グランプリシリーズ19 男子シングル ファイナル進出者

グランプリシリーズの6戦が終わり、ファイナル進出者が確定しました。

前回女子シングルを見ましたので、今回は男子シングルです。

男子シングルのファイナル進出者は、羽生結弦、ネイサンチェン、アレクサンドルサマリン、ドミトリーアリエフ、ケビンエイモズ、ボーヤンジン、以上六選手となりました。

 

以下、この6人の、グランプリシリーズの得点の中身を見ていきたいと思います

 

各試合の総合結果

Event

Pl

Name

Nation

SP

FS

Total

Skate Canada

1

Yuzuru HANYU

JPN

109.60

212.99

322.59

NHK Trophy

1

Yuzuru HANYU

JPN

109.34

195.71

305.05

Skate America

1

Nathan CHEN

USA

102.71

196.38

299.09

Internationaux de France

1

Nathan CHEN

USA

102.48

194.68

297.16

Internationaux de France

2

Alexander SAMARIN

RUS

98.48

166.62

265.10

Rostelecom Cup

1

Alexander SAMARIN

RUS

92.81

171.64

264.45

Cup of China

1

Boyang JIN

CHN

85.43

176.10

261.53

Rostelecom Cup

2

Dmitri ALIEV

RUS

90.64

169.24

259.88

Internationaux de France

3

Kevin AYMOZ

FRA

82.50

172.14

254.64

Skate America

3

Dmitri ALIEV

RUS

96.57

156.98

253.55

NHK Trophy

2

Kevin AYMOZ

FRA

91.47

158.55

250.02

Skate America

6

Boyang JIN

CHN

74.56

150.42

224.98

 

まずは単純に総合結果。6人それぞれの2試合分を掲載します。

最高点は羽生結弦選手のスケートカナダで出した322.59 ショートもフリーも羽生選手が最高点です。

ネイサンチェン選手は300点にわずかに欠ける点数が2回。その下は団子かと思ったのですが、3番手はサマリン選手が二試合並んでいます。260点台を二つ並べたのはサマリン選手だけでした。

 

 

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横軸にショートプログラムのスコア、縦軸にフリープログラムのスコアを取って、各選手のスコアをプロットしました。

重なって見えづらい部分もありますが、色と選手の対応は以下すべて同じです

赤色:羽生結弦

水色:ネイサンチェン

黄色:アレクサンドルサマリン

紫色:ドミトリーアリエフ

橙色:ケビンエイモズ

桃色:ボーヤンジン

以上になっています

 

右上へ行くほど合計スコアが高スコアです。右下へ行くのはショートプログラム型、左上によっているのはフリー型の選手、ということになります。

おおよそ、ショートプログラムの2倍のフリー、というのが標準的とすると、ほとんどの選手がショート型に区分されてしまいます。これはおそらく、男子の場合はショートのジャンプがトップ選手は4回転2種類+トリプルアクセルとなって、高得点ジャンプばかりが並ぶ一方で、フリーはもう少し低難度のジャンプも入ってきてしまうので、スピンの数がショートフリーで同じ数しかないことも加味すると、ショートの方が点が出やすい、ということなのでしょう。

おおよそ、ショートの2倍マイナス10点くらいが中心線になるのでしょうか。

それにしても、羽生選手とネイサンチェン選手の二人が図抜けてる感じはこのプロットから見て取れます。他の四人は、ボーヤンジン選手の失敗6位の試合を除くと、比較的固まっていて、3位争いはどうなるかわからない感じがするでしょうか。

 

 

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次は、ショートフリー、通算して、TESを横軸に、PCSを縦軸に取りました。やはり右上に行くほど合計点は高く、右下によると技術点型、左上に行くと演技構成点型の選手となります。

TESとPCSが同じ程度のところに集まる選手は多めですが、ケビンエイモズ選手はややPCS寄りの選手と言えそうです。サマリン選手はやや技術点寄り。ボーヤンジン選手は、ジャンプが成功すれば技術点寄りに来るのですが、失敗すると点数の減り方が大きくてPCSの方が高いスコアになることもあるようです。

ネイサンチェン選手、羽生結弦選手の二人は、PCSがほぼ振り切っているなかで点をどんどん伸ばしてきた、ということで、見た目技術点寄りになってます。まあ、PCSの上限は150点なので、技術点合計で160点を超えてくると、どうやっても技術点寄りになってしまうのですけどね。こういうのは、技術点寄りの選手ではなく、究極型の選手、という呼び方の方があっていそうに感じます

 

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これは似たものですが、横軸はジャンプに減点分を加えたもの、縦軸にはPCSとスピンステップを加えたものです。あまり、PCS/TESのバブルチャートと雰囲気は変わりませんね。

羽生選手、ネイサンチェン選手、二人ともジャンプもすごい選手ですが、ジャンプ無しでも180点を超える点数を稼いでいます。全日本ジュニアならトップ6に入って全日本へ進める水準の得点を、ジャンプ無しでも稼げてしまっている計算です。

その上で、ジャンプだけで他の選手たちと15点以上の差があるわけですから、実力差は歴然という感じがします。

 

 

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次は要素別で、ジャンプの基礎点を縦軸に、GOEによる加点分を横軸に取ったものです。

基礎点は、しっかり飛べた試合では羽生選手、ネイサンチェン選手、サマリン選手、それほど変わらないんですね。一方、GOEでは大きな差が出ています。羽生選手、ネイサンチェン選手はちゃんとやるとジャンプのGOEだけで20点を超えた加点を得ていますが、他の選手はせいぜい10点を少し超えるところまでです。四回転を並べると、一つや二つ、転倒でGOE-5の大幅減点が出てしまうことでこうなってしまうという構図があるでしょうか。

ボーヤンジン選手の失敗した大会はジャンプの合計10要素合計してGOEが-10点近い、ということになっています。基礎点差と同じくらいにGOE差も出ていて、やはりジャンプで大きな差がつく、という構図が見て取れます

 

 

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スピンは連星のようにほとんどすべてがつながりました。サマリン選手が一つ見えなくなっていますが、ケビンエイモス選手のGOEが低い方とほぼ重なって後ろに隠れてしまっています。

スピンはもう序列がはっきりしていますね。羽生選手が基礎点も一番高く、GOEも一番高い。ケビンエイモズ選手、サマリン選手も2試合で12あるスピンの要素すべてレベル4でしたが、組み合わせの関係で羽生選手より基礎点が低くなっています。

アリエフ選手はスピンが苦手な感じがはっきり出ています。

実はこのスピン、女子も並べてしまうと、ザギトワ選手のいい方の試合が基礎点合計19.60でGOEが8.06あるので、羽生選手のいい方の試合もはっきりと越えてしまう、ということになっています。シェルバコワ選手のいい方の試合も基礎点合計19.60にGOEが7点を超えるので羽生選手より上です。女子のチャートだとGOEの下限は4.00でしたし、基礎点の方も18.00まででしたし、男子のチャートより右上にシフトした形で全体が表示されます。

