グランプリシリーズ3戦目ファイナル進出者も決まり始める時期です。この試合は4回転が乱れ飛ぶ、すごい試合になりました。
○男子シングル
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 306.78 | 101.07 | 205.71 |
2 | Ilia MALININ | USA | 304.68 | 101.58 | 203.10 |
3 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 273.14 | 97.91 | 175.23 |
4 | Lukas BRITSCHGI | SUI | 263.43 | 86.94 | 176.49 |
5 | Camden PULKINEN | USA | 230.84 | 83.44 | 147.40 |
6 | Luc ECONOMIDES | FRA | 230.74 | 76.99 | 153.75 |
7 | Stephen GOGOLEV | CAN | 228.74 | 86.14 | 142.60 |
8 | Boyang JIN | CHN | 226.79 | 81.43 | 145.36 |
9 | Landry le MAY | FRA | 219.04 | 71.20 | 147.84 |
10 | Koshiro SHIMADA | JPN | 217.18 | 79.30 | 137.88 |
11 | Nikolaj MEMOLA | ITA | 214.63 | 70.92 | 143.71 |
12 | Takeru Amine KATAISE | JPN | 212.75 | 76.27 | 136.48 |
アダムシャオイムファ選手2連覇。ただ、スコアは昨年とは比較になりません。驚異の306.78 ショート100点超え、フリー200点超え。素晴らしい出来でした。
2位はマリニン選手。グランプリシリーズで300点出しても勝てない時代がやってきました。わけのわからない世界になってきています。目立ったミスはショートのステップで転倒したくらいなのですが、それでも勝てません。グランプリシリーズ初敗北ですが、ファイナル進出は問題なく決めました。
3位には日本から鍵山優真選手。ちょっと上二人が強すぎました。グランプリ復帰戦としては表彰に乗ってまずまずだったかと思います。
4位にはスイスのルーカスブリッチギー選手。上の方がおかしなスコアでなんというか気の毒な4位ですが、パーソナルベスト。昨季一気に飛躍してきた選手ですが今期も上位で活躍していけそうです。
日本からは島田高志郎選手が10位。昨季の世界選手権代表落ちを見返す今シーズン、とはならず、スコア伸びません。ネーベルホルン杯で247.43出していますので、今季不調というような話ではないのですが、残念な結果でした。次戦は5戦目フィンランド。それこそリベンジ期待です。
グランプリデビュー戦の片伊勢武アミン選手は12位。フリーは序盤良かったのですが後半3つのジャンプが壊滅。4回転無し構成ですので上位に出るにはノーミスが求められたのですが残念な結果でした。後半も前半の出来で滑り切れば5位まであったわけで、ある意味紙一重なのですが出した結果は12位。ちょっとこれだと先につながらない結果、と言わざるを得ない状態になっています。2戦目持っていませんし、全日本で一発を狙うにも4回転持っていないですし、ちょっとこの先苦しい立場になっています。美しい滑りをする選手なので国際舞台で活躍してほしいのですが、残念でした。
○アダムシャオイムファ選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 4Lz | 11.50 | 3.78 | 15.28 | 3.111 | ||
2 | 4T+2T | 10.80 | 2.44 | 13.24 | 2.444 | ||
3 | 3A+2A+SEQ | 11.30 | 1.71 | 13.01 | 2.111 | ||
4 | 4S | 9.70 | 3.46 | 13.16 | 3.444 | ||
5 | 4T | 10.45 | x | 2.99 | 13.44 | 3.111 | |
6 | 3A | 8.80 | x | 2.06 | 10.86 | 2.444 | |
7 | StSq4 | 3.90 | 1.34 | 5.24 | 3.333 | ||
