22-23 中井亜美

2008年4月27日生まれ

ジュニア2シーズン目

シーズン獲得賞金:$11,000

世界ランキング:61位

シーズンランキング:26位

シーズンベストスコア 205.90(10位) JGP グダンスク2

ショートプログラムシーズンベスト 69.00 JGPグダンスク2

フリーシーズンベスト 136.90 JGP グダンスク2

ショートプログラム楽曲:I Got Rhythm

フリープログラム楽曲:映画:Miss Saigon

スピンレベル4率 60/69 = 87.0%(国際大会:29/30 = 96.7%)

ステップレベル4率 6/13 = 46.2%(国際大会:3/5 = 60.0%)

スピンオールレベル4 7/11(国際大会:4/5)

スピンステップオールレベル4  4/11(国際大会:2/5)

ジャンプ要素回転不足率 5/113=4.42%(国際大会:1/30=3.33%)

ジャンプ回転不足なし 7/11(国際大会:4/5)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 4/11(国際大会3/5)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
DL アクアカップ SP 1 61.74 61.74  
DL 木下トロフィー 3 175.37 60.74 114.63
DL MGCアイスアリーナトロフィー 1 153.27 53.38 99.89
JGP JGP Riga 3 185.62 63.87 121.75
JGP JGP Gdansk2 1 205.90 69.00 136.90
RT 東日本選手権 1 185.86 63.59 122.27
NJ 全日本ジュニア 3 190.70 65.12 125.58
JGPF JGP Final 4 189.23 65.97 123.26
NC 全日本選手権 4 201.49 64.07 137.42
IJ 全国中学スケート大会 3 184.31 66.40 117.91
WJ World Junior 3 197.40 67.28 130.12
IC Coupe de Printemps 1 198.23 64.42 133.81

中井亜美選手は昨シーズン全日本ジュニア7位、ギリギリで出場した全日本は27位のショート落ち。有力ジュニアはほとんど木下アカデミーだけど、そういえばMFアカデミーにももう1人いたね、新潟から来た子だっけ、くらいの位置づけで今シーズンに入ってきました。

シーズン初戦なのか昨シーズンの終わりなのか、よくわからない6月末から7月頭の千葉で行われる試合に出て61.74というのが記録上の今シーズン初戦でした。ショートだけなのでトリプルアクセルも無し。一応PCSは3項目でついていたので新ルールは反映されています。

8月は木下トロフィーに参戦。木下アカデミー勢に混ざって3位表彰台に乗ります。8月はもう一試合、地元新潟に帰ってMGCアイスアリーナ杯ですがここはスコア伸びずに150点台で終わりました。試合内容よりも、地元パワー注入の方が中学2年生にとっては意味が大きかったかもしれません。この辺まではまだ、トリプルアクセル挑戦中の、今期も全日本まで行けたらいいね、くらいの立場でした。

9月に入ってジュニアグランプリシリーズ参戦。初戦はリガ。シンジア選手、ソーホーリー選手、韓米の超強力ジュニアにトリプルアクセル持ちのグルゲニゼ選手もいるという、それ引いちゃいましたか、みたいな試合。これをショートフリー共に3位で乗り切って表彰台に乗り2戦目を手に入れます。

2戦目はアルメニア紛争で再割り当てなどの混乱もありつつ結局10月のグダンスク2に入りました。ファイナル進出には優勝が欲しい。でもここにはまた昨季世界ジュニア2位のシンジア選手がいるわ、4回転持ちのミアカリン選手もいるわ、日本から柴山選手もファイナル目指すしという難関コース。この難しい試合でショートは全要素全ジャッジプラス評価の69.00で首位スタート。フリーは最終滑走、125.70で優勝、ファイナル確定となる場面。リガでの結果からすると、ダブルアクセルにしてノーミスというのが一番優勝確率高くなると思われたのですが、当たり前のようにトリプルアクセルを飛んでいき、ここで平均GOE+2.556のISU公認の初成功を決めると、3-3、3-2Aシークエンスと次々に決めていき、フリップの!1つあるくらいのほぼノーミスで136.90 トータル205.90と200点ランカー入りでジュニアグランプリ初優勝。ファイナル進出を決めました。

 