スピンだけ勝負をすると、男女で五分、どころか、総合的には女子の方が点が出る、という光景があります。4回転たくさん飛ばないといけないので、スピンに意識が回りにくいということにしておきましょうか。トゥルソワ選手でもスピンの合計点24.61あって、上記の男子6人中上回ってるのは3人しかいなかったりはしますけれど・・・

 

 

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最後はステップ。ここでいうステップにはコレオシークエンスも含みます。

2試合ともステップレベル4を並べられたのはケビンエイモズ選手のみでしたが、ほかの5選手も1試合はレベル4二つ、もう1試合はレベル4とレベル3ということで、基本的にはレベル4を取る力はある、とみてよさそうです。

ただ、GOEははっきり二分されていて、点が取れる羽生チェンエイモズ三選手と、そうでも三選手、という風に色分けされます。

ジャンプ、スピン、PCS、すべて羽生選手がトップスコアでいましたが、ステップに関してはネイサンチェン選手の方が上回りました。また、スピン、ステップの3番手はケビンエイモズ選手になっています。

 

 

以上、男子シングル、ファイナル進出者6人のグランプリシリーズでの点の取り方でした

 

 

グランプリシリーズ19 女子シングル ファイナル進出者

グランプリシリーズの6戦が終わり、ファイナル進出者が確定しました。

コストルナヤ、トゥルソワ、シェルバコワ、紀平梨花ザギトワ、テネルで6人

ロシア4、日本1、米国1

大方の予想からそれほど外れない枠内のメンバーで決まった感じでしょうか。

6人中初のファイナルが4人。2年連続1人、3年連続1人

テネル選手以外全員10台で、テネル選手含め、全員がシニア3年目以内です。

時代は、変わりました・・・

 

今回は、この6人の、グランプリシリーズの得点の中身を見ていきたいと思います

 

各試合の総合結果

Event Pl Name Nation SP FS Total
Skate Canada 1 Alexandra TRUSOVA RUS 74.40 166.62 241.02
NHK Trophy 1 Alena KOSTORNAIA RUS 85.04 154.96 240.00
Internationaux de France 1 Alena KOSTORNAIA RUS 76.55 159.45 236.00
Rostelecom Cup 1 Alexandra TRUSOVA RUS 74.21 160.26 234.47
NHK Trophy 2 Rika KIHIRA JPN 79.89 151.95 231.84
Skate Canada 2 Rika KIHIRA JPN 81.35 148.98 230.33
Skate America 1 Anna SHCHERBAKOVA RUS 67.60 160.16 227.76
Cup of China 1 Anna SHCHERBAKOVA RUS 73.51 152.53 226.04
NHK Trophy 3 Alina ZAGITOVA RUS 66.84 151.15 217.99
Skate America 2 Bradie TENNELL USA 75.10 141.04 216.14
Internationaux de France 2 Alina ZAGITOVA RUS 74.24 141.82 216.06
Skate Canada 4 Bradie TENNELL USA 72.92 138.39 211.31

 

まずは単純に総合結果。6人それぞれの2試合分を掲載します。

最高点はトゥルソワ選手のスケートカナダで241.02 230点以上はトゥルソワ選手、コストルナヤ選手に紀平梨花選手の3人で6試合です。シェルバコワ選手は2戦2勝ですが、スコア的には紀平梨花選手に劣る形です。2位が2回なので印象的に4番目に思われていますが、紀平梨花選手の今シーズンのスコアは3番手になります。順当にいけば表彰台、という意味です。

トリプルアクセル以上のジャンプがないザギトワ選手、テネル選手の二人は、上位4人から一歩下がって210点台のスコアでした。

それにしても、フリーは普通に150点台が並ぶ時代になりました。何とも恐ろしい時代です

 

 ショート/フリー スコア対比

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横軸にショートプログラムのスコア、縦軸にフリープログラムのスコアを取って、各選手のスコアをプロットしました。

重なって見えづらい部分もありますが、赤:トゥルソワ 水:コストルナヤ 黄:シェルバコワ 橙:紀平梨花 紫:テネル 桃:ザギトワ となっています。

右上へ行くほど合計スコアが高スコアです。右下へ行くのはショートプログラム型、左上によっているのはフリー型の選手、ということになります。

おおよそ、ショートプログラムの2倍のフリー、というのが標準的とすると、ショートプログラム型なのが紀平選手とテネル選手。フリー型はトゥルソワ選手とシェルバコワ選手になります。コストルナヤ選手は、ショートのトリプルアクセルが回転不足なときはフリー型、フリーのトリプルアクセルが回転不足の時がショート型、という分類でした。トリプルアクセル次第なようです。ザギトワ選手も回転不足の取られ方次第でショートによるかフリーによるか決まるようです

 

 技術点/演技構成点 対比

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次は、ショートフリー、通算して、TESを横軸に、PCSを縦軸に取りました。やはり右上に行くほど合計点は高く、右下によると技術点型、左上に行くと演技構成点型の選手となります。

典型的な技術点タイプがトゥルソワ選手です。シェルバコワ選手も技術点型ですがトゥルソワ選手ほど極端ではありません。

ザギトワ選手は完全に演技構成点型になっています。テネル選手も演技構成点型。

バランス型がコストルナヤ選手と紀平梨花選手という構図ですが、紀平選手はやや演技構成点よりですかね。4回転が入らないまでも、ルッツがショートフリーで3本入った時点で、ちょうどバランス型になるような位置に見えます。

この分布は、自分が好きな選手がどの辺に位置するか、という傾向が見えそうなものに感じます。

 

 ジャンプとそれ以外のスコア対比

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これは似たものですが、横軸はジャンプに減点分を加えたもの、縦軸にはPCSとスピンステップを加えたものです。技術点の中でもどれだけジャンプに依存しているか、というのがよりはっきり出ます。減点を加えたのは、減点の原因は多くの場合ジャンプの転倒によるためです(ステップで転倒したりすることもありますが)。

 

トゥルソワ選手はジャンプだけで100点を超えた試合がありました。当然はっきりとジャンプ型の選手です。四回転二本持ちのシェルバコワ選手もジャンプ型。

ザギトワ選手は演技型、とでもいえますでしょうか。意外なのですが、今シーズンはジャンプで得た得点はテネル選手よりも低い、という形になっています。ザギトワ選手のいい方でもトゥルソワ選手の悪い方と比べてジャンプだけで27点ほど差があります。このジャンプの点差は強烈です。

紀平選手、コストルナヤ選手はやはりバランス型。コストルナヤ選手は四回転がないのですが、四回転二本持ちのシェルバコワ選手をジャンプの得点で上回ります。四回転二本が相手なら、それがたとえルッツであっても、トリプルアクセル3本でジャンプの点だけで見ても上回ることができるわけです。

 

 ジャンプ基礎点とGOE

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次は要素別で、ジャンプの基礎点を縦軸に、GOEによる加点分を横軸に取ったものです。