8 | 3Lz+1Eu+3S | 11.77 | x | 1.60 | 13.37 | 2.778 | |
9 | FCCoSp4 | 3.50 | 0.90 | 4.40 | 2.333 | ||
10 | ChSq1 | 3.00 | 2.21 | 5.21 | 4.333 | ||
11 | CCoSp4 | 3.50 | 1.05 | 4.55 | 3.000 | ||
12 | CSSp4 | 3.00 | 0.94 | 3.94 | 3.111 | ||
TES | 91.22 | 24.48 | 115.70 |
全要素プラス2以上。4回転3種類4本。すごい滑りでした。2回飛ぶジャンプは4回転トーループとトリプルアクセル。セカンドが2回転になったのが唯一のスコア取り損なえたところと言えるでしょう。
4回転ルッツは実は19年の国別対抗戦で成功していました。昨季は国別で跳ぶも転倒。今期はネーベルホルン杯からプログラムに入れてきていてニース杯のフリーで転倒しただけで8本中7本成功。普通に計算できる要素になっています。ルッツ入り4回転4本でPCSが平均9点台が出せる。これは強いです。グランプリファイナルの、世界選手権の、有力候補となってきています。
昨季はグランプリ初戦で優勝のあと、NHK杯でまさかの5位によりファイナルを逃しています。今期は連戦で次は中国杯。4位以内で事実上ファイナル決まりますので、流石に問題ないと思います。
○鍵山優真選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 4S | 9.70 | 3.88 | 13.58 | 4.000 | ||
2 | 4T+1Eu+3S | 14.30 | 3.26 | 17.56 | 3.444 | ||
3 | 3Lo | 4.90 | 1.33 | 6.23 | 2.778 | ||
4 | FCSSp4 | 3.00 | 0.86 | 3.86 | 2.889 | ||
5 | 1A | 1.10 | 0.06 | 1.16 | 0.556 | ||
6 | 3A+2T | 10.23 | x | 2.06 | 12.29 | 2.556 | |
7 | 3Lz | 6.49 | x | -1.60 | 4.89 | -2.667 | |
8 | ChSq1 | 3.00 | 1.57 | 4.57 | 3.222 | ||
9 | 3F | 5.83 | x | 1.59 | 7.42 | 3.000 | |
10 | StSq4 | 3.90 | 1.67 | 5.57 | 4.222 | ||
11 | CCoSp4 | 3.50 | 1.10 | 4.60 | 3.222 | ||
12 | FCCoSp4 | 3.50 | 1.15 | 4.65 | 3.222 |
フリーは4回転2種類2本構成。オリンピックの時には3種類4本にセカンドループ付きという構成だったところから比べるとだいぶ緩い構成になっています。まだ復帰シーズンの前半です。今回は上二人が強かったですし、この構成で勝負するならノーミス必須なのですが、アクセルでミスが出ました。また、ルッツからコンビネーション入るはずがここもミスが出て入らず。リカバリーコンビネーションもなく結果として基礎点は大きく削られています。
ただ決めた要素はやはり評価が高い。ステップは+4.222の評価を受けました。4回転サルコウも+4.000 1つ1つの要素の質の高さはさすがです。
次戦はNHK杯。宇野昌磨選手とのワンツーが見込まれますが、2位だとファイナル進出は微妙です。三浦佳生選手、佐藤駿選手、ケビンエイモズ選手あたりの結果次第となってきそうです。宇野選手に勝って優勝出来れば問題なくファイナルです。
○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア
Pl | Name | Nation | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
1 | Adam SIAO HIM FA | FRA | 306.78 | 133.38 | 107.52 | 25.14 | 24.83 | 15.91 |
2 | Ilia MALININ | USA | 304.68 | 130.04 | 116.39 | 22.65 | 24.87 | 11.73 |
3 | Yuma KAGIYAMA | JPN | 273.14 | 132.80 | 81.15 | 18.61 | 24.92 | 15.66 |
