理論上の最高点は?

イリアマリニン選手が4回転アクセルを成功させました。これで4回転が6種類そろったことになります。5回転、なんて声も聞かれるようになりましたが、5回転はまだ基礎点が定まっていません。ルール上存在しないことになっています。では、ルール上ではどこまで点を出せるのか? 理論上の最高得点は何点なのか? 今回はそれを見ていきます。

すべて男子シングルのルールとします。なお、コンビネーションの2つ目にルッツを飛ぶ、というようなトリッキーな構成は含めないこととします。

 

ショートプログラムの最高基礎点?

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 3A   8.00   4.00 12.00
2 4Lz   11.50   5.75 17.25
3 FCSp4   3.20   1.60 4.80
4 CCoSp4   3.50   1.75 5.25
5 4A+3Lo   19.14 X 6.25 25.39
6 StSq4   3.90   1.95 5.85
7 CSSp4   3.00   1.50 4.50
  TES   52.24   22.80 75.04

ショートプログラムではダブルアクセルトリプルアクセルが必須ですので単独のトリプルアクセルがまず入ります。4回転アクセルを単独では入れられません。ではショートで4回転アクセルは使えないかと言うとそうではないです。女子のジュニア、あるいは女子の昔のシニアではショートの単独アクセルはダブルアクセルが必須でした。それでも浅田真央さんや最近ではアリサリュウさんもジュニアカテゴリーでトリプルアクセルを構成に入れていました。トリプルアクセルも3回転ジャンプの1種として数えることが出来てコンビネーションに使えます。同じように4回転アクセルも4回転ジャンプの1種として数えることが出来てコンビネーションに使えるわけです。

コンビネーションは4回転-3回転までです。4回転-4回転はルールから外れるので使えません。セカンドジャンプは3回転ループが1番基礎点が高くなります。残りの単独ジャンプは4回転ルッツです。1.1倍に入れるのはコンビネーションが当然1番よい。スピンステップの位置はどこでもいいですが、ショートの場合はスピンも組み合わせの制限により合計で基礎点9.70までです。

これらを合計すると基礎点52.24のGOE満点で技術点75.04が満点でPCSも満点取ると125.04まで出ることになります。

 

○フリーの最高基礎点

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 3F   5.30   2.65 7.95
2 3Lz   5.90   2.95 8.85
3 3A   8.00   4.00 12.00
4 4S   9.70   4.85 14.55
5 CCoSp4   3.50   1.75 5.25
6 StSq4   3.90   1.95 5.85
7 4Lz+4T   23.10 X 5.75 28.85
8 4F+4Lo   23.65 X 5.50 29.15
9 4A+4A+3A   36.30 X 6.25 42.55
10 ChSq1   3.00   2.50 5.50
11 FCSp4   3.20   1.60 4.80
12 FCCoSp4   3.50   1.75 5.25
  TES   129.05   41.50 170.55

フリーの最高基礎点の構成はこうなりました。2回飛ぶジャンプは4回転アクセルとトリプルアクセル。4回転は2回飛べるのは1種類だけなのでこうなります。そして、1.1倍にコンビネーションを全部入れ、シークエンスでアクセルをつぎ込みます。トリプルアクセルが1本余るのでそれは外に出して単独にします。残りのコンビネーションは、セカンドジャンプにトーループとループで4回転を入れます。4回転アクセルの次はセカンド4回転がチャレンジとして試みられる時代がくるでしょうか。そして残りのジャンプを基礎点が高い順に単独ジャンプで入れていきます。

スピンはフリーの場合は合計基礎点10.20まで入ります。ステップで3.9にコレオの3.0も足されます。

これにより合計基礎点は129.05となり、この構成の満点は170.55になります。

この構成が基礎点で最も高くなるものと考えられますが、満点が最も高くなるものではありません。この構成は単独の3回転ルッツやフリップがあるため、GOEがやや稼ぎにくくなる形です。GOEを高く稼げる形に組み替えます。

 

○組み替え1

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 3Lz   5.90   2.95 8.85
2 4Lo   10.50   5.25 15.75
3 4S   9.70   4.85 14.55
4 4F   11.00   5.50 16.50
5 CCoSp4   3.50   1.75 5.25
6 StSq4   3.90   1.95 5.85
7 4Lz+4T   23.10 X 5.75 28.85
8 4A+3Lo   19.14 X 6.25 25.39
9 4A+3A+3A   31.35 X 6.25 37.60
10 ChSq1   3.00   2.50 5.50
11 FCSp4   3.20   1.60 4.80
12 FCCoSp4   3.50   1.75 5.25
  TES   127.79   46.35 174.14

まず、4回転アクセルをシークエンスで入れるのはGOE考えるともったいないためばらします。次に、セカンド4回転ループはやはりGOE考えると4回転同士のコンビネーションにするのはもったいないのでそれを外してそこは3回転のループにしています。この組み換えで基礎点は1.26下がるのですが稼げるGOEが4.85増えるので満点は174.14まで上がります。

それならセカンド4Tを外して3Tにして3Lzのところに4Tにした方が満点上がるか? とも思うのですが、実際にはそのパターンでは基礎点125.62の満点GOE48.15になって、合計173.77となり、満点は低下します。ただ、GOEは上がっているわけです。上記の構成から基礎点をあまり下げずに満点GOEを48.15にする方法はないでしょうか?

 

○組み換え2 最高得点?

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 4Lz   11.50   5.75 17.25
2 4T   9.50   4.75 14.25
3 4S   9.70   4.85 14.55
4 4F   11.00   5.50 16.50
5 CCoSp4   3.50   1.75 5.25
6 StSq4   3.90   1.95 5.85
7 3Lz+4Lo   18.04 X 5.25 23.29
8 4A+3Lo   19.14 X 6.25 25.39
9 4A+3A+3A   31.35 X 6.25 37.60
10 ChSq1   3.00   2.50 5.50
11 FCSp4   3.20   1.60 4.80
12 FCCoSp4   3.50   1.75 5.25
  TES   127.33   48.15 175.48

多少不自然な部分もあるのですが、単独3Lzを消す組み換えをします。4Tの方を動かすのではなく、4Lzの方を外に出し、3Lzをコンビネーションに持ってきてセカンドに4Tを付ける。この入れ替えで基礎点は127.23に低下しますが、満点GOEが48.15になって合計175.38となります。それならとさらに4Tと4Loを入れ替えることで1.1倍の基礎点を上げられるので基礎点が127.33になり満点GOEが48.15と変わらず、合計175.48となります。

3Lz+4Loがやや不自然にも見えますが、逆足ジャンプや逆回転などでセカンドにルッツを入れるようなトリッキーなものを除外すると、これが最高得点の構成になると思います。

この構成でフリーはPCS満点100点を加えると275.48になり、ショートフリー合計で400.52となり400点に到達することになります。現行ルールで人間に課せられた理論上の最高点は400点まであるようです。

 

セカンド4回転に無理がある? 現状ではそんな気もします。なので、セカンド4回転抜きでも考えてみましょう。

 

○セカンド4回転抜きの最高得点構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores
1 4F   11.00   5.50 16.50
2 4Lo   10.50   5.25 15.75
3 4S   9.70   4.85 14.55
4 4T   9.50   4.75 14.25
5 CCoSp4   3.50   1.75 5.25
6 StSq4   3.90   1.95 5.85
7 4Lz+3T   17.27 X 5.75 23.02
8 4A+3Lo   19.14 X 6.25 25.39
9 4A+3A+3A   31.35 X 6.25 37.60
10 ChSq1   3.00   2.50 5.50
11 FCSp4   3.20   1.60 4.80
12 FCCoSp4   3.50   1.75 5.25
  TES   125.56   48.15 173.71

セカンド4回転抜きでもここまで出ます。セブンクワッドで一つ目のジャンプはすべて4回転とし、シークエンスはトリプルアクセル2本、コンビネーションはトーループとループをそれぞれ使い、すべて1.1倍に入れる。これで基礎点125.56の満点GOEが48.15で合計173.71まであります。PCSの100点を加えて273.71 ショートの125.04を加えるとトータル398.75になります。

セカンド4回転入りと比べると1.77しか上限が変わりません。これだとセカンド4回転を習得しようというドライビングフォースは働かないですね。

 

先日のUSインターナショナルで4回転アクセルを飛んだ時のマリニン選手の基礎点は102.47でした。レベルの取りこぼしがあったのですべてレベル4なら103.47です。理論上の最高基礎点128.75まではあと25点ほどあります。トータルスコアの過去最高は335.30というネイサンチェン選手のものがあり、理論上の最高得点にはまだ65点ほどあります。

男子はルール変更だけでなく世代交代も北京オリンピック後に起きた感じですが、次のルール改正までに理論上の最高得点にすこしでも近づいていけるでしょうか?

 

 

グランプリフランス それぞれの初優勝・初表彰台

グランプリシリーズも3戦目、これで半分が終わり、多くの選手が初戦を終えてきました。ショートが僅差になる試合が多く、フリーも基礎点で大きな差がないことで表彰台争い、優勝争い、最後まで分からないという展開が多く楽しめる一方、もう少しミスの少ない試合も見たいな、と思う部分もある、という今シーズンのグランプリシリーズになっている印象です。ただ、グランプリシリーズはまだシーズン前半で、前からミスは多く出るものだったような気もします。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Adam SIAO HIM FA FRA 268.98 88.00 180.98
2 Sota YAMAMOTO JPN 257.90 92.42 165.48
3 Kazuki TOMONO JPN 248.77 89.46 159.31
4 Sihyeong LEE KOR 242.62 76.54 166.08
5 Nika EGADZE GEO 233.40 82.44 150.96
6 Luc ECONOMIDES FRA 229.64 77.23 152.41
7 Lukas BRITSCHGI SUI 222.86 74.25 148.61
8 Ivan SHMURATKO UKR 220.08 75.95 144.13
9 Mihhail SELEVKO EST 212.92 79.40 133.52
10 Wesley CHIU CAN 209.95 67.95 142.00
11 Landry le MAY FRA 203.39 60.87 142.52
  Sena MIYAKE JPN 69.27 69.27  

優勝は地元フランスのアダムシャオイムファ選手でした。グランプリシリーズ最高位8位からパーソナルベスト更新で初表彰台初優勝です。ヨーロッパ選手権の優勝候補に一躍躍り出たと言ってよいでしょうか。ショートで4回転トーループにミスが出ましたがフリーはほぼ完ぺきでした。冒頭がトリプルルッツでしたが、これは4回転ルッツを練習中のため。10月のニースでの試合では冒頭4回転ルッツを試して転倒していました。そこまで完成してくれば、ワールド表彰台候補です。

本草太選手が2位。ショート首位のリードは守り切れませんでしたがフリーも何とかまとめて初表彰台です。グランプリシリーズ出場5シーズン目 ケガで結局出場できなかった最初のエントリーからは7シーズン目にして表彰台にまでたどり着きました。

3位には友野一希選手が入り日本勢ダブル表彰台です。ここまで3戦の中では表彰台スコアとしては最も低い得点になっています。そういう意味では組み合わせに恵まれた部分もあるのですが、メンバー的に少し楽な理由は自分がシード選手だからというところにも理由があり、そこまで考えるとやはり自力で勝ち取ったものですね、と受け取ることもできます。なんだかんだでグランプリシリーズの表彰台はこれで3回目。調子が上がり切っていない中でも表彰台に乗るのはさすがです。シード選手としてはファイナルを目指したいところですが、弱い3位をもってのNHK杯大勝負。ちょっと難しい戦いになりそうです。

韓国のイシヒョン選手が4位。フリーは素晴らしい演技でした。フリーだけなら2位。技術点90点に乗せパーソナルベストを出してきました。チャジュンファン選手の陰に隠れつつ、チャジュンファン選手が確保したオリンピック、世界選手権の枠に入ってきていた選手ですが、今シーズンは2枠あって当然、くらいの成績を上げています。ただし今シーズンのワールドは1枠しかないので代表になるのは大変です。

