NHK杯20プレビュー2

 

間近に迫ってきたNHK杯

前回男子のプレビューをしましたので、今回は女子のプレビューです

前回と同様に今シーズンの国内の試合での、エントリー選手のベストスコアを並べます。ブロック予選などの大会と全日本ジュニアが対象で、ジャパンオープンや、ローカル大会は除きます。

 

NHK杯エントリー選手 シーズンベストスコア

  Name Total Event
1 坂本花織 218.35 近畿選手権
2 樋口新葉 203.24 東日本選手権
3 松生理乃 198.38 全日本ジュニア
4 三原舞依 194.87 西日本選手権
5 河辺愛菜 188.48 近畿選手権
6 山下真瑚 181.46 西日本選手権
7 横井ゆは菜 168.83 西日本選手権
8 松千 161.07 西日本選手権
9 川畑和愛 155.97 東日本選手権
10 荒木菜那 148.75 中部選手権
11 本田真凜 144.11 東日本選手権

NHK杯の女子シングルエントリーは上記の11人、ではなくて、韓国のユヨン選手もいます。ユヨン選手も含め、この大会で勝った選手が紀平選手への挑戦権を得る、というような感じの試合でしょうか

今シーズンのスコアトップは坂本選手。近畿選手権の218.35は今シーズンの国内のスコアとしては断トツです。ただ、西日本ではフリーで伸びずに200.23で終わりました。これくらいのスコアだと、樋口選手に上回れています。

樋口選手が2番手。フリーでトリプルアクセルを着氷しましたがGOEはマイナス。他のジャンプはミスもあってのこのスコアです。NHK杯にどこまで合わせているかはわかりませんが、程よい緊張感×失うものがあまりない試合、ということでトリプルアクセルを下りて加点をもらいました実績、を得るのにいい試合だと思います。

今シーズン試合出場がたぶんまだないユヨン選手の調子のほどはよくわかりませんが、昨シーズン実績でいくとベストで220点は超えますし、そうでなくても210点台くらいまでは出してきます。ユヨン選手は来シーズンのオリンピック3枠争いにおいて、日韓どちらから見てもキーになる選手。日本からすれば、二番手三番手の代表でもユヨン選手の上へ行ければ3枠の確率が極めて高くなる。一方ユヨン選手からすると、日本の二番手以下に負けているようだと韓国三枠の確率はほぼなくなりますし、むしろ紀平選手の上までいって4番にまでは出て、2番手選手が9位にまで入ってくればよい、というところに持ってきたいわけです。その前哨戦がNHK杯、とも言えるかもしれません

 

スコア三番手は全日本ジュニアの松生選手が入っています。これ、ジュニアのスコアなので理論上、シニアルールならコレオ分加点されて200点に乗る計算です。全日本ジュニアフリーから中三日で迎えるNHK杯ショートプログラム。好調を維持して好成績を出すのか、疲労で結果が出ないのか。どちらに転ぶのか。昨シーズン怪我をして後半はパッとしませんでしたが、JGP初戦で出した193.03がこのNHK杯のエントリーにつながっています。190点台まで出すのは一発のフロックではない、というのが今シーズンの成績からも見えているのでシニアルールで200点に乗せるところが見たいですし、200点に乗れば、上位が崩れると表彰台の芽もありそうです。

 

復活途上の三原選手は194.87 三原選手は完全復活した! という声もあるようですが、200点乗せる前に完全復活を謳うのはむしろ三原選手に失礼なような気がします。西日本選手権ではフリーで3回転-3回転を決めて全要素プラス、というところまでは出してきました。ただ、PCSは60.08しかもらえていません。ショートでは28.80と5項目の平均が7点ちょっと。本格的な試合は3試合目となるNHK杯で、このあたりはもう少し伸びてくるはずと思われるので、その辺踏まえると、この辺で200点復帰、となるのかもしれません

 

今シーズンシニアに上がった河辺愛菜選手が5番手で188.48 今シーズンはまだトリプルアクセルの成功がありません。ショートフリーで2本そろったりすると、表彰台争いに絡んでくることもできそうですが、果たしてどうなるか。

 

