シーズン中盤の山場、グランプリファイナルが行われました。なんかすごいものを見た、という気分半分、もう少し全体の要素の出来が良い試合を見たかったという気分半分。何とも複雑な気分になる試合でした。
○男子シングル
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Ilia MALININ | USA | 292.12 | 105.43 | 186.69 |
2 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 281.78 | 93.49 | 188.29 |
3 | Shun SATO | JPN | 270.82 | 86.28 | 184.54 |
4 | Daniel GRASSL | ITA | 254.96 | 81.76 | 173.20 |
5 | Mikhail SHAIDOROV | KAZ | 253.75 | 91.26 | 162.49 |
6 | Kevin AYMOZ | FRA | 238.63 | 68.82 | 169.81 |
マリニン選手2連覇。ショートで大きなリードがありましたので、フリーはある種余裕のある状態だったのですが、余裕があるからこその無理のある構成を組めた、と言うようにも見えました。
鍵山優真選手が2位。ショートフリー共にミスが出まして、ちょっとマリニン選手と勝負するには難しい展開となりました。とはいえ日本勢トップのスコア・順位であることにはかわりありません。
佐藤駿選手がグランプリファイナル初表彰台となりました。こちらもショートフリー共にミスが出ていましたが、地力があるので他のメンバーとの相対比較で表彰台に残った、という形になりました。
2シーズンぶりのファイナルのグラスル選手は4位。転倒無く安定した演技に特にフリーは一見見えたのですが、ショートフリー共に4回転のルッツとループがアンダーローテーション。また、独創的なスピンでも知られる選手ですが、レベルが案外取れていない、というのもあってそちらの方もスコアは意外と稼げず、表彰台には届きませんでした。次戦は全日本と同じ週にあるイタリア選手権を経て、今期の実績を考えれば、ヨーロッパ選手権の代表、世界選手権の代表となっていくかと思われます。今大会ではヨーロッパ勢最高位ということで、ヨーロッパ選手権では優勝候補、初優勝を目指すことになりそうです。
繰上りで出場権を得たシャイドロフ選手は5位でした。ショート3位から、フリーは179.57以上で表彰台が決まる、というシチュエーションで冒頭の4回転ルッツを転倒。もう後がない、という場面でしたが3A+1Eu+4Sというトンでも3連続を入れてきてしっかり着氷したのは非常に印象的でした。ただ、以降のジャンプでも回転不足が目立った結果、スコアは伸びてこずに5位となっています。カザフスタンのナショナルっていつなんだろう? というのはちょっと確認できていないのですが、出るにしても出ないにしても、その後4大陸選手権に出てくる可能性は極めて高いと思いますが、その前にアジア大会も権利はあるはずですし、さらにその前のワールドユニバーシティゲームズも権利はあるはずです。
地元のケビンエイモズ選手は6位でした。ジャンプはうまくいかず、昨シーズンと同じような展開を今シーズンもここまでしてきてしまっているようにも感じますが、今回はフリーで何とかまずまずまで立て直しました。ジャンプの選手じゃない、他で十分魅せられる選手だ、というのは確かなのですが、ジャンプも揃えた姿を見たい、とやはりどうしても思います。次戦は全日本と同じ週にあるフランスのナショナルに出て、ヨーロッパ選手権へ向かうのではないかと思われます。
○イリアマリニン選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 4Fq | q | 11.00 | -1.41 | 9.59 | -1.333 | |
2 | 4Aq | q | 12.50 | -0.36 | 12.14 | 0.000 | |
3 | 4Lz< | F< | 9.20 | -4.60 | 4.60 | -5.000 | |
4 | 4Lo< | < | 8.40 | -1.56 | 6.84 | -1.889 | |
5 | CCoSp4 | 3.50 | 1.05 | 4.55 | 3.000 | ||
6 | 4Lz<+1Eu+3S | < | 15.40 | x | -1.97 | 13.43 | -2.000 |
7 | 4Tq+3T | q | 15.07 | x | -0.68 | 14.39 | -0.667 |
8 | 4Sq+3A+SEQ | q | 19.47 | x | -0.55 | 18.92 | -0.556 |
9 | CCSp4 | 3.20 | 0.73 | 3.93 | 2.333 | ||
10 | StSq3 | 3.30 | 0.94 | 4.24 | 3.000 | ||
11 | ChSq1 | 3.00 | 2.21 | 5.21 | 4.333 | ||
12 | FSSp3 | 2.60 | 0.41 | 3.01 | 1.667 | ||
TES | 106.64 | -5.79 | 100.85 |
驚異の4回転6種類7本構成です。さすがに無理があって転倒あり、アンダーローテーションあり、そうでなくてもqがついて、回転十分判定のジャンプはありませんでした。それでも基礎点106.64は今シーズンのダントツの1位の基礎点です。スピンレベル3ステップレベル3もありますが、それもレベル4にしつつ、ジャンプの回転不足が無くなった、ノーミス基礎点は114.57となります。今期のマリニン選手以外の最高基礎点は中国杯のシャイドロフ選手の95.75です。基礎点段階でこれだけ差が付きます。
