世界ジュニア26男子シングル

オリンピックの余韻も冷めやらぬままですが、3月に入り、早くもシーズン締めくくりへ。世界ジュニアがありました。オリンピックに負けず劣らず、はさすがに言い過ぎかもしれませんが、世界ジュニアも素晴らしい試合でした。

 

○男子シングル フリー進出24名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Rio NAKATA JPN 268.47 89.51 178.96
2 Minkyu SEO KOR 243.91 86.33 157.58
3 Taiga NISHINO JPN 241.23 81.14 160.09
4 Jacob SANCHEZ USA 229.10 81.03 148.07
5 Habin CHOI KOR 224.36 75.78 148.58
6 Lucius KAZANECKI USA 219.36 74.89 144.47
7 Jaekeun LEE KOR 218.20 79.27 138.93
8 Yanhao LI NZL 217.58 77.18 140.40
9 Daiya EBIHARA JPN 217.52 81.53 135.99
10 Denis KROUGLOV BEL 216.70 75.22 141.48
11 Genrikh GARTUNG GER 209.68 63.67 146.01
12 Yehor KURTSEV UKR 208.45 70.05 138.40
13 Yu-Hsiang LI TPE 202.54 71.06 131.48
14 David BONDAR CAN 202.06 69.09 132.97
15 Ean WEILER SUI 198.91 76.77 122.14
16 Nikita SHEIKO ISR 198.88 67.12 131.76
17 Hiro KAEWTATHIP THA 194.38 61.93 132.45
18 Matias LINDFORS FIN 192.90 66.70 126.20
19 Jiarui LI HKG 187.81 62.38 125.43
20 Qihan ZHAO CHN 181.83 61.55 120.28
21 Leon ROJKOV GER 169.14 60.68 108.46
22 Konstantin SUPATASHVILI GEO 165.39 61.62 103.77
23 Matvii YEFYMENKO POL 159.98 62.89 97.09
24 Albin SAMUELSSON SWE 158.70 60.93 97.77

ショート終わって80点台が5人は昨年と同じ展開ですが、今回は中田選手が首位。また日本人3選手がそろって80点台で最終グループに顔を揃えました。ジュニアはやはりの日韓決戦でそこにアメリカのサンチェス選手が加わる形です。

 

前半グループから早くも200点超えが出てきます。昨季7位だったドイツのガルトゥング選手がショート17位から、4回転ルッツとフリップを降りて146.01 トータル209.68で首位に立っている状況で後半グループへ。

第3グループではショート11位、今期のファイナルで3位表彰台だったアメリカのカザネツキ選手が4回転トーループを2本着氷。ファイナル並みとはいきませんでしたが144.47を出してトータル219.36で首位に立ちます。

ショート9位、日韓決戦の一翼を担うはずだったのが少し出遅れたチェハビン選手。ただ3位まで5.75差なので十分逆転表彰台はあり得る位置です。そこから4回転ルッツを2本決めてきたので、これは大逆転あるか? と思ったのですが、後半、まさかの、トリプルルッツ2本をミス。4回転決まるのに3回転決まらないルッツ。これはもったいなくてフリーは148.58 トータル224.36 首位には立ちましたが表彰台争いするにはちょっと弱いかな、というスコアに留まりました。

 

最終グループを前にしてこのチェハビン選手がトップ、カザネツキ選手が2位という形で進みます。1番滑走は、今期はシニアで戦っていて本当はオリンピック狙いだったんだろうな、という韓国のイジェグン選手。4回転トーループを降りて、トリプルアクセルからのコンビネーションも決めて、いい流れだったのですが後半のジャンプが乱れてしまって結局スコアは伸びず。フリー138.98 トータル218.20で5人残して3位の位置に入ってきます。

続いてショート5位、こちらも今期はシニアで戦っていたアメリカのジェイコブサンチェス選手。昨季のこの大会4位。ショートは3位と0.50差なので今度こその表彰台チャンスが十分ある位置でした。4回転無し構成なのでノーミス欲しいところでしたが、前半でループが2回転に。最後のサルコウもステップアウト、ということで、単独ループと単独サルコウという持ち札の中で簡単な方2つミスをするというもったいない形でしたがそれでも148.07は出してトータル229.10 首位に立って表彰台の芽は残します。

 

