23-24 リヴィアカイザー

2004年10月2日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$7,000

世界ランキング:34位

シーズンランキング:21位

シーズンベストスコア 194.72(21位) ヨーロッパ選手権

ショートプログラムシーズンベスト 66.31 ヨーロッパ選手権

フリーシーズンベスト 128.41 ヨーロッパ選手権

スピンレベル4率 31/48 = 64.6%(国際大会:28/42 = 66.7%)

ステップレベル4率 7/16 = 43.8%(国際大会:6/14 = 42.9%)

スピンオールレベル4 0/8(国際大会:0/7)

スピンステップオールレベル4 0/8(国際大会;0/7)

ジャンプ回転不足率 5/80 = 6.25%(国際大会:5/70 = 7.14%)

ジャンプ回転不足なし 3/8(国際大会:2/7)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/8(国際大会:0/7)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Nebelhorn Trophy 4 169.47 57.72 111.75
CS Budapest Trophy 4 170.39 62.77 107.62
IC Swiss Ice Skating Open 5 137.55 63.61 73.94
CS Warsaw Cup 5 173.20 65.21 107.99
NC Swiss Championships 3 158.07 46.90 111.17
EC European Championships 4 194.72 66.31 128.41
IC Bavarian Open 1 175.32 63.64 111.68
WC World Championships 9 187.24 64.05 123.19

リヴィアカイザー選手は2004年生まれ、シーズン開始時に18歳。昨季は世界ジュニアに出て22位。ヨーロッパ選手権18位。まだまだ無名の選手でした。年齢的にはジュニアグランプリシリーズに出場することも出来ましたが、今期はそちらには出場せず、シニアでの試合に専念することにしたようです。

 

初戦は9月中旬にチャレンジャーシリーズ、ネーベルホルン杯。スイス勢が目立つ試合でしたが169.47の4位。レポンド選手が191.94で2位に入っているのと比べるとだいぶ差がありますが、パガニーニ選手の168.96は僅差で上回りました。スイスの世界選手権の枠

は2つありますのである程度意味のある事です。この169.47はパーソナルベストでもありました。

2戦目は10月に入ってブダペスト杯。ここはショートフリー共に3Lz+3Tを決めて170.39 2試合続けてパーソナルベスト更新で4位に入ります。

 

10月の終わりにはスイスで行われたB級大会に出ますが、これはフリーで4転倒という散々な出来でした。

グランプリシリーズの枠は持っていません。補欠で回ってきそうな雰囲気も無いという領域の選手。11月にはチャレンジャーシリーズに三度挑んでのワルシャワ杯です。ショートプログラム、全要素プラス評価で65.21とパーソナルベスト更新で首位発進となりますがフリーはアクセルがシングルになったりスピンのレベルが取れなかったりで思ったほどはスコア伸びず107.99止まりでトータル173.20 170点台が4人いる混戦の中で5位に終わりますが、それでもチャレンジャーシリーズ3戦で3戦連続パーソナルベスト更新となりました。

 

12月には、実は昨季優勝しているスイスナショナルがあります。大事な試合でしたが今季好調だったショートでまさかの2転倒。46.90で5位、厳しいスタートとなります。フリーはワルシャワカップと似たような展開で最後のアクセルがシングルになりスピンのレベルも取れずですが、前半のジャンプで稼いで111.17まで出してトータル158.07 何とか3位。面目は保った形になりました。

 

1月、ヨーロッパ選手権へ。昨季は18位。パーソナルベスト173.20はまだまだ表彰台争いをする選手として挙がって来る名前ではなく、ショートプログラムは33人出場中の16番滑走で登場。ここで得意のショート、ナショナルの轍を踏むことなく全要素プラス評価を得て66.31とまたもショートのパーソナルベスト更新。全体終わった時点で4位に付けます3位とは2.65差。フリーはあまり得意ではないもののチャンスはある点差です。

