関東選手権 4回転ループは不発

今週は関東選手権。昨年は鍵山優真vs佐藤駿の一騎打ち、なんて光景が見られましたが、今年は佐藤駿選手がジャパンオープンへ回ったため、鍵山優真選手の独壇場となりました。

 

○男子シングル シニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 鍵  山  優  真 オリエンタルバイオ/星槎 261.90 94.51 167.39
2 志  賀  海  門 KOSE新横浜プリンスFSC 95.52 40.95 54.57

今シーズンも鍵山優真選手は関東選手権に顔を出してくれました。全日本がシードなので、そもそも出場義務はないですし、ジャパンオープンに出る気になれば出られたと思うのですが、地方大会から登場です。

ショート94.51 フリー167.39は鍵山選手としては平凡でしょうか。まあ高校3年生にして、260点出していて平凡言われちゃう鍵山選手も大変ですけど。ただ、このスコアだと全日本表彰台が危ない、というのは事実です。ケガで出遅れていたとも聞きますし、まだ調整段階ですし、ここが下限のスコアで後は伸びていくのかな? という感じはします。

 

○鍵山優真選手のショートプログラム構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4S   9.70   -3.56 6.14 -3.600
2 4T+3T   13.70   3.48 17.18 3.600
3 CCSp4   3.20   1.17 4.37 3.400
4 3A   8.80 X 3.47 12.27 4.200
5 FSSp4   3.00   0.70 3.70 2.400
6 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.600
7 CCoSp4   3.50   1.28 4.78 3.800
  TES   45.20   7.64 52.84  

ショートはサルコウトーループで4回転2本構成。サルコウは失敗ジャンプになりました。これが成功すると100点に乗るくらいになります。110点出す上二人と並ぶにはもう一段階何かを上げる必要はありそうです。

トリプルアクセルの5人のジャッジの平均GOEが4.200というすごい評価がつきました。

 

○鍵山優真選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Loq q 10.50   -4.90 5.60 -4.600
2 2S   1.30   0.04 1.34 0.400
3 4T+2T   10.80   2.53 13.33 2.600
4 3A+1Eu+3S   12.80   2.40 15.20 3.000
5 CSSp4   3.00   0.60 3.60 2.200
6 StSq3   3.30   1.10 4.40 3.400
7 4T   10.45 X 3.80 14.25 4.200
8 3F+3Lo   11.22 X 0.88 12.10 1.800
9 1A   1.21 X 0.00 1.21 0.200
10 ChSq1   3.00   1.67 4.67 3.400
11 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
12 FCCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.600
  TES   74.58   9.99 84.57  

フリーは冒頭に四回転ループ。qマークながら着氷して基礎点は満額取りました。ただ、GOEはほぼ-5に近い水準で、得られた点数はトリプルループの評価良かったときを下回りました。

2本目のサルコウが2回転になり、後半のアクセルは1回転半。このあたりのミスの方がスコアへの影響は大きくなっています。ついでに言えば、4回転トーループの後ろも2回転ではなく3回転が本来の狙いでしょうか。まだまだ調整段階です、という風に見えます。

 

○女子シングル シニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 吉  岡  詩  果 山梨学院大学 162.84 54.83 108.01
2 中  本  有  咲 山梨学院大学 111.87 39.48 72.39
3 鈴  木  珠  里 日本体育大学 111.28 39.87 71.41
4 吉  野  汐  香 神奈川FSC 110.25 43.50 66.75
5 松  原      茜 埼玉アイスアリーナFC 106.19 33.61 72.58
6 清  水  愛  望 日本体育大学 105.67 33.37 72.30
7 綾  部  花  音 大東文化大学 103.24 35.59 67.65
8 鈴  木  春  奈 KOSE新横浜プリンスFSC 88.92 28.37 60.55

女子シングルのシニアは東日本への進出枠は7人。残念ながら1人だけ東日本へ進むことができません。

優勝は吉岡詩果選手。ケガ明けらしいですが、160点台出していれば、全日本への道は広がりそうではあります。

 

○男子シングル ジュニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 大  中  惟  吹 秀明英光高校 140.21 53.20 87.01
2 山  田  琉  伸 埼玉栄高校 127.37 47.83 79.54
3 大久保  政  宗 長野日大高校 121.62 47.58 74.04
4 河  西  陽  成 アクアリンクちばSC 109.06 39.89 69.17
5 栖  川  源二郎 横浜創英スケート部 100.10 39.74 60.36
6 三  吉  慶  哉 アクアリンクちばSC 94.04 34.18 59.86

男子シングルのジュニアは東日本への進出枠が15ありますので、全員通過です。

優勝スコアは140点台。全日本ジュニアでは10位台中盤くらいのスコアになります

 

○女子シングル ジュニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 菅  野  夏  帆 KOSE新横浜プリンスFSC 134.55 52.95 81.60
2 三  枝  知香子 アクアリンクちばSC 132.52 49.35 83.17
3 鈴  木  な  つ Mエイトクラブ 122.16 47.97 74.19
4 杉  本  羽  美 KOSE新横浜プリンスFSC 119.21 43.21 76.00
5 田  邊  桜  香 星槎国際横浜 117.13 38.23 78.90
6 佐  藤  優  妃 埼玉アイスアリーナFC 117.04 39.89 77.15
7 髙  橋      舞 横浜創英スケート部 114.82 42.94 71.88
8 杉  本  くるみ 白鵬女子高校 114.56 44.48 70.08
9 久保山      唯 KOSE新横浜プリンスFSC 112.87 39.94 72.93
10 澤  登  早也香 Mエイトクラブ 111.66 39.41 72.25
11 井  口  せ  な 東海大諏訪高校 110.77 41.90 68.87
12 花  田  実  優 宇都宮フィギュアC 110.58 40.64 69.94

65人が出場した女子シングルのジュニア。東日本への進出枠は10 ボーダーラインはわずか0.89差でした。

優勝スコア134.55は全日本ジュニアでは10位台後半くらいのスコアになります。なお、千葉の船橋を拠点としたMFアカデミーというチームが作られ、昨年全日本ノービスAで3位に入った中井亜美選手などが所属していますが、ブロック大会は東京ブロックでエントリーしているようで、関東選手権にはMFアカデミー勢は参加していません。

 

○男子シングル ノービスA(上位8人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 西  野  太  翔 神奈川FSC 88.54 43.70 45.34
2 佐々木  陽  人 伊勢崎クラブ 67.32 29.66 37.66
3 田  口  湊  音 アクアリンクちばSC 63.25 27.09 36.66
4 大  島  佑  翼 埼玉アイスアリーナFC 59.32 22.66 36.66
5 新  福  孝太郎 神奈川FSC 59.18 22.18 37.00
6 中  村  龍  人 KOSE新横浜プリンスFSC 52.53 19.51 34.02
7 星  奏  多 神奈川FSC 47.12 16.30 30.82
8 白  井  琉  成 神奈川FSC 43.99 15.65 28.84

男子のノービスAは全日本進出枠は5(不参加のシード選手含めて6) ボーダーラインは59.18でした

優勝はシードもついている西野太翔選手。昨シーズンは全日本ノービスBで3位表彰台の選手。今回出した88.54というのは、昨シーズンの全日本ノービスAの優勝スコア90.73に極めて近いスコアです。結果的にフリップがダウングレードになりましたが、現時点ですでに3回転5種類をプログラムに揃えている選手です。

 

○女子シングル ノービスA(上位8人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 八  田  琴  子 KOSE新横浜プリンスFSC 76.38 41.72 34.66
2 藤  沼  聖  空 埼玉アイスアリーナFC 66.22 34.35 31.87
3 入  江  美  友 Mエイトクラブ 64.82 32.64 32.68
4 新  井  真保里 埼玉アイスアリーナFC 62.34 30.04 32.80
5 佐  藤  あづ希 KOSE新横浜プリンスFSC 58.47 24.33 34.14
6 金  丸  羽  華 KOSE新横浜プリンスFSC 57.79 25.26 32.53
7 松  浦  茉里衣 埼玉アイスアリーナFC 57.54 24.97 33.07
8 髙  橋  未  羽 高崎クラブ 56.18 29.52 26.66

女子シングルのノービスAは全日本進出枠は6 ボーダーラインが57.79 0.25差で明暗分かれました。

優勝は八田琴子選手。昨シーズンは全日本ノービスAで68.42の23位でした。昨シーズンよりスコアを上げてきています。

 

