19-20シーズン振り返り1

世界選手権が直前に中止となってしまったフィギュアスケート

あまり触れられてませんが、その他国際B級大会も今シーズン分の残りはすべて中止となりました

というわけで、唐突にシーズンが終わってしまいましたので、少し寂しい感じがしますが今シーズンを振り返ってみましょうか

 

まずは女子シングル

 ●200点以上のベストスコア

Event Name Nation Total SP FS
Grand Prix Final Alena KOSTORNAIA RUS 247.59 85.45 162.14
Skate Canada Alexandra TRUSOVA RUS 241.02 74.40 166.62
Grand Prix Final Anna SHCHERBAKOVA RUS 240.92 78.27 162.65
Four Continents Rika KIHIRA JPN 232.34 81.18 151.16
World Junior Kamila VALIEVA RUS 227.30 74.92 152.38
Rostelecom Cup Evgenia MEDVEDEVA RUS 225.76 76.93 148.83
Four Continents Young YOU KOR 223.23 73.55 149.68
Four Continents Bradie TENNELL USA 222.97 75.93 147.04
Golden Spin Elizaveta TUKTAMYSHEVA RUS 221.15 72.86 148.29
NHK Trophy Alina ZAGITOVA RUS 217.99 66.84 151.15
JGP Egna Kseniia SINITSYNA RUS 215.58 74.65 140.93
Challenge Cup Yuhana YOKOI JPN 214.56 73.29 141.27
Internationaux de France Mariah BELL USA 212.89 70.25 142.64
Cup of China Satoko MIYAHARA JPN 211.18 68.91 142.27
JGP LakePlacid Alysa LIU USA 208.10 69.30 138.80
World Junior Daria USACHEVA RUS 207.74 68.45 139.29
Four Continents Wakaba HIGUCHI JPN 207.46 72.95 134.51
JGP Croatia Haein LEE KOR 203.40 69.29 134.11
Four Continents Kaori SAKAMOTO JPN 202.79 73.07 129.72
Four Continents Yelim KIM KOR 202.76 68.10 134.66
Warsaw Cup Ekaterina KURAKOVA POL 201.47 66.08 135.39
Four Continents Karen CHEN USA 201.06 67.28 133.78
Four Continents Eunsoo LIM KOR 200.59 68.40 132.19
Tallink Hostels Cup Anastasiia GULIAKOVA RUS 200.11 65.25 134.86

今シーズンのベストスコアが200点以上の選手を並べました。200点ランカーは24人もいました。ただし、ISUが定める、シーズンベストスコアにカウントされない試合、インターナショナルコンペティション、いわゆる国際B級試合で200点を出した選手が二人含まれます。

昨シーズンは19人でしたので3人増えました。200点に乗ることが、まず、トップで戦うためのスタート地点なように見えます。

 

240点オーバーはロシアの三人。今シーズンはとにかくこの三人でした。旬が短いと言われるロシア勢ですので、世界選手権が中止になってしまったのが一番残念なのはこの三人なのではないかと思われます。三人の中で、コストルナヤ選手だけは、240点オーバーを複数回、それも、三回出しています。

●今シーズンの240点以上のスコア

Event Pl Name Total SP FS
Grand Prix Final 1 Alena KOSTORNAIA 247.59 85.45 162.14
Skate Canada 1 Alexandra TRUSOVA 241.02 74.40 166.62
Grand Prix Final 2 Anna SHCHERBAKOVA 240.92 78.27 162.65
Europe Championships 1 Alena KOSTORNAIA 240.81 84.92 155.89
NHK Trophy 1 Alena KOSTORNAIA 240.00 85.04 154.96

コストルナヤ選手はグランプリファイナルとヨーロッパ選手権を獲り、国際大会はシーズン無敗で終えました。トゥルソワ選手はシニアデビューのインパクトは一番強かったのですが、主要タイトルが今シーズンは取れず。世界選手権に一番賭けるものが大きかったのがトゥルソワ選手だったのかな、とも思うので、この中止が一番残念なのはトゥルソワ選手かもしれません。シェルバコワ選手はロシア選手権を獲りました。

ジュニア時代はトゥルソワ選手が頭一つ抜けていた印象だったのですが、今シーズンはコストルナヤ選手が頭一つ上に出た、という結果になっています。

 