日本からはもう一人、三宅星南選手が出場していましたが、残念ながら体調不良でフリーは欠場しました。

 

○山本草太選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
2 4T+3T   13.70   2.71 16.41 2.778
3 4T   9.50   2.31 11.81 2.333
4 3A+1Eu+3S   12.80   -0.11 12.69 -0.222
5 FCSp2   2.30   0.36 2.66 1.444
6 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.222
7 1A   1.21 x -0.03 1.18 -0.333
8 3F+3T   10.45 x 0.91 11.36 1.778
9 3Lz! ! 6.49 x -0.08 6.41 -0.222
10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.222
11 CSSp4   3.00   0.94 3.94 3.111
12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
  TES   78.95   5.48 84.43  

本草太選手は4回転3本構成。冒頭のサルコウで残念ながら転倒でした。後半のトリプルアクセルが抜けて1回転半になったのも痛いです。

2回飛ぶジャンプは4回転トーループと3回転トーループ。本来はトリプルアクセル2回飛ぶはずでしたが、抜けて1回転半になったことで3回転トーループをもう一度飛ぶというリカバリーが成立しました。単純には基礎点が7.59下がるところを、トリプルトーループを飛ぶことで基礎点低下を4.40に抑えました。

基礎点は78.95 スピンステップのレベルとトリプルアクセルのところで基礎点は削られていてノーミス基礎点は84.85になります。トップのトップと比べるとまだ基礎点に差はありますが、これくらいの基礎点を持っていれば、ノーミス時に技術点100点までは見込めて勝負になる領域です。余っているダブルアクセルをシークエンスでうまく使えばさらに基礎点を上げることは可能です。

山本選手の2戦目はNHK杯。ここまでの3戦で表彰台に乗った選手が山本選手含め6人出るという厳しい試合なのですが、ここでも表彰台に乗ればファイナルが見えてきます。

 

友野一希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+2T   10.80   1.36 12.16 1.444
2 4S   9.70   -0.97 8.73 -1.000
3 4T   9.50   -2.17 7.33 -2.333
4 3Lo   4.90   -0.28 4.62 -0.556
5 CSSp4   3.00   0.51 3.51 1.778
6 FCSp4   3.20   0.37 3.57 1.222
7 StSq4   3.90   1.28 5.18 3.222
8 3A+1Eu+3Sq q 14.08 x -0.80 13.28 -1.111
9 3F+2T   7.26 x -0.76 6.50 -1.333
10 1A   1.21 x 0.06 1.27 0.667
11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.444
12 CCoSp3   3.00   0.90 3.90 3.000
  TES   73.55   1.21 74.76  

友野選手も4回転3本構成です。2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセル、のつもりが最後のアクセルが抜けて1回転半になりました。最後のジャンプで失敗するとリカバリーするところがありません。もったいないのはもう一つあって、セカンド3回転が入りませんでした。3F+3Tにするつもりだったと思いますが、結局最後の2つのジャンプで基礎点を10.78落としたことになります。ノーミスでなくても最後のジャンプまでしっかり降りていれば2位まではありました。

基礎点73.55はノーミスなら84.83まで出ます。ほぼ山本選手とノーミス比で同じ基礎点になります。余っているダブルアクセルをうまく使えば基礎点がさらに上がるのも同じです。セカンド2Tを2Aに変えるか、1Eu+3Sを2A+2Aに変えるか。コンビネーション、シークエンスでアクセルに変えると、着氷後の滑る方向とかが変わってシーズン途中に変えにくいとかあるかもしれませんが、基礎点が2点単位で上がるので、貴重な基礎点源ではあります。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Adam SIAO HIM FA 268.98 128.47 90.27 12.25 23.22 14.77
2 Sota YAMAMOTO 257.90 122.31 96.05 3.63 23.00 13.91
3 Kazuki TOMONO 248.77 126.77 86.75 -2.44 22.34 15.35
4 Sihyeong LEE 242.62 111.78 90.51 5.09 23.04 13.20
5 Nika EGADZE 233.40 110.05 94.86 -0.80 19.89 11.40
6 Luc ECONOMIDES 229.64 111.32 78.54 4.72 21.39 13.67
7 Lukas BRITSCHGI 222.86 112.49 78.87 -1.11 21.36 12.25
8 Ivan SHMURATKO 220.08 111.85 73.13 1.33 22.38 12.39
9 Mihhail SELEVKO 212.92 112.06 72.52 -2.48 20.88 10.94
10 Wesley CHIU 209.95 106.89 88.77 -15.73 21.54 10.48
11 Landry le MAY 203.39 97.52 77.52 -3.19 21.93 10.61

要素別では優勝したアダムシャオイムファ選手がPCSとジャンプのGOEにスピンでトップです。ジャンプの基礎点は4位。ショートで4回転が2回転になったのは響きました。ステップ系要素はレベル取れなかったところがあり14点台で2番目になっています

本草太選手はジャンプの基礎点がトップでした。回転不足が無かったのが大きいです。一方GOEは4番目。もう少し稼ぎたかったところでしょうか。ステップ系要素はレベルが1つ3でした。

友野選手はジャンプの基礎点が全体5番目。アクセルの抜けも痛いですがセカンド3回転がショートもフリーも入らなかったのがもったいなかったでした。ジャンプのGOEはマイナスであまり今回の出来が良くなかったことを表しています。スピンは22点台で全体4位。昨シーズンの前半はスピンがひどかったですがその頃と比べると、良くないながらもちゃんと点はある程度出る、ということになってきています。ステップ系要素トップはさすがです。グランプリシリーズここまで3試合通して、宇野選手に次いで2番目のスコアになっています。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Loena HENDRICKX BEL 216.34 72.75 143.59
2 Yelim KIM KOR 194.76 68.93 125.83
3 Rion SUMIYOSHI JPN 194.34 64.10 130.24
4 Haein LEE KOR 193.49 62.77 130.72
5 Audrey SHIN USA 183.93 64.27 119.66
6 Mana KAWABE JPN 182.50 68.83 113.67
7 Rino MATSUIKE JPN 176.52 57.68 118.84
8 Mae Berenice MEITE FRA 175.68 58.84 116.84
9 Lea SERNA FRA 167.89 62.63 105.26
10 Olga MIKUTINA AUT 159.99 56.00 103.99
11 Lindsay van ZUNDERT NED 154.09 55.11 98.98
12 Maia MAZZARA FRA 140.85 46.05 94.80

女子はルナヘンドリックス選手が圧勝。グランプリシリーズ初優勝となりました。本命が本命らしく強く勝ちました、という試合でした。基礎点差はないのでミスすると分かりませんよという状況ではあったのですがショートフリー通じて全要素プラス評価。圧倒的な強さでした。216.34はスケートアメリカの坂本選手217.61に近い得点です。この2人が今シーズンここまで頭一つ抜けています。最終戦フィンランドで表彰台に乗ればファイナル進出となります。

2位には韓国のキムイェリム選手が入りました。フリーはあまりいい出来ではなかったのですが、スコアが出て、あーあ、みたいな表情から、え? これで首位に残るの? あら? よかったわ、みたいな驚きとも喜びともつかない表情でした。先月のフィンランディア杯では213点台を出していますので、全然出来は良くなかったわけですが、それでもとにかくグランプリ初表彰台でNHK杯にファイナル進出を賭けることになりました。

グランプリ初出場の住吉りをん選手が3位。これでこの試合は全員が初表彰台ということになります。ショートフリーともまずまずの出来で逆転表彰台を勝ち取りました。

上位に来ればファイナルの芽があったイ・ヘイン選手は4位。これで4位が2つなのでファイナルは無しです。

ショート3位だった河辺愛菜選手は6位に終わりました。こちらも6位があると2戦目優勝でもファイナルはまずありません。久しぶりにショートはよく、トリプルアクセル無し構成の自己最高スコアだったのですが、フリーは伸びず。普通に滑れば2位まである試合だったので非常に残念でした。

日本からもう一人、松生理乃選手は7位。体調は良くないながらもなんとかランキングポイントは確保。日本勢の争いが熾烈なので、今期結果を出さないと来期のグランプリ枠が回って来るかいろいろと危ういところはあるので、なんとか高いランキングを確保しておきたい部分もあります。

 

○住吉りをん選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
2 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.222
3 FCCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.333
4 3F+3T< 8.66   -0.83 7.83 -1.556
5 3Lz   5.90   1.01 6.91 1.778
6 StSq4   3.90   1.23 5.13 3.222
7 2A+3T   8.25 x 0.90 9.15 2.000
8 3Fq q 5.83 x -2.35 3.48 -4.333
9 3S+2T+2Lo   8.03 x -0.55 7.48 -1.222
10 LSp4   2.70   0.66 3.36 2.333
11 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.333
12 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
  TES   67.67   -0.77 66.90  

住吉りをん選手は冒頭に4回転トーループに挑みましたが転倒に終わりました。ただし、基礎点は満額入っていてqもついておらず、回転は十分足りているという判定です。

住吉選手が4回転に挑戦することは女子のフィギュア界にとって非常に大きな意味があります。これまで女子の4回転はロシア勢だけが飛んでいましたが、若い時にだけ飛べるジャンプという扱いでありさらにワリエワ事件によりその価値も怪しいもの扱いされるところが出てきてしまっています。日本では島田麻央選手が飛んでいますが、ISU公認成功はまだなし。また、エテリじゃなくても、まあハマダならそれくらいはやるだろう、でもまだ若いよね、という扱いで島田選手が今跳んでも、若いうちだけ飛べるジャンプという扱いを変えることができません。それと比べて住吉選手はこれまで4回転の成功はありませんし、すでに成長期も終えた19歳。これが成功すると、女子でも、大人でも、しっかり練習を積むことで跳べるようになるジャンプ、という位置づけに4回転ジャンプを変えることができます。これまで4回転ジャンプを成功した最高年齢記録は、トゥルシンバエワさんが19年世界選手権で跳んだ19歳1か月。現在19歳3か月の住吉選手は、4回転を決めた瞬間に最高年齢記録を更新することになります。

基礎点は67.67 今シーズン全体で2位 シニアなら1位の基礎点構成でした。4回転トーループはやはり大きい。ノーミス時は0.84基礎点が上がって68.51まで出せます。そこから基礎点を上げるには、余っているダブルアクセルを3連続の中に入れる手があり、そうすると基礎点70点越えまで行けます。

 

○河辺愛菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.90 4.20 2.778
2 3Lz!+3T< F 9.26   -2.95 6.31 -4.889
3 2A   3.30   0.85 4.15 2.444
4 3Loq F 4.90   -2.45 2.45 -5.000
5 StSq3   3.30   0.71 4.01 2.000
6 3S+3T< 8.43 x -1.23 7.20 -2.889
7 FCSp3   2.80   0.56 3.36 1.889
8 ChSq1   3.00   0.64 3.64 1.000
9 3Lz! ! 6.49 x 0.17 6.66 0.222
10 3Fq q 5.83 x -1.21 4.62 -2.444
11 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 0.889
12 SSp4   2.50   0.46 2.96 1.667
  TES   56.61   -3.20 53.41  

河辺選手は今シーズンここまでトリプルアクセルを封印しています。アクセルの調子の問題か、トリプルアクセル以外にやることがたくさんあるという樋口先生の判断か。

2回飛ぶジャンプはルッツとトーループになっています。ノーミス時の基礎点は62.10 昨シーズンのトリプルアクセル構成と比べると当然やや低くなります。

今シーズンがシニアデビューでショート3位で折り返したならだいぶ違ったのだと思いますが、昨シーズンにオリンピックも世界選手権も経験しつつ、望むような結果が得られなかったというのを経ての今シーズン。練習で調子は良くても、何となく自信を持てずに臨んでしまったフリー、というように見えました。ただ、悪いながらもトータル180点は出せるわけです。あとは自信を取り戻すか、開き直って挑戦していくか、どちらかでダブルアクセル構成での200点、というところまで戻っていくことが出来て、さらにその上、トリプルアクセルを付けて・・・、と進んでいけるのではないかと思います。

