ロシア選手権19プレビュー

全日本選手権とロシア選手権は、重なる年もあるようですが、今年は一週ずれて、全日本の翌週にロシア選手権、という構図になりました。

今回はロシア選手権プレビュー。ロシアは女子シングルだけ見ることにします。全日本の時のようにグランプリシリーズとチャレンジャーシリーズの全出場選手のスコアから平均と分散を取って、それを元に各選手の各要素での偏差値を求めてレーダーチャート化したものを準備しました。ジュニアの選手については、全日本の男子の時に記したように、コレオシークエンスがない分をステップ系要素の部分では補正を加えています。その試合のショートフリーのステップで得た平均GOEに0.5を掛けた数値をステップ系GOEに、コレオの基礎点3.0分をステップ系基礎点に加える、という補正を行ってステップ系要素の偏差値を計算させました。合計点には補正を行っていません。

ここでは、ロシア勢で今シーズン200点以上のスコアを出した選手を取り上げていきます。

 ●アリョーナコストルナヤ

Grade Event Pl Total SP FS
CS Finlandia Trophy 1 234.84 77.25 157.59
GP Internationaux de France 1 236.00 76.55 159.45
GP NHK Trophy 1 240.00 85.04 154.96
GPF Grand Prix Final 1 247.59 85.45 162.14

 

コストルナヤスケート偏差値

シーズンベストトップはコストルナヤ選手。247.59は史上最高得点です。ショートの最高スコア85.45というのも持ってます。

今シーズンはここまで国際試合4試合。スコアは上がり続けている状態です。彼女もジュニア上がり一年目にありがちな、ノーミスが続くとPCSがどんどん上がっていく、という途上にまだあります。

彼女の構成には今のところショートフリー合わせてのトリプルアクセル3本、というのがあります。四回転はなし。四回転が必須な時代になった、と騒がれていますが、実際には今一番上にいる選手には四回転がない、という事実があります。247.59でも取りこぼしはいくつかありましたので、四回転無しでも250点までは現実的に可能、という絵が見えています。250点まではトリプルアクセルは必須ですが、四回転がなくてもたどり着けるわけです。

そのためには、穴のないスキルが求められます。レーダーチャート的にはジャンプのGOEが目立っていますが、ほかの要素もすべて高水準。グランプリファイナルのステップが偏差値65.59で一番低い、ということで、四試合で一番低い偏差値の要素でも65を超えている、というバランスです。

トリプルアクセルはチャレンジャーシリーズからフリーで2本いれて回転不足1つ。グランプリシリーズはショートフリー3本で回転不足1つ。それがファイナルではショートフリー3本ですべてクリーンに降りて大きな加点も得ました。それによって基礎点もGOEもじわじわ上がってきた、という形です。

 

 ●アレクサンドラトゥルソワ

Grade Event Pl Total SP FS
CS Nepela Memorial 1 238.69 74.91 163.78
GP Skate Canada 1 241.02 74.40 166.62
GP Rostelecom Cup 1 234.47 74.21 160.26
GPF Grand Prix Final 3 233.18 71.45 161.73

 

トゥルソワスケート偏差値

シーズンベスト2位はトゥルソワ選手。241.02は史上最高点でいた時期もありました。

ここまで4戦していて、ファイナルが一番点が低い、というのはあまりいい流れではないといえばないです。昨シーズンも勝てなかった二試合はジュニアグランプリファイナルとロシア選手権という12月の試合でした。たまたまなのか、シーズン中盤に一度少し落ちる時期が来るのか。

四試合してフリーの最低点が160.26で160点台というのもなんとも恐ろしい水準です。スケートカナダの166.72はフリーの史上最高スコアとなっています。

レーダーチャートは当然右寄り。ジャンプの基礎点偏差値はスケートカナダで81.60 ジャンプGOE偏差値はオンドレイネペラ杯で82.75 二つそろったらとてつもないスコアになるという水準です。

一方、PCSはまだ低め。ファイナル出場6選手の中でも一番低く、フリーのPCSは65~67付近にとどまっています。スピンはショートフリー合わせて25点前後、ステップはいい時は14点台に乗るのですが、レベルが取れずに12点台になることもあります。スピンが26点前後、ステップも15点前後を安定して取るコストルナヤ選手とはこの辺で2~4点ほど負ける計算です。グランプリシリーズでは四回転サルコウが一度も決まらず、結果的にフリーで決まる4回転の本数は3本にとどまっていましたが、これを4本5本としっかり決めていくと、フリー170点を大きく超えてトータルでコストルナヤ選手の上に行くことができます。今のトゥルソワ選手は、スピンステップをきっちりやって点差を詰める、というよりは、四回転を増やして大きく稼ぐ、という戦略なようですが、結果的にどうなっていくでしょうか