230点台は紀平梨花選手ただ一人。紀平選手は今シーズン230点台を4回出しています。スコアを見ても構成を見ても、やはりロシア3人への挑戦権を持っていたのは紀平選手一人だけ、という風に見えます。今シーズン負けた相手はロシアの3人だけです。全日本選手権初優勝に四大陸も連覇しました。

昨シーズンはベストが233.12でしたので、パーソナルベストは昨シーズンのものが残っていますが、昨シーズン1回だけだった230点オーバーを今シーズンは4回だしていますので、安定感は格段に増しています。

紀平梨花選手の今シーズン戦績

Event Pl Total SP FS
Four Continents 1 232.34 81.18 151.16
NHK Trophy 2 231.84 79.89 151.95
Challenge Cup 1 230.65 74.27 156.38
Skate Canada 2 230.33 81.35 148.98
Autumn Classic 1 224.16 78.18 145.98
Grand Prix Final 4 216.47 70.71 145.76

ロシア3人にやられっぱなしだったという印象を持たれている可能性もありますが、十分悪くないシーズンだっと思います。世界選手権、チャンスあったんですけどね。

 

220点台は5人。恐ろしいことにここにジュニアが混ざっていて、ロシアのワリエワ選手。世界ジュニアの優勝スコア227.30は今シーズンのベストスコアランク5位。昨シーズンのトゥルソワ選手の世界ジュニア優勝スコアを上回りました。世界ジュニアは四回転二本構成ですが、フリー基礎点は71.31で、高いは高いですが、80点台後半の基礎点を持つトゥルソワ選手らと比べると、それほど極端な基礎点ではありません。

●ワリエワ選手の平均GOEが+4.000以上の要素

Event     Elements  BaseValue GOE Scores
JGP Courchevel SP 5 CCoSp4 3.50 1.65 5.15
JGP Courchevel SP 7 LSp4 2.70 1.23 3.93
JGP Courchevel FS 5 FCSp4 3.20 1.42 4.62
JGP Courchevel FS 11 CCoSp4 3.50 1.40 4.90
JGP RUS SP 5 CCoSp4 3.50 1.70 5.20
JGP RUS SP 7 LSp4 2.70 1.27 3.97
JGP RUS FS 4 2A 3.30 1.37 4.67
JGP RUS FS 5 FCSp4 3.20 1.37 4.57
JGP RUS FS 11 CCoSp4 3.50 1.70 5.20
JGP Final SP 7 LSp4 2.70 1.23 3.93
JGP Final FS 5 FCSp4 3.20 1.28 4.48
JGP Final FS 11 CCoSp4 3.50 1.50 5.00
World Junior SP 5 CCoSp4 3.50 1.75 5.25
World Junior SP 7 LSp4 2.70 1.31 4.01
World Junior FS 5 FCSp4 3.20 1.28 4.48
World Junior FS 10 FCCoSp4 3.50 1.60 5.10
World Junior FS 11 CCoSp4 3.50 1.75 5.25


CCoSp 基礎点の高いチェンジフットコンビネーションスピンで2度のGOE満点(ジャッジの一人は+4止まりなものの、1人分はカウントされない)をはじめ、すべての要素の評価が高く、そのあたりの理由で、同世代ライバルのアリッサリュウ選手を上回ってジュニア二冠を達成しました。

 

メドベージェワ選手は全体6番手。ロシア選手中5番手。昨シーズンは世界選手権の223.80がベストスコアでしたので、今シーズンそれをわずかに上回ってパーソナルベストを出した形です。ただ、二シーズン続けて220点中盤にとどまっています。

●メドベージェワ選手の今シーズンの基礎点

Event   Elements  BaseValue GOE Scores
Autumn Classic SP TES 31.89 7.65 39.54
Autumn Classic FS TES 59.53 10.52 70.05
Shanghai Trophy SP TES 29.99 5.89 35.88
Shanghai Trophy FS TES 45.23 4.26 49.49
Skate Canada SP TES 29.85 -0.10 29.75
Skate Canada FS TES 60.30 12.71 73.01
Rostelecom Cup SP TES 31.19 9.08 40.27
Rostelecom Cup FS TES 61.55 13.22 74.77