○男子シングル ノービスB(上位6人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 高          旭 アクアリンクちばSC 50.67 20.51 30.16
2 高  橋      健 埼玉アイスアリーナFC 46.65 17.65 29.00
3 坂  本  央  輔 KOSE新横浜プリンスFSC 44.88 12.56 32.82
4 武  田  龍  哉 アクアリンクちばSC 41.00 15.00 26.00
5 辻  出  歩  生 長野市スケート協会 38.90 13.06 25.84
6 大  林  理  人 神奈川FSC 38.01 13.17 26.34

男子のノービスBは全日本進出枠は4 狭い枠の争いで、ボーダーラインは41.00でした。

優勝スコアは50.67 このあたりは基本的に2回転ジャンプの中での争いになっていて、点差はあまり付いてきません。

 

○女子シングル ノービスB(上位6人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 小  川  葉  宇 埼玉アイスアリーナFC 52.48 25.12 27.86
2 中  坂  玲  来 アクアリンクちばSC 48.58 22.32 26.26
3 高  田  ありす アクアリンクちばSC 48.29 21.62 26.67
4 林  梨  乃 アクアリンクちばSC 47.92 22.45 25.47
5 財  津  柚和美 アクアリンクちばSC 46.91 20.51 26.40
6 古  川  心  祐 神奈川FSC 45.86 20.73 26.13

女子も男子と同じでノービスBの全日本進出枠は4 関東勢のノービス枠は厳しいです。

ボーダーラインは47.92 おおよそ1点差で明暗分かれた形でした。

 

 

 

 

 

ジャパンオープン トリプルアクセル祭り

結局今年も日本勢だけで行われたジャパンオープン。ISUのイベントカレンダーからも外されてしまって、日本のローカル大会化してますが、チケット価格だけは据え置きだったりもしています。来シーズンからはちゃんと国際試合に戻れるのかどうか。

そんなジャパンオープンですが、今回は各選手が高難度ジャンプを投入する宣言をし、そして実際にそれを試みる試合になっていました。

 

○女子シングル

Pl Name Total TES PCS Deduction
1 Wakaba HIGUCHI 136.27 69.46 66.81 0.00
2 Rino MATSUIKE 135.12 71.32 63.80 0.00
3 Mana KAWABE 134.91 74.79 60.12 0.00
4 Kaori SAKAMOTO 133.26 65.04 69.22 1.00
5 Mai MIHARA 124.24 63.12 62.12 1.00
6 Satoko MIYAHARA 119.69 53.89 66.80 1.00

ジャパンオープンはフリーのみの試合なので、ショートとフリーの合計ではなくて、フリーの技術点と演技構成点を示す形にします。

スコア1位は樋口新葉選手でした。ただ、技術点は全体3位。PCSが全体2位とバランス型でトータルスコアが1位になった、という姿です。136.27は日本国内では上位のスコアではありますが、世界的には平凡に近くて、8位入賞ラインとかそのあたりを争う位置なようにも見えます。

130点台に僅差で4人並んでいますし、あまり順位は今の時点では関係ないですかね。

一応2位に入ったのが今年からシニアに上がった松生理乃選手でした。トリプルアクセルは先週の中部選手権に続いてダウングレード。回転不足はいいとしてもダウングレードだとスコアとしては最悪なので辞めた方がいいわけですが、ジャパンオープンはそんなの気にするような試合ではないでしょうきっと。

3番目に河辺愛菜選手がいます。こちらはトリプルアクセル成功。技術点トップ、演技構成点最下位、合わせると3位。演技構成点が60点にとどまると、代表争いとしては厳しいのですが、シーズン中盤に向けてもうひと伸びはあるでしょうきっと。パガニーニ選手の代わりにスケートカナダも決まったようなので、チャンスをものにしてほしいです。

坂本花織選手が久しぶりに紀平選手以外の日本勢の後塵を拝して4番目。この人はオリンピックが目標ではなくて、出てどこまで行けるか、という段階にいる選手なので、今の時点の出来は全然気にしてないでしょうか。みんなで高難度ジャンプ合戦してる中で中野チームはおとなしくトリプルまで構成してますが、ジュニアの頃からこの人がトリプルアクセルにチャレンジしてたらどうなってたかなあ、なんて考えてしまうことはあります。

三原舞依選手が5番目。ちょっと元気がない印象。三原舞依選手にはまずは、とにかく元気に滑ってください、という思いしかない。

宮原知子選手が6番目。トリプルアクセルダウングレード。気持ちはわかるんですけど、どうなんでしょうかね・・。3回転半というか3回転4分の1くらいを回れる力を付けて、3回転のジャンプの安定化、なんてのができるといいのですが。

 

トリプルアクセル

Name   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Wakaba HIGUCHI 1 3A   8.00   2.40 10.40 3.167
Mana KAWABE 1 3A   8.00   0.20 8.20 0.167
Rino MATSUIKE 1 3A<< <<  3.30   -1.16 2.14 -3.167
Satoko MIYAHARA 2 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -5.000

今回は中野チーム以外の4人がトリプルアクセルに挑みまして、成功2人、ダウングレード2人、という結果でした。四回転ではなくてトリプルアクセルが並ぶのが日本的。というか、先に四回転に行くロシアスタイルが本当は異質なんでしょうけど。

私が知る限りでは、トリプルアクセルを国際大会で初めて成功させた年齢が最も高いのは、長洲未来さんの24歳5か月、というのがあります。宮原知子選手でもまだそれより1年ほど若い。チャンスはあるとは思いますが、挑戦と博打は違う、というのもまたある。トリプルアクセルを決めても他が揃ってこないとフリーで130点台で終わってしまい、トータル210点台くらいまでで終わるので、アクセル無しの選手でも問題なく超えていける水準でしかなかったりする。いずれにしても各選手のいい演技というのが最終選考会である全日本選手権で見たいです。

 

樋口新葉選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A   8.00   2.40 10.40 3.167
2 3Lz+3T   10.10   1.77 11.87 2.833
3 3S   4.30   1.08 5.38 2.333
4 CCoSp3   3.00   0.60 3.60 2.000
5 2A   3.30   0.91 4.21 2.833
6 2Lz   2.31 X -0.37 1.94 -1.833
7 3Lo+2T   6.82 X 0.98 7.80 2.000
8 3F!+2T+2Lo ! 9.13 X -0.80 8.33 -1.333
9 FCSp4   3.20   0.40 3.60 1.000
10 StSq4   3.90   1.17 5.07 3.000
11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 2.833
12 FCCoSp3V   2.25   0.51 2.76 2.333
  TES   59.31   10.15 69.46  

今回は冒頭のトリプルアクセルを成功。+5を付けたジャッジもいますが、それは出しすぎだろうという気はします。いずれにしても全ジャッジプラス評価を出す成功ジャンプでした。

ただ、後半のルッツジャンプが2回転に。スピンでレベル4は1つ。そういった抜けもあって技術点が70点に届いていません。2回飛ぶジャンプはルッツとおそらくトーループなはずで、3Lz+3Tを2回という得意の構成が今回は後半ルッツが決まらずトーループリカバリーでループの後に2回転で付けた、という形になりました。

トリプルアクセル込みでノーミスまで行けると、技術点80点を少し超えるところまで行ける構成なのだと思います。なのでトータル150点まではある。ただ、そのノーミスが、トリプルアクセルの成功以上に確率が低そうなのが泣き所です。

 

○男子シングル

Pl Name Total TES PCS Deduction
1 Shoma UNO 181.21 93.07 89.14 1.00
2 Shun SATO 179.32 102.22 77.10 0.00
3 Keiji TANAKA 163.93 82.03 81.90 0.00
4 Sota YAMAMOTO 156.13 82.49 74.64 1.00
5 Kazuki TOMONO 147.44 69.16 79.28 1.00
6 Sena MIYAKE 126.46 53.58 73.88 1.00

男子シングルは宇野昌磨選手がトップスコアでした。181.92というのは本人比では平凡でしょうか。転倒あり、抜けて2回転あり、本人としては満足はいかないのでしょうけど、それでもこれくらいは出ますよ、と。

佐藤駿選手が技術点100点越えで2番目に入りました。PCSで10点以上の差がついているのが苦しいですが、4回転4本降りました。4本降りても180点に届かないのはちょっと残念なスコアですけど、シーズン中盤までに伸ばしていければ全日本で勝負になる位置にはいるようです。

