チャンピオンズリーグ18-19決勝トーナメントオッズ

昨日、クラブワールドカップのオッズ、なんてものを見てみたので、その流れで、ヨーロッパチャンピオンズリーグのオッズも見てみたいと思います。

ちょうど、ベスト16が出そろっての抽選も行われ、決勝トーナメント1回戦の対戦も決まりました。

 

まずはbet365から

 

Man City                           4.00

Barcelona                          5.50

Juventus                           7.00

PSG                                   8.00

Liverpool                           11.00

Real Madrid                      13.00

Bayern Munich                 15.00

Atletico Madrid                 21.00

Tottenham                         26.00

Borussia Dortmund          34.00

Man Utd                            51.00

Ajax                                   81.00

FC Porto                            101.00

Roma                                 101.00

Lyon                                  126.00

Schalke                             251.00

 

マンチェスターシティがトップの4.00倍オッズです。プレミアリーグは優勝できても、チャンピオンズリーグでは決勝にも残れたことないんですが、今シーズンは行けるんですかね? これがトップオッズになるのは、ブックメーカーというものがイギリスのものであり、イギリス人がよく買うものであるから、という理由な部分、というのはあるような気はします。

バルセロナユベントスパリサンジェルマンと各国のナンバーワンがそれに続くんですが、バイエルンは7番目。まあ、ブンデスリーガではドルトムントに勝ち点9離されてるなんて状況なので、チャンピオンズリーグでもそんなに高いオッズはつかないですかね。

 

同じものをWiiliam Hillで見てみると、ちょっと様子が違います

 

マンチェスターシティ                     3.75

バルセロナ                                       5.00

ユヴェントス                                   7.00

パリ・サンジェルマン                     8.00

リヴァプール                                   10.00

バイエルン・ミュンヘン                  11.00

レアル・マドリード                         12.00

アトレティコ・マドリード              21.00

トッテナム                                       26.00

ドルトムント                                   26.00

マンチェスター・ユナイテッド       41.00

ローマ                                              51.00

アヤックス                                       67.00

FCポルト                                        81.00

リヨン                                              101.00

シャルケ                                          251.00

 

マンチェスターシティが4.00倍より強い3.75倍設定になってます。また、バイエルンミュンヘンレアルマドリードより上、というのはWilliam Hillの見立て。全体的にbet365よりWiiliam Hillの方が倍率が低めです。買うならbet365で買った方がお得ですね。

 

過去の実績とか今シーズンの戦績とか考えると、ポルトはもう少し上にいてもよさそうな気がするんですけど、そうでもないのかなあ。

 

決勝トーナメント1回戦の勝ち抜けのオッズもWilliam Hillには出ているので、そちらも見てみます。

 

3.75       マンチェスターユナイテッド           vs          パリサンジェルマン           1.25

1.73       ローマ                                              vs          FCポルト                          2.00

4.33       アヤックス                                       vs          レアル・マドリード           1.20

1.83       トッテナム                                       vs          ドルトムント                     1.83

6.50       リヨン                                              vs          バルセロナ                         1.10

1.73       リヴァプール                                   vs          バイエルン・ミュンヘン    2.00

2.62       アトレティコ・マドリード              vs          ユヴェントス                     1.44

7.50       シャルケ                                          vs          マンチェスター・シティ    1.07

 

一番楽に勝てるのはマンチェスターシティ、一番拮抗してるのはトッテナムvsドルトムント、という見立てなようです。

 

決勝トーナメント一回戦くらいだと、一つや二つ、波乱が起きてもらった方が面白い、と思うのですが、どうなるですかね。アヤックスあたりが勝ち上がっていくと面白いんじゃないかと思ってます

 

 

 

鹿島アントラーズvsレアルマドリード

クラブワールドカップで、鹿島アントラーズレアルマドリードが再戦する

騒いでいるのはたぶん日本人だけ、な気はするけれど、めぐりあわせとしては、まさか、を見たいという期待をしてしまう試合だ。

 

日本ではないところでは、どれくらい勝算があるとみているのかな? というのをこういう時にはブックメーカーオッズから引っ張ってきてみた見たくなるのである。

 

というわけで持ってきます。

まずは、bet365から

参考までに、準決勝のもう一試合の方も並べます

 

鹿島勝利 13.00 ドロー 5.75 レアルマドリード勝利 1.22

リバープレート勝利 1.36 ドロー 4.75 アルアイン勝利8.00

 

ドローがあるのは、90分間の結果を見ているためです。

まあ、こんなもんかな、という気はします。

ちなみに、同じサッカーカテゴリーで、13.00倍になっているのを探してみると、

セリエA次節 ナポリホームでSPALがナポリに勝つのが13.00倍でした

イングランド、イタリア、スペイン、ドイツ、フランスの1部の近い時期の試合で、13.00倍より高いオッズが付いているのは、以下のものだけです

 

マンチェスターシティのホームでクリスタルパレスの勝利 15.00倍

リバプールのホームでニューカッスルが勝利 15.00倍

バルセロナのホームでセルタが勝利 21.00倍

パリサンジェルマンのホームでナントが勝利 15.00倍

 

こうしてみると、スペインリーグの下位がアウェーでトップクラスと戦う時の勝利確率、と同じ程度は、中立地ということで条件は違うながらも可能性がある、と思われているんですね。まあ、下位といっても、セルタは現在9位でそれなりの位置にいるわけですが。バルセロナホームで、という条件が厳しすぎるだけですかね。

 

また、オッズでは、鹿島の勝ちorドロー、つまり90分で負けない、というオッズも設定されていて、これは4.33倍です。これくらいの数値だと、まあ、なんというか、十分可能性ありそうな気になります。

 

 

なお、William Hillでは少し違うオッズが出ていて

 

鹿島勝利 11.00 ドロー 6.00 レアルマドリード勝利1.22

リバープレート勝利1.36 ドロー 4.50 アルアイン勝利 8.50

 

少しだけ、ドローよりも鹿島勝利側に寄ってます

 

 

 

また、bet365では大会優勝オッズも出ています

 

レアルマドリード 1.33

リバープレート 3.25

鹿島アントラーズ 41.00

アルアイン 67.00

 

鹿島とアルアインだと、鹿島の方が上、とみられているわけですね

この41.00倍、というのは、William Hill設定で、ベスト16まで出そろったヨーロッパチャンピオンズリーグで、マンチェスターユナイテッドが優勝する、というオッズと同じです

まあ、試合数が全然違うので、意味合いもだいぶ異なりますけど

 

というわけで、一発勝負でもあるし、天文学的数値ではなく、それなりにあり得るレベルで勝つ可能性がなくはないよ、と日本じゃないところで、仕事として結果を予想してオッズを作る人からも思われている、ということでした

 

 

 

なお、オッズは時間経過によって、執筆時のものから変更される場合もあります

 

 

全日本選手権18プレビュー2

さて、女子シングルへ続きます。

女子はグランプリシリーズに10選手が出場しました。そのうち松田悠良選手はケガの関係で、全日本選手権にはエントリーもしませんでした。それでもグランプリレベルの選手が9人も全日本に出場することになります。

それも含めて、今シーズンの国際試合、グランプリシリーズ、ジュニアグランプリシリーズ、チャレンジャーシリーズの結果を並べてみることにします。

リストにあるのは、全日本選手権にエントリーしている選手のみです。

 

 

紀平梨花 233.12(82.51(47.36,35.15) 150.61(78.21,72.40)) 優勝 グランプリファイナル

紀平梨花 224.31(69.59(38.40,32.19) 154.72(87.17,67.55)) 優勝 NHK杯

 

宮原知子 219.71(73.86(39.42,34.44) 145.85(75.00,70.85)) 優勝 スケートアメリカ

宮原知子 219.47(76.08(40.33,35.75) 143.39(71.89,71.50)) 2位 NHK杯

紀平梨花 218.16(70.79(40.67,31.12) 147.37(81.05,66.32) 優勝 オンドレイネペラ杯

坂本花織 213.90(71.29(37.92,33.37) 142.61(75.41,67.20)) 2位 スケートアメリカ

坂本花織 211.68(70.23(37.23,33.00) 141.45(74.45,68.00)) 4位 グランプリファイナル

 