ワリエワ選手のところでフリー基礎点が71.31で極端に高くはない、と述べましたが、メドベージェワ選手のフリー基礎点は今シーズン一番高くて61.55 上位とは基礎点差が大きいなあ、という印象です。

ただ、要素別ではさすが、というところは見せていて、ステップシークエンスでは今シーズン全選手の中で最高のGOE平均+4.333を出した試合がありました。

●メドベージェワ選手の今シーズンのステップ要素

Event     Elements  BaseValue GOE Scores
Autumn Classic SP 7 StSq4 3.90 1.40 5.30
Autumn Classic FS 11 StSq3 3.30 1.06 4.36
Shanghai Trophy SP 7 StSq3 3.30 1.21 4.51
Shanghai Trophy FS 11 StSq3 3.30 1.21 4.51
Skate Canada SP 7 StSq4 3.90 1.50 5.40
Skate Canada FS 11 StSq4 3.90 1.56 5.46
Rostelecom Cup SP 7 StSq4 3.90 1.73 5.63
Rostelecom Cup FS 11 StSq4 3.90 1.50 5.40

シーズンベストが全体の6番手なわけですから、安定して滑ればグランプリファイナルくらいにはまだまだ出てこられる水準にいるわけですので、来シーズンも期待したいです

 

女子シングル日米露時代に割って入ってきたのがシーズンベスト七番目の韓国ユヨン選手。四大陸では見事に表彰台。ユースオリンピックで一生に一度のチャンスのタイトルを取りました。四大陸の220点台は出来すぎ感もありましたが、210点台を他にも2試合出していて、一発まぐれという感じではありません。

●ユヨン選手の今シーズンのトリプルアクセル

Event     Elements    BaseValue GOE Scores
Lombardia Trophy SP 1 3A   8.00 -1.12 6.88
Lombardia Trophy FS 1 3A   8.00 -2.56 5.44
US International SP 1 3A< 6.40 -3.20 3.20
US International FS 1 3A   8.00 -0.80 7.20
Skate Canada SP 1 3A   8.00 2.17 10.17
Skate Canada FS 1 3A   8.00 -4.00 4.00
Philadelphia International FS 1 3A< 6.40 -3.20 3.20
Cup of China SP 1 3A< 6.40 -3.20 3.20
Cup of China FS 1 3A< 6.40 -3.20 3.20
Youth Olympic Games FS 1 3A   8.00 1.26 9.26
Four Continents SP 1 3A   8.00 -1.60 6.40
Four Continents FS 1 3A   8.00 2.67 10.67

トリプルアクセルは、まだ、ショートフリーの冒頭に一つづつ入れるという二本構成。GOEがプラス評価になる確率も高くありませんが、これは昨シーズンの紀平選手同様な傾向とも言えます。来シーズン、ここの安定感及び本数が増えると、230点が見えてくるのでしょうか。

 

220点台の後二人は20代の実力者、トゥクタミシェワ選手とブレイディテネル選手です。

トゥクタミシェワ選手は、チャレンジャーシリーズ3試合で好成績を上げ、今シーズンのチャレンジャーシリーズのチャンピオンとなっています。ただ、グランプリ2試合では210点に届かず3位二回でファイナル進出を逃しました。ただ、昨シーズンから続く国際試合の連続表彰台は継続中です。

●トゥクタミシェワ選手の今シーズンの戦績

Event Pl Total SP FS
Golden Spin 1 221.15 72.86 148.29
Lombardia Trophy 2 214.38 73.66 140.72
Finlandia Trophy 2 212.53 72.66 139.87
Cup of China 3 209.10 65.57 143.53
Skate America 3 205.97 67.28 138.69

テネル選手は今シーズン初のファイナル進出でした。ベテラン風な扱いですけれど、まだシニア3年目です。四大陸選手権で表彰台に乗って、チャンピオンシップの初表彰台となりました。19歳で世界ジュニアに出て、それも7位に終わっていた選手。同じ年の世界ジュニアでザギトワ選手優勝の本田真凜選手2位に坂本花織選手が3位。そういったところから、ここまで伸びてくる、二十歳過ぎて伸びてくるのが、日露と違うアメリカの姿だなあ、と思います。