 

●アンナシェルバコワ

Grade Event Pl Total SP FS
CS Lombardia Trophy 1 218.20 67.73 150.47
GP Skate America 1 227.76 67.60 160.16
GP Cup of China 1 226.04 73.51 152.53
GPF Grand Prix Final 2 240.92 78.27 162.65

 

シェルバコワスケート偏差値

シーズンベスト3番手はシェルバコワ選手。ファイナルで240.92と240点に乗せました。

エテリ三人衆の中では三番手感がありますが、昨シーズンのロシア選手権で優勝したのはシェルバコワ選手です。ただ、まだ国際試合でのビッグタイトルはありません。この前のファイナルは2位。昨シーズンの世界ジュニアも2位でした。

個人的に、ファイナルで一番驚きだったのはシェルバコワ選手でした。ショートプログラムから78.27 トリプルアクセル無しでショートから78点台というのは驚異的なスコアです。実際には同じ試合でザギトワ選手がもっと上に行きましたが、ジュニア上がりのシェルバコワ選手はまだまだPCSの出ない選手。それがファイナルでは34.55まで何とか伸ばしてきました。その上で、トリプルアクセル無しで技術点43.72をたたき出しています。フリーでもそうだったのですが、レベルが取れていなかったステップでレベル4を並べ、かつ、大きな加点もとっていたというのが一番の驚きでした。

そんなわけで、ファイナル以前のレーダーチャートははっきりと右寄りでジャンプタイプだったのですが、ファイナルのチャートは割とバランス型に近くなってきています。ファイナルで初めてフリー四回転3本構成に上げたのでジャンプ基礎点が上がった一方、初めて入れたフリップで今シーズン初の転倒、ということでジャンプGOEは低くなりましたが、ジャンプで得た点数自体は増えました。その上でステップの向上、PCSの向上。さらにスピンの合計点27.16はシニアの中では今シーズンフランス杯のザギトワ選手に次いで2番目の高スコアです。

スコアバランス的にトゥルソワ選手をやや小型化したタイプだったところから、今シーズントゥルソワ選手とは少し違う方向へ進化してきています。

ファイナルの構成のベースのまま、フリーの四回転フリップをきれいに降りれば、コストルナヤ選手の247.59の上までいくことに計算上なります。

 

●エフゲニアメドベージェワ

Grade Event Pl Total SP FS
CS Autumn Classic 2 217.43 75.14 142.29
IC Shanghai Trophy 1 191.78 72.16 119.62
GP Skate Canada 5 209.62 62.89 146.73
GP Rostelecom Cup 2 225.76 76.93 148.83

 

メドベージェワスケート偏差値


 

シーズンベスト4番手はメドベージェワ選手になります。ロステレコム杯の225.76なので、上位3人とは15点ほど差がある、というのが実情です。

今シーズンはここまで四戦。チャレンジャーシリーズにも入っていない上海トロフィーは、ちょっとフリーでひどいスコアでしたが、他はフリーで140点台にまとめてきています。

シーズンベスト225.76は、上位3人の一番悪いシーズンスコアよりも低い、という位置なので、普通に勝負するにはまだちょっと苦しいです。最低でも230点台は欲しい。230点台中盤まで伸ばせば、3人いるので誰かひとりはたいていそこまで落ちてくる、と見ることが出来て表彰台の芽が出てきます。実際、ファイナルでは3位のトゥルソワ選手が233.18のスコアでした。

レーダーチャートはチャレンジャーシリーズでさえなかった上海トロフィーを外した3試合で表していますが、左寄りの姿が見えます。ジャンプの基礎点偏差値が60前後で上位との差がある。GOEはロステレコム杯くらい取れれば偏差値72ほどあり、失敗がつきものな四回転多数構成のトゥルソワ選手、シェルバコワ選手より上回れることもあります。

メドベージェワ選手のジャンプ構成というのは、実はその他普通の選手と比べても決して高いものではありません。シーズンベストのロステレコム杯ではショートフリー合わせてトリプルルッツは1本だけでした。今シーズン8回ルッツを飛んで、4回エッジエラーのeが付き、残りの4回も!付き。回転不足も3回。クリーンなルッツがありません。だからこそのロステレコム杯でのルッツ一本構成なのだと思いますが、これだと上位と戦うのはやはり苦しいです。

