グランプリシリーズ24直前展望 女子シングル

前日の男子に続いて女子シングルの展望です。

やはり今期のこれまでのベストと、昨シーズンのベスト、昨シーズンのワーストを並べます。ISU公認試合だけでなくいわゆるB級大会も含めています。

 

スケートアメリカ

Skate America   24-25Best 23-24Best 23-24worst
Elyce LIN-GRACEY (USA) 213.33 179.16 162.58
Isabeau LEVITO (USA) 198.13 212.16 191.86
Yuna AOKI (JPN)   209.37 184.46
Rinka WATANABE (JPN) 164.04 203.22 180.36
Nina PINZARRONE (BEL)   202.29 155.43
Bradie TENNELL (USA) 196.61 199.80 185.84
Livia KAISER (SUI) 191.24 194.72 137.55
Wakaba HIGUCHI (JPN)   190.02 165.69
Minchae KIM (KOR)   184.03 184.03
Lea SERNA (FRA)   180.77 153.52
Olga MIKUTINA (AUT) 160.84 177.76 151.05
Sofja STEPCENKO (LAT) 145.27 171.90 120.79

初戦はスケートアメリカ。世の中いろいろありまして、イ・ヘイン選手とユヨン選手が当初のエントリーから外れました。韓国から変わりにキムミンチェ選手がエントリー。さらにオーストリアのミクティナ選手も入りました。空いていたアメリカ地元枠はエリスリングレーシー選手が入っています。

そのエリスリングレーシー選手が213.33のベストを持っていてエントリー選手中1位のスコアです。地元枠で入ったのか、ネーベルホルン杯優勝のチャレンジャー枠で入ったのか何とも微妙ですが、いきなり優勝候補に入ってきました。今期セカンドベスト193.99 2戦連続で210点台を出せるかは何とも言えませんが、昨季までの170点台の選手ではなく、表彰台争いには絡んできそうです。

シニア3シーズン目、上位の常連レビト選手が2番手。これまでグランプリシリーズ4試合で表彰台率100% 今回も順当に表彰台争い優勝争いをしてくると思われます。

昨季チャレンジカップで209点出した青木選手がスコア的には3番手。NHK杯では184.46でした。190点前後が本人比標準くらいでしょうか。ISU公認200点超えなるか。それが出来れば表彰台争いです。

日本勢でもう一人渡辺倫果選手が昨季200点超えていますが今期は国内外の試合でまだスコアが伸びていません。スケートアメリカまでに調整が間に合っているかどうか。樋口選手は国際大会が今季まだないですが東京選手権では192点まで出しています。上位には入ってきそうです。

昨季ファイナルまで進んだピンツァローネ選手。今期はまだ国際大会で姿を見せていません。ベテランのテネル選手は上海トロフィーで190点台後半、昨季ワールド9位と躍進したカイザー選手はネーベルホルン杯で190点台前半まで出してきています。表彰台に絡んでくるとしたらこのあたりまででしょうか。

地力・実績ではレビト選手が強そうですが、他の選手もベストスコアは結構高いものを持っており、この日の調子がいい人が上に来る、という混戦模様に見えます。混戦ではありますが、テネル選手が全盛期の力を出してくると、アメリカ勢表彰台独占もありえそうです。

 

スケートカナダ

Skate Canada   24-25Best 23-24Best 23-24worst
Kaori SAKAMOTO (JPN) 199.94 226.13 203.20
Elyce LIN-GRACEY (USA)  213.33 179.16 162.58
Hana YOSHIDA (JPN) 196.47 203.97 185.45
Rino MATSUIKE (JPN)   198.62 198.62
Kimmy REPOND (SUI) 190.09 196.02 164.63
Seoyeong WI (KOR) 145.13 193.57 145.43
Alysa LIU (USA) 192.77    
Madeline SCHIZAS (CAN) 175.71 189.91 171.78
Yelim KIM (KOR)   187.91 176.68
Ekaterina KURAKOVA (POL) 174.29 184.76 167.63
Kaiya RUITER (CAN) 159.75 172.68 155.44
Sara-Maude DUPUIS (CAN) 166.31 172.45 145.36

2戦目はスケートカナダです。当初のエントリーからアヴァマリージーグラー選手が怪我で外れ、エリスリングレーシー選手が入りました。初戦のアメリカから連戦。アメリカは地元枠でこのスケートカナダはチャレンジャー優勝枠ということでしょうか。今期のスコアで見るとこのメンバーでも1位です。

坂本花織選手、初戦は200点にわずかに欠けるスコアでした。シーズン序盤からそれほどスコアを出す選手ではない、というのを気にして昨季はグランプリシリーズ初戦から頑張りましたけど、今期はどうなんでしょう。ファイナルに進めれば十分ということで、まだこの辺ではスコア伸びてこないかもしれません。全兵庫選手権では215点出していました。ルッツが2回転になり、アクセルも1回転半あり、3連続の3つ目が2回転のサルコウになってスピンステップ1つづつレベル3でも、PCSで73.56もらうのでフリーは139.20になるという国内参考記録感が強いので、まだプログラムの完成度がフリーは低そうです。

