グランプリシリーズ24展望 女子シングル

なんだか今年はグランプリシリーズのアサインがやたら早く出ました。何事かありました??? と思うほど早かったわけですが、特に何事か合ったわけでもなさそうです。

ただ、韓国で何事かありまして、エントリー変わるかもと思ったりもしていたのですが、なかなかそちらは出てこないので、知らないことにして、当初のアサインのまま、展望を見てみたいと思います。

昨シーズンのシーズンベスト、セカンドベスト、シーズンワーストの3つのスコアを並べます。すべて国際大会です。ベストワーストはISU公認非公認関係なく入れています。フリーだけの試合やショート落ち、ショートのみで棄権の試合をワーストに入れることはしていません。2試合しか出ていない場合はセカンドベストとワーストが同じ値になります。1試合だけの場合はベストとワーストが同じでセカンドベストは空欄です。

まずは女子から。

 

スケートアメリカ

Skate America   23-24Best 23-24Second 23-24worst
Isabeau LEVITO (USA) 212.16 208.15 191.86
Yuna AOKI (JPN) 209.37 184.46 184.46
Rinka WATANABE (JPN) 203.22 202.17 180.36
Nina PINZARRONE (BEL) 202.29 198.80 155.43
Bradie TENNELL (USA) 199.80 185.84 185.84
Haein LEE (KOR) 196.40 195.48 169.38
Livia KAISER (SUI) 194.72 187.24 137.55
Wakaba HIGUCHI (JPN) 190.02 165.69 165.69
Young YOU (KOR) 183.35 181.80 157.36
Lea SERNA (FRA) 180.77 178.56 153.52
Sofja STEPCENKO (LAT) 171.90 170.76 120.79
TBD (USA)      

今期もスケートアメリカから始まります。シード選手はレビト選手とイ・ヘイン選手がエントリー。イ・ヘイン選手はワールドこそ6位に入りましたが、昨季のシーズンベストはそれほど高くありませんでした。

かなりレベルの高いメンバーが集まりました。昨季の200点スコアラーは4人。そこにシーズン序盤しか試合出場が無かったテネル選手も続きます。シーズンベストは高くないですが、前回のオリンピックで上位入賞した樋口選手やユヨン選手も名を連ねています。

シーズンベスト1位はレビト選手。スケートアメリカはグランプリデビューから2年連続の2位です。今シーズンこそ、アメリカを背負って、スケートアメリカを勝ちたいところかと思われます。

ISU非公認スコアですが、青木祐奈選手が2番目のスコアを持っています。今期のグランプリエントリーは今のところ1試合のみです。表彰台チャンスが十分ある、という構図になりました。

200点を複数試合で出しているのが渡辺倫果選手。一昨年、シンデレラガール的に出てきましたが、今シーズンは完全なレギュラーメンバーです。表彰台に乗って2期ぶりのファイナルへつなぎたい試合となります。

昨季ファイナル進出のピンツァローネ選手が4番手。今期も結果を残せるかどうか。

26歳になったテネル選手は2期ぶりのグランプリシリーズになります。前回のオリンピックは怪我でシーズン丸ごと欠場で選考会にも出られず。200点は21年の国別対抗戦以来だしていませんが、次期のオリンピックに向けて力を見せてくれるかどうか。

地力的にはレビト選手が頭一つ出ていそうですが、表彰台争いが混戦に見えます。

 

スケートカナダ

Skate Canada   23-24Best 23-24Second 23-24worst
Kaori SAKAMOTO (JPN) 226.13 225.70 203.20
Hana YOSHIDA (JPN) 203.97 203.16 185.45
Ava Marie ZIEGLER (USA) 201.19 200.50 157.39
Rino MATSUIKE (JPN) 198.62   198.62
Kimmy REPOND (SUI) 196.02 191.94 164.63
Seoyeong WI (KOR) 193.57 158.15 145.43
Madeline SCHIZAS (CAN) 189.91 188.88 171.78
Yelim KIM (KOR) 187.91 183.19 176.68
Ekaterina KURAKOVA (POL) 184.76 181.98 167.63
Kaiya RUITER (CAN) 172.68 164.43 155.44
Sara-Maude DUPUIS (CAN) 172.45 151.95 145.36
Alysa LIU (USA)      