一方、強いのはやはりPCS ロステレコム杯のショートフリー合わせて110.72というPCSは今シーズン全選手の中でただ一人110点を超えるトップスコアです。コストルナヤ選手とはあまり差が付きませんが、トゥルソワ選手とならPCSで10点上回れます。同じロステレコムでのステップ系スコア15.67はUSインターナショナルの宮原選手に次いで全選手中2番目、ロシアの選手の中ではトップです。表現系スコアはやはりロシア勢の中で群を抜いてます。

ルッツ入ってのノーミスで235点ほどまでのスコアを伸ばせば、表彰台のチャンスはありそうです。

 

●カミラワリエワ

Grade Event Pl Total SP FS
JGP JGP Courchevel 1 200.71 62.31 138.40
JGP JGP RUS 1 221.95 73.56 148.39
JGPF JGP Final 1 207.47 69.02 138.45

 

ワリエワスケート偏差値

シーズンベスト5番手は、ジュニアからカミラワリエワ選手です。ジュニアグランプリのロシアでは221.95のスコアを出しました。これは当然コレオシークエンスなしのスコア。メドベージェワ選手のシーズンベスト225.76とは3.81の差ですので、コレオシークエンスで平均GOE+2程度を稼げれば、それより上のスコアになる、という単純計算がされます

ケガの影響ということでジュニアグランプリファイナルでは組み入れていませんでしたが、ジュニアグランプリシリーズでは四回転トーループが構成に入っていました。彼女は今のところトリプルアクセルもなく、ルッツループもないので、ジュニアグランプリファイナルは、ある種普通の人たちの最高構成程度のものだったのですが、それでも207.47 コレオなしを考えればシニア構成なら実質210点程度のスコアを出してきたことになります。

レーダーチャートは、例によって、ジュニア組はステップ要素でコレオ補正をしたものではありますが、基本的には右寄りなチャートです。ジャンプでミスが嵩んだジュニアグランプリ初戦は、ジャンプのスコアも下がって下に飛び出た形になります。

四回転を持つワリエワ選手は、当然ジャンプが決まれば高スコアを出すことができます。ジュニアグランプリロシアではショートフリー合わせてジャンプの得点は88.37 これはジュニアの中では今シーズン最高点ですし、シニアでもこの上はファイナル表彰台の三人しかいません。ただ、ジャンプはまだ不安定で、ジュニアグランプリの初戦では71.42という平凡なスコアにとどまっています。

実は彼女が一番優れているのはスピンです。ジュニアグランプリロシアではショートフリー合わせて27.85というスコアを出しています。これはジュニアシニア通じて今シーズンの全選手の中での最高点です。初戦の27.39でも、ザギトワ選手の27.66を挟んで三番目のスコア。同世代ライバルのアリッサリュウ選手と、ジャンプで得る得点はさほど変わらないのですが、スピンで数点上に行ける、というのが、四回転無しでもファイナルを勝ち切ったところに影響しました。

ケガからどこまで回復しているのか? というのがロシア選手権で上位に絡んでいく一つのポイントなのでしょうきっと。四回転フルに組み込んだ構成で来た時、プレッシャー薄目な立場と合わせると、上位三人に一泡吹かせる展開もあるのかもしれません。

 

エリザベータトゥクタミシェワ

Grade Event Pl Total SP FS
CS Lombardia Trophy 2 214.38 73.66 140.72
CS Finlandia Trophy 2 212.53 72.66 139.87
GP Skate America 3 205.97 67.28 138.69
GP Cup of China 3 209.10 65.57 143.53
CS Golden Spin 1 221.15 72.86 148.29

 

トゥクタミシェワスケート偏差値

シーズンベスト6位はトゥクタミシェワ選手。グランプリファイナルと同時期に裏で行われていたチャレンジャーシリーズ最終戦ゴールデンスピンで出した221.15で220点に今シーズンも乗せてきました。

トゥクタミシェワ選手はいつも試合数をたくさんこなすスタイル。今シーズンもここまで最多の5試合をこなしています。

グランプリ2戦ではショートがうまくいかず60点台のスコアになり、フリー巻き返すも3位まで、という形でファイナル進出を逃しました。チャレンジャーシリーズ3試合では、ショートで70点台に乗せて、フリーも140点台という形で210点以上のスコアになっています。

