四大陸選手権あるいは日米韓三か国対抗戦

女子シングルは、普通に三強が表彰台に乗り、普通に二連覇するという、なんだか大方の予想通りの展開だったのではないかと思われます

その下も、順当に9位まで、日米韓の各選手が並びました

 

紀平選手の連覇ばかりが強調されていて、あまり触れられていないような気がしますが、これで女子シングルは日本勢の5年連続優勝です。宮原知子-三原舞依-坂本花織-紀平梨花-紀平梨花で5連覇。全米選手権がたいてい近すぎる時期にあるので、アメリカ勢があまりここに調子を合わせてこなく、ほかはあまり強くない、ということで日本が勝ちまくりたまにアメリカも勝つ、というのが四大陸の構図でした

ちょっと意外なのは、カナダ勢の優勝というのが一度もないんですね。ケイトリンオズモンドさんは表彰台にも乗っていない。ジョアニーロシェットさんも最高位が2位。デールマン選手が不調に陥ってしまったので、最近はカナダ勢も勝負に絡んでこなくなりました、

代わりに台頭してきたのが韓国勢。パクソヨン-チェダビン時代は表彰台には絡んできませんでしたが、旗頭ユヨン選手がシニアに上がって、一気に200点ランカーが増えて日米と渡り合う勢力になってきました。

 

という流れで今大会は8位までが200点に乗っています。表彰台に乗るにはヨーロッパ選手権の方が大変ですが、4位以下、上位に入るには四大陸の方が大変という構図。

見ている分にはヨーロッパ選手権より四大陸の方が楽しめます。

 

表彰台は今シーズン結果を出している3人がしっかり並びましたが、順番はどうでしょう。

ユヨン選手、いい演技でした。ただ、表現面では紀平選手、ブレイディテネル選手とやや差を感じる部分もありました。そういう観点で見ると、PCSはそこまでいくかなあ、と見るかあるいは、あとの二人がもう少し出てもよいかなあ、と見るか。まあ、大会は興業でもあるので、僅差なら地元が上に出るというのは、ある程度はあってもおかしくはないんでしょう。フリーのトリプルアクセルは美しかった。

今の時点だとまだトリプルアクセルはショートフリーで1本づつ。PCSも地元力があっても今回の表彰台3人の中では一段落ちる。ステップでレベル4率はあまり高くない、というあたりの課題がまだ直近あって、今の段階ではコーチも同じになりましたし、上位互換で紀平梨花選手がいるという感じになっているのですが、その辺は時間の問題として克服していって、そう遠くない時期に230点台までは届いてくるんだろうな、と想像されます。

 

ブレイディテネル選手はチャンピオンシップ初表彰台。19歳までジュニアで滑っていたという選手なので、シニアデビューは坂本花織選手が同期なのですがすでに22歳。日本なら宮原知子選手や新田谷凜選手と同じ年です。アメリカは二十歳過ぎてから延びる選手が結構いて、ロシアとの大きな傾向の違いを感じます。今シーズンは210点台をグランプリシリーズ3戦で出して、四大陸は220点台についに乗せてきました。フリー冒頭のルッツトーがしっかり決まれば2位まで来たのですけど、もったいなかったかな。ただ、構成的にそろそろ限界点なので、230点台に乗せての勝負、というのはちょっと厳しそうです。世界選手権ではシーズンベスト6番手として臨むことになるのですが、シーズンベスト7番手のマライアベル選手と合わせて次シーズンの3枠可能性が結構出てきましたかね。ユヨン選手や宮原知子選手あたりとの関係でアメリカ三枠なるか、というのが決まってきそうです。

 

四位は樋口新葉選手。二シーズンぶりのチャンピオンシップ復帰はまずまずの結果なんでしょうか。207.46のシーズンベスト。これで、まずは来期のグランプリ枠2枠を確実にしましたかね。実はまだ今シーズンは181.32しかもっていなかったので、そのベストのままだとちょっと心配がありました。ショートフリーの技術点演技構成点、すべてでシーズンベスト。現行ルールになってからの二シーズンでの自己ベストでもあります。ただ、旧ルールとはいえ210点台を何度も出している選手ですので、まだ完全復活というところまでは行っていないように感じます。

トリプルアクセルは6分間練習を見ている限りだと、これはいけるんじゃ、と思いましたが、そうは甘くなかったですね。でも、次は決まるんじゃ、と期待が持てる流れでした。決まればフリー140点台に乗りますし、トータルも210点台まで乗ります。ただ、トリプルアクセル決めても210点にのるくらい、というのはちょっと低い。

上位3人と比べて加点がいろいろと弱めでした。GOEが平均で+3を超えたのはショートフリー共にステップのみ。ステップで+3を超えるのは結構大変なので、その点はすごいのですが、ジャンプでもうちょっとGOEを稼がないと上位での勝負は難しい、という構図になっています。また、スピンの加点も、今回の日米韓9選手の中で一番下。ステップで加点は取れるのだけど、演技中盤に入るコレオでは加点があまり取れず。スピンなんかはすべてレベル4なだけでなく、構成的にも基礎点が高いものが入っていて、今大会全選手中最高点でした。基礎点は上位とそん色ないのだけど、加点差が大きくて、表彰台とは大差がついたという構図。

あのトリプルアクセルなら、来シーズンはショートフリー両方で使えて、オリンピックシーズンには合計3本、くらいにはたどり着けそうに感じましたので、それを装備したうえで加点を各要素で取れるとだいぶいいところで勝負できるところまで行けるんじゃないでしょうか。流れ的には昨シーズンのトゥルシンバエワ選手の四回転のような感じがするので、世界選手権で飛べるんじゃないかな

 

坂本花織選手が5位。まさかの四回転トーループ。国体の情報出てきたときはかなり驚きましたが、練習開始したのが今年になってから、というのもさらに驚かされました。あの展開の中で四回転トーループを冒頭に入れたあたりは、坂本選手にとってこの四大陸選手権は、あまり結果にこだわりのない試合だった、ということでしょうか。すでに持っているタイトルでもありますし、世界選手権への調整もないですし、来シーズンに四回転を入れるための布石として、飛べなくてもとにかく入れる、という感覚。紀平選手とは考え方がずいぶん違いますが、それはそれでありなんだろうと思います。ただ、四回転はフリーでしか使えない。抜けて単独のトリプルトーループになりやすい危険もある。女子の四回転トーループ装備は、あまりお得感がないんですよね。相当成功率を上げた上でフリー二本使いまでもっていかないと、トリプルアクセルと比べてはっきり劣る。先行き厳しいなあ・・・