4 | Lukas BRITSCHGI | SUI | 263.43 | 122.15 | 89.09 | 15.63 | 23.39 | 13.17 |
5 | Camden PULKINEN | USA | 230.84 | 113.64 | 84.64 | 1.60 | 20.99 | 11.97 |
6 | Luc ECONOMIDES | FRA | 230.74 | 109.86 | 78.54 | 4.70 | 23.24 | 14.40 |
7 | Stephen GOGOLEV | CAN | 228.74 | 106.60 | 86.25 | 3.08 | 20.03 | 12.78 |
8 | Boyang JIN | CHN | 226.79 | 106.19 | 93.20 | -4.16 | 21.99 | 11.57 |
9 | Landry le MAY | FRA | 219.04 | 102.51 | 87.16 | -3.19 | 21.97 | 11.59 |
10 | Koshiro SHIMADA | JPN | 217.18 | 112.11 | 82.49 | -8.95 | 20.44 | 12.09 |
11 | Nikolaj MEMOLA | ITA | 214.63 | 105.95 | 85.16 | -7.59 | 20.76 | 11.35 |
12 | Takeru Amine KATAISE | JPN | 212.75 | 107.37 | 74.18 | -0.39 | 20.65 | 12.94 |
PCSは130点台が3人います。鍵山選手はPCSはまずマリニン選手に勝ちました。技術点並べれば勝てる、という計算がまず立っています。島田選手は下位の方の選手の中ではPCSが高い評価を得ています。片伊勢武アミン選手もわずかな差ですがPCS順位なら8位です。滑りの評価はそれぞれ得ています。
ジャンプの基礎点はマリニン選手が116.39まで出しました。これはスケートアメリカと同じ。つまり2戦続けて基礎点削られるミスがない、という意味にもなります。アダムシャオイムファ選手も107.52とすごく見えますが、本人比では今シーズン4試合中3番目です。もうこれが普通に出せる力があります。3番目はボーヤンジン選手。今回も4回転ルッツは決まりませんでしたが、復活の気配はあるのでしょうか。意外だったのは鍵山選手は島田選手よりジャンプの基礎点は低いです。島田選手も1つ1つの要素次第で270点まで出せる可能性がある、とも見えます。
ジャンプの加点は4人が二桁。世界選手権ですか? みたいなレベルでした。上3人強すぎて目立ってませんが、ブリッチギー選手の出来も非常に素晴らしかったです。
スピンは鍵山選手が僅差で1位。マリニン選手、アダムシャオイムファ選手と24点台後半です。鍵山選手はオリンピックシーズンには26点台も出していますので、もっと出ます。
ステップ系要素はアダムシャオイムファ選手と鍵山選手が15点台後半です。マリニン選手は転倒の影響でスコア伸びていませんが、15点台実績は過去ありませんので、しっかり滑ってもここの評価は2人にやや劣るという扱いです。片伊勢武アミン選手はステップ系要素の評価は5位。フリー後半のジャンプが決まらなかったので12位に終わっていますが、そこ以外は他の選手と引けを取らない滑りでした。
○女子シングル
Pl | Name | Nation | Total | SP | FS |
1 | Isabeau LEVITO | USA | 203.22 | 71.83 | 131.39 |
2 | Nina PINZARRONE | BEL | 198.80 | 65.74 | 133.06 |
3 | Rion SUMIYOSHI | JPN | 197.76 | 61.72 | 136.04 |
4 | Haein LEE | KOR | 190.96 | 66.30 | 124.66 |
5 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 190.02 | 60.29 | 129.73 |
6 | Anastasiia GUBANOVA | GEO | 187.66 | 66.73 | 120.93 |
7 | Lea SERNA | FRA | 180.77 | 58.75 | 122.02 |
