22-23 吉田陽菜

2005年8月21日生まれ

ジュニア4シーズン目

シーズン獲得賞金:$5,000

世界ランキング:34位

シーズンランキング:17位

シーズンベストスコア 211.46 (9位) トリグラフトロフィー

ショートプログラムシーズンベスト 69.79 トリグラフトロフィー

フリーシーズンベスト 141.67 トリグラフトロフィー

ショートプログラム楽曲:Dog Days Are Over

フリープログラム楽曲:映画「スターウォーズ」より

スピンレベル4率 52/60 = 86.7%(国際大会:27/30 = 90.0%)

ステップレベル4率 7/15 = 46.7%(国際大会:3/7 = 42.9%)

スピンオールレベル4 6/10(国際大会:4/5)

スピンステップオールレベル4  2/10(国際大会:2/5)

ジャンプ要素回転不足率 9/100=9.00%(国際大会:5/50=10.0%)

ジャンプ回転不足なし 2/10(国際大会:1/5)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/10(国際大会1/5)

 

○22-23シーズンの戦績

J/S Grade Event Pl Total SP FS
S DL 木下トロフィー 1 194.44 62.33 132.11
J JGP JGP Courchevel 1 203.52 66.56 136.96
J JGP JGP Egna 1 208.31 66.89 141.42
S RT 西日本選手権 1 209.44 69.41 140.03
J JGPF JGP Final 6 158.30 55.51 102.79
S NC 全日本選手権 6 197.21 59.49 137.72
J IH 全国高等学校総合体育大会 4 173.87 65.67 108.20
J NG 国民体育大会 4 165.80 53.54 112.26
S 4CC Four Continents 8 189.60 59.82 129.78
S IC Triglav Trophy 1 211.46 69.79 141.67

今シーズンは国内ではシニアコースを取りましたがジュニアグランプリシリーズに派遣ということでジュニア4シーズン目とカウントしています。

初戦は8月の木下トロフィーから。ここでまずはシニア1勝目。昨季もこの試合のシニアカテゴリーで197.16を出しており相性のいい試合でした。

念願のジュニアグランプリは初戦のクールシュベルから。ショートは今シーズンずっと課題になるルッツからのコンビネーションでqがついた分スコアが伸びず66.56の2位スタート。フリーは基礎点差があるのでしっかり滑れば逆転できるだろう、という見込みの中でトリプルアクセルも軽いマイナスくらいで大きなミスなく滑り136.96 トータル203.52と200点に乗せ逆転優勝を果たします。

2戦目はアルメニア予定が紛争ぼっ発で最終戦のエーニャに回ります。エーニャは昨シーズン210点を出してシニアの国際大会初優勝をしたゲンのいい土地。3位以内でファイナルへ進めそうという中で滑って、ショートはルッツに!とqのダブルマークついて66.89 首位とは3.40差あるけど基礎点差で逆転は可能。ただし、3位には2.22差で千葉百音選手がいるわ、4位には3.85差でトリプルアクセル持ちのグルゲニゼ選手がいるわで、終わってみないとまだまだファイナル分からないという状況。残り1人で出てきたフリーはとりあえず123.64で首位には立てるので最低ここまで出したい、という場面で冒頭トリプルアクセル、平均GOE+3.333というすばらしいのをISU初公認で決め、以降もほぼミスなく滑り、フリー141.42 トータル208.31まで出して逆転優勝を果たしました。

 

国内に戻ってシニアカテゴリーで西日本選手権をこなします。ここではショートフリーとトリプルアクセルを決め209.44 三原舞依選手を破って優勝します。この10月までの流れは非常に素晴らしかった。ところが、これが1シーズン続くほど甘くはなかった…、という展開になっていきます。

 

国内はシニアのため全日本ジュニアはなく、次の試合は12月のジュニアグランプリファイナル。スコア的には島田麻央選手の対抗馬1番手、というところなのですが、ショートでルッツ転倒。ジュニアはコンビネーションのリカバリー不可のため、丸々10点くらい失ったような形で55.51 ちょっと蚊帳の外みたいなことになってしまいました。フリーもジャンプに苦しんで102.79では6人中6位で終わってしまいます。優勝スコアは205.54 表彰台ラインは190.36でしたから、何の問題もなく表彰台には乗れ、優勝も十分可能性のある地力があったのですが残念でした。

