JGP バンコク MFアカデミーが辛勝

まだまだ夏真っ盛りな感じが漂っていますが、今シーズンもジュニアグランプリシリーズが始まり、フィギュアスケートのシーズンになってきました。コロナもようやく目立たなくなってきて最初から普通のシーズンとある程度いえそうなジュニアグランプリとなっています。ただし、ロシアはいませんが。戦争はともかくドーピング問題なんとかして、はやく団体戦のメダルをください

それはさておき、初戦は日本からはMFアカデミーセットで4人派遣となりました。

 

○女子シングル 上位12人

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ami NAKAI JPN 190.65 67.49 123.16
2 Yuseong KIM KOR 189.92 63.04 126.88
3 Heesue HAN KOR 173.99 55.29 118.70
4 Yo TAKAGI JPN 171.61 58.30 113.31
5 Annika CHAO USA 164.04 58.93 105.11
6 Sophia SHIFRIN ISR 163.18 53.07 110.11
7 Hetty SHI CAN 156.70 54.09 102.61
8 Ruichen TONG CHN 156.09 57.45 98.64
9 Yu-Feng TSAI TPE 155.71 51.09 104.62
10 Anthea GRADINARU SUI 153.09 53.62 99.47
11 Phattaratida KANESHIGE THA 150.04 51.16 98.88
12 Amanda GHEZZO ITA 146.34 51.79 94.55

中井亜美選手がジュニアグランプリシリーズ2勝目を上げました。フリー最終滑走は想定内ですが、ショートから最終滑走で真打真打でしっかり勝ちました。従来ルールでしたらシニアに上がれた年回りなわけですが、現行ルールではここから後2シーズンジュニアに残ります。このレベルの選手がジュニアに4シーズン滞留しますので争いも熾烈です。日本国内では全日本ジュニアからシニアへの枠を2つ増やすことでそこへの対応をある種しているわけですが、国際大会はその辺の配慮はまったくなく、激烈なジュニアの争いが生じることになってきています。

2位には韓国からキムユソン選手。フリーでトリプルアクセルを決め、これは逆転優勝有るか? とも思われましたがわずかに届かず。昨シーズン世界ジュニア4位のキムユジェ選手と双子ということで全く区別がつきません・・・。双子でISU公認でトリプルアクセルを共に決めた、というのは当然史上初になります。ISU公認のトリプルアクセル成功者は、韓国勢として3人目、要素積み上げ採点方式になって以降では全体でおそらく22人目となります。1カ国で3人目は日本ロシアに次ぐ国別で3番目になりました(要素積み上げ方式以前含めればアメリカも3人います)。

3位にはもう一人韓国からハンヒス選手。ショート6位からの逆転表彰台です。今年も韓国女子は強い。これで今季も表彰台は日韓でスタートとなりました。ショートフリーの合計でスピンで得たスコアは全体1位でした。

日本からもう一人髙木謡選手は惜しくも4位。表彰台チャンスはあったのですがわずかに届きませんでした。

 

○中井亜美選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   -1.08 2.22 -3.333
2 3Lo+2A+SEQ   8.20   0.98 9.18 1.889
3 3Lz+3T   10.10   1.43 11.53 2.222
4 3Lo   4.90   0.98 5.88 1.778
5 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
6 3F!+1Eu+3Sq ! 11.11 x -0.83 10.28 -1.333
7 2A* * 0.00 x 0.00 0.00  
8 3Lz   6.49 x 1.35 7.84 2.111
9 FSSp4   3.00   0.86 3.86 2.667
10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
11 LSp4   2.70   0.62 3.32 2.222
  TES   56.30   6.52 62.82  

冒頭トリプルアクセルを飛び損ねて2回転半で開いて降りてきてダブルアクセル扱い。ダブルアクセル1つ足りなくなるけれどどうするんだろう? と思っていたら7番目に普通にダブルアクセル跳んでノーカウントに。これで優勝なくなったかも、また高い勉強代を払うことになったかとも思いましたが、ショート貯金とPCS差で逃げ切りました。昨シーズンの全日本はシークエンスアクセルの跳び忘れ。どうもダブルアクセル織田信成さん的な弱点を感じます。今回は本人としてはトリプルアクセルのダウングレードになるつもりだったのかもしれません。

