卓球 東京オリンピック代表選考 男子 形勢逆転

卓球の東京オリンピックの代表選考は大詰めに差し掛かっています。11月のT2ダイヤモンドを終えて、実質的には残り3試合となってきました。このT2ダイヤモンドで、代表争いの2枠目の形勢が逆転したように感じられます

 

T2ダイヤモンド終了時の上位選手のポイントは以下のようになっています

 

 

T2後ポイント

T2増加

8番目

7番目

張本智和

11675

700

1125

1125

水谷隼

8925

500

900

900

丹羽考希

8865

500

720

750

森園政崇

5195

 

450

450

神巧也

5055

 

450

540

吉村和弘

4830

 

360

540

宇田幸矢

4740

 

360

540

吉村真晴

4725

 

360

450

 

4000ポイント以上持っている選手をリストアップしています。

 

T2ダイヤモンドは、出場すれば最低400ポイントが加算される、ある種のボーナス大会です。元々この大会は日本からは張本選手と水谷選手だけが出場権がありました。ところが、上位選手の出場辞退があり丹羽選手にまで出場権が転がり込んできたことで事態が一変しました。

本来は結果に関係なく、水谷選手がT2ダイヤモンドに出場することにより、丹羽選手との差を大きく広げて残り3戦、となっていくところでした。ところが丹羽選手もこの試合に参加したことで差が広がりませんでした。二人とも、結果的に一回戦を勝ち、準々決勝で敗れてたことで、獲得ポイントは同じ500だったわけですが、ゼロ予定の試合で500ポイントを稼げたことは丹羽選手にとって大変大きなものになっています。

 

まだこの時点ではわずか60ポイントではありますが、水谷選手の方が上にいます。しかし、次の試合であるワールドカップの出場権が丹羽選手にはありますが水谷選手にはありません。このワールドカップの時点で丹羽選手がポイントを逆転することは、出場さえすれば確定です。

また、ツアーファイナルの出場権が、現段階では水谷選手が持っていて丹羽選手が持っていません。しかしながら、あと1枠、辞退者が出れば丹羽選手にも出場権が回って来る、ということになってきました。これが丹羽選手に入るかどうかで最終結果が大きく変わってきます。

 

残りの試合の獲得ポイントにより、最終的に両者がどこまで取れるかを見てみます。

Wはワールドカップ、CHはチャレンジシリーズ、Fはツアーファイナルを指します。CH負は水谷選手は準優勝以下、丹羽選手はベスト4以下 F16など、アルファベットの後ろの数字は、16ならベスト16、8ならベスト8など、どこまで勝ち上がったかを指します

 

 

水谷

丹羽

 
   

11045

W優 CH優 F無

   

10825

W優 CH2 F無

CH勝 F優

10775

   
   

10695

W優 CH負 F無

CH負 F優

10575

   
   

10410

W2 CH優 F無

CH勝 F2

10265

   
   

10190

W2 CH2 F無

   

10155

W3 CH優 F無

CH負 F2

10065

   
   

10060

W2 CH負 F無

   

10025

W4 CH優 F無

   

9935

W3 CH2 F無

CH勝 F4

9885

   
   

9805

W3 CH負 F無

   

9805

W4 CH2 F無

   

9770

W8 CH優 F無

CH負 F4

9685

   
   

9675

W4 CH負 F無

   

9550

W8 CH2 F無

   

9515

W16 CH優 F無

CH勝 F8

9500

   
   

9420

W8 CH負 F無

CH負 F8

9300

   
   

9295

W16 CH2 F無

CH優勝 F16

9245

   
   

9165

W16 CH負 F無

CH負 F16

9045

   

現在ポイント

8925

   
   

8865

現在ポイント

 

出るだけでもポイントが増える、というグレードの試合を二人ともまだ残していますが、この先、両者とも一つも勝てなかった場合は、丹羽選手が上に行きます。

丹羽選手がワールドカップでベスト8まで残った場合、その後勝てなくても、水谷選手は最低でもカナダのチャレンジシリーズで優勝したうえで、ツアーファイナルのベスト8まで残る必要があります。丹羽選手がワールドカップベスト8な上に、チャレンジシリーズで決勝まで残ると、水谷選手はその決勝で丹羽選手を下した上で、ファイナルはベスト4まで進まないといけません。まずは、丹羽選手がきっちりワールドカップで一つ勝てるか、というのがポイントです

 

ただ、上記は、丹羽選手がファイナルに出場できないことが前提です。ツアーファイナルに欠場者がもう一人出ると、丹羽選手に出場権が回ってきます。その場合は、さらに状況が変わってきます。ツアーファイナルは初戦敗退でもポイント1020なので、丹羽選手は出場すれば確実にポイントの上積みがあります。チャレンジシリーズでベスト4以下の場合は270ポイント、準優勝の場合は140ポイント、優勝していた場合でも120ポイントが確実に増えます。そのうえで、勝ち上がればさらにポイントが増えるわけです。

丹羽選手にツアーファイナルの出場権が回ってきた場合、9435ポイントまでは確実に積みあがります。現在の8番目のポイントが720、7番目のポイントが750と、比較的低い、というのがここで効いてきます

水谷選手は、丹羽選手がツアーファイナルの出場権を得た場合、丹羽選手がこの先まったく勝てなかったとしても、チャレンジシリーズで優勝したうえで、ツアーファイナルはベスト8に勝ち上がることが必要です。丹羽選手がワールドカップでベスト8に残った場合は、9690まで確定しますので、水谷選手はチャレンジシリーズで優勝したうえでツアーファイナルベスト4、あるいはチャレンジシリーズで勝てなければ、ツアーファイナルで決勝に残ることが最低限求められます。

 

ファイナルの出場権がない状態でも、T2ダイヤモンドで出場出来たことにより、丹羽選手の方がやや有利な状態になってきたのですが、ファイナルの出場権まで回って来ると、圧倒的に丹羽選手の方が有利、ということになります

よその選手の出場辞退、という水谷選手にとってはどうにもできないことによって起きたこの状況です。水谷選手が、運に見放されるようななにかが最近あったのか知りませんが、少々ツキがない展開になってしまっています。

 

丹羽選手の方は連戦が続いていることが懸念材料としてあるでしょうか。11月は1週目に東京でチームワールドカップ、2週目にオーストリアでツアープラチナを戦った後、3週目はシンガポールでT2ダイヤモンド、4週目は中国へ移動してワールドカップです。さらに翌週、カナダへ飛んでのチャレンジシリーズ。5週連続の試合が確定しています。毎回日本へ一度帰ってきているのかわかりませんが、一カ月で何マイル貯まってるんだろう? というような移動距離です。これを乗り越えて、オリンピックの切符をつかめるかどうか。

すべてはワールドカップの組み合わせと、ファイナルの辞退者にかかっている、と言っては失礼かもしれませんが、そういった展開になってきました。

 

 

以上、卓球男子の東京オリンピック選考レースの現状でした