基礎点はやはりトゥルソワ選手が圧倒的に高く、シェルバコワ選手がそれに続きます。一方で、加点はコストルナヤ選手がトップに出ます。紀平選手もいい方の試合ではトゥルソワ選手やシェルバコワ選手のいい方の試合よりも、加点分は上回ります。ただ、同じトリプルアクセル3本構成のコストルナヤ選手と比べて、ルッツがない分基礎点で劣り、加点もやや劣るという形になっており、この辺がNHK杯で勝ちきれなかった要因の一つとしてありました。

ザギトワ選手、テネル選手はやはりジャンプの基礎点は他の選手と比べるとかなり厳しくなります。トゥルソワ選手と比べると基礎点にして30点程度の差になってしまいかなり苦しいです。今シーズンは回転不足が目立つため、基礎点からの減点が多くなってしまっています。また、ザギトワ選手が今シーズンはジャンプで加点を稼げていません。加点で勝負の選手がこの状態だとエテリ組妹分3人衆に歯が立たない感じです。ただ、この出来でも210点台後半を二試合並べてファイナルには進んできていますので、パーフェクトにしっかり演じたら、まだ一勝負可能なはずです。実際、昨シーズンはネーベルホルン杯で238.43 世界選手権で237.50まで出しているわけですから、ノーミスパーフェクト神演技で240点までなら到達可能で勝負可能なわけです。240点勝負までならまだチャンスは残ります。

 

 スピンの基礎点とGOE

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今度はスピンの基礎点とGOE

基礎点が2試合でずれている選手は、レベル4の取り損ねがあった、という意味にもなります。レベル4取り損ね無しは紀平選手とコストルナヤ選手の二人です。コストルナヤ選手は重なって見えにくいですが、基礎点19.1のGOEが7点当たりのところにザギトワ選手の一つと重なってしまっていますがあります。

すべてレベル4の時に一番基礎点が高くなる構成は、トゥルソワ選手、シェルバコワ選手、ザギトワ選手の3選手が持っています。紀平選手はスピンで基礎点にして0.8負けている、という現実が実はあったりするのと、GOEもあまり伸ばせていません。こういうところでコストルナヤ選手に1.5~2点負けてしまうのが、実はちょっと苦しい点だったりします。あまりこれまで目立っていなかったのですが、このレベルの選手たちので並べてしまうと見劣りするという、紀平選手の弱点です。

スピンの加点が一番取れていないのはトゥルソワ選手です。ここはある種伸びしろ。もう2から2.5点くらいは稼げるはずです。

最高点の組み合わせでかつ、GOEを最も取ったのはザギトワ選手なのはさすがですが、なんでレベル取りこぼす試合があるかなあ。昨シーズンは国際試合で36回のスピン要素のうち35回レベル4だったのですけれど。すべてをロシア選手権に合わせるための準備段階、だったりしますでしょうか。でも、そうだとしてもスピンのレベルを早々取りこぼすような選手じゃないはずなのですけれど

 

 

 ステップの基礎点とGOE

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最後にステップの基礎点とGOE ステップにはコレオシークエンスも含めます

ショートフリー、どちらもレベル4の場合、基礎点合計は10.8になります。

2試合ともしっかりステップレベル4をそろえたのはコストルナヤ選手とテネル選手。ここでもザギトワ選手が一つレベル3だったりしました。

シェルバコワ選手はレベル3が二つの試合と、レベル4と2の試合とが一つづつ。昨シーズン、ジュニア時代はすべてレベル3でしたし、実はステップのレベル4がほとんどとれていません。GOEも一番低い水準ですので、他のトップ選手と比べるとステップで3点4点負けていたりします。トゥルソワ選手はシェルバコワ選手ほどではなく、昨シーズンからレベル4率は5割以上はありますが、レベル4がデフォルトというほどの安定さはありません。

GOE最高点はスケートカナダの紀平選手。トゥルソワ選手に打ち勝つには、こういうところで勝っていくことが求められます。ステップのレベル4は、昨シーズンは14/16 今シーズンは6/7 基本的にはレベル4が取れますので、1点でも2点でも、勝っていきたいところです。

 

以上、女子シングル、ファイナル進出者6人のグランプリシリーズでの点の取り方でした

 

 

卓球東京オリンピック代表選考 女子はチャレンジシリーズ決戦へ

 卓球女子のオリンピック代表選考は11月のT2ダイヤモンドを終えても、残り1枠の行方は見えない状態で残り2戦となりました。

T2ダイヤモンド終了時のポイント状況をまず見てみます

 

 

T2後ポイント

T2増加

8番目

7番目

伊藤美誠

14310

800

1250

1440

平野美宇

10695

400

900

900

石川佳純

10630

400

900

900

佐藤瞳

7995

500

720

850

加藤美優

7545

 

675

680

早田ひな

7520

 

675

720

芝田沙希

5720

 

675

675

橋本帆乃香

5535

 

555

555

 

2枠目を争う平野石川両選手は、どちらも初戦敗退でポイント差は付きませんでした。

全体6番手だった佐藤瞳選手がベスト8に残って500ポイントを稼いで全体4番手に浮上です。

 

この結果、2枠目を争う二人はポイント差65のまま残り2戦へ突入していくことになります。

ツアーファイナルの出場権があるのは、T2ダイヤモンドに出場した4選手のみです。一応、ファイナル辞退者が6名以上出れば、早田選手に出場権が回ってきますが、さすがにそんなに辞退しないのではないかと思われます。したがって、この時点で、全体4番目も佐藤瞳選手で確定しました。

 

さて、平野美宇選手、石川佳純選手、二人が残す大会は二つです。この二つで、それぞれの結果がどうなると、最終ポイントがどうなるのかを見てみます。

CHはチャレンジ格の試合、Fはツアーファイナルを指します

CHについている負けは準優勝以下の結果を指します。Fの横についている数字は、どのラウンドまで残ったかの意味です。べすと16なら16 決勝で負けたなら2 などです

 

 

平野美宇

石川佳純

 

CH優 F優

12545

   
   

12480

CH優 F優

CH負 F優

12345

   
   

12280

CH負 F優

CH優 F2

12035

   
   

11970

CH優 F2

CH負 F2

11835

   
   

11770

CH負 F2

CH優 F4

11655

   
   

11590

CH優 F4

CH負 F4

11455

   
   

11390

CH負 F4

CH優 F8

11270

   
   

11205

CH優 F8

CH負 F8

11070

   

CH優 F16

11015

   
   

11005

CH負 F8

   

10950

CH優 F16

CH負 F16

10815

   
   

10750

CH負 F16

現行ポイント

10695

   
   

10630

現行ポイント

 

基本的には、二人がこの先同じラウンドで負ければ最終的に平野美宇選手の勝ち、どこかで一つ上のラウンドまで行ければ石川佳純選手の勝ち、という情勢です。

次の12月頭のチャレンジ格の試合は、優勝しない限りポイントは増やせません。石川選手が優勝した場合、ポイントが逆転し、ファイナルの前に石川選手が有利な状況になります。一方、平野選手が優勝した場合は、平野選手が二歩前に出る形になり、ツアーファイナルで平野選手が初戦敗退しても、石川選手はベスト4まで勝ち進むことが必須になります。

 

次のチャレンジ格の試合は、この二人がワンツーシードになり、シード上位選手はほとんど日本人選手になる、ということが予定されている大会です。ここ最近、二人はともに疲れがたまっているのか、あまり勝ちに恵まれていないのですが、序盤は格下との相手が続くチャレンジ格の大会で決勝まで勝ち進み、直接対決ということになると非常に興味深い試合となり、最終的にその試合で勝った方が代表権をつかみました、という構図になる可能性があります。

二人が出場する今シーズンの試合の中で、一番グレードが低い大会なのですが、この4年間の中で一番重要な大会になる可能性が出てきました。

一応、チャレンジシリーズの結果がどうあれ、ファイナルで優勝すれば、どちらの場合でもオリンピックの出場権獲得が決まりますので、最終戦まで自力でチャンスが残る構図ではあることは間違いないのですが、今の二人の力で、中国だらけのファイナルにてどこまで勝ち上がることができるか?

