全日本選手権20 女子シングル数値編1

前回までに男子シングルの数値編をお送りしてきました

今度は女子シングルになります

内容は男子の時と似通ったものになっていくと思います

 

ショートプログラム上位24人のタイプ別得点

Pl Name Jump Spin Step PCS
1 紀平梨花 27.35 11.22 5.57 35.20
2 坂本花織 19.64 12.41 4.67 35.14
3 三原舞依 22.12 11.41 5.01 31.01
4 山下真瑚 23.03 8.85 4.20 31.20
5 新田谷凜 22.45 10.92 4.34 29.45
6 宮原知子 12.43 13.16 5.52 35.37
7 松生理乃 20.94 11.71 3.38 30.54
8 河辺愛菜 20.88 10.75 3.45 29.62
9 川畑和愛 19.91 10.14 4.20 30.31
10 白岩優奈 21.81 10.14 2.21 29.80
11 住吉りをん 20.46 10.43 4.10 27.63
12 吉岡詩果 19.05 11.37 3.96 27.62
13 樋口新葉 14.73 10.49 5.40 31.91
14 青木祐奈 18.90 9.74 3.72 27.61
15 鈴木なつ 19.01 11.33 3.82 25.77
16 横井ゆは菜 18.58 10.37 3.19 28.69
17 本郷理華 16.69 10.27 4.15 27.94
18 永井優香 18.80 9.54 3.05 27.60
19 吉田陽菜 19.89 9.96 2.93 26.01
20 野比 13.66 11.98 4.57 26.83
21 松原星 19.29 8.97 2.90 25.09
22 廣谷帆香 18.67 11.09 2.60 22.91
23 松千 16.32 10.02 2.13 26.58
24 千葉百音 17.97 11.41 1.79 25.28

選手ごとの毛色の違いが非常に顕著に表れています。

ショート首位の紀平梨花選手はジャンプで27.35と断トツのスコアです。ジャンプの2位は山下真瑚選手で23.03 その差は4.32あります。トリプルアクセルダブルアクセルの基礎点差が4.7ありますので、やはりその差が大きく効く、というのが見て取れます。

ジャンプの3位は新田谷凜選手でした。引退撤回後初の全日本で初のフリー最終グループとなった原動力はジャンプにありました。

ショート2位の坂本花織選手はジャンプのスコア順位は11位です。ショート19位でトリプルアクセルにチャレンジした吉田陽菜選手よりジャンプのスコアは下でした。首位紀平梨花選手とジャンプのスコア差は7.69 坂本選手はジャンプのイメージが強い選手なのですが、意外と点数的には伸びていません。

ショート6位の宮原知子選手はジャンプのスコアは24位、ではなくてここに乗っていないショート落ちの選手まで入れると26位になります。さすがにループ零点は大きく影響しました。

 

スピンは宮原知子選手がトップ。2位に坂本花織選手。紀平梨花選手はスピンの順位は9番目です。宮原選手と紀平選手では1.96の差があります。スピンのスコア3位は竹野比奈選手でした。スピンの評価には定評のある選手で、日本のトップ選手たちと肩を並べます。

ショート4位の山下真瑚選手はジャンプ2位な一方でスピンは24位ではなく、これもショート落ちの選手を含めると28位になります。スピンが大きな弱点です。

 

ステップは紀平梨花選手がトップ。二位の宮原知子選手も僅差です。坂本選手は5位。GOEは良かったのですがレベルが3だったことの影響が出ています。ステップ3位は樋口新葉選手です。トリプルアクセルに挑んでいて今回は決まらずスコアは伸びませんでしたが、実はジャンプよりもステップの方が高い評価の位置にいる選手です。

 

PCSは宮原選手、紀平選手、坂本選手の順。やはりこの3人が強いです。

宮原選手はジャンプ26位、スピン1位、ステップ2位、PCS1位 ジャンプ跳べれば無敵なんですが・・・、みたいなことになっております。

 