田中刑事選手が3番目。平昌オリンピックの代表ですが、今のレベルだとフリーで160点台は代表争いには厳しいなあ・・・。

本草太選手は156.13で4位。4回転2本降りました。その代わりトリプルアクセルが一つ転倒。ノーミスで170点くらいの構成でしょうか

友野一希選手が5番目。150点に届かないとちょっと厳しいです。転倒は後半のトリプルルッツ。スピンでレベル4がなかったり、得点力に欠けました。

今シーズンからシニアに上がった三宅星南選手が6番目。四回転サルコウを1本はおりましたが他がまとまらず。スコア的にはちょっと寂しい出来でした。

 

○四回転要素

Name   Elements    BaseValue   GOE Scores  
Shun SATO 1 4Lz   11.50   4.31 15.81 3.500
Shun SATO 5 4T   9.50   3.09 12.59 3.333
Shoma UNO 8 4T+2T   11.88 X 2.85 14.73 3.000
Shun SATO 3 4T+3T   13.70   2.61 16.31 2.833
Keiji TANAKA 2 4S   9.70   2.43 12.13 2.500
Sota YAMAMOTO 1 4S   9.70   1.46 11.16 1.833
Sota YAMAMOTO 2 4T   9.50   1.43 10.93 1.667
Shoma UNO 7 4F   12.10 X 1.38 13.48 1.333
Sena MIYAKE 2 4S+2T   11.00   0.00 11.00 0.000
Shoma UNO 3 4T   9.50   -0.71 8.79 -0.500
Kazuki TOMONO 3 4T   9.50   -0.71 8.79 -0.500
Kazuki TOMONO 1 4T+2T   10.80   -0.95 9.85 -0.833
Shun SATO 2 4F! ! 11.00   -1.65 9.35 -1.500
Shoma UNO 1 4Loq q 10.50   -5.25 5.25 -5.000
Sena MIYAKE 5 4S< < 7.76   -3.88 3.88 -5.000

四回転を含んだ要素をすべて上げています。最高評価は佐藤駿選手の四回転ルッツでした。2番目も佐藤駿選手で四回転トーループ。やはり四回転の申し子感はあります。今回はフリップもおりましたし、トゥ系のジャンプは強いです。

宇野昌磨選手はプラス評価は2つ。ループはq付かつ転倒でした。完成ならず。ただ、後半のコンビネーションでも+3を取るあたりはさすがです。

本草太選手が2種類でGOEプラス。2種類でプラスが取れるということは、ショートも2本飛べるしフリーは3本まで行ける、ということで、もう少し上のスコアまで期待できます。日本は男子のレベルが高すぎて、そのレベルでも代表が難しいのですが、グランプリ表彰台くらいまでは目指してほしいです

 

宇野昌磨選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Loq q 10.50   -5.25 5.25 -5.000
2 2S   1.30   0.00 1.30 0.167
3 4T   9.50   -0.71 8.79 -0.500
4 3A   8.00   2.40 10.40 3.167
5 FCSp3   2.80   0.70 3.50 2.500
6 ChSq1   3.00   0.88 3.88 1.833
7 4F   12.10 X 1.38 13.48 1.333
8 4T+2T   11.88 X 2.85 14.73 3.000
9 3A+1Eu+3F   15.18 X 2.00 17.18 2.500
10 FCCoSp4   3.50   0.96 4.46 2.667
11 CCoSp4   3.50   1.14 4.64 3.167
12 StSq4   3.90   1.56 5.46 3.833
  TES   85.16   7.91 93.07  

4回転4種類5本+トリプルアクセル2回構成。ノーミスだとジャンプ要素7回すべてで10点を超える得点が得られる計算です。今回はサルコウが2回転になり、表記上の4回転は4本になりました。昨シーズンはなぜかトーループが決まらない、という病にかかっていて、フリップ2本にしちゃえばいいんじゃ、とか思ったりもしてましたが、2本にはしないまでもう後半に入れてきました。1.1倍のところにコンビネーションも突っ込んで荒稼ぎするのが宇野選手のスタイル。ループ転倒でもサルコウをしっかり降りれば技術点100点までは行きます。ループも決まれば110点。120点出してネイサンチェン選手と勝負するには・・、もう少しGOEが必要なようです。

 

○佐藤駿選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4Lz   11.50   4.31 15.81 3.500
2 4F! ! 11.00   -1.65 9.35 -1.500
3 4T+3T   13.70   2.61 16.31 2.833
4 FCCoSp3   3.00   0.68 3.68 2.167
5 4T   9.50   3.09 12.59 3.333
6 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.80 15.88 2.167
7 FSSp3   2.60   0.59 3.19 2.333
8 3F! ! 5.83 X -1.59 4.24 -2.833
9 3A+2T   10.23 X -0.60 9.63 -1.000
10 StSq2   2.60   0.52 3.12 2.167
11 ChSq1   3.00   1.13 4.13 2.167
12 CCoSp4   3.50   0.79 4.29 2.167
  TES   90.54   11.68 102.22  

佐藤駿選手は4回転3種類4本。ルッツフリップトーループのトゥ系ジャンプで揃えています。2回飛ぶのは4回転トーループトリプルアクセル。かなり基礎点の高い構成です。

フリップに!が二つ。!はルッツにつくときもあるのですが、踏切ははっきりしない部分があるとされています。

技術点が100点突破。PCSがまだあまり出ていないのですが、このベースがあれば全日本は表彰台チャンスが普通にあると思います。前シーズンの世界選手権2,3,4位がオリンピック安泰ではないという国。なかなか恐ろしい世界です。

 

国際大会の次の予定は、来週チャレンジャーシリーズのフィンランディア杯があります。その次もう一週チャレンジャーシリーズのアジアンオープンフィギュアを挟んで、その次、いよいよグランプリシリーズが始まります。

 

中四国九州選手権 田中刑事選手は欠場

中四国九州選手権も中部選手権と同じ週に行われました。

 

○女子シングル シニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 三  宅  咲  綺 岡山理科大学 164.32 56.26 108.06
2 竹  野  比  奈 福岡大学 153.13 52.95 100.18
3 竹  野  仁  奈 筑紫女学園大学 147.09 48.89 98.20
4 伊  勢  桃  菜 広島スケートクラブ 144.85 45.15 99.70
5 永  見  千代乃 ノートルダム清心女子大学 135.32 44.89 90.43
6 田  村  綾  音 広島文化学園大学 127.86 44.01 83.85
7 西  坂  美  柚 九州大学 114.74 36.60 78.14
8 川  畑  貴  音 福岡大学 111.08 35.65 75.43
9 伊  藤  実  音 岡山大学 101.12 32.34 68.78
10 江  口  璃  咲 筑紫女学園大学 95.51 38.13 57.38

女子シングル、シニアの西日本進出枠は7 ボーダーラインは114.74となりました。

これまで3連覇していた竹野比奈選手でしたが今回は2位。優勝は全日本で最高位12位の実績のある三宅咲綺選手となりました。その全日本で12位になって以来の久しぶりの160点台となりました。

竹野姉妹が2位3位。姉の比奈選手はユニバーシアードの代表になっていることも考えると、150点台前半というのは少し寂しい点数です。昨シーズンの国体では183.01というスコアを出していますし、国際舞台では180点台が見たいです。

妹の仁奈選手は2年ぶりの全日本を目指すという立ち位置。15+2(シード二人)の西日本から全日本への枠を考えると、140点台は少し厳しいかもしれません。

 

○三宅咲綺選手のフリー構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3Aq q 8.00   -4.00 4.00 -5.000
2 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.200
3 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
4 CCoSp2   2.50   0.50 3.00 2.000
5 3T+2A+SEQ   6.00   1.26 7.26 3.000
6 FCSp3   2.80   0.56 3.36 1.800
7 StSq2   2.60   0.52 3.12 2.000
8 2S+2T   2.86 X 0.00 2.86 0.200
9 3T+2T   6.05 X 0.70 6.75 1.600
10 3S   4.73 X 0.43 5.16 1.000
11 LSp4   2.70   0.36 3.06 1.400
12 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.600
  TES   52.04   3.82 55.86  

実は構成にトリプルアクセルを入れている三宅咲綺選手。残念ながら転倒ではありますが、回転は十分足りているという判定でした。

構成にフリップがなく2回飛ぶジャンプがトーループサルコウ(1つは2回転になりましたが)。構成的にはトリプルアクセル入れなくてもいまより基礎点を上げることができる部分はあります。セカンド3回転がない、というのもなかなか苦しいのですが、それよりも何よりもトリプルアクセルを飛びたいんだ、というのも、一つの選手としての在り方かとも思います。

 

○男子シングル シニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 杉  山  匠  海 岡山大学 181.21 58.13 123.08
2 古  家  龍  磨 九州工業大学 141.14 52.16 88.98
3 鈴  木  零  偉 広島スケートクラブ 140.70 46.22 94.48
4 東  健  太 川崎医療福祉大学 122.59 37.25 85.34
5 早  川  晃太郎 国際医療福祉大学 107.12 35.58 71.54