 

○松生理乃選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F   5.30   1.44 6.74 2.556
2 3Lz! ! 5.90   0.59 6.49 1.000
3 2A   3.30   0.99 4.29 3.000
4 FCCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.667
5 2A   3.30   1.13 4.43 3.333
6 StSq4   3.90   0.78 4.68 2.000
7 3Lz!<+2T 6.62 x -1.42 5.20 -3.000
8 3S+1T   5.17 x -0.55 4.62 -1.333
9 1Lo+2T   1.98 x -0.02 1.96 -0.111
10 ChSq1   3.00   1.29 4.29 2.556
11 CCoSp4   3.50   1.10 4.60 3.111
12 LSp3   2.40   0.48 2.88 1.778
  TES   47.87   6.71 54.58  

松生選手、調子悪いというか体調悪いところから戻り切っていない、ということでしたが、フリーの前半はまるでそんなことを感じさせない出来でした。ただ、体力的にやはり問題はあったでしょうか、後半のジャンプは決まりませんでした。

2回飛ぶジャンプはルッツとおそらくトーループのつもり。1.1倍にコンビネーション全つぎ込みで高い基礎点を目指しています。ジャンプ構成は4つ目までの順番が入れ替わっていますがそれ以外は昨シーズンと同じです。ノーミス基礎点は63.11 この構成で昨シーズンチャレンジカップでは技術点80点超えの150.13を出しています。

基本的な力は高いはずなので、あとは体調さえ、調子さえ、試合にあってくれば、いい結果を出してくるのではないかと思います。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Loena HENDRICKX 216.34 106.59 62.48 8.60 24.74 13.93
2 Yelim KIM 194.76 97.36 62.61 2.22 22.53 12.04
3 Rion SUMIYOSHI 194.34 95.69 66.18 -4.10 23.23 14.34
4 Haein LEE 193.49 96.48 58.28 3.08 23.50 14.15
5 Audrey SHIN 183.93 93.03 55.48 0.09 22.84 13.49
6 Mana KAWABE 182.50 94.21 60.74 -3.90 21.46 11.99
7 Rino MATSUIKE 176.52 95.42 49.30 -1.92 23.17 12.55
8 Mae Berenice MEITE 175.68 84.45 58.84 0.67 21.27 10.45
9 Lea SERNA 167.89 83.37 58.30 -5.50 21.89 11.83
10 Olga MIKUTINA 159.99 84.04 45.84 -3.22 22.74 12.59
11 Lindsay van ZUNDERT 154.09 78.09 49.20 -3.16 21.81 9.15
12 Maia MAZZARA 140.85 72.35 57.06 -8.51 14.68 8.27

ヘンドリックス選手がPCSは圧倒的で9点平均に近いスコアを出しました。坂本選手と二人、今の女子シングルでは頭一つ抜けています。

ジャンプの基礎点は4回転トーループを基礎点満額もらった住吉選手がトップです。キムイェリム選手、ヘンドリックス選手、河辺選手までが60点台で続きます。

ジャンプの加点はヘンドリックス選手が圧倒的です。フリー良かったイ・ヘイン選手が2番目、キムイェリム選手が3番目となります。住吉選手はここが全体10位。これは4回転トーループの-4.85が著しく響いています。

スピンもヘンドリックス選手がトップ。住吉選手は3位、松生選手は4位。2人は23点台までは出してきました。ステップ系要素は住吉選手がトップでした。14.34はこれまでのグランプリ3戦でトップのスコアになります。河辺選手はスピンで10位、ステップ系要素で8位。ジャンプが決まらないときもこの辺の要素でもう少し稼いでおきたいところだったりします。

 

グランプリシリーズ3戦目はシングル2競技で表彰台6人中5人が初表彰台という試合になりました。ただ、フレッシュかというとそうでもなく、女子ではここまで3大会ですべて20代の選手が優勝。過去、6大会すべてで20代選手が優勝したというのは2000年まで遡らないとありません。なかなか珍しい展開をしてきています。

次週4戦目はイギリス。男子は日本から佐藤駿選手が初戦、壷井達也選手がグランプリデビュー戦、島田高志郎選手が今季2戦目でエントリー。イタリアのグラスル選手は初戦4位でファイナルにつなげるには優勝したい試合で、そこにジョージアのクビテラシビリ選手が立ちはだかりそう、ランビエール組から島田選手と共にバシリエフス選手も来ます。

女子はアメリカのレビト選手が2位以内でファイナルが決まり、初戦3位のユヨン選手も優勝でファイナルとなります。この10代二人を復帰戦のアメリカテネル選手や今期こそ初優勝を目指す三原舞依選手が打ち負かすと、6戦すべて20代優勝という展開が見えてきます。

 

 

東日本選手権 MFアカデミー3カテゴリー制覇

先週の西日本選手権に続いて今週は東日本選手権です。これで全日本ジュニアのエントリー選手が固まりますし、シニアの全日本メンバーも決まります。

 

○女子シングルシニア (上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 江  川  マリア 明治大学 175.46 61.31 114.15
2 青  木  祐  奈 日本大学 172.62 54.51 118.11
3 佐  藤  伊  吹 明治大学 157.79 49.88 107.91
4 松  原      星 明治大学 154.49 53.29 101.20
5 吉  岡  詩  果 山梨学院大学 153.15 53.43 99.72
6 本  田  真  凜 JAL 148.97 52.34 96.63
7 三  枝  知香子 日本大学 147.10 47.08 100.02
8 川  畑  和  愛 早稲田大学 139.79 55.03 84.76
9 廣  谷  帆  香 岩手大学 137.29 43.10 94.19
10 増  田  未  夢 東洋大学 134.26 48.72 85.54
11 馬  場  はるあ 早稲田大学 126.64 45.11 81.53
12 依  田  茉里紗 日本大学 126.36 44.08 82.28

シニア女子の全日本進出枠は9からグランプリ免除が2人いるので引かれて7位まで通過となります。

優勝は今年福岡から上京してきた江川マリア選手でした。明治大学へ進学して福岡から大移動で環境も大きく変わったタイミングですが、MFアカデミーに入って中庭健介コーチの下、コーチは変わらないというか戻ったというか、そういう形で競技面では多少違和感は少なかったでしょうか。東京選手権からスコアは落としましたがショートのリードを守り切って優勝。初の全日本の切符を掴みました。

2位には青木祐奈選手。ショートはそれほど伸びませんでしたがフリーだけならトップスコアで昨年に続いて2位に入ってきました。昨年の全日本はショート落ちでしたが今回は上位進出から出来れば3年ぶりの国際大会派遣まで狙うような位置になります。

3位には佐藤伊吹選手。大学4年生。今後の去就はわかりませんが区切りの年です。ショート出遅れて際どい位置にいましたが、フリー終わった時点で1位に立ち全日本を確定させました。

4位5位6位とやはり全日本常連組が並びます。松原星選手は5大会連続5回目、大学4年生節目のシーズン。昨シーズン怪我で全日本に出られなかった吉岡詩果選手は2シーズンぶりの全日本復活です。本田真凜選手は相変わらず際どい所で勝ち抜ける勝負強さで全日本出場権獲得。8大会連続全日本という報道もありますが、出場権は8大会連続ですが2シーズン前は棄権しているので出場は2大会連続です。

常連がここまで並んでいましたがボーダーラインの7位には日本大学の三枝知香子選手が入ってきました。昨シーズンは全日本ジュニア22位で今シーズンからシニアに上がって初の全日本出場となります。

全日本表彰台経験のある川畑和愛選手はフリーで伸びず8位に終わり、全日本出場権を得られませんでした。冒頭からジャンプ3つを回転不足で3転倒。以降3回転が決まらずではショートのリードが守り切れない。交通事故からの復活はならずという形になりました。

 

○女子シングル シニア 要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 江  川  マリア 175.46 83.81 56.73 2.91 22.56 12.45
2 青  木  祐  奈 172.62 84.60 61.56 -2.24 19.10 10.60
3 佐  藤  伊  吹 157.79 73.73 50.03 -1.67 22.83 12.87
4 松  原      星 154.49 73.53 52.55 -1.56 20.75 11.22
5 吉  岡  詩  果 153.15 78.07 44.94 -4.35 22.14 12.35
6 本  田  真  凜 148.97 79.93 39.03 2.51 17.00 10.50
7 三  枝  知香子 147.10 71.33 48.02 -2.65 19.50 10.90
8 川  畑  和  愛 139.79 76.40 42.99 -7.81 20.74 11.47
9 廣  谷  帆  香 137.29 58.60 53.51 -0.24 19.14 7.28
10 増  田  未  夢 134.26 60.94 44.29 0.25 17.95 10.83
11 馬  場  はるあ 126.64 63.20 41.11 -3.48 17.64 9.17
12 依  田  茉里紗 126.36 66.19 35.80 -4.06 19.25 10.18

PCSは青木祐奈選手がトップでした。平均7点台ですのでそれほど伸びていないというように見えます。2位に江川マリア選手で本田真凜選手が3番手です。

ジャンプの基礎点も青木祐奈選手がトップ。構成でリードを得ました。江川マリア選手がこれも2番手で、全日本に届きませんでしたがフリー伸びてきた廣谷帆香選手が3番手でした。本田真凜選手は逆にここが弱く13番目です。

ジャンプの加点はほとんどの人がマイナスですが江川選手がしっかりした出来で加点を稼ぎました。2位は本田真凜選手。構成軽めで出来栄えでプラスを得ています。ジャンプのGOEプラスはトータル10位の増田選手までで全体で3人だけとなっています。

スピンは佐藤伊吹選手がトップで江川選手はこれも2位です。吉岡詩果選手までが22点台で3位でした。ステップ系要素も佐藤伊吹選手が1位で、江川マリア選手はこれも2位。各要素2位でトータルスコアだけ1位という江川選手です。吉岡詩果選手がステップも3位でした。

 

○男子シングル シニア(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 大  島  光  翔 明治大学 198.08 75.02 123.06
2 長谷川  一  輝 東京理科大学 191.17 63.72 127.45
3 山  隈  太一朗 明治大学 184.40 69.73 114.67
4 西  山  真  瑚 早稲田大学 177.12 49.49 127.63
5 佐  藤  由  基 日本大学 155.23 54.39 100.84
6 志  賀  海  門 法政大学 154.91 52.87 102.04
7 松  井  努  夢 明治大学 154.74 52.24 102.50
8 國  方  勇  樹 日本大学 153.97 50.53 103.44
9 古  庄  優  雅 日本大学 145.97 41.92 104.05
10 加  藤  海  里 岩手大学 142.34 50.37 91.97
11 門  脇  慧  丞 法政大学 141.96 52.19 89.77
12 大  中  惟  吹 東洋大学 138.52 44.96 93.56

男子シニアの全日本進出枠は7ありますが、グランプリ免除が3人いるので出場選手からは4位に入らないと全日本へ進めないという厳しい試合となりました。

優勝は男子も明治大学で大島光翔選手。今シーズン200点もだしていますが今回はそこまで届かず198.08 ショートのリードを生かして逃げ切りました。

2位には東京理科大学の長谷川一輝選手が入りました。20年のインターハイ以来の190点台です。3大会連続の全日本切符を掴みました。

3位には山隈太一朗選手。明治大学4年生、節目のシーズン。全日本は5大会連続の切符となります。過去最高位は高校生の時の10位ですが、大学4年生でその成績を超えることを目指すことになります。

全日本進出圏の4位にはショート10位からフリー1位の大逆転で西山真瑚選手が飛び込んできました。東京選手権で210点台を出し好調だったはずがショート49.49 好調さを台無しにしかけたところからの大逆転で初の全日本切符です。今季でシングル競技は終えてアイスダンスに専念すると宣言しており、シングルでは最初で最後の全日本ということになります。

 