 

シーズン後半どこへ向かうかが決まる全日本。吉田陽菜選手の立ち位置はいろいろと微妙です。JGPファイナルでやらかしましたが、それでも表彰台に乗ってくれば世界選手権代表もあり得る、あるいは世界ジュニアコースもある、まわりとの兼ね合い次第でどうなるか決まる、という全日本。ここはシニアの試合なのでショートからトリプルアクセルで勝負を掛けますが、これはステップアウト。そこまではまだしも、次のルッツでまた転倒。シニアルールなのでコンビネーションのリカバリー可ですが、qと<でスコア稼げず59.49の14位スタート。3位とは11.57差開いてしまい、表彰台はかなり遠くなります。

逆襲のレイア姫。フリー冒頭トリプルアクセルは軽いステップアウト、そこは降りれば十分。コンビネーション入った、フリップもエッジ大丈夫、課題のルッツ2本しっかり降りて、ステップに3連続挟んでコレオ締め。フリー137.72でこの時点で断トツの首位。最終的には6位にまで上がりました。ただし、上には千葉百音選手が2.91差で5位、中井亜美選手が4.28差の4位、島田麻央選手が5.58差の3位。代表権を争う対象まではわずかに届きませんでした。結局、ショートのルッツが致命傷で取り返せなかったという形になりました。

シーズン後半は4大陸は2番目で代表入り、世界ジュニアは補欠の2、世界選手権は補欠の筆頭となりました。

 

年が明けて1月はインターハイと国体。ここはジュニアで戦います。どちらも4位。170点台に160点台とスコア伸びません。明らかに調子が落ちて戻ってこない。そんな状態で2月の4大陸選手権を迎えます。

米韓まさかの本気メンバーに飛車角抜きの日本勢がどう戦うか、という試合。ショートでトリプルアクセルをこらえて降りたものの、ルッツが2回転になってのコンビネーションに、最後のループは珍しくアンダーローテーション。これだと点が伸びず59.82の10位スタート。3位まで11.57差。全日本とまるっきり同じ点差です。レイア姫の逆襲は今シーズンのよくあるパターンなのですが、冒頭トリプルアクセルが転倒になると、このレベルだと少し苦しくなります。以降はミスなく滑ったように遠目には見えつつも、実際にはqが3つ付けられるとスコア的には伸びず129.78でトータル189.60は総合8位で終わる形になりました。

 

補欠の2試合回ってこないにしても、もう1試合くらいランク上げるために出ないかな、と思っていたら、4月のトリグラフトロフィーの派遣が決まります。ここでもルッツはショートでqに!のダブルマーク、フリーは転倒とqがついて苦しんでいましたが、トリプルアクセルはショートフリー共にクリーンに成功。トータル211.46とパーソナルベスト相当のスコアを出して、ランキングポイント250を得てシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
木下トロフィー 194.44 111.57 83.87 76.58 2.99 20.57 11.43
JGP Courchevel 203.52 109.10 94.42 71.88 3.96 23.04 10.22
JGP Egna 208.31 114.10 94.21 71.59 9.19 23.24 10.08
西日本選手権 209.44 122.44 87.00 75.40 11.28 22.60 13.16
JGP Final 158.30 77.34 82.96 52.95 -3.63 20.00 8.02
全日本選手権 197.21 107.14 91.07 76.08 -4.39 21.25 14.20
全国高等学校総合体育大会 173.87 88.54 86.33 60.13 -0.56 22.09 6.88
国民体育大会 165.80 87.49 81.31 66.70 -6.44 18.42 8.81
Four Continents 189.60 100.65 89.95 71.70 -6.72 22.24 13.43
Triglav Trophy 211.46 116.60 95.86 75.74 4.85 23.15 12.86

今シーズンはジュニアで5試合、シニアで5試合。スコアは最高で211.46まで出して200点超えが4試合ある一方、シーズンワーストは158.30で160点台、170点台もあるという不安定さでした。

技術点は77.34まで落ち込んだ試合がある一方、ISU公認で114.10まで、国際大会で116.60、国内参考で122.44まで出ています。122.44より上は国際大会では1人だけ、116.60でもシーズン5位、114.10だとシーズン6位相当になります。

