ジュニアに続いて、シニアのグランプリファイナル展望です。今回はシニアの男子です。ジュニアの時と同じように、今期の成績、技術点シーズンベストのショート、フリーの構成、各要素のスコア、と並べていきます。
○今季の成績
| Event | Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
| Skate Canada | 1 | Ilia MALININ | USA | 333.81 | 104.84 | 228.97 |
| Grand Prix de France | 1 | Ilia MALININ | USA | 321.00 | 105.22 | 215.78 |
| Lombardia Trophy | 1 | Ilia MALININ | USA | 306.65 | 108.87 | 197.78 |
| NHK Trophy | 1 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 287.24 | 98.58 | 188.66 |
| Lombardia Trophy | 2 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 285.91 | 95.44 | 190.47 |
| NHK Trophy | 2 | Shun SATO | JPN | 285.71 | 96.67 | 189.04 |
| Denis Ten Memorial | 1 | Mikhail SHAIDOROV | KAZ | 282.22 | 95.01 | 187.21 |
| Grand Prix de France | 2 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 280.95 | 84.87 | 196.08 |
| Cup of China | 1 | Shun SATO | JPN | 278.12 | 94.13 | 183.99 |
| Finlandia Trophy | 1 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 270.45 | 88.16 | 182.29 |
| Cup of China | 2 | Daniel GRASSL | ITA | 269.43 | 90.42 | 179.01 |
| Cup of China | 3 | Mikhail SHAIDOROV | KAZ | 262.67 | 88.33 | 174.34 |
| Finlandia Trophy | 2 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 256.98 | 92.50 | 164.48 |
| Lombardia Trophy | 4 | Shun SATO | JPN | 254.14 | 78.06 | 176.08 |
| Trophee Metropole Nice Coat d'Azure | 1 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 254.11 | 97.62 | 156.49 |
| Skate America | 2 | Mikhail SHAIDOROV | KAZ | 251.09 | 89.67 | 161.42 |
| Lombardia Trophy | 5 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 244.36 | 86.06 | 158.30 |
| Nepela Memorial | 3 | Daniel GRASSL | ITA | 241.81 | 85.89 | 155.92 |
| Skate America | 5 | Daniel GRASSL | ITA | 236.44 | 83.68 | 152.76 |
男子シングルは、もうはっきりしていて、マリニン選手が明らかに強いです。今期3戦、すべて300点超え。シーズンワーストが他選手のシーズンベストを大きく上回る、という形になっています。ショートだけ、フリーだけを見ても、マリニン選手のシーズンワーストが、他選手のシーズンベストを上回ります。
2番手に鍵山優真選手がいます。今期は280点台後半がベストです。フィンランディア杯では崩れて270点ほどになりました。このスコアだと表彰台に乗れない可能性はありますが、しっかり滑った場合は2番目に来る、という位置です。ただし、280点台に、佐藤駿選手、ミハイルシャイドロフ選手、アダムシャオイムファ選手、といますので、2位に入るのも表彰台に乗るのも簡単ではありません。
佐藤駿選手はセカンドベストも270点台後半あります。グランプリ2戦は安定していました。今期も表彰台候補。
シャイドロフ選手のシーズンベストはチャレンジャーシリーズのデニステンメモリアル。以降、スコアを下げて行っているのは気になります。
アダムシャオイムファ選手も地元フランスの試合で280点に乗せましたが、フィンランディアではスコア伸びていません。どこまでファイナルに合わせてくるか?