三原舞依 209.22(70.94(39.06,31.88) 138.28(72.92,65.36) 2位 ネーベルホルン杯

紀平梨花 205.92(67.64(35.51,32.13) 138.28(72.23,66.05)) 優勝 フランス杯

三原舞依 204.20(70.38(37.70,32.68) 133.82(67.71,66.11)) 4位 NHK杯

山下真瑚 203.06(66.30(35.41,30.89)) 136.76(71.67,65.09)) 2位 スケートカナダ

三原舞依 202.81(67.95(35.36,32.59) 134.86(68.92,65.94)) 2位 フランス杯

宮原知子 201.31(67.52(32.58,34.94) 133.79(64.23,69.56)) 6位 グランプリファイナル

宮原知子 201.13(67.53(32.53,35.00) 133.70(66.54,68.16) 優勝 USインターナショナル

 

坂本花織 197.42(57.26(26.93,32.33) 140.16(72.96,67.20)) 3位 GPヘルシンキ

白岩優奈 191.46(63.77(33.29,30.48) 127.69(64.59,63.10)) 4位 GPヘルシンキ

 

本田真凛 188.61(65.37(33.43,31.94) 123.24(57.56,65.68)) 6位 フランス杯

横井ゆは菜 184.09(57.62(32.99,25.63)) 126.47(71.32,55.15)) 3位 JGPアルメニア

山下真瑚 182.22(55.33(27.73,28.60) 126.89(65.93,60.96) 3位 ロンバルディア

樋口新葉 181.29(66.51(34.02,32.49)) 114.78(52.37,62.41)) 6位 スケートカナダ

白岩優奈 180.93(60.35(30.17,30.18) 120.58(60.73,60.85)) 5位 ロステレコム杯

坂本花織 180.85(49.91(20.63,30.28) 130.94(66.70,64.24) 4位 ロンバルディア

 

本田真凛 178.89(56.66(27.38,30.28) 122.23(58.79,63.44) 6位 ネーベルホルン杯

荒木菜那 176.50(60.93(36.19,24.74) 115.21(62.75,52.46)) 5位 JGPカナダ

川畑和愛 173.84(58.89(31.98,26.91) 114.95(60.37,54.58)) 5位 JGPスロバキア

横井ゆは菜 173.15(51.65(28.28,24.37) 121.50(66.41,55.09)) 6位 JGPスロバキア

白岩優奈 173.01(55.35(28.79,27.56) 118.54(59.30,60.24)2位 アジアンオープン

白岩優奈 170.74(54.47(28.91,26.56) 115.39(55.39,60.00)5位 USインターナショナル

川畑和愛 167.49(66.85(38.64,28.21) 100.64(46.77,55.87)) 5位 JGPスロベニア

樋口新葉 167.01(57.54(28.22,29.32) 109.47(48.23,62.24) 5位 オータムクラシック

荒木菜那 165.80(63.06(37.23,25.83)) 102.74(51.02,53.72)) 5位 JGPアルメニア

山下真瑚 163.45(50.97(24.53,27.44) 112.48(55.44,57.04) 3位 アジアンオープン

山下真瑚 161.22(51.00(23.25,28.75) 110.22(52.33,57.89)) 7位 ロステレコム杯

 

本田真凛 158.04(62.74(30.38,32.36)) 95.30(37.66,58.64)) 8位 スケートアメリカ

本郷理華 156.59(51.11(23.79,28.32) 105.48(51.64,53.84)) 10位 GPヘルシンキ

青木祐奈 154.24(54.81(28.58,26.23) 99.43(47.78,51.65)) 7位 JGPカナダ

新田谷凛 133.86(45.57(20.41,26.16) 88.29(39.05,50.42) 9位 オンドレイネペラ杯

本郷理華 133.66(46.54(19.69,26.85) 87.12(39.91,49.21) 16位 フィンランディア杯

 

220点を超える点数を出したのは紀平選手ただ一人です。210点以上で宮原知子選手と坂本花織選手が加わり、200点以上には三原舞依選手、山下真瑚選手。ここまでで5人もいます。

 

今シーズンの結果を見ると、紀平選手が頭一つ出ていて、それに平昌オリンピック組の宮原坂本の二選手が続く、といった構図に見えます。これは昨年の全日本選手権の表彰台の三人と同じで、順番が入れ替わっているだけです。日本の女子全体のレベルが上がってはいるのですが、上三人はここ一年間でその内部での入れ替わりはあるものの、その下から追い越される構図にはなかった、ということになります。

 

優勝争いはこの三人かな、というように見えます。紀平選手が圧倒的に強いか? というと、ノーミス比べをしたらそうなるけれど、まだまだノーミスでいつでも滑る力はなく付け入るスキはある、といったところではないでしょうか。グランプリファイナルの点を出されると、ちょっと日本ではだれもとどかなさそうですが、NHK杯くらいなら、宮原選手はノーミスで届きます。ましてフランス杯くらいの点だと、表彰台から落ちる可能性も残ります。

宮原選手は五連覇がかかる大会です。五連覇すれば伊藤みどりさん以来。浅田真央さんも5連覇目の大会では安藤美姫さんに敗れています。ジャンプの矯正をしていて調子が悪い、というシーズンのことでした。宮原選手はソチオリンピックから平昌オリンピックまでの間、日本人選手に負けたのは、平昌直前の四大陸選手権のみでした。それがこの一年では、その四大陸に次いで、世界選手権では樋口選手が上に行き、今シーズンは紀平選手に二敗しました。まだまだ十分強い選手だとは思いますが、盤石さはだいぶ薄れてきています。また、浅田真央選手の連覇が途切れたときと同じように、宮原選手も今シーズンはジャンプの矯正中、とされています。

ソチの翌シーズン、浅田真央さん不在の中で全日本に優勝しました。それでも次のシーズンは浅田真央選手が戻ってきたので、やはりそちらの方が強いのかな? という空気が最初はありました。それが、NHK杯浅田真央復帰後の初対戦に勝って優勝。ファイナルでも2位に入って浅田真央さんの上に行きました。そして全日本選手権、ショートフリーともに1位の完全優勝で二連覇。二週間おきの三連戦で、浅田真央さんに三連勝して、宮原知子の時代の到来を印象付けました。

歴史は繰り返すのでしょうか。シニアに上がった紀平梨花選手が、NHK杯で宮原選手と初対戦、フリーでトリプルアクセル2本を決めて優勝。ファイナルでも優勝し、宮原選手の上を行きます。最後は全日本選手権。初優勝を目指す紀平選手と五連覇を賭ける宮原選手。これに勝てば、日本は紀平梨花の時代、という風になりそうに見える。歴史は繰り返されるのか、五連覇を果たして歴史を塗り替えるのか。

 

紀平選手の不利な点としては、連戦が続いている、というところにあります。NHK杯から二週間おきにフランス杯、グランプリファイナルときて、全日本まで来ました。NHK杯の前には西日本選手権にも出ています。11/3の西日本選手権ショートプログラムから、12/23全日本選手権フリーまで、50日間で5試合、海外2か所付き、エキシビジョン三戦付。この間に、彼女の周りの環境も激変しています。それについていけているか。ここまで三戦とは周りの見る目も違います。挑戦者ではいられない立ち位置になってきている。その中で結果を出せるか。

宮原選手はグランプリファイナルの出来はよくありませんでした。一方で、その出来でも200点には乗るんだ、というのは一つの驚きであり強さだなとも思いました。ジャンプの矯正中、ということで、今シーズンはもっと苦労すると思っていたのが、グランプリシリーズは219点台二つ、と並べてファイナルへ。ファイナルの出来が悪かったので心配ではあるのですが、二週間でどこまで立て直しているか。

この二人が同じ先生のところにいるんですよねえ。どっちが勝っても濱田先生は五連覇です。

それに挑戦するのが中野先生のチーム。坂本選手は210点台後半までは出せるので、紀平宮原両選手にミスが出てくるとチャンスはあるという立ち位置です。ファイナルはもったいなかったですけど、今度はどうでしょう? ミスなく滑れば・・・。

 

その三人に次ぐのが、やはり中野先生のチームで三原舞依選手。昨年のグランプリシリーズから国際試合+全日本で8試合連続で200点台継続中。この安定感は紀平選手、坂本選手より上です(宮原選手は10試合連続200点以上継続中)。ただ、爆発力が残念ながらなくて210点台に乗らない。

技術点はあるんですが、演技構成点が8点前後しかもらえなくて、上位三人と差があります。三原選手の今シーズンのベストスコアは、世界全体で見ても8番目、シニアの選手だけで見れば6番目なんですけどね。それなのに、日本の中では4番目になってしまう・・・。昨シーズンから持ち越しのフリー、ガブリエルのオーボエは、大きな舞台で見たいプログラムでもあるんですが、どうなるでしょう

 

今シーズン200点台を出している、というところでは山下真瑚選手もいますが、実績、安定感共に、三原選手とはちょっと同列には並べにくいでしょうか。このあたりは、5番手グループとして、白岩優奈選手、本田真凛選手あたりと広く括る方が近いかもしれません。5番手グループの一番上、的な位置にいるでしょうか。ここにもう一人、ジュニアからですが横井ゆは菜選手も入れて4人の5番手グループ、と見たい印象です。

この辺のグループの中で誰が一番上に来るか。

今回の大会、表彰台に乗れないまでも、5位に入ることは結構大事だと思っています。予想であり、可能性の話に過ぎませんが、四大陸選手権の出場権は5位あたりにまで回ってくるのではないか、と思っています。

シニア一年目の紀平選手は、上位に入れば四大陸選手権にも出るでしょう。しかしながら、四大陸選手権で優勝経験のある、宮原坂本三原三選手は、四大陸選手権に出るかどうか?

