世界選手権26 女子シングルレビュー1

前回、感想ということで文章を並べたところから少し時間が経ってしまいましたが、今回からは数値編になります。

総合順位は感想のところで出しましたので飛ばして、それぞれの中身に最初から入ります。

 

○総合上位6選手のショートプログラム構成

  Kaori SAKAMOTO Mone CHIBA Nina PINZARRONE Isabeau LEVITO Lara Naki GUTMANN Amber GLENN
1 3Lz 3F+3T 2A 3Lz!+3Lo 3T+3T 3A
2 FCSp4 2A 3Lz+3T 2A 2A 3F+3Tq
3 2A FCSp4 FCSp4 FCSp3 FCSp4 FSSp4
4 3F+3T 3Lz 3Lo 3F 3Lz 3Lo
5 CCoSp3 CCoSp4 CCoSp4 StSq3 SSp4 StSq4
6 StSq3 StSq4 StSq4 CCoSp3 CCoSp4 LSp4
7 LSp4 LSp4 LSp4 LSp4 StSq3 CCoSp3
Base 31.85 32.59 32.09 31.73 30.69 35.49
GOE 9.57 9.84 7.09 6.04 5.39 3.44
PCS 37.89 36.02 32.64 34.39 33.25 33.72
Total 79.31 78.45 71.82 72.16 69.33 72.65
AvGOE 3.651 3.587 2.778 2.683 2.254 1.556

ショートから上位2人とその下で少し差が付きました。トリプルアクセルを入れたのはアンバーグレン選手のみ、それは成功させたのですが、次のコンビネーションでqが付いた分、意外と点は出なかったという印象。坂本選手は完璧に見えてスピンステップでレベル3があります。ここのレベルを取れていれば80点に乗せてパーソナルベストまで届いていました。千葉選手がスピンステップオールレベル4でノーミスです。

基礎点としてはグレン選手が当然1番高くなります。レビト選手はルッツループ入れたのですがスピンステップでレベル3があって31点台。坂本選手は1.1倍コンビネーションですが同じくレベル3があって31点台です。ピンツァローネ選手はフリップ無しのループ構成ですがノーミスで32点台の基礎点となりました。グットマン選手はコンビネーションがトーループ-トーループで元から構成として基礎点が低いです。そこにステップレベル3があったことで30点台の基礎点になりました。

加点は千葉選手が坂本選手より高く、技術点は千葉選手のが上でした。ピンツァローネ選手も7点を超える加点を得ています。

PCSは坂本選手が37.89という驚異的な評価を受けています。自己最高です。千葉選手も9点平均を超える36点台を出してきました。2シーズン前は初めて1度だけ32点を超えた32.31が最高、昨シーズンまでのベストは34.10だったのが今季それを上回るスコアを4回出して5回目でついに36点台。じわじわコンポーネント評価が上がってきています。この中だとピンツァローネ選手がややPCS評価が落ちますが、この32.64でも自己最高評価でした。

7要素の全ジャッジの平均評価をAvGOEとして出していますが、坂本選手、千葉選手は+3台後半という極めて高い評価となりました。グレン選手はトリプルアクセルで加点がほとんどつかなかったことと、コンビネーションのqにより、ここの計算値は低くなっています。

 

○総合7~12位の選手のショートプログラム構成

  Niina PETROKINA Jia SHIN Ami NAKAI Anastasiia GUBANOVA Sarah EVERHARDT Sofia SAMODELKINA
1 2A 3Lz 2A 3F+3T 3Lz+3T 2A
2 3Lzq+3T< 2A 3Lz+3T 2A 2A 3Lz
3 CCoSp4 FCSp4 FSSp4 FCSp4 CCoSp4 FCSp4
4 3F 3F+2T 3Lo 3Lz 3Lo 3F+3T
5 FCSp4 CCoSp4 LSp4 StSq2 FSSp4 LSp2
6 StSq3 StSq4 StSq3 CCoSp4 LSp3 StSq2
7 LSp4 LSp4 CCoSp4 SSp4 StSq3 CCoSp4
Base 31.09 29.76 31.29 31.09 30.99 30.85
GOE 3.08 4.14 4.70 5.62 6.35 5.08
PCS 33.12 31.34 33.11 33.21 31.40 31.02
Total 67.29 65.24 69.10 69.92 68.74 66.95
AvGOE 1.683 1.952 1.698 2.175 2.413 1.968

