スケートアメリカ 総合力の勝利

今年もグランプリシリーズが開幕しました。初戦はスケートアメリカ。今期も日本勢が予想通りに、あるいは予想以上の活躍を見せた一方、残念な結果に終わった選手もいます。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Wakaba HIGUCHI JPN 196.93 66.12 130.81
2 Rinka WATANABE JPN 195.22 66.54 128.68
3 Isabeau LEVITO USA 194.83 68.43 126.40
4 Nina PINZARRONE BEL 193.61 62.85 130.76
5 Bradie TENNELL USA 192.04 66.99 125.05
6 Elyce LIN-GRACEY USA 183.94 60.22 123.72
7 Yuna AOKI JPN 183.03 56.51 126.52
8 Livia KAISER SUI 177.67 58.72 118.95
9 Olga MIKUTINA AUT 166.77 56.81 109.96
10 Minchae KIM KOR 165.57 60.66 104.91
11 Lea SERNA FRA 151.87 42.85 109.02
12 Sofja STEPCENKO LAT 137.92 44.56 93.36

樋口新葉選手グランプリシリーズ初優勝。グランプリシリーズ通算13戦目。2016年に初めて出場してから苦節8年。グランプリシリーズ初優勝となりました。

2位も日本から渡辺倫果選手。ショート3位から1つ順位を上げての2位。グランプリシリーズ3回目の表彰台となりました。

ショート1位だったレビト選手が最終結果は3位でした。グランプリシリーズ3シーズン目、この試合が通算5試合目。5度目の表彰台ということで表彰台率100%を継続しています。フリー、中盤まで順調だったのですが後半に入ってのルッツ転倒が痛かったです。経っていればGOE-5でも2位、普通に飛べていれば優勝でした。グランプリシリーズ、次は5戦目のフィンランドにエントリーです。

4位には昨季のファイナリスト、ピンツァローネ選手が入りました。フリーだけなら2位。完璧、というわけではなく回転不足がいくつかあったのですが、それでも130点台に乗せ後続にプレッシャーをかけた形になりました。次戦は3戦目のフランスです。2期連続のファイナルには優勝が求められる試合となります。

ベテランのブレイディテネル選手が5位でした。2期ぶりのグランプリシリーズ。ショートを2位で折り返し、フリーも前半良かったのでこれは勝つか? との期待も膨らんだのですが、残念ながら中盤以降スピンステップのレベルもジャンプも思うように決めて行けず、結果としては5位となりました。ルッツ決まっていれば優勝。アメリカ勢はルッツに泣きました。音楽のカットが違っていたなど、トラブルもあったようです。復帰シーズン、試合勘と試合体力が戻ってくれば、後半までまとめてスコアがさらに伸びてくることも期待されます。次戦は4戦目のNHK杯で来日予定です。

今季序盤好調だったエリスリングレーシー選手が6位に入りました。ネーベルホルン杯の213.33で一躍時の人となったことにまだいろいろと本人の中で追いついていない部分があるようでした。次戦、スケートカナダと連戦になります。

青木祐奈選手は7位でした。ショート10位からフリーは4位とスコアを伸ばし、順位を3つ上げることが出来ました。

 

樋口新葉選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
2 3Lz+2T   7.20   1.10 8.30 1.778
3 3Lo   4.90   1.19 6.09 2.444
4 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.667
5 3S   4.30   0.68 4.98 1.556
6 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
7 3Lz   6.49 x -1.43 5.06 -2.333
8 3Lo+2A+2T+SEQ   10.45 x 1.26 11.71 2.667
9 3F! ! 5.83 x 0.00 5.83 0.000
10 FCSp4   3.20   0.46 3.66 1.444
11 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
12 SSp4   2.50   0.50 3.00 2.000
  TES   58.57   7.47 66.04  