本人も語ってましたが、四回転トーループで転倒した後、どう立て直すかだったのですけどうまくいかなかったですね。二本目のジャンプのトリプルフリップは、転倒の後のダメージが残ったままのジャンプにみえてうまくいかず。冒頭ジャンプが四つ要素として続くのですが、見ていると、冒頭に転倒する可能性の高いジャンプを入れている、というのを配慮した流れにたぶんなってないな、と感じました。間があまりないまま立て続けにジャンプ要素が入って来る。冒頭がダブルアクセルなら問題ないんでしょうけど、四回転トーループで派手に転んで、となるとつらそうでした。今シーズンは冒頭トリプルアクセル前提のプログラムだったと思うんですけど、なんか今更ながら容赦ない構成だなあ、という感じです

今回はショートフリーともに、得意のトリプルループもしっかり決まらず、全体的にジャンプが今一つでした。ジャンプの加点がトータルでマイナスになったのは日米韓の9人の中で坂本選手だけで、基礎点も合わせたジャンプで得た得点も9人中最低です。それでも5位にまで入ってきたのは総合力の高さの証ではあったのだろうと思います。ステップ系要素の加点は全体トップでしたし。フリーでは転倒があったにもかかわらず、トータルのPCSは全体3番目で残っています。

ノーミスマトリックス見たいんですけど、来シーズンどうでしょう?

 

6位はキムイェリム選手。パーソナルベストで200点ランカーの仲間入り。フリーだけなら大きなミスなく4位でした。紀平選手と同じく昨シーズンシニアデビューの選手。ただ、グランプリシリーズは今シーズン初めて、それも1戦のみの出場でした。そこからの200点越え。そつなくこなしたなあ、という印象でした。ショートフリー合わせたPCSは全体8番目とあまり伸びていません。一方でジャンプで得た点数は表彰台3人に次ぐ四番目。スピンステップもレベル3が目立って、まだまだ伸びしろある中で200点に乗ったキムイェリム選手ですが、世界選手権では、各国3枠争いのカギを握る選手になりそうな立ち位置になってきたでしょうか。

韓国はユヨン選手が5位までくれば、もう一人が8位に入れば3枠。シーズンベストは、日米露の8人に及ばず全体10番目になるはずですが、宮原選手、樋口選手、あるいはマライアベル選手あたりの上まで行くチャンスはある。そこまでいくとアメリカ三枠が消えそうだし、日本も危うくなってくる一方で韓国が3枠になる。この選手の点が伸びないと、日本勢は3枠確保が楽になります。日米韓3枠争いのキーマンです

 

7位は復活カレンチェン選手。旧ルールのベストスコアは世界選手権4位の時の199.29で、200点に乗ったことはなかったのですが、今大会で200点ランカーの仲間入りしました。これで来シーズンのグランプリシリーズもちゃんと枠が確保できそう。

フリーで最終グループに入れなかったことも影響したのかと思いますが、PCSはもうちょっと出してあげて欲しかったなあ、という印象でした。コレオシークエンスの加点は坂本選手に次いで全体2位。アメリカの女子選手が多くやる、あのスパイラル、私の中ではアメリカンスパイラル、とかいう単語が頭の中にあるのですが、身長はそれほどないはずなのに、よく映えていたと思います。スピンで得た得点も全体で2番目。ジャンプの回転不足がショートフリー合わせて4つあったのが痛くて、そこがしっかり飛べていれば4位まではありました。

ブレイディマライア組で世界選手権3枠取ってくれば、来シーズンは序列的には世界選手権まで入っていける立ち位置の選手。来シーズンはさらに期待です

 

8位に、今シーズンの世界選手権枠を2つにしてきた韓国の功労者イムウンス選手が入りました。国内選手権で表彰台に乗れず、せっかく自分で増やした世界選手権の枠に自分が入れないという悲しい展開。今回も少し元気なかったでしょうか。3-3のコンビネーションなし。それでもセカンドトーループを入れるべく2A-3Tを試みるもそこで転倒しました。そんな関係でジャンプの基礎点は全体9番目と伸びず。一方、加点は、転倒が一つあるにもかかわらず全体で5番目と稼ぎました。そんなわけで3-3無しで200点まで届かせています。2シーズン連続の200点をマーク。技術点演技構成点、ともに100点台とバランスよく点が入っていたのですが、見た目の印象は、演技構成点側にもうちょっと寄っていてもおかしくないんじゃないかな、という感じを受けました。

アルトゥニアン先生のところを離れて自国に帰っていたんですね。まあ、いろいろあったようですし。昨シーズンのベストは世界選手権。今シーズンのベストは、世界選手権の出場権がないので、この四大陸選手権となるのですが、シーズンの一番大きな試合でベストスコアを出してくる、という選手です。来シーズン、韓国が世界選手権に3枠手に入れた場合には、この選手も含めて200点ランカーが3人出てくる可能性があります。展開次第では、日米露韓の四か国から3人づつ、という世界選手権がありえて、そうなった場合アメリカの三番手もそうですが、この選手も韓国の三番手として入ってくることができるので、次のシーズン、すなわちオリンピックの3枠争いが非常に激烈なことになります。

 

 

今回ちょっと不思議だったのが、女子のジャッジが8人しかいませんでした。割と通常はチャンピオンシップ大会はジャッジが9人で、今回も男子はジャッジ9人なのですが、女子はショートフリー共に8人だけ。なんででしょうね??

 

 

全体のレベルが高い、というか、日米韓のレベルが高い四大陸選手権でした

 

 

ドラッグストアはマスクを出し惜しみして

唐突に、マスクの話をします

コロナウイルス対策で街からマスクが消えました

しかしながら、都度都度、小売店に入荷はあるようです

これ、入荷次第、各店は全量放出しているようなのですが、ちょっとまって、少し出し惜しみして、と言いたい

出し惜しみしないで! ではなくて、出し惜しみして!

 

ただし、少し、です。「少し」

 

入荷次第全量放出、というのは、10時開店の店で開店時点で売り出して、30分で売り切れる、みたいな事態を生み出しています

これ、平日にやられると、平日日中に買いに行ける人にしか渡らないんですね

 

一方で、一般人の中でマスクがあった方がいい人、というのがどういう人か?

観光バスの運転手、とか言いたいところもありますが、そういう、職業人として必要な人は雇い主経由で手に入れてね、というのが本線になるでしょう。

なので、一般人として、就労時以外でマスクがあった方がいいというシチュエーションの最たるものは何か? と考えると、通勤電車に乗っている状態、なのではないかと思うのです。

見ず知らずの誰かと、かなり濃厚に接触する。コロナウイルスがいようがいまいが、不快な状況ではあるのですが、そこにコロナウイルス不安が足されるわけです。

 

さて、問題。平日10時開店の店で、開店直後にマスクを売り出して、通勤電車に乗る労働者たちは、マスクを買えるでしょうか?