○男子シングルシニア 要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 大  島  光  翔 198.08 100.17 75.19 -5.58 18.07 11.23
2 長谷川  一  輝 191.17 93.34 65.18 0.55 20.38 11.72
3 山  隈  太一朗 184.40 98.26 54.29 -2.98 22.58 12.25
4 西  山  真  瑚 177.12 108.09 39.76 -1.63 20.94 10.96
5 佐  藤  由  基 155.23 86.92 44.65 -1.44 15.18 9.92
6 志  賀  海  門 154.91 76.84 56.77 -1.63 15.37 8.56
7 松  井  努  夢 154.74 85.25 48.21 -6.01 18.28 9.01
8 國  方  勇  樹 153.97 81.34 51.60 -8.38 20.59 9.82
9 古  庄  優  雅 145.97 79.25 48.18 -1.87 13.35 9.06
10 加  藤  海  里 142.34 78.33 46.43 -3.00 12.78 9.80
11 門  脇  慧  丞 141.96 85.69 38.38 -7.27 17.45 9.71
12 大  中  惟  吹 138.52 76.83 50.53 -4.68 7.57 8.27

要素別ではアイスダンサー西山真瑚選手がPCSは断トツの1位。ただ108点は1項目平均7点を少し超えるくらいでそれほど高いものではありませんでした。

ジャンプの基礎点は大島選手が1位で長谷川選手が2位。順位通りです。西山選手はショートのジャンプ全ミスでジャンプ基礎点は16位とひどいことになっています。

ジャンプのGOEは長谷川一輝選手が全選手中唯一のプラスでした。

スピンは山隈太一郎選手が22点台で1位。西山選手が2位で続きます。

ステップ系要素も山隈選手が1位。長谷川選手、大島選手と上位の選手が並びます。西山選手はアイスダンサーながらステップ系要素で4番目、そのあたりは悔しそうでした。

 

○女子シングル ジュニア(上位15名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 中  井  亜  美 MFアカデミー 185.86 63.59 122.27
2 奥  野  友莉菜 駒場学園高校 173.66 63.02 110.64
3 髙  木      謠 MFアカデミー 168.71 60.29 108.42
4 千  葉  百  音 東北高校 167.43 66.37 101.06
5 穂  積  乃  愛 駒場学園高校 161.45 52.86 108.59
6 田  邊  桜  香 星槎国際横浜 149.13 50.12 99.01
7 今  関  友梨香 MFアカデミー 138.87 47.00 91.87
8 中  尾      歩 埼玉アイスアリーナFC 138.03 46.40 91.63
9 瀬  川  穂  乃 仙台FSC 130.90 48.49 82.41
10 長  岡  柚  奈 藤女子 129.87 52.88 76.99
11 入  江  美  友 Mエイトクラブ 127.25 47.01 80.24
12 藤  沼  聖  空 埼玉アイスアリーナFC 126.13 47.73 78.40
13 花  田  実  優 宇都宮フィギュアC 125.05 39.74 85.31
14 石  田  真  綾 埼玉アイスアリーナFC 122.19 41.70 80.49
15 鳥  居  琴  子 明治神宮外苑FSC 121.86 43.76 78.10

女子のジュニアは全日本ジュニア進出枠が12 そこにシードの千葉百音選手もいるので13位まで全日本ジュニアへ進めます。

優勝したのはジュニアグランプリファイナルを決めている中井亜美選手でした。フリーでトリプルアクセルを決めての逆転優勝でした。

2位には奥野友莉菜選手。ショートから自己最高スコア、フリー初の110点台、トータル初の170点台で2位に入ってきました。昨シーズンの全日本ジュニアは12位。高校生になった今シーズン、もう一段階上まで行けるかどうか。

MFアカデミーからもう一人表彰台。髙木謠選手が3位に入ってきました。168.71は自己最高スコア。東京選手権から大きくスコアを上げて表彰台です。昨シーズン全日本ジュニア10位ですから今シーズンは全日本への進出も見据える位置にいます。

シードの千葉百音選手は4位でした。ショート首位からフリーで崩れてしまいました。注目の4回転投入は無し。ダウングレードでの転倒2にアンダーローテーション2つ、失うものの無い試合で4回転を入れなかったのは体調ないしは調子がもともと悪かったでしょうか。

 

○中井亜美選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.60 9.60 2.143
2 3Lz+3T   10.10   1.18 11.28 1.857
3 3Lo+2A+SEQ   8.20   0.88 9.08 1.857
4 FSSp4   3.00   0.66 3.66 2.286
5 2A   3.30   0.59 3.89 1.714
6 3F+1Eu+3S< < F 10.16 X -2.65 7.51 -5.000
7 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.000
8 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 2.143
9 3Lz   6.49 X 1.18 7.67 2.143
10 LSp4   2.70   0.38 3.08 1.286
11 ChSq1   3.00   1.20 4.20 2.429
  TES   63.84   6.70 70.54  

冒頭、トリプルアクセルを決めました。今シーズンは5回飛んでGOEプラスの成功は2回目、GOEマイナスの着氷が2回、アンダーローテーションが1回ありますが転倒はまだありません。5回飛んで最低点は4.64  十分計算できるジャンプになっています。

今回もったいなかったのは3連続ジャンプ。ここで転倒が出ています。これがクリーンに決まっていれば技術点が70点台後半まで出ているところでした。

基礎点は63.84 サルコウの回転不足分で0.95引かれているのでノーミス基礎点は64.79になり、ジュニアグランプリで優勝した時はその基礎点が出せていました。

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。今シーズンすでに2回転倒のある3連続を組み替えて、3Lo+2A+2Aを作り、3F+2Tにし、単独2Aを3Sに置き換えた方が、1.1倍に何を置くかで少し変わりますが、基本的には1Euを2Tに置き換える形になるので基礎点はあがります。

フリーのベストスコアはジュニアグランプリグダンスクで出した136.90で技術点は76.85ありました。今回の滑りを見ていても3連続をしっかり決めていれば技術点はそこまで出る計算です。シニアルールでステップ分入ればノーミスで技術点80点に乗る選手です。そうするとトータル140点と言いたいところですが、国内ではなかなかPCSが出ないので、合計点の方はそこまで行くにはもう少し年齢を重ねる必要があるかもしれません。

 

○女子シングルジュニア 要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 中  井  亜  美 185.86 79.46 70.43 6.03 21.75 9.19
2 奥  野  友莉菜 173.66 84.55 58.12 0.51 22.29 9.19
3 髙  木      謠 168.71 76.53 61.94 0.30 22.16 8.78
4 千  葉  百  音 167.43 80.86 59.07 -2.05 23.33 8.22
5 穂  積  乃  愛 161.45 76.48 52.01 2.21 23.12 7.63
6 田  邊  桜  香 149.13 69.94 45.95 2.95 22.16 8.13
7 今  関  友梨香 138.87 67.20 46.47 -0.50 20.03 6.67
8 中  尾      歩 138.03 60.32 55.32 -4.19 19.65 6.93
9 瀬  川  穂  乃 130.90 60.34 51.69 -6.44 20.18 7.13
10 長  岡  柚  奈 129.87 66.26 47.10 -7.94 19.22 7.23
11 入  江  美  友 127.25 59.73 41.26 0.97 19.03 6.26
12 藤  沼  聖  空 126.13 57.73 51.55 -5.73 18.98 6.60

要素別でみるとPCSはジュニアグランプリ組を押しのけて奥野友莉菜選手がトップでした。

ジャンプの基礎点はトリプルアクセルを入れている中井選手が圧倒。2番目に同じMFアカデミーの髙木選手が続きます。

ジャンプの加点も中井選手が一人だけ一桁後半で抜けています。千葉選手はフリーで失敗がかさみGOEはマイナスでした。

スピンは千葉百音選手がトップでこの辺はさすがです。2番目に穂積乃愛選手も23点台で続きます。23点台が出せるとグランプリシリーズでも遜色ないという水準です。中井選手はここが21点台です。ジュニアグランプリでは23.93まで出ていますので、決して点が取れない要素なわけではないですが今回は伸びませんでした。

ステップ系要素は中井選手と奥野選手が同点でトップでした。千葉選手はショートでレベルを取り損ねフリーのコレオも少し精彩を欠いていて点が伸びませんでした。

 

○男子シングル ジュニア(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 中  田  璃  士 MFアカデミー 187.70 70.05 117.65
2 菊  地  竜  生 目黒日本大学高等学校 176.50 62.27 114.23
3 周  藤      集 MFアカデミー 169.32 54.94 114.38
4 蛯  原  大  弥 明治神宮外苑FSC 160.80 54.80 106.00
5 木  村  智  貴 西武東伏見FSC 153.83 49.66 104.17
6 北  村  凌  大 日本大学 153.21 53.36 99.85
7 本  田  大  翔 東北高校 152.51 49.77 102.74
8 小田垣      櫻 目黒日本大学高等学校 148.28 50.35 97.93
9 鈴  木  零  偉 法政大学 142.77 52.65 90.12
10 藤  城  柊  治 ID学園高等学校 142.03 53.09 88.94
11 矢  島      司 駒場学園高校 140.56 47.81 92.75
12 田  中  蓮  音 東大和FSC 138.50 44.28 94.22

男子ジュニアの全日本ジュニア進出枠は9です。

優勝はジュニアグランプリ2戦に出場した中田璃士選手でした。スコアはジュニアグランプリで出した200点には届かずの187.70 フリーではジャンプが今一つ決まらずスコアが伸ばせませんでしたが国内では過去最高のスコアです

2位にはジュニアグランプリ組に割って入ってきた菊地竜生選手。176.50は自己最高スコアです。昨シーズン全日本ジュニア8位ですからジュニアグランプリ級の力はもともとある選手。高校3年生になった今シーズン、枠が拡がった全日本ジュニア→シニアのコースに乗って初の全日本まで進めるでしょうか。

3位はジュニアグランプリ組の周藤集選手が入っています。169.32は本人比で平凡なスコア。ショートフリーで3回飛んだルッツがすべて1回転になったのが非常に痛かったです。それでも東日本初の表彰台に乗り順当に全日本ジュニアへ駒を進めています。

全日本ジュニア出場枠9でボーダーラインは142.77 結果的にわずか0.74差で運命を分ける形となりました。

 

○男子シングルジュニア 要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 中  田  璃  士 187.70 99.92 61.43 0.75 17.37 8.23
2 菊  地  竜  生 176.50 86.58 73.43 -1.87 11.16 7.20
3 周  藤      集 169.32 98.67 46.11 -2.54 18.93 9.15
4 蛯  原  大  弥 160.80 81.58 57.02 -2.75 18.72 7.23
5 木  村  智  貴 153.83 85.58 48.59 -3.62 18.36 6.92
6 北  村  凌  大 153.21 89.00 46.94 -4.45 15.80 6.92
7 本  田  大  翔 152.51 80.57 51.12 -0.37 16.79 5.40
8 小田垣      櫻 148.28 82.91 45.39 0.71 13.06 7.21
9 鈴  木  零  偉 142.77 80.75 48.17 -5.34 15.48 5.71
10 藤  城  柊  治 142.03 74.58 45.05 -1.97 18.14 6.23
11 矢  島      司 140.56 79.01 41.74 -1.28 15.37 5.72
12 田  中  蓮  音 138.50 78.67 43.37 -1.30 12.24 6.52

PCSは昨シーズンまでノービスだった中田選手がトップです。2番目に周藤選手でジュニアグランプリ2人が高いPCSを得た形となりました。

ジャンプの基礎点は菊地竜生選手が圧倒。ただ一人、ショートフリーでトリプルアクセル3本をしっかり決めていることによります。ジャンプの加点の方はプラスになったのが全体で2人だけで、優勝した中田選手が0.75でトップでした。スピンは周藤選手がトップで4位の蛯原選手が2番目です。菊地選手はレベル1が2つに1V1つと基礎点から稼げず、スピンだけのスコアはフリー進出24人中23位。ここで中田選手と大きな差が付きました。