ジュニアはここでいったん国内戦に戻ります。東日本選手権をこなして全日本ジュニアへ。優勝すれば世界ジュニアの切符がこの時点で確定します。ショートは全要素全ジャッジプラス評価の65.12ですがこれでも4位。全日本進出は8位以内ですので問題なさそうですが、表彰台は0.27差という僅差ですが上にいるので逆転が必要です。フリーノーミスなら基礎点力で逆転は固いという中でトリプルアクセルを着氷。中盤までよかったのですが後半のループで転倒。190.70の首位に立ち残りの3人を待つ形に。ノーミス出されたら危ないところでしたが何とか最終的に3位表彰台をキープしました。

 

次は再び海外遠征でジュニアグランプリファイナルへ。ショートミスなくいい滑りだと思ったのですが65.97は4位。さすがのファイナルレベルが高い。3位とは0.74差、逆転可能、1位とは2.95差。こちらは基礎点が向こうが上という状態なので相手次第です。

フリーは3人目に出てきてトリプルアクセルは着氷、ただしqついて加点は得られず。珍しくダブルアクセルでふらつくなど軽いミスがはいって加点が伸び切らずの123.26 トータル189.23は最終的に3位と1.13差の4位。ミスサイゴンはジュニアグランプリ2戦でアメリカには負けなかったけれど、韓国には勝ち切れなかったのでした。技術点は3位なのですがPCS差で及びませんでした。

 

現在出場できる唯一のシニアカテゴリーの試合全日本選手権。ここで世界ジュニアの残りの1枚の切符を事実上千葉百音選手と吉田陽菜選手と3人で争う形になります。

ショートから入れたトリプルアクセルは転倒。コンビネーションもルッツの!ついて加点稼げず。それでも64.07出すのですから強いは強いのですが8位スタート。吉田陽菜選手は14位スタートなので下にいますが、千葉百音選手が3位スタートで6.99差付いたのは大きいです。さらには柴山歩選手もショートでは上へ行きました。

フリーは第3グループ。まず吉田陽菜選手の上へ行くには133.14が必要でこれだけでも難関。さらにはPCS差もある千葉百音選手を逆転するにはもう一声欲しい、という局面。これを冒頭に3A+3Tという超難度コンビネーションを決め、会場を引き込むと単独ルッツを挟んでトリプルアクセル2本目も成功。今シーズンただ一人の1プログラムトリプルアクセル2本成功をさせます。以降も見た目ノーミス、全要素プラス評価。とてつもない演技なのですが、最後のルッツ、なぜかコンビネーション付けずにリピートに。そのままダブルアクセルを行ける振りだったのですが、なし。忘れたとのこと・・・。この辺が本来はジュニア、アクセル2本立てなどこの試合用に組み替えた構成に慣れて無かった影響が出たでしょうか。いつもの構成だと序盤のルッツにコンビネーション付いていたので最後のルッツは単独でした。

フリーは137.42でトータル201.49 この時点で首位に出ますが、ルッツリピートが致命傷にならなければいいが・・・、という状況です。結局、千葉百音選手にミスが出て僅差で逆転、世界ジュニアの代表には入ることは出来たのですが、表彰台までは1.30差。ルッツリピートの勉強代はしっかり払わされる形になりました。

 

2月の全中は3位。トリプルアクセルは抜けてダブルアクセルのダウングレードになり、その後あまり考えずに飛んだ単発ダブルアクセルが飛びすぎノーカウントになったりしていましたが、もう、全中が目標の選手ではありません。

3月に入って世界ジュニアがやってきます。今度こそ表彰台へというこの試合、ショートは全要素プラス評価で67.28 4位とは3.31差の3位。ちゃんと滑れば表彰台が見える位置に立ちます。フリーは126.35以上で表彰台確定というシチュエーション。今シーズン、攻める立場のフリーが多かったのですが、守る立場でどうか? というところで守らずトリプルアクセルに行って転倒。以下ノーミスが求められるというような流れからちゃんとノーミスして130.12 世界ジュニア3位表彰台を確定、中庭先生に初のチャンピオンシップメダルをプレゼントする形になりました。

 

