ミラノオリンピック 女子シングルレビュー1
前回までの男子に続いて今回からは女子です。
○総合上位6選手のショートプログラム構成
| LIU Alysa | SAKAMOTO Kaori | NAKAI Ami | CHIBA Mone | GLENN Amber | PETROSIAN Adeliia | |
| 1 | 3F | 3Lz! | 3A | 3F+3Tq | 3A | 2A |
| 2 | 2A | FCSp4 | 3Lz+3T | 2A | 3F+3Tq | 3Lz |
| 3 | CCoSp4 | 2A | FSSp4 | FCSp4 | FSSp4 | FCSp4 |
| 4 | 3Lz+3Loq | 3F+3Tq | 3Lo | 3Lz! | 2Lo* | 3F+3T |
| 5 | FCSp4 | CCoSp4 | LSp4 | CCoSp4 | StSq4 | LSp4 |
| 6 | StSq4 | StSq4 | StSq4 | StSq4 | LSp4 | StSq4 |
| 7 | LSp4 | LSp4 | CCoSp4 | LSp4 | CCoSp4 | CCoSp4 |
| Base | 33.78 | 32.95 | 36.59 | 32.59 | 30.60 | 32.95 |
| GOE | 7.56 | 7.13 | 8.43 | 6.13 | 3.59 | 7.49 |
| PCS | 35.25 | 37.15 | 33.69 | 35.28 | 33.20 | 32.45 |
| Total | 76.59 | 77.23 | 78.71 | 74.00 | 67.39 | 72.89 |
| 平均GOE | 3.03 | 2.97 | 2.81 | 2.56 | 1.26 | 2.79 |
ショートからトリプルアクセルを入れたのが2人、中井亜美選手とアンバーグレン選手です。それも含めてミスなく滑った中井選手が基礎点最高です。アンバーグレン選手はトリプルアクセルは決めましたがループが2回転になって零点。それでも基礎点は30.60ありますので勝負にはなる範疇にいます。アリサリウ選手はルッツループを1.1倍に入れました。これによりトリプルアクセル無し組では1番高い基礎点です。坂本選手とペトロシアン選手はほぼ同構成で1.1倍コンビネーションです。千葉百音選手が1番オーソドックスな構成で1.1倍に単独フリップを持ってきています。
ここにいる6選手、驚くべきことに、全員スピンステップオールレベル4でした。
加点は中井選手が1番稼いでいます。基礎点高い、加点多い、技術点は断トツです。アリサリウ選手、坂本選手、千葉選手、アンバーグレン選手、コンビネーションの2つ目にqが付いている分加点が減っています。坂本選手と千葉選手はルッツの!もあります。僅差の中ではこういったところも響きます。
PCSは坂本選手が9点平均超え。千葉選手、アリサリウ選手と35点台で続いています。中井選手は33点台。悪くはないのですが坂本選手とはさすがに少し差が付いています。
平均GOEは、各ジャッジが付けた各要素のプラスマイナスを全部合計し、7つの要素、9人のジャッジで7×9の63で割ったものを表しています。アンバーグレン選手はループが零点でジャッジの判定外だったので、6×9の54で割ったものです。
この評価でみるとアリサリウ選手がただ一人平均で+3を上回る高い評価を得ていたのがわかります。グレン選手はループの零点を除外しても平均評価は他の選手と比べて低かった、というのも見えて、ここの差が結局後半グループに入れないところにつながりました。ループ零点だけが問題だったわけではない、ということです。
基礎点の高さで中井選手、PCSの高さで坂本選手、バランスと出来栄えでアリサリウ選手、と上位3人続いた形でした。千葉選手は標準構成で勝負するには!とqがやはり痛かったという結果でした。ペトロシアン選手は、全体的に程々で全体的にちょっとづつ足りなくて5位スタート、という形になっていました。
○総合7~12位の選手のショートプログラム構成
| PETROKINA Niina | LEE Haein | GUBANOVA Anastasiia | SAMODELKINA Sofia | SHIN Jia | LEVITO Isabeau | |
| 1 | 2A | 3Lz+3Tq | 3F+3T | 2A | 3Lz+3T | 3F+3T |
| 2 | 3Lz+3Tq | 2A | 2A | 3Lz | 2A | 2A |
| 3 | CCoSp4 | FCSp4 | FCSp4 | FCSp3 | FCSp4 | FCSp4 |
| 4 | 3F | 3F | 3Lz | 3F+3T | 3F | 3Loq |
| 5 | FCSp4 | SSp4 | StSq4 | LSp3 | CCoSp4 | StSq3 |
| 6 | StSq4 | CCoSp4 | CCoSp4 | StSq3 | StSq4 | CCoSp4 |
| 7 | LSp4 | StSq4 | SSp3 | CCoSp3V | LSp3 | LSp4 |