2戦目はスケートカナダです。アメリカからカナダへ、いつもの流れになります。

ここのシードは坂本花織選手とキミ―レポンド選手になります。

昨季の200点スコアラーは3人。坂本選手はワーストでも203.20と200点超え。順当にいけば普通に勝ちますね、という風に見えます。吉田選手も200点超えが2試合あります。トリプルアクセルに頼った点の入り方ではないのでしっかり滑ればちゃんと表彰台争いをしてファイナル進出のチャンスが今年もありそう。ジーグラー選手は昨季のNHK杯チャンピオン。4大陸でも200点超えをしていて、たった一度のフロックではないことを見せていますし今期も楽しみです。

日本勢はもう一人松生理乃選手がいます。昨季はエントリーが1試合だけで、表彰台に乗ったのにファイナルチャンスが無かったのですが、今期はしっかり2試合。そろそろスポットライトを浴びてもいい選手にも思いますが、ここで表彰台に乗れるでしょうか。

韓国勢はウィソヨン選手とキムイェリム選手。ここはエントリー変更の心配は今のところない2人。過去実績はキムイェリム選手の方がありますが、今期はどうか。

カナダ勢では180点台で安定しているシザース選手がグランプリシリーズ初表彰台を目指すことになります。

また、アリサリュウ選手のグランプリ復帰戦がこのカナダになりました。3月時点で復帰見込みが語られていましたし、半年時間があるのでトレーニングはしっかり積めているでしょうか。復帰前の時点でトリプルアクセルや4回転は飛べていなかったので、逆説的に、その時点の持ち札まで戻すのはそれほど大変ではない、とも言え、それ以上に衰える年齢でもないですので、復帰戦でいきなり坂本選手と優勝争いという光景も見せてくれるかもしれません。

ここは展開次第では日本勢表彰台独占ということもありそうです。

 

○フランスグランプリ

Grand Prix de France   23-24Best 23-24Second 23-24worst
Loena HENDRICKX (BEL) 221.28 213.25 200.25
Anastasiia GUBANOVA (GEO) 206.52 187.66 179.61
Chaeyeon KIM (KOR) 204.68 203.59 180.78
Nina PINZARRONE (BEL) 202.29 198.80 155.43
Rion SUMIYOSHI (JPN) 197.76 190.21 180.39
Livia KAISER (SUI) 194.72 187.24 137.55
Wakaba HIGUCHI (JPN) 190.02 165.69 165.69
Amber GLENN (USA) 189.63 186.53 177.51
Mai MIHARA (JPN) 184.07 172.64 172.64
Lorine SCHILD (FRA) 183.86 179.11 155.65
Lea SERNA (FRA) 180.77 178.56 153.52
TBD (FRA)      

3戦目はフランス。これも昨季と同じスケジュールです。ここのシードはヘンドリックス選手とキムチェヨン選手になります。

昨季の200点実績は4人。順当にいけばヘンドリックス選手が強く、シーズンワーストでも200点に乗っていました。グバノワ選手はヨーロッパ選手権で206.52があるのですが、今一つスコアは安定しない印象です。グランプリシリーズにそれほど力を入れていないようにも見えて、ここでもどこまで上位に絡んでくるかわかりません。

キムチェヨン選手は安定している選手です。ヘンドリックス選手がいい滑りをすると届かないですが、まわりがどうあろうと普通に滑って表彰台あたりにいる、という形になりそうに見えます。

昨季のファイナリストピンツァローネ選手はここが2戦目。2期連続のファイナル進出なるか。

住吉選手も昨季ファイナルに進んでいます。これまでグランプリ4戦すべて表彰台。今期もファイナル進出のためにはこの初戦も表彰台に乗っておきたいところです。

トリプルアクセル持ちのアンバーグレン選手もここにエントリーです。アクセル決まるけどスコア伸びない、という試合が昨季は多かったのですが、アクセルと他の要素、両立出来れば一気に優勝候補にもなってきます。

日本からは実績のある樋口選手と三原選手がエントリーです。三原選手はある種迷惑ノーシードといったところで、体調万全なら普通に優勝候補に挙がってくる選手。樋口選手はここが2戦目。久しぶりにファイナル進出争いに絡めているでしょうか?