●ブレイディテネル選手の今シーズンのショートプログラム

Event   Pl TSS TES PCS
Skate America SP 1 75.10 41.33 33.77
Skate Canada SP 4 72.92 38.46 34.46
Warsaw Cup SP 1 70.10 36.58 33.52
Grand Prix Final SP 4 72.20 37.74 34.46
Four Continents SP 2 75.93 40.93 35.00

高難度ジャンプがないのでフリーは辛いのですが、ショートでは、トリプルアクセル無し組の中ではかなり高い位置で勝負しています。完成度高く、75点台を今シーズンも2回だしました。

 

210点台のシーズンベストは5人。

ザギトワ選手は、むしろよくここまで滑ってきたな、という感想です。昨シーズンの世界選手権を勝った時点で、獲るもの全部獲ってますからね。そこからさらに滑り続けることの難しさ。

ジュニアのシニツィナ選手が全体11番目、ロシア勢では8番目のシーズンベストなのですが、本人には不本意なシーズンだったでしょうか。ユースオリンピックは勝てず、ジュニアグランプリファイナルも表彰台に乗れず4位に終わり。ロシア選手権では5位に入ったものの、ロシアジュニアで7位に終わって世界ジュニアの代表にはなれず・・・。

ただ、年齢的には来シーズンシニアに上がれます。来シーズンシニア昇格組の目玉、になりますし、ベストスコアも高く、ロシアで8番目にまでいますし、グランプリシリーズ2枠入れそうに見えます。

●シニツィナ選手のトリプルルッツ-トリプルトーループ

Event     Elements  BaseValue   GOE Scores
JGP RUS SP 4 3Lz+3T 11.11 x 2.11 13.22
JGP RUS FS 7 3Lz+3T+2T 12.54 x 1.26 13.80
JGP Egna SP 4 3Lz+3T 11.11 x 2.36 13.47
JGP Egna FS 7 3Lz+3T 11.11 x 1.60 12.71
JGP Final SP 4 3Lz+3T 11.11 x 1.52 12.63
Youth Olympic Games SP 4 3Lz+3T 11.11 x 0.25 11.36
Youth Olympic Games FS 7 3Lz+3T 11.11 x 1.52 12.63


シニツィナ選手は今シーズン、3Lz-3Tのコンビネーションで、全選手の中で唯一、平均GOE+4.000をあげ、高難度コンビネーションでの最高スコアを出しています。

ロシアラッシュはこの辺までで、このあたりから日米が入り始めます。

日本勢二番手はまさかの横井ゆは菜選手。なんか気分的にはベテラン感あるのですが、今シーズンがシニアデビューです。全日本に強いけど国際試合に弱い、というのがジュニア時代の印象でしたが、今シーズンは国際試合でもしっかり結果を出しました。全日本で過去最高の5位に入ったものの、世界選手権だけでなく四大陸の代表もなし。そのうっぷんを国際B級試合でショート初の70点台、フリー初の130点台どころか140点台に乗せて、210点を超えるベストスコアを出しました。ただ、国際B級試合なので、ISUのベストスコアには含まれません。シーズンベスト30位、世界ランク30位。来期のグランプリシリーズ枠獲得には微妙な位置です。今シーズンも1枠⁺NHK杯地元枠の2枠だったのですが、来シーズンはどうかなあ。国際B級試合のポイントを、昨シーズン以前に稼いでいれば、ランキングがもうちょっと高かったのですけどね

 

それに次ぐのがアメリカのマライアベル選手。昨シーズン初の200点突破から、今シーズンは全試合200点超え。世界選手権代表者中ではシーズンベスト7位。6位のテネル選手と合わせると、アメリカ3枠のチャンスだったのですが、世界選手権は中止、というか一応延期扱い。現在のアメリカ二枚看板。見たかったなあ。

 

宮原選手は今シーズン、現役最多の連続グランプリファイナル出場も途絶え、連続200点オーバーも途絶え、という形でだいぶ苦労していますが、ベストスコアは210点台を何とか出しています。

今シーズン、ステップとコレオと、両方で平均GOE+4.000以上を出したのは宮原選手のみ。レイバックスピンで昨シーズンは全選手中唯一のGOE全ジャッジ+5を記録したりと、各要素で評価の高い選手なのですが、今シーズンはとにかくジャンプで苦労しました。ロステレコム杯に全日本、さらにはハバリアンオープンでも190点台に終わっていて、ちょっと心配なのですが、来シーズン復活してくれるでしょうか・・。