12月1週目のカナダのチャレンジ格の大会、大注目になります。

 

 

以上、卓球の女子シングル、東京オリンピック代表選考レースの情勢でした。

 

 

卓球 東京オリンピック代表選考 男子 形勢逆転

卓球の東京オリンピックの代表選考は大詰めに差し掛かっています。11月のT2ダイヤモンドを終えて、実質的には残り3試合となってきました。このT2ダイヤモンドで、代表争いの2枠目の形勢が逆転したように感じられます

 

T2ダイヤモンド終了時の上位選手のポイントは以下のようになっています

 

 

T2後ポイント

T2増加

8番目

7番目

張本智和

11675

700

1125

1125

水谷隼

8925

500

900

900

丹羽考希

8865

500

720

750

森園政崇

5195

 

450

450

神巧也

5055

 

450

540

吉村和弘

4830

 

360

540

宇田幸矢

4740

 

360

540

吉村真晴

4725

 

360

450

 

4000ポイント以上持っている選手をリストアップしています。

 

T2ダイヤモンドは、出場すれば最低400ポイントが加算される、ある種のボーナス大会です。元々この大会は日本からは張本選手と水谷選手だけが出場権がありました。ところが、上位選手の出場辞退があり丹羽選手にまで出場権が転がり込んできたことで事態が一変しました。

本来は結果に関係なく、水谷選手がT2ダイヤモンドに出場することにより、丹羽選手との差を大きく広げて残り3戦、となっていくところでした。ところが丹羽選手もこの試合に参加したことで差が広がりませんでした。二人とも、結果的に一回戦を勝ち、準々決勝で敗れてたことで、獲得ポイントは同じ500だったわけですが、ゼロ予定の試合で500ポイントを稼げたことは丹羽選手にとって大変大きなものになっています。

 

まだこの時点ではわずか60ポイントではありますが、水谷選手の方が上にいます。しかし、次の試合であるワールドカップの出場権が丹羽選手にはありますが水谷選手にはありません。このワールドカップの時点で丹羽選手がポイントを逆転することは、出場さえすれば確定です。

また、ツアーファイナルの出場権が、現段階では水谷選手が持っていて丹羽選手が持っていません。しかしながら、あと1枠、辞退者が出れば丹羽選手にも出場権が回って来る、ということになってきました。これが丹羽選手に入るかどうかで最終結果が大きく変わってきます。

 

残りの試合の獲得ポイントにより、最終的に両者がどこまで取れるかを見てみます。

Wはワールドカップ、CHはチャレンジシリーズ、Fはツアーファイナルを指します。CH負は水谷選手は準優勝以下、丹羽選手はベスト4以下 F16など、アルファベットの後ろの数字は、16ならベスト16、8ならベスト8など、どこまで勝ち上がったかを指します

 

 

水谷

丹羽

 
   

11045

W優 CH優 F無

   

10825

W優 CH2 F無

CH勝 F優

10775

   
   

10695

W優 CH負 F無

CH負 F優

10575

   
   

10410

W2 CH優 F無

CH勝 F2

10265

   
   

10190

W2 CH2 F無

   

10155

W3 CH優 F無

CH負 F2

10065

   
   

10060

W2 CH負 F無

   

10025

W4 CH優 F無

   

9935

W3 CH2 F無

CH勝 F4

9885

   
   

9805

W3 CH負 F無

   

9805

W4 CH2 F無

   

9770

W8 CH優 F無

CH負 F4

9685

   
   

9675

W4 CH負 F無

   

9550

W8 CH2 F無

   

9515

W16 CH優 F無

CH勝 F8

9500

   
   

9420

W8 CH負 F無

CH負 F8

9300

   
   

9295

W16 CH2 F無

CH優勝 F16

9245

   
   

9165

W16 CH負 F無

CH負 F16

9045

   

現在ポイント

8925

   
   

8865

現在ポイント

 

出るだけでもポイントが増える、というグレードの試合を二人ともまだ残していますが、この先、両者とも一つも勝てなかった場合は、丹羽選手が上に行きます。

丹羽選手がワールドカップでベスト8まで残った場合、その後勝てなくても、水谷選手は最低でもカナダのチャレンジシリーズで優勝したうえで、ツアーファイナルのベスト8まで残る必要があります。丹羽選手がワールドカップベスト8な上に、チャレンジシリーズで決勝まで残ると、水谷選手はその決勝で丹羽選手を下した上で、ファイナルはベスト4まで進まないといけません。まずは、丹羽選手がきっちりワールドカップで一つ勝てるか、というのがポイントです

 

ただ、上記は、丹羽選手がファイナルに出場できないことが前提です。ツアーファイナルに欠場者がもう一人出ると、丹羽選手に出場権が回ってきます。その場合は、さらに状況が変わってきます。ツアーファイナルは初戦敗退でもポイント1020なので、丹羽選手は出場すれば確実にポイントの上積みがあります。チャレンジシリーズでベスト4以下の場合は270ポイント、準優勝の場合は140ポイント、優勝していた場合でも120ポイントが確実に増えます。そのうえで、勝ち上がればさらにポイントが増えるわけです。

丹羽選手にツアーファイナルの出場権が回ってきた場合、9435ポイントまでは確実に積みあがります。現在の8番目のポイントが720、7番目のポイントが750と、比較的低い、というのがここで効いてきます

水谷選手は、丹羽選手がツアーファイナルの出場権を得た場合、丹羽選手がこの先まったく勝てなかったとしても、チャレンジシリーズで優勝したうえで、ツアーファイナルはベスト8に勝ち上がることが必要です。丹羽選手がワールドカップでベスト8に残った場合は、9690まで確定しますので、水谷選手はチャレンジシリーズで優勝したうえでツアーファイナルベスト4、あるいはチャレンジシリーズで勝てなければ、ツアーファイナルで決勝に残ることが最低限求められます。

 

ファイナルの出場権がない状態でも、T2ダイヤモンドで出場出来たことにより、丹羽選手の方がやや有利な状態になってきたのですが、ファイナルの出場権まで回って来ると、圧倒的に丹羽選手の方が有利、ということになります