PCSはジュニアグランプリ2試合で94点台、最後のトリグラフトロフィーでは95.86まで出ました。国内より国際大会の評価の方が明らかに高いです。95.86は1項目平均8点まで来ています。

ジャンプの基礎点は木下トロフィーで76.58まで出しています。主要大会では全日本の76.08があり、国際大会ではトリグラフトロフィーの75.74があります。75.74より上は1人だけ、76.58でも上に1人いる2番目相当です。

ジャンプの加点は西日本選手権で11.28まで出して三原選手に勝つ原動力となりました。国際大会では9.19があります。一方でマイナスの試合も結構ありました。9.19だと今シーズン11位相当、11.28は国内参考ですが3位相当の加点になります。

スピンは22点台から23点台。国際大会ではレベル4率90%あるのでレベルは割と取れているのですが、加点がまだ十分ではないようです。

ステップ系要素は全日本で14.20まで出しました。シニアの試合では今一つ伸びていませんが、ジュニアの試合で10点台が2つあるのはかなり高い評価です。10.22に10.08でも今シーズンのジュニアでは最高評価となります。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
木下トロフィー 63.01 75.76 62.31 51.80 53.13 53.98
JGP Courchevel 66.01 71.18 64.30 60.05 71.50 61.65
JGP Egna 67.59 70.90 75.00 60.72 70.87 61.50
西日本選手権 67.96 74.61 79.28 58.58 60.92 56.26
JGP Final 51.06 52.71 48.76 49.90 57.50 53.32
全日本選手権 63.92 75.28 47.20 54.07 65.60 59.21
全国高等学校総合体育大会 56.21 59.72 55.04 56.88 47.10 55.77
国民体育大会 53.54 66.13 43.00 44.63 62.99 52.12
Four Continents 61.41 71.00 42.43 57.38 62.13 58.40
Triglav Trophy 68.63 74.94 66.12 60.42 59.57 62.70

偏差値で見るとトータルスコアは落ち込んだ試合では50の平均近くなってしまっている一方で、60台後半の試合も多数あります。

ジャンプの基礎点は70台半ばまで普通に出ます。ここは強い。

ジャンプの加点は40台前半に落ち込むこともあれば、西日本では79.28という異常値水準に近いところまで出しました。

スピンは60前後まで。ステップ系要素はジュニアの2試合でジュニア補正付けると70超えてしまっていますが、シニアの試合では60台前半から半ばくらいまでです。

PCSはまだ50台が多いですが、国際大会でしっかり滑った試合は60台に乗せています。

 

22-23シーズン 吉田陽菜選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートはばらつきがやたら大きいです。ジャンプだけでなくスピンステップPCSもばらつきが大きい。いい時と悪い時の差が激しい選手です。いい時は右側にやや偏った形になってきます。

 

・シーズン最高の基礎点構成

全日本選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Aq q 8.00   -2.86 5.14 -3.667
2 3Lz!q ! F 5.90   -2.95 2.95 -5.000
3 FCSp4   3.20   0.59 3.79 1.889
4 3Loq+3T< 9.09 X -1.89 7.20 -3.778
5 StSq4   3.90   1.00 4.90 2.556
6 SSp4   2.50   0.43 2.93 1.778
7 CCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.444
  TES   36.09   -5.18 30.91  

最高基礎点は全日本の36.09でした。国際大会ではトリグラフトロフィーの35.15が最高です。35.15が今シーズン全体で2位。36.09は国内参考ですが、これでも2位相当です。

本来はルッツからコンビネーションで3Tを付けて、1.1倍は単独ループのはずです。その構成だと36.59の構成で今シーズンの全体最高を上回ります。その理想構成だと技術点52.54満点でPCS加味すると92.54満点になります。その構成は平均GOE+3.000で技術点46.16まで出ますので、これくらいで80点が見えます。また、46.16という技術点は、ダブルアクセル組の満点技術点に近い領域ですので、満点取られても負けませんよー、というスコアが現実的に出しえる構成になります。

 

