世界選手権26 女子シングル

今期の世界選手権は特別な世界選手権。オリンピックの代表枠が懸かります。いつも世界選手権の枠は懸かっているので、同じと言えば同じなのですが、やはり世界選手権とオリンピックでは重みが違うのでしょう。

今回は、全体の試合展開を振り返っていきます。まずは女子シングルから。数値編は振り返りやった後に別途行います。

 

○女子シングル 総合結果

Pl Name Nation Total SP FS
1 Kaori SAKAMOTO JPN 238.28 79.31 158.97
2 Mone CHIBA JPN 228.47 78.45 150.02
3 Nina PINZARRONE BEL 215.20 71.82 143.38
4 Isabeau LEVITO USA 206.99 72.16 134.83
5 Lara Naki GUTMANN ITA 205.12 69.33 135.79
6 Amber GLENN USA 203.12 72.65 130.47
7 Niina PETROKINA EST 202.27 67.29 134.98
8 Jia SHIN KOR 201.89 65.24 136.65
9 Ami NAKAI JPN 200.00 69.10 130.90
10 Anastasiia GUBANOVA GEO 198.81 69.92 128.89
11 Sarah EVERHARDT USA 197.43 68.74 128.69
12 Sofia SAMODELKINA KAZ 187.53 66.95 120.58
13 Haein LEE KOR 185.18 68.50 116.68
14 Iida KARHUNEN FIN 181.44 61.40 120.04
15 Madeline SCHIZAS CAN 178.29 61.35 116.94
16 Ruiyang ZHANG CHN 178.13 58.96 119.17
17 Olga MIKUTINA AUT 169.84 60.11 109.73
18 Lorine SCHILD FRA 165.23 59.14 106.09
19 Ekaterina KURAKOVA POL 164.54 58.10 106.44
20 Nataly LANGERBAUR EST 162.18 56.56 105.62
21 Livia KAISER SUI 159.58 54.91 104.67
22 Julia SAUTER ROU 159.51 52.67 106.84
23 Alexandra FEIGIN BUL 155.36 58.05 97.31
24 Barbora VRANKOVA CZE 142.66 50.59 92.07
25 Anastasia GRACHEVA MDA 49.91 49.91  
26 Kristen SPOURS GBR 49.20 49.20  
27 Nargiz SUELEYMANOVA AZE 49.00 49.00  
28 Niki WORIES NED 48.41 48.41  
29 Julija LOVRENCIC SLO 47.81 47.81  
30 Jade HOVINE BEL 47.05 47.05  
31 Meda VARIAKOJYTE LTU 45.47 45.47  
32 Mia RISA GOMEZ NOR 42.51 42.51  
33 Stefania YAKOVLEVA CYP 38.53 38.53  

オリンピック後の世界選手権はいつもと少し装いが違う、というのが相場。今回はオリンピックチャンピオンであり前回大会チャンピオンのアリサリウ選手が不在です。主要メンバーではケガがちだったヘンドリックス選手が欠場。上位の常連、スイスのレポンド選手もいません。ただ、日本はオリンピックメンバー残りましたし、他国もフルメンバー残っているところが多いような印象でした。

 

ショートの通過ラインは50.59 昨季は50.98なのでほぼ同じ水準です。全日本の通過ラインが53.13で、51.79出した大庭雅選手はじめ、51点台出した3選手がフリーに進めなかったわけで、なんなんでしょう全日本のレベルって・・・。

ショート終わって、坂本選手、千葉選手の2人が抜けだす展開。2人は0.86差の僅差ですが、千葉選手と3位のアンバーグレン選手との間に5.80という差がついています。中井選手はトリプルアクセル決まらず8位スタート。順位的には低めですが3位とは3.55差。2枠確保の目安の10位が68.50ですが、その下に2枠欲しいエストニアがいて、カザフスタンのサモデルキナ選手も1.55差。ただ、フィンランド、カナダ、オーストリア、フランスといった2枠狙いの選手たちは7点以上差が付いてのフリーになっていました。

 

フリー第1グループはヨーロッパ勢が6人続きました。一番良かったのはクラコワ選手だったでしょうか。ジャンプは派手なミスなし。回転が少し足りないのはありましたが。ただ、ステップの転倒がもったいない。本人の感覚と比べると点はあまりでなかったようでした。とにかく明るいクラコワ、といった感じですが、今後の去就はどうかな? まだ23歳なので、まだまだ行けるとは思うんですけど。

 

第2グループは東アジア、北米、ヨーロッパと満遍なく。まずは中国のルイヤンチャン選手。転倒1つありましたがしっかり滑ってフリー119.17 トータル178.13で首位に立ちます。出来れば2枠欲しい中国でしたけど、170点台だと難しいかな? それにしてもルイヤンチャン選手は今期179点台が2試合、178点台が3試合。来期はどこかで一気に伸びてくるでしょうか?