8 | Lorine SCHILD | FRA | 179.11 | 58.80 | 120.31 |
9 | Mone CHIBA | JPN | 164.76 | 56.59 | 108.17 |
10 | Kimmy REPOND | SUI | 164.63 | 50.64 | 113.99 |
11 | Maia MAZZARA | FRA | 137.44 | 45.03 | 92.41 |
12 | Janna JYRKINEN | FIN | 125.92 | 39.57 | 86.35 |
イザボーレビト選手グランプリ初優勝。昨季はグランプリシリーズ2戦2位。ファイナルも2位。今季初戦も2位。2位2位2位とひたすら2位だったレビト選手がようやく勝ちました。フリー終盤はまた2位かも? と怪しむような出来ではありましたがショートのリードを活かして逃げ切りました。
2位にはベルギーのピンツァローネ選手が入りました。パーソナルベストはこれまで191.78 今季がグランプリデビュー戦。正直なところ、表彰台はないだろう、と思っていた選手なのですが、あっと驚きの2位。ヘンドリックス選手のおまけで世界選手権に出たわけではないですよ、ちゃんと自分の力で世界選手権11位でしたよ、というところを見せてきました。フリー全要素プラス評価。素晴らしい出来でした。NHK杯でファイナル進出を目指します。
3位に住吉りをん選手が入りました。グランプリシリーズ3戦目。昨季から3戦続けて3位です。ショートのダブルアクセル転倒から入って、えー??? という感じの試合でしたが、終わってみれば表彰台にいました。4回転成功。
昨季の世界選手権2位のイ・ヘイン選手が4位。こちらは昨季から3戦続けて4位です。ルッツからの3-3が今季ことごとく回転不足なのですが、この試合もショートフリーで回転不足。今回はフリー後半の単独ルッツも1回転になって表彰台に届きませんでした。それでも4位に踏みとどまったので、NHK杯優勝でファイナルは見えます。
国際大会復帰戦の樋口新葉選手は5位。こちらもルッツからの3-3がどちらも回転不足。イ・ヘイン選手と似た展開でしたが、こちらはショートのフリップ零点が痛く、僅差で5位でした、5位だとファイナルは次戦で優勝しても他の選手次第になってきます。NHK杯、勝つチャンスはあるとは思いますが、どうでしょうか。
日本からもう一人、千葉百音選手は9位。フリーではダウングレード1つ、アンダーローテーション5つ。残りの1つのジャンプ要素もq ことごとくジャンプがうまくいっていません。それでも最後のレイバックスピンで平均GOE+4.222をもらう根性は見せました。今大会11人が要素に入れたレイバックスピン最高評価です。グランプリシリーズはこれで終了。全日本まで1カ月半空きますので、しっかり立て直してきていただければと思います。ポイント取れませんでしたが、昨年稼いだポイントは大きく、まだ割と上位に残るので、今期結果を出せませんでしたが、来期も1試合は少なくとももらえるのではないかと思います。
○イザボーレビト選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 3Lz+3T | 10.10 | 1.35 | 11.45 | 2.333 | ||
2 | 2A | 3.30 | 0.75 | 4.05 | 2.333 | ||
3 | 3F | 5.30 | 1.36 | 6.66 | 2.556 | ||
4 | 2A | 3.30 | 0.75 | 4.05 | 2.333 | ||
5 | CCoSp4 | 3.50 | 1.10 | 4.60 | 3.111 | ||
6 | 3Lz+1Eu+3S< | < | 10.82 | x | -1.94 | 8.88 | -3.222 |
7 | ChSq1 | 3.00 | 1.43 | 4.43 | 2.889 | ||
8 | 3F+2T | 7.26 | x | -0.91 | 6.35 | -1.778 | |
9 | 3Lo | 5.39 | x | 0.56 | 5.95 | 1.333 | |
10 | FCSp4 | 3.20 | 0.78 | 3.98 | 2.444 | ||
11 | StSq4 | 3.90 | 1.11 | 5.01 | 2.222 | ||
12 | FCSp2* | * | 0.00 | 0.00 | 0.00 | ||
TES | 59.07 | 6.34 | 65.41 |