他は要素としてはしっかり決めています。2回飛ぶジャンプは結局ルッツとループです。予定構成でトリプルアクセル2本を入れていましたが、1本飛べなかったところでやめたでしょうか。セカンド3Tにシークエンスアクセル、3連3サルコウとコンビネーションも使い切っています。なのでダブルアクセル跳びそう・・、と思ったらやはり飛んで零点・・・。しつこいですが、もったいないです。逃げ切ったのでよかったですが。

次戦は3戦目のイスタンブールです。キムユジェ選手ら韓国勢が強いですが、連勝でファイナル進出を決めていきたいところです。

 

○髙木謡選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2T   7.20   1.01 8.21 1.667
2 2A+3T   7.50   -0.06 7.44 -0.222
3 3F! ! 5.30   0.08 5.38 0.111
4 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.222
5 3Loq q 4.90   -0.63 4.27 -1.222
6 3Lz+2A+2T+SEQ   11.55 x 1.10 12.65 1.778
7 FCCoSp3   3.00   0.69 3.69 2.222
8 3Sq q 4.73 x -1.84 2.89 -4.111
9 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
10 3Tq F 4.62 x -2.10 2.52 -5.000
11 CCoSp4   3.50   0.55 4.05 1.556
  TES   58.30   0.87 59.17  

髙木選手はショートで転倒した3-3を回避して冒頭は3-2にしてきました。3位と0.63差の4位スタートでしたので何としても表彰台に乗りたい、ということでの回避策だったのではないかと思われます。ここが3-2になると全体的には昨シーズンと同じジャンプ構成で順番が多少変わっている、という形になります。前半は良く、後半に入っても3連続決まったのでこれは行ける、と思ったのですが最後の2つのジャンプが決まらず。特に最後の単独トーループの転倒が致命傷で表彰台に届きませんでした。

基礎点58.30は結果的に今回は中井亜美選手より上になりました。最後の2つのジャンプをしっかり決められれば技術点65点くらいまでは出ました。ノーミスで70点くらい出せるポテンシャルはこの構成でもあります。フリーはトリプルアクセルが無い選手にとっては3-3が飛べなくても2A+3Tが入れば基礎点は確保できます。ただやはりショートで差がついてしまうので3-3が安定して下りられるようにはなりたいところです。

なお、今大会でショートフリーのステップコレオの合計点は全選手中1位でした。これまでステップレベル4は全日本と国際大会2試合でだけ得ているということで、大きな舞台の方がステップに力入るタイプなのでしょうか。

髙木選手は当初は2戦目を持っていなかったのでが、4戦目の大阪の地元枠に入りました。島田麻央選手がいる厳しい試合ですが、優勝すればファイナル進出も可能です。現実的には櫛田選手や韓国勢2人、アメリカのミアカリン選手らと表彰台を争うことになるのかと思います。

 

○男子シングル 上位15名

Pl Name Nation Total SP FS
1 Rio NAKATA JPN 217.65 75.28 142.37
2 Francois PITOT FRA 217.50 76.52 140.98
3 Yanhao LI NZL 210.08 72.28 137.80
4 Jacob SANCHEZ USA 201.49 77.69 123.80
5 Minkyu SEO KOR 196.12 67.40 128.72
6 Michael XIE USA 181.06 59.22 121.84
7 Tamir KUPERMAN ISR 178.45 60.39 118.06
8 Wenbao HAN CHN 175.73 64.21 111.52
9 Grayson LONG CAN 172.94 61.41 111.53
10 Yu-Hsiang LI TPE 172.66 65.79 106.87
11 Rio MORITA CAN 171.89 51.82 120.07
12 Casper JOHANSSON SWE 168.76 64.64 104.12
13 Tsudoi SUTO JPN 165.24 58.29 106.95
14 Artur SMAGULOV KAZ 160.42 54.92 105.50
15 Jarvis HO HKG 150.03 47.66 102.37

ジュニア2シーズン目、中田璃士選手がジュニアグランプリ初優勝となりました。ショート3位から逆転優勝。2位とは0.15差の僅差です。217.65はパーソナルベスト。これまで国内含めても201.82が最高スコアだった選手が大きくスコアを伸ばしてファイナル進出にも大きく前進しました。