この領域の選手たちはトリプルアクセルは入りませんでした。中井選手はアクセルがダブルになっています。そういうミスがあってもこの領域の選手の中では一番高い基礎点構成になっている、というのがやはり強いです。

ペトロキナ選手はコンビネーションで回転不足、シンジア選手は最初にコンビネーションが入らずリカバリーで2回転に。グバノワ園主はステップがレベル2、サモデルキナ選手はスピンステップでレベル2が2つあり、ということで基礎点伸びてませんサラエバーハート選手もスピンステップでレベル3があって基礎点30点台となりました。

加点は各選手程々ですが、エバーハート選手が6.35あって高めです。

PCSはグバノワ選手とペトロキナ選手に中井選手が8点平均を超えて、33点台ありました。シニア1年目ながら中井選手も、極めて高いとまでは行かないですが、しっかり高めのPCSを出せるところが強いです。

AvGOEはエバーハート選手が+2台半ばまでもらって高かったです。グバノワ選手も+2台あります。中井選手はトリプルアクセル抜けダブルアクセルが大きなマイナス評価となっていましたが、それ以外もやや低めでした。

 

○総合上位6選手のフリーの構成

  Kaori SAKAMOTO Mone CHIBA Nina PINZARRONE Isabeau LEVITO Lara Naki GUTMANN Amber GLENN
1 2A 3F+3T 3Lz+3T 3Lz!+3Lo<< 3Lz+1Eu+3S 3A
2 3F 3Lo 3F 2A 3F 3F+3T
3 3Lz+2T 3S 3Lo 3T 3Lo+2T 3Lz+2T
4 FSSp4 2A 2A 3S 3Lo 3S
5 StSq4 FCCoSp4 FCCoSp4 FCCoSp4 CSp4 FSSp4
6 3S 3Lz+2A 3Lz+2A+2T 3F+2Aq CCoSp4 1Lo
7 3F+3T 3Lz+2T+2Lo 3Lo+2T 3Lz+2T+2Lo 3Lzq 3F+A
8 2A+3T+2T 3F StSq4 3F 3T+2Aq CCoSp4
9 ChSq1 CCoSp4 3S LSp4 2A 3Lo
10 3Lo StSq4 CCoSp3 ChSq1 StSq4 StSq4
11 CCoSp3 ChSq1 ChSq1 StSq3 ChSq1 ChSq1
12 FCCoSp4 LSp4 LSp4 CCoSp3 FCCoSp4 LSp4
Base 62.02 64.34 62.80 59.98 61.97 56.87
GOE 18.85 13.49 12.12 6.20 6.89 6.96
PCS 78.10 72.19 68.46 68.65 66.93 66.64
Total 158.97 150.02 143.38 134.83 135.79 130.47
AvGOE 3.667 2.722 2.463 1.630 1.481 1.194

上位6人の中でトリプルアクセルを入れたのはアンバーグレン選手のみでした。2回飛ぶジャンプがルッツとフリップな千葉選手、レビト選手、ルッツとループなピンツァローネ選手、グットマン選手、グレン選手、フリップとトーループな坂本選手です。セカンド3回転2本使いという一昔前にはやった構成は坂本選手だけになりました。レビト選手はルッツループを入れていますが単独のトーループがあるので、基礎点的には優位性はありません。3連サルコウを入れたのがグットマン選手。セカンド3回転が無いですが、3T+2Aを入れることで、7トリプルを作れていて、大きく見ると基礎点ビハインドは無いです。細かく見ると2Tが1つで1Euになる分ビハインドはあります。グレン選手は後半ジャンプの抜けが目立ち3連続も入らず基礎点が下がっています。結局1番高い基礎点はスピンステップもオールレベル4揃えた千葉選手の64.34です。