 

というわけで、小売店がマスクを、入荷次第全量放出、とやると、一番マスクがあってほしい状況の人にマスクが渡らないんですね

まあ、平日の午前10時に買いに行ける人の家には、通勤電車に乗る労働者が一人いる確率は結構たかいですけれど、そういう人を家にいさせられる人しか買えないわけです。

一人で生きる人、共働きな人、マスク買えません。

 

これ、マスクを小出しにすればいくらか解決できます

まあ、開店時にいくらか出しておくのは良いでしょう。その後は、都度入荷みたいな感じにして、12時、昼休み時に出し、17時に出し、19時に出し、閉店

というようにすると、勤め人も買える確率が上がるんですね。その方がマスクが必要な人に直接的にいきわたりやすい。

 

店側にもメリットがあるのではないかと思います。一日の間に何度も集客できますし。朝から並ぶ、マスクハンター的な人ではなく、勤め人を昼夜に呼び込めれば、ついで買いの期待値は高まります。

 

出し惜しみ、というとイメージ悪いですし、本当に何日かため込む出し惜しみをされても、ちょっと困るわけですが、その日のうちには売り切る程度に、一日の中で小出しをする分には問題ないと思うんですよね。

 

というわけで、マスク不足な昨今ですが、ドラッグストアは開店時に全量放出しないで、夕方から夜になって出す分を残しながら、小出しで売るといいんじゃないかな、というお話でした

 

昨シーズンとの立場の違い シニアデビューシーズンと2年目

紀平梨花選手が四大陸選手権を連覇しました

メンバー考えると予想された事柄ではあったかと思いますが、大方の予想通りに優勝。順調に来ていることがうかがわれます

 

今シーズンはチャレンジャーシリーズ以来の2勝目。グランプリ3戦はロシア勢に勝てず2位2位のファイナル4位でしたので、久しぶりの優勝でした。

スコアの232.34はシーズンベスト。ヨーロッパ選手権は優勝スコア240.81でしたので、やはりまだロシア勢には及ばないスコアですが、ヨーロッパ選手権3位のトゥルソワ選手の225.34でしたので、表彰台ラインは超えました。

 

今シーズンの紀平選手は、昨シーズンとはだいぶ違う流れで世界選手権前の主要大会を終えた形となりました。昨シーズンは国際試合全勝で世界選手権へ乗り込みましたが、今シーズンはロシア勢には勝てていない状態のまま世界選手権へ進みます

 

これは、昨シーズンと比べて悪い流れなのか? ということなのですが、実際にはそうではなく、昨シーズンと今シーズンの立場の違いが反映されたものなのではないか、という風に考えます。

昨シーズンは、大した実績のないまま迎えたシニア一年目、という立場でした。ジュニア時代から全日本選手権で表彰台に乗りましたし、トリプルアクセルも認定されたりしていましたが、世界ジュニアは一度しか出られておらず、その一度も8位。日本人最高位ですらないどころか3人中3番目の戦績でした。ジュニアグランプリファイナルは二回出ていますがどちらも4位で表彰台に乗れず。トリプルアクセルは飛べたことがあるらしい日本のジュニアの子、という程度の扱い、というのが現実、という中でのシニアデビューシーズン。

今シーズンで言えば、ユヨン選手くらいの立ち位置だったかと思われます。

ユヨン選手との違いは、紀平梨花選手は日本人であること。これが何を意味するかというと、グランプリシリーズに自国開催があり、自国枠をもらえること。紀平選手のグランプリデビューは、開催国枠のNHK杯でした。ここで優勝。快進撃が始まります。

 

ようは、最初から結果を出して周りを納得させないと自分の席がない。さらに、採点競技的に言えば、PCSが伸ばせない。というのが昨年の紀平梨花選手の立ち位置。シニアデビュー戦のオンドレイネペラ杯では、ショートフリーのPCS合計が97.44だったところから、勝ち続けてグランプリファイナルではPCS合計107.55まで持ってきます。とにかく、勝つことが必要だった昨シーズン。

 

今シーズンは立場が全く違います。彼女の実力を疑うレフリーはいません。世界選手権4位。ファイナルは優勝した選手です。さらにはシーズン中盤でザギトワ選手が離脱し、トゥルシンバエワ選手はケガの影響で姿が見えない。メドベージェワ選手も国内大会で勝てず、ということで、昨シーズンのワールド表彰台が消えた中、4位の紀平選手はシニア実績トップの立場。とにかく序盤から結果を出さないといけなかった昨シーズンと違い、今シーズンは、最後に勝てればそれでいい、という立場。相手がロシア三天才であろうと、受けて立つ立場になります。

 

一方、ロシアのエテリチルドレンたちは、なんだかんだ言ってもシニアデビューシーズン。この子たちはシニアでの滑りにきちんと対応できるのか? という色眼鏡を外させることがシーズン前半には必要でした。その結果、グランプリシリーズ3人6勝でファイナルも表彰台を占拠。ここまでは順調です。ただ、これは、昨シーズンの紀平梨花選手と同じ姿でもあります。

 

紀平梨花選手の昨シーズンのベストスコアは233.12 これは、グランプリファイナルで出したスコアです。四大陸選手権優勝、世界選手権は4位でしたが、どちらも220点台前半にとどまりました。

 

ロシアの三人。ファイナル優勝~ヨーロッパ選手権優勝のコストルナヤ選手が今は筆頭格になっていますが、コストルナヤ選手のシーズンベストはいまのところグランプリファイナルの247.59です。ファイナル2位、ロシア選手権優勝にヨーロッパ選手権2位と来ているシェルバコワ選手もベストはグランプリファイナルで出していて240.92です。トゥルソワ選手はさらに前、グランプリシリーズ初戦のスケートカナダの241.02がベストになっています。トゥルソワ選手が一番顕著に出ていますが、シーズン前半にいいスコアが出る、というのはビッグネームのシニアデビューシーズンによくある展開ではあります。

 

ザギトワ選手のシニアデビューシーズンは、序盤のグランプリシリーズはぎりぎり何とか逆転勝ちからのスタート。そこからメドベージェワ選手の一時離脱などもあり、勝ち続けて結局オリンピック制覇までいったものの、流石に最後の世界選手権は崩れて5位に終わっています。

ザギトワ選手に限らず、一シーズン勝ち続けるのは本当に難しい。トゥクタミシェワ選手もシニアデビューグランプリ2勝はしたもののファイナルは負け。浅田真央さんの時もグランプリファイナルで優勝しましたが、世界ジュニアで敗れるという流れでした。

強いて言えば、メドベージェワ選手が、グランプリシリーズで1つ負けたものの、あとは、ファイナル、ヨーロッパ選手権、世界選手権と勝ち切ったというのがあるでしょうか

 

今回の三人は、三人の中の闘い、というのが熾烈です。その分、グランプリシリーズはまだしも、ファイナル以降は毎試合息が抜けないぎりぎりの闘いになっています。その分、むしろ、過去の有力選手のシニアデビューシーズンよりも、一人一人は苦しいという部分はあるかもしれません

 