2週間後、なぜそこでクープドプランタン? という不思議な遠征入れて、ここでもトリプルアクセルを成功させてシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
アクアカップ SP 61.74 35.59 26.15 18.79 3.04 10.55 3.21
木下トロフィー 175.37 101.49 73.88 71.71 0.68 21.27 7.83
MGCアイスアリーナトロフィー 153.27 82.85 73.42 66.13 -9.22 18.65 7.29
JGP Riga 185.62 99.16 86.46 62.80 6.72 22.20 7.44
JGP Gdansk2 205.90 116.11 89.79 71.38 11.09 23.93 9.71
東日本選手権 185.86 107.40 79.46 70.43 6.03 21.75 9.19
全日本ジュニア 190.70 108.11 83.59 71.38 6.12 22.32 8.29
JGP Final 189.23 105.98 83.25 71.38 3.58 22.24 8.78
全日本選手権 201.49 114.77 87.72 73.93 4.96 22.56 13.32
全国中学スケート大会 184.31 100.73 83.58 61.18 8.36 22.73 8.46
World Junior 197.40 107.45 90.95 71.38 4.47 22.81 8.79
Coupe de Printemps 198.23 112.45 85.78 71.38 9.11 22.52 9.44

トータルスコア200点超えが全日本含め2回。190点台が3回。まだ安定して200点を出すには至っていませんが190点台は普通に出してきます。

技術点は100点台は普通に出して、110点前後が標準、最高で116.11まで出しました。今シーズン6位の高評価です。全日本でダブルアクセルちゃんと付けていれば120点超えるところまで出せていて実質2位相当までありました。

PCSはまだ80点台。世界ジュニアで90点に乗せますがこれでも7.5平均程度です。世界ジュニアでは島田選手とのPCS差が9点ありましたので、今後それを埋めていくことが世界ジュニアのタイトルを獲るためには必要になってきます。14歳なのでこの先自然と上がる要素ではありますが、島田選手も14歳なので、そちらも上がっていく・・・。

ジャンプの基礎点は全日本で73.93 ジュニアルールの試合では71.38が5試合あります。これは基礎点削られるミスなし5試合と同義です。木下トロフィーでは71.71でもう1段上ですが、1.1倍のコンビネーションの数が多い分です。負荷高すぎということで以降は構成を少し下げたのでしょう。71.38で今シーズン全体で4位の構成になります。全日本でダブルアクセルちゃんと付けていれば79.51にまでなっていたので国際大会の今シーズン最高ジャンプ基礎点を超えます。つまり、島田選手がショートでトリプルアクセル回避するのならば、基礎点で中井選手が上回れるという計算になります。

ジャンプの加点はJGPグダンスク2で11.09まで出ました。他の試合もトリプルアクセル転倒-4.00が付くような試合でも、序盤の国内戦以外ではプラス側になっています。11.09は今シーズン3位の加点です。

スピンは22点台が標準です。JGPグダンスクでは23.93まで出しました。上位は24点台は普通に出してきますのでここはまだ見劣りします。

ステップ系要素はジュニアでは1つ少ないですが9点台までは出るようです。シニアルールの全日本は13点台でした。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
木下トロフィー 56.70 71.01 57.58 54.14 55.07 46.72
MGCアイスアリーナトロフィー 49.40 65.57 37.31 45.40 48.54 46.38
JGP Riga 60.09 62.32 69.95 57.25 49.04 55.86
JGP Gdansk2 66.79 70.69 78.90 63.02 68.21 58.28
東日本選手権 60.17 69.76 68.53 55.74 65.51 50.77
全日本ジュニア 61.77 70.69 68.72 57.65 58.31 53.78
JGP Final 61.28 70.69 63.52 57.38 63.03 53.53
全日本選手権 65.33 73.18 66.34 58.45 61.64 56.78
全国中学スケート大会 59.66 60.74 73.31 59.01 59.07 53.77
World Junior 63.98 70.69 65.34 59.28 60.56 59.13
Coupe de Printemps 64.26 70.69 74.84 58.31 66.41 55.37

トータルスコアは60台前半が標準です。ジャンプの基礎点は偏差値70に乗ります。これが持ち味。ジャンプの加点もトリプルアクセル持ちながら国際大会では60を常に超えていて偏差値70台も多いです。