加点は坂本選手が驚異の18.85 基本の3回転構成でここまでの加点を得るのは極めて難しいのですが、驚異的な完成度でした。表彰台に乗った千葉選手、ピンツァローネ選手も二桁加点を得ています。グレン選手はミスが目立ったのですが加点はしっかり稼いでおり、決まったジャンプの質は悪くなく、ジャンプの抜けが点が出なかった要因ということになっています。

PCSは坂本選手が78.10と、9.5平均を上回るところまで出しました。当然自己最高です。千葉選手も9点平均超えで72.19 2シーズン前の世界選手権は63.44 表彰台に乗った昨季でも68.27ですから、ショートでもそうでしたがPCS評価の高まりがすごいです。

AvGOEが坂本選手は+3.667 要素1つでも+3台後半の評価を受けるのは大変なのに、要素12個の平均で+3台後半というのは、ほとんど考えられません。千葉選手、ピンツァローネ選手も+2台の評価は受けています。

 

○総合7~12位の選手のフリーの構成

  Niina PETROKINA Jia SHIN Ami NAKAI Anastasiia GUBANOVA Sarah EVERHARDT Sofia SAMODELKINA
1 2A+3T 2A 3A<< 3F+3T 3Lz 2A
2 3Lz 3Lz+3T 3Lo+2T 3Lo 2A+3T 3F
3 3Lo 3S 3Lz+3T 3Lz 3F 3Lz<
4 3F< 3Lo 3S 3S 3Lo+2A 2A+2T
5 FCCoSp3V CCoSp4 FSSp3 FCSp3 CCoSp3 FCSp4
6 3Lz+2A+2T 1F ChSq1 3Lz+2A<+2T StSq3 StSq3
7 3F+2T 3F+2A 1Lz 3F< 3Loq 3Lz+REP
8 StSq3 3Lz+2T+2Lo 3F!+2A+2A 2Aq+2T 3Lzq+2T+2Lo 3F+3Tq
9 3S FCSp4 3Lo StSq3 3S< 3Lo+1Eu+3S
10 CCoSp4 StSq4 StSq4 ChSq1 FSSp4 ChSq1
11 ChSq1 ChSq1 LSp3 CCoSp4 ChSq1 LSp1
12 LSp4 FCCoSp4 CCoSp4 SSp3 FCCoSp3 CCoSp3
Base 60.83 59.50 58.44 59.84 61.16 57.58
GOE 6.71 11.55 7.94 4.09 4.97 1.88
PCS 67.44 65.60 65.52 64.96 62.56 61.12
Total 134.98 136.65 130.90 128.89 128.69 120.58
AvGOE 1.435 2.241 1.315 0.889 1.028 0.639

ここの領域では中井亜美選手がトリプルアクセルを入れましたがダウングレードとなりました。2回飛ぶジャンプはルッツとフリップなペトロキナ選手、シンジア選手、グバノワ選手、サモデルキナ選手、ルッツとループな中井選手、エバーハート選手です。スピンステップオールレベル4取れたのはシンジア選手だけでした。意外と各選手レベルを取るのに苦労した今大会です。

加点はシンジア選手が二桁とりました。中井選手が7点台あってこの辺はさすがです。サモデルキナ選手はルッツの2ミスが痛く加点はあまり得られませんでした。

PCSはペトロキナ選手が8.5平均に近いところまでもらいました。シンジア選手、中井選手、グバノワ選手が8点平均超えです。

平均評価がシンジア選手は+2超えありました。中井選手は+1台前半。優勝したフランス杯では+2.5程度あったのですが、それ以外の試合は+1台にとどまっています。グランプリファイナル、4大陸、オリンピック、と表彰台まで行くけど勝ち切れない、というのが実はこのあたりにあって、アクセル以外にちょっとミスが出ることで、わずかに勝てないというところでした。そこまでそろうと頂点が見えます。

 

 

次回へ続きます。