JGP オーストリア MFアカデミーは連勝?

ジュニアグランプリシリーズ2戦目がオーストリアリンツで行われました。初戦はMFアカデミーセットで2戦目は女子は木下アカデミーからの派遣だったわけですが、結果的にはMFアカデミーが連勝する形になりました。

 

○女子シングル 上位12人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Jia SHIN KOR 201.33 70.38 130.95
2 Haruna MURAKAMI JPN 168.37 62.66 105.71
3 Minsol KWON KOR 165.93 50.10 115.83
4 Stefania GLADKI FRA 162.29 59.32 102.97
5 Iida KARHUNEN FIN 161.69 57.88 103.81
6 Ayumi SHIBAYAMA JPN 157.39 53.63 103.76
7 Kara YUN CAN 156.24 51.41 104.83
8 Josephine LEE USA 151.40 51.15 100.25
9 Maria Eliise KALJUVERE EST 147.55 47.08 100.47
10 Mengqi ZHANG CHN 145.69 48.59 97.10
11 Jana HORCICKOVA CZE 145.60 49.63 95.97
12 Ruiyang ZHANG CHN 145.21 47.48 97.73

優勝は初戦から200点を超えてきたシンジア選手。他を全く寄せ付けない圧勝でした。アクアカップに結局出場はしなかったですがエントリーしていて、え? と最初思ったのですが今シーズンMFアカデミーに所属していて中庭先生も今大会帯同しています。全く勝負にならない圧勝でした。

2位には村上遥奈選手が入りました。ジュニアグランプリ初出場初表彰台と言うべきか、昨年に続いての表彰台と言うべきか。これでジュニア2シーズン目にしてペア、シングルと2種目で表彰台に乗ったことになります。こんなのきちんと調べたこともないですが、聞いたことのない初の快挙だと思われます。少なくとも日本勢では史上初です。

3位には昨シーズンジュニアグランプリファイナルにも出場した韓国のクォンミンソル選手。ショートでコンビネーションが転倒で零点の8位スタートと出遅れましたが、フリーはほぼミスのない滑りで逆転表彰台です。

というわけで、終わってみれば2試合続けて女子は日韓で表彰台を占めました。

日本からもう1人、柴山歩選手は6位に入っています。

 

○村上遥奈選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lzq+3T< 9.26   -1.85 7.41 -3.000
2 3F   5.30   0.83 6.13 1.556
3 2A   3.30   0.38 3.68 1.222
4 3Lz< 4.72   -0.81 3.91 -1.778
5 LSp4   2.70   0.31 3.01 1.222
6 3S+3T   9.35 x 0.86 10.21 2.000
7 FSSp3   2.60   0.26 2.86 0.889
8 3Lo   5.39 x 0.56 5.95 1.111
9 2A< F 2.90 x -1.32 1.58 -5.000
10 ChSq1   3.00   0.86 3.86 1.778
11 CCoSp4   3.50   0.45 3.95 1.333
  TES   52.02   0.53 52.55  

村上選手のフリーは昨シーズンから継続のオーストラリア。前半多少刺さってる部分はあるかな、とは感じつつも大きなミスはなく表彰台は行けそうなペース。1.1倍3-3も入ってこれは行けるかと思った最後のジャンプで転倒。これがただのダブルアクセル転倒ではなくて3連続予定がすべて吹き飛んだ形なので、危ういかもと思いましたが何とか逃げ切って2位に残りました。もったいなかったですが決まっても決まらなくても順位は変わらないという点では幸いにして影響なく終わりました。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループ。セカンド3T2本でシークエンスアクセルは無し。入りませんでしたが3連続は予定では2T+2Loでした。構成的には昨シーズンと同じです。3連続が転倒なので基礎点は52.02にとどまっています。回転不足3つが解消して3連続しっかり入れば基礎点は58.07にまで上がります。スピンレベル3を4に出来れば58.47 上位で戦うにはもう少し欲しいかもしれません。シークエンスアクセル入れてフリップ2本にした方が基礎点は上がるのですが、フリップの!率がかなり高い選手なので、あまりそれはやりたくないのだろうと思われます。