フリーは初の最終グループで1番滑走。雰囲気にのまれそうな場面でしたが結果的には3連続の3つ目でアンダーローテーション取られたくらいで大きなミスなし。今回はスピンステップもすべてレベル4取りました。フリー、初の120点台で128.41 トータル194.72で20点以上パーソナルベストを更新。首位に立って残りの選手にプレッシャーを掛けます。最終的には上位3人がいい演技をして4位。表彰台には届きませんでしたが大躍進となる試合でした。

 

2月のババリアンオープンで国際大会初優勝したのを挟んで3月に世界選手権へ。

ワールドは初出場。どこまで上位と勝負できるか? はっきりとチャレンジャーの立ち位置での試合になります。

ショートプログラムは15番滑走で登場。目立ったミスなくまとめて64.05 さすがの得意なショート、この時点で首位に立ちます。後半グループには抜かれていきますがそれでも10位で折り返します。

フリーは後半グループに入りました。第3グループ2番滑走。これも大きなミスは無く滑り切り123.19まで出しました。トータル187.24で10人残して3位。その後、もしやこれスイス3枠入るのでは? というような展開を見せて最終順位は9位。レポンド選手の5位と合わせて14となりわずかに3枠には届きませんでしたが、見事な1桁順位フィニッシュとなりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Nebelhorn Trophy 169.47 94.72 74.75 62.34 5.27 17.57 9.54
Budapest Trophy 170.39 86.46 84.93 57.25 -1.97 20.12 11.06
Swiss Ice Skating Open 137.55 71.55 72.00 49.86 -7.04 19.48 9.25
Warsaw Cup 173.20 90.94 82.26 62.45 -2.37 18.57 12.29
Swiss Championships 158.07 84.74 75.33 55.72 -1.62 18.83 11.81
European Championships 194.72 105.94 88.78 65.97 5.04 21.70 13.23
Bavarian Open 175.32 91.87 85.45 61.74 -1.08 19.25 11.96
World Championships 187.24 101.30 85.94 66.34 4.61 19.38 10.97

スコアは160点台からスタートしました。今シーズンの最初はこの160点台でもパーソナルベストです。それがものの半年で194.72まで伸ばしました。今シーズン全選手中21位、ISU公認なら19位というところまで一気に伸ばしていきました。

技術点もヨーロッパ選手権、世界選手権というチャンピオンシップ2試合で100点台に乗せました。105.94は今シーズン全選手中18位、ISU公認で17位にあたります。

PCSの方は80点台が標準です。ヨーロッパ選手権で88.78というのが最高。7点平均は超えていますが7.5平均までは届いていません。

ジャンプの基礎点は60点台は基本的には出していて、66.34が最高でした。今シーズン全選手中12位、ISU公認だけなら11位という高い基礎点です。一方でGOEの方はほとんどの試合でマイナスです。ネーベルホルン杯では+5.27まで出していました。

スピンは20点に届かない試合も多いです。ヨーロッパ選手権で21.70というのはありました。

ステップ系要素も11点台が多い中でヨーロッパ選手権だけは13.23まで出しています。

ジャンプの基礎点でスコアを確保するという選手です。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Nebelhorn Trophy 54.02 61.72 66.41 39.15 42.11 45.99
Budapest Trophy 54.36 56.28 51.58 49.44 49.56 54.37
Swiss Ice Skating Open 42.27 48.39 41.19 46.85 40.69 43.72
Warsaw Cup 55.40 61.84 50.76 43.19 55.59 52.17
Swiss Championships 49.83 54.65 52.30 44.23 53.24 46.47
European Championships 63.32 65.60 65.94 55.81 60.20 57.55
Bavarian Open 56.18 61.08 53.40 45.93 53.97 54.80
World Championships 60.57 65.99 65.06 46.45 49.12 55.21

偏差値で見るとトータルスコアは50前後の普通の選手だったのが、チャンピオンシップでは60を超えるいい選手になっています。

ジャンプの基礎点は60台の偏差値を普通に出していて、60台中盤まで出します。

加点の方は50前後の普通の領域が多いですが、これもいい時に60台中盤の偏差値が出てきます。

スピンは40台で平均以下が標準。ヨーロッパ選手権だけ55.81と平均を超えていきます。

ステップ系要素も50前後が標準でヨーロッパ選手権だけ60を超えました。

PCSはシーズン後半に50台中盤まで上げてきています。

ジャンプで稼ぐ。スピンは苦手、という構図です。

 