スピンは50台でそれほど高くありません。

ステップ系要素はジュニア補正があるのであまり参考になりませんが、全日本で61.64ありますので60前後の力はありスピンより少し得意な側かなと思われます。

PCSはジュニアですね、という評価にとどまっています。

今はジャンプで点を取るとき。ここから3シーズンでどう他が伸びていくか、ジャンプの高スコアを維持できるか、というところかと思われます。

 

22-23シーズン 中井亜美選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは明らかな右寄り型。左上のへこみがつらいです。

右側を維持したまま左側が伸びていくと手の付けられないことになりますが、さてどうなるか。

 

・シーズン最高の基礎点構成

全日本選手権 ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
2 3Lz!+3T ! 10.10   0.17 10.27 0.333
3 FSSp4   3.00   0.73 3.73 2.556
4 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
5 3Lo   5.39 X 1.26 6.65 2.556
6 StSq4   3.90   0.95 4.85 2.333
7 LSp4   2.70   0.54 3.24 2.000
  TES   36.59   0.35 36.94  

たった1試合のシニアの試合持ってくるのもどうかと思ったのですが、これを持ってきてしまいました。トリプルアクセル入りで基礎点36.59の構成。今シーズンの国際大会のショート最高基礎点は36.49でしたので、それを上回る構成でした。ループをフリップに変えたり、1.1倍にコンビネーション入れたりとか基礎点を上げる手段はまだありますが、トリプルアクセルを決めておけばその辺は誤差です。

この構成は技術点は52.54満点でPCS加味して92.54満点になります。ダブルアクセル組の今シーズン最高基礎点は33.01でその時技術点は46.91になるのですが、中井選手のこの構成だと平均GOEが+3.333で47.12までなるので、ダブルアクセル組が満点出しても届きませんよ、というスコアを現実的に出せる領域だったりします。

 

全日本選手権 フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+3T   12.20   1.94 14.14 2.444
2 3Lz   5.90   1.35 7.25 2.111
3 3A   8.00   0.11 8.11 0.222
4 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
5 2A   3.30   0.38 3.68 1.111
6 ChSq1   3.00   0.79 3.79 1.667
7 3F+1Eu+3S   11.11 X 1.14 12.25 2.111
8 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
9 3Lo   5.39 X 1.26 6.65 2.444
10 3Lz+REP   4.54 X 1.35 5.89 2.333
11 LSp4   2.70   0.62 3.32 2.222
12 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.222
  TES   66.54   11.29 77.83  

フリーの最高基礎点も全日本から持ってきてしまいました。ジュニアの試合では国際大会4試合を含め5試合で64.79を出しています。64.79で今シーズン7位にあたる基礎点です。

全日本ではトリプルアクセル2本にトリプルルッツを2本という高難度構成でした。これ、シークエンス入れ忘れこみでこの基礎点です。ダブルアクセルをちゃんとつけていれば5.58基礎点が上がるので72.12に達し今シーズン最高基礎点に相当します(島田選手はジュニア構成で71.06があるので、実際にはステップ入れると上へ行きますが)。

この構成のポイントは3Aのセカンドに3Tがしっかり入っていることです。これが2Tだと、現行ルールでは3Tを入れるところがありません。シークエンス1.0倍ルールになったことで、トリプルアクセル2本入れる場合は、セカンドが2Tと3Tで全く意味が変わって来ることになりました。

この構成だと技術点101.82満点になります。平均GOE+2.000で84.00まで技術点出ますので、80点台半ばは普通に出せる計算ですし、平均GOE+3.000で89.94なので技術点90点くらいまであります。PCSも育てば160点が現実的に見える構成です。

 