ステップ系要素は周藤選手がトップです。

スピンステップで稼ぐ周藤選手、ジャンプで稼ぐ菊地選手を総合バランスで中田選手が上回ったという形になりました。

 

これで東日本はシングル4つのカテゴリーのうち3つをMFアカデミー勢が優勝した形になりました。西日本ではやはり3カテゴリーを木下アカデミー勢が制しています。西も東もアカデミーの名に恥じない結果を出していますが、今後はこのアカデミーに人が集まる時代になっていくのでしょうか。

 

スケートカナダ 日本勢3カテゴリー制覇 まじか

グランプリシリーズ2戦目、スケートカナダが行われました。一時期は日本勢がなかなか勝てなかったスケートカナダ。男子も女子も2位が山積みで、女子は今回も2位かなと思ったりしていましたが、今回は日本勢が勝ち切りました。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Shoma UNO JPN 273.15 89.98 183.17
2 Kao MIURA JPN 265.29 94.06 171.23
3 Matteo RIZZO ITA 251.03 81.18 169.85
4 Keegan MESSING CAN 250.72 79.69 171.03
5 Camden PULKINEN USA 219.06 75.07 143.99
6 Lukas BRITSCHGI SUI 212.43 64.35 148.08
7 Stephen GOGOLEV CAN 210.64 57.94 152.70
8 Aleksandr SELEVKO EST 206.11 60.37 145.74
9 Jimmy MA USA 204.39 61.73 142.66
10 Deniss VASILJEVS LAT 197.45 69.01 128.44
11 Conrad ORZEL CAN 195.42 69.69 125.73

結局優勝は順当に宇野昌磨選手でした。273.15は本人比で平凡です。グランプリシリーズはあまり勝ちにこだわっていないようにも見えたのですが実際はどうなのでしょう? これでグランプリシリーズ通算7勝目となりました。あと1勝でグランプリシリーズの日本男子最多勝に並びます。

2位には2戦連続で三浦佳生選手が入りました。スケートアメリカでは273.19でしたから、そこまで出れば優勝でした。グランプリシリーズで2位2回でファイナル進出できなかった例はないはずです。まだ確定ではないですが、事実上ファイナル進出がほぼ決まったと言っていいと思います。

3位にイタリアのマッテオリッツォ選手が入りました。ショートの時点で81.18で3位という、みんなしっかりしてよ!! みたいな状態でしたが、フリーはまずまずしっかり滑って表彰台確保です。今シーズンから導入した4回転ループをフリーではしっかり決めました。今季はイタリア開催のファイナルへ向け、NHK杯で勝負がかかります。スケートアメリカで同じく3位のチャジュンファン選手と直接対決で上回ることがおそらくまず必要条件となってくると思われます。

カナダのキーガンメッシング選手が4位。フリーはいい演技を見せていたのですが地元表彰台に届かず。今季で引退を表明しています。最後はさいたま世界選手権か。あるいは国別対抗戦でお祭り騒ぎして終わるか。いずれにしても日本で最後の試合を迎えることになるはずです。初戦4位でファイナルに進むには2戦目優勝したいのですが、マリニン選手に勝たないといけないという苦しい情勢になりました。

 

宇野昌磨選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lo   10.50   -0.15 10.35 -0.111
2 4Sq q 9.70   -2.08 7.62 -2.111
3 4Fq q 11.00   -0.47 10.53 -0.444
4 3A+2A+SEQ   11.30   1.83 13.13 2.333
5 ChSq1   3.00   2.00 5.00 4.000
6 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.444
7 4T+3T   15.07 x 2.44 17.51 2.556
8 3A< 7.04 x -0.46 6.58 -0.778
9 4T< 8.36 x -3.80 4.56 -4.778
10 StSq4   3.90   1.78 5.68 4.444
11 FCCoSp4   3.50   0.95 4.45 2.556
12 CSSp3   2.60   0.89 3.49 3.444
  TES   89.17   3.75 92.92  

回転不足が目立った宇野選手のフリーでした。アンダーローテーション2つにq2つ。結果的にGOEマイナスが目立ちます。この辺はシーズン中盤以降は合わせてくるとは思います。

課題は、コンビネーションジャンプだと思っているのですが、今回はショートでコンビネーションが4-1になり90点に届かない要因になりました。フリーで4-3を1つ決めましたが、3連続が入らず。コンボ券余らせがちな宇野選手です。オリンピックでも世界選手権でもコンビネーションが1つ余っています。コンビネーション1つ入らないと基礎点が4点5点簡単に変わって来るのでかなり大きいです。4回転は4種類5本まで来ていますので、ここで5種類目を習得するよりも、コンビネーションをすべてしっかり入れることによる基礎点上昇の方がリスクリターン考えると割がよさそうです。

 

○三浦佳生選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A+1Eu+3S   12.80   1.26 14.06 1.556
2 4T+3T   13.70   1.22 14.92 1.111
3 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
4 FCSp4   3.20   0.50 3.70 1.444
5 3A   8.00   2.74 10.74 3.444
6 StSq3   3.30   0.90 4.20 2.667
7 4T   10.45 x -2.31 8.14 -2.222
8 3F+2A+SEQ   9.46 x 0.68 10.14 1.111
9 3Lo   5.39 x 0.42 5.81 0.889
10 CSSp4   3.00   0.56 3.56 1.778
11 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.778
12 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
  TES   85.50   3.38 88.88  

三浦選手はスケートアメリカから構成をだいぶ変えています。計画的に変えたのではなく靴紐切れて急に替えたようで、今までまるで見たことのないものに変わっています。

冒頭に3連続を入れる三浦選手というのは初めて見ました。結果的に4回転は2種類3本でトリプルアクセル2本という本数で見れば昨年までのものになっています。サルコウで転倒しましたがジャンプで回転不足はなく基礎点はしっかり取れました。

ステップはレベル3でしたがスピンはショートフリー通じてすべてレベル4 これまでの三浦選手には見られないことでした。スケートカナダでレベル4をすべてもらえたのは驚きでもありました。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Shoma UNO 273.15 135.32 102.27 -3.29 23.71 16.14
2 Kao MIURA 265.29 124.14 101.85 3.52 23.15 13.63
3 Matteo RIZZO 251.03 123.21 91.50 1.23 21.87 13.22
4 Keegan MESSING 250.72 128.96 80.55 3.13 23.80 15.28
5 Camden PULKINEN 219.06 118.38 67.23 -0.10 20.62 13.93
6 Lukas BRITSCHGI 212.43 114.22 67.43 -3.55 22.82 12.51
7 Stephen GOGOLEV 210.64 105.47 77.55 -1.67 20.86 9.43
8 Aleksandr SELEVKO 206.11 112.05 69.03 -7.39 22.52 10.90
9 Jimmy MA 204.39 107.55 72.32 -5.64 19.08 13.08
10 Deniss VASILJEVS 197.45 115.24 61.33 -12.58 23.04 11.42
11 Conrad ORZEL 195.42 104.47 70.91 -9.21 19.97 10.28

要素別でみるとPCSは宇野選手が普通にトップ。平均9点ほどです。メッシング選手が2番目で、三浦選手はリッツォ選手を上回って3番目でした。

ジャンプの基礎点は宇野選手と三浦選手が僅差です。100点越えはこの二人だけで3番目にリッツォ選手。ジャンプの印象はそれほどでもないリッツォ選手ですが、4回転ループの導入でジャンプの基礎点もかなり上がってきています。メッシング選手はショートでコンビネーションが入らなかったことをはじめ、ジャンプの基礎点が狙いほどは稼げていませんでした。

ジャンプの加点はプラスが3人だけ。三浦選手がトップでメッシング選手が2番目です。宇野選手も回転不足多発が響いてGOEマイナスとなりました。

スピントップはメッシング選手でした。宇野選手が2番目で三浦佳生選手が3番目。三浦佳生選手がバシリエフス選手よりスピンで点を取るというのはこれまでは待ってくイメージできない姿でしたが、スケートアメリカからわずか1週でずいぶん変わりました。

ステップは宇野選手だけ図抜けています。16点台はなかなか出せません。15点台のメッシング選手でも十分に高いスコアでした。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Rinka WATANABE JPN 197.59 63.27 134.32
2 Starr ANDREWS USA 191.26 64.69 126.57
3 Young YOU KOR 190.15 65.10 125.05
4 Ava Marie ZIEGLER USA 186.76 66.49 120.27
5 Rika KIHIRA JPN 184.33 59.27 125.06
6 Niina PETROKINA EST 181.34 61.68 119.66
7 Madeline SCHIZAS CAN 180.59 67.90 112.69
8 Yuhana YOKOI JPN 178.73 54.87 123.86
9 Lindsay THORNGREN USA 176.09 55.16 120.93
10 Gabrielle DALEMAN CAN 171.61 66.65 104.96
11 Lindsay van ZUNDERT NED 160.96 55.22 105.74
12 Eliska BREZINOVA CZE 159.03 55.14 103.89

渡辺倫果選手、グランプリシリーズデビュー戦優勝。グランプリデビュー戦優勝というのはそれなりに例があります。日本勢では紀平梨花選手がそうですし、エテリ組なんかはたくさんあります。また20代になってからのグランプリデビューというのもそれなりにはあります。日本では鈴木明子さんがそうでした。しかしながら20代になってからのグランプリデビュー戦で優勝したという例はグランプリシリーズ創成期まで遡っても1例もない初の快挙ということになりました。

また、スケートカナダを勝った日本女子は浅田真央さん以来15年ぶり。その前はグランプリシリーズになる前、1984年に伊藤みどりさんが優勝しています。3人の共通点は、トリプルアクセルです(伊藤みどりさんは84年にはまだ飛んでいなかったはずですが)。

2位にはアメリカのスターアンドリュース選手。グランプリシリーズ最高位7位。パーソナルベスト181.18の選手が190点台に乗せてうれしい2位表彰台となりました。

3位は韓国ユヨン選手。メンバー的には優勝候補だったのですがスコア伸びず。フリーのトリプルアクセルは見た目キレイだったのですが足元は明らかに回転が足りずのダウングレード。ただ、見た目の印象からするとあのジャンプでダブルアクセルの基礎点にされたうえでGOE-3というのはなかなか厳しいルールだなあ、と思わされます。これで昨季からグランプリシリーズ3戦連続の3位。4戦目のイギリスでファイナル進出を賭けます。

紀平梨花選手は5位でした。スコア的には本人比でだいぶ低いわけですが、今できることをしっかりやってのこのスコア、というところだと思います。6戦目のフィンランドでどこまで調子を戻しているか。次戦優勝でファイナルがあり得なくもないというところまで来ました。

日本からもう一人横井ゆは菜選手は8位でした。なんとかランキングのポイントは確保。フリーは大きなミスなく復調気配もあるかなあ、と信じたい演技でしたが、昨年同様、インタビュー聞くたびに、引退してしまいそうなコメントで心配なところは変わっていない感じもします。

 

○渡辺倫果選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   1.26 9.26 1.667
2 3Lo   4.90   1.19 6.09 2.444
3 3Lo<+3T< 7.28   -1.29 5.99 -3.333
4 3F! ! 5.30   0.08 5.38 0.111
5 FCSp4   3.20   0.64 3.84 2.000
6 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
7 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.10 11.22 1.889
8 2A+1Eu+3S   8.91 x 1.11 10.02 2.444
9 CCoSp4   3.50   0.25 3.75 0.778
10 3Lz<< <<  2.31 x -0.87 1.44 -4.111
11 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.333
12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
  TES   62.82   6.11 68.93  

冒頭、トリプルアクセルを決めました。国際大会2度目の成功です。

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。トリプルアクセルを飛ぶことで1本余ってくるダブルアクセルはシークエンスに入れました。

最後のルッツジャンプは課題です。ロンバルディア杯でもここがダウングレード。体力的な問題もあるでしょうか? また、コンビネーションで1つ目も2つ目も回転不足。ショートのコンビネーションも回転不足。このあたりがスコアが不安定な要因でもあります。

