卓球 伊藤美誠 東京オリンピック代表確定

11月に入り、東京オリンピック代表選考の一つの山場、最後のツアープラチナ大会を終了しました。この段階で、一つの決着がついた形になっています

                                                  

10月のワールドカップ以降の3大会について、女子のランキング上位選手の結果をまず示します。 

 

BLRオープン

Team WC

AUTオープン

伊藤美誠

出場無し

5勝(1250)

 

平野美宇

出場無し

2勝(500)

ベスト32(675)

石川佳純

出場無し

2勝(500)

ベスト16(900)

佐藤瞳

出場無し

0勝(0)

ベスト16(900)

加藤美優

出場無し

出場無し

予選決勝(450)

早田ひな

優勝(850)

出場無し

ベスト8(1125)

芝田沙希

ベスト16(340)

出場無し

予選決勝(450)

橋本帆之香

ベスト4(555)

出場無し

予選決勝(450)

 

上位選手の中で大きくポイントを伸ばしたのは、もともとポイントトップだった伊藤美誠選手と、わずかな可能性を残していた早田ひな選手の二人でした。

 

チャレンジシリーズのベラルーシオープンは優勝しても850ポイントで、準優勝だと680ポイント。優勝しないとまともにポイントを伸ばせない、という中で早田選手はしっかり勝ち切りました。チャレンジシリーズはプラスの3試合含めて今シーズン5勝目。このクラスの大会では早田選手は圧倒的な強さを示している今シーズンです。

 

チームワールドカップは上位4選手が出場。佐藤瞳選手は大会エントリーメンバーには入っていたのですが、試合に出るチャンスを与えてもらえませんでした。

大会は決勝までで結局5試合あったのですが、ダブルスを平野/石川ペアでまず戦い、残りのシングルスを二戦目に伊藤選手、三戦目に平野選手か石川選手かという配置で、四戦目以降がある場合は、伊藤選手がもう一試合と、平野選手石川選手の出ていない方が入る、という並び順でした

結局、ダブルスが負けた韓国戦は伊藤選手が二試合出て、それも含め中国戦以外はシングルス全勝だったのですが、試合数の関係で、伊藤選手だけが5勝上げてポイントを伸ばした形です。

 

 

では、ワールドツアーの今シーズン最後のプラチナ大会を終了した時点での東京オリンピック選考ポイントを見ていきます。

 

 

当月ポイント

先月ポイント

8番目

7番目

伊藤美誠

13510

12305

1250

1440

平野美宇

10295

10295

900

900

石川佳純

10230

10230

900

900

加藤美優

7545

7545

675

680

早田ひな

7520

6760

675

720

佐藤瞳

7495

7315

720

850

芝田沙希

5720

5720

675

675

橋本帆乃香

5535

5520

555

555

 

平野選手と石川選手はポイントを伸ばせず、トップの伊藤選手との差が広がりました。残りの出場可能試合は3試合。T2ダイヤモンドのシンガポールと、チャレンジプラスのカナダ、そしてツアーファイナルです。この三試合、すべて優勝すると1000+1100+2550ポイントあります。T2ダイヤモンドはボーナスポイントとして単純加算なので、平野選手、石川選手はここから、下記の計算分だけポイントを伸ばすことが可能です

 

1000+1100+2550-900-900 = 2850

 

従って、最大到達ポイントは平野選手で13145ポイント、石川選手で13080ポイントになります。どちらも伊藤選手には届きませんので、現段階で伊藤選手のトップ通過、オリンピック代表が確定しました。

なお、実際には、二人ともがここまで稼ぐことがそもそも出来ません。二人同時に優勝する、ということがあり得ないためです。今後の3試合、準優勝のポイントはそれぞれ800,840,2040です。カナダの試合は準優勝だとポイントが840なので、平野選手、石川選手はポイントを増やせません。

ここから、平野選手と石川選手の二人のうち低い方のポイントが最大になる組み合わせは、

平野美宇:T2 優勝(1000) カナダ優勝(1100) ファイナル準優勝(2040)

石川佳純:T2準優勝(800)  ファイナル優勝(2550)  のときとなります

その時

平野美宇:10295+1000+1100+2040-900-900 = 12635

石川佳純:10230+800+2550-900 = 12680

 