ルイヤンチャン選手を超えて行ったのは10番滑走のマデリンシザス選手。カナダも2枠欲しい国でショート終わって10位と7.15差。冒頭ルッツ転倒から立て直しました。ただ、最後が抜けて2回転になり、動揺したのか次のスピンがレベル1V、ステップはレベル2 いろいろともったいなくてフリー116.94でトータル178.29 残り14人、やはり170点台で10位は厳しいかな、というところでした。

第2グループ最後はシンジア選手。4大陸、オリンピック、世界選手権と3連続でショート失敗しての出遅れフリー第2グループ。韓国は2枠ではなくてホントは3枠欲しい国。フリーは圧巻の演技で、そうよこれこれ、となりそうなところでフリップ抜け1回転が1つありました。もったいない。ただ、コンビネーションはそのあとしっかりリカバリーしてミスはフリップ1つだけに。フリー136.65 トータル201.89 200点に乗せたので、韓国3枠の芽は残しましたけど、フリップまで決めていれば・・・、という滑りでした。

 

前半終わって首位にシンジア選手。2番目にフィンランドのカルフネン選手がいますが、181.44なので、トップ10に残るのは難しそう、という情勢です。

後半はカザフスタンのサモデルキナ選手から。オリンピックではジャンプ完璧ながらスピンステップで点が伸びず10位に留まる形でしたが、今回はジャンプが決まってきませんでした。ルッツ2本がうまくいかないとちょっと苦しい。フリー120.58でトータル187.53 11人残して2位の位置に入ります。

続いてエストニアのペトロキナ選手。エストニアも2枠が欲しい。ショートで10位とは1.21差。ヨーロッパチャンピオンとしては問題なく逆転できる点差です。フリーは本人比まずまずの演技。シンジア選手の上か下か微妙なところだなあ? というスコア待ちでしたがフリー134.98 トータル202.27で首位に立ちます。これで3試合連続200点超え。トップ10行けそう。

 

続いてイ・ヘイン選手。3位までなら5.15差。表彰台のチャンスがありつつ、ここまで行ければ韓国3枠もある、というところでのカルメン。序盤良かったので行けるか、と思ったのですがそこからのジャンプ3抜け。さすがに3抜けでは点が出ない。フリー116.68 トータル185.18は9 人残して4位。韓国はほぼ2枠で確定。また、ペトロキナ選手の10位以内が決まりエストニアも2枠確定です。

続いて、アメリカ、補欠3から上がってきた初ワールドのサラエバーハート選手。ファイアーバード、序盤は3-3回避してダブルアクセルからのセカンド3回転を使ったりと良かったのですけど、後半疲れたかな? 回転ギリギリが続いてどうなるかわからない採点待ち。フリー128.69 トータル197.43 8人残して3位のところに入ります。

そして、オリンピックメダリスト中井亜美選手が登場。ショートは3位と3.55差。チャンスは十分。しかしながら冒頭のトリプルアクセルはダウングレードの転倒。それでも点は出せる選手なのですが、後半ルッツが抜けて1回転になったのは痛かった。3連続は次でリカバリー付けましたが表彰台争いするにはルッツは決めたかった。フィニッシュして、また顎に指当てそうな雰囲気でしたけど、それは無し。17歳のメダリストがメダルから1か月。調整うまくいくわけがない、と言ったら言い過ぎかもしれませんけど。そんなに甘くはなかったですね。フリー130.90 トータルはピッタリ200点。ここでシーズンワーストですが、これでも今期全試合200点超えでした。7人残して3位。MFアカデミーは今期主要国際大会で誰かが必ず表彰台に乗ってましたが、ワールドは乗れずとなりそう。

第3グループ最後はイタリアのララナキグットマン選手。イタリアも2枠が欲しい国。ショートは3位と3.32差で表彰台チャンスもありつつ、ここで来期2枠を決めるには129.49以上が必要。フリーのジョーズに限らないですが、いつ見ても、他の人には出せないよねこの雰囲気、というディスイズグットマンな演技。後半ルッツ乱れましたが後はしっかり滑りました。フリー135.79はパーソナルベスト更新。トータル205.12もパーソナルベストで首位に立ち、イタリア来期2枠を決めました。

 

最終グループへ。ここまでトップは205.12のララナキグットマン選手ですが、このスコアで表彰台は難しそうに見えます。

1番滑走はグバノワ選手。ショートで3位とは2.73差。手が届く位置にはあります。

ゴースト、序盤は良くて、後半も遠目には良くて、昨季のショート落ちから一気に表彰台あるか? とも期待されたのですが、後半ジャンプは回転が足りていませんでした。案外スピンステップも点取れないんですよね、グバノワ選手。ということで、意外と点は伸びず、フリー128.89でトータル198.81 5人残して5位。何とかトップ10確保で来期ジョージアは2枠獲得。今期はまともなシニアがグバノワ選手しかいませんでしたが、来期はグルゲニゼ選手が上がって来るので、貴重な2枠目を確保できました。

残り5人、ベルギーのピンツァローネ選手。ショートで3位とは0.83差。もうフリー次第で決まる、という点差です。いやあ、すごかった。ヨーロッパでは上位にいて、表彰台にも乗っていたけど、ワールドはさすがにね、ちょっと届かないよね、くらいの位置の選手だと思っていたのですが、このフリーはすごかった。パーフェクト。パーフェクト。こんなに安定感ある人でしたっけ? コンビネーションで結構回転足りない人だったのですが、今回は完璧でした。フリー143.38 トータル215.20 ショート、フリー、トータルすべてパーソナルベスト更新。メダルラインをここに引きました。