世界選手権の出場権がなければ、四大陸にも出るでしょう。しかし、世界選手権の出場権が入ってくればどうか。選んでいいなら出るかもしれませんが、今回の選考条件からすると、その辺には出場権を渡さないのではないか、と思うのですよね。四大陸選手権にはロシアがいませんし、北米の強い選手も今シーズンは休みが目立つ。そんな中で、日本の表彰台に乗った選手で、経験をすでに十分積んだ選手を出しても仕方ない、という感覚はあるかと思います。なので、5位に入っておけば、四大陸選手権の切符は回ってくるかもしれない。

山下、白岩、本田の三選手は、四大陸選手権の出場経験はありません。ジュニアだけど年齢的にはその三人より上の横井選手を含め、四大陸選手権の争いも、かなり激しくなるかと思います。

 

さて、この辺で、世界選手権の選考基準を確認します。

 

全日本選手権大会優勝者を選考する。

②以下のいずれかを満たすものから総合的に判断して1名先行する。

A)全日本選手権大会2位、3位

B)ISUグランプリファイナル出場者上位2名 (紀平梨花、坂本花織)

C)ISUワールドスタンディング上位3名 (樋口新葉三原舞依宮原知子)

➂以下のいずれかを満たすものから総合的に判断して、①②で選考された選手を含め3名に達するまで選考する。

A) ②のA)からC)に該当し、②の選考から漏れた選手

B)  ISUワールドランキング上位3名 (紀平梨花宮原知子、坂本花織)

C)  ISUシーズンベストスコア上位3名 (紀平梨花宮原知子、坂本花織)

 

やはり、紀平坂本宮原三選手の名前が並びます。そんな中に、ここまで出てきていない名前が一つあります。樋口新葉選手です。

樋口選手は今シーズン不調です。チャレンジャーシリーズでは170点にも届かず、グランプリシリーズに入っても181点にとどまりました。二戦目は欠場。国内の試合含め、点が伸びていない中でケガも抱えている。過去の実績考えれば、表彰台争いに絡んできてもおかしくないんですけど、現在の怪我の状況はどうなんでしょう?

元々全日本は強い選手でしたし、ケガからしっかり回復できていれば、一発やってくれる、という展開もあるのかもしれません。

 

 

さて、シニアの上位はそんな戦いがあるわけですが、ジュニアは、世界ジュニアを目指しての試合となります。全日本ジュニア優勝者である横井ゆは菜選手は、世界ジュニアの出場権は獲得済み。残りの五選手で、残りの枠二つを争います。

 

①全日本ジュニアの優勝者 (横井ゆは菜)

②以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して、①で選考された選手を含め3名に達するまで選考する。

A)全日本ジュニア3位以内 (荒木菜那、川畑和愛)

B)JGPファイナル出場者 (該当なし)

C)全日本の上位3名

D)ISUシーズンワールドランキング上位3名 (横井ゆは菜 荒木菜那? 川畑和愛?)

E)ISUシーズンベストスコア上位3名 (横井ゆは菜 荒木菜那 川畑和愛?)

 

基本的に並んでいる名前は、横井、荒木、川畑三選手だけですね。時折?が付いているのは、全日本の出場権のない、住吉選手や吉岡選手の方がランキングが上だったりするのですが、ここにある選考基準は、全日本出場者の中の上位3名なのか、全体含めて3名以内であることが名を連ねる条件なのか、わからないためです

 

いずれにしても、全日本ジュニアで4から6位で、かつ、ジュニアグランプリシリーズに出場しなかった、あるいはしても上位に残れなかった、渡辺倫果、青木祐奈、長縄和奏の三選手は、全日本で、ジュニア中3番以内に入ることが必須になります。

まあ、ここまでの今シーズンの成績や、昨シーズンの実績あたりを見ても、順当にいくと、残りの二枠は、荒木川畑二選手で埋めそうに見えるのですが、ノービス時代には優勝経験のある青木祐奈選手が、ショートフリーでルッツループをしっかり決めてきたりすると、勝負に絡んできたりするかもしれません。

 

 

さて、最後にユニバーシアード、の選考もあるのですが、女子シングルは、トップ選手でこの年代の選手はあまりいません。高校生年代がいまの主力になっていて、ユニバーシアードの対象年齢にいるのは、ここまで名前を上げてきた中では、宮原知子選手と三原舞依選手の二人だけです。宮原さんは、さすにがユニバーシアードはないでしょう。三原選手は世界選手権の選考に漏れたら、ユニバーシアードでも出る可能性はあるかもしれません。(事前に派遣の希望を出すことが条件としてあるのですが、おそらく申請していないと思われます)

その下に下がっていくと、大学生年代でいるのは、4年生になっている本郷理華さんがいます。また、チャレンジャーシリーズには出場していた新田谷凛選手も大学3年生です。新田谷選手は、前回ユニバーシアードに出場して、トゥクタミシェワ選手あたりを抑えて、ラジオノワに次ぐ二位に入っています。

 

そのあたりの選手の今年の状況を見てみるために、ユニバーシアード対象選手の、国内地方大会の成績を見てみます。

 

野比奈 170.76(62.18(35.38,26.80) 108.58(54.82,53.76)) 2位 西日本選手権

大庭雅 168.38(60.22(32.78,27.44) 108.16(55.68,52.48)) 4位 西日本選手権

細田采花 164.52(52.22(28.82,23.40) 112.30(63.58,48.72)) 6位 西日本選手権

新田谷凛 164.37(56.67(31.55,26.12) 107.70(57.14,50.56)) 7位 西日本選手権

野比奈 160.80(55.22(30.28,24.94) 105.58(54.25,51.33)) 優勝 中四国九州選手権

細田采花 157.70(56.48(32.90,23.58) 101.22(54.62,47.60)) 3位 近畿選手権

磯邉ひな乃 155.31(58.55(33.67,24.88) 96.76(48.44,48.32)) 8位 西日本選手権

磯邉ひな乃 155.22(55.29(30.75,24.54) 99.93(51.40,48.53)) 3位 中部選手権

大庭雅 148.14(52.16(27.30,25.86) 95.98(45.71,50.27)) 4位 中部選手権

 

150点以上のスコアを出した選手のみを選んでいます。年齢的には、グランプリシリーズ出場経験のある、加藤利緒菜選手や中塩美悠選手、さらにはグランプリシリーズで表彰台経験のある永井優香選手も対象なのですが、このあたりの選手は150点に乗せることが地方大会で出来ていませんでした。

大庭選手は、大学を卒業しているようですが、卒業した年はユニバーシアードの出場権利があります。

 

この中では、新田谷選手が、強化指定B選手でもあり、過去の実績は高めです。大庭雅選手は全日本でトップ10に入ったり、世界ジュニアに出場した経験もあります。また、磯辺選手は前回のユニバーシアードに出場し、新田谷選手に次ぐ3位表彰台でした。

面白いのは細田采花選手でしょうか。濱田チームの一員で、西日本選手権では、ショートフリー合わせて3本のトリプルアクセルに挑み、すべて着氷。何を思ったか西日本に出ていた紀平選手と、NHK杯より一足早く、日本国内でトリプルアクセルの競演、しかも二人して3本づつというのをしていました。

 