基礎点は62.82で女子の上位の選手では標準位ですが、これがダウングレードとアンダーローテーション2つあって出したものです。ノーミスなら基礎点は69.42まで出ます。

今の持ち札で基礎点をさらに上げるには、3Lz+2A+2Aのシークエンスにして、3S+2Tのコンビネーションにすると、1Euが2Tに置き換わるということになって0.88基礎点が上がり70.30と70点台の基礎点にすることが可能です。トリプルアクセル2本構成? それが組めてショートフリーノーミス出来たら、今期のメンバーなら世界チャンピオン狙えるという夢のある構成です。

ショート6位で上位と僅差だったので、いい位置に付けたなあ、スケートカナダはなかなか難しいのだけど表彰台まではありそう、優勝も届かなくはないけど、まさかねえ。とか思っていたら、トリプルアクセル決めていいスコア出して、滑り終わった時点で表彰台行けそうな雰囲気がありました。でも、カナダだし、どっちか勝つよね、と思っていたら、あれ?あれ?あれ? 優勝してしまいました。1年前まではISU公認試合の出場経験なし。国内外含めて170点にも届いたことがないという国際的には無名の選手でした。

かつて本郷理華さんがロステレコム杯で初優勝した時に、優勝しちゃった・・・、とつぶやいていたことがありましたが、まさにそんな感じでした。 まじか

グランプリ2戦目はNHK杯。表彰台でファイナルが決まり、4位でも高確率でファイナルです。

 

紀平梨花選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S+2T   5.60   0.80 6.40 1.889
2 2A+1Eu+2S   5.10   0.61 5.71 1.778
3 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.778
4 3T   4.20   0.90 5.10 2.111
5 FSSp4   3.00   0.73 3.73 2.333
6 3T+2T   6.05 x 0.60 6.65 1.444
7 2A   3.63 x 0.71 4.34 2.222
8 3S   4.73 x 0.68 5.41 1.667
9 CCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.333
10 ChSq1   3.00   1.57 4.57 3.222
11 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.222
12 LSp4   2.70   0.58 3.28 2.111
  TES   49.71   9.93 59.64  

紀平梨花選手の国際大会復帰戦。3回転3種類5本という構成でした。全要素全ジャッジプラス評価。構成下げているとはいえなかなか簡単には出来ないことです。

最高基礎点71.75を組んだことのある紀平選手からすると49.71というのは寂しい限りではありますが、この構成でもフリー125点まで出ました。ジャパンオープンからは基礎点が5.80上がっています。

 

○横井ゆは菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.04 4.34 3.222
2 3Loq q 4.90   -0.35 4.55 -0.778
3 3Lzq q 5.90   -0.76 5.14 -1.222
4 FCCoSp4   3.50   0.75 4.25 2.111
5 StSq2   2.60   0.48 3.08 1.778
6 3Fq+2T q 6.60   -0.61 5.99 -1.222
7 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.667
8 3S+3T   9.35 x 1.17 10.52 2.556
9 2F   1.98 x 0.10 2.08 0.556
10 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
11 2A+3T+2T   9.68 x 0.84 10.52 1.889
12 CCoSp4   3.50   0.60 4.10 1.778
  TES   57.31   4.84 62.15  

横井選手は冒頭ダブルアクセルから入っていきます。トリプルアクセル習得出来ていたらよかったのですが。全日本ジュニアの6分間練習できれいなトリプルアクセルを決めていた光景は今でも頭に浮かびます。

そのジュニアの頃から最後に3連続の2A+3T+2Tを入れるのが定番でした。昨シーズンは3S+3T+2Tだったのですが昔の形に戻しています。

フリップが2回転になったことで基礎点が3.85下がっているのとステップはレベル4なら1.30基礎点上がりますのでノーミスなら62.46の構成です。

結果的にqが3つあることもあり思ったほどはスコアが伸びませんでしたが何とか8位にまで戻してポイントを確保しました。不調不調と昨シーズンも雰囲気を出していますが、フリーは滑走順早くて点が伸びにくいことを割り引くと、それほど悪い滑りではないことが多いです。一方でショートで点が出ず、昨シーズンからの国際大会4試合すべてが50点台前半。ショートフリー、2本そろえられれば190点くらいまでは普通に出せるわけで、世界のトップとは言わないまでも、上位で戦うだけの力はあるはずです。次の機会が来るかは微妙なところになってきていますが、一度、国際舞台で力を発揮した姿を見たいです。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Rinka WATANABE 197.59 95.70 67.87 -1.34 22.29 13.07
2 Starr ANDREWS 191.26 91.52 57.60 5.32 23.45 13.37
3 Young YOU 190.15 96.90 56.58 0.48 23.64 13.55
4 Ava Marie ZIEGLER 186.76 93.27 61.11 2.09 19.42 12.87
5 Rika KIHIRA 184.33 95.82 51.40 2.06 23.06 11.99
6 Niina PETROKINA 181.34 91.21 57.70 -2.17 21.63 12.97
7 Madeline SCHIZAS 180.59 94.25 51.26 3.63 20.99 12.46
8 Yuhana YOKOI 178.73 90.97 58.17 -1.49 21.81 10.27
9 Lindsay THORNGREN 176.09 90.28 55.70 -5.74 22.96 12.89
10 Gabrielle DALEMAN 171.61 89.36 54.95 -3.03 22.53 11.80
11 Lindsay van ZUNDERT 160.96 81.74 54.89 -4.73 20.65 9.41
12 Eliska BREZINOVA 159.03 81.89 52.34 -4.65 18.62 10.83

PCSはユヨン選手がトップで2番目に紀平梨花選手がいます。ただそれでも96点前後で平均8点程度と全体的にあまりもらえませんでした。

ジャンプの基礎点は渡辺倫果選手が突出しています。ジーグラー選手が2番目で3番目は横井ゆは菜選手です。

ジャンプの加点はスターアンドリュース選手がトップでした。渡辺倫果選手はGOEマイナス。ここで稼いでわけではなく、基礎点で圧倒してその貯金を使って逃げ切った形です。シザース選手が加点2位なのは違和感受けそうですが、基礎点の方が削られる失敗が多く、そうではないジャンプは割と評価が高かったという形でした。

スピンはユヨン選手、アンドリュース選手、紀平選手の順になります。ステップもユヨン選手、アンドリュース選手にここは渡辺倫果選手が続きます。

ジャンプの構成で稼いだ渡辺倫果選手、PCSでユヨン選手、バランス型のアンドリュース選手、という上位3人の点の取り方でした。

 

ここでは詳しく取り上げませんが、ペアの三浦/木原組も優勝しています。本命が多少はミスをしながらも確かな力を発揮して順当勝ち、本人たちも周りも全く驚いておらず普通のこととして受け止めているという、強い勝ち方でした。日本勢ペア初優勝ですし、グランプリシリーズで3カテゴリー制覇も当然初めてのことでした。

次週、3戦目はヨーロッパへ移ってフランスです。日本からは男子は今季好調の山本草太選手、シード選手の友野一希選手、すでに2戦目になる三宅星南選手。女子はオリンピアンの河辺愛菜選手、グランプリデビュー戦住吉りをん選手、体調戻っているか?松生理乃選手と、男女3人づつフルに入っています。

海外勢では男子はケヴィンエイモズ選手が外れてしまいフランスからはアダムシャオヒムファ選手がホスト国として迎えうつ一方、アメリカ勢が珍しく誰もいないという構成。女子はベルギーのヘンドリックス選手が強く、韓国のキムイェリム選手、イ・ヘイン選手も表彰台に絡んできそうで、男女とも誰が勝っても初優勝という試合になります。

 

 

 

西日本選手権 順当勝ちと下剋上と

国内はジュニアシニアの全日本へ向けての東西選手権の季節になってきました。このあたりから特に女子では厳しい試合となってきます。また、スケジュールの兼ね合いでグランプリがいたりいなかったりでそのあたりのめぐりあわせで大会のレベルがずいぶん変わって来るのも東西選手権の一つの特徴かと思います。

 

○女子シングルシニア (上位15名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 吉  田  陽  菜 木下アカデミー 209.44 69.41 140.03
2 三  原  舞  依 シスメックス 206.58 74.04 132.54
3 三  宅  咲  綺 岡山理科大学 174.45 63.62 110.83
4 山  下  真  瑚 中京大学 168.65 65.68 102.97
5 竹  野  比  奈 福岡大学 159.89 58.09 101.80
6 大  庭      雅 東海東京FH 151.91 57.52 94.39
7 竹  野  仁  奈 筑紫女学園大学 151.28 53.52 97.76
8 横  井  きな結 中京大中京高校 150.41 57.10 93.31
9 浦  松  千  聖 中京大学 150.36 49.91 100.45
10 籠  谷  歩  未 同志社大学 148.63 50.66 97.97
11 田  村  珠里亜 愛知みずほ大瑞穂高 143.94 48.43 95.51
12 鈴  木  な  つ 関西大学 136.83 42.33 94.50
13 永  見  千代乃 ノートルダム清心女子大学 135.38 41.97 93.41
14 西  坂  美  柚 九州大学 134.48 43.90 90.58
15 磯  村  彩  姫 中京大学 131.25 48.08 83.17

全日本進出枠が7という厳しい厳しい女子シングルシニア。ジュニアグランプリに出ていたけれど国内ではシニアカテゴリーで入ってきた吉田陽菜選手が209.44で優勝しました。フリーで140点に乗せての逆転優勝です。

2位にはベテラン三原舞依選手。安定した強さを示していますが今回は勝ち損ねました。まあ、この後のグランプリ2戦に向けての調整試合ですし、今回はこれくらいにしといてやるか、みたいな感じでしょうか。そんな汚い言葉遣いをされる選手ではないですが。

ちょっとこの2人が図抜けていました。ある種場違いとでもいうような強さでした。

岡山理科大の三宅咲綺選手が3位表彰台に入りました。全日本の常連ですが西日本表彰台は初めてです。中四国九州選手権に続いて2度目の170点台。好調をキープしています。

全日本進出ラインは151.28となりました。際どい8位が横井きな結選手。ショート7位でフリーは自分が終わった時点で首位に立てば全日本進出が決まるという局面。その時点で首位にいたのが竹野仁奈選手。全日本に姉妹で出場出来るのは横井家か? 竹野家か? という争いだったわけですが、際どく0.87ポイント届きませんでした。

全日本経験のある浦松千聖選手、籠谷歩未選手も際どい所で落選です。一方、山下真瑚選手は順当に突破。竹野比奈選手は7年連続の全日本、大庭雅選手は11回目の全日本を決めました。

6位から10位まで3.28差の中で運命が分かれた厳しい試合でした。

 

○吉田陽菜選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   2.40 10.40 3.000
2 2A+3T   7.50   0.92 8.42 2.286
3 3Lo   4.90   1.08 5.98 2.286
4 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.857
5 SSp4   2.50   0.55 3.05 2.286
6 3F   5.30   1.06 6.36 2.143
7 3Lz+3T   11.11 X 1.18 12.29 1.857
8 FCCoSp4   3.50   0.70 4.20 1.857
9 3Lz   6.49 X 1.30 7.79 2.286
10 StSq3   3.30   0.99 4.29 2.857
11 3S+2A+2T+SEQ   9.79 X 0.86 10.65 2.143
12 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.571
  TES   68.89   12.54 81.43  

トリプルアクセルをショートフリー2本成功。当たり前にトリプルアクセルを決めてくる現代のレイア姫。2回飛ぶジャンプはルッツとトーループです。ステップレベル3ありましたが基礎点は68.89 これは吉田選手自身の過去最高基礎点です。ステップレベル4なら69.49まで出ます。ここまでトリプルアクセルが決まってくると、フリーに2本入れる可能性を感じるのですが今大会は入れませんでした。2本入れようとすると2A+3Tが3A+2Tになって基礎点が1.8上げられてさらに余った2Aを3S+2A+2Aに出来ると2.20基礎点を上げることができ、そこまで行くとノーミスで73.49の基礎点となります。そこに向かっていくのが先か、4回転を組み込んでいくのが先か? 4回転入れたいというコメントはよく聞く気がするのですが、なかなか実戦の要素としては入ってきません。

