシリーズ通算2勝目。パーソナルベスト更新でファイナル進出を文句なく決めました。

2位に入ったのは中国のトンフーティエン選手。出身は長春市ということで中国東北部。無錫は地元というにはちょっと遠いのですが、それでも自国開催の試合をショート4位から逆転の2位表彰台で盛り上げました。ジュニアグランプリ2戦を3位2位で終え、ポイントは24ポイントで6位のラインと並びましたが、優勝が無いことで届かずファイナルは補欠の2位となりました。

3位はニュージーランドのヤンハオリー選手。ショートフリーでトリプルアクセル転倒が痛く、優勝したバンコクの試合と比べるとスコアはだいぶ落としましたが、それでもしっかりと3位に入りました。優勝と3位を持ってファイナル進出確定です。

韓国のイジェグン選手は4位。初戦2位を持っていたので2位でファイナルに進めるチャンスはあったのですがフリーで4回転にトリプルアクセル2本、大技3つが決まらないことでスコア伸びず届きませんでした。

もう一人、アメリカのブラックウェル選手も初戦2位でファイナルの可能性があったのですが6位。フリー冒頭で4回転トーループを降りた時には逆転のチャンスあるかとも思われたのですが、次のトリプルアクセル転倒で万事休す。ファイナル進出はなりませんでした。

 

○中田璃士選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
2 3A+1Eu+3S   12.80   0.34 13.14 0.444
3 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
4 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.667
5 3F   5.30   1.44 6.74 2.667
6 3Lz   6.49 x -0.34 6.15 -0.556
7 3Lo   5.39 x 0.14 5.53 0.333
8 3F!q+2A+SEQ !|q 9.46 x -2.35 7.11 -4.333
9 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
10 CSSp4   3.00   0.60 3.60 1.889
11 CCoSp3V   2.25   0.45 2.70 1.778
  TES   68.39   7.00 75.39  

126.41出せば優勝、124.91以上でファイナル確定というシチュエーションで出てきた最終滑走。比較的楽な状態で出てきました。構成どうするかと注目されましたが4回転トーループから。自信の持てる構成で勝ちに来たように見えました。この4回転トーループをクリーンに成功。今期初成功となります。次の3連続はちょっと怪しいところもありましたがその次のトリプルアクセルも決めて大技3つを大過なく乗り越え、ここでほぼ優勝は決まりました。後はスコアがどこまで出るか、というところで、自己ベストまで、できれば今期のジュニア最高スコアまで、なんなら160点超えて240点台までと希望が膨らんだのですが後半のジャンプは乱れが見えました。コンビネーションも1つ余って、これは150点に届かないかもしれないな、とも思われましたがPCSもしっかり伸びて151.98が出てトータル233.53はパーソナルベスト。今期のジュニア最高スコアとなりました。

これで2連覇を賭けてジュニアグランプリファイナルへ進むこととなりました。シーズンベストも日本勢1位、2試合平均も日本戦勢1位。世界ジュニア代表争いでも最有力の位置に躍り出ています。

次の試合は東日本選手権になりますが、シード持っていますので出ないこともできます。ただ、国内の気楽な試合で4回転サルコウ、さらにはループを入れた構成を試してくるのではないかと期待されます。ジュニアのうちに4回転3種類揃うと強いですが、ルッツ苦手そうなところがこの先心配ではあるので、そこをうまくジュニアのうちに飛べるようになると4回転5種類の選手になれるのではないかと期待されます。

 

○男子シングル上位12名の要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Rio NAKATA 233.53 115.00 79.48 9.30 21.10 8.65
2 Tonghe TIAN 207.95 105.23 65.06 7.31 23.25 8.10
3 Yanhao LI 206.45 107.67 77.11 -7.28 23.80 8.15
4 Jaekeun LEE 201.45 101.16 69.89 1.87 22.12 6.41
5 David BONDAR 196.86 97.65 78.98 -5.84 19.32 6.75
6 Patrick BLACKWELL 196.47 101.67 80.64 -10.28 19.36 7.08
7 Jiarui LI 182.99 92.05 61.60 0.34 23.07 5.93
8 Qihan ZHAO 182.56 93.97 62.81 1.62 19.64 5.52
9 John KIM 175.56 96.09 61.90 -10.17 20.43 8.31
10 Artur SMAGULOV 173.32 91.00 69.87 -11.82 18.15 7.12
11 Hyunseo PARK 160.28 91.97 52.06 -2.37 12.79 6.83
12 Ruiyang ZHANG 153.44 75.29 61.23 -7.69 20.61 6.00

中田選手がPCS115点もらって1位。このスコアは自身の最高スコアですし、今期のジュニアで1位のスコアでもあります。ヤンハオリー選手が107.67で2位。やはりPCSは伸びる選手です。

ジャンプの基礎点はブラックウェル選手が80点を超えて1位でした。中田選手は2位。フリーでコンビネーション1つ入っていませんので、昨季2回出している82点台と比べてやや落ちました。

ジャンプの加点は中田選手が1位。フリーで逆転2位に入ってきたトンフーティエン選手が2位です。ブラックウェル選手はここが大幅マイナスで厳しい試合になりました。ここでわずかでもプラス側の出来になっていれば2位表彰台からのファイナル、という試合でした。トンフーティエン選手が2位。高難度ジャンプ無しの構成ですが、全要素プラス評価で非常にいい印象を残した試合でした。

スピンはヤンハオリー選手が1位。トンフーティエン選手が2位。中田選手は21.10 レベル4は5つあったのですが3Vで基礎点大きく削られたのが1つあり、GOEマイナスも1つあってスピンのスコアは伸びていませんでした。

ステップ系要素は中田選手が8.65で1位です。本人比では過去2番目でいい方ですが、ここは9点台を出す選手も多数いますので、今大会は全体的にスコアがあまり出ていないと見るか、ジャッジが厳し目だったと見るか微妙ですが、今一つでした。

 

 

男女とも日本勢が優勝。ファイナル進出を決めました。髙木謡選手は一歩、あと6.66点届かずです。ファイナルは、女子は島田麻央選手が2戦2勝、中井亜美選手、和田薫子選手、キムユソン選手が優勝と2位、イーハンワン選手が優勝と3位、ステファニアグラッキ選手が2位と3位でファイナル進出となります。日本勢3人という人数は昨季と同じ。2期続いた日韓3vs3決戦は終わって、日本以外は韓国中国フランスとなります。東アジア決戦ともならず、開催地フランスから1人入りました。シンジア選手、岡田芽依選手、コナヨン選手が補欠です。

男子はジェイコブサンチェス選手が2戦2勝、中田璃士選手、高橋星名選手が優勝と2位、ヤンハオリー選手、ソミンギュ選手が優勝と3位、ルーカスヴァッラヴィク選手が優勝と4位でファイナル進出となりました。日本勢2人にアメリカ、ニュージーランド、韓国、スロバキアと1人づつです。アダムハガラ選手、トンフーティエン選手、中村俊介選手が補欠となります。

 

ジュニアグランプリシリーズはここで終幕。ファイナルは12月ですので少し時間が空き、ファイナル出場選手もここから国内戦に向かいます。日本は東日本西日本があり、その後全日本ジュニア、世界ジュニア代表争いはし烈です。

通常はジュニアグランプリシリーズのあと1週空いてグランプリシリーズなのですが、今期はジュニアグランプリが1週遅く始まった関係で、間置かずすぐにグランプリシリーズが始まります。

来週はスケートアメリカです。