このあたりの選手は、全員チャンスがあるように見えます。本郷理華選手のグランプリシリーズでの得点が156点台ですから、彼女もこの一群に埋もれている現状です。

今シーズンの持ち点が高いのは竹野選手ですが、ここに並んだ名前の中では、国際大会の経験がほかの選手と比べて少なく、トリプルアクセルのような目立つ武器がありません。ただ、唯一の九州地区からの全日本出場選手でもありますし、本人も、強化指定選手入りを目指している、というコメントを出しています。確かに今シーズンは、強化指定選手の下位の方とは同等以上の得点も出していますし、ここでユニバーシアードの代表に選ばれて、できれば表彰台にでも乗って帰ってくると、来シーズンは指定選手に入って国際大会へ、という可能性もあるでしょうか。二十歳を過ぎてから初めて強化選手に入って、国際大会へ出るようになって世界へ羽ばたく、というような選手が出てくると、日本のフィギュア界もまた変わっていく、厚みが増していく、と思うので、そういう点でも頑張ってほしい選手ではあります。

 

女子は、全体のレベルが高いので、この辺の選手の層も厚く大変なのですが、見ている方としては、上位だけでなく、中位以下の選手の滑りでも十分楽しめる、という点で大変ありがたいことではあります。

(追記:女子のユニバーシアードの枠は2つ、となりました)

 

大きな大会には出場枠、というものがあるので、これは選手同士で争うしかありません。当然ですが、枠に入れる選手と入れない選手が出てきます。なので、欲しいものが手に入らなかった、という選手は出てくるでしょう。それでも、自分が納得できる演技、というのは、枠に関係なく、誰もができるチャンスを与えられています。世界の頂点を目指す選手から、この大会に出ることが夢だった選手まで。平等に、自分が納得いく演技をするチャンスは与えられています。

練習してきたことを、自分一人、あるいはペア競技では二人、だけで、ステージに立って発表する。ある意味では、日本最大のお稽古事発表会。それが、フィギュアスケート全日本選手権、のようにも感じたりしています。

 

いい演技には拍手を、ミスの出た演技には慈愛を

そんな気持ちで、見ることができればよいかな、と思っています

 

 

 

全日本選手権18プレビュー1

今年も全日本選手権のシーズンが近づいてきました。

紀平梨花選手の凱旋試合兼羽生結弦選手の三年連続欠場、なんていうところでまずは試合前の話題に事欠かない状態になってますかね。

 

まず、男子シングルについて、見てみたいと思います

今シーズンのISU公認の国際試合の結果を並べて、まず眺めてみましょうか

対象は、グランプリシリーズとジュニアグランプリシリーズ(どちらもファイナル含む)に、チャレンジャーシリーズです。

全日本選手権の出場権を持っている選手のみ、載せています。

 

 

羽生結弦 297.12(106.69(59.09,47.60) 190.43(98.01,92.42)) 優勝 グランプリヘルシンキ

 

羽生結弦 278.42(110.53(62.44,48.09) 167.89(78.25,90.64)) 優勝 ロステレコム杯

宇野昌磨 277.25(88.87(46.63,43.24) 188.38(101.74,88.64)) 優勝 スケートカナダ

宇野昌磨 276.45(92.49(48.91,44.58) 183.96(94.18,89.78)) 優勝 NHK杯

宇野昌磨 276.20(104.15(57.65,46.50) 172.05(83.75,89.30) 優勝 ロンバルディア

宇野昌磨 275.10(91.67(46.88,44.79) 183.43(93.29,90.14)) 2位 グランプリファイナル

羽生結弦 263.65(97.74(52.34,45.40) 165.91(79.01,87.90) 優勝 オータムクラシック

 

友野一希 238.73(82.26(42.47,39.79) 156.47(77.89,78.58)) 3位 ロステレコム杯

田中刑事 221.92(77.53(37.83,39.70) 144.39(64.09,80.30) 3位 オンドレイネペラ杯

友野一希 220.83(81.63(43.67,37.96) 139.20(65.98,74.22)) 9位 スケートカナダ

島田高志郎 220.45(74.78(40.89,34.89) 145.67(73.81,71.86)) 2位 JGPオーストリア

 

友野一希 216.74(75.47(39.07,37.40) 141.27(70.07,72.20)) 5位 ロンバルディア

田中刑事 216.32(79.35(41.23,38.12) 136.97(62.61,74.36)) 8位 フランス杯

島田高志郎 214.38(73.97(38.10,35.87) 140.41(71.55,69.86)) 3位 JGPファイナル

本草太 213.40(74.98(38.58,36.40) 138.42(62.64,75.78)) 6位 NHK杯

島田高志郎 212.95(73.48(39.45,34.03) 139.47(70.11,69.36)) 3位 JGPスロベニア

 

田中刑事 206.82(80.60(42.28,39.32) 126.22(54.92,72.30) 8位 グランプリヘルシンキ

本草太 205.79(72.16(37.07,35.09) 133.63(62.71,70.92)) 9位 フィンランディア杯

日野龍樹 205.15(70.92(37.79,33.13) 134.23(67.15,67.08)) 10位 フィンランディア杯

鍵山優真 202.02(65.10(31.93,33.17) 136.92(69.92,67.00)) 2位 JGPアルメニア

 

本草太 198.92(57.92(25.37,32.55) 141.00(70.40,70.60) 優勝 アジアンオープン

鍵山優真 194.73(75.60(42.86,32.74) 119.13(52.71,66.42)) 4位 JGPカナダ

木科雄登 191.80(68.98(36.59,32.39) 122.82(58.96,64.86)) 3位 JGPリトアニア

佐藤洸彬 185.18(67.38(34.31,34.07) 117.80(53.44,68.36)) 10位 NHK杯

佐藤洸彬 176.30(56.34(27.89,32.45) 119.96(53.06,66,90)) 6位 USインターナショナル

木科雄登 175.80(67.04(33.43,33.61) 108.76(45.56,64.20))  9位 JGPアルメニア

三宅星南 165.19(63.43(33.46,30.97) 101.76(43.14,60.62)) 10位 JGPカナダ

 

 

250点以上を出した選手は二人だけ。羽生結弦選手と宇野昌磨選手だけです。この二人は250点以上を出したことがある、というよりは、250点以下を出したことがない、という表現の方がたぶん適切でしょうか。

この状況で、羽生結弦選手が欠場するわけですから、また今年も宇野選手が敵のいない、という状態で戦う形になりそうです。優勝スコアは、276点台なんですかね。何なんでしょう、4試合滑って、最高と最低で2.15しか点差がない宇野選手、というのは。

 

宇野選手の一番低い点数と、他の全選手の一番良い点数の差が、36.37点あります。ちょっと勝負になりません・・・。

 

さて、問題は二位以下。

今年は、国際試合に出ていない有力選手、というのが混ざっているので、国内大会の今シーズンの状況も少し見てみましょうか。

全日本ジュニアの上位6人と、東日本西日本で200点以上を出したor国際大会出場者の点数、と、東異本西日本のジュニアで、全日本ジュニアの上位6人の点数、というのを並べます。

 

高橋大輔 244.67(83.56(41.61,41.95) 161.11(74.61,86.50)) 優勝 西日本選手権

友野一希 233.00(83.27(46.62,36.65) 149.73(77.83,72.90)) 2位 西日本選手権

 

壷井達也 222.79(78.23(43.58,34.65) 144.56(75.46,69.10))  優勝 全日本ジュニア

佐藤駿 222.30(66.01(36.81,29.20) 156.29(87.89,68.40)) 2位 全日本ジュニア

 

島田高志郎 210.03(82.35(45.90,36.45) 127.68(59.58,69.10))  3位 全日本ジュニア

中村優 203.40(78.86(43.91,34.95) 124.54(60.34,64.20))  3位 西日本選手権

壷井達也 202.06(63.79(31.54,32.25) 138.27(68.17,70.10)) 2位 西日本ジュニア

 

木科雄登 198.84(74.26(40.21,34.05) 124.58(57.58,67.00)) 4位 全日本ジュニア

鍵山優真 197.60(60.71(29.01,32.70) 136.89(71.59,66/30)) 5位 全日本ジュニア

三宅星南 197.02(72.73(391.3,33.60) 124.29(57.89,66.40)) 6位 全日本ジュニア

鍵山優真 195.65(631.4(30.59,33.55) 132.51(66.11,67.40)) 優勝 東日本ジュニア

佐藤駿 194.05(71.35(40.45,30.95) 122.70(61.10,61.60))  2位 東日本ジュニア

 

木科雄登 187.50(76.37(41.92,34.45) 111.13(49.13,64.00)) 4位 西日本ジュニア

島田高志郎 185.66(64.50(33.00,33.50) 121.16(55.46,67.70)) 3位 東日本ジュニア

佐藤洸彬 178.89(60.70(28.50,33.20) 118.19(55.19,65.00)) 2位 東日本選手権

三宅星南 172.42(66.54(34.74,31.80) 105.88(43.48,62.40)) 5位 西日本ジュニア

 