よその選手の出場辞退、という水谷選手にとってはどうにもできないことによって起きたこの状況です。水谷選手が、運に見放されるようななにかが最近あったのか知りませんが、少々ツキがない展開になってしまっています。

 

丹羽選手の方は連戦が続いていることが懸念材料としてあるでしょうか。11月は1週目に東京でチームワールドカップ、2週目にオーストリアでツアープラチナを戦った後、3週目はシンガポールでT2ダイヤモンド、4週目は中国へ移動してワールドカップです。さらに翌週、カナダへ飛んでのチャレンジシリーズ。5週連続の試合が確定しています。毎回日本へ一度帰ってきているのかわかりませんが、一カ月で何マイル貯まってるんだろう? というような移動距離です。これを乗り越えて、オリンピックの切符をつかめるかどうか。

すべてはワールドカップの組み合わせと、ファイナルの辞退者にかかっている、と言っては失礼かもしれませんが、そういった展開になってきました。

 

 

以上、卓球男子の東京オリンピック選考レースの現状でした

 

 

 

 

卓球 伊藤美誠 東京オリンピック代表確定

11月に入り、東京オリンピック代表選考の一つの山場、最後のツアープラチナ大会を終了しました。この段階で、一つの決着がついた形になっています

                                                  

10月のワールドカップ以降の3大会について、女子のランキング上位選手の結果をまず示します。 

 

BLRオープン

Team WC

AUTオープン

伊藤美誠

出場無し

5勝(1250)

 

平野美宇

出場無し

2勝(500)

ベスト32(675)

石川佳純

出場無し

2勝(500)

ベスト16(900)

佐藤瞳

出場無し

0勝(0)

ベスト16(900)

加藤美優

出場無し

出場無し

予選決勝(450)

早田ひな

優勝(850)

出場無し

ベスト8(1125)

芝田沙希

ベスト16(340)

出場無し

予選決勝(450)

橋本帆之香

ベスト4(555)

出場無し

予選決勝(450)

 

上位選手の中で大きくポイントを伸ばしたのは、もともとポイントトップだった伊藤美誠選手と、わずかな可能性を残していた早田ひな選手の二人でした。

 

チャレンジシリーズのベラルーシオープンは優勝しても850ポイントで、準優勝だと680ポイント。優勝しないとまともにポイントを伸ばせない、という中で早田選手はしっかり勝ち切りました。チャレンジシリーズはプラスの3試合含めて今シーズン5勝目。このクラスの大会では早田選手は圧倒的な強さを示している今シーズンです。

 

チームワールドカップは上位4選手が出場。佐藤瞳選手は大会エントリーメンバーには入っていたのですが、試合に出るチャンスを与えてもらえませんでした。

大会は決勝までで結局5試合あったのですが、ダブルスを平野/石川ペアでまず戦い、残りのシングルスを二戦目に伊藤選手、三戦目に平野選手か石川選手かという配置で、四戦目以降がある場合は、伊藤選手がもう一試合と、平野選手石川選手の出ていない方が入る、という並び順でした

結局、ダブルスが負けた韓国戦は伊藤選手が二試合出て、それも含め中国戦以外はシングルス全勝だったのですが、試合数の関係で、伊藤選手だけが5勝上げてポイントを伸ばした形です。

 

 

では、ワールドツアーの今シーズン最後のプラチナ大会を終了した時点での東京オリンピック選考ポイントを見ていきます。

 

 

当月ポイント

先月ポイント

8番目

7番目

伊藤美誠

13510

12305

1250

1440

平野美宇

10295

10295

900

900

石川佳純

10230

10230

900

900

加藤美優

7545

7545

675

680

早田ひな

7520

6760

675

720

佐藤瞳

7495

7315

720

850

芝田沙希

5720

5720

675

675

橋本帆乃香

5535

5520

555

555

 

平野選手と石川選手はポイントを伸ばせず、トップの伊藤選手との差が広がりました。残りの出場可能試合は3試合。T2ダイヤモンドのシンガポールと、チャレンジプラスのカナダ、そしてツアーファイナルです。この三試合、すべて優勝すると1000+1100+2550ポイントあります。T2ダイヤモンドはボーナスポイントとして単純加算なので、平野選手、石川選手はここから、下記の計算分だけポイントを伸ばすことが可能です

 

1000+1100+2550-900-900 = 2850

 

従って、最大到達ポイントは平野選手で13145ポイント、石川選手で13080ポイントになります。どちらも伊藤選手には届きませんので、現段階で伊藤選手のトップ通過、オリンピック代表が確定しました。

なお、実際には、二人ともがここまで稼ぐことがそもそも出来ません。二人同時に優勝する、ということがあり得ないためです。今後の3試合、準優勝のポイントはそれぞれ800,840,2040です。カナダの試合は準優勝だとポイントが840なので、平野選手、石川選手はポイントを増やせません。

ここから、平野選手と石川選手の二人のうち低い方のポイントが最大になる組み合わせは、

平野美宇:T2 優勝(1000) カナダ優勝(1100) ファイナル準優勝(2040)

石川佳純:T2準優勝(800)  ファイナル優勝(2550)  のときとなります

その時

平野美宇:10295+1000+1100+2040-900-900 = 12635

石川佳純:10230+800+2550-900 = 12680

 

となります。

夏の時期までは三人が競っているという状態でしたが、秋口から伊藤選手が抜けだし、最終的には大差がつきました。

実は上位三選手の中で、伊藤選手だけはわかりやすい大きなタイトルがありません。いろいろなめぐりあわせの関係もありますが、石川選手はツアーファイナル、平野選手はワールドカップをそれぞれ個人で優勝した、というビッグタイトル持ちですが、伊藤選手にはまだそういったものがありません。今年は、もちろん簡単ではないですが、ツアーファイナルのタイトルを取るチャンスが来ているように感じます。来年は世界選手権が団体戦ですので、オリンピック前の個人戦シングルスとしては、このツアーファイナルが最後のビッグタイトルとなるかと思いますので、ここで一つ、取ってしまってもらえたらと思ったりします。

 

4番手以下の選手は、早田選手がポイントを大きく伸ばしました。残り全勝が最低条件、という中で今月に入ってきましたが、まずチャレンジプラスのベラルーシの試合で優勝。次いでツアープラチナ格のオーストリアオープンも予選を勝ち上がり、一回戦で平野選手に4-0ストレートで勝ち、勝ち上がって希望をつないでいたのですが、準々決勝で敗退。これによって、佐藤瞳選手を超えて5番目までポイントランクを上昇させましたが、ツアーファイナルの出場権も結局得られませんでしたので、残り1試合では上位にポイントが届かず、終戦という形になりました。

 

4位以下の選手でこの先試合数がまだ残っているのは佐藤瞳選手のみです。佐藤選手はT2ダイヤモンドの出場権があり、ツアーファイナルもなんとかランキング15番目で権利を残した形になっています。ですが、残り3試合すべて優勝しても、1000+1100+2550しかポイントを稼げず、消えるポイントが720と850ありますので、