ここから日韓決戦へ。ショート4位の西野太翔選手登場。表彰台へのムーンライトセレナーデ。冒頭4回転トーループ、続いて4回転サルコウ、しっかり決めてきました。その後もほぼノーミスと言える演技で最後まで滑り切りました。フリー160.09はパーソナルベスト更新。トータル241.23もパーソナルベストで首位に立って残り3人を待ちます。

日本勢2人目、ショート3位の蛯原大弥選手。首位に立つには159.71が必要。自己ベストは135.86 ちょっと持ち札的には苦しいのですが、全日本ジュニアで決めた4回転トーループ込みでノーミス行ければ、という期待もあったのですが、転倒。次のアクセルも1回転になって勝負としては万事休す。しかし、ここでこのままボロボロと行かずに踏みとどまったのがよかった。立て直して以降しっかり滑りました。フリー135.99は実はパーソナルベスト更新。トータル217.52もパーソナルベスト更新。2人残して7位の位置に入ります。

 

残り2人、昨季のこの大会は2位。2シーズン前は優勝。今期ファイナルの覇者。2強の一角、ソミンギュ選手。ショート終わって首位と3.18差。ここで首位に立つには154.91が必要です。パーソナルベストはファイナルの171.09 エクソジェネシス交響曲3番。冒頭の4回転サルコウが鍵だったのですが転倒。こうなるとちょっと苦しいかな? という構成ではあるのですが以降はしっかりノーミス。フリー157.58 トータル243.91で首位に立って中田選手を待ちます。

グラディエーターは勝てるプログラム。優勝へのターゲットスコアは154.41 パーソナルベストは163.22があります。どんな構成で来るかがまず見ものだったのですが、4回転はサルコウとトーループ1本づつのオーソドックス構成で来ました。構成で冒険せずに、きちんとジュニア卒業式を遂行しよう、というようにも感じました。ジャンプ完璧。ただ、スピンが雑になりがちな癖がやはり後半に出ますね。とはいえ、勝つには十分でした。フリー178.96はパーソナルベスト更新。トータル268.47 ジュニアルールながらオリンピックなら8位相当のスコア。パーソナルベストで2連覇を果たしました。

 

○中田璃士選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   4.30 14.00 4.222
2 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
3 3A+1Eu+3S   12.80   1.71 14.51 2.111
4 CCSp4   3.20   0.73 3.93 2.333
5 3A   8.00   2.51 10.51 3.222
6 3F+2A+SEQ   9.46 x 1.36 10.82 2.556
7 3F   5.83 x 1.36 7.19 2.556
8 3Lo   5.39 x 1.33 6.72 2.667
9 CCoSp3   3.00   0.77 3.77 2.556
10 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.556
11 FSSp2   2.30   0.62 2.92 2.667
  TES   76.38   19.33 95.71  

4回転はサルコウとトーループの2本。トリプルアクセルとトリプルフリップを2回飛びます。重たいコンビネーションは序盤に入っていて、1.1倍はやや軽い構成。スピンはレベル4,3,2が1つづつ。完璧にも見える演技でしたが、割と今回は本人比で安全構成ではありました。全要素全ジャッジプラス評価。冒頭の4回転サルコウは+4を超える評価を受けています。

気になるのはやはりルッツがないこと。4回転全種類制覇する、とのコメントも聞かれますが、ルッツは今期3回転でも1度も跳んでいません。まあ昨季は入れていましたから全く飛べないということもないのでしょうけれど、2シーズン前もショートで指定にされたから仕方なく入れたけどフリーに入れない、など、明らかに苦手なジャンプなことは見て取れます。シニアに上がるに際しての課題、と見るか、ルッツなんかなくても平気だよー、と見るか。

フリーは178.96を出しました。トータル268.47 状況は違いますが、オリンピックの3位表彰台が274.90 シニアルールで滑ればそれくらいは出る滑りではありました。

 

○西野太翔選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   1.22 10.72 1.333
2 4S   9.70   0.69 10.39 0.667
3 3Aq+1Eu+3S q 12.80   -1.60 11.20 -2.000
4 3Lz+3T   10.10   0.67 10.77 1.111
5 FCSp4   3.20   0.41 3.61 1.222
6 ChSq1   3.00   0.86 3.86 1.778
7 3A   8.80 x 2.17 10.97 2.556
8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.34 10.46 0.667
9 3F   5.83 x 0.91 6.74 1.667
10 CSSp4   3.00   0.69 3.69 2.333
11 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
  TES   79.55   7.51 87.06  