今シーズン復帰した高橋大輔選手が、国内大会の最高得点を持っています。

この点数は、国際大会で、羽生選手宇野選手、二人以外の選手が出した最高点よりも上になっています。

つまり、高橋大輔選手は、ごく普通に、表彰台候補の一人、として名前が挙がってきます。

それに次ぐのが、国際大会国内大会、どちらでも230点台を出した友野選手、という風にいまのところはなっています。

 

また、国際大会で220点前後の点までは、オリンピックに出た田中刑事選手や、ジュニアの島田高志郎選手も出してきています。島田選手は全日本ジュニアではフリーで失敗して3位に敗れましたが、優勝と2位は、国際試合の出場がなく、この全日本ジュニアに合わせてきた選手であるのに対し、島田選手は、二週間後のJGPファイナルに目が行く部分もあったでしょうから、全日本ジュニアの負けは、そんなに心配しなくてもいいのかもしれません。

また、ジュニアの試合ではフリーにコレオグラフィックシークエンスがありません。そのため、シニアよりも要素が一つ少なくなっています。時間も伸びて構成も変えないといけない部分も出るので、単純にその分足すのがいいかどうかは分かりませんが、基礎点3.0のコレオシークエンスの分を考えると、島田選手のシーズンベストは、田中選手のシーズンベストよりも実質的に上に来るくらいの位置にいます。

 

その次あたりに、ケガから本格復活途上で、NHK杯でグランプリデビューした山本草太選手と、全日本ジュニアの上位二人、壷井達也選手、佐藤駿選手、このあたりになってくるかと思います。

 

 

一旦まとめると

宇野選手の優勝は堅そう

高橋大輔友野一希両選手が、それに次ぐ点数を今シーズン持っている

その二人を押しのけて表彰台を狙いたいのが田中刑事選手とジュニアの島田高志郎選手

もう一段階したくらいの位置に、山本草太選手と、ジュニアから壷井達也、佐藤駿の二選手。

 

こんな風に見えます。

 

大きな変動要素としては、高橋大輔選手、どんな状態なんだろう? というのがあります。四回転まで決めてきて、ミスなくこなすと250点台まで出てきて2位に入ってくる可能性を感じるとともに、無理に四回転をショートフリー共に入れ込んで失敗し、それに付随してプログラムコンポーネントも伸びず、後半も体力不足でジャンプがうまくいかず、なんてなると200点台くらいまで落ちてくる、ということもあるでしょうか。この大会で上位を狙う、というのなら四回転なしで、紀平梨花構成で挑むのが良いと思うのですけど、たぶん、目標はそういうことではないんじゃないかと思うので、点を出すことを目指すのではなく、やりたいことをやりたいように、ということになるのかな、と思います

 

友野選手あたりの位置にいる選手にとって、「高橋大輔」という存在がいるのがどう影響するのかは、いまいちわかりません。負けられない、というマイナスのプレッシャーが掛かるのか、負けてられるか、で力になるのか。昔、テニスの伊達公子さんが復帰した時、日本のトップではないけれど、三番手くらいにいて、世界の上位をうかがう、というレベルだった選手が対戦し、負けてしまった、ということがありました。それ以降、その選手は、今一つ伸び切れずに現役生活を終えました。そういうような方向に向かわなければいいな、と思いますが、まあ、余計な心配ですかね。

 

この大会は世界選手権などの代表選考を兼ねています。これがいろいろと状況を複雑化するので面白い要素なわけですが、そちらの方向性の話へ進めていきます。

 

まず、基本的に、「最終選考会である全日本選手権大会への参加は必須である」とされています。ただし、ユニバーシアードについては、その文言の記載がありません。

例外規定として、過去に世界選手権大会3位以内に入賞した実績のある選手は、やむを得ない理由で参加できなかった場合、対象となる大会時の状態を見通して選考することがある、という記載があります。

羽生結弦選手は、これに該当します。過去二年も、ほぼこれと同じ文言の規定により、世界選手権ないしはオリンピックの代表になりました。

今回はどうなんでしょう? 今伝えられている怪我の様子からすれば、世界選手権までには十分に回復する、と判断されそうな気はしますけれど。四大陸選手権はどうでしょう? そのあたりが3番手4番手当たりの選手にとっては重要事項です。 2月4-10という日程。間に合うかもしれませんが、無理に間に合わせることもないでしょう。本人にとっても周りにとっても、他の選手に1枠回しておいた方がよいだろうと思います。また、世界選手権も、状況によっては、出場権を与えない方が良い、という考え方もあると思います。この選手、そうでもして、出られる試合をなくさないと、休まないような気がするので。開催が日本なので、連盟としても羽生選手に出て欲しい、という部分はあるかと思いますが、長い目で見て、休んだ方がいいという判断を下すべき可能性もあります。その辺は、ケガの詳しい状態なんてわからない中で言ってますから、素人のたわごとでしたかないのですけれど。

 

さて、もう一人、代表選考での扱いが分かりにくい選手がいます。高橋大輔選手です。

まず、選考対象になった場合、本人に出る意思があるのか? 復帰会見の時には、国内だけです、と言っていたので意思はないようでしたけれど、それから時間が経ち、ある程度点数が出るようになってきた中で、全日本で表彰台に乗ったとき、どう思うか?

次に、連盟が選ぶのか? というのがあります。世界選手権、ないしは四大陸選手権に出るためには、ISU公認試合で、ミニマムポイント、と呼ばれる点数を超える得点を出したことがある必要があります。これは昔のポイントは使えませんので、今シーズン復帰して国際大会に出ていない高橋選手は、条件を満たしていません。ただ、選考にあたっては、ISUの定める獲得期限日までにミニマムポイント獲得を条件として選考することがある、という条項があります。この条項は死に文でもなくて、以前ペアなりアイスダンスなりで、実際に適用されました。ただ、男女シングルでは、これが適用された例はなかったかと思います。実は昨シーズン、ひょっとしたら山本草太選手が表彰台に乗って、これが起きるんじゃないか? なんてことも思いましたが、そこまでは届きませんでした。昨年のそれより確率高そうな高橋大輔選手の場合、どうなるのか? ちょっと楽しみだったりします。

 

さて、そういう二つの不確定要素があるなかで、全日本選手権という大会の順位争いと、その先に続く国際大会への選考レース、という二つが並行して行われます。

世界選手権の代表選考は以下のようになっています

 

① 全日本選手権大会優勝者を選考する。

② 以下のいずれかを満たすものから総合的に判断して1名先行する。

A)全日本選手権大会2位、3位

B)ISUグランプリファイナル出場者上位2名

C)全日本選手権大会終了時点でのISUワールドスタンディング上位3名

➂ 以下のいずれかを満たすものから総合的に判断して、①②で選考された選手を含め3名に達するまで選考する。

A) ②のA)からC)に該当し、②の選考から漏れた選手

B) 全日本選手権大会終了時点でのISUワールドランキング上位3名

C) 全日本選手権大会終了時点でのISUシーズンベストスコア上位3名

 

今の段階で②のB)は宇野選手が該当します。

ISUワールドスタンディング上位3名は、宇野、羽生、田中

ISUワールドランキング上位3名は、宇野、羽生、田中

ISUシーズンベストスコア上位3名は、羽生、宇野、友野

となっています。

 

これ以外の選手は、表彰台に乗らないと、選考対象になりません。まあ、代表は単純に、優勝した宇野選手、ケガ救済条項から羽生選手、もう一人は二位になった選手になると思いますが、高橋大輔選手が二位になったらどうしますかね? というのは見ものです。

 

また、羽生選手を選ぶ場合は、②で選ぶのか、➂で選ぶのか、というのも一つ問題になります。なぜか? というと、宇野選手が優勝して、二位三位にジュニアの選手が入ったり、高橋大輔選手が入って国際大会への出場の意思がないと言った場合は、②の対象になるのは、羽生選手と田中選手だけになります。②の段階では全日本に出た選手を優先して、➂で羽生選手を選ぶ、という流れの場合、例えば友野選手が4位で田中選手が20位とかでも、代表は宇野、田中、羽生、という数え方になります。一方、②の段階で羽生選手を選ぶという流れなら、➂の段階で、田中選手と友野選手の両者が該当するので、どちらを選ぶか検討する、ということになります。

まあ、そんな物議をかもすような状態にならないためには、田中選手、友野選手、どちらかあるいは両方が、表彰台に乗って、きっちり代表を決める、となればいいわけですけど。