男子シングルのシニアは西日本進出枠が10ありますので、全員西日本進出です。

優勝は国立の岡山大学に通う杉山匠海選手。昨シーズンは全日本でショート25位。今回もフリーが123点あるので、180点台に乗って、全日本でも10位台に入るトータルスコアなのですが、ショートはトリプルアクセルが1回転半になっての0点などがあって58.13 このスコアだとフリーに進めない水準で、どうにもショートが鬼門なようです。

平昌オリンピックに出場した田中刑事選手もエントリーしていましたが欠場です。ジャパンオープンに出るため、元々この大会は免除でしたから、特に問題にはなりません。

 

○女子シングル ジュニア(上位12人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 江  川  マリア パピオフィギュアクラブ 160.60 59.18 101.42
2 岡  本  真  綸 岡山理大附高校 151.72 50.82 100.90
3 鴨  井  彬莉彩 パピオフィギュアクラブ 141.74 52.18 89.56
4 村  岡  那  菜 就実学園 129.40 43.84 85.56
5 永  川  実  咲 飯塚フィギュアクラブ 119.29 44.25 75.04
6 横  田  胡  幸 香川フィギュアC 114.99 42.66 72.33
7 佐  藤      葵 飯塚フィギュアクラブ 109.44 40.47 68.97
8 片  山  緋奈子 倉敷FSC 108.43 44.37 64.06
9 杉  原  舞  香 沖学園 108.26 35.91 72.35
10 木  村  芽  愛 香川フィギュアC 107.92 42.10 65.82
11 中  井  結  良 パピオフィギュアクラブ 105.80 35.87 69.93
12 中  條  来  夢 パピオフィギュアクラブ 105.51 36.91 68.60

女子シングルジュニアの西日本進出枠は10 ボーダーラインは107.92でした。

昨シーズン全日本ジュニア10位の江川マリア選手が中四国九州ジュニアを連覇。160.60はパーソナルベスト相当です。昨シーズンのジュニア経由の全日本ボーダーラインが152.47でしたので、このスコアが出せれば全日本初出場の芽があります。

 

○男子シングル ジュニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 垂  水  爽  空 パピオフィギュアクラブ 151.25 57.81 93.44
2 松  岡  隼  矢 沖学園 150.11 57.77 92.34
3 三  島  悠  生 広島スケートクラブ 125.79 50.73 75.06
4 樋  口  温  之 岡山SC 124.00 41.91 82.09
5 篠  原  大  輝 香川フィギュアC 121.05 44.89 76.16
6 鈴  木      空 就実学園 118.36 47.73 70.63
7 戸  田  晴  登 北九州FSC 114.30 36.55 77.75
8 末  国  太  樹 広島スケートクラブ 110.17 41.43 68.74
9 松  下  大  地 熊本バンビーニクラブ 110.01 39.91 70.10
10 中  山      岳 倉敷FSC 94.60 32.77 61.83
11 下  川  誠  也 パピオフィギュアクラブ 82.09 31.28 50.81

優勝した垂水爽空選手は昨シーズンは西日本ジュニア13位で全日本ジュニアへ進めなかった選手。順当にいけば150点台あれば全日本ジュニアまでは進めるだろうと見込まれます。

西日本ジュニア進出枠は9ありますので、ボーダーラインは110.01でした。

 

○女子シングル ノービスA

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 山  田      恵 パピオフィギュアクラブ 79.16 40.37 38.79
2 武  田  沙  弓 香川フィギュアC 68.62 34.09 34.53
3 岡  田  衣千乃 岡山FSC 64.19 32.02 32.67
4 真  辺  奈  央 岡山FSC 60.40 28.36 32.54
5 渡  邊  愛  子 岡山国際FSC 56.01 26.10 30.41
6 有  松  美  咲 北九州FSC 52.31 25.47 27.34
7 長  澤  世  奈 やくもFSC 50.69 23.48 27.21
8 杉  井  心  珠 倉敷FSC 49.99 22.19 28.80
9 初  瀬  七  彩 倉敷FSC 43.64 18.57 27.07

女子シングルノービスAの全日本進出枠は6 シードもついていた山田恵選手が順当に優勝しました。

中国四国九州と三地区集まる地方大会なのですが、広島岡山の中国と福岡の九州が目立つこの大会で、ノービスでは四国の香川からの選手が2位に入ってきています。

 

○男子シングル ノービスA

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 植  村      駿 ユニバースFSC 71.54 27.70 43.84
2 小河原  泉  颯 倉敷FSC 71.42 29.60 42.32
3 名  倉  一  裕 岡山SC 70.89 29.23 41.66
4 馬  場  清  輝 岡山SC 67.06 27.56 40.00
5 當  利  優  真 熊本バンビーニクラブ 65.31 29.13 36.18
6 大  村  健  太 岡山FSC 60.39 25.73 35.16
7 久  積  栄  都 岡山FSC 58.80 24.80 34.50
8 野  山  海  翔 熊本バンビーニクラブ 53.84 20.50 33.84
9 吉  岡  祐  誠 沖学園 53.63 20.61 33.52
10 伊  藤  虎  琉 飯塚フィギュアクラブ 51.03 18.87 32.66
11 西  村  流  音 スポガ久留米FSC 47.08 14.92 32.66

植村駿選手は昨シーズンはこの大会で6位で全日本ノービスに出られなかったのですが、今シーズンは優勝して問題なく全日本進出です。

今シーズンは全日本への進出枠は7ありました。

 

○女子シングル ノービスB

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 河  野  莉々愛 岡山SC 65.31 32.47 33.34
2 加  生  乙  夏 大分ゴールドFSC 57.08 25.18 32.40
3 吉  田      菫 倉敷FSC 51.98 23.02 29.46
4 山  本  七  海 倉敷FSC 49.84 21.94 28.40
5 中  前  香  歩 広島スケートクラブ 45.23 19.97 26.26
6 小  野  優  月 岡山SC 45.11 19.78 25.33
7 香  月  紗  弥 香川フィギュアC 43.45 17.82 26.13
8 杉  山  希  海 倉敷FSC 43.44 19.70 23.74

女子シングルノービスBの全日本進出枠は7 わずか0.01差で運命の分かれ道があるという厳しい結果になりました。

ノービスBもシードがついていた河野莉々愛選手が順当に優勝です。

 

○男子シングル ノービスB

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 岡  崎  隼  士 倉敷FSC 69.86 27.20 42.66
2 谷          圭 岡山FSC 56.48 22.98 33.50
3 加  来  翔  映 パピオフィギュアクラブ 54.32 19.50 35.82
4 秋  元  聖  輝 飯塚フィギュアクラブ 51.71 19.85 32.36
5 橋  上  拓  矢 広島スケートクラブ 51.39 19.71 31.68
6 越  野  隆  清 ユニバースFSC 50.64 18.82 31.82
7 吉  岡  陽  稀 飯塚フィギュアクラブ 49.94 22.80 27.64
8 鈴  木  英  徳 広島スケートクラブ 48.07 14.07 34.00
9 長  瀬  智  洋 岡山FSC 42.47 16.97 26.50
10 双  木      洸 クラブ サザンクロス 42.30 15.28 27.52

シード選手の岡崎隼士選手が優勝。昨年全日本ノービスBで2位の選手ですから順当勝ちです。スコアが昨年より落ちているのは気になります。

 

地方大会は二つが終わり、残りは四つです。次週は関東選手権と東北・北海道選手権となります。

中部選手権 スコアは伸びてこず

21-22シーズンの地方大会が始まりました。

まずは中部選手権から。ここは伝統的なフィギュアどころ名古屋を中心とした地区大会なわけですが、少し寂しい結果になってきています。

 

○女子シングルシニア(上位12人まで)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 松  生  理  乃 中京大中京高校 201.44 69.48 131.96
2 横  井  ゆは菜 中京大学 176.53 51.45 125.08
3 新田谷      凜 中京大学 169.38 62.20 107.18
4 大  庭      雅 東海東京FH 166.54 58.29 108.25
5 荒  木  菜  那 中京大学 163.47 59.59 103.88
6 山  下  真  瑚 中京大学 144.53 52.55 91.98
7 酒  井  祐  香 中京大学 141.02 44.83 96.19
8 浦  松  千  聖 中京大学 139.71 50.45 89.26
9 永  田  絵美莉 中京大学 133.77 43.86 89.91
10 渡  辺  真  央 中京大学 133.60 48.01 85.59
11 加  藤  利緒菜 中京大学 131.98 55.88 76.10
12 渡  邉  朱  音 椙山女学園大学 127.94 43.61 84.33

