フィギュアスケートの19-20シーズンのグランプリシリーズが間もなく始まります。
以前、そのエントリーについて記しましたが、その後3カ月の間にケガなどの理由で変更もだいぶ入りましたので、ここで改めて記したいと思います。
今回は女子シングルについて全6試合のエントリーを再び記載し、昨シーズンのそれぞれのベストスコア、また、今シーズンのチャレンジャーシリーズでのベストスコアを記載して並べてみたいと思います。昨シーズンのベストスコアはISU公認のものだけでなく、ユニバーシアードや、クープドプランタンなどのB級大会も一部含みます。
基本的に、上から今シーズンのスコアが高い選手順ですが、今シーズンチャレンジャーシリーズに出ていなかった選手は昨シーズンのスコアをその序列には使います
スケートアメリカ
Skate America | 18-19 | 19-20 | |
Bradie TENNELL | (USA) | 225.64 | |
Anna SHCHERBAKOVA | (RUS) | 219.94 | 218.20 |
Elizaveta TUKTAMYSHEVA | (RUS) | 234.43 | 214.38 |
坂本花織 | (JPN) | 223.65 | 194.42 |
Amber GLENN | (USA) | 180.91 | 186.28 |
Eunsoo LIM | (KOR) | 205.57 | 184.64 |
Karen CHEN | (USA) | 52.93 | 173.66 |
樋口新葉 | (JPN) | 186.24 | 164.37 |
山下真瑚 | (JPN) | 203.06 | 163.54 |
Stanislava KONSTANTINOVA | (RUS) | 205.91 | 162.25 |
Yi Christy LEUNG | (HKG) | 177.22 | 153.20 |
Veronik MALLET | (CAN) | 170.68 | 147.74 |
初戦はラスベガス開催のスケートアメリカ。
トゥルシンバエワ選手がエントリーから外れ、香港のクリスティレオン選手が入りました。昨シーズンジュニアグランプリシリーズに出場しながら、シーズン最後には世界選手権にも出て14位に入った選手です。
もう一人、アメリカの地元枠が確定して、アンバーグレン選手が入りました。
チャレンジャーシリーズで昨シーズン同様に高いスコア、200点越えをしてきたのはシェルバコワ選手とトゥクタミシェワ選手の二人だけです。ブレイディテネル選手はジャパンオープン(フリーのみ競技会)に出場しましたが120点台と今一つでした。坂本選手も200点に届いていませんが、それでも他も悪かったのでスコアは3番手。この辺までが表彰台争いの中心でしょうか。昨シーズン200点越えした選手が7人名を連ねているのですが、樋口選手、山下選手といったあたりの復調はあるでしょうか?
スケートカナダ
Skate Canada Int. | 18-19 | 19-20 | |
Alexandra TRUSOVA | (RUS) | 222.89 | 238.69 |
Bradie TENNELL | (USA) | 225.64 | |
紀平梨花 | (JPN) | 233.12 | 224.16 |
Evgenia MEDVEDEVA | (RUS) | 223.80 | 217.43 |
Serafima SAKHANOVICH | (RUS) | 202.62 | |
Young YOU | (KOR) | 183.98 | 200.89 |
Yelim KIM | (KOR) | 196.34 | 186.27 |
本田真凛 | (JPN) | 188.61 | 174.01 |
Aurora COTOP | (CAN) | 162.56 | |
Alexia PAGANINI | (SUI) | 182.50 | 158.33 |
Gabrielle DALEMAN | (CAN) | 192.67 | 138.89 |
Alicia PINEAULT | (CAN) | 159.70 | 138.29 |
スケートカナダは三原舞依選手がエントリーから外れて本田真凛選手が入りました。また、カナダの地元枠にAlicia PINEAULT選手が入っています。
ここはトゥルソワvs紀平梨花 という今シーズン注目の対戦があります。そこにメドベージェワ選手が絡んでくることができるか。また、ユヨン選手がいますので、四回転一人とトリプルアクセルが二人、という豪華ジャンプの競演となっています。
カナダの選手以外はすごいスコアが並んでいて、今シーズン200点越えがすでに4人いる、という試合なのですが、本田真凛選手はどこまで勝負に絡んでいけるでしょう? ショートで上位に入ってフリー後半グループからの200点突破、くらいまではたどり着いてほしいなあと思います。
フランス杯
Internationaux de France | 18-19 | 19-20 | |
Alina ZAGITOVA | (RUS) | 238.43 | |
Alena KOSTORNAIA | (RUS) | 217.98 | 234.84 |