 

四大陸選手権の選考もあり、こちらにはさすがに羽生選手は入ってこないと思いますので、枠が少し広い、という状況に見えます。こちらの選考は、今シーズンは多少緩くて、全日本で10位以内に入れば選考対象になります。また、優勝者が必須のような書かれ方をされていないので、代表三人が三人とも国際大会の経験の浅い選手、みたいなこともありえます。以前は、四大陸選手権の代表も、一人目は全日本優勝者で固定されていた時期もあったのですが、今シーズンはそうはなっていない、ということです。連盟としても、羽生選手、宇野選手は、もう四大陸は卒業で、もう少し下の層にこのレベルの大会を経験させたい、という思いがあるでしょうか。

実は最近、四大陸選手権は日本選手勝ってないんですけどね。直近では2014年、ソチ直前の無良選手にまでさかのぼります。羽生選手は17年の2位、宇野選手も昨年の2位が最高順位です。宇野選手が出場を希望するかどうかで、枠がまた一つひろがるかどうか。

その辺があるので、最終グループに入れるかどうか、あたりの選手も、一つでも上に入るのが結構大事になってきます。ジュニアカテゴリーですが、島田選手あたりが表彰台、あるいはそこまでいかなくても4番あたりにまでくれば、四大陸の代表に入ってくるかもしれません。逆にシニアに上がっている山本選手あたりは、島田選手には負けたくない。そんな構図です。 

 

世界ジュニアは枠が二つ。一つは、全日本ジュニア優勝者の壷井選手で確定です。

もう一つは、つぎのA)からE)のいずれかを満たした選手が選考対象です

 

A)全日本ジュニア3位以内 (佐藤駿、島田高志郎)

B)JGPファイナル出場者 (島田高志郎)

C)全日本の上位3名

D)ISUシーズンワールドランキング上位3名 (島田高志郎 鍵山優真 木科雄登?)

E)ISUシーズンベストスコア上位3名 (島田高志郎 鍵山優真 木科雄登?)

 

DとEで木科選手に?が付いているのは、実際には須本選手が上位3名に入るのですが、全日本選手権の出場権がないので入れていないためです。世界ジュニアの選考は、全日本選手権への出場が必須なのですが、選考対象条項の上位3名という表現は、全日本選手権への出場する選考対象の中で、ということが暗黙の了解として含まれるのかどうかが判定できないのです。

 

まあ、その辺は細かい話なのですが、ここまでの状況を見ると、世界ジュニアの2枠目は島田選手が有利に見えます。ただ、全日本ジュニアは3位だった。全日本でも佐藤選手に負けるようだと、世界ジュニアの選考としては苦しくなります。佐藤選手は14歳ながら全日本ジュニアでは四回転二本にトリプルアクセル二本を下りました。島田選手と佐藤選手の一騎打ち感が強いですけど、どちらも世界ジュニアで見たいなあ。二人と比べると、やや得点力で落ちていますが、鍵山選手も、ショートのいい点とフリーのいい点を足すと210点台に乗せることは出来る、という計算なので、そこまで島田佐藤選手が落ちてくれば、チャンスがあると思います。

 

もう一つ、代表選考の対象として、ユニバーシアードというのがあります。これは、出場を希望した選手の中から選ばれるのですが、誰が希望をしているのかは分かりません。前回の時は、事前に希望を出す形で、選ばれたら断れません的なことが書かれた条項があったのですが、今シーズンの選考基準にはその記載はなくなっています。(派遣基準が公開され、選考された選手は辞退して他の大会に出場することは出来ない旨、記載されました)

ようは、今回は、世界選手権に選ばれるくらいの成績を出せたら、ユニバーシアードの方は出ない、というようなことを後からできる(前回はそれは出来なかった)、ということになります

対象としては、中京大学大学生であるところの宇野昌磨選手も含まれますが、出場を希望しているような気は・・、しませんね。

前回は男子はデニス・テンさん、女子はラジオノワが優勝と、トップ選手も何人か混ざってきます。今シーズンはロシアのクラスノヤルスクで開催。ロシアからはそれなりのトップ選手が来そうです。開催時期は3/2-12ですが、その中のいつがフィギュア競技なのかは確認できていません。世界フィギュアが3/18-24なので、ちょっと微妙な時期の開催です。

 

大学生年代の上位選手としては友野一希選手なのですが、世界フィギュアを見据えていると、出場は希望しないですかね。ユニバーシアードはわかりにくいのですが大学院生も可なので、田中刑事選手も権利はあります。前回は田中選手が出てデニス・テンに次ぐ二位。ただ、そのあと四大陸、世界選手権と、あまりいい演技ができませんでした。たぶん、この辺が、選考のための条項が前回と違っている理由の一つのような気がします。今回は、世界選手権に選ばれたら、ユニバーシアードは出ない、というでしょうきっと。(最初から候補として挙がることを希望しないでしょう、に訂正します)

 

そうなってくると浮かんでくるのは山本草太選手。ISUの大会ではないですが、国際大会の経験を積む、という点ではちょうどいい、とも思えます。その下からだと、大学を卒業した年でも可なので、日野龍樹選手も権利があります。また、国際大会に出ていませんが、西日本三位で、近畿選手権と二試合続けて200点を超えている中村優選手あたりもチャンスがあります。ユニバーシアードはこれくらいの位置の中堅選手たちにとってのちょうどいい目標になります。本田家長男の本田太一選手あたりも、今シーズンはこの辺が目標になりますかね。190点台のスコアを西日本で出してますから、チャンスはある中の一人かと思います。

追記:ユニバーシアードの枠は三つ、となっているので、この層の選手たちから複数派遣されるものと思われます。

 

 男子シングルは以上です。

 

 

 

グランプリシリーズ18答え合わせ2

 前回は男子シングル編でしたので、今回は女子シングル編です

同じように、各回の上位3選手、予想と正解を並べます。

 

スケートアメリカ

予想

正解

1位

坂本花織

宮原知子

2位

ブレイディ・テネル(USA)

坂本花織

3位

宮原知子

ソフィア・サムドゥロワ(RUS)

 

スケートカナダ

予想

正解

1位

エフゲニア・メドベージェワ(RUS)

エリザベータ・トゥクタミシェワ(RUS)

2位

エリザベータ・トゥクタミシェワ(RUS)

山下真瑚

3位

エリザベート・トゥルシンバエワ(KAZ)

エフゲニア・メドベージェワ(RUS)

 

ヘルシンキ

予想

正解

1位

アリーナ・ザギトワ(RUS)

アリーナ・ザギトワ(RUS)

2位

坂本花織

スタニスラヴァ・コンスタンティノワ(RUS)

3位

ルナ・ヘンドリックス(BEL)

坂本花織

 

NHK杯

予想

正解

1位

紀平梨花

紀平梨花

2位

エリザベータ:トゥクタミシェワ(RUS)

宮原知子

3位

三原舞依

エリザベータ:トゥクタミシェワ(RUS)

 

ロステレコム

予想

正解

1位

アリーナ・ザギトワ(RUS)

アリーナ・ザギトワ(RUS)

2位

山下真瑚

ソフィア・サムドゥロワ(RUS)

3位

樋口新葉

イム・ウンス(KOR)

 

フランス

予想

正解

1位

エフゲニア・メドベージェワ(RUS)

紀平梨花

2位

ブレイディ・テネル(USA)

三原舞依

3位

三原舞依

ブレイディ・テネル(USA)

 

優勝者はヘルシンキNHK杯、ロステレコムの三戦で正解。まあ、ザギトワの二勝は、普通あたると思いますが、NHK杯紀平梨花さんデビュー戦優勝を当てたのは結構えらい!