| Base | 32.53 | 32.33 | 31.99 | 30.40 | 32.23 | 30.89 |
| GOE | 4.27 | 5.28 | 6.29 | 6.02 | 3.56 | 5.88 |
| PCS | 32.83 | 32.46 | 33.49 | 32.05 | 30.87 | 34.07 |
| Total | 69.63 | 70.07 | 71.77 | 68.47 | 65.66 | 70.84 |
| 平均GOE | 1.83 | 2.29 | 2.27 | 2.25 | 1.89 | 2.48 |
この領域の選手たちにはトリプルアクセルはありませんでした。ルッツとフリップとダブルアクセルにセカンド3回転というのが基本ですが、レビト選手はルッツではなくループを入れました。ペトロキナ選手、イ・ヘイン選手はスピンステップオールレベル4です。サモデルキナ選手はスピンステップのレベルが取れず基礎点が低くなりました。結果的にループ抜けで零点があったアンバーグレン選手より基礎点が低いです。
加点はグバノワ選手が最も稼ぎましたがほかの選手もそれなりにあります。転倒のあったシンジア選手も全体見ればプラスです。
PCSはレビト選手が8.5平均まで出しました。グバノワ選手が33点台。シンジア選手はここが低く30点台にとどまりました。PCSが伸びずに転倒もあると、他が良くてもフリーは前半グループということになりました。
平均GOEは+2台前半となっていて、ここが上位とはやはり差があります。ペトロキナ選手は全体的にややプラスが少なく+1台、シンジア選手は全体的にはプラスが大きくあったのですが、転倒で-5があったことが響いて+1台にとどまった形です
○総合上位6選手のフリーの構成
| LIU Alysa | SAKAMOTO Kaori | NAKAI Ami | CHIBA Mone | GLENN Amber | PETROSIAN Adeliia | |
| 1 | 3F! | 2A | 3A | 3F+3Tq | 3A | 4T< |
| 2 | 3Lz+3T | 3F | 3Lo+2T | 3Lo | 3F+3T | 3Lz!+2T |
| 3 | 3S | 3Lz+2T | 3Lz+2T | 3S | 3Lz+2T | 3S |
| 4 | CCoSp4 | FSSp4 | 3S | 2A | 3S | 3Lo |
| 5 | 3Lo | StSq4 | FSSp4 | FCCoSp4 | FSSp4 | FCSp4 |
| 6 | FCSp3 | 3S | ChSq1 | 3Lz+2A | 3Lo+2A+2A | 3Lz!+2A+2A |
| 7 | 3Lz+2A+2T | 3F+REP | 3Lz+2A+2A | 3Lzq+2T+2Loq | 3F | 3F+3T |
| 8 | 3F!+2T | 2A+3T+2T | 3F!q | 3F | CCoSp4 | 3F |
| 9 | 2A | ChSq1 | 3Loq | CCoSp4 | 3Lo | LSp4 |
| 10 | StSq4 | 3Lo | StSq4 | StSq4 | StSq2 | StSq4 |
| 11 | ChSq1 | CCoSp4 | LSp4 | ChSq1 | ChSq1 | ChSq1 |
| 12 | LSp4 | FCCoSp4 | CCoSp3V | LSp4 | LSp4 | CCoSp4 |
| Base | 62.94 | 56.15 | 65.52 | 64.34 | 67.67 | 70.33 |
| GOE | 14.80 | 16.68 | 7.01 | 10.12 | 11.20 | 6.60 |
| PCS | 72.46 | 74.84 | 67.92 | 69.42 | 68.65 | 65.71 |
| Total | 150.20 | 147.67 | 140.45 | 143.88 | 147.52 | 141.64 |
| 平均GOE | 2.94 | 3.31 | 1.55 | 2.13 | 2.03 | 1.63 |
4回転トーループを入れたペトロシアン選手がただ一人70点台の基礎点でした。ペトロシアン選手はルッツとフリップを2回跳び、1.1倍にセカンド3回転とダブルアクセル2本を詰めていて、4回転以外の構成もハードです。トリプルアクセルを入れ、ジャンプで基礎点削られなかったアンバーグレン選手が67.67で2番目。中井選手はトリプルアクセルは決まったのですがセカンド3回転が入らずグレン選手より基礎点は落ちます。
千葉選手はルッツ2本フリップ2本、標準構成でトップクラスの64点台基礎点でした。アリサリウ選手は意外と構成は高くなく、スピンが1つレベル3なこともあって62点台の基礎点です。坂本選手、フリップ2本に、今はトップ選手ではレアになったトーループ2本という予定構成。完成度勝負とは言えども、セカンド3回転が1つ丸々抜けて、フリップリピートまであっての56.15の基礎点だとさすがに届きませんでした。机上の計算に過ぎませんが、リピートになったフリップに、シングルトーループをセカンドで付けられれば、基礎点が2.30上がり、アリサリウ選手との点差が1.89でしたので優勝出来たことになります。流れ的にはシングルアクセルのシークエンスでもよかったです。そんな、ほんのわずかな差でした。