ジュニアにはステップがないのですが構成としてはジュニアでコレオを入れている位置にステップを入れて、最後にコレオを付け足すという形にしていました。

技術点81.43と80点超えてきたのも初です。今回は素晴らしい出来でした。

個人的には、国内でシニアを選ぶ価値はそれほどなかったようにも感じました。ショートからトリプルアクセルを飛ぶ経験を積む、という点では近畿選手権に出ていませんから結局この1試合分しか積み上げが無いですし、シニアコースだと全日本ジュニアがないので世界ジュニア一発内定の機会を失います。ジュニアグランプリファイナルまでの間にシニアを挟むことで練習面で変な負荷がかかり、実際この試合もジュニアカテゴリーにないステップでレベルが3にとどまっている。全日本ジュニアで島田麻央選手と勝負する光景を見たかったのですが・・・。ただ、木下アカデミーチームとしては、吉田選手がシニアコースで全日本へ向かうことで、ジュニアコースからの全日本へ進むメンバーが1人分空いてチャンスが拡がる、という価値があるんだろうな、とも思いました。

 

○女子シングル シニア 要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 吉  田  陽  菜 209.44 87.00 75.40 11.28 22.60 13.16
2 三  原  舞  依 206.58 96.06 66.14 5.44 24.85 14.09
3 三  宅  咲  綺 174.45 80.53 57.27 4.01 19.49 13.15
4 山  下  真  瑚 168.65 84.59 55.21 0.73 19.07 10.05
5 竹  野  比  奈 159.89 77.27 45.29 2.17 23.78 11.38
6 大  庭      雅 151.91 77.93 51.05 -5.63 20.21 10.35
7 竹  野  仁  奈 151.28 72.93 49.68 -4.84 21.72 11.79
8 横  井  きな結 150.41 67.74 58.18 -0.50 17.91 9.08
9 浦  松  千  聖 150.36 72.07 46.99 -0.26 21.62 9.94
10 籠  谷  歩  未 148.63 68.53 55.84 -3.52 21.01 7.77
11 田  村  珠里亜 143.94 62.20 57.32 -1.90 17.50 8.82
12 鈴  木  な  つ 136.83 63.21 48.49 -4.29 22.29 9.13

要素別にみるとPCSは三原選手がダントツの1位です。ただ、96.06というのは8点平均程度で三原選手基準ではそれほど高いわけでもありません。

ジャンプは基礎点もGOEもショートフリーでトリプルアクセルを入れた吉田陽菜選手が抜けています。一方でスピンステップは三原選手がトップ。スピン好きを公言している竹野比奈選手もスピンは2位で高評価でした。

横井きな結選手はジャンプは全体4位なのですがスピンでスコアが伸びず、ステップも10点に乗らずということでPCS含めそういったところで伸ばせなかったところが全日本へ進めない致命傷となりました。籠谷選手はショートのステップ転倒が致命傷でフリーもステップ系要素はスコアが伸ばせていませんでした。浦松選手はジャンプで2回転になるものが複数出たのが痛手でした。

 

○男子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 壷  井  達  也 シスメックス 219.29 72.51 146.78
2 木  科  雄  登 関西大学 203.53 73.04 130.49
3 森  口  澄  士 木下アカデミー 196.37 71.31 125.06
4 須  本  光  希 関西大学 191.32 68.15 123.17
5 本  田  ルーカス剛史 木下アカデミー 182.44 56.96 125.48
6 杉  山  匠  海 岡山大学 181.02 63.63 117.39
7 櫛  田  一  樹 倉敷FSC 165.86 69.04 96.82
8 小  林      隼 同志社大学 158.24 51.52 106.72
9 三  島  悠  生 ひょうご西宮FSC 152.12 56.16 95.96
10 彦  阪  昇  吾 立命館大学 137.34 46.88 90.46
11 古  家  龍  磨 九州工業大学 136.31 45.89 90.42
12 鈴  木      空 就実大学 130.71 43.97 86.74
13 岩  野  颯  太 邦和SC 125.17 45.51 79.66
14 嘉手納  宙  大 臨海フィギュアSC 120.92 41.65 79.27
15 和  田  龍  京 中京大学 112.52 38.67 73.85
16 川  口  清  壽 佛教大学 110.15 36.47 73.68

男子シングルのシニアは全日本進出枠が13あるのですが、グランプリシリーズへの出場により免除が3人いますので、10位までが全日本の切符を掴めることになります。

優勝したのは今季からシニアに上がった壷井達也選手でした。ケガ明け、まだ本調子に戻り切っていないのか4回転はショートフリーとも決まりませんでしたが要素としては入れてきました。本番は再来週のグランプリシリーズ。そこに向けて少しづつ構成が上がっていき、調子も上がってきているようではあります。

2位には木科雄登選手が入りました。ショート首位から逃げ切りならずですが、200点を超えてしっかりと2位を確保しました。これで7年連続の全日本です。

3位にペアと掛け持ち森口澄士選手が入りました。森口選手が優勝していればシングル4カテゴリーすべて木下アカデミーが勝つという形になるところでしたがそう簡単にはいきませんでした。とはいえこれでまずシングルの全日本決定です。

グランプリシリーズ組の本田ルーカス剛史選手は5位でした。調子が上がっていないようで気がかりです。

全日本進出ラインは137.34 最終的に1.03ポイント差が運命の分かれ目となりました。

 

○壷井達也選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2S   1.30   0.03 1.33 0.143
2 3A   8.00   0.96 8.96 1.286
3 3A+1Eu+3S   12.80   1.28 14.08 1.714
4 FSSp4   3.00   0.66 3.66 2.286
5 StSq3   3.30   0.59 3.89 1.857
6 3Lo+2T   6.20   0.59 6.79 1.143
7 3Lo   5.39 X 0.78 6.17 1.571
8 3F   5.83 X 0.64 6.47 1.143
9 3Lz!+3T ! 11.11 X -0.12 10.99 0.000
10 CCoSp3   3.00   0.48 3.48 1.571
11 ChSq1   3.00   1.30 4.30 2.571
12 FCCoSp4   3.50   0.56 4.06 1.714
  TES   66.43   7.75 74.18  

壺井選手、冒頭に4回転サルコウを持ってきましたが今回は2回転となりました。2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルと3回転のループです。ダブルアクセルが丸々余っているのでシークエンスで使えば基礎点を上げることができます。スピンステップのレベルも3がありますので、4回転以外でもまだ基礎点が上がる余地があります。グランプリシリーズは2週間後のイギリス。そこまでに4回転の確率を上げて勝負出来たら面白いことが起きるかもしれません。

 

○男子シングルシニア 要素別スコア(上位12名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 壷  井  達  也 219.29 108.84 79.44 -1.61 21.40 12.22
2 木  科  雄  登 203.53 103.33 66.94 -0.04 20.12 13.18
3 森  口  澄  士 196.37 99.43 72.50 -4.75 19.64 12.55
4 須  本  光  希 191.32 99.41 63.85 -2.13 18.57 12.62
5 本  田  ルーカス剛史 182.44 101.74 56.93 -10.12 22.72 13.17
6 杉  山  匠  海 181.02 91.83 62.29 -1.49 18.59 11.80
7 櫛  田  一  樹 165.86 92.01 69.60 -17.19 18.91 11.53
8 小  林      隼 158.24 76.59 55.73 -1.95 18.84 9.03
9 三  島  悠  生 152.12 83.93 39.20 -0.66 19.49 11.16
10 彦  阪  昇  吾 137.34 71.50 47.44 -6.48 17.64 8.24
11 古  家  龍  磨 136.31 67.91 49.57 -5.09 15.29 8.63
12 鈴  木      空 130.71 68.52 45.12 -7.10 15.40 8.77

要素別で見るとPCSで100点超えは3人トップの壷井選手とグランプリ組の本田ルーカス選手。そこに木科選手が割って入っている形になります。

ジャンプの基礎点も壺井選手がトップ。ペア掛け持ちの森口選手がジャンプの基礎点2位でした。ペアでは絶対に使わないであろうトリプルアクセルをショートもフリーも降りていますが、いつ練習してるんだろうという感じもします。

ジャンプのGOEが全員マイナスなのは残念なところ。安定してジャンプを決めていくのは難しい。

スピンは本田ルーカス選手がトップで壺井選手が2番目とグランプリ組がこういうところは強いです。

ステップは木科選手がグランプリ組を抑えてトップで本田ルーカス選手が2番目。壺井選手は12点台前半で伸びませんでした。

 

○女子シングル ジュニア(上位15名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 島  田  麻  央 木下アカデミー 199.35 67.52 131.83
2 柴  山      歩 木下アカデミー 181.79 63.47 118.32
3 村  上  遥  奈 木下アカデミー 167.27 55.39 111.88
4 和  田  薫  子 グランプリ東海クラブ 162.10 55.21 106.89
5 櫛  田  育  良 木下アカデミー 156.77 57.70 99.07
6 山  田      恵 木下アカデミー 150.96 50.63 100.33
7 清  水  咲  衣 大阪スケート倶楽部 148.08 48.95 99.13
8 岩  崎  陽  菜 なみはやクラブ 140.25 54.22 86.03
9 岡  本  真  綸 岡山理大附高校 139.30 48.46 90.84
10 吉  本      玲 神戸クラブ 130.93 50.52 80.41
11 杉  山  菜  那 京都宇治FSC 130.80 46.42 84.38
12 柚  木  心  春 京都宇治FSC 125.93 44.74 81.19
13 鴨  井  彬莉彩 パピオフィギュアクラブ 125.28 43.00 82.28
14 横  田  胡  幸 香川フィギュアC 121.38 43.51 77.87
15 大  坪  瑚  子 邦和みなとスケート部 120.06 41.84 78.22

女子ジュニアの全日本進出枠は12で島田麻央選手がシードなので13位までが通過となります。

優勝は西日本選手権は初めて、と言っていた島田麻央選手。ノービスはブロック大会はあっても西日本東日本はないので、確かに初めての西日本でした。圧勝ですが200点には届かず。国内のスコアとしては過去最高ですが、今シーズンはジュニアグランプリで220点に迫るスコアを出していますので、見た目には物足りないみたいなことになってます。

2位には柴山歩選手。昨シーズンの西日本優勝者。昨シーズンよりスコアは上がっているのですが、今回は勝てませんでした。ただ、やはりジュニアグランプリに2戦出た選手は強く、他は寄せ付けず問題なく表彰台には乗ってきています。

3位も木下アカデミーから村上遥奈選手。これまでのベストスコアは153.29 今回はフリーで初めて全要素プラス評価という滑りを見せて一気に167.27までスコアを上げてきました。ペア競技と掛け持ち。今週は西日本選手権にシングルで出て、来週は東日本選手権にペアで出るという何を言っているのかわけのわからないスケジュールになっています。その後全日本ジュニアはシングルとペアの2競技に出場予定。167.27まで出せていると、掛け持ちしながら全日本までたどり着くという可能性も見えてきました。その前にジュニアグランプリでシングルペア掛け持ちとかできたら面白かったのですが、来シーズンからペアでジュニアグランプリには出られない年齢組み合わせになるのでそのあたりは残念です。

木下アカデミー勢に割って入ってきたのがグランプリ東海の和田薫子選手。ただ4位までで表彰台のアカデミー占有は崩せませんでした。今シーズンからジュニアに上がった、つまり島田麻央選手と同い年。昨シーズン全日本ノービスAで2位。もう一段階段を上りたいという位置かと思います。

ジュニアグランプリ組の櫛田育良選手が5位でした。フリーが伸びませんでした。ジュニアグランプリの2戦目をもらえなかったあたりから少し流れが悪くなってしまっている感じがあります。全日本ジュニアで立て直せるでしょうか。