グラスル選手はシーズンベストは269点に留まります。あまり調子は上がっていない印象です。
○今期技術点ベストのショートプログラムの構成
| Ilia MALININ | Yuma KAGIYAMA | Shun SATO | Mikhail SHAIDOROV | Adam SIAO HIM FA | Daniel GRASSL | |
| 1 | 4F | 4T+3T | 4Lzq | 4Lz+3T | 4Lz | 4Lzq+3T |
| 2 | 3A | 4S | 4T+3T | 3A | 3A | 4Lo |
| 3 | CCSp4 | CCSp | CSSp3 | CCoSp4 | 4T+3T | 3A |
| 4 | 4Lz+3T | 3A | FCSp3 | 4T | FCSp4 | FSSp4 |
| 5 | FSSp4 | FSSp3 | 3A | FUSp3 | CCoSp4 | StSq3 |
| 6 | StSq4 | StSq3 | StSq3 | StSq4 | StSq4 | CCSp4 |
| 7 | CCoSp4V | CCoSp4 | CCoSp4 | CSSp4 | CSSp4 | CCoSp4 |
| Base | 49.00 | 41.60 | 46.20 | 46.95 | 46.80 | 48.00 |
| GOE | 15.27 | 12.19 | 7.47 | 7.49 | 7.39 | 1.75 |
| PCS | 44.60 | 44.79 | 43.00 | 40.57 | 43.43 | 40.67 |
| Total | 108.87 | 98.58 | 96.67 | 95.01 | 97.62 | 90.42 |
ショートプログラム、ここに出てくる6選手は全員4回転を2本入れています。鍵山選手以外の4人は4回転ルッツを飛びます。鍵山選手はサルコウとトーループ。その上でスピンノーバリューもあって基礎点は低くなっています。これがシーズンベストなわけですから、今期のショートはまだあまりうまくいっていない、と言えます。
アダムシャオイムファ選手はショートで1.1倍のジャンプがありません。このシーズンベストの試合でそうだった、ということではなく、今期4試合すべてそうですので、入れる気ないですね、1.1倍ジャンプを。4T+3Tの基礎点考えると、1.1倍に入れれば1.37基礎点が上がるわけですが、それよりも優先したい何かがあるようです。
GOEはマリニン選手がやはり大きく稼いでいますが、鍵山選手も1つノーバリューある中で二桁の加点があります。ショートだけならノーミスすればマリニン選手といい勝負くらいにはなるのですが、なかなかうまくいっていません。
スピンステップオールレベル4はアダムシャオイムファ選手だけです。マリニン選手は4Vということで、ここだけ基礎点削られました。完璧に滑れば49.87という基礎点になります。
PCSは鍵山選手とマリニン選手が45点に近いところまで来ていますが、佐藤駿選手やアダムシャオイムファ選手も43点台あり遜色ありません。シャイドロフ選手やグラスル選手は40点程度なので、少し差があります。
○今期技術点ベストのフリーの構成
| Ilia MALININ | Yuma KAGIYAMA | Shun SATO | Mikhail SHAIDOROV | Adam SIAO HIM FA | Daniel GRASSL | |
| 1 | 4F | 4S | 4Lz | 3A+1Eu+4S | 4Lz | 4Lz |
| 2 | 3A | 4T | 3A+1Eu+3S | 4Lz | 4T | 4Lo |
| 3 | 4Lz | 3Lz | 4T+2T | 4F | 4T+3T | 4S< |
| 4 | 4Lo | 3A+1Eu+3S | FCSp3 | FUSp3 | 4S+1Eu+3Sq | 3Aq+3T |
| 5 | CCSp4 | FCSSp4 | 4T | ChSq1 | 3A+2A | ChSq1 |
| 6 | StSq3 | 4T+2T | 3A+2A | 3F | 3A | 3A+2A+2A |
| 7 | 4Lz+1Eu+3F | 3F+3Lo | 3Lo | CCoSp3 | StSq4 | 3Lz+3Tq |
| 8 | 4T+3T | 3A | 3Lz | 4T<< | 3Lz | CSSp4 |
| 9 | 4S+3A | CCoSp4 | CSSp4 | 3Lz+3A | CCoSp4 | StSq3 |
| 10 | ChSq1 | ChSq1 | StSq3 | 4T+2T | FCCoSp3V | 3Lo |
| 11 | FSSp3 | StSq4 | ChSq1 | StSq4 | ChSq1 | CCoSp4 |
| 12 | CCoSp4 | FCCoSp4 | CCoSp4 | CSSp4 | CSSp2V | FCCoSp4 |
| Base | 110.17 | 86.70 | 84.51 | 93.09 | 90.17 | 90.82 |
| GOE | 28.32 | 13.08 | 17.95 | 12.69 | 15.27 | 6.14 |
| PCS | 90.48 | 89.88 | 86.58 | 82.43 | 90.64 | 82.05 |
| Total | 228.97 | 188.66 | 189.04 | 187.21 | 196.08 | 179.01 |
フリーはマリニン選手は4回転5種類6本の試合がシーズンベストになっています。シャイドロフ選手は4種類5本、アダムシャオイムファ選手は3種類4本、グラスル選手は3種類3本、佐藤選手と鍵山選手は2種類3本です。鍵山選手はセカンドループが入っていますが、セカンド3Tが入っていませんでした。佐藤選手もセカンド3回転が入っていません。マリニン選手、シャイドロフ選手はシークエンスでトリプルアクセルを入れる、という芸当を見せています。シャイドロフ選手はトリッキーなジャンプが多いですが、基本のセカンド3回転は最後のジャンプに入れようとして入らず2回転になりました。意外とセカンド3回転が入らない、という選手は男子では見かけます。