グランプリデビュー戦で200点に乗せて表彰台経験のある山下真瑚選手、ほんの9カ月前にISU非公認ながら214点まで出している横井ゆは菜選手、日本人選手として史上ただ一人、ジュニアで200点を出している本田真凜選手、このあたりのグランプリ組が今シーズンあまり伸びていませんが、来シーズン、オリンピック代表選考に絡むためには、この辺で存在感を見せておいてほしいところです。

 

NHK杯エントリー選手 ショートプログラムスコア

  Name Total Event
1 坂本花織 74.88 近畿選手権
2 樋口新葉 70.71 東日本選手権
3 松生理乃 69.06 全日本ジュニア
4 山下真瑚 65.64 中部選手権
5 三原舞依 64.50 西日本選手権
6 河辺愛菜 63.10 西日本選手権
7 松千 62.98 西日本選手権
8 川畑和愛 58.35 東日本選手権
9 横井ゆは菜 57.21 中部選手権
10 荒木菜那 53.95 中部選手権
11 本田真凜 50.41 東日本選手権

今シーズン、ショートプログラムトリプルアクセルを決めた選手がこの11人の中にはいません。坂本選手はトリプルアクセル無しで74.88 これくらい出せると、トリプルアクセルを決めたユヨン選手でもどちらが上か? くらいの位置でショートプログラムを折り返せます。

優勝争いするには70点欲しいでしょうかやはり。松生選手はあとわずか。山下真瑚選手はセカンド3Tが回転不足でこの点数なので、ノーミスで加点もらってPCSがもうひと伸びすれば70点まで来ます。

三原選手もセカンド3Tが回転不足なので、その回転が足りて、あとは28.80しかもらえていないPCSが以前の33点台まで戻れば問題なく70点は超えてきます。

河辺選手はトリプルアクセル決まれば70点が見える。この辺までかなあ

 

NHK杯エントリー選手 フリースコア

  Name Total Event
1 坂本花織 143.47 近畿選手権
2 樋口新葉 132.53 東日本選手権
3 河辺愛菜 130.56 近畿選手権
4 三原舞依 130.37 西日本選手権
5 松生理乃 129.32 全日本ジュニア
6 山下真瑚 121.16 西日本選手権
7 横井ゆは菜 116.43 西日本選手権
8 荒木菜那 98.93 西日本選手権
9 松千 98.09 西日本選手権
10 川畑和愛 97.62 東日本選手権
11 本田真凜 93.70 東日本選手権

フリーも坂本選手の143.47が抜けています。紀平選手がシニアに上がって以降、新旧エテリ組以外で唯一土を付けたことがあるのが坂本花織選手です。その2年前の全日本では152.36をフリーで出しました。直接何かが懸かっているわけではない今シーズンのNHK杯で、そこまで出しに行くこともないのでしょうけれど、紀平選手やロシア勢と戦うことを目指すなら、150点まで欲しい、というところを本人は見ていそうだなあ。

 

130点前後に4人います。これくらいいると確率論的には一人くらいは130点台後半から140点まで出してきそうなのですがどうなるでしょう

樋口選手の東日本はトリプルアクセル着氷もGOEはマイナス 他のジャンプは乱れてこのスコアでした。17年序盤の一番点が出ていたころと比べるとまだ足りないですが、トリプルアクセル決めて140点台出して、いつものシーズンとはちょっと違うけれどグランプリシリーズの表彰台に戻ってきました、という結果を出して全日本へ挑んでいきたいでしょうか

河辺選手はトリプルアクセルが回転不足のGOE大幅マイナス、という試合で130点まで出してきています。総合力で上位を脅かす力を備えてきているのが見えます

三原選手の130.37は技術点で70点をもらっていてのこのスコア。PCSが60.08しかもらえていないのですが、ここが伸びれば自然ともっと点数が出ます

松生選手は全日本ジュニアの出来でコレオがそのまま乗れば130点台半ばまで来ますがあの調子を維持しているかどうか。

 

上位で勝負するには130点は最低必要に見えます。やはり表彰台ラインは少なくとも200点には乗ってきそうに見えます

 

女子シングルショートプログラムは27日、フリーは28日です

今回は、メインのナイトセッションは男子で、女子は昼間なんですね。女子の方が外国籍選手がいて、国際試合、としてぎりぎり成り立っているのですが、そんなスケジュールになっています