流石に今回は、難しい技発表会という装いになっていて、演技としては今ひとつ感がありましたが、それにしてもここまで来るととんでもない構成です。ここからさらに基礎点上げる方法としては、トリプルアクセルがまだ余りますので、3連続を4S+3A+3Aにしていく、というようなこともできますが、まだいまの段階では、安定度をもう少し上げる方を優先した方が点はおそらく出るでしょう。
というわけで、スコア的には今シーズンは人間界に留まっていますが、構成は人外の領域に飛んでいきました。逆説的には、スコアとしてはまだ戦える範囲内にいるわけですが、こんなもの見せられると、まわりの選手はそんな気分にはならないでしょう。
次戦は、権利的にはワールドユニバーシティゲームズ出られますが・・・、さすがにどうなんだということで、全米選手権になっていくかと思います。4大陸選手権はタイトルとして持っていないですが、出場経験もないので、出てくるかどうかわからないです。
○鍵山優真選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 4F | 11.00 | 2.20 | 13.20 | 2.000 | ||
2 | 2S | 1.30 | 0.07 | 1.37 | 0.667 | ||
3 | 4T+3T | 13.70 | 2.85 | 16.55 | 3.000 | ||
4 | 3A+1Eu+3S | 12.80 | 2.06 | 14.86 | 2.444 | ||
5 | FCSSp4 | 3.00 | 0.86 | 3.86 | 2.889 | ||
6 | 4T | 10.45 | x | 2.71 | 13.16 | 2.889 | |
7 | 3A | 8.80 | x | 2.40 | 11.20 | 3.111 | |
8 | 3F+2Lo | 7.70 | x | -0.68 | 7.02 | -1.222 | |
9 | StSq2 | 2.60 | 1.19 | 3.79 | 4.556 | ||
10 | ChSq1 | 3.00 | 1.64 | 4.64 | 3.222 | ||
11 | CCoSp3 | 3.00 | 0.86 | 3.86 | 2.778 | ||
12 | FCCoSp3 | 3.00 | 0.94 | 3.94 | 3.111 | ||
TES | 80.35 | 17.10 | 97.45 |
4回転3種類4本構成。フリップは成功しましたがサルコウが2回転になりました。4回転サルコウは鍵山選手にとっては極めて特異な要素で、歴代の4回転サルコウを見ても±5評価になって以降、全選手中最高評価を鍵山選手が受けています。それが今回はショートフリーともに成功しませんでした。結果的には4回転サルコウをショートフリー共に決めていれば優勝していました。まあ、仮にそれで勝ったとしても、セブンクワッド未遂を見てしまうと勝った気はしなかったとは思いますけれど。
また、フリーは最後のジャンプでセカンドループなのですが、これも3回転になるはずでした。サルコウとこのループ決めていればやはり計算上は優勝です。それにしてもそのあとのステップやスピンもレベルが取れておらず、ちょっとどうしちゃったのかな? というフリー後半でもありました。レベル判定最近厳しいは厳しいですが、それにしてもというところではあります
とかなんとか言いながらも、しっかり2位に入って日本人最上位です。これで代表選考では全項目で最上位。世界選手権の代表入りはほぼ間違いないかと思います。次は、全日本初優勝を目指すこととなります。
○佐藤駿選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 4Lz | 11.50 | 2.46 | 13.96 | 2.111 | ||
2 | 4F!< | F!|< | 8.80 | -4.40 | 4.40 | -5.000 | |
3 | 4T+3T | 13.70 | 2.58 | 16.28 | 2.667 | ||
4 | FCSp3 | 2.80 | 0.56 | 3.36 | 2.000 | ||
5 | 4T | 9.50 | 2.99 | 12.49 | 3.111 | ||
6 | 3A+1Eu+3S | 14.08 | x | 2.17 | 16.25 | 2.667 | |
7 | 3A+2A+SEQ | 12.43 | x | 1.37 | 13.80 | 1.667 | |
8 | 3Lo | 5.39 | x | 1.19 | 6.58 | 2.444 | |
9 | CSSp3 | 2.60 | 0.48 | 3.08 | 1.556 | ||
10 | StSq3 | 3.30 | 0.90 | 4.20 | 2.667 | ||
11 | ChSq1 | 3.00 | 1.14 | 4.14 | 2.333 | ||
12 | CCoSp4 | 3.50 | 0.85 | 4.35 | 2.444 | ||
TES | 90.60 | 12.29 | 102.89 |
練習では苦労していたという4回転ルッツを成功。一方、4回転フリップは転倒となりました。トーループ2本は成功です。基礎点90.60は自身2番目の値。技術点102.89は自己最高スコアでした。フリーの技術点はマリニン選手も上回って1位です。あまりうれしくないでしょうけれど。
グランプリファイナル初表彰台となりました。ファイナル3位は意外とシーズン後半に苦労する、という印象を勝手に持っているのですが佐藤選手はどうなっていくでしょうか?