4回転はサルコウとトーループの2本、しっかり決めました。コンビネーションもすべて決め、スピンオールレベル4 qが1つついてGOEマイナスがありますがほぼノーミス。基礎点は中田璃士選手を上回りました。

2回飛ぶジャンプがトリプルアクセルとトリプルルッツ。ルッツを何の問題もなく跳べるのは強みです。ループだけ構成に入っていませんが、ショートでしっかり決めていますし、4回転1本構成の時期には入っていました。苦手なわけではなく、構成的に基礎点低いから入らなかっただけ、と見てよさそうです。

こうしてみると、穴が無いです。男子には4回転3本入るけどセカンド3回転が苦手で基礎点が伸びてこない、みたいな選手もいますが、3回転からではありますがセカンド3回転問題なく跳びます。4回転2種類すでに入り、ルッツやフリップも苦手そうには見えませんので、そのうちそういう4回転が入ることも期待できる。ステップもショートでレベル4取っています。スピンはショートで1つレベル3ありましたが、基本的にはレベル4率は高いです。あとは1つ1つの要素でさらに少しづつ加点を伸ばしつつ、4回転の種類、本数が増えていくと、すごいことになる可能性もあります。

ジュニア3シーズン目なので、来期もまだジュニアにいます。来期は、全勝しそうな雰囲気も感じられます。

 

○蛯原大弥選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T<< F<< 4.20   -2.10 2.10 -5.000
2 1A+2T   2.40   0.00 2.40 0.111
3 3Lo   4.90   0.70 5.60 1.444
4 CCSp4   3.20   0.69 3.89 2.222
5 3Aq q 8.00   -0.80 7.20 -1.000
6 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.778
7 3Lz+3T   11.11 x 1.69 12.80 2.778
8 3Lz+2A+2A+SEQ   13.75 x 1.26 15.01 2.222
9 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.111
10 3S   4.73 x -0.37 4.36 -0.778
11 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
  TES   61.79   3.37 65.16  

4回転トーループはダウングレードの転倒となりました。国際大会初成功ならず。トリプルアクセル1本目が抜けて、2本目はqながらしっかり降りました。1.1倍に結構詰め込んでいるプログラムなので、4回転1本ですがノーミスすれば73.99まで出る構成でした。

蛯原選手はジュニア4シーズン目なので来期シニアに上がることは可能です。表彰台に乗っていれば、グランプリ1枠が確保されるし、もしかしたら上がるかな? とも思いましたが、今回の結果からすると、もう1年ジュニアにしますかね? 4回転トーループの確率をジュニアのうちにもう少したぶん高めたいというのと、実はトリプルアクセルも回転ぎりぎりが多く加点が得られていないので、その辺のジャンプが決まってくると、来期の表彰台が見えてきそうです。

 

○ショートフリー合わせた要素別のスコア(上位18名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Rio NAKATA 268.47 125.48 88.23 21.42 23.09 10.25
2 Minkyu SEO 243.91 117.21 84.99 9.11 23.72 9.88
3 Taiga NISHINO 241.23 110.18 90.86 8.45 22.87 8.87
4 Jacob SANCHEZ 229.10 113.10 77.55 6.68 23.48 8.29
5 Habin CHOI 224.36 105.06 84.69 4.28 22.75 7.58
6 Lucius KAZANECKI 219.36 99.63 85.47 5.22 21.04 8.00
7 Jaekeun LEE 218.20 107.09 77.56 2.85 22.33 8.37
8 Yanhao LI 217.58 109.71 74.20 3.06 23.03 8.58
9 Daiya EBIHARA 217.52 108.75 72.58 5.06 23.93 8.20
10 Denis KROUGLOV 216.70 103.38 79.11 5.90 21.42 7.89
11 Genrikh GARTUNG 209.68 97.65 82.66 1.78 19.52 8.07
12 Yehor KURTSEV 208.45 96.23 78.87 4.23 21.59 7.53
13 Yu-Hsiang LI 202.54 93.97 81.80 -3.96 22.40 8.33
14 David BONDAR 202.06 94.12 80.81 0.73 19.54 6.86
15 Ean WEILER 198.91 101.34 77.15 -6.55 20.82 8.15
16 Nikita SHEIKO 198.88 101.01 66.72 4.88 18.79 7.48
17 Hiro KAEWTATHIP 194.38 91.06 77.40 -1.59 20.24 7.27
18 Matias LINDFORS 192.90 105.61 60.92 -0.63 19.05 8.95