逆転優勝を導いたフリー。ただ、構成としてはそれほどのものでもありません。滑り終わった時点では表彰台に入れるかどうか、といったあたりの状態でした。セカンド3回転無し。コンビネーションも1つ入りませんでした。ルッツは3回転を後ろに付けてもおかしくない着氷だったように感じたのですがセカンドは2回転にしました。後半のルッツに3連続で次のループにセカンド2回転、というのが提出予定でしたが、ルッツがコンビネーション付けづらい着氷になって、ループに3連続になりました。フリップにセカンド付けるかとも思ったのですが、ダブルトーループはもう跳べない、ダブルアクセルも2つ使っている、フリップからのセカンド3回転なんてジュニア時代にしか跳んでいない、付けるとしたらセカンドループだけど、3連続の3つ目にはあっても2連続の2つ目に付けたことはない、ということで何もつけずとなっています。冷静な判断だったと思います。

スピンステップオールレベル4 ステップはショートで判定厳しいなあという印象でしたが、フリーは普通にレベル4を各選手取れるようになりました。スピンは昨シーズンまで入れていたレイバックスピンが外され、シットスピンが入っています。体への負担を減らしたい、という部分もあったのかもしれません。

会心の出来ではなかったですが大きなミスは無くしっかり滑り切り。僅差の勝負を逆転勝ちとなりました。次戦は3戦目のフランス。7年ぶりのファイナルへ。表彰台でファイナル進出が決まります。

 

○渡辺倫果選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.94 4.24 2.889
2 3Lo+3T< 8.26   -0.91 7.35 -1.889
3 3F   5.30   0.91 6.21 1.556
4 3Lz+2T   7.20   0.84 8.04 1.333
5 FCSp3   2.80   0.56 3.36 2.000
6 3Lz< 5.19 x -1.35 3.84 -2.778
7 2A+1Eu+3S   8.91 x 0.92 9.83 2.111
8 3Lo   5.39 x 1.05 6.44 2.111
9 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
10 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
11 FSSp3   2.60   0.22 2.82 0.889
12 CCoSp3   3.00   0.47 3.47 1.444
  TES   58.25   5.69 63.94  

トリプルアクセルは封印。予定構成表には入れていましたが最初から飛ぶ気はなかったようです。2回飛ぶジャンプはルッツとループ。これはトリプルアクセル2本ではないときは以前からそうでした。

1位とは1.71差。2つの回転不足が残念で、特に後半のルッツは決めたいところでした。何とか耐えきったというジャンプです。他にもスピンステップはオールレベル3 スピンがオールレベル4なら基礎点で1.30上がってGOEもその分上がります。スピンステップオールレベル4なら基礎点が1.90上がったわけで、ジャンプのミスはあってもスピンステップしっかり決めていれば優勝出来た、という試合でした。

ただ、正直なところ、今期のこれまでの出来を考えると、もっと大崩れするのではないかと思っていました。国内3戦でフリーはすべて90点台、ロンバルディアでも102点でしたので、トリプルアクセル回避しても、まだまだ本調子には遠い、みたいなことになるのではないかと思っていましたが、この10月後半の時点で、まともな滑りを見ることが出来ました。

これで2期ぶりのファイナル進出へ前進。2戦目は最終戦中国杯です。千葉百音選手、キムチェヨン選手、アンバーグレン選手といった今年に入ってから210点台を出している選手たちを相手に、最低表彰台、2位以内ならファイナル確定、という試合を戦うことになります。

 

○青木祐奈選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3Lo   10.80   1.01 11.81 1.667
2 3T   4.20   0.72 4.92 1.778
3 2S   1.30   0.06 1.36 0.444
4 2A   3.30   0.75 4.05 2.333
5 CCoSp4   3.50   -0.40 3.10 -1.111
6 2A+1Eu+3F   10.01 x -0.08 9.93 -0.222
7 3Lz+2T   7.92 x 0.08 8.00 0.333
8 3F   5.83 x 0.38 6.21 0.667
9 FCSp3   2.80   0.32 3.12 1.111
10 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333
11 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
12 LSp3   2.40   0.58 2.98 2.444
  TES   58.96   5.56 64.52  

ルッツループ成功。ISU公認ではジュニアグランプリシリーズで13歳7か月で決めていますし、非公認の国際大会では12歳6か月のアジアンオープンフィギュアでも決めていました。ノービス時代から10年以上跳び続けたルッツループ。ついにグランプリシリーズでも成功です。22歳9か月での3Lz+3Lo成功。これは最年長記録で2番目になります。この上は、イリナスルツカヤさんの25歳11か月というなかなか超えるのが大変そうなものがあります。