 

7495+1000+1100+2550 -720-850=10575

 

となり、最大でも10575ポイントにしかなりません

一方、現在ポイント2位の平野美宇選手は10295ポイントをすでに獲得していて、ここにT2ダイヤモンドに出場した時点で400ポイントが加わりますので、10695ポイントまではその時点で増えます。

 

従って、事実上、佐藤瞳選手も終戦です。

 

というわけで、残りの1枠が、平野美宇選手と石川佳純選手の一騎打ち、という形に完全になってきました。二人ともシーズン後半に入ってきてから大きなポイントを稼ぐことが出来ていません。戦績としても、それはまあ勝つよね、というような相手くらいにしか勝てていない、という現実があるなかで残り3大会となってきました。

現在は平野美宇選手が65ポイントリード。わずかですがリードがある、というのはあまり好調ではない二人の関係性としてはかなり有利ではあります。どちらも同じ位置で負けた場合は最終的に平野選手が上に残る、ということになりますので。

この先三試合のうちT2ダイヤモンドとツアーファイナルは強豪ぞろいの中国勢+αみたいな大会です。二人とも、一つ勝てれば上出来、場合によってはどちらも二人とも一つも勝てないかも、といった状況も考えられます。もしかしたら、カギになるのは、一番ポイントの小さい、チャレンジプラスグレードの12月に入ってすぐにあるカナダの大会になるかもしれません。ここは、現在のエントリー状況を見ると、日本選手権伊藤美誠抜き、みたいな形になっていて、いまのままいくと、第一シード石川佳純、第二シード平野美宇、以下第五シード早田ひな選手まで日本勢が並び、上位8シード中7人が日本勢、みたいなかたちになります。この大会は平野選手石川選手は優勝しない限りポイントを伸ばせません。優勝すれば200ポイントを追加できます。ここでどちらが優勝するのか、あるいは、別の日本勢が止めるのか、というのが、最後のカギになりそうな展開になってきました

 

なお、平野石川遼選手がT2ダイヤモンドで獲得ポイントが同じ場合、平野選手が次のチャンレジプラスの大会で優勝すると、ツアーファイナルは平野選手が初戦敗退でも石川選手はベスト4まで勝ち上がらないとポイントを逆転できない、という形になります。

逆にT2ダイヤモンドの獲得ポイントが同じ状態で石川選手がチャンレジプラスで優勝しても、ファイナルで初戦敗退したら、平野選手は一つ勝ってのベスト8で逆転できます。

こういった視点からしますと、現在の二人のポイント差は非常に小さいものの、わずかではあっても上にいる平野選手の方がかなり有利である、と言えそうです

 

 

 

以上、卓球の女子シングル、東京オリンピック代表選考レースの情勢でした。

 

 

卓球 張本智和 事実上東京オリンピック代表確定

11月に入り、東京オリンピック代表選考の一つの山場、最後のツアープラチナ大会を終了しました。この段階で、一つの決着がつきました

                                                  

10月末からの3大会について、男子のランキング上位選手の結果をまず示します。 

 

 

BLRオープン

Team WC

AUTオープン

張本智和

出場無し

4勝(1000)

ベスト16(900)

水谷隼

出場無し

欠場

初戦敗退(675)

丹羽考希

出場無し

1勝(250)

ベスト8(1125)

森園政崇

出場無し

出場無し

予選ベスト64(340)

吉村和弘

出場無し

出場無し

予選128(225)

神巧也

出場無し

出場無し

予選決勝(450)

吉村真晴

出場無し

1勝(250)

ベスト32(675)

宇田幸矢

準優勝(680)

出場無し

出場無し

 

男子ではチームワールドカップに水谷選手が出場予定だったものがけがのため欠場。その影響からかチームとしてもグループリーグからイングランドに敗れたりしていましたが、個人では結局張本選手の4勝が最高で、誰もポイントを伸ばすことは出来ませんでした。

ベラルーシのチャレンジシリーズは宇田選手のみが出場し準優勝。上位選手の出場話でした。

ワールドツアーのプラチナグレードのオーストリアオープンでは丹羽選手が久しぶりに気を吐いてベスト8まで勝ち上がり大き目なポイントを獲得しました。

 

今シーズンのワールドツアー最後の大会が終わった段階で、各選手のポイントは以下のようになりました。

 

当月ポイント

先月ポイント

8番目

7番目

張本智和

10975

10975

1125

1125

水谷隼

8425

8425

900

900

丹羽考希

8365

7960

720

750

森園政崇

5195

5195

450

450

神巧也

5055

4945

450

540

吉村和弘

4830

4830

360

540

宇田幸矢

4740

4400

360

540

吉村真晴

4725

4390

360

450

 

4000ポイント以上持っている選手をリストアップしています。

張本選手と水谷選手がポイントを増やせませんでした。丹羽選手がプラチナ大会ベスト8のポイントを加えて水谷選手のすぐ背後まで迫ってきました。その差60ポイント。

 

4番手以下はすでに上位2人に入って東京オリンピックの代表権を取る、という可能性はなくなっています。問題は上位3人が最後どうなっていくか。

 

さて、現在3番手の丹羽選手はこの先残す試合はワールドカップとチャレンジプラスグレードのカナダの試合の2試合です。ツアーファイナルはツアーランクが18位で終わってしまったので、15位までプラス開催地(中国)の連盟推薦の枠の中に入ることができませんでした。ベスト8まで残った先日のオーストリアの試合で、ベスト4まで勝ち進んでいれば、13位にまであがってファイナルの出場権を得ることができたのですが・・・

辞退者が3名ほど出ればファイナルに出場できますので、まだそうなる可能性はありますが、基本的には出場権はなく、残りは2試合です

この残りの2試合はどちらも優勝したとして、2550ポイント、1100ポイントが得られます。この、最大までポイントを得たとすると下記のようになります

 

8365+2550+1100-720-720=10575

 

現在10975ポイントを持つ張本選手を上回ることができません。したがって、ツアーファイナルの出場権を持つ選手が3人以上辞退する、といったことが起きないと考えた場合、現時点で張本選手がポイント2位以内にはいって、オリンピックの代表になることが実質的に確定した、と言えます

 

もう一つ、2番手の水谷選手。こちらも大変です。オーストリアオープンで初戦敗退し、ツアーランク下位だった中国選手が決勝まで勝ち上がってしまい、ツアーランクが16位まで下がってしまいました。

ツアーファイナルに出られない場合、残りは二試合で、T2ダイヤモンドのシンガポールと、チャレンジプラス格のカナダです。この二試合だけだとどちらも優勝しても最終ポイントは9625ポイントで張本選手に全然及びません

ただ、大会が中国で行われるので、今回は主催国の出場選手がすでにいるため、水谷選手は16番目滑り込みという形でファイナルの出場権は回って来るようです

 

8425+1000+1100+2550-900-900=11275

 