 

NHK杯

NHK Trophy   23-24Best 23-24Second 23-24worst
Kaori SAKAMOTO (JPN) 226.13 225.70 203.20
Mone CHIBA (JPN) 214.98 195.46 160.25
Bradie TENNELL (USA) 199.80 185.84 185.84
Lindsay THORNGREN (USA) 199.16 198.73 162.63
Haein LEE (KOR) 196.40 195.48 169.38
Niina PETROKINA (EST) 194.55 192.01 162.18
Seoyeong WI (KOR) 193.57 158.15 145.43
Yelim KIM (KOR) 187.91 183.19 176.68
Ekaterina KURAKOVA (POL) 184.76 181.98 167.63
Lara Naki GUTMANN (ITA) 181.64 173.22 155.18
Alysa LIU (USA)      
TBD (JPN)      

4戦目に今期はNHK杯が来ます。ここから昨シーズンとは並びが変わります。

坂本花織選手が今期はNHK杯に登場。今期も2戦2勝でファイナルへ進めるでしょうか?

昨季のスコア2位は千葉選手になります。今期はここがグランプリ初戦。昨季のグランプリシリーズは体調の関係もあって散々でしたが、今期は4大陸チャンピオンとして乗り込むことになります。ファイナル進出の有力候補です。

昨季の200点はこの2人だけです。日本勢地元枠の3人目は誰が入るでしょう? 今期は1枠持っている青木選手が有力ですが、昨季全日本上位に入っている山下真瑚選手あたりも有力候補かと思われますが、200点台出してくれば表彰台独占も見られるかもしれません。

ここのシードは坂本選手ともう1人はイ・ヘイン選手です。韓国からは2シーズン前の優勝者キムイェリム選手もエントリー。昨季は結果が残せなかったのですが、今期は復活なるか。来期の枠取りのために今期は活躍しないといけない立場になりそうですので、この辺で力を見せておきたいところでしょうか。

アメリカからは199点台で2人、テネル選手とソーングレン選手。昨季のチャンピオンジーグラー選手は他に回りました。シードではないディフェンディングチャンピオンは割り当ててよ、と思うのですが、そういう配慮はないようです。アメリカはもう1人アリサリュウ選手も来日してくれます。

 

フィンランディア杯

Finlandia Trophy   23-24Best 23-24Second 23-24worst
Loena HENDRICKX (BEL) 221.28 213.25 200.25
Isabeau LEVITO (USA) 212.16 208.15 191.86
Hana YOSHIDA (JPN) 203.97 203.16 185.45
Lindsay THORNGREN (USA) 199.16 198.73 162.63
Rino MATSUIKE (JPN) 198.62   198.62
Niina PETROKINA (EST) 194.55 192.01 162.18
Mai MIHARA (JPN) 184.07 172.64 172.64
Lorine SCHILD (FRA) 183.86 179.11 155.65
Young YOU (KOR) 183.35 181.80 157.36
Nella PELKONEN (FIN) 179.31 172.88 145.45
TBD (FIN)      
TBD (FIN)      

5戦目は昨季と同じフィンランド開催になりましたが、大会名としてはフィンランディア杯となります。どうしてもチャレンジャーシリーズのイメージですが、グランプリシリーズに格上げとなった格好です。

ここはヘンドリックス選手とレビト選手がシードです。2人とも2戦目、ファイナルが懸かっている状態なはずです。そこに吉田陽菜選手が挑む形。トリプルアクセルの一発まで入ると210点台の優勝の芽もありますが、大学生になってどうか。

松生選手も今期は2戦あります。2戦とも吉田陽菜選手と同じ試合になっていて、ファイナルを争うという観点でも、シーズン後半の代表権争いという点でも、吉田選手に勝っていきたいところです。

三原選手はフランスに次いでフィンランドとヨーロッパセットを引きました。体調万全ならやはりファイナル候補なわけですが、どうなんでしょう?