吉田陽菜選手は不安定ながらも国際大会初戦で196点は出してきています。不安定に見えながら200点前後を常に出してくるので表彰台争いには少なくとも絡んできそう。松生理乃選手は国内の試合だと微妙なスコアになるけど国際大会に強いという選手。昨季も2戦目あればファイナルチャンスも、という1戦目表彰台でした。今回もチャンスあります。

レポンド選手とアリサリウ選手がそれに続いて190点台。アリサリウ選手は今期復帰シーズンですが、復帰前もまともにシニアを滑ったのは1シーズンだけなので、グランプリシリーズはまだ表彰台がありません。レポンド選手もそうですが、初の表彰台を狙う試合になります。

シザス選手はカナダのトップですが自国開催盛り上げることができるか。また、いろいろあった韓国勢、しっかり無事だったキムイェリム選手は昨季不振気味だったのを払しょくして今期は世界選手権代表へ復活したいところ、ここで存在感を見せられるかという試合になります。

 

○フランスグランプリ

Grand Prix de France   24-25Best 23-24Best 23-24worst
Loena HENDRICKX (BEL) 179.78 221.28 200.25
Chaeyeon KIM (KOR) 214.74 204.68 180.78
Amber GLENN (USA) 212.89 189.63 177.51
Anastasiia GUBANOVA (GEO) 195.91 206.52 179.61
Nina PINZARRONE (BEL)   202.29 155.43
Rion SUMIYOSHI (JPN)   197.76 180.39
Livia KAISER (SUI) 191.24 194.72 137.55
Wakaba HIGUCHI (JPN)   190.02 165.69
Mai MIHARA (JPN) 177.34 184.07 172.64
Lorine SCHILD (FRA) 179.70 183.86 155.65
Lea SERNA (FRA)   180.77 153.52
Maia MAZZARA (FRA) 126.69 137.53 122.47

3戦目のフランス。ここはエントリー変更は無く、地元枠で空いていたところにマイアマザラ選手が入りました。

昨季のスコアでみるとヘンドリックス選手が圧倒的に抜けているのですが、今期は上海トロフィーで179点台と心配なシーズンインでした。ショートはオリンピック以降で最低、フリーは現行の±5ルールになった18-19シーズン以降で最低です。決まった3回転が2つだけ。大丈夫なんでしょうか。

キムチェヨン選手とアンバーグレン選手が今季210点台のパーソナルベストを出してきて好調です。ヘンドリックス選手が復調すればこの3人で優勝争いになりそうですが、不安定なグレン選手、この212点を再現できるかどうか。

グバノワ選手、ピンツァローネ選手というヨーロッパの実力者が続きます。カイザー選手にシルト選手もいるので、昨季のヨーロッパ選手権1位から5位が集まっている試合です。

そこに住吉選手、樋口選手、三原選手という日本勢が挑む形。3人ともグランプリシリーズの表彰台は何度もありますが、直近はあまり結果が出ていません。住吉選手は昨季4回転を決めたフランスでその再演が出来れば表彰台に絡めると思われます。三原選手はケガの具合がどの程度回復というか本人の中で馴染んでいるかどうか。体調万全なら優勝候補に名を連ねる選手なのですが、どうなっているでしょう。

 

NHK杯

NHK Trophy   24-25Best 23-24Best 23-24worst
Kaori SAKAMOTO (JPN) 199.94 226.13 203.20
Mone CHIBA (JPN) 193.37 214.98 160.25
Yuna AOKI (JPN)   209.37 184.46
Bradie TENNELL (USA) 196.61 199.80 185.84
Lindsay THORNGREN (USA) 179.45 199.16 162.63
Niina PETROKINA (EST) 164.98 194.55 162.18
Seoyeong WI (KOR) 145.13 193.57 145.43
Alysa LIU (USA) 192.77    
Lara Naki GUTMANN (ITA) 188.86 181.64 155.18
Yelim KIM (KOR)   187.91 176.68
Ekaterina KURAKOVA (POL) 174.29 184.76 167.63
Olga MIKUTINA (AUT) 160.84 177.76 151.05

NHK杯はイ・ヘイン選手が外れオーストリアのミクティナ選手が入っています。ミクティナ選手は当初のアサインでは枠が無かったのですが、いざ直前まで来ると2枠入りました。さらに空いていた地元枠には青木祐奈選手が入っています。

ここはスコア的には日本勢が強いです。坂本選手は当然ですが、イ・ヘイン選手も欠けたので千葉百音選手が準シードみたいなことになっています。過去の実績でも直近の実績でもこの2人で強いです。さらに青木祐奈選手もB級大会のスコアですが210点近いものを持っています。グランプリシリーズにも慣れてここに合わせてきて200点超えていくと、日本勢3人表彰台の芽もあります。

立ちふさがって来るのはアメリカ勢でしょうか。ベテランテネル選手、復帰シーズンアリサリウ選手。190点台は普通に出しています。ソーングレン選手も昨季2位。そろそろ200点が欲しい選手です。