坂本選手、千葉選手、ペトロシアン選手はスピンステップオールレベル4です。
加点は坂本選手が全体1位でアリサリウ選手が2番目。グレン選手と千葉選手も二桁ありました。千葉選手はq3つが痛いと言えば痛く、q無しパーフェクトならメダルに届いています。やはり結局そこのジャンプの回転に行きつくのか・・・、という形ではありました。
中井選手は前半のコンビネーションのところと、後半の!とqでかなり削られて加点はほどほどにとどまります。アリサ選手との総合点差は7.63 セカンド3回転がしっかり入り、最後のスピンをレベル4にし、qと!のどれかが外れていれば勝っていた試合でした。ペトロシアン選手は4回転の転倒とルッツで2つの!がついて加点は伸びていません。4回転決めていれば表彰台には届いていますので惜しいところではありました。
PCSはさすがの坂本選手ですが9点台前半止まりでした。アリサリウ選手も9点平均に乗せています。
全要素の平均GOEで見ると、やはり坂本選手が+3平均を超える高い評価です。アリサリウ選手も+3に近いところまでありました。千葉選手とグレン選手は+2に乗った程度。中井選手、ペトロシアン選手は+1台中盤です。中井選手は、やはりフリーは全体的にあまり評価がよくなかったようです。首を傾げた本人の評価は、自然なものだったのでしょう。
○総合7~12位の選手のフリーの構成
| PETROKINA Niina | LEE Haein | GUBANOVA Anastasiia | SAMODELKINA Sofia | SHIN Jia | LEVITO Isabeau | |
| 1 | 2A+3T | 2A+3T | 3F+3T | 2A | 2A | 3F |
| 2 | 3Lz | 3Lz!+2T+2Lo | 3Lo | 3F | 3Lz+3T | 2A |
| 3 | 3Lo | 3S | 3Lz | 3Lz | 3S | 3Lo |
| 4 | 3F | 3Lo | 3S | 2A+2T | 3Lo | 3S |
| 5 | FCCoSp4 | FCSp4 | FCSp4 | FCSp4 | CCoSp3 | FCCoSp4 |
| 6 | 3Lz+2A+2T | ChSq1 | 3Lz+2A+2T | StSq3 | 3F+2T+2Lo | 3F+2A |
| 7 | 3F+2T | 3Lz! | 3F+2T | 3Lz+1Eu+3S | 3F+2A | 3Loq+2T+2Lo |
| 8 | StSq4 | 3F+2A | 2A | 3F+3T | 3Lz | 3Lzq |
| 9 | 3S | 3Fq | StSq3 | 3Lo | FCSp2 | LSp4 |
| 10 | CCoSp4 | FCCoSp4 | ChSq1 | ChSq1 | StSq4 | ChSq1 |
| 11 | ChSq1 | StSq4 | CCoSp4 | LSp3 | ChSq1 | StSq3 |
| 12 | LSp4 | CCoSp4 | SSp4 | CCoSp3 | FCCoSp4 | CCoSp4 |
| Base | 63.74 | 64.48 | 62.54 | 61.61 | 63.38 | 58.44 |
| GOE | 11.08 | 9.67 | 8.85 | 12.16 | 11.67 | 6.06 |
| PCS | 66.37 | 66.34 | 66.83 | 65.22 | 65.97 | 68.46 |
| Total | 141.19 | 140.49 | 138.22 | 138.99 | 141.02 | 131.96 |
| 平均GOE | 2.04 | 1.94 | 1.81 | 2.29 | 2.22 | 1.44 |
このあたりの選手は高難度ジャンプは入れてきていません。
2本飛ぶジャンプがルッツとフリップなペトロキナ選手、イ・ヘイン選手、グバノワ選手、サモデルキナ選手、シンジア選手です。レビト選手はフリップとループを2回跳びます。
ペトロキナ選手とイ・ヘイン選手はスピンステップオールレベル4 スピンの種類も基礎点高いイ・ヘイン選手は、高難度無しでの上限近い64点台の基礎点になっています。シンジア選手も本来そこまで行くのですが、スピンで2つレベルを取れておらず63点台となりました。レビト選手はセカンド3回転が丸々抜けたことで58点台という低い基礎点に留まりました。
加点はサモデルキナ選手が最高です。スピンステップでレベルが取れていないことで基礎点はやや低くなりましたが、ジャンプはよく高評価でした。シンジア選手とペトロキナ選手も二桁加点です。へイン選手とグバノワ選手も悪くない。レビト選手は転倒ありながらも一桁後半はあります。
PCSは8.5平均となる68点にレビト選手は届きました。他は66点前後となっています。
平均GOEが高いのはサモデルキナ選手、次いでシンジア選手、ペトロキナ選手も+2台になっています。このあたりの順位の選手で+2台になるあたりが女子と男子の大きな違いになります。