マリニン選手の基礎点は110点に達し、あまりにも突出しています。他は90点台前半が多いですが、シャイドロフ選手、グラスル選手はジャンプの回転が足りればもう少し基礎点は伸びる、鍵山選手、佐藤選手はセカンド3回転でもう少し基礎点はあがります。
GOEもマリニン選手が巨大なスコアですが、佐藤選手あたりは10点台後半を稼げています。
PCSはマリニン選手とアダムシャオイムファ選手は90点に乗りました。フリーは佐藤選手がちょっとその2人と差がついてしまっています。シャイドロフ選手、グラスル選手がもう1段階下なのはショートと変わりません。
フリーのシーズンベストで見るとマリニン選手が突出しているのは別として、それに次ぐのはアダムシャオイムファ選手になっています。佐藤選手が3番目で鍵山選手が4番目。オリンピックシーズンの12月に、各選手どんな調子で来ているのか? どれだけの選手がここに合わせてきているかがわからないですが、表彰台争いは混戦の様相を呈しています。
○ショートフリー合わせた要素別のスコア
| Name | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
| Ilia MALININ | 333.81 | 135.51 | 130.84 | 29.17 | 23.32 | 14.97 |
| Ilia MALININ | 321.00 | 135.42 | 125.24 | 23.02 | 22.56 | 14.76 |
| Ilia MALININ | 306.65 | 133.15 | 113.36 | 21.89 | 23.05 | 15.20 |
| Yuma KAGIYAMA | 287.24 | 134.67 | 102.00 | 16.65 | 20.77 | 14.15 |
| Yuma KAGIYAMA | 285.91 | 133.82 | 96.37 | 14.94 | 25.17 | 15.61 |
| Shun SATO | 285.71 | 129.58 | 102.91 | 18.84 | 22.01 | 12.37 |
| Mikhail SHAIDOROV | 282.22 | 123.00 | 111.94 | 15.03 | 19.47 | 13.78 |
| Adam SIAO HIM FA | 280.95 | 133.82 | 106.09 | 6.27 | 20.84 | 14.93 |
| Shun SATO | 278.12 | 124.10 | 105.81 | 15.37 | 21.76 | 11.08 |
| Yuma KAGIYAMA | 270.45 | 131.94 | 100.81 | -0.24 | 24.29 | 15.65 |
| Daniel GRASSL | 269.43 | 122.72 | 109.52 | 0.46 | 24.36 | 12.37 |
| Mikhail SHAIDOROV | 262.67 | 119.77 | 114.81 | 0.15 | 18.09 | 10.85 |
| Adam SIAO HIM FA | 256.98 | 129.32 | 97.25 | -7.58 | 21.94 | 16.05 |
| Shun SATO | 254.14 | 118.41 | 95.96 | 10.26 | 17.22 | 12.29 |
| Adam SIAO HIM FA | 254.11 | 125.18 | 100.81 | -10.32 | 23.81 | 15.63 |
| Mikhail SHAIDOROV | 251.09 | 117.28 | 108.31 | -0.92 | 18.78 | 9.64 |
| Adam SIAO HIM FA | 244.36 | 122.51 | 103.58 | -17.16 | 24.47 | 14.96 |
| Daniel GRASSL | 241.81 | 114.18 | 103.46 | -8.83 | 21.58 | 13.42 |
| Daniel GRASSL | 236.44 | 118.41 | 93.46 | -9.72 | 22.51 | 11.78 |
PCS見てもマリニン選手が1番強い、という構図です。鍵山選手が134点台あって、アダムシャオイムファ選手も133点台までありますが、佐藤駿選手は129点台が最高です。シャイドロフ選手は123点までなので、佐藤選手の方がやや優位です。
ジャンプの基礎点はマリニン選手がしっかり滑ると他との差は極めて大きいです。2番目には110点台あるシャイドロフ選手がいて、グラスル選手が109.52あって続きます。鍵山選手は1番いい試合で102.00なので、他の選手と少し差があります。加点の方は20点台あるマリニン選手、10点台後半が出る佐藤選手、10点台中盤の鍵山選手とシャイドロフ選手と続きます。アダムシャオイムファ選手は1番いい試合で6.27なのであまり稼げていません。
スピンは鍵山選手がしっかりやれば25点台あり、アダムシャオイムファ選手も24点台出せます。マリニン選手はここが弱くて良くても23点台までです。佐藤選手は22点台まで、シャイドロフ選手はもっと弱くて19点台が最高です。
ステップ系要素はアダムシャオイムファ選手の16点台というのがあり、鍵山選手、マリニン選手も15点台で続きます。佐藤選手はここが弱くて12点台までしか出ません。
シニアの男子は、ちょっと優勝争いがどう、という次元にはないのですが、表彰台争いはし烈そうです。2年連続同じ1-2-3となるか? 日本勢の4期連続ダブル表彰台なるか? というあたりが注目されます。
佐藤選手はPCSとスピンでシャイドロフ選手を上回っていて、4回転1本少なくても五分、くらいに持っていけますが、実際には2本少ないのでノーミス勝負すると少し分が悪い。アダムシャオイムファ選手と比べるとPCSでやや負けて、スピンステップでやや負けるので、こちらは4回転1本多くないと厳しいのですが、実際には佐藤選手のほうが1本少ない。ただ、成功率の差で勝負になっている、というところでしょうか。
鍵山選手はスピンステップPCSで上回っているけど、ジャンプの基礎点が周りと比べて弱く、出来栄えでかなり補っているので、ミスはあまり出来ない、という構図でしょうか。