Mariah BELL | (USA) | 208.07 | 205.13 |
坂本花織 | (JPN) | 223.65 | 194.42 |
白岩優奈 | (JPN) | 191.46 | |
Star ANDREWS | (USA) | 187.69 | |
Laurine LECAVELIER | (FRA) | 180.05 | |
Nicole SCHOTT | (GER) | 170.56 | 177.76 |
樋口新葉 | (JPN) | 186.24 | 164.37 |
Maria SOTSKOVA | (RUS) | 179.72 | 155.25 |
Mae Berenice MEITE | (FRA) | 179.56 | 152.54 |
Lea SERNA | (FRA) | 149.49 |
3戦目はグルノーブル開催のフランス杯。
地元枠はLea SERNA選手が入り、アメリカのTing CUI選手がエントリーから外れ、代わりにスターアンドリュース選手が入りました。また、ベルギーのルナヘンドリックス選手が欠場で、ドイツのニコルショット選手が入りました。
3戦目にしてザギトワ選手登場。ここではコストルナヤ選手との勝負になります。200点スコア持ちの坂本選手やマライアベル選手がこの二人に絡んでいけるか? 坂本選手は、シェルバコワ、トゥクタミシェワ、ザギトワ、コストルナヤ、というロシア勢の誰かに最低でも勝って2位3位としておかないとファイナル進出はない、ということになります。下手したら、220点を2試合出してもファイナルいけないかもしれません。
チャレンジャーシリーズ欠場の白岩選手、昨シーズンのケガ以降今一つ精彩にかける樋口選手、メンバー的にはフリー後半グループに入って5位くらいまでなら問題なく行けるはずなので、それくらいまで入ってくれたらと思います
中国杯
Cup of China | 18-19 | 19-20 | |
三原舞依 | (JPN) | 220.68 | |
Anna SHCHERBAKOVA | (RUS) | 219.94 | 218.20 |
Elizaveta TUKTAMYSHEVA | (RUS) | 234.43 | 214.38 |
宮原知子 | (JPN) | 219.71 | 204.30 |
Viveca LINDFORS | (FIN) | 194.40 | |
Elizabet TURSYNBAEVA | (KAZ) | 224.76 | 186.09 |
Sofia SAMODUROVA | (RUS) | 213.84 | 179.65 |
本田真凛 | (JPN) | 188.61 | 174.01 |
Yi Christy LEUNG | (HKG) | 177.22 | 153.20 |
Hongyi CHEN | (CHN) | 165.55 | 146.65 |
Gabrielle DALEMAN | (CAN) | 192.67 | 138.89 |
Yi ZHU | (CHN) |
地元枠を中国が使ったのか返上して回っていったのか、どっちの経緯かわかりませんが、香港のクリスティレオン選手がエントリーされています。
ここは、1試合目分のエントリーを外れた三原舞依選手とトゥルシンバエワ選手の名前があるので、大会近づいたらまたメンバーが変わってくる可能性はあります。
トゥルシンバエワ選手の今シーズンのスコアは、チャレンジャーシリーズの出場はないのですが、上海の招待試合のスコアがあったのでそれを入れました。
昨シーズン210点越えの実績がある選手が6人いるというものすごい構成なのですが、今シーズンも順当に200点を超えてきているのは3人だけです。シェルバコワ選手、トゥクタミシェワ選手、宮原知子選手。この三人で勝負になるのかなあ、という印象です。ファイナルに進むにはここで優勝したい宮原選手なんですけどどうでしょう。
本田真凛選手はここが2試合目で入っています。表彰台に絡むのはやはり厳しそうですけれど、200点出して、4番5番くらいには来てほしいなあ
中国は地元枠なしでも国際試合の出場経験のない選手がエントリーされる、という状態です。北京オリンピック大丈夫なんでしょうか? 李子君選手の引退後、女子シングルがさっぱりで、昨シーズンISU公認スコアを残したのがHongyi CHEN選手一人だけ。もうちょっと頑張ってもらえると、国際スケート連盟の経済的に助かるような気がしています。
ロステレコム杯
Rostelecom Cup | 18-19 | 19-20 | |
Alexandra TRUSOVA | (RUS) | 222.89 | 238.69 |
Evgenia MEDVEDEVA | (RUS) | 223.80 | 217.43 |
Mariah BELL | (USA) | 208.07 | 205.13 |
宮原知子 | (JPN) | 219.71 | 204.30 |
横井ゆは菜 | (JPN) | 184.09 | 191.90 |
白岩優奈 | (JPN) | 191.46 | |
Laurine LECAVELIER | (FRA) | 180.05 | |