レーダーチャートは右寄り。子供たちばかり出てくるロシア勢の中でシニアの大人の演技をしている、と評されることの多いトゥクタミシェワ選手なのですが、点の取り方は実はジャンプ偏重です。PCS偏差値は60台前半。これはトゥルソワ選手とほぼ同じ水準です。ョートフリーのPCS合計が100点に乗ったのは今シーズン1試合だけ。フリーのPCSは良くて67点台であり、あまり伸びていません。ステップはレベル4がなかなか取れず、基本がレベル3というあたりで伸び悩んでいます。一つのステップでトップ選手はレベル4+加点で5点以上を出してくるのですが、トゥクタミシェワ選手の場合、レベル3+加点で4点前後になるので、ステップ一つで1点差がつく。ショートフリーで2点差がつく。コレオの盛り上がりとか、全選手最大級なのですが、あまり得点としては寄与していない現実が残念ながらあります。

そして、実はスピンが結構残念なことになっていまして、偏差値にして50前後しかないんですね。グランプリシリーズのみならず、チャレンジャーシリーズというやや格落ちする大会、そこに出てくる選手たちすべてをひっくるめて平均取った時の、平均に近いスコアしか取れていない、という現実があり、スピンだけで上位と3~4点差がついています。ショートトリプルアクセル組なのに、ノーミスに見える演技をしても70点台後半までなかなか伸びてこないのは、その辺の影響です。

その辺の差をジャンプで補う、というのが採点上見たトゥクタミシェワ選手の姿です。ゴールデンスピンではジャンプだけで87.49のスコアを稼ぎました。これより上は、シニアではエテリ三人組しかいません。なので、このジャンプで、ほかの選手、宮原選手や坂本選手、ブレイディテネル選手といった、他国の上位陣との差を詰める、ひっくり返す、といった構図があるのですが、ジャンプでさらに上をいく選手がいるロシア国内だとちょっと厳しいという現実があります。

四回転完成間近、というようなことも聞きますので、四回転投入してノーミス演技が出来れば、230点台半ばまで届いて表彰台チャンスもありそうなのですが、投入はあるか? 世界選手権の枠に入るために一発勝負したいなら、大博打でも入れていく手はありそうです。

 

 ●アリーナザギトワ

Grade Event Pl Total SP FS
GP Internationaux de France 2 216.06 74.24 141.82
GP NHK Trophy 3 217.99 66.84 151.15
GPF Grand Prix Final 6 205.23 79.60 125.63

 

ザギトワスケート偏差値

欠場、とすでに発表されていますが、話題としては入れておきたい

シーズンベスト7番目がザギトワ選手です。NHK杯の217.99が今シーズンのベスト。ショートが悪くてこのスコアなので、ショートフリー、いい方で並べたら230点には乗るのですが、そうはいっても実際に出た点数ではロシア人選手中7番手というのが現実。ジュニアから上がった3人が強くてどうの、という言われ方をされていますが、実際には今シーズン、メドベージェワ選手、さらにはトゥクタミシェワ選手よりもベストは下です。あの三人がいなくても盤石なわけではない、勝てるかどうかもわからない、という状況。

元々一シーズンずっと無敵の強さを見せる、ということでもなくて、昨シーズンは言わずもがなですが、オリンピックシーズンもグランプリ2戦は、ショートで転倒なんかがあってフリーでぎりぎり逆転して勝っていました。ジュニア時代もグランプリシリーズでは紀平選手や本田真凛選手にころっと負けていたりします。それでも一番大事な試合にはしっかり勝つ。ジュニアの時は世界ジュニア。シニアに上がってもオリンピック、昨シーズンは世界選手権、と勝ちました。その論理で行けば今シーズンは、一番大事なのは、世界選手権、の前にその出場枠が危ないのだからロシア選手権、となるのだろう、と思っていました。なので、ファイナルで崩れても三週間でしっかり合わせてくるのではないか。ザギトワ選手はすでにグランプリシリーズなんてどうでもいい、と公に口外は出来なくてもチーム内でその前提で準備するくらいは許される選手なので、ロシア選手権には合わせてくるのではないか、と思っていました。

それが、休養ニュース。残念です。

シーズンベストは7番手ですが、昨シーズン出しているパーソナルベストは238.43あります。トリプルアクセル無しでも240点までは出せるわけで、これをロシア選手権にぴったり合わせてくれば、表彰台には十分乗ってくる圏内ではありました。