 ●フリーのタイプ別得点

Pl Name Jump Spin Step PCS
1 紀平梨花 62.05 11.13 9.10 72.62
2 坂本花織 51.94 13.49 10.65 74.23
3 宮原知子 47.12 12.79 10.92 73.44
4 松生理乃 52.17 12.12 9.17 65.71
5 河辺愛菜 53.10 10.33 9.86 64.59
6 横井ゆは菜 54.66 11.10 7.45 61.18
7 三原舞依 48.51 12.84 8.70 64.05
8 樋口新葉 46.74 12.30 9.39 65.08
9 白岩優奈 45.39 10.93 8.57 62.54
10 住吉りをん 45.30 12.03 8.49 58.64
11 新田谷凜 42.91 9.38 9.36 61.67
12 川畑和愛 40.52 10.79 8.76 61.55
13 山下真瑚 39.88 8.05 9.02 63.33
14 鈴木なつ 39.28 10.64 7.60 52.68
15 吉岡詩果 37.20 10.74 7.70 53.18
16 野比 33.69 11.91 7.84 52.58
17 吉田陽菜 41.62 6.50 6.25 50.62
18 千葉百音 35.05 11.87 6.87 50.98
19 本郷理華 29.40 10.35 8.48 54.57
20 松原星 38.90 8.81 6.65 46.85
21 青木祐奈 24.55 10.72 9.49 54.51
22 廣谷帆香 36.89 9.95 4.94 43.53
23 松千 28.78 9.22 6.22 49.09
24 永井優香 19.97 9.62 7.11 50.82

フリーは24選手全選手載せました。

ジャンプのトップはやはり紀平梨花選手。ただ一人60点を超えています。多くの選手はTES合計で60点を超えるのも大変なのですが、その点数をジャンプだけで稼いでいます。

ジャンプ2位は横井ゆは菜選手でした。紀平選手との差は7.39 ジャンプ一本分ほどあります。コンビネーションを全部1.1倍に入れるという鬼構成をしっかり滑り切ったわけですが、それでもトリプルアクセル+四回転サルコウと比べるとジャンプ1本分点差が開く、という現実はあります。

ジャンプ3位は河辺愛菜選手、4位は松生理乃選手、と新旧ジュニアチャンピオンが並びます。河辺選手はトリプルアクセルは決まりませんでしたが回転は足りていて、あとのジャンプもしっかり決めたことで高得点、松生選手は全体の安定感で高得点、といったところ。

坂本選手は5番目でした。紀平選手とのジャンプ得点差は10.11 四回転サルコウ1本分あります。宮原選手は7位でした。苦手なジャンプもフリーはある程度まとめました。

 

スピンは坂本花織選手がトップでした。13.49はショートの宮原選手よりも上のスコアです。

二位が三原舞依選手、宮原選手はフリーでは三位でした。

紀平選手は9位。スピンではなかなか点が稼げていません。

 

ステップ系要素は宮原選手がトップで坂本選手が二位。三番目には河辺愛菜選手がいます。紀平梨花選手は8番目。ステップのレベルが3だったことで点が伸びませんでした。

 

PCSは一位坂本選手、二位宮原選手、三位紀平選手の順。この三人が70点越えです。宮原選手はショートでもう少し上位にいて滑走順が後ろだったらもっと出たんでしょうか? どうでしょう?

四番目にはジュニアの松生選手がいます。ジュニアでPCSが高い、というのは珍しいケースです。

三原舞依選手が7番目。宮原選手との差が9.39ありました。このPCS差が表彰台に乗れなかった要因になっているようです。

 

 ●総合上位24位のショートフリーを合わせたタイプ別スコア

Pl Name Jump Spin Step PCS
1 紀平梨花 89.40 22.35 14.67 107.82
2 坂本花織 71.58 25.90 15.32 109.37
3 宮原知子 59.55 25.95 16.44 108.81
4 松生理乃 73.11 23.83 12.55 96.25
5 三原舞依 70.63 24.25 13.71 95.06
6 河辺愛菜 73.98 21.08 13.31 94.21
7 樋口新葉 61.47 22.79 14.79 96.99
8 横井ゆは菜 73.24 21.47 10.64 89.87
9 白岩優奈 67.20 21.07 10.78 92.34
10 新田谷凜 65.36 20.30 13.70 91.12
11 川畑和愛 60.43 20.93 12.96 91.86
12 住吉りをん 65.76 22.46 12.59 86.27
13 山下真瑚 62.91 16.90 13.22 94.53
14 鈴木なつ 58.29 21.97 11.42 78.45
15 吉岡詩果 56.25 22.11 11.66 80.80
16 吉田陽菜 61.51 16.46 9.18 76.63
17 野比 47.35 23.89 12.41 79.41
18 本郷理華 46.09 20.62 12.63 82.51
19 青木祐奈 43.45 20.46 13.21 82.12
20 千葉百音 53.02 23.28 8.66 76.26
21 松原星 58.19 17.78 9.55 71.94
22 廣谷帆香 55.56 21.04 7.54 66.44
23 松千 45.10 19.24 8.35 75.67
24 永井優香 38.77 19.16 10.16 78.42