これで佐藤選手は2試合連続で270点台です。スケートカナダは260点台になりましたがその前のロンバルディア杯では285点まで出しています。悪くても260点台、270点台もうれしくない、そういう水準になってきました。今回270点台ですが、ショートもフリーもミスがあってのこのスコアです。代表選考基準では全項目で鍵山選手に次ぐ2番目。世界選手権の初代表選手の可能性はかなり高くなってきているように見えます。今の状態からすると、代表選考発表をじりじりしながら待たずに、ノーミスすれば全日本の初優勝即内定、というコースもありそうに感じます。
○ショートフリー合わせた要素別のスコア
Pl | Name | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
1 | Ilia MALININ | 292.12 | 133.20 | 127.31 | -5.17 | 23.57 | 14.21 |
2 | Yuma KAGIYAMA | 281.78 | 134.91 | 97.95 | 12.92 | 23.05 | 13.95 |
3 | Shun SATO | 270.82 | 124.16 | 107.10 | 7.72 | 21.21 | 12.63 |
4 | Daniel GRASSL | 254.96 | 120.40 | 102.66 | -0.48 | 21.27 | 12.11 |
5 | Mikhail SHAIDOROV | 253.75 | 117.03 | 107.48 | 2.47 | 18.12 | 10.65 |
6 | Kevin AYMOZ | 238.63 | 127.64 | 78.43 | -5.67 | 25.00 | 15.23 |
PCSは鍵山選手がマリニン選手を上回りましたがその差はわずかです。もう、マリニン選手にPCSで稼いでジャンプの差を補う戦略は通用しなくなってきています。佐藤選手は124.16で1項目平均は8点台前半です。もう少し欲しいでしょうか。総合得点で10点以上差がありますが、技術点は佐藤選手の方が鍵山選手より上です。PCS差をもう少し詰めないと頂点を狙うにはちょっと辛いです。この辺はシャイドロフ選手やグラスル選手も同様になります。
ジャンプの基礎点は多少回転不足を取られようと、あれだけの構成があればマリニン選手が突出します。シャイドロフ選手でも20点差が付きました。佐藤選手も107点台。鍵山選手は97点台でマリニン選手から30点差がついています。サルコウが2回転になったりミスがあってのこの差ですので、ノーミスならもう少し詰まります。
加点の方は鍵山選手が最高でただ一人二桁もらいました。ただ、いい時は20点超える選手ですので、あまりよかったとはいいがたいです。マリニン選手はマイナス評価。全4回転がq以上の回転不足となるとこうなります。ジャンプのスコアとしてはマリニン選手と佐藤選手で7.32差ですので、印象ほどは遠くないです。
スピンはエイモズ選手が25点出して1位でした。このあたりはさすがです。シャイドロフ選手はもう少し頑張りましょうな18.12 ショートフリー共に足替えのシットスピンがレベル1 レベル1はさすがに珍しいですが、スピンは今シーズンも17点台がありましたし、もう少し何とかしたい要素です。
ステップ系要素もエイモズ選手が15.23で1位です。やはりこのあたりは素晴らしい。マリニン選手が14.21で2番目で、鍵山選手は3番目。鍵山選手はスピンもステップもマリニン選手を下回ってしまっています。この2つはせめて上回っておきたいところかと思います。シャイドロフ選手は10.65 ここももう少し頑張りましょう、という要素になっています。
○女子シングル
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Amber GLENN | USA | 212.07 | 70.04 | 142.03 |
2 | Mone CHIBA | JPN | 208.85 | 69.33 | 139.52 |
3 | Kaori SAKAMOTO | JPN | 201.13 | 63.98 | 137.15 |
4 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 195.96 | 61.61 | 134.35 |
5 | Hana YOSHIDA | JPN | 194.02 | 64.23 | 129.79 |
6 | Rino MATSUIKE | JPN | 189.02 | 62.63 | 126.39 |