紀平梨花選手は尻上がりに調子を上げている、というか構成を上げる方向へ進めてきています。

チャレンジャーシリーズはオーソドックスなトリプルアクセル三本構成で、フリーは一つ目二つ目に入れて、二つ目が回転不足でした。

フリーのみのジャパンオープンで、トリプルアクセルと2つ目5つ目に入れる、という構成を試し二つともしっかり着氷しました。

グランプリ1戦目はオーソドックスなトリプルアクセル三本構成で、すべて回転十分の着氷。グランプリ2戦目はフリーでアクセルが2つめ5つめ、1stジャンプはトリプルサルコウという構成でアクセル三つはすべて加点の着氷です。

グランプリファイナルはフリーに四回転サルコウを投入。サルコウは回転十分で転倒、アクセルに回転不足が付きました

そして、四大陸ではショートフリーにルッツを投入。トリプルルッツは二つとも、平均評価+2.333とよい加点を得ました。

 

試すだけ試したので、あとは世界選手権で、すべての要素を並べるだけです。

シニアデビューシーズンにはできなかった、一つ一つ試しながらしり上がりに調子を上げていく、ということが、二シーズン目だからこそ試みることが出来て、かつ、しっかりと構成が上がってきています。

 

本当に強いシニアは、シーズンベストが世界選手権で出ます。これがシニアデビューシーズンの選手には難しい。どんなに強い選手でも、序盤から結果を出していかないといけないシニアデビューシーズンの選手には難しい。

 

シーズンベスト比較をすると、まだいくらか差はあるのですが、ここまでの流れからすると、世界選手権は、ロシア勢と紀平梨花選手は、実は、ほぼ互角、という形が出来上がってきているように感じています

                                                                                

 

 

 

女子シングル、全体のレベルアップ

 

 

昨シーズン,18-19シーズンから、今シーズン19-20シーズンにかけて、女子シングルでは大幅にレベルアップした、というようなことが言われています。女子も四回転時代にはいった、それによってオリンピックチャンピオンですらレベルアップについていけない云々。

さて、まあ、上の方はそうなんでしょうけれど、全体のレベルはどうなんでしょう?

というあたりを今回は見てみました。

 

18-19シーズンと、19-20シーズン、それぞれの、グランプリシリーズ、チャレンジャーシリーズ、ジュニアグランプリシリーズにおいて、出場選手全体の平均点や、上位25%や中央値、さらには上位75%(=下位25%)となる得点はどのあたりであったか、というのを見ています。

グランプリシリーズ、ジュニアグランプリシリーズには、ファイナルを含めていません。ショートプログラムだけ滑りフリーは棄権した、というようなものは全体から外しています。

 

●グランプリシリーズ

 

18年

19年

最高点

233.12

241.02

平均点

183.60

183.31

上位25%

200.14

207.54

上位50%

185.67

178.35

上位75%

159.89

164.01

 

グランプリシリーズの女子シングルのスコアを見ると、18年から19年にかけて、上位のスコアははっきりと上昇しました。上位25%に入るには18年は200点を取れば十分でしたが、19年は207点台が必要です。上位25%というのは全体のべ72枠とすると18番目まで。全6試合ですから、基本的には表彰台ライン、ということになります。表彰台ラインが7点ほど、トリプルルッツ一本分程度上がった、というのは結構大きいでしょうか

ただ、中位層はそれほど上がっておらず、平均点は前年並みですし、中央値に当たる上位50%のラインは18年の方が高くなっています。上位75%とは下位25%の意味でもありますが、ここのラインは19年シーズンの方が4点ほど高いです。上位と中位の差が広がって、中位と下位の差が詰まった、という感じでしょうか。

これは、表彰台争いがごくごく限られた選手だけに限られ、その下、5位以下は最下位まで割と混戦、というような構図になるので、中堅以下の選手は大変な一方、見ている方にとっても上位が固定メンバーなので、ある意味では面白くない構図、となってしまっている側面があります。

 

●チャレンジャーシリーズ

 

18年

19年

最高点

238.43

238.69

平均点

140.30

144.54

上位25%

163.29

166.60

上位50%

135.69

140.69

上位75%

118.65

123.46

 

チャレンジャーシリーズの結果は中堅層もややレベルアップしたのかな、ということを見せてくれます。世界の上位の選手も1試合はチャレンジャーシリーズに出場してきたりしますが、多くはそのレベルにない選手の主戦場となっているのがチャレンジャーシリーズです。そういった試合で、平均点や中央値の点数が、やはり5点ほど18年から19年にかけて上がっています。ここでいう中堅層は、グランプリシリーズの中位層、180点から190点台の選手ではなく、もう少し下の160点台あたりの選手になりますが、その辺の選手が少し点数を上げてきた、というように見えます。グランプリシリーズの上位75%ラインあたりの変化と、チャレンジャーシリーズの上位25%ライン当たりの変化は、同じような選手たちの成長度合いを表しているのかと思われます。

また、それより下、150点に満たない層でも5点づつくらい水準が上がっているのが、上位50%という中央値、あるいは上位75%のラインから見て取れます

 

●ジュニアグランプリシリーズ

 

18年

19年

最高点

221.44

221.95

平均点

123.27

126.01

上位25%

148.36

149.91

上位50%

116.87

125.38

上位75%

95.80

98.94

 

ジュニアグランプリシリーズも、やはり昨シーズンよりレベルが上がっています。

平均点は3点ほど上昇。中央値では9点も上がってきています。ジュニアグランプリシリーズは、下位25%はショートフリー合わせても100点に届かない、という水準だったりはしますが、そのあたりのスコアも4点近くあがっています

 

 

これらの指し示すことはなんでしょう?

中堅以下の層が少しづつレベルを上げている、というのは、基本構成が3回転以下の層が全体的にレベルを上げている、ということでよいかと思います。この辺は、3回転-3回転を入れられる選手が増えているであるとか、普通に3回転の精度が上がるとか、そういったレベルアップであろうと推測されます。

一方で、トップ層はトリプルアクセルに四回転にと、高難度ジャンプの導入による得点力アップがあるのは、もう見るからにわかる現象でしょう

そんな中で、トップのすぐ下の層だけがやや点数を下げている感じがグランプリシリーズの上位50%あたりのラインに出ていました。このあたりの層というのは、おそらく、トップ層の高難度ジャンプ導入に煽られて、自分も高難度ジャンプに挑戦しているのだけど、うまくいかず、副作用として全体のバランスも崩れて、自分のベストの演技が出来ていない、というような構図が見えます。

 

トップのトップ、本当に上の層の上澄みの部分は得点を伸ばしていて、その下でトップをうかがっていた位置の選手は逆に得点を落としてしまった。一方、それより下の中堅以下の選手たちは着実に進歩している。

この構図は、全日本選手権によく表れていたように感じました。トップの上澄み、というところはトリプルアクセル三本決めて突出していく。そのすぐ下にいてトップをうかがっていたオリンピアン二人は昨シーズンまでのような成績を上げられず表彰台にも乗れず。その下の層でもがいていたところから復活の二位表彰台。あるいはジュニアの上位からまさかの表彰台。

