23-24 ガブリエレフランジパーニ

2001年12月31日生まれ

シニア4シーズン目

シーズン獲得賞金:$9,000

世界ランキング:20位

シーズンランキング:8位

シーズンベストスコア 251.59(19位) 中国杯

ショートプログラムシーズンベスト 85.19 中国杯

フリーシーズンベスト 166.40 中国杯

スピンレベル4率 39/54 = 72.2%(国際大会:34/48 = 70.8%)

ステップレベル4率 10/18 = 55.6%(国際大会:8/16 = 50.0%)

スピンオールレベル4 1/9(国際大会:1/8)

スピンステップオールレベル4 0/9(国際大会:0/8)

ジャンプ回転不足率 3/90 = 3.33%(国際大会:3/80 = 3.75%)

ジャンプ回転不足なし 6/9(国際大会:5/8)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 0/9(国際大会:0/8)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
CS Nepela Memorial 1 243.91 79.04 164.87
CS Budapest Trophy 10 187.55 63.95 123.60
IC Tirnavia Ice Cup 1 211.67 72.66 139.01
GP Cup of China 5 251.59 85.19 166.40
GP NHK Trophy 6 227.15 78.20 148.95
NC Italian Championships 2 239.78 91.04 148.74
EC European Championships 4 246.09 83.51 162.58
IC Merano Ice Trophy 3 216.18 82.41 133.77
WC World Championships 16 231.38 82.63 148.75

フランジパーニ選手は昨季まで3年連続でイタリア選手権3位。ヨーロッパ選手権にも3度出場経験のあるイタリアの成長株です。

 

今期は昨季に続いてネペラメモリアルが初戦となっています。ショートプログラムトーループが2回転になり、セカンドは3回転付けて零点は回避したものの、79.04に留まって6位スタートとなります。フリーは4回転のトーループサルコウ、2本成功。後半転倒もありましたがそれでも164.87でパーソナルベスト更新。トータル243.91で逆転優勝。ネペラメモリアル2連覇を果たしました。

 

10月に入ってチャレンジャーシリーズ2戦目、ブダペスト杯にも出場。ここはショートでサルコウが2回転になりトリプルアクセルで転倒。フリーも2転倒あってスコア伸びずに187.55と久しぶりの200点割れで10位に終わります。

10月はもう1試合、B級大会でティルナビアアイスカップに出場し211.67で優勝しました。

 

グランプリシリーズは4戦目の中国杯から。ここは宇野選手とアダムシャオイムファ選手が強く、日本から友野選手や山本選手、地元中国でボーヤンジン選手などが強い試合です。ショートプログラムは4回転トーループからのコンビネーションをクリーンに決め、次のサルコウは3回転になったものの、トリプルアクセルも加点を取り85.19を出して5位に付けます。フリーは4回転2本、さらにトリプルアクセル2本も決めて166.40とパーソナルベスト更新、251.59でトータルもパーソナルベストを更新して5位。グランプリ最高位を更新しました。

続いて6戦目のNHK杯に出場します。このショートは4回転サルコウを転倒して78.20の8位スタート。フリーもサルコウが2回転になり、後半のジャンプですべてqが付くなど苦労しましたが148.95は出してトータル227.15で6位。2戦連続、グランプリシリーズのポイントを確保しました。

 

12月はイタリアナショナルがあります。世界選手権の代表枠2に入るためにアピールしたい試合でもあります。このショートで4回転2本を含めノーミス。91.04と自身の過去最高スコアを出して首位に立ちます。フリーは4回転2本を決め前半は良かったのですが、後半に入ってトリプルアクセル転倒、フリップも転倒。コンビネーションをすべて1.1倍につぎ込む構成の中後半で2転倒すると痛く、148.74でトータル239.78 結局2位、と惜しいところでナショナルのタイトルは取れませんでした。

 

1月はヨーロッパ選手権です。表彰台を争う一角には名を連ねてきます。4回転のトーループは良かったのですが、次のサルコウが3回転になり、ショートは83.51 それでも4位につけ、表彰台チャンスが来ます。ただ3位までは6.54差と少し点差があります。逆転を狙うフリー、冒頭のトーループが3回転になりました。その結果最後にルッツからの3連続を跳んだのですが、3回転トーループトリプルアクセルとこのトリプルルッツが3つ目の2回飛ぶジャンプとなって零点扱いに。見た目には非常にいい滑りで最後まで行ったのですがスコアは162.58でトータル246.09 結局表彰台までは4.78差届かず。非常に残念なルッツキックアウトでした。