ただ、それ以外は、しっかりと順位を当てた予想は一つもありませんでした。

表彰台内で順位が違う、というところまでなら、スケートアメリカの坂本宮原両選手、スケートカナダもメドベージェワにトゥクタミシェワ、ヘルシンキの坂本花織、NHK杯のトゥクタミシェワ、フランスの三原さんとテネル、という感じで結構当たってるんですけどね。

 

そういう意味では、大筋、上位に来る選手の的は外していなかったということではあるのかなあ、と思います。トゥルシンバエワとルナ・ヘンドリックスは案外伸びなかったなあ、と思いましたけど。逆に、宮原選手は、ジャンプの矯正中ということだったので、もっと苦労するかと思ったのですが、予想以上に点が出てきていました。また、ロシアのサムドゥロワも二戦表彰台は予想外。山下選手は、試合は違ってしまいましたが、シリーズで表彰台に乗ってくる、というのは当たりました。

 

ファイナル進出者は六人中四人当たり。メドベージェワが入らない、という予想は出来なかったなあ・・・。サムドゥロワの躍進ってのも、予想するのは難しかったですね。紀平選手を当てたのはよかった。

 

ファイナル

予想

正解

1位

アリーナ・ザギトワ(RUS)

紀平梨花

2位

紀平梨花

アリーナ・ザギトワ(RUS)

3位

エフゲニア・メドベージェワ(RUS)

エリザベータ・トゥクタミシェワ(RUS)

4位

坂本花織

坂本花織

5位

エリザベータ・トゥクタミシェワ(RUS)

ソフィア・サムドゥロワ(RUS)

6位

ブレイディ・テネル(USA)

宮原知子

 

ファイナルは四位だけあたりました。点数的にも215点くらい、とみていたのが、三連続の最後のダブルで転倒しなければちょうどそれくらい、といういい線ついてました。

紀平選手は、勝つなら世界選手権、と思っていたのですけどねえ。予想よりだいぶ早く、プログラムコンポーネンツが9点台になってきました。ザギトワ選手がそれでも235点出して勝つと思ったのですけど、そちらが少し伸び切らなかったですね。

 

女子は優勝は日本二人ロシア二人で合計四人。表彰台が日本五人、ロシア五人、アメリカ一人、韓国一人。国籍が四つだけになりました。実は女子はジュニアでも、優勝はすべてロシア、表彰台はロシア韓国日本だけ、ということになっていて、少数国で上位が寡占状態です。

こういう状態は、あまり好ましくないなあ、と思います。

もう少し、様々な国の選手が活躍してくれた方が、世界的に広がりが出て、いいんですけどね。

ファイナルは日露決戦。それも、下手したら、日露よりさらに狭まって、濱田vsエテリ、になりかねない感じになってきています。来シーズン、白岩選手が覚醒し、エテリジュニアチームのシニア化準備が終わったら、本当に、濱田vsエテリ 3vs3団体戦、みたいな状態になってしまう可能性もあります。それはそれで、一度なら見てみたい気もしますけど、常態化するのはさすがに困ります。

グランプリシリーズ自体が、各試合12名まで、一か国から3人までのところ、日本とロシアが3人づつフルエントリー状態なので、半分が日本とロシアになり、フリーの後半グループはほとんど日露だけ、みたいなことになってきています。まあ、今シーズンは、アメリカカナダにさぼりが多い、という状況だからな部分はありますが、もう少し、各国から、日露の上位選手と戦える選手が出てくることを期待します。

 

 

 

 

 

 

グランプリシリーズ18答え合わせ1

今シーズンのグランプリシリーズが終了しました。

開幕前に無責任な予想、というのを立てていましたので、この辺で答え合わせをしてみようと思います。

まずは男子シングルから

 

スケートアメリカ

予想

正解

1位

ネイサン・チェン(USA)

ネイサン・チェン(USA)

2位

ビンセント・ゾー(USA)

ミヒャル・ブレジナ(CZE)

3位

アレクセイ・ビシェンコ(ISR)

セルゲイ・ボロノフ(RUS)

 

スケートカナダ

予想

正解

1位

宇野昌磨

宇野昌磨

2位

キーガン・メッシング(CAN)

キーガン・メッシング(CAN)

3位

ジェイソン・ブラウン(USA)

チャ・ジュナン(KOR)

 

ヘルシンキ

予想

正解

1位

羽生結弦

羽生結弦

2位

ミヒャル・コリヤダ(RUS)

ミヒャル・ブレジナ(CZE)

3位

ボーヤンジン(CHN)

チャ・ジュナン(KOR)

 

NHK杯

予想

正解

1位

宇野昌磨

宇野昌磨

2位

ドミトリーアリエフ(RUS)

セルゲイ・ボロノフ(RUS)

3位

セルゲイ・ボロノフ(RUS)

マテオ・リッツォ(ITA)

 

ロステレコム

予想

正解

1位

羽生結弦

羽生結弦

2位

ミヒャル・コリヤダ(RUS)

モリス・クビテラシビリ(GEO)

3位

キーガン・メッシング(CAN)

友野一希

 

フランス

予想

正解

1位

ネイサン・チェン(USA)

ネイサン・チェン(USA)

2位

ドミトリーアリエフ(RUS)

ジェイソン・ブラウン(USA)

3位

ボーヤンジン(CHN)

アレクサンドル・サマリン(RUS)

 

全六戦で優勝者は当たりました。と言えば聞こえはいいのですが、ちょっとどの試合も差がありすぎましたからねえ。10人いたら9人くらいは当てられる優勝者だったと思います。

二位三位で当たったのは、スケートカナダキーガンメッシングだけ。NHK杯で三位予想したボロノフが二位にいた、というのはかすりました。他は全然ダメ。ドミトリーアリエフとボーヤンジン、ミヒャルコリヤダといったが思ったより元気がなかったです。逆に、チャ・ジュナンはチャレンジャーシリーズだけかな、と思ってたらグランプリシリーズもしっかり滑ってましたね。あとは、ブレジナ選手が予想外。これが一番の予想外だった気がします。もう、過去の人かな、と正直ちょっと思ってました、申し訳ありません。

友野選手が表彰台に乗るのも、予想外しましたけど、点数が予想より低くての表彰台なので、これは謝らなくてもいいかな。

 

ファイナル進出は、六人中三人だけ当たりって、これもその三人は当たるだろ誰がやっても、というところだけでしたね。実際にはそこからケガで羽生選手が外れて、補欠のキーガンメッシング選手が入る。キーガンメッシング選手のファイナル進出、を予想してたから、そこまで含めて三人当たり、という意味では、誰でもあたる人以外も一人は当てたってことでいいんでしょうか。

 

ファイナル

予想

正解

1位

羽生結弦

ネイサン・チェン(USA)

2位

宇野昌磨

宇野昌磨

3位

ドミトリーアリエフ(RUS)

チャ・ジュナン(KOR)

4位

ネイサンチェン(USA)

ミヒャル・ブレジナ(CZE)

5位

ミヒャルコリヤダ(RUS)

キーガンメッシング(CAN)

6位

キーガンメッシング(CAN)

セルゲイ・ボロノフ(RUS)

 

ファイナルは2位が当たりました。2位はやっぱり2位なのね・・・

6位も当たりそうだったんですけどね、フリーで逆転。ここよりも、この先のナショナル選手権で世界選手権の切符を賭ける、というシチュエーションだったボロノフ選手は、ファイナル伸びませんでしたね。

男女問わず、グランプリファイナルは、3位には、へー、ここまで入ってくるんだー、みたいな選手がよく入ってくる気がします。優勝するのは本当に力がないとできないのですが、ファイナルの三番くらいまでは、意外と幅広い選手が届いてくる。チャ・ジュナン選手も、この一回で終わらず、この先繋げていけるか、注目したいと思います。

 

男子はシリーズで優勝したのが3人だけ、ということでこの3人が他よりも頭二つくらい抜けてしまっていますが、その下は意外と混戦な感じでしょうか。表彰台に乗った選手の国籍は、日本3人、アメリカ2人、ロシア2人、韓国1人、カナダ1人、チェコ1人、イタリア1人、ジョージア1人。それなりにばらけているように見えます。表彰台に乗るのが特定の国籍の選手だけ、というようなことになっていくと、競技の広がりが無くなっていくので興行的に苦しくなっていったりする気がするんですよね。そういう意味で、優勝者は限られてますが、その下の選手の幅はまだそれなりにあるので、そこは良かったんじゃないかと思います。

 

 

 

 

 

日本相撲協会の副業

 

前回、相撲事業での黒字額よりも、貸館事業や広告・物品販売事業による黒字額の方が大きい、ということを述べました

今回は、それらの、いわば「副業」とも呼べるものの収益構造を見てみたいと思います

 

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改めて載せますが、主要三部門での、相撲協会の営業利益相当の金額の推移です。なお、2014年は2月から12月の11か月分の決算のため、1月場所の収益が含まれないこともあって、相撲事業の赤字が大きい、ということになっています。

 

貸館事業で、毎年数億円、2016年が近年では最大で5.76億円の黒字がありました。4年間で19億円にものぼる黒字です。この積み上がりというのは相撲協会の大きな資産に直結しています。

 

さて、貸館ってなんでしょう?

国技館の貸し出し、ということですね。

どれくらいの価格で貸しているのでしょう?

