ワルシャワカップ 初めまして

チャレンジャーシリーズ9戦目、ワルシャワカップが行われました。この時期のチャレンジャーシリーズは、まさにチャレンジャーの位置、グランプリシリーズの少し下という格の選手が多いわけですが、今回はまさに、チャレンジャーな立場からの活躍が見られました。

 

○女子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Katherine MEDLAND SPENCE CAN 181.89 60.03 121.86
2 Ekaterina KURAKOVA POL 171.08 57.87 113.21
3 Marina PIREDDA ITA 168.92 56.66 112.26
4 Lorine SCHILD FRA 167.75 58.02 109.73
5 Anna PEZZETTA ITA 167.38 57.96 109.42
6 Livia KAISER SUI 166.89 56.98 109.91
7 Kaiya RUITER CAN 165.75 50.71 115.04
8 Lea SERNA FRA 161.34 56.85 104.49
9 Eva-Lotta KIIBUS EST 154.63 55.90 98.73
10 Ema DOBOSZOVA SVK 148.00 55.73 92.27
11 Jogaile AGLINSKYTE LTU 147.94 51.12 96.82
12 Clare SEO USA 147.70 52.45 95.25

カナダのキャサリンメドランドスペンス選手がチャレンジャーシリーズ初出場で初優勝を果たしました。国際大会も昨季のクランベリーインターナショナルに次いで2戦目。失礼ながら、どなたですか? といったくらい認識が無かった選手なのですが、ショートフリー共にノーミスで1位。驚きの優勝でした。

2位はクラコワ選手。ショート4位、50点台後半に大混戦という展開だったのですが、フリーは意地のキャッツで2位を確保しました。ミスはどうしても目立ってしまう演技ではありましたが、「母国」ポーランドで愛されているなあ、というのを感じられる試合ではありました。次戦はおそらく近隣4カ国合同ナショナル、フォーナショナルズに出場するはずです。

3位にはピレッダ選手が入りました。チャレンジャーシリーズ初表彰台です。過去に国別対抗戦で180.55というスコアを出したことがありますが、それを除くとISU公認のベストスコアとなりました。これでイタリア勢の中で今期シーズンベスト3位。2位とは0.52差。2枠あるヨーロッパ選手権の代表争いに加わってきています。

 

○キャサリンメドランドスペンス選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz   5.90   0.94 6.84 1.571
2 3Lo+2A+2T+SEQ   9.50   -0.49 9.01 -1.000
3 3F   5.30   0.85 6.15 1.571
4 FSSp4   3.00   0.48 3.48 1.714
5 3S   4.30   0.43 4.73 1.000
6 2A+3T   8.25 x -0.76 7.49 -1.857
7 3T+2T   6.05 x 0.67 6.72 1.571
8 CCoSp3   3.00   0.48 3.48 1.714
9 StSq2   2.60   0.42 3.02 1.714
10 ChSq1   3.00   0.90 3.90 1.714
11 3Lo   5.39 x 0.69 6.08 1.286
12 FCCoSp3   3.00   0.42 3.42 1.429
  TES   59.29   5.03 64.32  

2回飛ぶジャンプはループとトーループ。スピンは1つレベル4 ステップはレベル2 大きなミスなく滑って基礎点59.29です。スピンステップオールレベル4なら2.30基礎点上がって61.59になります。ノーミス基礎点は高難度ジャンプが無い前提でも決して高くはありません。フリーに3-3はありませんが、ショートではトーループトーループで3回転3回転を飛んでいます。

今回はショートもフリーもしっかり着実に滑って180点台に乗せた、という試合でした。正直なところ、超新星、と言うほどのインパクトはないのですが、これが驚きなのは国際大会2戦目ということ。ジュニアで国際大会2戦目というならこれくらいいるのですが、スペンス選手は2000年8月5日生まれの24歳。昨年23歳にして初めて国際大会に出場し、24歳で初めてISU公認大会に出たということになります。昨季のカナダナショナルは13位。こういった選手がこの年齢になって国際大会に出てくるというのは驚きです。