○平均GOE2.600以上(国際大会+全日本+全日本ジュニアより)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk2 SP 7 LSp4   2.70   0.93 3.63 3.444
JGP Gdansk2 FS 7 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.333
JGP Gdansk2 FS 11 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.222
全日本ジュニア SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.143
JGP Gdansk2 SP 6 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.111
JGP Gdansk2 FS 10 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.111
World Junior FS 11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
Coupe de Printemps FS 11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
World Junior SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
JGP Gdansk2 FS 4 FSSp4   3.00   0.81 3.81 2.889
World Junior FS 2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.778
JGP Gdansk2 SP 5 3Lo   5.39 x 1.40 6.79 2.778
JGP Riga FS 7 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
JGP Riga FS 11 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
JGP Gdansk2 FS 2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
JGP Riga FS 9 3Lz   6.49 x 1.52 8.01 2.667
全日本選手権 FS 4 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
World Junior FS 4 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
JGP Riga FS 10 LSp4   2.70   0.73 3.43 2.667
World Junior FS 10 LSp4   2.70   0.73 3.43 2.667
Coupe de Printemps FS 8 3Lo   5.39 x 1.31 6.70 2.600

評価が高い要素はスピン、コレオ、ステップと入っています。平均GOE+3に達したのはそのあたりの要素です。ジャンプでは3Lz+3Tを世界ジュニアで+2.778まで出しました。

スピンステップは前掲の偏差値ではジャンプと比べて劣っていましたが、こうやって+3前後のGOEを都度都度取れていますので、もう少し成熟度があがると、全体的に上がっていくと思われます。スピンに関しては国際大会のレベル4率が29/30で96.7%という驚異的なものでもありました。

 

トリプルアクセルを含む要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー FS 1 3Aq q 8.00   -3.36 4.64 -4.143
MGCアイスアリーナトロフィー FS 1 3A   8.00   -2.13 5.87 -2.600
JGP Riga FS 1 3A< 6.40   -1.10 5.30 -1.667
JGP Gdansk2 FS 1 3A   8.00   2.06 10.06 2.556
東日本選手権 FS 1 3A   8.00   1.60 9.60 2.143
全日本ジュニア FS 1 3A   8.00   1.76 9.76 2.143
JGP Final FS 1 3Aq q 8.00   -1.03 6.97 -1.222
全日本選手権 SP 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
全日本選手権 FS 1 3A+3T   12.20   1.94 14.14 2.444
全日本選手権 FS 3 3A   8.00   0.11 8.11 0.222
World Junior FS 1 3A F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
Coupe de Printemps FS 1 3A   8.00   1.07 9.07 1.600

今期トリプルアクセルを飛び続けた中井選手。基本的にはフリー冒頭はすべてトリプルアクセルでした。全中だけ載っていませんが、抜けてダウングレードダブルアクセルになっていました。

その分含め13回トリプルアクセルを飛び、1度は抜け、アンダーローテーションは1つ、転倒2つ、それ以外のGOEマイナスが3つで、成功ジャンプは6回です。5割に少し欠ける成功率でした。ただし、フリーのトリプルアクセルは基礎点満額取れていれば、構成上ダブルトーループの代替のようなものなので、十分おつりが来ます。そういう意味で、基礎点削られるミスは抜け1回とアンダーローテーション1回だけで、あとの11回は基礎点満額入っていますので、守りに入る必要がそもそもない、という強みがあったようにも見えます。

なお、1プログラムでのトリプルアクセル2本成功(=GOEプラス)は国際大会では浅田真央紀平梨花エリザベータトゥクタミシェワ、アリョーナコストルナヤ、4人しかこれまでいません。全日本ではこれに細田采花さん、国内他大会まで含めれば吉田陽菜選手まででやはりこれまで4人しかいませんでした。国際大会でこれが出来た選手は、最低でもグランプリファイナルは勝っています。

 

○3回転-3回転を含む要素(国際大会+全日本+全日本ジュニア)

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Riga SP 2 3Lz+3T   10.10   1.35 11.45 2.222
JGP Riga FS 2 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.556
JGP Gdansk2 SP 2 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.556
JGP Gdansk2 FS 2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.667
全日本ジュニア SP 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
全日本ジュニア FS 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.714
JGP Final SP 2 3Lz+3T   10.10   0.93 11.03 1.556
JGP Final FS 2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 2.000
全日本選手権 SP 2 3Lz!+3T ! 10.10   0.17 10.27 0.333
全日本選手権 FS 1 3A+3T   12.20   1.94 14.14 2.444
World Junior SP 2 3Lz+3T   10.10   1.01 11.11 1.667
World Junior FS 2 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.778
Coupe de Printemps SP 2 3Lz+3T   10.10   1.38 11.48 2.400
Coupe de Printemps FS 2 3Lz+3T   10.10   1.38 11.48 2.400