Ekaterina RYABOVA | (AZE) | 179.88 | 178.06 |
Emmi PELTONEN | (FIN) | 172.02 | |
Stanislava KONSTANTINOVA | (RUS) | 205.91 | 162.25 |
Alexia PAGANINI | (SUI) | 182.50 | 158.33 |
Hongyi CHEN | (CHN) | 165.55 | 146.65 |
5戦目はモスクワ開催のロステレコム杯。
ベルギーのルナヘンドリックス選手が外れ、フィンランドのペルトネン選手がエントリーされています。
メンバー的にはトゥルソワ選手が頭一つ抜けてますでしょうか。メドベージェワ選手宮原知子選手にマライアベル選手が挑む形。トゥクタミシェワ選手のデビューのころから、強いロシア勢はグランプリデビュー年に2戦2勝する、というのが普通に続いてますので、今回もそれが普通に起きるんでしょうかねえ。
宮原選手は連戦。中国で2位でも、ここでメドベージェワ選手に勝って2位になれればファイナル確定、という組み合わせです。5年連続ファイナル、現役最多を続けてほしいです。
トゥルソワ、シェルバコワ、トゥクタミシェワ、メドベージェワ各選手のうち最低1人に勝たないとファイナルはなし、2人勝てばほぼ当確、という組み合わせになっています。
横井ゆは菜選手はグランプリシリーズデビュー戦になります。表彰台に乗るにはやはりなかなか苦しいメンバーなので、何度も書いてる、ぜひ200点を、ということになるんでしょうか
白岩選手はここが2戦目。グランプリは4位と5位が多い選手なのですが、またその辺かも、というメンバー。ジュニアグランプリデビューの年のように、あっと言わせてくれる爆発的成長をそろそろもう一度見てみたいなあ、と思ったりします。
NHK杯
NHK Trophy | 18-19 | 19-20 | |
Alina ZAGITOVA | (RUS) | 238.43 | |
Alena KOSTORNAIA | (RUS) | 217.98 | 234.84 |
紀平梨花 | (JPN) | 233.12 | 224.16 |
Viveca LINDFORS | (FIN) | 194.40 | |
横井ゆは菜 | (JPN) | 184.09 | 191.90 |
Eunsoo LIM | (KOR) | 205.57 | 184.64 |
Starr ANDREWS | (USA) | 187.69 | 181.18 |
Sofia SAMODUROVA | (RUS) | 213.84 | 179.65 |
Karen CHEN | (USA) | 52.93 | 173.66 |
山下真瑚 | (JPN) | 203.06 | 163.54 |
Mae Berenice MEITE | (FRA) | 179.56 | 152.54 |
Megan WESSENBERG | (USA) | 170.33 | 148.21 |
地元枠に横井ゆは菜選手が入り、アメリカのTing CUI選手がエントリーから外れ、メーガンウェッセンベルク選手が入りました
今シーズンのザギトワvs紀平梨花第一章、となる試合なので、本来なら大注目なのですが、今年は昨年実績のある二人ではなくて、ジュニアから上がった三人の方が注目されるようなシーズンなので、むしろコストルナヤ選手が勝ってしまうのではないか? という方が注目点かもしれません。エテリ三人衆はきれいに六試合ばらけたので、ザギトワ選手は連敗して、ジュニア上がり三人で六勝、という構図がなくはなかったりします。
ファイナルに進むには3位二つではほぼなくて、最低線2位と3位というのが欲しいわけですが、そう考えると紀平選手は、トゥルソワ、メドベージェワ、ザギトワ、コストルナヤから最低誰か1人に勝つ、ということが求められます。2人に勝てばファイナルほぼ確定です。
日本からは横井選手が地元枠で入り2戦目、山下真瑚選手も2戦目で出場します。
こうしてみると、ファイナル、下手するとロシア6人がありえるんですね。
トゥルソワ、コストルナヤ、シェルバコワ、ザギトワ、メドベージェワ、トゥクタミシェワで6人
前シーズンのヨーロッパ選手権チャンピオンがその中に数えなくても6人になる、というのも何とも恐ろしい話です。
日本から可能性あるのはやっぱり3強で、紀平梨花、宮原知子、坂本花織、と並びます
それ以外で可能性がある選手は、チャレンジャーシリーズから200点超えたマライアベル選手と、一発当てたら点は出るブレイディテネル選手、あたりでしょうか。日米露以外から探すのはちょっと難しいですかね。今シーズントリプルアクセル着氷して200点を超えたユヨン選手は、出場権が1試合なので、どこかにエントリー変更で入ったうえで表彰台に乗る、という他力まで含めないと可能性がありません。
210点が出せる可能性があるのは、その辺までですかねえ。
厳しい時代になりました。ファイナルどころか、全試合表彰台が日米露のみ、さらには日露のみ、となる可能性まであります。
以上、グランプリシリーズ開幕直前の、エントリー変更まで加味してのメンバーチェックでした