○4大陸選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -4.889
2 2A+3T   7.50   0.96 8.46 2.222
3 3Lo   4.90   0.84 5.74 1.667
4 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.111
5 SSp4   2.50   0.68 3.18 2.667
6 3F! ! 5.30   0.30 5.60 0.667
7 3Lzq+3T q 11.11 x -0.17 10.94 -0.444
8 FCCoSp4   3.50   0.50 4.00 1.333
9 3Lzq q 6.49 x -0.25 6.24 -0.444
10 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.444
11 3Sq+2Aq+2T+SEQ q 9.79 x -1.23 8.56 -2.778
12 ChSq1   3.00   1.43 4.43 2.778
  TES   69.49   0.71 70.20  

フリーは4大陸選手権で69.49まで基礎点がありました。今シーズン2位の高い基礎点です。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループトリプルアクセル入りでシークエンスアクセル付きとなっています。

スピンが実は弱いのが吉田選手。レベル4で基礎点2.50のシットスピンが入るのでどうしても弱いです。スピンのフリーの最高基礎点は10.20まであるのですが、吉田選手はすべてレベル4で9.50の構成になります。スピンを最大入れられれば基礎点が0.70上げられるわけで、それはつまり、トリプルアクセル1本で基礎点を70点に乗せられるということでもあります。

この構成では技術点は97.94満点となってPCS加味して177.94満点です。平均GOE+4.000で92.25 平均GOE+3.000で86.56なので、160点くらいまでは狙える領域かと思います。

なお、トリプルアクセル2本目を入れることを考える場合、この構成ベースでいくと2本目のダブルアクセルをトリプルにすることになりますが、その場合セカンドのトーループは2回転にして、余ったダブルアクセルを最後のシークエンスにつぎ込む、という形になって、見た目は3Tの代替に3Aが入るというようなことになります。そこまですると基礎点は73.49になり、技術点103.84満点になります。

 

○平均GOE3.000以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Courchevel FS 10 ChSq1   3.00   1.93 4.93 3.778
Triglav Trophy FS 1 3A   8.00   2.67 10.67 3.600
JGP Courchevel SP 5 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
JGP Egna SP 5 StSq4   3.90   1.39 5.29 3.556
JGP Egna FS 10 ChSq1   3.00   1.79 4.79 3.444
JGP Egna FS 1 3A   8.00   2.63 10.63 3.333
JGP Egna SP 1 2A   3.30   1.08 4.38 3.333
JGP Egna FS 5 SSp4   2.50   0.86 3.36 3.333
JGP Egna FS 2 2A+3T   7.50   1.32 8.82 3.222
JGP Final SP 5 StSq3   3.30   1.08 4.38 3.222
JGP Egna SP 4 3Lo   5.39 x 1.47 6.86 3.111
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Triglav Trophy SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Triglav Trophy FS 2 2A+3T   7.50   1.26 8.76 3.000
JGP Egna FS 3 3Lo   4.90   1.47 6.37 3.000
Triglav Trophy FS 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
JGP Courchevel SP 1 2A   3.30   0.94 4.24 3.000
Triglav Trophy FS 5 SSp4   2.50   0.75 3.25 3.000

平均GOE+3.000以上の要素を並べました。これ、別に、国際大会に限ったわけでもないのですが、ほとんどが国際大会になりました。

最高評価はJGPクールシュベルのコレオで+3.778 今シーズン5位のコレオです。

そして2番目にいるのが何とトリプルアクセル。これを含めトリプルアクセルが4つも平均GOE+3.000以上にいます。そのうち3つは国際大会です。この+3.600は今シーズンのトリプルアクセルの最高評価。+3.333のISU公認の方でもこれを他の選手で超えたものはありません。

スピンで高いGOEを取る選手というのは多いのですが、吉田選手はこうやって並べるとシットスピンが2つあるくらいです。スピンはあまり得意ではない模様。

コレオにステップにトリプルアクセル、というのが吉田陽菜選手の中心にあるようです。見栄えが良くてファンが多くつきそうな得意要素です。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー SP 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
木下トロフィー FS 1 3A   8.00   2.08 10.08 2.571
JGP Courchevel FS 1 3A   8.00   -1.37 6.63 -1.556
JGP Egna FS 1 3A   8.00   2.63 10.63 3.333
西日本選手権 SP 1 3A   8.00   2.08 10.08 2.571
西日本選手権 FS 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
JGP Final FS 1 3A< F 6.40   -3.20 3.20 -5.000
全日本選手権 SP 1 3Aq q 8.00   -2.86 5.14 -3.667
全日本選手権 FS 1 3A   8.00   -1.83 6.17 -2.111
全国高等学校総合体育大会 FS 1 3A   8.00   -2.40 5.60 -3.000
国民体育大会 FS 1 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Four Continents SP 1 3A   8.00   -2.40 5.60 -3.000
Four Continents FS 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -4.889
Triglav Trophy SP 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
Triglav Trophy FS 1 3A   8.00   2.67 10.67 3.600