となります。

夏の時期までは三人が競っているという状態でしたが、秋口から伊藤選手が抜けだし、最終的には大差がつきました。

実は上位三選手の中で、伊藤選手だけはわかりやすい大きなタイトルがありません。いろいろなめぐりあわせの関係もありますが、石川選手はツアーファイナル、平野選手はワールドカップをそれぞれ個人で優勝した、というビッグタイトル持ちですが、伊藤選手にはまだそういったものがありません。今年は、もちろん簡単ではないですが、ツアーファイナルのタイトルを取るチャンスが来ているように感じます。来年は世界選手権が団体戦ですので、オリンピック前の個人戦シングルスとしては、このツアーファイナルが最後のビッグタイトルとなるかと思いますので、ここで一つ、取ってしまってもらえたらと思ったりします。

 

4番手以下の選手は、早田選手がポイントを大きく伸ばしました。残り全勝が最低条件、という中で今月に入ってきましたが、まずチャレンジプラスのベラルーシの試合で優勝。次いでツアープラチナ格のオーストリアオープンも予選を勝ち上がり、一回戦で平野選手に4-0ストレートで勝ち、勝ち上がって希望をつないでいたのですが、準々決勝で敗退。これによって、佐藤瞳選手を超えて5番目までポイントランクを上昇させましたが、ツアーファイナルの出場権も結局得られませんでしたので、残り1試合では上位にポイントが届かず、終戦という形になりました。

 

4位以下の選手でこの先試合数がまだ残っているのは佐藤瞳選手のみです。佐藤選手はT2ダイヤモンドの出場権があり、ツアーファイナルもなんとかランキング15番目で権利を残した形になっています。ですが、残り3試合すべて優勝しても、1000+1100+2550しかポイントを稼げず、消えるポイントが720と850ありますので、

 

7495+1000+1100+2550 -720-850=10575

 

となり、最大でも10575ポイントにしかなりません

一方、現在ポイント2位の平野美宇選手は10295ポイントをすでに獲得していて、ここにT2ダイヤモンドに出場した時点で400ポイントが加わりますので、10695ポイントまではその時点で増えます。

 

従って、事実上、佐藤瞳選手も終戦です。

 

というわけで、残りの1枠が、平野美宇選手と石川佳純選手の一騎打ち、という形に完全になってきました。二人ともシーズン後半に入ってきてから大きなポイントを稼ぐことが出来ていません。戦績としても、それはまあ勝つよね、というような相手くらいにしか勝てていない、という現実があるなかで残り3大会となってきました。

現在は平野美宇選手が65ポイントリード。わずかですがリードがある、というのはあまり好調ではない二人の関係性としてはかなり有利ではあります。どちらも同じ位置で負けた場合は最終的に平野選手が上に残る、ということになりますので。

この先三試合のうちT2ダイヤモンドとツアーファイナルは強豪ぞろいの中国勢+αみたいな大会です。二人とも、一つ勝てれば上出来、場合によってはどちらも二人とも一つも勝てないかも、といった状況も考えられます。もしかしたら、カギになるのは、一番ポイントの小さい、チャレンジプラスグレードの12月に入ってすぐにあるカナダの大会になるかもしれません。ここは、現在のエントリー状況を見ると、日本選手権伊藤美誠抜き、みたいな形になっていて、いまのままいくと、第一シード石川佳純、第二シード平野美宇、以下第五シード早田ひな選手まで日本勢が並び、上位8シード中7人が日本勢、みたいなかたちになります。この大会は平野選手石川選手は優勝しない限りポイントを伸ばせません。優勝すれば200ポイントを追加できます。ここでどちらが優勝するのか、あるいは、別の日本勢が止めるのか、というのが、最後のカギになりそうな展開になってきました

 

なお、平野石川遼選手がT2ダイヤモンドで獲得ポイントが同じ場合、平野選手が次のチャンレジプラスの大会で優勝すると、ツアーファイナルは平野選手が初戦敗退でも石川選手はベスト4まで勝ち上がらないとポイントを逆転できない、という形になります。

逆にT2ダイヤモンドの獲得ポイントが同じ状態で石川選手がチャンレジプラスで優勝しても、ファイナルで初戦敗退したら、平野選手は一つ勝ってのベスト8で逆転できます。

こういった視点からしますと、現在の二人のポイント差は非常に小さいものの、わずかではあっても上にいる平野選手の方がかなり有利である、と言えそうです

 

 

 

以上、卓球の女子シングル、東京オリンピック代表選考レースの情勢でした。