大きなミスはサルコウが2回転になったものだけ。意外とサルコウが2回転になるのはよく見かけますし、難しいジャンプも跳べるけど安定感はあるわけではない、という選手ですのでジャンプノーミスは難しく、1つ抜けるくらいは仕方なかったのだろうと思います。もったいなかったのはスピン。レベル3が2つあり、レベル4のものはGOEで減点されました。このあたりしっかりできていれば6位にはなれていました。

ただ、どちらかと言うとショートが残念で、その結果7位に留まったというような結果です。構成とGOEからはノーミス2本そろえればB級大会ではなくても200点には届く、ということはこの試合でも見せてくれましたが、ノーミス2本はなかなかそろわない。来期につなげるには高いシーズンベストを出したいのですが、この試合の183.03は今の時点でシーズンベスト29位。24位以内に入るには現時点ですでに189.89が必要で、最終的には195点以上は必要になりそう。次戦、NHK杯で200点近いスコアが欲しいところです。

 

○ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Wakaba HIGUCHI 196.93 96.50 60.86 4.27 21.94 13.36
2 Rinka WATANABE 195.22 96.23 62.76 4.46 20.20 11.57
3 Isabeau LEVITO 194.83 101.83 59.26 -0.43 23.79 11.38
4 Nina PINZARRONE 193.61 94.90 62.73 0.20 21.67 14.11
5 Bradie TENNELL 192.04 98.29 56.46 5.21 21.29 10.79
6 Elyce LIN-GRACEY 183.94 91.15 64.63 -4.51 22.25 12.42
7 Yuna AOKI 183.03 92.41 59.09 -0.41 20.52 12.42
8 Livia KAISER 177.67 85.77 56.20 4.73 20.19 10.78
9 Olga MIKUTINA 166.77 88.28 48.83 -5.35 22.90 12.11
10 Minchae KIM 165.57 86.54 51.68 1.08 17.54 9.73
11 Lea SERNA 151.87 81.72 52.48 -7.21 16.68 10.20
12 Sofja STEPCENKO 137.92 77.57 39.42 -6.20 16.92 10.21

PCSはレビト選手がティファニーで朝食を取って100点超えです。テネル選手が2位。樋口選手、渡辺倫果選手が96点台、1項目平均8点ほどで続きます。

ジャンプの基礎点はエリスリングレーシー選手が64.63で1位です。渡辺選手とピンツァローネ選手が62点台で続きます。樋口選手は60.86で4番目です。加点の方はテネル選手が5.21で1位。ルッツの抜け1回転があって基礎点はやや低めですが、決まったジャンプの評価は良かったです。カイザー選手が4.73で2番目、渡辺選手が3番目で樋口選手まで4点台です。青木選手は2転倒もありマイナス評価となりました。

スピンはレビト選手が23点台で1位。ミクティナ選手が22.90で2位です。樋口選手は21点台で4番目、青木選手と渡邊選手は20点台。スピンでもう少し稼げていたら順位が上がっていたという形です。

ステップ系要素はピンツァローネ選手が1位。13点台あった樋口選手が2位でエリスリングレーシー選手と青木選手が12.42で3番目です。渡辺選手は11.57とここも伸びませんでした。

こうして並べると、優勝した樋口選手はどの項目を見ても1位が無い、という中で合計すると1位になるという、なかなか見ない形での優勝となりました。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ilia MALININ USA 290.12 99.69 190.43
2 Kevin AYMOZ FRA 282.88 92.04 190.84
3 Kao MIURA JPN 278.67 99.54 179.13
4 Nika EGADZE GEO 261.71 93.89 167.82
5 Deniss VASILJEVS LAT 251.47 85.10 166.37
6 Koshiro SHIMADA JPN 219.68 81.88 137.80
7 Maxim NAUMOV USA 216.38 73.11 143.27
8 Nozomu YOSHIOKA JPN 215.92 80.79 135.13
9 Wesley CHIU CAN 206.94 66.86 140.08
10 Lucas BROUSSARD USA 206.57 65.31 141.26
11 Francois PITOT FRA 202.96 56.16 146.80
12 Donovan CARRILLO MEX 195.80 67.48 128.32