 

2月に調整試合でメラーノアイス杯を入れます。おそらくフリーの冒頭フリップを跳びに行ったのは4回転フリップへのチャレンジだったと思われますがこれは2回転になりました。スコアとしては216.18と伸びずの3位に終わります。

3月、初の世界選手権出場。40人中の26番滑走で出てきます。4回転サルコウの転倒が痛く82.63で13位スタートとなります。フリーは4回転2本を降りるなどまずまずしっかり滑りましたが148.75でトータル231.38 世界選手権のレベルは高く16位となりました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Nepela Memorial 243.91 128.75 116.16 89.25 2.44 23.00 14.06
Budapest Trophy 187.55 87.64 102.91 70.87 -18.01 22.03 12.75
Tirnavia Ice Cup 211.67 104.36 110.31 82.85 -12.30 21.14 12.67
Cup of China 251.59 134.85 116.74 87.17 13.33 22.38 11.97
NHK Trophy 227.15 115.64 112.51 89.60 -6.06 20.59 11.51
Italian Championships 239.78 127.19 114.59 87.40 4.40 22.17 13.22
European Championships 246.09 126.53 119.56 82.22 9.12 22.20 12.99
Merano Ice Trophy 216.18 107.68 108.50 81.57 -4.23 18.61 11.73
World Championships 231.38 117.36 115.02 87.89 -2.27 19.30 12.44

トータルスコアは180点台というのもありますが今期は250点台まで達しました。全選手中19位にあたります。

技術点は134.85が最高でした。今期全選手中17位相当です。PCSの方は110点台が並び、最高は119.56 1項目平均8点にわずかに欠ける程度です。今期全選手中18位。技術点も演技構成点も同じくらいの位置にいます。

ジャンプの基礎点は80点台が並び、NHK杯の89.60が最高でした。加点の方は二桁のマイナスという試合もありますが、中国杯では13.33と大きなプラスを得ました。今期全選手中10位の加点です。

スピンは最高で23.00がありました。スピンのレベル4率は70%台ですのでそれほど高くないとは言えます。

ステップ系要素は11点台12点台が並びますが、ネペラメモリアルでは14.06を出していました。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Nepela Memorial 58.60 58.50 54.57 58.97 61.92 56.75
Budapest Trophy 44.04 47.48 29.26 55.64 55.94 47.90
Tirnavia Ice Cup 50.27 54.66 36.32 52.58 55.57 52.84
Cup of China 60.59 57.25 68.04 56.84 52.37 57.14
NHK Trophy 54.27 58.71 44.05 50.69 50.27 54.31
Italian Championships 57.53 57.39 56.99 56.12 58.08 55.70
European Championships 59.17 54.28 62.83 56.22 57.03 59.02
Merano Ice Trophy 51.44 53.89 46.31 43.88 51.28 51.64
World Championships 55.36 57.68 48.74 46.25 54.52 55.99

偏差値で見るとトータルスコアは50台中盤あたりが多いですが、中国杯では偏差値60超えです。

ジャンプの基礎点は50台後半あたりをコンスタントに出しています。加点の方は30割れのひどいところから60台後半まで幅広く。出来不出来はだいぶ差が出るタイプです。

スピンは50台後半が多いですが、最後の2試合で平均割れしました。

ステップ系要素も50台ですが、初戦だけ60を超えています。

PCSも50台中盤から後半あたりが多いです。

全体的に50台中盤から後半の偏差値で、ジャンプやスピンは出来がいいと60を超えていくようです。

 

ガブリエレフランジパーニ選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートを見ると、たくさん並べると割とバランス型に見えるのだけど、ばらつきは結構大きく、特に右下のばらつきは極端に見えます。右下以外はいい時も悪い時も割とバランス型には見えます。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○世界選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   2.17 15.87 2.111
2 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
3 FSSp4   3.00   0.34 3.34 1.111
4 3A   8.80 x 1.03 9.83 1.222
5 CCSp3   2.80   -0.24 2.56 -0.889
6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
7 CCoSp3   3.00   0.43 3.43 1.444
  TES   44.90   -0.17 44.73  