女子シングルシニアの西日本への通過枠は11です。ほぼほぼ中京大学選手権、といった装いで11枠はすべてOBまで含めて中京大学関係者が並んでいます。その中で勝ったのは中京大学入学前の付属校在籍松生理乃選手でした。

スコアは200点に乗せてこのメンバーの中では圧勝でした。201.44というスコアは松生選手としては普通程度のスコアかと思います。

2位にはグランプリ組から横井ゆは菜選手。ショートでだいぶやらかしての51.45スタートからフリーで盛り返して2位。170点台半ばというスコアはかなり低いです。なかなかショートフリー2本そろえる姿を見せてもらえません。

3位には二度目の引退発表をした新田谷凜選手。就職先も決まったとのことなので、今度こそ本当に引退でしょうか。こちらはフリーでセカンド3回転入らず、3連続もなしなど伸びてこず160点台のスコアで終わりました。

中部選手権ではグランプリシリーズの表彰台経験者、山下真瑚選手もいたのですが144.53で6位。このスコアだと全日本も危ないという領域になります。シニアデビューシーズン直前の世界ジュニアでは紀平梨花選手の上を行って表彰台に乗っている選手。そろそろ復活してほしいのですが、今回はフリーで2転倒付の回転不足6つなど、出来は散々でした・・・。

女子シングルシニアの西日本通過ラインは131.98となりました。

 

○松生理乃選手のフリー構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A<< <<  3.30   -1.65 1.65 -4.800
2 3Lz   5.90   1.18 7.08 2.200
3 2A   3.30   0.88 4.18 2.600
4 3Lo   4.90   1.14 6.04 2.400
5 FCCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.200
6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
7 3Lz+3T+2T   12.54 X -0.79 11.75 -1.200
8 3S+3T   9.35 X 1.00 10.35 2.200
9 3F+2T   7.26 X 0.71 7.97 1.400
10 ChSq1   3.00   1.67 4.67 3.200
11 CCoSp4   3.50   1.28 4.78 3.600
12 LSp4   2.70   0.72 3.42 2.600
  TES   62.55   7.95 70.50  

フリーではトリプルアクセル投入もダウングレードとなりました。こうなってしまうとダブルアクセルを普通に入れた方がよい、という風になってきます。山田満知子先生からはやらない方がよかったというようなコメントをもらっていたようですが、私の感覚としては、こういう結果が求められない試合で試していくのは出来がひどくてもありだと思っています。やらない方がよかった、というくらいに出来の悪いジャンプであったことを叱った、みたいな意図も感じたりします。

コンビネーションジャンプはすべて1.1倍のところへ入れました。3連続はGOEマイナスではありますが、セカンド3回転も二つ入り、1.1倍をうまく使えています。GOEで+4に達する要素がなく、+3以上もステップ系とスピンで一つだけと、この辺がトップの選手との差になっているところではあります。

 

○男子シングル シニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 山  本  草  太 中京大学 231.73 81.71 150.02
2 和  田  龍  京 中京大学 137.62 41.98 95.64

男子シングルのシニア部門の出場選手は二人です。西日本への通過枠は6ありますので、全員通過です。

昨シーズンの後半元気のなかった山本草太選手。心配していたのですが出てきました。ショートフリー共にノーミスとはいかなかったものの、四回転サルコウを一本づつは決めて、それなりに元気な姿は見せてくれました。

 

○山本草太選手のフリー構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4S+2T   11.00   2.26 13.26 2.400
2 4S< 7.76   -2.33 5.43 -2.800
3 3A+1Eu+3S   12.80   -0.80 12.00 -1.400
4 2A   3.30   0.22 3.52 0.400
5 FCCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.400
6 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.600
7 3F+2T   7.26 X 1.06 8.32 1.800
8 3Lo   5.39 X 0.49 5.88 1.200
9 3Lz! ! 6.49 X -1.38 5.11 -2.400
10 CSSp3   2.60   0.69 3.29 2.600
11 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.000
12 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.200
  TES   69.90   4.46 74.36  

本草太選手は四回転サルコウ2本構成。1本目は見事に決めましたが、2本目は回転不足となりました。セカンド3回転も入らず。2回飛んだジャンプは4回転サルコウ種類ですので、トリプルアクセルをもう一本入れる余地はあります、というか4つ目の要素はおそらくトリプルにしたいのだろうと思われます。こうしてみると、まだ手持ちのカードの中で基礎点を上積みできる余地はあります。スケートカナダへ向けて、もう一段上の構成まで組めるようになってくると面白いです

 

○女子シングルジュニア(上位11人)

Pl Name 所属 Total SP FS
1 横  井  きな結 中京大中京高校 146.13 56.02 90.11
2 後  藤  千  弦 グランプリ東海クラブ 131.51 48.41 83.10
3 森      実  愛 名古屋FSC 130.42 49.78 80.64
4 田  村  珠里亜 愛知みずほ大瑞穂高 124.70 46.14 78.56
5 大  坪  瑚  子 邦和SC 122.16 44.94 77.22
6 高  岡  も  も 邦和SC 120.71 41.76 78.95
7 山  𥔎  藍  香 誉高校スケート部 120.69 41.42 79.27
8 磯  村  彩  姫 中京大学 119.54 43.75 75.79
9 服  部  杏  奏 オリオンFSC 117.34 43.23 74.11
10 吉  井  絹  恵 中京大学 117.08 43.27 73.81
11 山  根  有加里 名東FSC 109.57 39.85 69.72

女子シングルジュニアの西日本への通過枠は10です。

横井姉妹の妹、きな結選手が初優勝。ただ、スコアは146.13と今一つ。昨年の全日本ジュニアでは11位相当です。ショートで50点を超えたのが横井きな結選手一人だけ。フリーで100点を超えた選手がなく、90点に達したのもやはり横井きな結選手一人だけ。吉田陽菜選手が関西へ移り、松生選手がシニアへ抜け、すっかり寂しくなってしまいました。

女子ジュニアの西日本への通過ラインは117.08でした。

 

○男子シングル ジュニア

Pl Name 所属 Total SP FS
1 田  内  誠  悟 名東FSC 152.53 59.16 93.37
2 誉  田  知  己 愛知みずほ大瑞穂高 137.91 45.62 92.29
3 三  島  舞  明 名古屋FSC 137.31 51.09 86.22
4 中  野  瑠  伽 名東FSC 128.40 46.47 81.93
5 三  原  庸  汰 ノイエス金沢FSC 115.17 41.08 74.09
6 彦  阪  昇  吾 静岡西FSC 110.03 36.39 73.64
7 村  上  晴  哉 グランプリ東海クラブ 78.50 25.19 53.31

男子シングルのジュニアの西日本への進出枠は4でした。

優勝した田内選手は昨シーズン全日本ノービスAで2位の今シーズンからジュニアに上がった選手です。全日本ジュニア優勝経験のある壺井達也選手は、今シーズンもジュニア出の競技を表明していますが、神戸大学へ進学した関係で、中部選手権ではなく近畿選手権へのエントリーとなっています。

 

○女子シングル ノービスA(上位8人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 和  田  薫  子 グランプリ東海クラブ 99.18 53.58 45.60
2 上  園  恋  奈 グランプリ東海クラブ 81.22 43.86 37.86
3 矢  口  真  央 スペリオール愛知FSC 79.98 39.81 40.67
4 岡  田  芽  依 ポラリス中部FSC 69.67 34.30 35.87
5 森  田  愛  華 グランプリ東海クラブ 64.82 33.09 31.73
6 菰  原  皐  月 グランプリ東海クラブ 61.63 25.47 36.66
7 渡  瀬  陽  香 邦和SC 59.91 29.91 30.00
8 山  寺  由  夏 グランプリ東海クラブ 59.20 26.90 32.80

女子シングルのノービスAは全日本ノービス進出枠は7でした。

優勝はグランプリ東海の和田薫子選手。昨シーズンは全日本ノービスAで6位という実績ある選手です。ここ一年ほど100点前後の試合が続いています。全日本ノービスでも表彰台候補です。

 