優勝は大方の予想通りマリニン選手でした。これでスケートアメリカ3連覇です。ただ、2シーズンぶりにショートで100点に届かず。フリーも200点に届かず。久しぶりに人間界に降りてきました。

2位は復活のケビンエイモズ選手。昨季はこのスケートアメリカで279.09を出して2位に入って以降、ひたすら下降線をたどってしまって、もうどうなってしまうんだろうという心配していたのですが、このスケートアメリカで復活しました。出来るじゃないですか。出来るじゃないですか。出来るんですよ。素晴らしい復活演技でした。フリーの190.84はパーソナルベスト。3T+1Eu+3Sという不思議3連続を入れたり、なんとか自分の自信をもってやりこなせる構成を作り上げようとした苦心も見られました。この2位でファイナルの可能性も見えてきました。次は5戦目のフィンランディア杯。2位以内ならファイナル確定です。

3位は三浦佳生選手。グランプリシリーズ5回目の表彰台となりました。278.67は自己セカンドベストですが順位としては3位に留まった形です。

ジョージアのニカエガーゼ選手がパーソナルベスト更新の演技を見せましたが、自身3回連続の4位。表彰台にはわずかに届きませんでした。ショートフリー共にパーソナルベスト更新。フリー冒頭、4回転ルッツ、ネーベルホルン杯で初成功させていたのですが今回は決まりませんでした。基礎点は91.88 今大会に限って言えばマリニン選手を上回っています。上位で勝負できる構成が標準装備となってきました。次戦は採取6戦目の中国杯。優勝すればファイナルにおそらく進める、という希望が灯っています。

ラトビアのデニスバシリエフス選手が5位に入っています。冒頭の4回転サルコウこそダウングレードとなりましたが、あとは完璧と言ってもいい演技でした。次戦は最終戦中国杯です。

島田高志郎選手は6位でした。スコア的には伸びなかったので、ある種望外な6位とも言えます。ランキングポイントを稼ぐことには成功しました。

日本からもう1人吉岡希選手も8位でランキングポイントを得ています。

 

○イリアマリニン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4F   11.00   4.24 15.24 3.778
2 3A   8.00   2.40 10.40 3.111
3 4Lz   11.50   2.63 14.13 2.222
4 2Lo   1.70   0.02 1.72 0.333
5 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.889
6 3Lz   6.49 x -2.36 4.13 -4.000
7 4T+3T   15.07 x 1.36 16.43 1.444
8 4Sq+3A+SEQ q 19.47 x -0.83 18.64 -0.889
9 CCSp3   2.80   0.52 3.32 1.778
10 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
11 ChSq1   3.00   2.14 5.14 4.222
12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.444
  TES   89.43   12.76 102.19  

4回転はおそらく5種類5本構成だったと思われます。抜けて2回転になったループも予定では4回転で提出されていました。後半にコンビネーション3つつぎ込む構成のところ、まさかの3回転ルッツでミスをするという珍しい光景により3連続が付きませんでした。そんなこともあり基礎点は89.43 最大109.79まであるマリニン選手からするとかなり低い基礎点となりました。

それでも4回転4本決めて逃げ切り優勝。バックフリップ入ってコレオは+4.222 国別対抗戦というお祭り評価でもっと高いGOEをもらったことありますが、それ以外ではコレオで自身初の+4台。ジャンプそこそこの出来でもグランプリシリーズくらいなら総合力も高いので勝ちます。

次戦は連戦でスケートカナダです。3位以内でファイナル進出はきまります。よほどのことが無い限り、決めてくると思われます。

 

○三浦佳生選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+1Eu+3S   12.80   2.06 14.86 2.556
2 4S   9.70   1.39 11.09 1.444
3 4Tq q 9.50   -0.54 8.96 -0.556
4 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.778
5 3A< 6.40   -0.73 5.67 -1.111
6 StSq2   2.60   0.56 3.16 2.222
7 4T+3T   15.07 x 2.85 17.92 3.000
8 3F+2A+SEQ   9.46 x 0.91 10.37 1.778
9 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
10 3Lo   5.39 x 0.98 6.37 2.111
11 CSSp3   2.60   0.56 3.16 2.111
12 CCoSp3   3.00   0.94 3.94 3.111
  TES   82.72   11.17 93.89  