5vs1の日米決戦。勝ったのは1の方のアンバーグレン選手でした。グランプリファイナルは初出場初優勝。25歳のグランプリファイナル制覇となりました。
2位には千葉百音選手が入りました。プチ全日本優勝、みたいな状況ですが、これでグランプリ2戦に続いて3戦連続2位という形にもなっています。
連覇を狙った坂本花織選手は3位。ショートの出遅れも響きましたがフリーのスコアも3位です。今回は力負け、というような試合になりました。
7年ぶりのグランプリファイナル、樋口新葉選手は4位でした。こちらもショートの転倒が痛い展開で、フリーはしっかり滑ってよかったのですが1番滑走なこともありPCSが伸ばせず。初のファイナル表彰台には手が届きませんでした。
昨季のファイナルで3位に入っていた吉田陽菜選手は5位でした。ショート3位から、2期連続の表彰台を狙ったフリー冒頭のトリプルアクセルはオーバーターンにはなりつつも着氷。ただ、q判定で5.71ポイント。もう少し欲しかったですがこれでもおつりは来る出来です。以降、ジャンプは降りて行って大きなミスは見られなかったのですが、全体的に加点が取れる要素が少なく、狙ったほどのスコアは得られませんでした。
ファイナル初出場の松生理乃選手は6位。松生選手もショートの転倒が痛く、フリーはジャンプの回転判定の厳しさに苦しんで、こちらもスコアは印象ほどは伸びない形となりました。
○アンバーグレン選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3A | 8.00 | 1.83 | 9.83 | 2.333 | ||
2 | 3F+3T | 9.50 | 1.21 | 10.71 | 2.222 | ||
3 | 3Lz+2T | 7.20 | 1.18 | 8.38 | 1.889 | ||
4 | 2S | 1.30 | 0.07 | 1.37 | 0.556 | ||
5 | FSSp4 | 3.00 | 0.13 | 3.13 | 0.444 | ||
6 | 3Lo+2A+2A+SEQ | 12.65 | x | 0.77 | 13.42 | 1.556 | |
7 | 3Fq | q | 5.83 | x | -1.29 | 4.54 | -2.444 |
8 | CCoSp2 | 2.50 | 0.68 | 3.18 | 2.667 | ||
9 | 3Lo | 5.39 | x | 1.26 | 6.65 | 2.556 | |
10 | StSq3 | 3.30 | 0.75 | 4.05 | 2.222 | ||
11 | ChSq1 | 3.00 | 1.21 | 4.21 | 2.444 | ||
12 | LSp4 | 2.70 | 0.62 | 3.32 | 2.333 | ||
TES | 64.37 | 8.42 | 72.79 |
トリプルアクセル成功。25歳1か月でのISU公認成功は史上2位。来年、4大陸選手権以降に成功させれば、浅田真央さんの25歳2か月を上回って、史上1位となります。この年齢でトリプルアクセルを決めていくのは歴史的に見てすごいことです。
サルコウが2回転になったところでアクセル貯金は吐き出した形にはなりましたが、今大会の厳しめな回転判定の中で、アンダーローテーションは無く、q判定も1つで抑えました。後半、スピンがレベル2になったり、疲れも見えましたが逃げ切り優勝です。
グレン選手のトリプルアクセル成功率はもう異常なレベルです。昨季から転倒無し。アンダーローテーションもありません。q判定も今期の中国杯ショートの1度だけ。驚異的な成功率です。
これで今期は4戦して4戦とも210点台となりました。昨季はトリプルアクセル決まるのだけど中盤以降のジャンプが全然決まらず、一番確立いいジャンプがトリプルアクセルというおかしなことになっていましたが、今期はそれも無く、他のジャンプも決まることで安定して高得点を叩きだしています。
今期は4戦4勝で、4大陸に出てくるかわかりませんが、出てくれば普通に優勝候補。世界選手権も優勝候補筆頭とも言える状態です。力はあるはずなんだけど試合での出来がね・・・、と言われ続けたグレン選手。国際大会の初優勝も今期のロンバルディア杯で、それ以前はジュニア時代も含め優勝がありませんでした。いきなりの大ブレイク。世界選手権は25歳と24歳の対決、となるのでしょうか。
○千葉百音選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3F+3T | 9.50 | 1.44 | 10.94 | 2.778 | ||