リヴィアカイザー選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートは右寄りです。ただジャンプも安定しているわけではないのでそういう時には全体が縮む形になります。

下がだいぶ凹んでいるなあ、というのも見て取れます。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○世界選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   0.59 10.69 1.000
2 2A   3.30   0.61 3.91 1.778
3 LSp4   2.70   0.54 3.24 2.000
4 3F   5.83 x 1.29 7.12 2.333
5 FSSp4   3.00   0.09 3.09 0.333
6 StSq4   3.90   0.67 4.57 1.667
7 CCoSp4   3.50   -0.05 3.45 0.000
  TES   32.33   3.74 36.07  

ショートプログラムの基礎点は32.33があります。ルッツからのコンビネーションで単独ジャンプはフリップを1.1倍に飛ぶ。スピンステップオールレベル4で32.33です。

基礎点上げるにはコンビネーションを1.1倍に持っていくという手はあって、そうすると0.48基礎点が上がって32.81に出来ます。

ただ、基礎点上げていくよりもスピンでしっかり加点を取れるようにする方が、たぶんスコアを上げていくには早そうです。カイザー選手はスピンのレベル4率は7割近く極端に低いわけではないのですが、加点の方が普通にマイナスが出ることも多く、出来栄えが出せるようにしたいところかと思われます。

 

ヨーロッパ選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
2 3Fq+2A+SEQ q 8.60   -0.53 8.07 -0.889
3 3F   5.30   0.53 5.83 1.111
4 3S   4.30   0.68 4.98 1.444
5 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.444
6 3Lz+2T+2Lo< 9.42 x -1.18 8.24 -2.000
7 3Lo   5.39 x 0.14 5.53 0.222
8 2A   3.63 x 0.47 4.10 1.444
9 StSq4   3.90   0.72 4.62 1.889
10 FSSp4   3.00   0.47 3.47 1.556
11 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.889
12 FCCoSp4   3.50   0.25 3.75 0.889
  TES   63.64   4.88 68.52  

フリーはヨーロッパ選手権の63.64が最高でした。2回飛ぶジャンプはルッツフリップ。シークエンスのアクセルあり、セカンド3回転あり、3連続もしっかり入っています。ただ、ダブルループのアンダーローテーションがあってその分基礎点削られています。その分0.37基礎点下がっているので、ここの回転もしっかりできていれば64.01と64点台の基礎点になります。1.1倍のジャンプがやや弱く、コンビネーションをここにもう1つ持ってくることができればさらに基礎点も上げられるのですが、高難度ジャンプ無しで64点台の基礎点が組めるなら細かく基礎点上げる努力はいらないように感じます。

 

○平均GOE2.100以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Swiss Ice Skating Open SP 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 3.000
Swiss Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.800
Nebelhorn Trophy FS 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.714
Budapest Trophy SP 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.714
European Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
Budapest Trophy SP 2 2A   3.30   0.86 4.16 2.571
European Championships FS 5 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.444
Warsaw Cup SP 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.429
Bavarian Open FS 1 3Lz+3T   10.10   1.38 11.48 2.400
Bavarian Open SP 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.400
European Championships SP 4 3F   5.83 x 1.29 7.12 2.333
European Championships SP 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.333
World Championships SP 4 3F   5.83 x 1.29 7.12 2.333
Nebelhorn Trophy FS 2 2A+3T   7.50   0.92 8.42 2.286
Budapest Trophy SP 3 LSp4   2.70   0.59 3.29 2.286
European Championships SP 3 LSp4   2.70   0.62 3.32 2.222
Swiss Ice Skating Open SP 4 3F   5.83 x 1.06 6.89 2.200
Warsaw Cup SP 3 LSp4   2.70   0.59 3.29 2.143
Warsaw Cup SP 2 2A   3.30   0.73 4.03 2.143
Budapest Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.143