PCSは中田選手が125点まで出して、8点平均をジュニアながらはるかに上回っていきました。ソミンギュ選手が2番目。サンチェス選手が3番手になります。西野選手は技術点は2位だったのですがPCSは4番手でした。

ジャンプの基礎点は西野選手が1位です。中田選手が2番目。3番目はカザネツキ選手でした。フリーで大技2本でミスが出た蛯原選手はこのジャンプの基礎点がかなり凹んでいます。加点の方は中田選手が20点を超えるという大幅加点を得ました。今期、これを超える加点はマリニン選手しかありません。ソミンギュ選手、西野選手と総合順位順そのまま、加点を稼ぎました。

スピンは23.93を出した蛯原選手が1位です。日本の男子はシニアでもスピンが苦手な選手が多いのですが、そんな中でこの24点に迫るスピンというのは武器になっていきそうです。ソミンギュ選手が2番目、サンチェス選手が3番目です。

ステップ系要素は中田選手がただ一人二桁あります。ソミンギュ選手が9点台で2番目、西野選手が3番目、総合順位順そのまま並びました。

 

○4回転のルッツ・フリップ・ループ

Name   Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Genrikh GARTUNG 1 4F   11.00   2.04 13.04 1.667
Habin CHOI 1 4Lz+2A+SEQ   14.80   1.81 16.61 1.556
Genrikh GARTUNG 2 4Lz+2T   12.80   1.64 14.44 1.222
Habin CHOI 2 4Lz   11.50   0.33 11.83 0.222
Genrikh GARTUNG 7 4Lz   12.65 x -3.45 9.20 -3.111

今大会高難度4回転を飛んだのはガルトゥング選手選手とソミンギュ選手の2人。ガルトゥング選手はフリップとルッツを1本ずつ、チェハビン選手はルッツを2本決めました。ガルトゥング選手は2本目のルッツは降りましたがマイナス評価となっています。

今大会は4回転ループを構成に入れた選手はいませんでした。

 

○4回転サルコウ

Name   Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Rio NAKATA 1 4S   9.70   4.30 14.00 4.222
Taiga NISHINO 2 4S   9.70   0.69 10.39 0.667
Minkyu SEO 1 4S< F< 7.76   -3.88 3.88 -5.000

4回転サルコウを飛んだのは表彰台に乗った3選手。中田選手は驚異の+4.222評価です。平均+4.000を上回る評価を4回転サルコウで得たのは史上6人目。羽生結弦さん、ネイサンチェンさん、鍵山優真選手、チャジュンファン選手、三浦佳生選手に次いで6人目です。今シーズンの+4超えは今のところこの中田選手の1例のみとなっています。

西野選手はプラス評価を得ました。ソミンギュ選手はアンダーローテーションの転倒となっています。

 

○4回転トーループ

Name   Elements   Base   GOE Scores AvGOE
Rio NAKATA 2 4T+3T   13.70   2.85 16.55 3.000
Lucius KAZANECKI 1 4T+3T   13.70   2.04 15.74 2.111
Yehor KURTSEV 1 4T   9.50   1.90 11.40 2.000
Taiga NISHINO 1 4T   9.50   1.22 10.72 1.333
Lucius KAZANECKI 2 4T   9.50   0.81 10.31 0.889
Jaekeun LEE 1 4Tq q 9.50   -1.36 8.14 -1.333
Yu-Hsiang LI 3 4T< 7.60   -2.06 5.54 -2.778
Yanhao LI 1 4T<< F<< 4.20   -2.10 2.10 -5.000
Daiya EBIHARA 1 4T<< F<< 4.20   -2.10 2.10 -5.000

4回転トーループは8選手が9本入れてきました。GOEプラスの成功ジャンプは4人で5本あります。

最高評価は中田璃士選手。セカンド3回転付きで平均GOE+3.000という高評価です。カザネツキ選手は2本決めました。ヤンハオリー選手と蛯原大弥選手はダウングレードの転倒。両選手とも過去に決めたことはあるジャンプ。この4回転が決まっていれば、また違う試合展開になっていたかも、という残念なところでした。

 

次回、女子シングルへ続きます。