2 | 3S | 4.30 | 1.11 | 5.41 | 2.556 | ||
3 | 3Loq | q | 4.90 | -2.24 | 2.66 | -4.444 | |
4 | 2A | 3.30 | 0.75 | 4.05 | 2.222 | ||
5 | ChSq1 | 3.00 | 1.50 | 4.50 | 2.889 | ||
6 | FCCoSp4 | 3.50 | 0.85 | 4.35 | 2.444 | ||
7 | 3Lz!+2A+SEQ | ! | 10.12 | x | 0.25 | 10.37 | 0.444 |
8 | 3Lz!+2T+2Lo | ! | 9.79 | x | -0.17 | 9.62 | -0.222 |
9 | 3F | 5.83 | x | 0.45 | 6.28 | 0.889 | |
10 | StSq4 | 3.90 | 1.06 | 4.96 | 2.667 | ||
11 | LSp4 | 2.70 | 1.08 | 3.78 | 4.000 | ||
12 | CCoSp4 | 3.50 | 1.20 | 4.70 | 3.444 | ||
TES | 64.34 | 7.28 | 71.62 |
アンダーローテーションなし、抜け2回転無し、スピンステップオールレベル4 基礎点満額取って64.34入りました。さすがの安定感。中国杯に続いて2戦連続、予定基礎点満額確保です。
危なかったのはトリプルループ。優勝したグレン選手との点差は3.22 このループで5.88取れていれば結果的には優勝出来ていました。中国杯ではこのループで6.16取っていましたので、この、わずかに見えたループのミスが優勝を逃した要因、ともなりました。ルッツの!はずっと課題。これも中国杯に続いて2戦連続、ショートフリー3つのルッツすべてで!判定もらっています。フリップはジュニア以降で!が付いたことありません。フリップの方が比較的得意という選手です。
グランプリファイナルは日本勢最高位となりました。シーズンベスト順位は日本勢2位。世界ランキングは日本勢3位、シーズンランクは日本勢1位、2試合平均は日本勢2位。全日本の結果以外はすべて世界選手権の選考基準に乗ってくることになりました。全日本で表彰台に乗れば代表当選、4位や5位でも高確率で代表に選ばれる位置にいるように見えます。それよりも、全日本は初優勝の可能性も感じられる今シーズンの展開にもなっています。
○坂本花織選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 2A | 3.30 | 1.32 | 4.62 | 4.111 | ||
2 | 3Lz | 5.90 | 0.67 | 6.57 | 1.111 | ||
3 | 2A+1Eu+3S | 8.10 | 1.60 | 9.70 | 3.667 | ||
4 | CCoSp4V | 2.63 | 0.49 | 3.12 | 1.889 | ||
5 | 3F | 5.30 | -0.08 | 5.22 | 0.000 | ||
6 | StSq4 | 3.90 | 1.11 | 5.01 | 2.778 | ||
7 | FSSp4 | 3.00 | 0.73 | 3.73 | 2.556 | ||
8 | 3F+3T< | < | 9.53 | x | -0.23 | 9.30 | -0.556 |
9 | ChSq1 | 3.00 | 1.43 | 4.43 | 2.889 | ||
10 | 3Lz!<+2T | !|< | 6.62 | x | -1.15 | 5.47 | -2.333 |
11 | 3Lo< | < | 4.31 | x | 0.17 | 4.48 | 0.556 |
12 | FCCoSp4 | 3.50 | 0.95 | 4.45 | 2.778 | ||
TES | 59.09 | 7.01 | 66.10 |
目立ったミスなく耐えたように見えたのだけど、判定的にはスピンにVが付いたのに始まり、後半のジャンプはすべてアンダーローテーションが付いた結果となり、スコア伸びませんでした。
NHK杯ではさすが、という演技を見せたのですが、今期は他の試合はいまいちな姿を見せています。まあ、元々、ミスパーフェクト、みたいなキャラではなかったですし、割と苦しむ姿を見せつつ、おどけつつ、最後には勝つ、というのがチャンピオンになってからも維持している姿なので、こういうこともあるのだろうなあ、とは思います。とはいえ24歳になりまして、年齢的にも本人も気にしていますが、そろそろつらくなってきているのかなあ、と思ったりもしますが、でも、優勝したの25歳ですが何か? みたいなことにもなっていて、年齢を言い訳にはできません、というのを優勝者に示された形です。