ここまで稼げれば、張本選手の現在のポイント10975を上回ることができます。

しかしながら、張本選手は次にT2ダイヤモンドの試合にエントリーしています。この大会は一勝もできなくても出場すれば400ポイントが得られます。つまり、T2ダイヤモンドの試合に張本選手が出場した段階で、結果によらず11375ポイントに到達しますので、水谷選手がどうやっても張本選手のポイントを超えることができなくなります

 

以上のことから、張本選手は、ツアーファイナルに辞退者が出ないと仮定した場合には現段階でオリンピック代表になる条件を満たしている、というだけでなく、ファイナルに辞退者が出て、水谷選手も丹羽選手も出場することになったとしても、それ以前にT2ダイヤモンドの試合に出場しさえすれば、ポイント2番手以内が確定しますのでオリンピック出場権を得る条件がそろいます

というわけで、出場しさえすればいい、というところまで来ましたので、現段階で実質的に張本選手は東京オリンピック代表が確定しました

 

残りは1枠。水谷選手と丹羽選手の一騎打ちです

現在のポイントは水谷選手8425ポイント、丹羽選手8365ポイントで60ポイント差にまで縮まっています。ただ、水谷選手は出場すればそれだけで最低400ポイントはボーナスでプラスされるT2ダイヤモンドの出場権があります。丹羽選手にはありません。これを加味すると、二人の差は460ポイントにまで広がります。

丹羽選手は残り二試合。ワールドカップとチャレンジプラスの試合でその差を埋める必要があります。ワールドカップは20人出場でベスト16でも1020ポイント。現在8番目のポイントが720の丹羽選手はベスト16止まりでも300ポイント加算できますので差は160ポイントに縮められます。ベスト8なら1275なので555ポイント加算して、逆に95ポイントのリードになります。ベスト4まで行けば1530ポイントで一気に810ポイント加算して350ポイントのリードに出来ます

12月のチャレンジプラスの試合は優勝しても1100ポイント。水谷選手は8番目のポイントが900ありますので200ポイントしか増やすことができません。そのため、T2ダイヤモンドで初戦敗退し、ワールドカップで丹羽選手がベスト4まで進むようなことがあると、水谷選手はファイナルでポイントを稼いで再度逆転を狙わないといけない、ということになります。

 

 

以上、卓球男子の東京オリンピック選考レースの現状でした

 

 

 

 

日本スケート連盟2018-19シーズン主催大会の収益

前回日本スケート連盟の2019年6月期決算を見ました

今回は、その決算期間中にスケート連盟が主催して収益を公開している大会の収支を見つつ、過去からの推移も見てみたいと思います

 

昨シーズン、日本スケート連盟が主催して、その収支を公表しているのは5大会あります。

NHK杯フィギュア、全日本フィギュア、世界フィギュア、W杯スピード帯広、W杯スピード苫小牧の5つです。フィギュア3試合スピード2試合で、全日本フィギュア以外は国際大会です。

実際には主催した大会は、例えばフィギュアなら全日本の前に、東日本選手権も西日本選手権も、日本スケート連盟の主催ですが、そういったものの収支は公表されていません。慣例的に、国際大会と全日本フィギュアのみが公表されているように見えます。

 

その5大会の収支は下記のようになっていました

 

主な主催大会収支

 

収益

費用

収支

NHK杯フィギュア

417,824,554

391,010,844

26,813,710

全日本フィギュア

236,067,726

136,477,814

99,589,912

世界フィギュア

1,929,369,646

1,285,035,890

644,333,756

W杯スピード帯広

83,138,059

83,724,921

-586,862

W杯スピード苫小牧

52,805,610

91,347,694

-38,542,084

合計

2,719,205,595

1,987,597,163

731,608,432

 

わかりやすく、フィギュアスケートは黒字、スピードスケートは赤字、という形になっています

スピードスケートは平昌オリンピックで大量のメダルを獲得しました。その翌シーズンの自国で行われるワールドカップで2試合とも赤字。オリンピック効果が生かせえていないのが感じられますし、また、このタイミングで黒字に出来ないということは、構造的に赤字になってしまう体質なのだろう、というのが見えます。

 

 

スピードスケートワールドカップの収支

 

収益

費用

収支

18年帯広

83,138,059

83,724,921

-586,862

18年苫小牧

52,805,610

91,347,694

-38,542,084

16年長野

49,528,632

80,658,854

-31,130,222

14年帯広

57,911,775

63,845,399

-5,933,624

12年長野

36,258,131

42,689,910

-6,431,779

 

スピードスケートのワールドカップというのは2年おきに日本で行われる試合があるようなのですが、12年以降すべての試合で赤字です。費用がものすごくかかっているというわけでもないのですが、収益面が弱すぎて赤字を脱却できていません。

収入面でフィギュアスケートとどこに差があるか、というと、決定的に差があるのは入場料収入です。

 

主な主催大会入場料収入一覧

 

入場料収入

NHK杯フィギュア

159,144,000

全日本フィギュア

212,005,000

世界フィギュア

1,497,406,474

W杯スピード帯広

2,840,000

W杯スピード苫小牧

0

 

昨シーズン日本で行われたスピードスケートのワールドカップに大会は、入場料収入がほとんどありません。苫小牧大会は入場無料。帯広大会は当日スタンド席、というのが一番高くて1,500円でした。三日間の大会で得られた入場料が284万円。これでは興業として全く成り立っていません。

スピードスケートは、興業としていかに成り立たせるかがまず課題なのですが、会場を観客で埋め尽くす、というのは構造的にかなり難しいでしょうか。競技の特性として、リンクが400mの周回ができるだけの大きさが必要です。もうこの時点で、都市圏の中で会場を確保して氷を張る、というのがほとんど不可能事になります。さいたまスーパーアリーナで氷張って、というフィギュアスケートみたいなことはできないわけです。そうなると、屋外の北国のリンクで競技をするしかない。まあ、長野のMウェーブってのが長野オリンピックの時に出来まして、ここで19-20シーズンのワールドカップも1試合行われるみたいですが、12年16年に行われた際も、あまり稼げなかったようですから、今回も同じ構図になるんじゃないかと思います。ようは、集客しづらい競技特性がどうしてもある。

だとすると、放映権料をなんとか得よう、という方向へもっていきたいわけですが、放映権料もフィギュアスケートと比べると一桁低い水準です。放映権料は包括的に取ってる時と、大会毎なときと、パターンがいろいろあるようなので、大会収支としてゼロでも、実際に連盟としては放映権を得ているというようなことはあるのですが、それにしてもスピードスケートの放映権料は少ない。

連盟がお金を稼ぐために、選手をスター化して、集客する、放映権料を吊り上げる、というのはある種本末転倒ではあるのですが、スピードスケートが自身の稼いだお金で強化・普及をしていくことを考えるならば、そういった方向へ舵を切らないといけない部分はありそうです。

 

一方で、フィギュアスケートは大会の開催がドル箱になっている、というのがよく見えます。昨シーズンは世界フィギュアの6.44億円という膨大な黒字がありました。まあ、世界選手権は毎年日本で開催されるわけではないのですが、数年に一度でもこの金額はインパクトがある。では、世界フィギュアのほかに、四大陸選手権、グランプリファイナル、というのも日本で開催されることがあるのですが、近年開かれたその辺の大会の収支を見てみます。

