22-23 シン・ジア

2008年3月19日生まれ

ジュニア2シーズン目

シーズン獲得賞金:$15,500

世界ランキング:23位

シーズンランキング:19位

シーズンベストスコア 201.90(15位) 世界ジュニア

ショートプログラムシーズンベスト 71.19 世界ジュニア

フリーシーズンベスト 131.21 ジュニアグランプリファイナル

ショートプログラム楽曲:The Giving

フリープログラム楽曲:Tree of Life Suite

スピンレベル4率 28/30 = 93.3%(国際大会:22/24 = 91.7%)

ステップレベル4率 4/6 = 66.7%(国際大会:3/4 = 75.0%)

スピンオールレベル4 3/5 (国際大会 2/4)

スピンステップオールレベル 1/5(国際大会 1/4)

ジャンプ要素回転不足率 0/50 = 0.00%(国際大会 0/40 = 0.00%)

スピンステップオールレベル4 ジャンプ回転不足なし 1/5(国際大会1/4)

 

○22-23シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
JGP JGP Riga 1 194.68 70.41 124.27
JGP JGP Gdansk2 2 194.69 63.72 130.97
JGPF JGP Final 2 200.32 69.11 131.21
NC Korean Championships 1 213.01 70.95 142.06
WJ World Junior 2 201.90 71.19 130.71

韓国の有力若手シンジア選手は昨季世界ジュニア2位で今シーズンはジュニア2シーズン目です。年齢的にはミラノオリンピックシーズンにシニアに上がれる年回りになります。

初戦はジュニアグランプリのリガ。ショートは全要素全ジャッジ+2以上の完璧な出来で70点台に乗せて首位に立つとフリーは珍しくルッツで転倒が見られましたが、それでもトータル194.68で逃げ切って優勝を果たします。ジュニアグランプリシリーズ初優勝となりました。

2戦目はグダンスク2に入って連勝を狙うところでしたがショートではジャンプ全部終わった後のステップでまさかの転倒。63.72の3位スタートとなります。そのまま3位でもファイナルの可能性は高いですが、確定させるには2位に入っておきたいというフリー。これをサルコウが1つ抜けて1回転になったくらいでカバーし、フリー130.97 最終的に194.69という初戦と0.01の差にまでして2位。ファイナル進出を決めました。

ジュニアグランプリファイナルは3×3の日韓決戦。韓国側エースとしての登場でショートは全要素全ジャッジプラス評価の69.11 島田選手と0.55差の2位につけると、フリーもフリップ1つ!ついたくらいでノーミス。131.21を出してトータル200.32 島田選手にプレッシャーをかける出来でしたが届かず2位となりました。

 

年が明けて韓国ナショナル。ジュニアながら表彰台には絡むのではないか、ひょっとしたら優勝も、という日本の島田選手と同じ立ち位置。これを本当に、キムイェリム、イ・ヘイン、両巨頭を抑えて213.01で優勝してしまいます。年齢的に世界選手権には出られず、世界ジュニアの代表権を獲得となりました。

 

今度こそ勝ちたい世界ジュニアですが、去年より今年の方がハードルが高いか。ショートは全要素全ジャッジ+2以上の高評価で71.19のパーソナルベストで2位発進。首位島田選手とは0.59差、3位中井選手と3.91差。4位のキムユジェ選手とは7.22差あるので表彰台は固い、あとは高い基礎点を持つ日本勢とどう戦うかというフリー。残り2人で出てきて首位に立つターゲットスコアは128.22 これは今シーズン何度も出しているスコア。いい滑りでジャンプはほぼミスなく終えたのですが、まさかのコレオの最後で転倒。これがコレオの要素の中なのか外なのか。GOEもプラス5からマイナス3まで割れたのですが、全体均すと+2.111 ほぼコレオの外カウントされて減点1が付いただけで済んだ形となってフリーは130.71 トータル201.90で何とか中井選手の上に出て最終的に2位となりました。

2年連続の世界ジュニア2位で今シーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
JGP Riga 194.68 104.96 90.72 63.46 7.25 25.07 9.18
JGP Gdansk2 194.69 104.46 91.23 62.75 9.32 25.36 7.03
JGP Final 200.32 110.94 89.38 66.65 10.52 24.42 9.35
Korean Championships 213.01 113.74 100.27 67.09 6.97 25.72 13.96
World Junior 201.90 110.26 92.64 66.65 10.08 24.19 9.34

今シーズンの国際大会のスコアは最低で194.68 最高で201.90 非常に狭い範囲に収まっています。これは安定感のなせる業です。

技術点は110.94まで出ました。これは全体12位にあたります。

PCSは90点前後で世界ジュニアの92.64が最高。7.5平均を少し超えるくらいまでです。ジュニアとしては高い方ですがシニアと比べるとやはり劣ります。韓国選手権のPCSはイ・ヘイン選手と0.81差、キムイェリム選手と1.13差なので、ほぼ見劣りしないという評価でした。この辺はナショナルボーナスで高いのか、国際大会がジュニアディスカウントで低いのか、あるいは試合の中での出来の差なのか。どれでしょう。