序盤は良かったのですが、中盤からなんだかおかしかったレビト選手。3連続ジャンプから怪しげな雲行きになりました。最後のスピンは座り込んで零点。単純な体力的な問題か、それ以外にも何かあるでしょうか。
昨季多用していた冒頭ルッツループからの次に単独トーループという不思議展開は今シーズン封印。普通にセカンドトーループの3-3を飛んで、ループを単独で入れています。3連3サルコウを入れていますが回転不足。スケートアメリカでも回転不足。ネーベルホルン杯では転倒。うまくいっていません。昨季はうまく跳べていたのですが今季はこのジャンプで苦労しています。
なんだかんだと苦労しながらも200点台を2戦続けてファイナルへ。盤石な坂本選手にはちょっと届きませんが、弱い坂本選手が顔を出してきたときには勝負になる位置にいます。1か月準備期間があってのファイナルでどんな演技を見せてくれるでしょうか。
○住吉りをん選手のフリーの構成
Elements | BaseValue | GOE | Scores | AvGOE | |||
1 | 2A+3T | 7.50 | 1.38 | 8.88 | 3.222 | ||
2 | 4T | 9.50 | 1.76 | 11.26 | 1.889 | ||
3 | FCCoSp3V | 2.25 | 0.48 | 2.73 | 2.111 | ||
4 | 3Lzq | q | 5.90 | -0.84 | 5.06 | -1.333 | |
5 | 3Lo | 4.90 | 0.91 | 5.81 | 1.889 | ||
6 | StSq3 | 3.30 | 0.85 | 4.15 | 2.556 | ||
7 | 3F+3T | 10.45 | x | 0.83 | 11.28 | 1.667 | |
8 | 2S+2T+2Lo | 4.73 | x | 0.12 | 4.85 | 0.778 | |
9 | 3F | 5.83 | x | 0.98 | 6.81 | 1.889 | |
10 | LSp4 | 2.70 | 0.85 | 3.55 | 3.111 | ||
11 | ChSq1 | 3.00 | 1.00 | 4.00 | 2.000 | ||
12 | CCoSp4 | 3.50 | 0.90 | 4.40 | 2.444 | ||
TES | 63.56 | 9.22 | 72.78 |
4回転トーループ着氷。平均GOE+1.889をもらいました。アンダーかなあ、qくらいで許して、と見ていたらマーク付かずクリーン4回転扱いで認定です。2021年11月28日、インターハイの東京都予選から2年間で24試合。すべてのフリー演技で4回転トーループを飛び続けて初めて成功しました。飛び続けたのもすごいですが、その間1度も、抜け2回転とか、そういう回転数が4にならない抜けジャンプが無かったというのもすごいです。20歳2か月での初成功。女子の4回転最高年齢成功者となります。あまり最高年齢を強調するのも失礼かもしれませんが、これまでの最高年齢は4回転サルコウを世界選手権で決めたエリザベータトゥルシンバエワ選手の19歳1か月でした。その下はオリンピックでフリップを決めたアンナシェルバコワ選手の17歳10か月まで下がります。体の軽い子供しか飛べない、とも言われていた4回転を二十歳過ぎて飛んだというのは非常に大きな出来事です。住吉選手が初めて飛べたという住吉選手1人に収まる出来事でもなく、女子のフィギュアスケートの一つの画期でもあります。
4回転降りた後のスピンが3Vになったのは、集中力を4回転に持っていかれたようにも見えます。国際大会でスピンにVもらったのは初めてです。まあ、国内ではここのスピンで時折Vもらってますので、4回転成功したからということでもなく、単に4回転そのものが負担で次の要素に影響する、ということかもしれません。
もったいなかったのは3連続のサルコウが2回転。これがあると、4回転込みでも基礎点が63.56にまで下がります。この基礎点はトリプルアクセル以上のジャンプが無くても出せる基礎点です。ノーミスなら勝てる試合でした。そうでなくてもスピンで3Vをやらなければ2位です。2位ならファイナルがだいぶ近づいたのですが、また3位。次のフィンランドで坂本花織選手、キムチェヨン選手、アンバーグレン選手らと戦って、最低でも2位以上が必要になりました。4回転を決めるという歴史的な偉業を成し遂げましたが、次の大会へと考えると、その次のスピンが非常にもったいなかった住吉選手でした。