今期はルール上飛べないジュニアのショート以外はすべての試合でショートフリーの冒頭にトリプルアクセルを入れました。フリーで2本入れた試合は今シーズンはありません。

15回飛んで転倒4、qは2つ、それ以外のGOEマイナスが4つでGOEプラスの成功ジャンプが6回。成功率は4割でした。国際大会では6分の3で5割です。

吉田選手のトリプルアクセルは昨シーズンは転倒無しだったのが特徴だったのですが、今期は残念ながら転倒を頻発しました。ただし、ダウングレードはなく、アンダーローテーションは1度だけ。基礎点満額取れるのが強みです。クリーンに決まるのがベストですが、そうではなくても転倒せずに基礎点満額入れば十分ですし、なんなら転倒しても基礎点満額入っていれば特にフリーなら計算上それほど痛手にはなりません。いつでも回転は十分できる、というのは大きな強みです。

 

○3回転-3回転を含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー SP 2 3Lz+3T   10.10   0.94 11.04 1.571
木下トロフィー FS 2 2A+3T   7.50   -0.08 7.42 -0.143
木下トロフィー FS 7 3Lz+3T   11.11 X 1.06 12.17 1.857
JGP Courchevel SP 2 3Lzq+3Tq q 10.10   -1.26 8.84 -1.889
JGP Courchevel FS 2 2A+3T   7.50   1.14 8.64 2.778
JGP Courchevel FS 7 3Lzq+3T q 11.11 x -0.34 10.77 -0.444
JGP Egna SP 2 3Lz!q+3T ! 10.10   -1.01 9.09 -1.778
JGP Egna FS 2 2A+3T   7.50   1.32 8.82 3.222
JGP Egna FS 7 3Lz+3T   11.11 x 0.93 12.04 1.556
西日本選手権 SP 2 3Lz<+3T 8.92   -0.38 8.54 -0.714
西日本選手権 FS 2 2A+3T   7.50   0.92 8.42 2.286
西日本選手権 FS 7 3Lz+3T   11.11 X 1.18 12.29 1.857
JGP Final FS 2 2A+3T   7.50   0.78 8.28 1.889
JGP Final FS 11 3Sq+3Tq q 9.35 x -1.41 7.94 -3.222
全日本選手権 SP 4 3Loq+3T< 9.09 X -1.89 7.20 -3.778
全日本選手権 FS 2 2A+3T   7.50   0.90 8.40 2.222
全日本選手権 FS 7 3Lz+3T   11.11 X 0.76 11.87 1.111
全国高等学校総合体育大会 SP 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.800
全国高等学校総合体育大会 FS 2 2A+3T   7.50   0.70 8.20 1.600
国民体育大会 FS 2 2A+3Tq q 7.50   -0.42 7.08 -0.800
国民体育大会 FS 7 3Lz+3Tq q 11.11 X -1.18 9.93 -2.000
Four Continents SP 2 2Lz+3T   6.30   0.18 6.48 0.444
Four Continents FS 2 2A+3T   7.50   0.96 8.46 2.222
Four Continents FS 7 3Lzq+3T q 11.11 x -0.17 10.94 -0.444
Triglav Trophy SP 2 3Lz!q+3T< 9.26   -2.16 7.10 -3.600
Triglav Trophy FS 2 2A+3T   7.50   1.26 8.76 3.000
Triglav Trophy FS 9 3Lzq+3T q 11.11 x -0.39 10.72 -0.800

吉田選手はショートはルッツから、フリーは2つ目にダブルアクセルから、1.1倍でルッツからのセカンド3回転構成です。

まず、ダブルアクセルの方は10回飛んで9回GOEプラス。1つだけqついてGOEマイナスなものもありますが、転倒もアンダーローテーションもなく、完全に計算できる問題ないジャンプです。