ショートプログラムは44.90の基礎点がありました。4回転はトーループサルコウの2本。セカンド3回転が入って1.1倍にトリプルアクセル。スピンが2つレベル3で44.90です。今期全選手中12位の基礎点になります。スピンオールレベル4が出来れば0.90基礎点が上がって45.80になります。

4回転2本入ってスピンステップオールレベル4でセカンド3回転も入れば、あとは出来栄え勝負が可能という領域かと思われます。

 

ネペラメモリアル フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   1.90 11.40 2.143
2 4S   9.70   2.33 12.03 2.429
3 3A+3T   12.20   1.28 13.48 1.714
4 3A   8.00   0.00 8.00 0.143
5 FSSp4   3.00   0.54 3.54 1.714
6 3T+1Eu+3Sq F 9.90 x -2.15 7.75 -5.000
7 3F   5.83 x -1.70 4.13 -3.286
8 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 0.35 10.47 0.429
9 ChSq1   3.00   1.00 4.00 1.857
10 CCoSp4   3.50   0.77 4.27 2.286
11 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
12 CCSp4   3.20   0.70 3.90 2.286
  TES   81.85   6.11 87.96  

フリーは81.85の基礎点が最高でした。4回転はサルコウトーループの2本、2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルとトリプルトーループ。スピンステップオールレベル4で81.85です。3T+1Eu+3Sというわかるようなわからないようなコンビネーションを入れていますが、シーズン後半はこれが3Lz+1Eu+3Sになった試合もありました。3Tが3Lzに変われば1.87基礎点が上がります。

その上は、4回転が2種類ありますので、どちらかを2本にして4回転2種類3本構成にしていくという展開になっていくのだろうと思われます。

 

○平均GOE2.400以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
European Championships SP 6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
Nepela Memorial FS 11 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.857
Tirnavia Ice Cup FS 11 StSq4   3.90   1.04 4.94 2.800
Cup of China FS 1 4T   9.50   2.58 12.08 2.667
World Championships FS 9 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
Merano Ice Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.04 4.94 2.600
Italian Championships FS 2 4S   9.70   2.33 12.03 2.571
Budapest Trophy SP 6 StSq4   3.90   1.09 4.99 2.571
Cup of China SP 6 StSq3   3.30   0.85 4.15 2.556
NHK Trophy FS 1 4T   9.50   2.44 11.94 2.556
World Championships SP 6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
World Championships FS 11 StSq2   2.60   0.63 3.23 2.444
Italian Championships SP 7 CCoSp3   3.00   0.72 3.72 2.429
Italian Championships SP 6 StSq4   3.90   0.94 4.84 2.429
Nepela Memorial FS 2 4S   9.70   2.33 12.03 2.429
Nepela Memorial SP 7 CCoSp3   3.00   0.78 3.78 2.429
Nepela Memorial SP 5 CCSp4   3.20   0.77 3.97 2.429
Tirnavia Ice Cup FS 8 3Lz+3T   11.11 x 1.38 12.49 2.400
Tirnavia Ice Cup SP 5 CCSp4   3.20   0.75 3.95 2.400

フランジパーニ選手の評価の高い要素はステップが並びました。+3近いところまでは頻繁に出しているようです。

ジャンプもいくつか入っていて、4回転のトーループサルコウ。決まれば高い加点が得られるようです。

スピンは最高で+2.429があります。

 

○4回転サルコウ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial SP 2 4S   9.70   -0.19 9.51 -0.143
Nepela Memorial FS 2 4S   9.70   2.33 12.03 2.429
Tirnavia Ice Cup FS 2 4Sq q 9.70   -0.97 8.73 -1.000
Cup of China FS 2 4S   9.70   1.80 11.50 1.778
NHK Trophy SP 2 4S< < F 7.76   -3.88 3.88 -5.000
Italian Championships SP 2 4S   9.70   0.97 10.67 1.000
Italian Championships FS 2 4S   9.70   2.33 12.03 2.571
European Championships FS 2 4S   9.70   1.94 11.64 1.889
World Championships SP 2 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
World Championships FS 2 4S   9.70   -1.80 7.90 -1.778