 

自分自身のより高みへの成長、というのを見ている分には一つ一つ会談を伸びっていけるけれど、世界の頂点を目指すには高難度ジャンプが必要になってきていて、それを求めるとバランスを崩す。なかなか厳しい時代になってきてしまいました。

 

以上、女子シングルの昨シーズンと今シーズンのスコア比較から見てレベルの変化についてでした

 

書評 長女を育て、四女に教わった 本田家流子育てのヒント

長女を育て、四女に教わった 本田家流子育てのヒント 本田竜一

ソフトカバー 160ページ

 

フィギュアスケート、本田一家の父、本田竜一さんが執筆した本です

2013年2月10日 第一刷発行

おわりに、の部分には平成二十五年一月、とあります

この時期に出版されたということは、2012年に企画されて執筆された、と見てよいかと思います

 

この時期の本田家はこんな感じでした

2011年10月期 本田望結さんが「家政婦のミタ」出演

2011年10月 本田真凜選手 全日本ノービスB 71.26で2位表彰台

2011年10月 本田太一選手 全日本ノービスA 94.16で優勝

2012年10月 本田真凜選手 全日本ノービスB 90.41の歴代最高得点で優勝

2012年11月 本田太一選手 全日本ジュニア 155.76で6位入賞

2012年12月 本田望結選手 京都府総合体育大会 3級女子の部 44.80で優勝

2012年12月 本田太一選手 全日本選手権 165.78で14位

 

2013年2月時点で、長男の太一選手がジュニア上がりたての中学2年生14歳、真凜選手が小学5年生11歳でノービスB2年目、望結選手は小学2年生8歳でノービスBのさらに2年下、紗来選手は5歳です

上記はしませんでしたが、紗来選手も12年段階で1回転のジャンプを飛んで試合に出ています。

 

いわゆる世間という中ではまだ、女優望結さん以外はまだまだ無名ではある時期ですが、一方で、スケーターとして全員が世代トップだった時期でもあります。5歳の紗来選手も、試合出ている時点でトップみたいなものですし。スケートもやっている望結さん、を中心に、その家族全員がスケートの世界でもトップなんだよ、というのを使って子育て本企画がされた、というのははっきり見て取れます。

一方で、スケートファンの間ではこの時点で真凜選手がはっきりと期待されていて、望結さんの姉じゃなくて、真凜さんが中心なんだよ、と言い返しているような、そんな時期ではありました。ポスト浅田真央、なかなか出てこないけど真凜ちゃん待ち? なんて声が一番大きかったのは、むしろこのころだったのかもしれません。

 

本田家は太一選手のさらに上に真帆さんというお姉さんがいて、その方がタイトルの「長女」に当たるのですが、太一選手の3学年上、とのことなので長女でもこの時点で高校2年生。実際には長女の名前ははじめにと著者紹介の欄にしかほとんどでてこないのですが、それを含めても、子育て本が一番上の子で高校二年生、という時点で書いてしまう、というのはちょっと早いように感じます。そして、それは書いている本人も思ったようで、はじめに、の時点からその旨記載があります。子育ての真価が問われるのはこれから、と。

 

それから7年経ち、今があります。今になってこの本を読んでも思います。本田家の子育ての真価が問われるのはこれから、なんだろうな、と。

 

7年の間に一人の子は世界ジュニアのチャンピオンになりました。一番下の子は日本の世代別の試合でチャンピオンになりました。二足の草鞋は普通の人基準で考えれば十分に高いレベルではけています。そして、長男は日本の世代別の大会では表彰台をキープしている。

競技、あるいは仕事、としては十分成功していると思うんですね。世界で勝つこと以外成功ではない、なんて、一般庶民の自分にはとても言えない、感じられない。

ただ、太一選手以外は、いまこのまま引退したら、それは成功ではない、とも思います。それは、リプニツカヤさんやポゴリラヤさんが成功したとちょっと言いたくないのと同じ意味で。このレベルでやっている選手が、成人する前に辞めてしまう。それは競技者として成功とはいえない。そういう燃え尽き方をしないで生きていけるか? というのは競技者としてもあるんですが、未成年の彼女たちにとっては、やはり、家庭での育ち方、というのが強く影響するものだと思います

 

子育ての専門家が、子育てについて体系立てた理論をもって書いた本ではありません。そういった観点で言えば、本田家が受けた、本書内で出てくる「七田式」と呼ばれる教育は、おそらく体系立てられたものなのかと思いますが、本田家の父親が与えていく教育、および、本書の内容というのは、体系立てられたものではありません。本人も書いていますが、うちではこうしてます、という話が並んでいる、というものです

 

子育ての参考にするには、本田家はどう考えても特殊です。そのまま自分の家に、自分の子育てに使える、という人はまずいないでしょう。まず5人も子供はいませんし、4人もスケートさせられるお金を持ってないですし、その中に女優が混じっていたりなんかしない。

幼稚園、という単語が出てきていますので、いわゆる共働きでもなく、各種映像資料からは、母だけでなく父も、子供たちのために十分に時間を使えるような環境にいることが見て取れます。そんな家、ほかにはありません。家の和室にトランポリンを置く、そんなのまねできる家、めったにありません。

 

ただ、一つ一つのエピソードは、そういう考え方でこの一家は、兄は妹は、育てられてきたんだな、というのが読み取れます。その辺は、自分に子供がいてもいなくても楽しく読めるのではないかと感じました

 

意外だったのは、文中に、太一選手が、フィギュアスケートは向いていない、と早い時期に親も思っていて、本人にも言っていて、本人もそれを否定していなかった、というあたりのエピソード。向いてない競技で全日本レベルの大会に毎年のように出るってどんな総合力ですか? という感じもありますが、そういうことを早い時期に、少なくともこの本が出版されるジュニア1年目よりもさらに前の時期に、本人も、親も思っていた、というのは過信なく、親ばかなく、現実を見ながらの競技生活だったんだな、ということを感じさせられました。

この記述からすると、この本より未来のこと、オリンピックに行けるかもしれないけれど、行けないかもしれない。二足の草鞋は壁にぶち当たるかもしれない。そういった未来も、本人はわかりませんが、親からすると、冷静に、あり得る未来として覚悟はあったのではないか、と感じさせられました。

 

 

太一選手が言ったそうです。本田家で一番飛躍するのは紗来。一番最後に一番おいしいところを持っていくんだ、と。ノービス最終年になって今シーズンはだいぶ苦労しているような紗来選手ですが、長男太一選手の予言は当たるでしょうか?