 

残り4人。ここから日米決戦。まずはレビト選手。首位に立つには143.05が必要です。おお、ルッツループ来た・・・、のですが、明らかに回転がだいぶ足りていない。フリーのルッツループは、点計算的にはあまり価値が生めないんですよね。単独トーループあとから入れてますし。以降、しっかり滑ったのですが、割と高位安定で爆発力が無いタイプ。フリー134.83 トータル206.99で3人残して2位。今期これでナショナル含めて7試合すべて200点台でしたが、優勝は初戦のクランベリーカップのみ。なかなか勝ち切れないレビト選手です。

残り3人。アンバーグレン選手登場。首位に立つには142.65が必要。今期はナショナル含め4回そのスコアは超えています。そんなに残りのチャンスが多いわけではない選手。ここで獲っておきたいところ。冒頭トリプルアクセル。今大会結局全選手中で決めたのはグレン選手のみでした。+2.222の評価で成功。その後も序盤のジャンプは決めていきました。サルコウはちょっと堪えて、でも我慢して後半へ。そこでループが抜けたところから完全におかしくなってしまいました。ここは3連続の予定で、次のフリップでリカバリーをしようとしたものの、アクセルが半回転ついただけ。最後のループは何とか降りましたがこれだと足りない。フィニッシュは今回も余韻は残らず、頭をすぐ抱える形になりました。

メンタル弱いと言われてますが、こういうところに出てくる選手はメンタル弱いってこともないと思うんですよね。怪物級メンタルが多すぎるだけで。フリー130.47はここ2シーズンのワースト。結果、203.12もここ2シーズンのワーストで2人残して4位。表彰台には届きませんでした。ただ、ホントに大崩れしていたら取れていなかったアメリカ3枠はこれで確保です。そして、ピンツァローネ選手の初表彰台が確定。

 

残り2人。オリンピック、1.28差で4位だった千葉選手。128.55以上で表彰台確定、136.76以上で首位に立ちますが、そんな問題ではなく、ショートで0.86差だった坂本選手を上回って勝つところまで行きたいところ。二十歳のジュリエット。圧巻のフリーでした。いつも回転が心配なコンビネーション、今期ミスが目立つループとサルコウ、心配な3つを超えて後半へ。3連続こそステップアウトがありましたが、もうあとは圧巻。ステップからコレオと長く続く見せ場も素晴らしく、最後の締めはレイバックスピン。全ジャッジ+5の真満点評価。美しいジュリエットでした。フリー150.02と初の150点超え。トータル228.47 ショートフリートータルすべて自己ベスト。当然首位に立ちました。銀メダル以上確定。ついでに日本3枠も確定。

 

最終滑走、坂本花織選手。真打登場。舞台は整いました。愛の賛歌。優勝するために必要なスコア・・・、とか気分的にはもはやどうでもいいけど149.17が必要。オリンピックの時届かなかった背中を中野先生にしっかり叩かれて送り出されてスタート。

最後の最後の演技。心配はいろいろありました。やっぱり特に後半。オリンピックから今回までの間に国内ローカルも1つでてましたが、そこでも3-3しくじってましたし。次の3連続、オリンピックも団体戦で入ってませんでしたが国内ローカルでも回転不足付いてました。全部杞憂でした。完璧を辞書で引いたらこれが乗っていた、みたいな演技。最後にこれが出来てしまうんですね。すごい選手でした。ジュニア2年ルールの時代にジュニア4年やっていた選手がここまで来るとは。フリー158.97 トータル238.28はいずれもパーソナルベスト更新。4度目の世界選手権制覇。今世紀最多です。標準構成の完成形。1つの時代がこれで完成し、これで終わった、ということのように感じました。

 

 

今回は結局、坂本花織選手のための試合、といった終わり方でした。日本はワンツー。千葉選手もチャンスだったとは思うのですが、今回は坂本選手のための大会だったので仕方ない。ピンツァローネ選手は素晴らしかったです。

残念だったのはやはりアンバーグレン選手。26歳で臨んだ今大会。引退する坂本選手より年上なんですよね。あと何回チャンスあるでしょう? ワールドのメダルを取らせてあげたかったような気はします。

来期3枠は日本アメリカ、2枠はベルギー、イタリア、エストニア、ジョージア、韓国となりました。来期はどんなメンバーになりますかね。日本は待望の島田麻央選手がシニアに上がってきます。アメリカ、アリサリウ選手、今回休んだだけで来期はちゃんと出てくるか? 補欠繰り上げを辞退したテネル選手の去就も気になります。ベルギーもヘンドリックス選手、どうかなあ? オリンピックが終わる、というのは世代交代が起きる、ということ。やはり、寂しさも感じる試合でもありました。

 

 

次回は男子の時系列振り返りをして、その後数値編へ続きます