そこに次ぐのが韓国勢。NHK杯優勝経験のあるキムイェリム選手に4大陸選手権で5位までは行ってきたウィソヨン選手。2人とも190点台は十分出してくる選手です。

 

フィンランディア杯

Finlandia Trophy   24-25Best 23-24Best 23-24worst
Loena HENDRICKX (BEL) 179.78 221.28 200.25
Isabeau LEVITO (USA) 198.13 212.16 191.86
Hana YOSHIDA (JPN) 196.47 203.97 185.45
Sarah EVERHARDT (USA) 201.90 168.69 161.11
Lindsay THORNGREN (USA) 179.45 199.16 162.63
Rino MATSUIKE (JPN)   198.62 198.62
Niina PETROKINA (EST) 164.98 194.55 162.18
Mai MIHARA (JPN) 177.34 184.07 172.64
Lorine SCHILD (FRA) 179.70 183.86 155.65
Nella PELKONEN (FIN)   179.31 145.45
Janna JYRKINEN (FIN) 168.82 159.85 125.92
Olivia Lisko (FIN) 136.37 153.97 127.84

5戦目のフィンランディア杯はユヨン選手が外れ、クランベリーインターナショナルで優勝したアメリカのサラエバーハート選手が入りました。また、フィンランド地元枠でユルキネン選手とリスコ選手が加わっています。

実績ならヘンドリックス選手なのですが、上海トロフィーの大崩れぶりが気になります。立て直せているかどうか。

レビト選手と吉田陽菜選手、2人とも昨季の実績のある選手。200点前後が多く、表彰台争いには絡んできそう。

サラエバーハート選手がその次のスコアを持っています。クランベリーの優勝スコアは196.42 さらにロンバルディア杯では2位ながらスコアを上げて201.90 一発屋ではない証明は済んでいますので、ここでまた200点を出してくる可能性も十分にあります。

日本から松生理乃選手と三原舞依選手。国際大会で結果を出す松生選手、今期は2試合あります。3シーズンぶりの200点台をここで出せるとファイナルチャンスもあるかもしれません。三原選手は、とにかく怪我の状態が心配です。

 

中国杯

Cup of China   24-25Best 23-24Best 23-24worst
Mone CHIBA (JPN) 193.37 214.98 160.25
Chaeyeon KIM (KOR) 214.74 204.68 180.78
Amber GLENN (USA) 212.89 189.63 177.51
Anastasiia GUBANOVA (GEO) 195.91 206.52 179.61
Rinka WATANABE (JPN) 164.04 203.22 180.36
Rion SUMIYOSHI (JPN)   197.76 180.39
Kimmy REPOND (SUI) 190.09 196.02 164.63
Madeline SCHIZAS (CAN) 175.71 189.91 171.78
Xiangyi AN (CHN) 187.45 165.40 152.36
Minchae KIM (KOR)   184.03 184.03
Hongyi CHEN (CHN) 152.13 168.66 137.95
Yi ZHU (CHN) 155.47 154.58 139.52

中国杯はアヴァマリージーグラー選手が怪我で外れ、韓国のキムミンチェ選手が入りました。また、中国地元枠でアンシャンイー選手とイジウ選手が入っています。

210点超えが千葉選手、キムチェヨン選手、アンバーグレン選手と3人います。安定感のチェヨン選手がさらに上積み積んで210点超えていますので強そう。千葉選手は状態が良ければ勝負出来る点数出せます。昨季のグランプリシリーズは苦い思い出が残っていると思いますが、今期は準シードみたいなところもあるのでファイナルチャンスもあるでしょうか。グレン選手は大崩れせず勝負できるか。

グバノワ選手はあまりグランプリシリーズのイメージが無いですが、実績としては表彰台に絡んでくる力もあります。

渡辺選手と住吉選手。高難度ジャンプを構成に入れているけれど確率的にはそれほど高くない。ここで一発決めてくれば表彰台から優勝に絡むところまで来るわけですがどうでしょう。

シードのレポンド選手、ベストスコアは190点台中盤までです。

中国勢は、ジュニアが強いのでシニアも意地を見せたいところです。

 

女子は韓国大騒動の影響とジーグラー選手の怪我による離脱があってかなりのエントリー変更がありました。そこに入ってきたのがチャレンジャーシリーズで優勝したアメリカの2選手。メンバー変更があってもあまりレベルは変わらない試合が見られそうです。

女子は男子と違って、突出した選手がいないように見えます。世界選手権3連覇している坂本選手も初戦は200点に届いていません。ここ2シーズン坂本選手と対抗する位置にいたヘンドリックス選手も初戦はスコア伸びませんでした。一方アメリカ勢がチャレンジャーシリーズでは好調。韓国はいろいろありましたが、キムチェヨン選手は210点超えのパーソナルベストを出してきています。

各試合、優勝争い、表彰台争い、そしてファイナル進出争い、展開が読めずに非常に楽しめそうなグランプリシリーズです。