 

子育て本のその後を、これからも見ていけたらと思います

 

 

 

 

B級大会への派遣(19-20シーズン)

毎年恒例、1月の後半あたりになってから出てくる、2月3月の国際試合、いわゆるB級大会への派遣選手が発表されました。

今年は2試合だけなようですね

 

各種報道見ればいいのですけど、ページ内に記載がないと分かりにくいでしょうからここでも記載します

 

チャレンジカップ 2/20~23

宇野昌磨(S1) 田中刑事(S4) 吉岡希(S19 J5)

紀平梨花(S1) 横井ゆは菜(S5) 吉岡詩果(S10 J5)  千葉百音(S18 J6) 畑崎李果(J4 N1)

 

クープドプランタン 3/13~15

友野一希(S6) 山本草太(S7) 須本光希(S8)

川畑和愛(S3 J2) 坂本花織(S6) 浦松千聖(S15 J7) 吉田陽菜(S19 J3) 山根有加里(J24 N2)

 

名前の横のS,J,Nは、Sはシニア、Jはジュニア、Nはノービスの19年全日本での順位を示します

 

全日本の各カテゴリーの上位選手が派遣される、という形で、その中で希望がなかった選手は入っていない、といういつものスタンスなようです

 

近い時期の試合として四大陸選手権が2/4~9でチャレンジカップの二週間前。世界ジュニアは3/2~8でチャレンジカップの二週間後でクープドプランタンの前週。世界選手権は3/16~22でクープドプランタンの翌週となっています。

 

まず目立つのは、四大陸を辞退した宇野選手の名前があることでしょうか。スイスに拠点を移した宇野選手にとって、ソウルにまで来て試合をするのと、オランダでの試合はずいぶん距離感が違うでしょうから世界選手権前に一戦したい、というのがあるのであれば、四週間前のこの時期のこの場所での試合、というのはちょうどよかったのでしょうか。

紀平梨花選手は、足痛くないの? と聞きたくなるくらいに試合でますね。四大陸もタイトル持ってますし、出なくてよかったんじゃ? と思ったりしていましたが、プラスアルファでB級試合まで入れてきました。まあ、昨シーズンも、出なくていい西日本選手権に出たりしてますし、試合数多めで調整していきたいタイプなようなので、中二週で次の試合、なんてのは苦にしないのでしょうけれど、足は平気なの? というのは心配です。

横井選手はシーズンベストスコア24位、世界ランキング34位という非常に微妙な立場です。おそらくシーズンベストスコアはこの先のチャンピンシップ4大会で誰かに抜かれて25位以下に落ちます。世界ランキングも、B級大会一試合優勝しても、最高でも一瞬25位まで上がることしかできません。なので、24位以内のグランプリ枠1つ確定、というのはどちらのコースでも得られないのですけれど、24位に非常に近いところで二つ、となると、まあ高確率で2枠回って来るのでその状態を作りたい。それに、全日本5位なのに四大陸ももらえなかったので、これ出ないとシーズン後半、国際試合無しで終わってしまうんですよね。なので、出ないという選択肢はなかったでしょう

 

この時期のB級試合、ジュニアの選手は派遣されるとの発表だけがあって、出る試合がジュニアかシニアかよくわからなかったりします。ただ、チャレンジカップの男女のダブル吉岡選手は年齢的にシニア戦でしょうか。千葉選手はまだ年齢的にはシニア戦には出られなかったと思います。ノービスの畑崎選手は、アドバンスドノービスでの出場でしょうか。ノービス組ながら全日本ジュニア四位という次世代のホープチャレンジカップってエキシビジョンやりませんかねえ? 国際舞台でキューティーハニーってのも面白いと思うのですけれど。

昨シーズンは、女子シングルで、シニア紀平梨花、ジュニア横井ゆは菜、アドバンスドノービス本田紗来、男子シングル、シニア山本草太、ジュニア佐藤駿、と主要五部門すべて日本人選手が優勝、というのをやってきたのですが、今シーズンはどうでしょう? (男子のアドバンスドノービスはエントリーなしでした)

 

クープドプランタンは男子はシニアの中堅選手三人。

女子は、川畑選手がエントリーというのはちょっと驚きでした。来シーズンを見据えてシニアの国際試合に出ておきたいところではあるのですが、クープドプランタンは世界ジュニアの翌週。スケジュール的にはだいぶ厳しいのですが、世界ランキングが72位、シーズンベストスコア49位、という状況では来シーズンシニアに上がってもグランプリシリーズの枠がたぶん来ない、という中で、可能性を何とか増やそうという意気込みを感じます。理想は世界ジュニアで200点出して表彰台に乗りつつシーズンベストスコアを20位以内にまでもっていくことでのグランプリ枠確保ですが、それが出来なくてもB級試合1試合足して、世界ランクを30位台くらいにまでもっていけば一枠くらいは何とかとって、NHK杯地元枠で2枠、というコースが狙えます。

坂本選手は、ポイントが必要な選手ではないですし、四大陸でシーズン終わるという手もあるのではないかと思うのですが、元々試合数多い選手ですし。これこそ失うもののない試合なので、トリプルアクセル跳びに行くという手もあるんでしょうか。最近その話題とんと聞かなくなっているので、まったくその水準に達していないという可能性もありますが・・・。

浦松選手は全日本ジュニアからの選手ですが、年齢的にはおそらくシニアカテゴリーへ出てくると思われます。

吉田陽菜選手は年齢的にはジュニアカテゴリーになるはずです。今シーズンジュニアデビューでジュニアグランプリ、と思ったのですがケガのせいなのか、選考会で漏れたのかエントリーなく、ジュニアとしての国際大会デビューになります。日本はトリプルアクセル他にもいたのか、と言ってもらえる結果を出せるかどうか。

 

男子は友野選手は四大陸出るのでB級は出ないかなあ、と思ったのですが、世界選手権時期の試合入れてきました。3月に国際試合に出る癖、というのは持っておいていいものと思いますが、それよりなにより、ミスター代役繰上りとして、四大陸の表彰台を狙っていただければと思っております。

本草太選手は、世界ランキングを上げてグランプリ2試合を確保したいところなのですが、実はB級試合に出てもランキング上がりません。今シーズン、チャレンジャーシリーズで2試合2位になっているため、B級試合で優勝しても、そのポイントは加算されないためです。というわけで、経験、以外の価値が実は生めないのですが、せっかくなので今シーズン中にショートフリーで四回転五本、を完成させていただけると、来シーズンの世界選手権争いの過酷度がさらに上がって面白いことになるかと思われます。

須本選手は世界ランク37位。この大会で優勝出来れば、日本人選手の中で、島田高志郎選手と山本草太選手を上回ることができます。シーズンベストスコアは55位で、こちらの系統でグランプリ枠を取るのは絶望的ですので、世界ランクは少しでも上げたいところです

 

 