4回転サルコウは今期10回要素として入りました。基本的にはショートフリーで1本づつ入れる要素ですが、3回転になっていることもあり、それが抜けて3回転なのか、最初から4回転を回避する予定で3回転にしたのかはちょっと判別しきれない部分もあります。

要素として4回転サルコウになった10回のうち、転倒が2回あり、それ以外のGOEマイナスが3回、GOEプラスを得た成功ジャンプは5回です。

ショートフリーで2本そろったのがナショナルだけなのは少し残念でした。

 

○4回転トーループ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial FS 1 4T   9.50   1.90 11.40 2.143
Budapest Trophy SP 1 4T   9.50   -1.90 7.60 -1.857
Budapest Trophy FS 1 4T   9.50   -0.95 8.55 -1.143
Budapest Trophy FS 6 4T<+REP F 5.85 x -3.80 2.05 -5.000
Tirnavia Ice Cup SP 1 4T   9.50   -3.17 6.33 -3.200
Tirnavia Ice Cup FS 1 4Tq F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
Cup of China SP 1 4T+3T   13.70   2.17 15.87 2.333
Cup of China FS 1 4T   9.50   2.58 12.08 2.667
NHK Trophy SP 1 4T+3T   13.70   -0.14 13.56 0.000
NHK Trophy FS 1 4T   9.50   2.44 11.94 2.556
Italian Championships SP 1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.000
Italian Championships FS 1 4T   9.50   2.09 11.59 2.286
European Championships SP 1 4T+3T   13.70   1.09 14.79 1.222
Merano Ice Trophy SP 1 4T+3T   13.70   1.90 15.60 2.200
Merano Ice Trophy FS 3 4Tq q 9.50   -4.75 4.75 -5.000
World Championships SP 1 4T+3T   13.70   2.17 15.87 2.111
World Championships FS 1 4T   9.50   1.22 10.72 1.444

4回転トーループはショートフリーで1本づつ飛ぶジャンプです。ブダペスト杯ではフリーで2本目を入れようとした、ということもありました。

ネペラメモリアルのショートでは2回転になったトーループがありましたが、それも含めると今期18回4回転トーループがあり、2回転になったものが1回、転倒が2回、それ以外のGOEマイナスが4回あって、GOE±0以上の成功ジャンプは11回ありました。6割を超える成功率はあります。

4回転2種類がともに5割以上の成功率になるところまで来ています。

 

○3連続の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Nepela Memorial FS 6 3T+1Eu+3Sq F 9.90 x -2.15 7.75 -5.000
Tirnavia Ice Cup FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 x -1.24 9.87 -2.400
Cup of China FS 6 3A+1Eu+3S   14.08 x 1.03 15.11 1.222
NHK Trophy FS 6 3Aq+1Eu+3Sq q 14.08 X -1.60 12.48 -1.889
European Championships FS 8 3Lz*+1Eu+3S * 5.28 x -0.37 4.91 -0.889
Merano Ice Trophy FS 4 3A+1Eu+3S   12.80   0.53 13.33 0.600
World Championships FS 6 3Lz+1Eu+3S   11.77 x 0.08 11.85 0.000

今期フランジパーニ選手は9本フリーを滑っていますが、3連続ジャンプはそのうち7回要素として入りました。1つは転倒。1つはジャンプ重複でキックアウトもあり、その他のGOEマイナスも2つ。成功ジャンプになったのは3回で、全体の3分の1が成功3連続でした。

 

フランジパーニ選手は今期ヨーロッパ選手権で4位にまで入り、ヨーロッパの強豪の位置にまで上がってきました。グランプリシリーズも5位と6位。表彰台争いに参画してきた、ともいえる位置です。イタリアは強豪選手が多い中、ワールドの代表枠は2つ。来期はぜひ、オリンピックの枠を3つに増やしたい、というようなシーズンになります。その大事な世界選手権に出られるかどうか。あるいはヨーロッパ選手権の表彰台を狙っていけるか。そんな期待がされるシーズンとなります。