フリーに進んだ24人のショートとフリーを合わせての得点の稼ぎ方です

ジャンプは紀平選手が突出していて、ジャンプ2位の河辺選手とでも15.42の差があります。坂本選手は5位で紀平選手とは17.82の差、宮原選手は14位で紀平選手との差は29.85あります。

 

スピンは宮原選手がトップで坂本選手が2位。二人の差は0.05でほとんどありません。紀平選手は9番目で宮原選手との差が3.60あります。ロシア勢のトップはスピンで26点台、ワリエワ選手は27点台後半まで出してきますので、紀平選手はスピンで5点ほどビハインドを負ってしまう計算になります。

余談ですが、宮原選手、坂本選手の二人は男子のトップの加点よりも高い加点を得ていて、基礎点も合わせたスピンのスコアは男子よりも高いです。

 

ステップ系要素は宮原選手がトップ。昨シーズンの国際大会でのステップ系要素は全選手の中で宮原選手のUSインターナショナルで出した15.84 二シーズン前もやはり宮原選手のUSインターナショナル15.92が最高スコア。ステップ系要素の評価は世界一の選手ではありますが、今回は国内の大会ではありますがそれを上回る16.44というスコアになっています。ステップ系要素は全部満点で17.25ですので、16.44というのは驚異的な数字です。当たり前のように男子のスコアより上でした。

二位は坂本選手、三位は樋口選手でした。紀平選手は四位です。

 

PCSは坂本選手、宮原選手、紀平選手の順で、この三人だけがPCS合計100点越えですし、105点も超えて110点に近いスコアでした。

 

 ●フリー進出24人のショートフリーのジャンプの点の入り方

Pl Name Base GOE
1 紀平梨花 77.42 11.98
2 坂本花織 60.61 10.97
3 宮原知子 58.32 1.23
4 松生理乃 65.60 7.51
5 三原舞依 61.48 9.15
6 河辺愛菜 74.37 -0.39
7 樋口新葉 62.22 -0.75
8 横井ゆは菜 64.41 8.83
9 白岩優奈 63.35 3.85
10 新田谷凜 60.19 5.17
11 川畑和愛 57.85 2.58
12 住吉りをん 63.12 2.64
13 山下真瑚 61.85 1.06
14 鈴木なつ 54.08 4.21
15 吉岡詩果 59.17 -2.92
16 吉田陽菜 66.03 -4.52
17 野比 43.35 4.00
18 本郷理華 52.77 -6.68
19 青木祐奈 49.35 -5.90
20 千葉百音 55.60 -2.58
21 松原星 62.88 -4.69
22 廣谷帆香 54.69 0.87
23 松千 51.86 -6.76
24 永井優香 38.67 0.10

上記表ではBaseがジャンプの基礎点、GOEは加点です。ここのGOEは-5~+5の評価の合計ではなく、点数としての加点減点の合算になります。

紀平選手が基礎点トップ。まあ、それはそうだろうという感じなのですが、二位の河辺愛菜選手との差が3.05しかありません。河辺選手はトリプルアクセル二本を基礎点満額得ているので基礎点は高くなりました。とはいえ、四回転サルコウが入っているのに3.05しかトリプルアクセル二本持ちと差がない。四回転サルコウ以外の構成をそれほどは攻めなかった、というのがこの辺に出ています。

基礎点三番手はジュニアの吉田陽菜選手。この選手もトリプルアクセル持ち。四位にトリプルアクセルがない松生理乃選手が入ってきます。

坂本選手は12番手、宮原選手は15番手です。坂本選手がこの位置なのはイメージと合致しませんが、フリーではルッツが一本で元々あまり高い基礎点を持っていない選手ですし、今回はそのルッツでeがついて基礎点から減点。こういった位置になっています。

 