評価の高い要素はジャンプです。ショート、フリー、それぞれ冒頭に飛ぶ3Lz+3Tが高評価を受けています。非公認ですがB級大会では+3.000の評価を受けたこともあります。これは3Lz+3Tとしては今期全選手中2位の高評価です。ISU公認ではネーベルホルン杯の+2.714で今期全選手中5位の評価となります。

 

○セカンド3回転の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nebelhorn Trophy FS 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.714
Nebelhorn Trophy FS 2 2A+3T   7.50   0.92 8.42 2.286
Budapest Trophy SP 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.714
Budapest Trophy FS 1 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.714
Budapest Trophy FS 2 2A+3T   7.50   0.84 8.34 1.857
Swiss Ice Skating Open SP 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 3.000
Swiss Ice Skating Open FS 2 1A+3T F 5.30   -2.10 3.20 -5.000
Warsaw Cup SP 1 3Lz+3T   10.10   1.53 11.63 2.429
Warsaw Cup FS 1 3Lz+3T   10.10   -0.83 9.27 -1.286
Warsaw Cup FS 2 2A+3T   7.50   -0.67 6.83 -1.429
Swiss Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.800
European Championships SP 1 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.333
European Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
Bavarian Open SP 1 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.400
Bavarian Open FS 1 3Lz+3T   10.10   1.38 11.48 2.400
World Championships SP 1 3Lz+3T   10.10   0.59 10.69 1.000
World Championships FS 1 3Lz+3T   10.10   1.01 11.11 1.667

GOE高評価のところでも出しましたがショート、フリーそれぞれ冒頭で3Lz+3Tを飛びます。シーズン前半はフリーでは2A+3Tも入れていました。

3Lz+3Tは今季13回飛んでGOEマイナスは1度だけ。この難しいコンビネーションをこれだけの確率で決めてくる選手はなかなかいません。今期の躍進を支えました。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nebelhorn Trophy FS 6 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 0.24 10.03 0.286
Warsaw Cup FS 6 3Lz+2T+2Lo< 9.42 x -1.06 8.36 -1.571
Swiss Championships FS 6 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 0.98 10.77 1.800
European Championships FS 6 3Lz+2T+2Lo< 9.42 x -1.18 8.24 -2.000
World Championships FS 6 3Lz+2T+2Loq q 9.79 x -1.01 8.78 -1.778

今期は8試合出ているのですが、3連続が入ったのは5試合だけでした。その5回もGOEプラスの成功ジャンプは2つだけです。3つ目のループの回転が足りなくなる傾向があります。

 

○単独ルッツの要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Budapest Trophy FS 6 3Lz   6.49 x -2.24 4.25 -3.857
Swiss Ice Skating Open FS 1 3Lz F 5.90   -2.95 2.95 -5.000
Swiss Ice Skating Open FS 6 3Lzq+REP F 4.54 x -2.95 1.59 -5.000
Swiss Championships SP 1 3Lzq F 5.90   -2.95 2.95 -5.000
Bavarian Open FS 6 3Lz< F 5.19 x -2.36 2.83 -5.000

単独ルッツという要素もあります。ただこれは、実際にはコンビネーションを飛ぼうとしたときに失敗したもの、となるのですが、ルッツで4回転倒がありました。ショートフリーで3回飛ぶと8試合で24回飛ぶわけですが、その中4転倒。確率的にはそれほど高くは無いですが、それでもミスした時には転倒にまで行ってしまうという難しさがあり、得意の3Lz+3Tがそれによって不発に終わると、そのまま全体のスコアが伸びない、ということもありました。

 

ほぼ無名のところから、今期一躍ヨーロッパの主役級、世界でもダークホースくらいの位置付けにまで上がってきました。ヨーロッパ選手権4位、世界選手権9位、ISU公認シーズンベスト19位。これだけあれば来期はグランプリシリーズ2枠が回って来るだろうと思われます。来期はオリンピックの枠取りも掛るシーズン。レポンド選手と2人で3枠持って帰れるか、という勝負にもなります。ジャンプ以外の要素も伸ばして200点に手が届けばあるいは、というところに入るように思えます。