こういったB級試合は、エントリーする選手だけでなく、しない選手も気になったりします。

男子では佐藤駿選手がエントリーなし。世界ジュニア優先ですかね。チャレンジカップでシニアの試合に出てから世界ジュニアへ、というスケジュールは組みにくいし、世界ジュニアの翌週というのも、川畑選手はやるつもりなようですが、常識的には厳しい。川畑選手との大きな違いとして、佐藤駿選手は、シーズンベストスコア10位をすでに持っているので、グランプリ枠1枠は確定的というのがあります。世界ジュニアで表彰台に乗ればあわせて2枠取れる可能性が極めて高いですので、そちらを目指すというのが自然な流れかと思われます。

島田高志郎選手もエントリーなし。全日本10位はB級試合派遣もなしですかねえ・・・。世界ランク35位の島田選手は優勝すれば20位台まで上昇出来てチャンスが広がるところなのですが・・・。

ジュニアでトップ6に入ると派遣される傾向があるのですが、壺井選手はケガとして、本田ルーカス選手や木科選手あたりは経験積むのに行っておくといいと思うのですが・・・。

 

女子はジュニア組はトップ6すべて派遣。シニアで7位の新田谷凜選手はケガがあるのと、引退表明してるので最後の試合は国内ということで出ないんですかね。

宮原知子選手もエントリーなし。去年は四大陸無しコースでハバリアンオープンに出ていたのですが、今シーズンはB級なしの世界選手権直行でしょうか。ジャンプの調整時間が必要そうでしたので、それはそれで妥当な選択な気もします。ちなみに、今シーズンのハバリアンオープンは四大陸選手権と日程丸被りなためでしょうか、日本からの派遣はなしなようですね。

 

8位の本田真凜選手も立ち位置的にはB級試合に出た方がいい位置です。シーズンベストスコアは44位とあまり高くありません。世界ランクは31位。優勝しても過去の戦績の関係であまりポイントは稼げませんが、それでも30位以内にまで一旦上げることができます。また、来シーズンにはここで取ったポイントが残るので価値がある。

ただ、たぶん、本人の意思ではなくメンバーに入れてもらえなかったのかな、とも思われます。優先権は全日本の順位の上の方からで、シニアの試合に出るのは各試合3人までで、ジュニア枠から1人分は入れる、となると、川畑選手を最初からシニア計算すると、本田選手まで順番が回ってこない計算です。島田選手と合わせて、ちょっともったいないなという印象です

 

 

B級試合への派遣については、ちょっと言いたいこともあるのですがその辺は改めて別の機会にします

 

 

本田家の成長 太一・真凜・望結・紗来

かつて、フィギュアスケート界で、飛ぶ鳥を落とす勢いだった本田家が、ここ数年苦戦している、ように見える。

本田真凜選手が平昌オリンピック出場を逃したころから、バッシングが強まっていたように感じていました。

バッシングの妥当性はともかくとして、その時期以降、本田真凜選手がわかりやすい結果を出していない、という事実はあります。また、女優との二刀流というか二足の草鞋というか、注目を浴びる立場にいる望結選手も目覚ましい結果は出せていません。

 

さて、では、本田家の4人は全盛期を過ぎて下降線をたどってしまっているのでしょうか?

そのあたりを今回は見ていこうと思います

 

まずは長男、本田太一選手

現在大学三年生。四年生となる20-21シーズンでの引退を表明しています。

ジュニア時代にはジュニアグランプリにも派遣されていましたし、アジアンオープンフィギュアではジュニアの部で表彰台にも乗っていました。また、男子ではそれほど多くない、ジュニア一年目から全日本ジュニアを勝ち抜いて全日本選手権にまで進出したという経験のある選手です。

そういったジュニア時代の実績からすると、現在の立ち位置は満足いくものではないのかもしれません。

それでも今シーズン、近畿選手権では205.54のスコアで2位に入りました。205.54というのは旧採点時代まで含めての本田太一選手のパーソナルベストとなるスコアです。自身初の200点台。確かにジュニアの時代に思い描いていた未来とは、今の姿は違うのかもしれませんが、それでもパーソナルベストを今シーズン出しているわけですから、過去の自分と比べて明らかな成長があります。

昨シーズンからアメリカに渡ってアルトゥニアン先生に師事しているのが、本人の意思だったのか、家族内での何らかの合意によるものなのかはわかりません。ただ、現実として国内レベルの太一選手にとっては、拠点は国内にあった方が戦いやすいという現実はありました。それでも妹とともに渡米してトレーニングを積んでいます。世界のトップ、ネイサンチェン選手を間近にみることもあるでしょう。

全日本では22位に終わり、満足いく結果ではなかったと思いますが、学生選手権では2年連続の表彰台。国内ではトップのレベルにある選手、という姿はしっかり見せ続けていると言えるのではないでしょうか。

 

 

続いて一番下の本田紗来選手。今シーズン本田家の中で一番苦しんでいるのは紗来選手のように見えます。昨シーズン2位だった全日本ノービスは、一つ学年が上がったにも関わらず4位に順位を落としました。昨シーズンは近畿選手権で100.74を出し、100点に乗せていたのですが、今シーズンは全日本ノービスで80.92までしか出せておらず、スコア的にもだいぶ落としており、まわりが伸びて追い抜かれたというのでもなく、紗来選手自身が不調、というのがはっきり見えます。

ジャンプの精度が落ちた、というだけでなく、スピンのレベルも取れなくなりました。PCSも下落。すべての点で昨シーズンより悪い方に出てしまっています。

紗来選手は今シーズン、浜田チームを離れアメリカへ渡ったと聞きます。昨シーズン、一足先に渡米していた姉兄たちのいるアルトゥニアン先生の元へ。高校生でも一般人では海外留学はそれほどあるわけではない、まして中学生ならスポーツのトップ選手でもごくごく限られた人しか海外へ出たりはしません。紗来選手は小学校6年生。姉兄が先に行っているとはいえ、大きなストレスがかかったことは間違いないでしょう。一方で、不調に陥ったのは渡米前からとも聞きます。この時期から日本を離れることで長い目で見るといい方向に出るのかもしれません。

12歳から海外に出て、現世界王者を見ながらトレーニングする、というのはどんなものでしょう。紗来選手は昨シーズンの段階で3Lz-3Tのコンビネーションを決めています。そこから身長が伸びジャンプの調整に苦しんでいると聞きますが、今の段階で身長が伸びてしまえば、シニアに上がるころにはすでに定常状態に達して、ジャンプも安定化しているかもしれません。来シーズンジュニアに上がります。まだ、体形変化中で苦しい時期になるとは思われますが、この二三年は飛躍のための準備の時期ということで、未来に期待したいと思います。

 

続いて、本田家の中で一番最初にスポットライトを浴びた望結選手。ただ、フィギュアスケート選手としての実績は一家の中で一番落ちるのも事実です。望結選手だけは国際大会への出場経験がありません。国内でも全日本ジュニアの12位が最高成績。ジュニアデビュー年に6位に入った太一選手、全日本ノービスで優勝経験のある紗来選手と比べても、実績は劣ります。