問題はルッツ。本来は表にないものも含めて20回飛ぶはずでした。それが、転倒してコンビネーション付けられなかったものが3つ、1回転になったものが1つ、2回転-3回転が1つ、アンダーローテーション2つ、qは多数ついていて、結局GOEプラスの成功は6つで成功率3割です。特にショートは10試合中2試合しかしっかり決まっていません。

トリプルアクセルより成功率の低いルッツ。これが今シーズンの課題でした。ショートでコンビネーションが決まらないので、フリーでレイア姫の逆襲構図になるわけで、ショートのルッツからのコンビネーションがしっかり決まってくれば、70点台スタートで、レイア姫はもっと優雅に滑ることができる可能性がありました。

だったらフリップからにすればいいのでは、とも思うのですが、フリップは10回飛んで!e率7割という、エッジはっきりさせられません問題があって、これをコンビネーションにしづらいしフリーで2回入れるのも難しい。というわけで、ルッツ何とかするのが最大の課題になっています。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー FS 11 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.86 10.65 2.000
JGP Courchevel FS 11 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 0.92 10.71 2.111
JGP Egna FS 11 3S+2A+2T<+SEQ 9.50 x -0.18 9.32 -0.444
西日本選手権 FS 11 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.86 10.65 2.143
全日本選手権 FS 11 3Sq+2A+2T+SEQ q 9.79 X -0.18 9.61 -0.333
全国高等学校総合体育大会 FS 11 3S+2A+2Tq+SEQ q 9.79 X -0.57 9.22 -1.600
国民体育大会 FS 11 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.72 10.51 1.400
Four Continents FS 11 3Sq+2Aq+2T+SEQ q 9.79 x -1.23 8.56 -2.778
Triglav Trophy FS 12 3S+2A+2T+SEQ   9.79 x 1.00 10.79 2.400

3連続ジャンプは最後のジャンプとしてサルコウから入れています。トリグラフトロフィーだけ12番目の要素になっていますが、これはリカバリーではなく、最終戦はコレオ、ステップ、3連続の順番をこれまでの試合と変えていました。

3連続は9回飛んでアンダーローテーション1つとqが3つあってGOEプラスは6回。成功率3分の2です。ジュニアグランプリファイナルだけ3連続がないのは、最後にリカバリーで3S+3Tにいって、おそらくその後ろに2Aまでつけようとしていたのではないかというところでステップアウトですので、3連続のミスではなくて3-3の方の問題です。

最後のジャンプに3連続を持ってくるのは少数派で、多くの場合は最後から2つ目以前に入れて、最後はリカバリー用に単独を入れておくのですが、吉田選手は最後のジャンプどころか最後の要素に3連続がいます。よほど自信があるのか、あるいはコーチ振付師から与えられたスパルタ構成なのか、演出上の効果を狙ったものなのか。

また、トリプルアクセル持ちの吉田選手は3連続は3つ目サルコウ型にする手もあるのですがそうはなっていません。他のジャンプの種類との兼ね合いになるのですが、今後1つの選択肢になって来るかと思います。3つ目サルコウ型採用すると、トリプルアクセル2本入れるとき、セカンドが2Aか3Tになってハードル上がるので、やりにくい部分はあるかもしれません。

 

序盤素晴らしくよかったのに中盤に失速して大きな大会では結果が出しきれなかった今シーズン。最後4月にはもう一度210点台まで出してきました。大事な試合にピークがあっていれば、ワールド表彰台まであり得たのですが、世の中そんなに甘くないという結果に終わっています。

来期は、4大陸8位ジュニアグランプリファイナル出場、ISU公認シーズンベスト9位をもってシニアに上がります。普通なら問題なくグランプリ2枠もらえるのですが、日本勢のレベルが高すぎて、1国枠の最大18からだと2つ回ってこない可能性もいくらかあります。

ただ、いずれにしても8月9月にピークを持っていく必要は全くないので、シーズン中盤から後半に結果を出せるように調整していただけたら、というのと、トリプルアクセルも魅力ですが、課題はルッツだと思うので、ルッツなんとかして安定した好成績を出していただけることを期待したいと思います。