 

 

教育関連行事等

私的行事等

展示会等

物販等

プロスポーツ興行・歌謡ショー等

土日祝日

1日利用

2,000,000

2,300,000

2,600,000

3,000,000

3,500,000

土日セット

3,800,000

4,370,000

4,940,000

5,700,000

6,650,000

平日1日

1,700,000

1,955,000

2,210,000

2,550,000

2,975,000

平日2日

3,200,000

3,680,000

4,160,000

4,800,000

5,600,000

平日3日

4,500,000

5,175,000

5,850,000

6,750,000

7,875,000

平日4日

5,600,000

6,440,000

7,280,000

8,400,000

9,800,000

平日5日

6,500,000

7,475,000

8,450,000

9,750,000

11,375,000

準備日

1,000,000

1,200,000

1,200,000

1,200,000

1,200,000

 

価格は、土日の1日がベースで、2日セットの場合は1日分は1割引き

平日は土日の料金から15%引きで2日以上使用する場合は、2日で20%、3日で25%、4日で30%、5日で35%安くなる、という計算です。

これはアリーナの料金で、このほかに、大広間が土日の1日50万円をベースに、値引き率が上記と同じで2日以上や平日は使えます。

さらに、付帯設備として、さまざまな料金があり、会議室が10万円だったり、空調管理費が土日は1時間あたり9,000円掛かったりとか、さまざまな費用が付いてきます

こういったものの売り上げが毎年6~8億円ほどあって、2~3億円台の費用を引いて、大きな黒字を稼いでいます。ある種の不動産商売としてうまくやっているように見えます。

 

用途によって価格が異なるんですね。

どんな人たちが借りているのでしょう?

 

当然ですが、1月5月9月は、ほとんど相撲協会自身が使う、という形で埋まっています。

また、やはり多いのは相撲関係のイベントで、〇〇断髪式という引退関係や、△△襲名披露相撲、○○部屋落成祝賀会、という、関係者系のものがありますし、少年相撲とか、白鵬杯といった大会関係もあります。

3月4月には専門学校の卒業式入学式なんてのもありました。

企業イベント、というのもそこそこありますし、プロレスが行われることもあります。

最近だと、Tリーグ開幕戦、というのが大きなイベントだったでしょうか

ライブ関係は少なめかな、という印象ですが、11月にはポールマッカートニーのコンサートがあり、大晦日にはさだまさしカウントダウンなんてのもあります

 

 

今年を数えてみると、143日稼働があって、うち45日は相撲の東京場所、それ以外に37日は相撲関係のイベントで、それ以外の貸し出しは61日ありました。

稼働は、あんまり高くないのかな、という印象です。付帯設備の方で稼いでいる部分が結構あるんでしょうか。ただ、実際に東京場所、として使っているよりも、貸出している日数のが長いわけで、国技館というのはある種の不動産業としての色の方が強いんだな、という風に感じます。

 

 

貸館事業の費用ってなんでしょう?

 

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主な費用を載せてますが、減価償却費も17年にいきなり増えてますがそれでも1億円程度です。租税公課は固定資産税(公益法人でもこれは条件そろわないと普通に収める)が結構あるのだと思いますが、6,000万円弱です。労務費関係もありますが、この二つと比べるとだいぶ小さい。光熱水料費は当然かかるし、保安のための費用も掛かってくる。このあたりが固定費なので、もうちょっと貸出稼働を上げたい、というところなんだろうな、とは思います

 

もう一つの収支の柱になっている広告・物販事業。

何を売っているのか? とみると、相撲協会機関紙「相撲」という月刊誌が一つのメインの販売物なようです。2017年度は、年間実売部数170,074部とされています。定価は月によって異なり930円~1050円。12か月分を計算したら、16,768万円、すなわち、1.68億円ほどの売上でした。

広告・物販事業の売り上げは4億円台あるので、足りません。

月刊誌を超える販売部数のものがありました。大相撲カレンダーが49万部製作されたそうです。来年度のカレンダーが、壁掛けのものが1,000円、壁掛け+卓上カレンダー付で1,800円。49万部に1,000円を掛けると4.9億円になるので、金額大きすぎになりますが、カレンダーというものの性質上、協会が無料で配布する相手というのもいるでしょうから、これと月刊広報誌の売り上げ、というのが広告・物販事業の主な収益源でしょう。

 

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広告・物販事業の主な費用はこういったところ。さすがに広告宣伝費が一番かかっていて、17年は6,000万円レベルになっていました。印刷製本費は、伸びてきてはいますが17年段階で3,000万円。3,000万円で作った雑誌とカレンダーで3億4億稼ぐわけですね。

元々持っているコンテンツを使って、グッズ化して売っているので、コストも、一から作り上げるより低くて済んでいるのでしょう。

 

こうやって見てみると、相撲協会というのは、自分の持っている資産をうまく使っているな、というのを感じます。

当たり前ですが、相撲協会の中心業務は、大相撲の開催です。力士という人的資源があり、国技館という固定資産がある。この二つで本場所を開く、というのがメインの収入源ですが、本場所国技館だけでなく、年3回は地方を回ります。しかしながら本場所は年間で90日しかなく、残り275日はありません。力士はこの空いている時間は、稽古に使われるのが本来の姿ですが、その、稽古そのものをある種興行化した、「地方巡業」というものが行われて、収入源となっています。人的資源の有効活用です。極論、「練習を見せている」だけで、1人1万円、なんていう席を販売して稼げていたりします。

国技館という固定資産も、本場所以外は貸出をして稼ぐ。これも資源の有効活用です。さらに、相撲というコンテンツを生かして、月刊誌を作成して販売する、力士というキャラクターを財産として生かしてカレンダーを中心としたグッズを作成して販売する。余剰資金は運用に回しリターンを得る。

 

いろいろなスポーツ系の団体は見習った方がいい、と思うくらい、商売のうまさを感じます。

オリンピックでメダルを取って、知名度があり華もある選手もいるのにお金がない、なんていうカーリング協会なんかはほんとに見習った方がいいです

 

ただ、これだけ稼いでこれだけ資産を持っているからこそ、その稼ぎをどう使うのか? というのが問われます。

相撲協会がほかのいろいろなスポーツ団体と違うのは、世界の頂点を目指す的な視点が持てない、ということがあります。日本代表にオリンピックで金メダルを取ってもらうとか、そういう方向性はありません。大相撲イコール世界、であって、世界を目指しようがない。もちろん、選手の強化、というのと同じ意味合いで、各部屋、親方、への資源の配分というのはありますが、ある種、それは身内への資源の配分であり、身内の中の頂点を争う戦いでしかありません。

 

相撲協会では、協会の使命として、以下のようなことを言っています

 

太古より五穀豊穣を祈り執り行われた神事(祭事)を起源とし、我が国固有の国技である相撲道の伝統と秩序を維持し継承発展させるために、本場所及び巡業の開催、これを担う人材の育成、相撲道の指導・普及、相撲記録の保存及び活用、国際親善を行うと共に、これらに必要な施設を維持、管理運営し、もって相撲文化の振興と国民の心身の向上に寄与することを目的としています。

 

これ、ようは、なになにを目指す、ではなくて、現状を維持する、が目標になってるんですよね。現状を守る、が目標な場合、資源が溜まっていったところで、投資する先がなかったりします。今の相撲協会はその状態なのではないか、と思われます。

 

スポーツ団体であろうと、お金を稼ぐのが悪いこととは思いません。ただ、金余り状態にまでなっている、というのはどうなんでしょう? 株式会社の場合、金余り状態で投資先が見つけられない、というようなことになったら、その資金は株主に返す(配当、自社株買い)ということが行われます。相撲協会は株式会社ではないので、オーナーが誰? というのはいまいち見えにくいのですが、どうなんでしょう? 行きつく先は、国家、ということでいいんでしょうか

相撲協会は公益財団法人であり、公益事業は所得税などが免除されています。これまでも、その公益性、というのが問われる場面が何度もあったようであり、最近も不祥事が続き、ガバナンスに疑義が出されている状態でもあります。ただ、それらとは違う見方で、お金が余っていて投資先もなく余剰になっている、という状態なのだから、それは、税金が免除されるような団体でいてよいのか? という方向性の指摘もしたくなるわけです。

 

稼ぐのが悪い、とは全く思いません

ただ、税金面で優遇された状態でいながら、資金が余っている、というような状態はいかがなものか、という風には思います

これだけ余る状態にあるのなら、税で納めるという形にしていくのが良いのではないでしょうか

 

相撲協会の財務についてのお話は、この全三回でとりあえず終わりとします。