そんな望結選手も、今シーズン苦戦しています。4試合滑ってベストスコアはサマーカップの139.18 昨シーズンは一番悪いスコアでも141.09でしたから、昨シーズンのワーストより今シーズンのベストの方が低い、というなかなかつらい状態です。西日本ジュニアでは135.48の17位に終わり、全日本ジュニアの出場権をジュニア3年目にして初めて逃してしまいました。

そういう状態だけを見ると、望結選手は昨シーズンと比べて全面的に悪くなっているのではないか? と感じてしまいますがそうではない部分もあります。

今シーズン初戦のサマーカップではショートプログラム54.47のスコアをだし、ショートプログラムとしてのパーソナルベストを更新しました。この時の技術点は30.47 初めて30点を超えました。30.00というスコアは、今シーズンのシニアの世界選手権の女子シングルショートプログラムにおけるミニマムスコア(これをクリアしたことがない選手は出場できない)、となっています。ミニマムスコアはISU公認の国際試合で出さないといけませんし、シニアの世界選手権にはシニアの競技会で出したものではないとカウントされませんので、このスコアをもって世界選手権に出場可能なわけではないですが、それに相当するスコアを出す力がある、ということが言えるようになった、とは言えるわけです。

また、望結選手は、今シーズンプログラムの難度が上がっています。ショートプログラムトリプルルッツからのコンビネーションが入るようになりました。まだ成功率は低いですが、3Lz-2Tのコンビネーションを初めてGOEがプラスの成功ジャンプとして決めることが出来ています。これが、上記の、世界選手権のミニマムスコア越えの技術点をたたき出す原動力にもなりました。

もちろん、まだ、!やeのつかないクリーンなフリップが飛べないであるとか、セカンド三回転がないなど、上位と比べると課題は多々あるのですが、それでも、昨シーズンからきちんと成長している部分があるわけです。

ショートで54点台が出せれば、全日本選手権でも問題なくショート通過してフリーへ進めますし、フリー第一グループでなく第二グループに入るくらいのスコアです。今シーズン不調で130点台しか出せていませんが、これくらいのスコアは全日本の20位台で出てくるスコア。国内レベルならきちんと通用するのも確かです

今シーズン不調ではありますが、成長している部分も確かにありますので、残りの全中、また、来シーズンは全日本ジュニアへの復活を期待したいと思います。

 

そして最後に本田真凜選手。なんだかんだ言っても、スケーターとしての本田家の中心は、今現在はやはり真凜選手です。ただ、今シーズンも苦労しているのは確かです。グランプリシリーズは6位と7位 スコアも179.26止まりで、昨シーズンのベストスコア188.61から落としてしまっています。世界ランクも高くない中でベストスコアが170点台まで落ちてきているので、来シーズングランプリシリーズの枠があるのかどうかも微妙という立ち位置。あまりいい出来はないのは確かですが、今シーズンは昨シーズンと比べて全面的に悪化してしまっているのでしょうか?

スコアの中身を見るとそうとも言えないことがわかります。

 

  • 中国杯 スピンステップ要素のスコア

    Elements    BaseValue   GOE Scores  
SP 3 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.667
SP 5 LSp4   2.70   0.69 3.39 2.444
SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
SP 7 CCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
FS 5 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
FS 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.778
FS 9 FSSp4   3.00   0.43 3.43 1.444
FS 12 LSp4   2.70   0.73 3.43 2.778

 

真凜選手は今シーズンのグランプリシリーズ2試合目、中国杯において、初めてショートフリー共にスピンステップレベル4を達成しました。スピンステップのレベル判定は試合によって甘い辛いあるようにも見えるので、中国杯が甘かったから、という可能性もこれだけ見るとあり得るのですが、実際はそうでもなく、トゥクタミシェワ選手も、ユヨン選手も、宮原知子選手もレベル4を8つは並べられませんでしたし、優勝したシェルバコワ選手もスピンステップレベル取りこぼしがありました。そういった選手たちに混ざって、この中国杯でスピンステップすべてレベル4を出したのは、本田真凜選手ただ一人です。もう少し言えば、今シーズンの前半戦、グランプリファイナルまでの国際試合で、スピンステップレベル4をショートフリーで8つ並べた日本人選手は、中国杯本田真凜選手の他は、スケートカナダ紀平梨花選手だけで、全部で2例しかありません。

気分屋、と言われてきた本田真凜選手ですが、今シーズンはこういうきっちり滑ってレベルの取りこぼしをなくす、というようなことがだいぶ出来るようになってきた、というのが見えます。ステップレベル4が昨シーズンは1つだけだったのが、今シーズンは3試合で4つと、三分の二はレベル4を取ることが出来ています。

 

あとはジャンプです。ジャンプなんです。プログラムにルッツがないというのがちょっとつらい。フリップは、今シーズン3F-3Tのコンビネーションを決めることができたのですが、全日本では3回飛んで全部!が付けられました。

そういう意味でも、アルトゥニアン先生のところにいる、というのはとても良いと思います。真凜選手が見つめるのにいい選手がいる。ネイサンチェン? まあ、それはそうではあるんですけど、それよりも私は、マライアベル選手を見てほしい、と思っています。

マライアベル選手はジュニア時代、ほとんど結果を残せませんでした。ジュニアグランプリシリーズで1度表彰台に乗ったことはありましたが、せいぜいそれくらいです。世界ジュニアの出場経験もない。18歳のシーズンにシニアに上がりましたが、グランプリシリーズの出場権さえ回ってきませんでした。

全米選手権で初めて表彰台に乗ったのは二十歳の時。オリンピックには出られませんでしたが、そこから世界選手権の常連になり、今シーズンはグランプリ二試合で表彰台に乗っています。

元々評価はされている選手でしたがジャンプがなかなか決まらなかった。それがある程度決まるようになってくると、スピンステップの高評価がベースとしてあるので200点台に安定して乗ってくるようになります。ジャンプが決まるようになるまで時間はかかりました。初めて200点を突破したのは22歳になってからです。でも、そこまでたどり着きました。

アルトゥニアン先生のところで学ぶ本田真凜選手にとって、いい手本になるのではないかと思います。マライアベル選手にしても、トリプルアクセル以上の高難度ジャンプがあるわけではないので、世界の頂点を争う力はないのですが、世界の一桁順位のところで戦う力は身に付きました。今の本田真凜選手が目指しやすく目指すべき姿はそこにあるように感じます。

 

 

本田家のメンバーは今シーズン苦戦しているように見えます。それでもそれぞれに少しづつ成長の跡が見えます。本田家の未来は不透明です。来シーズンで引退だったり、身体的な成長の副作用がどれだけあるかわからなかったり、二足の草鞋は重かったり、そして、かつての栄光があるが故の苦しみもあるのでしょう。

それでも、きっと、未来はつながっていって、氷の上で輝いている四人のそれぞれの姿を見られる。そう信じて、待っています。