ジャンプの基礎点はジュニアグランプリファイナルと世界ジュニアは66.65 どちらもノーミスを意味します。ナショナルで67.09と少し高いのはループとフリップの差、ジュニアとシニアのショートのルールの違いによります。66.65は今シーズン全体で10位の高い基礎点です。

ジャンプの加点はナショナルがむしろ一番低く、国際大会では最低でも7.25あり、2試合で二桁稼ぎました。10.52は今シーズン全体で5位です。

スピンも25点台を出してきます。25.36のグダンスク2が国際大会の最高。これも今シーズン11位にあたるスコアです。

ステップ系要素はジュニアなので1つ要素はいらず9点台までですが、今期、ステップとコレオで1つづつ転倒があったりと、苦手というのはちょっと似つかわしくないですが、意外とおっちょこちょい、くらいの表現がいいでしょうか、ミスが出ることがあるようです。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
JGP Riga 63.08 62.97 71.03 66.82 66.32 58.96
JGP Gdansk2 63.09 62.27 75.27 67.79 42.46 59.33
JGP Final 64.95 66.08 77.73 64.66 65.60 57.99
Korean Championships 69.14 66.51 70.46 68.99 64.52 65.90
World Junior 65.47 66.08 76.83 63.89 66.82 60.36

トータルスコアは200点前後を出すと偏差値65前後になってきます。

ジャンプの基礎点も60台半ば。

何と言っても目立つのはジャンプの加点。全試合偏差値70台。これは他の選手には皆無です。

スピンも60台後半の偏差値を持っています。

ステップ系要素はジュニア補正入りすぎて参考にしづらいですが、転倒癖ありつつもレベルは取れることが多いですし苦手という風には見えません。

PCSは世界ジュニアで偏差値60に乗りました。

 

22-23シーズン シンジア選手の要素別偏差値レーダーチャート

レーダーチャートは下に伸びる形です。PCSがまだ凹んでいます。これが伸びるとバランス取れた上でジャンプの加点がすごい、という位置づけになります。

 

・シーズン最高の基礎点構成

JGPリガ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.778
2 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
3 FCSp4   3.20   1.05 4.25 3.222
4 3Lo   5.39 x 1.33 6.72 2.778
5 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
6 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
  TES   32.09   8.26 40.35  

ショートの基礎点は32.09がありました。韓国選手権ではシニアルールでフリップが使える分32.53まであります。

ジャンプはジュニアルールだと1.1倍にコンビネーションを持ってくる以外、これより基礎点を上げるすべはありません。単独ループ強制なのでセカンドループも無効です。コンビネーションを1.1倍に持ってくれば0.52基礎点が上がって32.61になります。これは島田麻央選手の基礎点と並ぶ形になります。

この構成はGOE満点の時に技術点45.79 PCS加味して85.79満点となります。

 

JGPファイナル フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.75 4.05 2.111
2 3Lo   4.90   1.40 6.30 2.778
3 3S   4.30   0.68 4.98 1.556
4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   0.00 8.30 -0.111
5 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.778
6 3Lz+3T   11.11 x 1.52 12.63 2.556
7 3F+2A+SEQ   9.46 x 1.14 10.60 2.111
8 3Lz   6.49 x 1.35 7.84 2.444
9 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
11 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.667
  TES   61.06   11.01 72.07  

フリーは61.06が最高でジュニアグランプリファイナルと世界ジュニアという大事な試合でしっかりそれを出していました。シニアルールの韓国ナショナルでは64.36出していて、これはレベル3のステップが足された形です。

64.36まで出せば、それより上は高難度ジャンプ無しでは1人だけ、ステップレベル4で64.96まで出せば高難度ジャンプ無しではだれも出せていない領域となります。

2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。1.1倍にルッツ2本とフリップがいて、セカンド3Tとセカンド2Aまでいるというかなり攻めた構成です。スピンも合計10.20の基礎点でこれより上の組み合わせはありません。

この構成でGOE満点だと技術点は86.11出てPCS加味して166.11満点です。シニア構成でステップレベル4が足されるとGOE満点で技術点91.96の171.96満点となります。

 

○平均GOE3.000以上

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk2 FS 10 ChSq1   3.00   2.00 5.00 4.000
Korean Championships SP 7 LSp4   2.70   0.97 3.67 3.571
JGP Riga SP 7 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
Korean Championships SP 6 CCoSp4   3.50   1.26 4.76 3.429
JGP Riga SP 5 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.333
JGP Gdansk2 SP 7 LSp4   2.70   0.89 3.59 3.333
World Junior SP 7 LSp3   2.40   0.79 3.19 3.333
Korean Championships FS 12 FCCoSp4   3.50   1.12 4.62 3.286
Korean Championships FS 11 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.286
JGP Riga SP 3 FCSp4   3.20   1.05 4.25 3.222
JGP Gdansk2 SP 3 FCSp4   3.20   1.01 4.21 3.222
World Junior SP 1 3Lz+3T   10.10   1.85 11.95 3.111
JGP Riga FS 2 3Lo   4.90   1.47 6.37 3.111
World Junior SP 5 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.111
JGP Gdansk2 SP 2 2A   3.30   1.04 4.34 3.111
JGP Riga SP 6 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
JGP Gdansk2 FS 11 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
JGP Gdansk2 FS 9 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 3.000
JGP Final FS 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
JGP Riga SP 2 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
JGP Gdansk2 FS 1 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
Korean Championships FS 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
World Junior SP 2 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
Korean Championships FS 5 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.000