トリプルアクセルが目立つ中井選手ですが、真の強さはここで見えます。3回転-3回転が主要大会では成功率100% ここに載せていないMGCアイスアリーナ杯のショートだけ転倒があったのですが、それ以外はすべて基礎点満額入ってGOEもプラスの成功ジャンプです。コンビネーションジャンプの驚異的な成功率が中井選手の今季の躍進を支えました。

この欄にトリプルアクセル起点のジャンプが紛れ込んでいるのもすごいです。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
木下トロフィー FS 6 3F!+1Eu+3S ! 11.11 X -0.53 10.58 -1.143
MGCアイスアリーナトロフィー FS 6 3F!+1Eu+3S< ! F 10.16 X -2.65 7.51 -5.000
JGP Riga FS 6 3F+1Eu+3S   11.11 x 1.21 12.32 2.222
JGP Gdansk2 FS 6 3F!+1Eu+3S ! 11.11 x -0.15 10.96 -0.444
東日本選手権 FS 6 3F+1Eu+3S< < F 10.16 X -2.65 7.51 -5.000
全日本ジュニア FS 6 3F+1Eu+3S   11.11 X 0.32 11.43 0.571
JGP Final FS 6 3F!+1Eu+3Sq ! 11.11 x -1.29 9.82 -2.333
全日本選手権 FS 7 3F+1Eu+3S   11.11 X 1.14 12.25 2.111
全国中学スケート大会 FS 6 3F!+1Eu+3S ! 11.11 X 0.00 11.11 -0.200
World Junior FS 6 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.83 11.94 1.556
Coupe de Printemps FS 6 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.71 11.82 1.400

3連続ジャンプは3-3と比べると少し成功率が落ちました。転倒が2回あります。主要大会でもジュニアグランプリファイナルではGOEマイナスでした。3連続ジャンプは多くの選手で3-3より成功率が高いのですが、中井選手の場合は3連サルコウ型で難易度高い3連続なことの影響が出ています。3F+1Eu+3Sは3Lz+3Tと基礎点同じです。また、フリップは!が付きがちでやや苦手なジャンプ。その辺の影響は出ているようです。それでも全日本、世界ジュニアと大事なところではしっかり決めました。

 

○抜けや回転不足の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
MGCアイスアリーナトロフィー SP 2 3Lz+3T< <  F 9.26   -2.95 6.31 -5.000
MGCアイスアリーナトロフィー FS 6 3F!+1Eu+3S< ! F 10.16 X -2.65 7.51 -5.000
JGP Riga FS 1 3A< 6.40   -1.10 5.30 -1.667
JGP Riga FS 3 1Lo   0.50   -0.18 0.32 -3.556
JGP Riga FS 8 1A   1.21 x -0.41 0.80 -3.667
東日本選手権 FS 6 3F+1Eu+3S< <  F 10.16 X -2.65 7.51 -5.000
全国中学スケート大会 FS 1 2A<< <<  1.10   -0.55 0.55 -5.000

今シーズン12試合、ジャンプ要素113回、それもトリプルアクセル込みであった中井選手ですが、その中で抜け、あるいはアンダーローテーションなど基礎点から削られるミスというのがここに上げた7回しかありませんでした。国際大会ではジュニアグランプリ初戦のリガで3つあっただけで残りの4試合では1つもありません。国内大会でも重要大会では1つもなし。安定度重視型ではなくジャンプで攻める型でありながらこの安定感。今季の強さを支えていました。

 

今季大躍進した中井亜美選手。全日本のトリプルアクセル2本成功には驚かされました。アイガッタリズムもミスサイゴンも、日本で一時代を気付いた選手のイメージが強いプログラム。それをショートもフリーも身にまとって結果を出しました。ジュニアグランプリファイナルで表彰台届かなかったのを、世界ジュニアで取りなおしたのも素晴らしかったと思います。

来期も強制ジュニアで同じようなメンバーに囲まれて戦うことになりますが、ジュニアグランプリファイナルか世界ジュニアか、そうでなくても全日本ジュニアか、どれか1つ奪い取りたい、という戦いになるのかと思います。