和田薫子選手の構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3Lz!<+3T< ! 8.08   -1.73 6.35 -3.600
2 3Lo   4.90   0.98 5.88 2.000
3 3F   5.30   1.06 6.36 2.000
4 3S   4.30   0.86 5.16 2.000
5 FSSp4   3.00   0.90 3.90 3.000
6 StSq2   2.60   0.61 3.21 2.600
7 LSp4   2.70   1.08 3.78 3.800
8 2A+3T<+2T 8.76 X -0.11 8.65 -0.600
9 3Lz! ! 6.49 X -0.20 6.29 -0.400
10 CCoSp3   3.00   1.00 4.00 3.200
  TES   49.13   4.45 53.58  

和田薫子選手は3回転5種類を構成に入れています。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループトリプルアクセル以上の高難度がありませんが、三回転までの選手としてはトップ選手の構成です。1.1倍が二つしかありませんが、これはノービスルールで2つしかそもそも入りません。コンビネーションが二つなのも同様です。

ルッツに2つ!がついていますが、今シーズンの他の試合ではフリップに!がついていたこともありました。ルッツフリップの跳び分けは今一つしっかり出来ていない模様。今回h回転不足が三つありました。この状態で99点まで来ていますので、ノーミスまで行ければ4回転持ちの島田麻央選手とも一勝負、というところまで行きます。おそらくかなりの確率で全日本ジュニアにまで進めると思うのですが、今の名古屋勢のジュニアの中では、和田薫子選手が全日本ジュニアでも最上位まで行くかもしれません。

 

○男子シングル ノービスA

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 神  谷  帆  鷹 名古屋FSC 82.47 37.63 45.34
2 佐  藤  和  那 邦和SC 78.28 35.12 43.16
3 花  井  広  人 邦和SC 75.59 35.43 40.66
4 寺  島  光  射 名東FSC 60.03 23.03 37.00

男子シングルのノービスAは全日本ノービス進出枠が6ありますので、出場全選手が全日本ノービスの出場権を得たことになります。

優勝した神谷選手は昨シーズン全日本ノービスBで4位でした。

 

○女子シングル ノービスB(上位6人)

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 星  碧  波 グランプリ東海クラブ 61.45 27.05 34.40
2 森  岡      凛 グランプリ東海クラブ 54.81 25.31 30.00
3 青  山  柚  希 邦和SC 53.76 22.56 31.20
4 花  井  咲  良 邦和SC 52.05 24.68 27.87
5 佐  藤  心  春 邦和SC 42.71 18.87 25.34
6 広  瀬  來  愛 グランプリ東海クラブ 40.18 14.01 26.67

ノービスBの中部選手権からの全日本進出枠は5でした

優勝は今シーズンがノービス1年目の星碧波選手。昨年暮れ頃からノービスBの競技会に出るようになってきていますが、61.45というのはパーソナルベスト相当のスコアです。プログラム中の一番難しいジャンプはダブルアクセルですが、qマーク付きながらなんとか基礎点満額もらえました。

全日本ノービス進出は、グランプリ東海から2人、邦和から3人ですが、成績上位はグランプリ東海が占める構図となりました。

 

○男子シングル ノービスB

Pl Name 所属 Total TES PCS
1 竹  中      慎 アテナ豊橋FSC 53.69 23.19 31.50
2 三  浦  琉  生 グランプリ東海クラブ 49.39 17.23 32.16
3 青  木  蓮  耶 グランプリ東海クラブ 47.15 13.99 33.16
4 丸  山  喜  生 アイリスFSC 45.39 14.55 30.84
5 岡  本  陽  輝 アズライト浜松FSC 32.26 11.08 21.18
6 折  田  都  羽 ノイエス金沢FSC 30.65 9.47 22.18

男子シングルのノービスBは全日本ノービスへの進出枠が5 残念ながら1名はずれることになります。

今回のメンバーはまだ3回転ジャンプが要素に入ってきていませんが、優勝した竹中選手は、2A+1Eu+2Sというダブルアクセルからの3連続コンビネーションをいれ、技術点を稼ぎました。

 

全体的に、スコアがちょっと寂しいかなあ、特にジュニア。シニアももうちょっと出せるはずの選手が多いのになあ・・・、という印象の中部選手権でした。

 

ネーベルホルン杯 オリンピック枠の確定

ネーベルホルン杯が終了し、北京オリンピックの各国枠が確定しました。前回までと配分ルールが多少変わっていたのですが、多くの場合は、世界選手権で複数枠に出来る可能性を持った国が、ネーベルホルン杯でも強かった、という形になりました。ただ、二枠目確保の選手そのものを出せなかったという国が、日本のペア含めていくつかありますので、そういう意味ではこのルール改正は良かったのではないかと思います。

 

○男子シングル 上位15人まで

Pl Name Nation Total SP FS
1 Vincent ZHOU USA 284.23 97.35 186.88
2 Adam SIAO HIM FA FRA 243.78 89.23 154.55
3 Mark KONDRATIUK RUS 241.06 81.48 159.58
4 Gabriele FRANGIPANI ITA 229.39 83.11 146.28
5 Sihyeong LEE KOR 229.14 79.95 149.19
6 Vladimir LITVINTSEV AZE 228.65 80.54 148.11
7 Brendan KERRY AUS 218.95 85.89 133.06
8 Roman SADOVSKY CAN 207.62 76.10 131.52
9 Burak DEMIRBOGA TUR 203.28 73.56 129.72
10 Basar OKTAR TUR 203.22 74.77 128.45
11 Slavik HAYRAPETYAN ARM 199.47 69.89 129.58
12 Peter James HALLAM GBR 196.39 66.77 129.62
13 Paul FENTZ GER 194.70 73.32 121.38
14 Maurizio ZANDRON AUT 192.73 62.85 129.88
15 Jari KESSLER CRO 190.39 69.28 121.11

男子シングルは大方の予想通りヴィンセントジョー選手の圧勝。ショートフリー共に問題なく1位で、世界選手権4位相当のスコアです。世界選手権では自らの失敗でショート落ちし、オリンピック3枠を確定させられなかったのですが、今回のこれで、その失敗を自分で取り返した形になりました。

2位は2枠目確保を狙ったフランスからのアダムシャオヒムファ選手。3位は3枠目確保を狙ったロシアのコンドラチュク選手が入っています。ロシアはこういう時のやらかし勢が結構いるので、3枠目取れない危険も結構あるかも、なんて思っていましたが、しっかり3枠確保に成功しました。

イタリアは枠取りには関係なくて、5位の韓国イシヒョン選手。パーソナルベストのスコアでこれも2枠目確保です。

6位、アゼルバイジャンのリトヴィンツェフ選手は、世界選手権ショート落ちの27位から今回は6位に入って、実質的には自分の分としての1枠を確保しました。

7位のブレンダンケリー選手も1枠目確保。カナダのサドフスキー選手は際どいところでしたが、何とかカナダ2枠目確保です。ここまでがオリンピック枠確保組。

次点がトルコ勢。また、前回大会出場のドイツのポールフェンツ選手なども、オリンピック枠を確保できませんでした。

結局男子は、2枠目3枠目の追加の可能性があった5カ国すべてが枠を確保したことになります。

 

○女子シングル 上位15人まで

Pl Name Nation Total SP FS
1 Alysa LIU USA 207.40 70.86 136.54
2 Ekaterina KURAKOVA POL 193.58 61.04 132.54
3 Viktoriia SAFONOVA BLR 190.29 62.02 128.27
4 Alexia PAGANINI SUI 180.48 65.65 114.83
5 Anastasiia SHABOTOVA UKR 177.70 61.49 116.21
6 Josefin TALJEGARD SWE 166.05 54.96 111.09
7 Kailani CRAINE AUS 165.35 61.62 103.73
8 Lara Naki GUTMANN ITA 164.60 57.16 107.44
9 Emilea ZINGAS CYP 158.16 52.90 105.26
10 Tzu-Han TING TPE 157.21 51.33 105.88
11 Oona OUNASVUORI FIN 155.67 51.94 103.73
12 Dasa GRM SLO 148.79 50.19 98.60
13 Taylor MORRIS ISR 148.34 53.36 94.98
14 Lea SERNA FRA 146.52 50.93 95.59
15 Jocelyn HONG NZL 146.41 49.13 97.28

女子も優勝はアメリカのアリサリュウ選手。207.40は本人比では平凡ではありますが、枠確保という面では何の問題もないスコアです。アメリカ3枠確保。

2位のポーランド、クラコワ選手は世界選手権32位ショート落ちの失敗をここで取り返して自らの分の1枠を確保しました。4位のスイスからのパガニーニ選手や7位のオーストラリア カイラニークライン選手も同様です。

3位に入ったベラルーシのサファノワ選手は200点実績があるのですが世界選手権は欠場。こういった、欠場した選手が最後のチャンスで自分の枠を確保していく、というのもネーベルホルン杯の一つの姿ではあります。