加点もやはり紀平選手がトップ。二番手に坂本選手がいてその差は1.01です。基礎点では稼げていませんが、加点は坂本選手はかなり稼げています。基礎点が高い方が同じGOEの時には加点も多くなる、ということを考えると、坂本選手のジャンプの質はかなり高く、評価は紀平選手より高い、という計算になります。

加点三位は三原舞依選手、四位に横井ゆは菜選手。三原選手はジャンプのイメージの選手なわけではないですが、質的によりジャンプを飛んでいて加点が取れている、という構図なようです。

 

●フリー進出24人のショートフリーのスピンの点の入り方

Pl Name Base GOE
1 紀平梨花 18.00 4.35
2 坂本花織 19.40 6.50
3 宮原知子 18.80 7.15
4 松生理乃 18.20 5.63
5 三原舞依 19.20 5.05
6 河辺愛菜 17.10 3.98
7 樋口新葉 19.10 3.69
8 横井ゆは菜 18.60 2.87
9 白岩優奈 17.60 3.47
10 新田谷凜 16.55 3.75
11 川畑和愛 17.60 3.33
12 住吉りをん 17.90 4.56
13 山下真瑚 14.70 2.20
14 鈴木なつ 18.30 3.67
15 吉岡詩果 18.10 4.01
16 吉田陽菜 14.40 2.06
17 野比 19.10 4.79
18 本郷理華 18.30 2.32
19 青木祐奈 18.30 2.16
20 千葉百音 19.10 4.18
21 松原星 15.50 2.28
22 廣谷帆香 18.50 2.54
23 松千 16.93 2.31
24 永井優香 16.60 2.56

スピンは坂本選手が基礎点でトップでした。二番目に三原舞依選手で中野組がワンツーです。三番目は樋口選手竹野比奈選手にジュニアの千葉百音選手がいます。宮原選手は全体六番目。ここまでは全員すべてレベル4ですが、そのスピンの種類で差がついている形です。なんとなく、名古屋組はスピンの基礎点が低い=レベルが取り切れていない? というようにも見えます。紀平選手は全体14番目でした。スピンの基礎点で坂本選手と1.40の差がついています。このあたりが四回転もトリプルアクセルも無い坂本選手が、紀平選手に割と肉薄できたことの要因に、目立たないですがなっているわけです。

加点は宮原選手がトップで坂本選手が二番目。三番目には松生理乃選手がいます。松生選手はレベルがしっかり取れず基礎点はそれほど高くありませんでしたが、加点はよく取れていました。

 

 ●フリー進出24人のショートフリーのステップ系要素の点の入り方

Pl Name Base GOE
1 紀平梨花 10.20 4.47
2 坂本花織 10.20 5.12
3 宮原知子 10.80 5.64
4 松生理乃 8.90 3.65
5 三原舞依 10.20 3.51
6 河辺愛菜 9.50 3.81
7 樋口新葉 10.80 3.99
8 横井ゆは菜 8.20 2.44
9 白岩優奈 8.10 2.68
10 新田谷凜 10.20 3.50
11 川畑和愛 9.60 3.36
12 住吉りをん 9.60 2.99
13 山下真瑚 9.60 3.62
14 鈴木なつ 9.60 1.82
15 吉岡詩果 9.60 2.06
16 吉田陽菜 8.20 0.98
17 野比 10.20 2.21
18 本郷理華 9.60 3.03
19 青木祐奈 10.20 3.01
20 千葉百音 8.90 -0.24
21 松原星 8.90 0.65
22 廣谷帆香 7.40 0.14
23 松千 7.40 0.95
24 永井優香 8.90 1.26

ステップ系要素とはコレオシークエンスも含みます。

基礎点トップとはショートフリーでステップレベル4を取った選手を指しますが、宮原選手と樋口選手がレベル4を揃えました。

基礎点10.20の選手は片方レベル3で片方レベル4だったわけですが、紀平選手坂本選手始め6選手いました。

加点は宮原選手がトップ。坂本選手が二位で紀平選手三位に樋口選手四位と続きます。表現面で定評のある選手が並びますが、その次に河辺選手松生選手と続きました。今大会で初の200点を出した二人ですが、意外なところでも点を稼いでいます。ただ、基礎点の方は二人ともレベル2があったりとあまり伸ばせていませんでした。

 

次回へ続きます