ジュニアながらシンジア選手は高評価の要素が多いです。最高評価はジュニアグランプリグダンスク2のコレオで平均GOEが+4.000を出しています。これは今シーズンのコレオとしては全体2番目、ISU公認試合では全体1位という高い評価です。ジュニアがコレオ評価1位は驚き。スピン、ステップも+3台は普通に出してきます。

ジャンプでは世界ジュニアの3Lz+3Tが最高評価でした。ダブルアクセルも+3以上の評価が多かったです。各要素+3以上まで出せているので…、あと何伸ばせばいいんだろう?

 

○3回転-3回転の要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Riga SP 1 3Lz+3T   10.10   1.60 11.70 2.778
JGP Gdansk2 SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.67 10.77 1.111
JGP Gdansk2 FS 6 3Lz+3T   11.11 x 1.43 12.54 2.333
JGP Final SP 1 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.556
JGP Final FS 6 3Lz+3T   11.11 x 1.52 12.63 2.556
Korean Championships SP 1 3Lz+3T   10.10   -1.18 8.92 -1.857
Korean Championships FS 7 3Lz+3T   11.11 x 0.47 11.58 0.857
World Junior SP 1 3Lz+3T   10.10   1.85 11.95 3.111
World Junior FS 6 3Lz+3T   11.11 x 1.43 12.54 2.444

3回転-3回転はショートフリーで1回づつ、どちらもルッツから飛びます。国際大会5試合で9回。JGPのリガではフリーのルッツで転倒したため3-3が入りませんでした。

実質的には10回飛んで転倒1、それ以外のGOEマイナス1で8回は成功ジャンプです。3回転-3回転の成功率はかなり高いと言えます。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Riga FS 4 3F+2T+2Lo   8.30   1.14 9.44 2.222
JGP Gdansk2 FS 4 3F+2T+2Lo   8.30   1.06 9.36 2.000
JGP Final FS 4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   0.00 8.30 -0.111
Korean Championships FS 4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   0.21 8.51 0.286
World Junior FS 4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   -0.23 8.07 -0.333

3連続ジャンプは5試合すべてで前半にフリップから入れていました。GOEプラスは3回、マイナスが2回ですが大きな失敗はありません。気になるのはフリップの!率の高さ。これで1点ほど損していることになります。

 

○抜けやマークがついた要素

Event     Elements   Base   GOE Scores AvGOE
JGP Gdansk2 SP 1 3Lz!+3T ! 10.10   0.67 10.77 1.111
JGP Gdansk2 SP 4 3Loq q 5.39 x -0.07 5.32 -0.111
JGP Gdansk2 FS 3 1S   0.40   -0.01 0.39 -0.222
JGP Final FS 4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   0.00 8.30 -0.111
Korean Championships FS 4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   0.21 8.51 0.286
Korean Championships FS 8 3F!+2A+SEQ ! 9.46 x 0.11 9.57 0.286
World Junior FS 4 3F!+2T+2Lo ! 8.30   -0.23 8.07 -0.333

今シーズン5試合で50回のジャンプを飛んだわけですが、シンジア選手はダウングレードやアンダーローテーションが1つもありませんでした。ジャンプの抜けはサルコウで1度だけ。基礎点が削られる失敗は、転倒でコンビネーションが入らなかった、というパターンは他に1つありますが、基本的には生じていません。ここにあるようにqがついたのも1つだけ。抜けは回転不足とカウントしていないので、ジャンプの回転不足率が0%というすごい出来でした。恐ろしいことに、これ、今シーズンだけでなく、昨シーズンも同じで回転不足率0% 国際大会デビュー後、未だ、ジャンプでダウングレードどころかアンダーローテーションさえついたことがありません。

このジャンプで基礎点削られることがないという安定感が、高いスコアを安定して出す原動力となっています。

 

韓国ジュニアの1番手、シンジア選手。今シーズンは中井亜美選手と4試合、島田麻央選手とも2試合重なり、日本のトップジュニア2人との激闘を繰り広げてくれました。5戦して2勝、2位3回。素晴らしい戦績でナショナルも取りました。あとは島田選手を下せばいいだけなのですが、それが難しい。来期も同じようなメンバーでジュニアは戦うこととなるかと思われますが、日韓戦を楽しみにしたいと思います。