これで今期のカナダ勢の中でシーズンベストは2位となっています。ナショナル次第ではありますが、4大陸選手権の代表に近づいたように感じられます。23歳で初国際大会というのは、日本で言えば大学4年生までは全く結果が出ず、B級大会含め国際大会に出ることはなかった選手が、社会人になって初国際大会、というのに相当します。大学4年で引退していく選手が多い中、ある意味でうらやましい環境だな、と思います。

 

○男子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Vladimir SAMOILOV POL 233.02 84.94 148.08
2 Gabriele FRANGIPANI ITA 219.94 78.47 141.47
3 Ivan SHMURATKO UKR 215.74 78.28 137.46
4 Kornel WITKOWSKI POL 211.05 70.80 140.25
5 Kyrylo MARSAK UKR 205.38 64.72 140.66
6 Luc ECONOMIDES FRA 204.02 76.03 127.99
7 Maurizio ZANDRON AUT 201.61 65.88 135.73
8 Maxim NAUMOV USA 193.69 75.77 117.92
9 Lukas VACLAVIK SVK 190.87 63.31 127.56
10 Matteo NALBONE ITA 187.24 64.20 123.04
11 Valtter VIRTANEN FIN 185.53 62.37 123.16
12 Jakub LOFEK POL 178.57 59.87 118.70

男子はポーランド国籍のウラジミールサモイロフ選手が優勝しました。チャレンジャーシリーズ初優勝となります。

2位にはイタリアのフランジパーニ選手が入りました。今期はグランプリシリーズ2戦に出て6位と10位。その前のネーベルホルン杯では246.11を出していたのが、シーズン進むにしたがってスコアが下がってきてしまっています。次はイタリアナショナルと思われますが、ヨーロッパ選手権の代表になれるかどうか、今期の実績的には微妙な状況になってきています。

ウクライナのシュムラトコ選手が3位。チャレンジャーシリーズ初表彰台となります。国が大変な状態な中滑り続けています。昨季はヨーロッパ選手権14位、世界選手権33位。今期もチャンピオンシップで姿を見せてくれることを期待したいですが、ウクライナには今大会で5位に入ったキリロマルサック選手もいて、代表1枠を争う形になっています。

 

○ウラジミールサモイロフ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lz F 11.50   -5.52 5.98 -4.714
2 2S   1.30   0.05 1.35 0.429
3 3A   8.00   1.44 9.44 1.714
4 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.857
5 CCSp4   3.20   0.51 3.71 1.571
6 3F+3T   10.45 x 0.74 11.19 1.429
7 3Lz+3T   11.11 x 0.83 11.94 1.286
8 3F+1Eu+3S   11.11 x -0.42 10.69 -0.857
9 SSp* * 0.00   0.00 0.00  
10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.857
11 StSq4   3.90   0.86 4.76 2.143
12 CCoSp3   3.00   0.72 3.72 2.429
  TES   71.47   1.19 72.66  

前週のフィンランディア杯で決めた4回転ルッツですが今回は転倒となりました。4回転サルコウはショートで決めたもののフリーは2回転になり不発。以降はトリプルアクセル1本構成ですが、3回転のジャンプをしっかり決めていきました。ただし、シットスピンがノーバリューになっています。おそらくフライングシットスピンをするはずでした。

サモイロフ選手は17-18シーズンまではロシアの代表として国際大会に出場し、19-20シーズンまではロシアナショナルに出場していましたが、国際大会に出られなくなったことによるのかポーランドへ移籍し、21-22シーズンから国際大会に復帰してきています。

今大会の233.02はパーソナルベストです。これまで世界選手権には21年から3年連続出場。27位、33位、31位と、まだフリーへ進めていません。今回のショートのように84.94まで出してくれば、問題なくショートは通過できるはずです。

 

チャレンジャーシリーズも今期は残り1戦となりました。毎年定番、グランプリファイナルの真裏でのゴールデンスピンを残すのみです。男子はグラスル選手がエントリーしていますが、ファイナルに残りましたのでおそらく外れるでしょう。他にはエガーゼ選手にブリッチギー選手、シャイドロフ選手にリッツォ選手にメモラ選手がいます。エントリー通り出てくるかは不明です。女子はスイスのレポンド選手とカイザー選手、また、アリサリウ選手やテネル選手にピンツァローネ選手、さらにヘンドリックス選手のエントリーが見られます。こちらもどこまで本当に出てくるかはわかりません。