次戦は5戦目のブダペスト。またシンジア選手いますしまた柴山歩選手と一緒の遠征とメンバーだいぶ被りますが、シンジア選手以外は勝てないこともないメンバーだと思いますので、2位2回のファイナル進出で、2種目目のジュニアグランプリファイナルというチャンスは十分あるかと思われます。2位3位だと、持ち点的に苦しいかと思われます。

 

○柴山歩選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.61 3.91 1.778
2 3Lz!<+3T 8.92   -1.28 7.64 -2.667
3 3Lo<< F 1.70   -0.85 0.85 -5.000
4 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.556
5 3S   4.30   0.55 4.85 1.444
6 FCCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.556
7 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
8 3Lz!q+3Tq ! 11.11 x -2.70 8.41 -4.222
9 3F< F 4.66 x -2.12 2.54 -5.000
10 2A+2T+2Lo 6.93 x 0.24 7.17 0.778
11 LSp3   2.40   0.21 2.61 0.667
  TES   53.32   -2.58 50.74  

ジャンプ苦しみました。2転倒でスコア伸ばせず。ショート5位でしたが、クォンミンソル選手は下にいたので、逆転表彰台まではチャンスありそうだったのですがうまくいきませんでした。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループというか昨シーズンもそうですが3Lz+3Tが2回入る構成です。冒頭のダブルアクセルがいつかはトリプルアクセルという意志を感じさせますが、まだ間に合っていません。

ジュニア3シーズン目。身長が明らかに伸びました。それ由来でジャンプの調整に苦しんでいるようにも見えます。今シーズンは耐えるシーズンでしょうか。オリンピックは2シーズン先。シニアに上がるのも2シーズン先なので今シーズンはまだめだった戦績が残せなくても、勝負の年ではないので特に問題はないと思います。本人としてはそんな心境にはならないでしょうけれど。

次戦は5戦目のブダペストです。初戦6位からのファイナルは無いながらも、表彰台を目指したい気分かと思われますが、あまりそこにこだわらず、ジャンプの調整が進んでいってほしいなと思います。

 

○男子シングル 上位12名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Adam HAGARA SVK 220.33 74.01 146.32
2 Hyungyeom KIM KOR 211.76 73.45 138.31
3 Beck STROMMER USA 210.92 69.98 140.94
4 Tonghe TIAN CHN 200.98 66.12 134.86
5 Naoki ROSSI SUI 198.60 61.78 136.82
6 Edward APPLEBY GBR 186.19 66.16 120.03
7 Haru KAKIUCHI JPN 180.51 69.39 111.12
8 David LI CAN 177.03 65.11 111.92
9 Taiga NISHINO JPN 175.90 49.65 126.25
10 Matias LINDFORS FIN 174.52 55.16 119.36
11 Nikita SHEIKO ISR 174.30 54.78 119.52
12 Aleksandr VLASENKO HUN 174.15 64.73 109.42

優勝は隣国スロバキアのアダムハガラ選手でした。昨シーズン世界ジュニア14位、世界選手権23位の選手。すでに17歳でシニアでの活躍も可能ですが今季もジュニアグランプリシリーズに回ってきてパーソナルベストを出して初優勝です。

2位には韓国からキムヒョンギョン選手。昨シーズン世界ジュニア6位。昨シーズンはチャレンジャーシリーズが主戦場でしたのである種出戻りですが、ジュニアグランプリシリーズ初表彰台となりました。

3位にはアメリカからベックストロマー選手が入りました。こちらも17歳。昨シーズン全米ジュニア6位。ジュニアグランプリシリーズ初表彰台となります。

昨シーズン世界ジュニア2位のナオキロッシ選手は5位。ショート2転倒が響いて表彰台には届きませんでした。

17歳が表彰台を席捲したこの試合。日本からも17歳の垣内珀琉選手が出場しましたがフリーが伸ばせず7位。ISU公認のパーソナルベストは更新しました。一方、今期ジュニアに上がった13歳の西野太翔選手はショートで崩れたのが響いて9位となりました。