5位ウクライナのシャバトワ選手はまだジュニアグランプリシリーズにも出ている、今シーズンからシニアの試合出場が可能になった選手。ウクライナの先輩が確保できなかった出場枠を、自分で出てきて確保しました。これも、オリンピックシーズンにシニアに上がる選手で実力がある場合は自力で枠を取れる、というネーベルホルン杯の価値だと思います。

6位のタイガード選手は世界選手権15位で枠取り無関係です。

最終的に残り6枠は7位のカイラニークライン選手までで決まりました。時点はイタリア。その差0.75 僅差ですが、イタリアには枠が回ってきません。

また、フランスのリーセルナ選手は14位。オリンピック枠無しです。グランプリ開催国のフランスが女子シングルでオリンピック枠が取れない、というのは極めて珍しい事象になります。

 

北京オリンピックの出場枠

 

男子

女子

ペア

アイスダンス

3枠

日本

米国

ロシア

ロシア

日本

米国

ロシア

ロシア

米国

カナダ

2枠

イタリア

フランス

韓国

カナダ

韓国

中国

カナダ

米国

イタリア

 

1枠

中国

ジョージア

スイス

エストニア

ベラルーシ

ラトビア

チェコ

メキシコ

ウクライナ

スウェーデン

イスラエル

アゼルバイジャン

オーストラリア

ベルギー

オーストリア

アゼルバイジャン

カナダ

エストニア

スウェーデン

オランダ

ブルガリア

ドイツ

ジョージア

中国

チェコ

イギリス

フィンランド

ポーランド

ベラルーシ

スイス

ウクライナ

オーストラリア

日本

オーストリア

ドイツ

ハンガリー

チェコ

スペイン

ジョージア

イスラエル

イタリア

イギリス

スペイン

ポーランド

中国

リトアニア

フランス

ドイツ

日本

ウクライナ

フィンランド

ジョージア

アルメニア

チェコ

 

ロシアは厳密には、ドーピング問題でロシア国家としての参加は認められていないので違う表記になるのですが、わかりにくいのでここではロシアと表記します

 

こうしてみると、ロシアは全12枠を確保したことになります。ロシアを排除してオリンピック開いてしまうと、フィギュアスケートとしてはほとんど価値のない大会になってしまう、という構図も垣間見えます。

アメリカはペア以外で3枠確保で全11枠。カナダはカップル競技が3枠あって合計9枠確保です。日本はシングル競技が3枠あって合計8枠。この辺までがフィギュアスケートの強豪国、という感じではありますが、ロシアがやっぱり頭一つ抜けているなあ、という感じもあります。

4種目すべてで枠を取ったのは他には中国、ジョージアチェコがあります。ジョージアというのが意外な名前ですが、ペア、アイスダンスカップル競技で、ネーベルホルン杯で枠を確保してきました。3種目で出場枠を持つのがイタリア、ウクライナ、ドイツです。

オリンピックの団体戦は、個人戦で3種目以上の出場権を持っていること、が条件になっているので、結果的にこの時点で10カ国きまったことになります。

もう一度しっかり並べると、ロシア、アメリカ、カナダ、日本、中国、ジョージアチェコ、イタリア、ウクライナ、ドイツの10カ国です。

この先、出場辞退などで補欠が繰り上がった場合、韓国が、アイスダンスの補欠2番手にいるので、ここまで枠が降りてくると、韓国が3種目目を手に入れて、団体戦の出場権を逆転で手に入れて、ポイント下位の国(現段階ではウクライナ)が団体戦から外れる、という可能性がわずかながらあります。男子で補欠3番手のイギリスやペアで補欠3番手のオーストラリアも、同様に同じ形でわずかながら同じ可能性を残してはいます。

 

オリンピックの出場枠を取り合う戦いの決着は付きました。この先は、確保した枠を国内で取り合う戦いが進んでいきます。

次週はネペラメモリアルの予定でしたが中止によりチャレンジャーシリーズの試合はありません。日本でジャパンオープンが行われます。チャレンジャーシリーズの次戦は2週後の10月7日からフィンランディア杯。コストルナヤ、トゥクタミシェワ、ワリエワ、三選手がエントリー。アメリカからはカレンチェン選手やジェイソンブラウン選手がエントリーしています。他にも、キーガンメッシング選手。マッテオリッツォ選手、ミハイルコリヤダ選手など、グランプリレベルの顔ぶれが集まっています。

 

オータムクラシック キプロス勢の初優勝

チャレンジャーシリーズの2戦目はカナダ、ケベックでのオータムクラシック。男子は地元カナダ勢数人のみというローカル試合になってしまいましたが、女子は韓国アメリカの上位選手のエントリーもあり、チャレンジャーシリーズらしい顔触れとなりました。

そんななか、優勝したのは大変意外な選手でした。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Marilena KITROMILIS CYP 180.72 61.33 119.39
2 Young YOU KOR 180.25 60.66 119.59
3 Seoyeon JI KOR 173.69 60.67 113.02
4 Karen CHEN USA 173.00 58.01 114.99
5 Starr ANDREWS USA 155.25 59.21 96.04
6 Siwon LEE KOR 153.70 52.31 101.39
7 Emily BAUSBACK CAN 149.32 51.61 97.71
8 Gabrielle DALEMAN CAN 146.51 51.84 94.67
9 Eliska BREZINOVA CZE 141.37 52.52 88.85
10 Alison SCHUMACHER CAN 127.06 47.51 79.55
11 Jenny SHYU TPE 113.04 40.24 72.80

優勝は、キプロスのキトロミリス選手。全くのノーマークでしたが、ショートで首位に立ち、フリーも僅差の2位で逃げ切りました。昨シーズンまではショートで50点にも乗せられず、フリーで100点を出したこともない、という選手が、8月のクランベリーカップでパーソナルベストの158.59をだし、この試合で180点に乗せてきました。キプロス勢としてチャレンジャーシリーズ初優勝。キプロスにはオリンピック出場枠は当然無いわけですが、来週のネーベルホルン杯は彼女は補欠扱いで別の選手が出ます。180点出せれば十分射程圏なのですが残念です。2004年10月15日生まれの16歳。ジャンプが後半に入っているのがフリーで1本だけ、ショートはなし、ということで、まだ比較的楽に滑れる構成になっていますが、この先が楽しみになる選手です。

 

2位には韓国のユヨン選手。クランベリーカップに続いて北米の大会に出ていますので、今は日本ではなくカリフォルニアで練習してますかね? スコアは180.25と平凡。トリプルアクセルがショートは回転不足で転倒、フリーは回転不足とダウングレード。どうしても決まってきません。

 

カレンチェン選手は4位。アメリカ代表になるには最低200点は欲しいところですが、今回は173点台。オリンピックの前のシーズンに強いのだけど、オリンピックシーズンは今一つという、国の役に立つけど本人的にはちょっと…、みたいなことにはまらなければいいのですが・・。一応、四年前はオリンピック代表にまではなれました。

 

かつての世界選手権銅メダリストのガブリエルデールマン選手も出場しましたが、146.51の8位。代名詞ともいえる3T+3Tのコンビネーションも入らずセカンドは2回転など、ショートもフリーも全体的に精彩を欠いた演技にしか見えませんでした。98年1月生まれの23歳。宮原知子選手、ブレイディテネルと同じ世代で、トゥクタミシェワ選手よりは1つ下。まだ復活可能な年齢かと思うのですが、なかなか苦しいのでしょうか・・。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Conrad ORZEL CAN 207.31 80.82 126.49
2 Bennet TOMAN CAN 172.33 63.30 109.03
3 Beres CLEMENTS CAN 153.48 55.48 98.00

男子シングルはカナダ勢3人のみのエントリーとなりました。

優勝はコンラッドオーゼル選手。オーサー先生のところの選手です。スコアは207.31に終わり本人比で見ても平凡なスコアでした。カナダのオリンピック枠は1つ+ネーベルホルン杯待ちの1つがありますが、2枠目入ったとしてもこの200点ちょっとのスコアでは厳しいです。

余談ですが、この試合はチャレンジャシリーズの一試合ですが、出場3選手でしかも全員同国籍ということで、世界ランキングのポイントからは外されてしまったようです。

国際B級試合では8人以上の出場がランキングポイントとしての認定に必須なのですが、チャレンジャーシリーズでも同じルールが適用されるのはちゃんと把握していなくて今回初めて知りました。

 