うまくいかなくても今回も日本勢の中で2番目ではあります。他の代表選考基準も上位にありますので、世界選手権代表は問題ないでしょう。アジア大会出るようなので4大陸どうするかはわかりませんけれど。4連覇のかかる全日本でどんな姿を見せてくれるでしょうか。
○ショートフリー合わせた要素別のスコア
Pl | Name | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
1 | Amber GLENN | 212.07 | 102.26 | 72.76 | 3.22 | 20.50 | 13.33 |
2 | Mone CHIBA | 208.85 | 100.57 | 66.97 | 2.60 | 24.96 | 13.75 |
3 | Kaori SAKAMOTO | 201.13 | 105.24 | 60.62 | 1.21 | 21.14 | 13.92 |
4 | Wakaba HIGUCHI | 195.96 | 98.62 | 58.89 | 3.73 | 21.33 | 14.39 |
5 | Hana YOSHIDA | 194.02 | 96.09 | 68.69 | -6.40 | 22.34 | 13.30 |
6 | Rino MATSUIKE | 189.02 | 95.38 | 57.54 | 0.10 | 23.00 | 14.00 |
PCSは坂本選手が105点到達。1項目平均8点台後半まで出しています。グレン選手の102.26は過去最高です。千葉選手も100点到達。ただ、グランプリ2戦は101点台ですので、もうこれが定常運転だったりします。坂本選手はPCSで稼ぎましたが、技術点の方は5位でした。
ジャンプの基礎点はトリプルアクセル2本決めたグレン選手が1位です。アクセル基礎点満額もらった吉田陽菜選手が2番目。ショートでコンビネーション入らなかった樋口選手や、ショートでダウングレードあった松生選手は基礎点が伸びていません。
加点の方は今回は5選手がプラスですが、大きな加点はありませんでした。何とか耐えきったというような試合展開。それでもプラスを確保する選手がほとんどなのがさすがファイナルです。そんな中で吉田選手はショートフリーで跳んだルッツフリップ4本すべてに!が付き、さらにqも4つということで、基礎点は高く確保したものの加点は大きなマイナスという構図になりました。3位から6位はこの辺のジャンプの判定がどうか、という差なので、12点ほどありますが紙一重だったとも言えそうです。
スピンは千葉選手が24.96で1位。シニアに上がってからの本人最高ですが、今年、4大陸選手権以降すべて24点台ですので、極端に良かったわけでもないです。今シーズンのスピンレベル4率は100%となっています。坂本選手はCCoSpがショートフリー共にレベル4ながらVが付きました。全日本前にチェックが必要な要素となっています。
ステップ系要素は樋口選手が14.39で1位です。樋口選手は今期のフリーはコレオ中盤型で、コレオの評価がいまいち伸びていないのですが、終盤のステップの評価は高いものを得ています。
男女ともアメリカ勢が優勝。シングルでこれだと、オリンピックの団体戦はアメリカ金メダルが濃厚だな、日本はこれだと届かないかな、というような感想もありました。3位はイタリアかな、グットマン選手伸びると日本の2位も危ないぞ、とも思ったりもします。
それにしてもセブンクワッド未遂はいつか来るとは思っていましたが、ここで来るとは驚きでした。シャイドロフ選手の3連4サルコウがすっかりかすんでしまいました。ただ、スコアとしては人間界に今シーズンは留まっているので、このままなら世界選手権はまだまだわからないように感じます。
女子は、ロシア退出後、出来栄え派全盛だったのですが、今回、トリプルアクセルを引っ提げたグレン選手が勝ちました。坂本選手は次のオリンピックの時点での年齢がそろそろ心配と思っていたら、年上のグレン選手が高難度ジャンプで追い越していったという2年前には考えられなかった展開です。
ここから各国ナショナルを経てチャンピオンシップへ、なのですが今シーズンはワールドユニバーシティゲームズもあり、アジア大会まであります。まずは各選手、代表選考、ナショナルでの健闘を祈ります。