 

 近年の国際大会(NHK杯除く)の収支

 

収益

費用

収支

世界フィギュア19

1,929,369,646

1,285,035,890

644,333,756

GPF名古屋17

554,900,282

485,900,628

68,999,654

世界フィギュア14

1,665,839,423

1,143,689,056

522,150,367

世界フィギュアEX14

210,906,642

195,398,185

15,508,457

GPF福岡13

613,794,066

553,848,733

59,945,333

四大陸大阪13

478,077,732

422,852,043

55,225,689

 

世界フィギュアの儲かり方は突出していますね。四大陸選手権というのは世界選手権と比べて格が落ちる、というのははっきりしているのですが、グランプリファイナルも収益面ではかなり世界フィギュアより格が落ちます。14年の世界フィギュアは試合とエキシビジョンで決算表の別科目となっていましたが、合わせると19年とほぼ同じく収益として19億円前後の数字になります。四大陸やグランプリファイナルは5億円前後ですので4倍ほど規模が異なります。

何が違うって、入場料収入が先に挙げたように世界フィギュアは莫大です。入場料収入だけで15億円ほどある。17年のグランプリファイナルは入場料収入は2.9億円ほどでした。

この違いは、まず日程の違いがあります。世界フィギュアは4日+エキシビジョンですが、グランプリファイナルは3日+エキシビジョンなので1日分世界フィギュアの方が長いです。さらに世界フィギュアは練習日二日間も有料入場可能、つまり、入場料収入が入ります。また、チケット価格もボリュームゾーンのS席で世界フィギュアは2万円に対しグランプリファイナルは15,000円と差があります。さらに、客席数がさいたまスーパーアリーナを使用した世界フィギュアの方が大きい。

ということで、世界フィギュアの収益は他の大会と比べて突出しています。次の日本開催は決まっていませんが、羽生選手が現役の間にあと一回あるか? 北京で辞めるようならもうないですかね。それでも、紀平選手が現役の間にはあるでしょう。グランプリファイナルは通例ではオリンピックシーズンには日本でやる、という流れで2005年から来ています。今の集客力ならもう少し大きな箱でやることも可能ですがどうでしょう?

基本的に各大会の主な収入源は入場料収入になっています。放映権や広告権は包括的な契約になっているのかISUへ行く契約になっているのか、スケート連盟の収益という形では世界フィギュアやグランプリファイナルではほぼ計上されていませんでした。

 

その辺は数年に一回のイベントですが、毎年行われる、確実な収益源となっているのがNHK杯全日本選手権です。二つの大会の収支(収益―費用)の毎年の推移を見てみます。

 

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2010年以降しかはっきりと確認できていませんが、常に黒字です。2013年の全日本フィギュアは突出していますが、この年はソチオリンピックシーズンで代表選考が非常に盛り上がった大会でした。内訳が確認できないので詳細は分からないのですが、この時はさいたまスーパーアリーナでの開催でした。他の年と比べて明らかに収容人数の大きな会場でしたので、その分入場料収入が大きかったのではないかと想像されます。

 

昨シーズンのNHK杯、全日本フィギュアの収入の内訳はこうなっていました

2018年 NHK杯・全日本フィギュアの収益

 

NHK杯フィギュア

全日本フィギュア

1)入場料収入

159,144,000

212,005,000

2)物品販売収入

10,040,624

13,242,161

3)補助金

53,159,600

0

4)協賛金等

75,600,000

0

5)放送権収入

0

0

6)出店権収入

0

0

7)広告権収入

119,880,000

9,780,000

8)雑収入

330

20,565

9)分担金収入

0

0

10)参加料収入

0

1,020,000

11)繰入金収入

0

0

合計

417,824,554

236,067,726

 

NHK杯は協賛金が入ります。補助金はISU(国際スケート連盟)からのものです。広告権収入も入るのは意外でした。広告はISUに行くのかと前は思っていたのですが、直接日本スケート連盟に来るようです。

放映権がどちらもゼロなのは、NHK杯はISUへ行くから、全日本は、包括的な契約になっているからかと思われます。物販は1,000万円程度です。もうちょっと売れてるものかと思ったのですがそれほど売上は大きくないんですね。ここはうまくやるともう少し売上上げられるんじゃないかと思うんですがどうでしょう。結構売り切れが多いような印象なのですけれど。

 

入場料は全日本の方が大きくなっています。全日本の方が一日長い、というのがあるのでしょう。全日本は基本的に収入は入場料がほぼすべてです。集客力とチケット単価にすべてがかかっています。ただ、参加料収入ってのが全日本にはあります。出場選手から1名15,000円取ってますので、その分です。これだけ毎年黒字を積み重ねていて、実際にはその外数にさらに放映権料にあたるものがある中で、それに貢献している、試合で滑っていること自体が入場料収入や放映権収入への貢献にあたる選手たちに対して、さらに出場料を徴収する、というのは、やはり何とも違和感があります。

おそらく、昔からの、フィギュアスケートが興業として成り立っておらず、コストの方が大きい状態の時代に、受益者負担として出場料を取っていたころからの名残なのでしょう。でも、もう、さすがにいいだろう、という感じがします。これがまだ賞金大会であるなら、まず参加料払え、勝った奴に賞金で返すぞ、というスタンスもありかと思うのですが、全日本は賞金ありません。

なお、出費の方も全日本はNHK杯などと比べて少なくなっています。決定的に差があるのは二つ。賞金と選手団の旅費です。NHK杯は賞金が出ます。4競技合わせた賞金総額で1,980万円に過ぎませんでしたが賞金は出ます。また、出場選手には旅費、さらには滞在費も出ます。全日本はどちらも出ません。この辺も、滞在費くらいは出してあげたら、という気もしますかね、この収益状況を見ると。NHK杯のような国際大会は、海外から選手が集まるので渡航費としては結構な金額で毎回二千数百万円かかっています。滞在費は千数百万円です。世界フィギュアは選手数が多いので、滞在費は1.1億円かかっていました。全日本も、選手数はそれなりにいるので、滞在費出してしまうと結構かかりますかねえ。

 

最初の方で上げましたが、入場料収入は世界フィギュアと比べると全日本やNHK杯では10分の1に近い水準です。今の日本のフィギュア界の集客力を考えればNHK杯も全日本も、もっと入場料収入で稼げるはずです。そうなっていないのは、大きな会場を使っていないから、ということなんでしょうねおそらく。全日本もNHK杯だって、毎年さいたまスーパーアリーナでも使えば、もっと稼げるでしょう。それをしないのは、善意に取れば、普及面を考えて、毎年会場を変えて、全国各地を移動している、と取れます。まあ、首都圏開催の場合に代々木第一や武蔵野の森で開催したりしてますので、1万人規模の会場までにして、安心して集客できる規模に抑えてるのかな、という気もしますけれど。

 

 

今回はスケート連盟の主催大会の収益面を見てみました。世界フィギュアはドル箱だなあ・・・