次週はいよいよ、オリンピックの枠が固まるネーベルホルン杯です。男子ではアメリカからヴィンセントジョー選手、カナダのローマンサドフスキー選手などがエントリー。女子はアメリカのアリサリュウ選手のエントリーがあります。気になったのは、カザフスタンからはほぼ実績のないRAKHISHOVA(読めない・・)選手がエントリーしていて、トゥルシンバエワ選手の名前がありません。RAKHISHOVA選手は先日のジュニアグランプリに出ていてトータルスコアで102.58という選手です。どういうことなんでしょう? って、これで実質的にトゥルシンバエワ選手のオリンピックが消えた、ということになるかと思います。女子の四回転認定最年長記録を持っている選手でもあるのですが、それ以来ほとんど試合への出場もありません。非常に残念です。

また、日本では全日本につながる地方大会も始まります。まずは中四国九州選手権と中部選手権です。チャレンジャーシリーズへの派遣が今年もありませんので、中部選手権では松生理乃選手、横井ゆは菜選手などトップ選手が名を連ねています。

 

 

USインターナショナル トゥルソワ登場

今シーズンはチャレンジャーシリーズから外れて、いわゆるB級大会、インターナショナルコンペティション扱いとなったUSインターナショナル。同スケジュールでカナダでチャレンジャーシリーズやってますから、アメリカローカルの格落ち試合になるかと思っていたのですが、まさかのトゥルソワ選手エントリーで、全く違った装いとなりました。

 

○女子シングル(シニア)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Alexandra TRUSOVA RUS 216.80 74.75 142.05
2 Yeonjeong PARK KOR 212.40 71.07 141.33
3 Gabriella IZZO USA 182.76 63.93 118.83
4 Sierra VENETTA USA 177.40 61.60 115.80
5 Paige RYDBERG USA 154.03 58.24 95.79
6 Taylor MORRIS ISR 142.16 49.09 93.07
7 Maxine BAUTISTA USA 138.08 45.71 92.37
8 Tara PRASAD IND 129.19 44.66 84.53
9 Katherine ONA ECU 64.05 20.73 43.32

結果的に、チャレンジャーシリーズであるオータムクラシックの優勝スコアより、USインターナショナルの3位のスコアの方が高い、という現象が生じました。

優勝はトゥルソワ選手。当然なようで当然なスコアでもなく、216.80にとどまっています。ショートは今のところ織り込み済みとも思われるトリプルアクセルの転倒以外は良かったのですが、フリーが伸びず、本人比では平凡なスコアに終わりました。210点台だとロシア選手権では表彰台はおろか6番にも入れないかもしれないようなスコアです。

このトゥルソワ選手に迫ったのが韓国のパクヨンジョン選手。2006年1月19日生まれのワリエワ世代。今シーズンシニアデビューの15歳はこの試合がシニアデビュー戦。ショートではまさかの70点越えで2位につけてのフリー。パーソナルベスト122点台の選手がほぼミスのない演技でPCSではトゥルソワ選手を上回り、TESも76.40というハイスコアを出してきています。212.40は韓国歴代で3位。現役では2位のスコアです。ただし、B級大会なのでISU公認スコアにはなりません。昨シーズン韓国選手権8位の選手が一躍代表候補に躍り出てきました。

 

○アレクサンドラトゥルソワ選手のショートプログラム構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 3A   8.00   -4.00 4.00 -4.800
2 3F   5.30   1.77 7.07 3.400
3 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.200
4 3Lz+3T   11.11 x 1.97 13.08 3.400
5 FCSp4   3.20   0.96 4.16 3.000
6 StSq4   3.90   1.56 5.46 3.800
7 LSp4   2.70   0.81 3.51 3.000
  Total BV:   37.71   4.12 41.83  

ショートプログラムではトリプルアクセルを入れ後半にコンビネーションという、女子でこれ以上の基礎点を出すにはルッツループを入れるしか後はない、というハイレベル構成です。トリプルアクセルは転倒。これは今の時点では織り込み済みでしょうし、トリプルアクセルが完成しなかった場合は大事な試合ではダブルアクセルにするでしょう。他の要素はすべてGOEが+3以上でした。

 

○アレクサンドラトゥルソワ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores  
1 4F   11.00   -5.50 5.50 -5.000
2 4S   9.70   2.59 12.29 2.400
3 2A+3T   7.50   1.12 8.62 2.600
4 2T   1.30   -0.04 1.26 -0.400
5 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.200
6 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
7 4Lz< < 10.12 x -4.29 5.83 -4.600
8 4Lz+1Eu+3S< < 16.98 x -4.98 12.00 -4.000
9 3Lz+3T   11.11 x 0.98 12.09 1.600
10 FCSp4   3.20   0.43 3.63 1.400
11 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.200
12 FCCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
  Total BV:   84.81   -6.16 78.65  

フリーは4回転4種類5本構成。決まったのはサルコウ1本のみでした。サルコウは比較的成功率の低いジャンプだったと記憶していますが今回は意外にもこれのみが決まりました。

2回飛ぶジャンプが四回転ルッツと三回転のトーループという驚異の構成。しかもルッツは二つとも後半。最後のジャンプもコンビネーション。トリプルフリップも余っているのにダブルアクセルを入れているということは、本人の意思としては、三つ目の要素はトリプルアクセルを入れたいのだろうと思われます。これだけ失敗が並んでも基礎点84.81の鬼構成ですが、回転が全部足りた場合、ダブルアクセルのままでも基礎点から96.49というとてつもない構成で、トリプルアクセルが入れば基礎点100点に達します。

ただ、まだまだ確率は低い構成、というのが現実なのではないかと思われます。

当たれば大きい、誰も手の届かない領域の点数が出せるトゥルソワ選手ですが、ミスが出ると210点台までは落ちてくる。そしてそれは結構な確率で起こる。ロシア選手権、オリンピック、二試合でショートフリー共に大きなミスなく乗り越えないと金メダルはありません。それを実現できるかどうか? かなり難しい、というのが今の状況ですので、勝つことだけを目指すなら、トリプルアクセルの習得を目指すより、今の四回転構成の精度を上げることを目指す方がよい。ただ、トゥルソワ選手はそういう選手ではないようにも感じます。

 

○男子シングル(シニア)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Michal BREZINA CZE 238.65 87.48 151.17
2 Jimmy MA USA 233.58 84.07 149.51
3 Eric SJOBERG USA 221.12 78.11 143.01
4 Camden PULKINEN USA 208.99 66.84 142.15
5 Donovan CARRILLO MEX 208.41 77.48 130.93
6 Maxim NAUMOV USA 207.39 69.99 137.40
7 Daniel SAMOHIN ISR 207.36 66.54 140.82
8 Mark GORODNITSKY ISR 186.82 64.24 122.58
9 Dinh TRAN USA 176.72 65.77 110.95
10 Christopher CALUZA PHI 175.64 62.03 113.61

男子シングルではベテランのブレジナ選手が優勝しました。ショートは80点台後半まで出していてフリーは150点に乗せました。今年の世界選手権では19位でオリンピック枠を確保しているチェコブレジナ選手。もし出場が叶えば4大会連続の出場となります。バンクーバーに出場して現在も現役を続けている男子シングル選手は、種目変わった高橋大輔選手とブレジナ選手だけです。高橋大輔選手は平昌に出ていませんので、4大会連続が可能なのはブレジナ選手のみとなります。今大会ではショートフリーともに四回転サルコウを決めました。

2位にはアメリカのジミーマー選手が入りました。233.58はパーソナルベスト。アメリカのオリンピック枠はネーベルホルン杯で取れれば3枠になりますが、上位の壁は厚い。昨シーズンの全米選手権は6位。ネイサンチェン、ジェイソンブラウン、ヴィンセントジョー、といった壁を超えないとオリンピックはありません。今大会ではショートフリーで三本の四回転トーループを決めましたが2種類目は入っていません。

平昌オリンピックに出場した経験のあるイスラエルのダニエルサモーヒン選手は207.36で8位。ショートフリーとも一つだけ入れた四回転のサルコウは転倒。近年はスコアも上がらず苦しんでいますが、復活はあるでしょうか?

 

まさかのトゥルソワ選手エントリーでいきなりレベルが上がったUSインターナショナルでした。おそらく今のコロナの状況で、カナダよりもアメリカの方が入出国が容易だったからこちらを選んだ、ということのような気はします。

ロシアの上位勢はチャレンジャーシリーズでは10月7日からのフィンランディア杯にエントリーしています。コストルナヤ、トゥクタミシェワ、ワリエワ三選手が入っていて、シェルバコワ選手はサブスティチュートです。チャレンジャーシリーズと言えど、同国籍選手は3人までのエントリーになります。