 

○垣内珀琉選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2T   1.30   -0.22 1.08 -1.778
2 3Lo   4.90   0.28 5.18 0.667
3 4T+2T<< <<  9.90   -4.48 5.42 -4.667
4 FCSp4   3.20   0.05 3.25 0.111
5 3F! ! 5.30   -0.15 5.15 -0.222
6 3Sq q 4.30   -1.29 3.01 -2.889
7 2A+3T+2T* * 8.25 x 0.36 8.61 0.778
8 ChSq1   3.00   0.64 3.64 1.222
9 3Lz+3T< F 10.19 x -2.95 7.24 -5.000
10 CSSp3   2.60   0.19 2.79 0.667
11 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.000
  TES   56.44   -7.22 49.22  

冒頭4回転は2回転になりましたが、2つ目は入りました。コンビネーションのセカンドがダウングレードついていますが、4回転自体は回転十分です。ISU公認で回転十分の4回転は初着氷となります。

2回飛ぶジャンプは結果的には3回転のトーループのみでしたが、予定では4回転トーループも2本のはずでした。4回転が2回転になってしまったことで、2回転トーループが3本入って3回目がキックアウトの零点扱いになっています。構成にトリプルアクセルは無し。ショートでも入っておらず、今のところ4回転の習得を優先していて、トリプルアクセルはまだ構成に入れられないという状態なようです。

4回転飛ぼうとしてうまくいかないのは仕方ないとして、他のジャンプもプラス評価が1つしかないのはちょっと苦しいです。ショートは3つともプラス評価でしたので、飛べないわけではないのだと思いますが、フリーで前半うまく決まっていかない中での後半に立て直していく力はちょっと見せられていません。

次戦は今回と同じ遠征メンバーで5戦目のブダペストです。4回転のGOEプラス成功を祈ります。

 

○西野太翔選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -1.14 6.86 -1.333
2 3F   5.30   0.83 6.13 1.556
3 3Lz! ! 5.90   -0.17 5.73 -0.222
4 3Lo   4.90   -1.47 3.43 -3.000
5 FCSp2   2.30   0.33 2.63 1.444
6 CSSp3   2.60   0.41 3.01 1.556
7 3Lz!+1Eu+3S ! 11.77 x -0.42 11.35 -0.778
8 3F+2Aq+SEQ q 9.46 x -1.06 8.40 -2.111
9 3T+2T   6.05 x 0.12 6.17 0.333
10 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.111
11 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
  TES   62.78   -0.40 62.38  

ショートジャンプ壊滅で出遅れてのフリー。昨シーズン終盤、4月から構成に入れるようになってきたトリプルアクセルをqながら着氷。国際大会でも基礎点満額で降りることに成功しました。ただ、以降のジャンプで大きなミスは無いながらもGOEはマイナスが並んでスコアを伸ばしきることができませんでした。

2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。基礎点は62.78あり今大会では4位です。トリプルアクセル1本ですので構成的には強くは無いように見えるのですが、コンビネーションをすべて1.1倍につぎ込み、シークエンスアクセルも3連3サルコウも使い、基礎点削られるジャンプの減点なしなので、まずまず高めの基礎点を得られました。

まだジュニア1シーズン目ですので、ここから少しづつ構成を上げていくということになるのだろうと思います。まずはトリプルアクセルが2本入るところからなのか、1本のまま4回転を入れる方向へ行くのか。

次戦は5戦目のブダペストをもらいました。今回は国際大会初遠征でしたが、次戦はもう違いますので、ショートからしっかり滑っての上位進出を期待したいです。

 

次週は3戦目、トルコのイスタンブール開催です。女子は中井亜美選手が早くも2戦目でファイナル確定を目指します。もう1人は久しぶりに名古屋からのジュニアグランプリ派遣、ジュニア1年目の上薗恋奈選手が登場です。男子も中田璃士選手が連勝でのファイナル確定を目指します。もう一人、蛯原大弥は初のジュニアグランプリ派遣となります。