 

中国杯

Cup of China   23-24Best 23-24Second 23-24worst
Mone CHIBA (JPN) 214.98 195.46 160.25
Anastasiia GUBANOVA (GEO) 206.52 187.66 179.61
Chaeyeon KIM (KOR) 204.68 203.59 180.78
Rinka WATANABE (JPN) 203.22 202.17 180.36
Ava Maria ZIEGLER (USA) 201.19 200.50 157.39
Rion SUMIYOSHI (JPN) 197.76 190.21 180.39
Kimmy REPOND (SUI) 196.02 191.94 164.63
Madeline SCHIZAS (CAN) 189.91 188.88 171.78
Amber GLENN (USA) 189.63 186.53 177.51
Hongyi CHEN (CHN) 168.66 153.96 137.95
TBD (CHN)      
TBD (CHN)      

今期は最終戦中国杯が入りました。ここはキムチェヨン選手とレポンド選手がシードです。その結果昨季のシーズンベストとしては千葉選手が1位、グバノワ選手が2位という並びになりました。

昨季の200点スコアラーが5人というのは最多です。上位4人は昨季の四大陸、ヨーロッパ選手権、世界選手権のメダリストたちです。ジーグラー選手はNHK杯優勝者。その下の住吉選手もグランプリファイナルに残った選手ですし、レポンド選手はワールド5位。グレン選手はトリプルアクセルを飛びます。なんとも濃いメンバーが集まりました。

シーズンベストの上位2人はセカンドベストは200点に達していません。一方で、3位4位5位の3人はセカンドベストも200点超えです。安定感はこちらの3人の方がある。グレン選手までの9人はセカンドベストも180点台後半以上あります。誰が表彰台に乗ってきてもおかしくない。大混戦の表彰台争い優勝争いが予想されます。

ファイナル進出争いもここで決まってくるわけですがこれもどう展開していくでしょう。

 

ロシア抜き3シーズン目。フィンランド開催も定着してきましたし、良くも悪くもこの状態で安定化してきています。最初のアサイン時点で出場件数は日本18、アメリカ13、韓国10という上位3か国は昨年と同じ数です。残りはフランス5、ベルギー、スイス、カナダが4、フィンランドと中国が3、ポーランドジョージアエストニアが2,ラトビア、イタリアが1づつとなっています。

日米韓が強い女子シングルです。ここ数シーズン上位のレベルが保たれたまま中位のレベルが上がってきているので、特に表彰台争いでの混戦模様が強まっています。

ファイナル進出は昨季は日本3人ベルギー2人米国1人という構成でした。この6選手は今期もファイナル候補でしょうか。昨季は韓国勢が1人もいませんでしたが、今期は…、騒動は置いておくにしてもワールド表彰台のキムチェヨン選手は当然ファイナル候補です。スイス勢2人は昨年は全く候補ではなかったですが、今期は特にワールド5位のレポンド選手は可能性がある。あとはヨーロッパの表彰台常連のグバノワ選手も、グランプリシリーズからやる気出せばチャンスはありそう。アメリカ勢では復帰のアリサリュウ選手、ベテランテネル選手、トリプルアクセル持ちグレン選手に昨季のNHK杯チャンピオンのジーグラー選手あたりまでは可能性がある。日本勢は体調万全なら当然三原選手がまたファイナルに出ても何もおかしくないですし、渡辺倫果選手や千葉百音選手あたりに、昨季表彰台のある松生選手だって可能性があります。

力的には20人近い選手に可能性がありそうな、大混戦も予想されるのですが、特に日本の場合はシーズン後半の代表争いにも影響するので大変です。