 

200点台が10人います。ロシア二人、アメリカ二人、日本二人、韓国三人、ポーランド一人。

アメリカから四回転とトリプルアクセルをダブル装備している現在の唯一の選手アリッサリュウ選手。今シーズンがジュニアデビューシーズンですが、初戦のレークプラシッドからトリプルアクセルと四回転ルッツ、両方決めて見せました。ショートプログラムではじゅあには単独アクセルはダブル、という規定があり、単独トリプルアクセルが飛べないのですが、リュウ選手はトリプルアクセル-トリプルトーループのコンビネーションを入れています。

十分すごいのですが、ワリエワ選手の総合力が高すぎて、今シーズンは世界ジュニア3位、ファイナル2位に終わっています。完成度上がったらどこまで行くのでしょう。

アメリカもう一人、復活のカレンチェン選手。四大陸で200点到達。ただ、レベルの高い四大陸で201点出しても7位でしたけれど。今シーズン、アメリカが三枠持って帰ったら、カレンチェン選手が来シーズン3枠目に入れる可能性も高かったのですけど、中止or延期でどうかな。今の二強を脅かすのはまだ厳しいのかも。四大陸選手権のコレオシークエンスは、平均GOE+4.000 今シーズンの全選手の中で3番目のスコアでした

 

日本からは樋口新葉選手と坂本花織選手がここにいます。

カレンチェン選手がコレオ3位でしたが、トップだったのは坂本花織選手です。四大陸では+4.125 スケートアメリカで+4.111 マトリックス完成版見たかったんですけどねえ・・・。今シーズンはベストで202点台ですが、ワーストも国際試合では194点台。悪いなりに安定していると言えばいえるんでしょうか。悪くてもこの点数が出る、というのは自力のある証拠で、来シーズン以降も日本の代表争いの有力な位置を占めるのは間違いないですけど。クープドプランタンも中止で、ノーミスマトリックス見られなかったのですが、来シーズンどうするんでしょう。

一方、全日本二位で世界選手権代表に復帰した樋口新葉選手は、四大陸の207点台がシーズンベスト。世界選手権中止の残念度合いがこの選手も強かったでしょうか。復活のシーズン、と位置付けられていそうですけれど、樋口選手レベルからすると、210点にまだ満たないのは、復活しきっているような気はしないんですけどね。今シーズン、国際大会でいい試合だったのは四大陸だけだった、というのもありますが、GOEで3.0を超えるスコアを出せている要素が、ステップとダブルアクセルしかない、という形で、全体的な加点がまだ少ないです。

 

韓国勢がこの水準に三人。一番上にジュニアのイ・ヘイン選手がいます。今シーズンはジュニアグランプリファイナルも世界ジュニアも、どちらもロシア3+アリッサリュウ選手に次いでの5位。全試合で190点以上を安定して出しています。今シーズンシニアに上がった選手としてはロシア3人が目立っていましたが、それに次いで韓国のユヨン選手がいたように、来シーズンもシニアに上がる選手の中では、ロシア以外ではイ・ヘイン選手がトップです。

 

日米露に韓国が加わってきたという昨今の女子シングルですが、その四か国以外での唯一の200点オーバーがポーランドのクラコワ選手でした。

ポーランドから有望な若手が、って、二シーズン前まではロシアにいたクラコワ選手ですが・・・。卓球中国、フィギュアのロシア、みたいな展開が徐々に広がってますが、とにかく今はポーランド代表です。200点を出した試合はチャレンジャーシリーズのワルシャワカップ。地元と言ってよいかちょっと考えますが、とにかくポーランドの地元試合でのスコアでした。ヨーロッパ選手権は170.24で10位。世界ジュニアは184.51で7位とちょっと伸びていません。日米露韓を脅かすには至っていないでしょうか。

 

日本視点で見ると、トリプルアクセル紀平梨花で頂点を争える、と思ったところにロシア三人が出てきて苦戦し始めた、なんて上ばかり見ていたら、下から韓国勢が迫ってきてさあ大変、という感じの今シーズンだったでしょうか。

 

世界選手権見たかったですけど、まあ、仕方ないんですかね。

 

 

以上、19-20シーズン、女子シングルの上位選手振り返りでした