○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア
Pl | Name | Nation | Total | PCS | J Base | J GOE | Spin | Step |
1 | Isabeau LEVITO | USA | 203.22 | 99.42 | 64.70 | 4.29 | 20.30 | 14.51 |
2 | Nina PINZARRONE | BEL | 198.80 | 89.92 | 65.29 | 6.15 | 24.31 | 13.13 |
3 | Rion SUMIYOSHI | JPN | 197.76 | 92.38 | 68.10 | 5.24 | 20.74 | 12.30 |
4 | Haein LEE | KOR | 190.96 | 95.05 | 57.77 | -0.91 | 24.16 | 14.89 |
5 | Wakaba HIGUCHI | JPN | 190.02 | 93.79 | 54.78 | 4.88 | 22.01 | 14.56 |
6 | Anastasiia GUBANOVA | GEO | 187.66 | 90.39 | 60.04 | 6.38 | 20.51 | 10.34 |
7 | Lea SERNA | FRA | 180.77 | 82.24 | 59.97 | 4.09 | 21.91 | 12.56 |
8 | Lorine SCHILD | FRA | 179.11 | 78.82 | 64.61 | 5.47 | 20.42 | 9.79 |
9 | Mone CHIBA | JPN | 164.76 | 85.41 | 55.33 | -9.45 | 22.41 | 12.06 |
10 | Kimmy REPOND | SUI | 164.63 | 85.36 | 55.82 | -6.49 | 19.92 | 12.02 |
11 | Maia MAZZARA | FRA | 137.44 | 70.95 | 48.36 | -5.16 | 17.35 | 8.94 |
12 | Janna JYRKINEN | FIN | 125.92 | 66.55 | 41.24 | -6.30 | 16.45 | 9.98 |
PCSは誰も100点に届かず。レビト選手で99点台。1項目平均8点を少し超えるくらいです。
ジャンプの基礎点は4回転入って住吉選手が全体1位です。ピンツァローネ選手が2位。レビト選手が3位。差はそれほどつきませんでした。サルコウをしっかり3回転に出来ていれば、ジャンプの基礎点でずいぶん差がついたね、ということになりますので、3回転のジャンプも当然大事です。樋口選手はショートでジャンプ1本零点は大きく50点台前半で全体10位でした。
ジャンプの加点はグバノワ選手が1位。全体的にしっかり滑っていたと思うのですが、なんだか点が伸びないグバノワ選手です。ピンツァローネ選手が2位、フランスのシルト選手が3位でした。地元勢、序列と比べるとだいぶ頑張ったと思います。千葉選手はジャンプが厳しかったです。
スピンでピンツァローネ選手が1位。2位に入った原動力です。イ・ヘイン選手が2位。二人は24点台でした。千葉選手、スピンは3位です。ジャンプの不出来に腐らず最後まで手を尽くしたのが見て取れます。レビト選手、住吉選手はスピンのミスが目立ちました。
ステップ系要素はイ・ヘイン選手が1位で樋口選手が2位。レビト選手まで14点台後半が出ています。
グランプリシリーズ3戦目は記録的な試合になりました。女子の4回転成功は大事件。トータルスコア的には男子はとんでもない試合。すごい大会でした。
次戦は中国杯。いよいよ三原選手が登場、と思いきや棄権。試合に出てこなくておかしいなあ・・・、と心配していたのでやっぱりねではあるんですが、大変残念でした。女子は渡辺倫果選手、吉田陽菜選手が出場。三原選手の代役はまだ決まっていませんし、決まるのかもわかりませんが、日本枠なら松生選手あるんでしょうか? 海外からはキムイェリム選手の初戦であり、ヘンドリックス選手のファイナル決めに行く試合でもあり、ペトロキナ選手もファイナルの可能性があります。吉田選手は2位ならファイナルの可能性を残すことは出来ます。
男子は宇野選手の初戦です。山本草太選手はファイナルを賭け、友野一希選手はファイナル行くには優勝が欲しいという厳しい立場です。そこに300点スコアラーになったアダムシャオイムファ選手が連戦で登場してきます。