2位には18歳、ジュニア最終シーズンになるフランスのフランソワピトー選手が入りました。非常に僅差で最後のスピンがレベル4取れていれば勝だったのですがレベル取り切れず。際どい所で勝ちを逃しています。

3位はニュージーランドのヤンハオリー選手。ジュニア2シーズン目。昨シーズンまでのパーソナルベスト151.54の選手が驚きの3位表彰台となりました。ショートフリー合わせたスピンのスコアは23.59で全選手中1位でした。

日本からはもう1人、周藤集選手が出場しましたが13位に終わりました。

 

○中田璃士選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
2 3A+3T   12.20   2.06 14.26 2.556
3 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.778
4 3F+2A+SEQ   8.60   1.44 10.04 2.556
5 3Lo   4.90   -1.26 3.64 -2.667
6 3F   5.83 x 1.14 6.97 2.111
7 3Lo<+1Eu+1S 5.30 x -1.07 4.23 -2.778
8 CSSp4   3.00   0.34 3.34 1.222
9 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
10 2A   3.63 x 0.42 4.05 1.222
11 CCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.778
  TES   62.66   8.02 70.68  

4回転トーループ決まりました。げんさんサマーカップに続いての成功。ISU公認初成功です。平均GOE+2.889 非常に美しい4回転トーループでした。今大会ただ1人の4回転成功者となりました。

もったいなかったのは3連続ジャンプ。ここをしっかり決められていればフリー150点も見えるところでした。

2回飛ぶジャンプはフリップとループ。ルッツの無い構成です。基礎点62.66ですが7番目を3Lo+1Eu+3Sでクリーンに決められれば基礎点は5.37上がって68.03になります。ルッツはe率も確かにそれなりにありますが、ショートでは!に抑えてGOEもプラス側でしたし、できれば構成に入れていきたいところです。あとは、トリプルアクセルもコンビネーションで決まっていますので今シーズン中には2本入ってくるかもしれません。4回転にトリプルアクセル2本まで入ってくると、フリー160点台まで見えてきます。

2戦目は中井選手と同じく3戦目のトルコへMFアカデミーエースセットで派遣。中井選手と共にファイナル進出最速で決められるでしょうか。

ちなみに、ジュニア2シーズン目の選手ですので、ミラノオリンピックは年齢足りずに挑戦権がありません。

 

○周藤集選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 1A   1.10   -0.41 0.69 -3.778
2 2Aq F 3.30   -1.65 1.65 -5.000
3 3Lz   5.90   -0.08 5.82 0.000
4 FSSp3   2.60   0.33 2.93 1.222
5 3Lo+2A+SEQ   8.20   -0.70 7.50 -1.556
6 ChSq1   3.00   0.57 3.57 1.111
7 3Lo   5.39 x 0.84 6.23 1.667
8 1Fe e 0.44 x -0.09 0.35 -2.333
9 CCSp3   2.80   0.44 3.24 1.444
10 3Lz+2T   7.92 x 0.08 8.00 0.111
11 CCoSp3   3.00   0.73 3.73 2.444
  TES   43.65   0.06 43.71  

今回はショートも含めてトリプルアクセル3本すべて不発に終わりました。今シーズン、アクアカップ、げんさんサマーカップトリプルアクセルが決まっておらず、この試合を含めまだ1度も決まっていません。昨シーズンはそれなりには決めていたのですが、また決まらなくなってきてしまっています。ジュニアの上位で戦っていくにはトリプルアクセルまではまずほしいです。6分間では決めていたはずなんですが・・・。

今回は3連続も入らずフリップの1回転というのもあり基礎点伸びていません。

まずはトリプルアクセルを取り戻すところからかと思います。

2戦目は4戦目の大阪に地元枠で入りました。上位進出を目指して、パーソナルベスト更新を目指して、トリプルアクセルを取り戻すことを目指して頑張ってほしいです。

 

次週2戦目はオーストリア開催です。女子は柴山歩選手と、ジュニアグランプリ初出場なのか昨年ファイナルにも出ているというか、村上遥奈選手の2人、男子は垣内珀琉選手と

今期ジュニアに上がってきた西野太翔選手の2人が派遣されます。女子は韓国からクォンミンソル選手にシンジア選手、男子はナオキロッシ選手といった昨シーズン活躍した選手が出てきますが、何とか表彰台を目指していってほしいです。