 

 ●クセニア シニツィナ

Grade Event Pl Total SP FS
JGP JGP RUS 2 204.25 73.04 131.21
JGP JGP Egna 1 215.58 74.65 140.93
JGPF JGP Final 4 195.57 69.40 126.17

 

シニツィナスケート偏差値

ジュニアから二人目、シニツィナ選手。シーズンベストは215.58で8番目です。

ジュニアグランプリの二戦目ではショートプログラムで74.65というジュニアとしてはとてつもないスコアを出しています。ジュニアなのでPCSはあまり稼げず32.32な中、TESは42.33 トリプルアクセル無しで現行の1.1倍は1本だけルールの中でここまでの点数はなかなか出ません。

レーダーチャートはやはり右寄り。PCSはまだ出してもらえていません。スピンは3試合全要素でレベル4と取りこぼしはないのですが、加点があまりもらえない。そんな中でジャンプのGOEは2戦目に偏差値にして80.0 15.81もの加点を得ていました。これより上を今シーズン取っているのはコストルナヤ選手とトゥルソワ選手のみです。

構成にトリプルアクセル無し、四回転無し、のジュニアで210点台を出してきているのは彼女だけ。まだ、シニアの上位と勝負するのはこのロシア選手権では厳しそうですが、ジュニアの中で2番手くらいには入って、世界ジュニアへの道筋をつけることを目指すことになるでしょうか。

 

●ダリアウサチェワ

Grade Event Pl Total SP FS
JGP JGP Riga 2 194.40 69.04 125.36
JGP JGP Croatia 2 197.19 71.09 126.10
JGPF JGP Final 3 200.37 70.15 130.22

 

ウサチェワスケート偏差値


ロシアの今シーズン200点ランカー、9人目もジュニアからウサチョワ選手です。ジュニアグランプリファイナルでは3位表彰台に乗りました。

ショートプログラムは70点前後を3試合並べていて、フリーではベストが130.22 まだ上位と戦うにはちょっと厳しいですが、一般的なジュニアのレベルから考えると十分ではあります。

彼女も四回転、トリプルアクセルは構成になく、セカンドループもありません。それでもジュニアの段階でこれだけの点数が出せるわけですから、高難度ジャンプが飛べないと話にならない、とか言う前に、まず、それなしでも200点を出せる力、というのを日本のジュニア勢も持っていくことが求められるんでしょうか。

レーダーチャートは下に向かって伸びてます。ジャンプ構成は割と標準的なのでジャンプ基礎点偏差値は60前後にとどまりますし、どの試合もノーミスではないのでジャンプGOEもほどほどです。PCSもジュニアなのでまだ伸びず、ショートフリー合わせて90点台前半。そういった中でスピンが、三試合オールレベル4で加点もある程度取って、ショートフリー合計が26点前後とトップ選手並みのスコアを出しています。

ほぼ標準構成ともいえる中でどの程度のスコアが出せるか、という観点で、日本ジュニア勢のいいターゲットになるような選手に見えます。

 

200点スコアラーは以上9選手です。昨シーズンヨーロッパ選手権に勝ったサムドゥロワ選手や、二シーズン前にオリンピックに出たソツコワ選手。世界選手権に2回出て、昨シーズンも候補の一人だったコンスタンてぃのわ選手、といったところのスコアが伸びてきていなくても、9人の200点スコアラーがいる、というのがロシアの層の厚さを示しているでしょうか。

 

ロシア200点スコアラーレーダーチャート

ちょっと見づらいですが、9選手のトータルスコアが一番いい試合でレーダーチャートを作るとこんな感じになります。ジャンプの基礎点はやはりトゥルソワ選手が目立つけどシェルバコワ選手も高くて、その次にコストルナヤ選手がやっぱり続く。GOEはコストルナヤ選手が強い。シニツィナ選手も高難度ジャンプないなかGOEはすごく稼ぐのね。スピンはワリエワ選手がトップというちょっと驚き構図でステップにPCSはメドベージェワ選手。

選手それぞれに特色はやっぱりありますね。

 

優勝スコアは250点を超えてきそうな感じでしょうか。ロシアの場合、優勝スコアが男子シングルより女子シングルの方が高くなるんじゃないかという心配もあったりします。まあ、男子も一人くらいはしっかり高得点出して勝つかもしれませんが、表彰台スコアあたりになると女子のが高い、なんて事態が起きるかもしれません

 

以上、ロシア選手権プレビューでした。