今回は冒頭の4回転ループは回避して4回転はオーソドックスな2種類3本構成となりました。トリプルアクセルが1つアンダーローテーション。スピンステップでレベルが取れず、基礎点は82.72と低く抑えられています。

ただ、基礎点は低めですが、今回は割といい方の三浦選手が出たように見えました。ショートの99.54はISU公認のパーソナルベスト。トータルの278.57はセカンドベストです。体調悪い、怪我、といったことがここ1年ほど目立っていて、今回も足が痛いようでしたが、その痛さが結果には繋がらず、表彰台を確保しました。

次戦は4戦目のNHK杯。鍵山優真選手との決戦。優勝すればファイナル確定。2位でも強い3位を今回手に入れたのでファイナルに進める可能性は結構あります。3位2つだと厳しくなりそうなので、何とか2位以内は死守したいNHK杯になります。

 

○島田高志郎選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 S   0.00   0.00 0.00  
2 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
3 3A+3T   12.20   1.26 13.46 1.667
4 3F!q F!|q 5.30   -2.65 2.65 -5.000
5 CCoSp4   3.50   0.45 3.95 1.333
6 StSq4   3.90   0.72 4.62 1.778
7 3A   8.80 x -2.51 6.29 -3.000
8 3Lz+1Eu+3S   11.77 x -0.08 11.69 -0.222
9 3Lo+2A+SEQ   9.02 x -0.35 8.67 -0.778
10 CSSp2   2.30   0.30 2.60 1.222
11 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
12 FCSp3   2.80   0.52 3.32 1.778
  TES   72.09   -6.02 66.07  

ジャンプがことごとく決まりませんでした。これだとさすがに点が出てこないです。GOEプラスのジャンプ要素は1つだけ。冒頭のサルコウは抜けてしまってジャンプにならず零点扱い。むしろ、これでよく技術点66点まで出たな、という出来でした。

演技としては2シーズン目の死の舞踏、流石にあってきているな、というのが見えていいのですが点が出ない。全然210点台の選手の演技ではないのですが、ジャンプだけでなくスピンも後半レベルが取れていませんし、上位で戦うのは難しいと思わざるを得ない試合でした。

それでも6位でポイントは確保。世界ランキングは29位にあがりました。もう1戦で上位に入り、シーズン後半にB級大会で優勝してポイントを確保すれば、世界ランキングをそれなりの順位で来期を迎えていけそうでもあります。シーズンベスト順位で24位に入るのも、女子と違って男子はジュニアで上位に来る選手が少ないので十分チャンスはある。次戦、フランス杯。チャンスはまだあります。一方で、全部3回転でもいいから、ノーミス死の舞踏みたいな、と思うプログラムなんだよなあ、と思う部分もあります。

 

○吉岡希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   -0.95 8.55 -1.000
2 2T   1.30   0.02 1.32 0.111
3 3F!+3T ! 9.50   -1.89 7.61 -3.667
4 3A   8.00   1.37 9.37 1.778
5 FSSp3   2.60   0.15 2.75 0.556
6 3A+1Eu+2S   10.78 x -0.80 9.98 -1.000
7 3Lo   5.39 x -1.75 3.64 -3.333
8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.25 10.37 0.222
9 ChSq1   3.00   0.14 3.14 0.111
10 StSq2   2.60   0.26 2.86 1.111
11 CCSp3   2.80   0.12 2.92 0.444
12 CCoSp2V   1.88   0.08 1.96 0.333
  TES   67.47   -3.00 64.47  

4回転1種類2本の構成でしたがトーループ2本目は2回転に。3連続のサルコウも2回転になって、基礎点が稼げませんでした。135.13はシニアに上がってからの国際大会ワーストです。今の力だとジャンプノーミスでやっと勝負になる、という立ち位置なので、4回転が2本そろわないとその時点でもう苦しいです。スピンステップもレベル4無し。フリーの順位は11位。残念な結果となりました。

グランプリシリーズはこのスケートアメリカのみ。今期のISU公認試合は実質的にこの試合だけになる確率が高いので、今大会はどうしても結果を出してほしい試合でした。215.92だとシーズンベスト順位も伸びません。吉岡選手の場合世界ランキングも低いので、これで来期は非常に苦しくなりました。あとは全日本一発でなんとか4大陸を掴むか、来期のチャレンジャーシリーズの券が得られるくらいの順位に入っていくか、というところへ希望をつなぐしかありません。

ジュニアの頃の、これ、ジャンプ以外はどうしたらいいんだ・・・、みたいなところから、シニアに上がってだいぶ滑りがよくなってきたと思うので、そこに期待したのですが、そこに練習で力を割き、さらに、今回は外しましたが、国内の試合では見せていた4回転ルッツの習得にも練習で時間を割いているとすると、他のジャンプの精度が下がってしまう、というようなところもあるのでしょうか。

次戦、東日本選手権はこのスケートアメリカ遠征により免除、グランプリは2戦目をもっていないので、全日本へ直行できますが、その前に小さなローカル大会を挟むかもしれません。

 

○ショートフリー合わせての要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Ilia MALININ 290.12 132.85 109.50 10.56 23.33 14.88
2 Kevin AYMOZ 282.88 137.34 87.32 17.51 25.36 15.35
3 Kao MIURA 278.67 129.20 100.67 14.02 22.45 12.33
4 Nika EGADZE 261.71 117.68 108.98 3.14 21.15 11.76
5 Deniss VASILJEVS 251.47 123.54 80.89 8.55 25.49 13.00
6 Koshiro SHIMADA 219.68 112.98 85.20 -9.73 21.30 12.93
7 Maxim NAUMOV 216.38 107.35 83.53 -6.45 20.31 11.64
8 Nozomu YOSHIOKA 215.92 106.80 82.78 -0.87 17.53 9.68
9 Wesley CHIU 206.94 103.51 72.28 -0.14 20.46 10.83
10 Lucas BROUSSARD 206.57 110.26 70.14 -0.43 17.18 11.42
11 Francois PITOT 202.96 107.30 72.22 -0.61 15.69 10.36
12 Donovan CARRILLO 195.80 107.03 71.67 -9.71 18.65 9.16

PCSはケビンエイモズ選手が137.34とただ一人9点平均を超えるスコアを出しました。2番目にマリニン選手、三浦選手も129.20と自己最高のPCSで3番目です。

ジャンプの基礎点はさすがにマリニン選手が1位ですが、エガーゼ選手もほぼ匹敵するスコアを出しています。三浦選手が3番目で3人が100点を超えました。エイモズ選手は87.32 それほど高い基礎点にはなっていません。

加点の方はエイモズ選手が1位で三浦選手が2位。マリニン選手は3番目ですがそれでも二桁あります。島田選手は10点近いマイナス。こうなるとどんな選手でも苦しいです。

スピンはバシリエフス選手が25.49で1位でした。25点台というのはかなり高めなスコアですが、バシリエフス選手としては過去に27.00まで出したこともありますし、平常運転です。エイモズ選手も25点台を出しました。

ステップ系要素はエイモズ選手が15.35で1位です。15点台に入ると高い水準と言えますが、エイモズ選手の場合は16点台も連発していましたので、15点台くらいだと本人比では普通だねくらいの位置になります。マリニン選手が14.88で2位。バシリエフス選手が13.00で3位でした。三浦選手はスピンステップでエイモズ選手と5.93差があります。この差が2位と3位を分けました。

 

深くは取り上げませんが、ペアでは三浦璃来木原龍一ペアが2シーズンぶりのグランプリシリーズ復帰で優勝しています。

 

次戦は2戦目スケートカナダです。男子は日本からは今季好調の佐藤駿選手、昨季のスケートカナダ優勝の山本草太選手がエントリー。海外勢では連戦のマリニン選手がいて、今期はグランプリにも出てくるジェイソンブラウン選手、実績十分なチャジュンファン選手あたりが出てきます。

女子は世界チャンピオンの坂本花織選手に、昨季ファイナルに進んだ吉田陽菜選手、昨季初戦3位なのに2戦目がなくファイナルのチャンスをもらえなかった松生理乃選手がエントリー。アメリカから復帰シーズンのアリサリウ選手に、連戦となるエリスリングレーシー選手、韓国のキムイェリム選手といったあたりがいます。