全日本ジュニア進出のボーダーラインは125.28となりました。昨シーズンは130点が必要だったところからは少しラインは下がったのですが、それでも厳しい戦いとなりました。

 

○島田麻央選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   0.96 8.96 1.143
2 4T< < F 7.60   -3.80 3.80 -5.000
3 3Lz+3T   10.10   1.06 11.16 1.857
4 FSSp4   3.00   0.54 3.54 1.714
5 3F+2A+SEQ   8.60   1.17 9.77 2.143
6 ChSq1   3.00   0.90 3.90 1.857
7 3S+3T+2T   10.78 X 0.77 11.55 1.857
8 3Lo   5.39 X 0.98 6.37 1.714
9 3Lz   6.49 X 1.53 8.02 2.714
10 CCoSp4   3.50   1.40 4.90 4.000
11 LSp4   2.70   0.76 3.46 2.857
  TES   69.16   6.27 75.43  

もう、トリプルアクセルを着氷してもニュースにもならない平常運転扱いになってきました。今シーズン、4回飛んで4回すべてGOEプラスの成功ジャンプとなっています。

一方、4回転トーループは今シーズン4回飛んで3転倒、GOEプラスの成功ジャンプ無しで、qが3つのアンダーローテーション1つということで回転も十分ではないという扱いです。昨年3月の初成功と先に習得したのは4回転トーループだったのですが、今では成功率が逆転しています。そして、トリプルアクセルと4回転トーループを1つのプログラムの中で同時に成功させることはまだ出来ていません。これが揃うととんでもないことになります。

2回飛ぶジャンプは3回転のルッツとトーループ。スピンはすべてレベル4を取りました。4回転トーループがアンダーローテーションで基礎点69.16 シニアルールでステップ入れば72点台の基礎点が見込まれます。

ダブルアクセルが1つ余っているので、可能であれば3F+2A+2Aという3連続でシークエンスを入れて、セカンド3Tは2連続のコンビネーションで2回使う形の方がはっきり基礎点はあがります。

 

○男子シングル ジュニア(上位18名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 朝  賀  俊太朗 木下アカデミー 196.14 69.46 126.68
2 垣  内  珀  琉 ひょうご西宮FSC 191.04 58.46 132.58
3 佐々木  晴  也 京都大学 180.56 56.04 124.52
4 片伊勢 武 アミン 関西大学 179.41 64.25 115.16
5 森  本  涼  雅 木下アカデミー 168.18 60.67 107.51
6 名  倉  一  裕 大阪スケート倶楽部 165.74 56.70 109.04
7 三  島  舞  明 名古屋FSC 162.04 62.28 99.76
8 中  村  俊  介 木下アカデミー 161.80 56.29 105.51
9 田  内  誠  悟 名東FSC 158.11 52.56 105.55
10 小  島  志  凰 浪速中・高スケート部 156.65 46.80 109.85
11 磯  和  大  智 京都宇治FSC 155.96 52.35 103.61
12 芳  岡  優  希 LYS 151.50 50.56 100.94
13 大  村  健  太 岡山FSC 146.94 50.15 96.79
14 佐  藤  和  那 邦和みなとスケート部 146.74 50.09 96.65
15 三  原  庸  汰 ノイエス金沢FSC 143.93 48.80 95.13
16 垂  水  爽  空 パピオフィギュアクラブ 138.99 52.67 86.32
17 佐  藤      光 ひょうご西宮FSC 136.60 44.60 92.00
18 植  村      駿 ユニバースFSC 132.47 46.42 86.05

男子ジュニアの全日本進出枠は16ありました。

優勝は木下アカデミーの朝賀俊太朗選手。196.14は本人にとって過去最高スコアです。ジュニアグランプリシリーズの出場経験はないのですが、その分国内の試合に合わせやすかったというところもあるかもしれません。ショートフリー通じてスピンステップオールレベル4 ショートのリードも生かして逃げ切りました。

2位には垣内珀琉選手。ジュニアグランプリは1戦のみでオストラバの試合に出て8位でした。フリーではただ一人4回転を決めてトップスコア。191.04は国内外通じての本人の最高スコアになります。

3位にはなんと京都大学。佐々木晴也選手が入りました。180.56はこれも本人にとっての過去最高スコアです。このスコアを出せていると全日本まであるかもしれません。

ジュニアグランプリ組がその下、表彰台に届かない位置に続きます。ファイナル進出も決めている片伊勢武アミン選手が4位。ジュニアグランプリでは234.24を出している片伊勢選手としては、ちょっと精彩を欠いたと言わざるを得ないスコアでした。

ジュニアグランプリ2戦に出て表彰台にも乗った森本涼雅選手が5位。トリプルアクセルに挑戦しましたが今回も決められずスコアが伸びませんでした。

ジュニアグランプリファイナルを決めている中村俊介選手は8位。こちらは4回転決まらず、トリプルアクセル決まらずということで、スコア伸びませんでした。状態が少し心配になります。

 

○男子シングルジュニア 要素別スコア(上位10名)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 朝  賀  俊太朗 196.14 95.92 63.84 5.90 21.79 8.69
2 垣  内  珀  琉 191.04 90.92 69.69 5.89 18.08 6.46
3 佐々木  晴  也 180.56 92.33 65.30 -1.99 18.80 7.12
4 片伊勢 武 アミン 179.41 101.34 58.64 -9.75 21.86 8.32
5 森  本  涼  雅 168.18 84.59 62.14 -5.09 20.18 7.36
6 名  倉  一  裕 165.74 84.07 52.61 0.14 21.86 7.06
7 三  島  舞  明 162.04 82.75 63.71 -3.12 15.64 6.06
8 中  村  俊  介 161.80 93.75 60.35 -12.44 15.37 6.77
9 田  内  誠  悟 158.11 89.93 46.17 -3.59 18.38 7.22
10 小  島  志  凰 156.65 77.82 54.00 1.36 18.33 5.14

ジャンプの基礎点は4回転をただ一人決めた垣内選手がトップでしたがGOEは朝賀選手が僅差ながらトップです。ジャンプのGOEでプラスになる選手が少ないというのは男子の傾向ですが今大会でもそういった形になりました。ジュニアグランプリファイナルを決めている中村俊介選手が二桁のマイナスとなっています。片伊勢選手も二桁違いマイナスで、ジュニアグランプリファイナル組でもジャンプが崩れるとスコアが伸びません。

スピンは片伊勢選手と6位に入った名倉選手がトップでした。ステップ系要素は優勝した朝賀選手がトップです。

PCSは片伊勢選手がただ一人3桁でトップ。2番目は優勝した朝賀選手ですが3番目に中村俊介選手がいて、やはりこの辺はファイナルに進む選手は高いスコアが出てきます。

 

順当勝ちあり、グランプリ組を倒す下剋上あり。なかなか見どころのある西日本選手権でした。次週は東日本選手権となります。

 

デニステンメモリアル チャレンジャーシリーズの穴場

チャレンジャーシリーズの第7戦、デニステンメモリアルが行われました。今季のチャレンジャーシリーズはほとんどがヨーロッパで行われていて、例外はアメリカ開催のUSインターナショナルと、このカザフスタン開催のデニステンメモリアルの2試合になります。中央アジアが開催地の珍しい試合。デニステンさんの前に精鋭に顔をそろえてほしいところでしたが、グランプリシリーズと重なる時期にもなってきていて、やや寂しい顔ぶれとなっていました。

 

○男子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Nika EGADZE GEO 208.47 71.81 136.66
2 Dias JIRENBAYEV KAZ 192.67 68.52 124.15
3 Vladimir LITVINTSEV AZE 188.77 64.00 124.77
4 Rakhat BRALIN KAZ 181.22 62.47 118.75
5 Kornel WITKOWSKI POL 179.50 47.23 132.27
6 Oleg MELNIKOV KAZ 162.30 57.62 104.68
7 Semen DANILIANTS ARM 158.21 55.62 102.59
8 Yelissey VOLKOV KAZ 101.96 46.82 55.14

男子シングルは8選手の出場です。もう1人欠けたら国際大会としての要件を外れてランキングポイントが出に入らないところでした。

優勝はジョージアのニカエガゼ選手。メンバー中ただ一人、グランプリ2試合にエントリーしている選手です。次週のフランスと5戦目のNHK杯に出場します。チャレンジャーシリーズは昨季のカップオブオーストリアに次いで2勝目です。ジョージアの2番手の位置にいる選手。おそらく今シーズンはクビテラシビリ選手が確保してきた世界選手権の2枠目の椅子に座ってのワールド好成績というのが目標になってくると思います。

2位には地元カザフスタンからディアスジレンバエフ選手。昨シーズン4大陸選手権13位、先日のジュニアグランプリエーニャで9位に入っていた選手です。192.67はパーソナルベスト。チャレンジャーシリーズ初の表彰台。ピカチュウらしきぬいぐるみ片手にうれしそうでした。

3位はアゼルバイジャンからウラジミールリトヴィンツェフ選手。昨シーズンヨーロッパ選手権8位。世界選手権も常連化してますし、実績的には優勝候補かと思ったのですが、スコアが全く伸びず3位に終わりました。グランプリシリーズも最初はエントリーしていたはずが消えていますし問題抱えていたでしょうか? 一応チャレンジャーシリーズ初表彰台でしたがキスアンドクライも1人で特にうれしくもない、というような試合になっていたようでした。

○女子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Minchae KIM KOR 158.84 41.05 117.79
2 Anna LEVKOVETS KAZ 145.43 54.16 91.27
3 Dabin CHOI KOR 145.06 49.76 95.30
4 Alexandra FEIGIN BUL 140.96 50.11 90.85
5 Anastasia GRACHEVA MDA 132.66 47.36 85.30
6 Kristina GRIGOROVA BUL 128.91 45.66 83.25
7 Sofiya FARAFONOVA KAZ 122.51 40.63 81.88
8 Antonina DUBININA SRB 118.98 44.42 74.56
9 Bagdana RAKHISHOVA KAZ 111.88 38.16 73.72
10 Yasmin TEKIK KAZ 105.70 33.02 72.68
11 Aleksandra NESTEROVA KGZ 79.05 28.90 50.15

優勝したのは韓国のキムミンチェ選手でした。今シーズンジュニアグランプリ2戦で13位と8位という選手。ただ、昨シーズンのジュニアグランプリで出した192.48というパーソナルベストを持っています。ショートでジャンプ全ミスの41.05というなかなか見ないスコアからフリーでは年齢相応なジュリエットで大逆転優勝です。ルッツでe2回とか不完全なところもありますが、フリーの出来はちょっと今回のメンバーの中ではレベルが全然違いました。ショートではISU公認70点台出したことある選手ですし、ちゃんと滑れば力にだいぶ差がありました。

2位には地元カザフスタンのアンナレフコベツ選手。2007年5月生まれの15歳。昨シーズン世界ジュニア29位でフリーに進めていませんでした。チャレンジャーシリーズでは当然初表彰台。初ランキングポイント獲得。50点台半ばまで出せれば世界ジュニアでフリー進出からジュニアグランプリの枠拡大に貢献できると思います。

3位は韓国のチェダビン選手。国際大会は19年のワルシャワカップ以来3年ぶりです。演技全体の印象は悪くないのですが、ショートフリー合わせてアンダーローテーション6つ、ダウングレード2つ。アジア選手権で優勝したり、オリンピックで7位になった経験のある選手からしたら満足いくスコアなわけもないですが、キスアンドクライでは笑顔が見られました。久しぶりに戻ってきて滑る楽しさを感じているようにもみえました。

 

この大会にはアイスダンスで村元/高橋組が出場して優勝。デニステンさんのメモリアル大会にスケジュール的に厳しい中出場して高橋大輔選手が優勝する。デニステンさんは見ていたでしょうか?

開催時期の問題もあり、シングル競技はメンバー的には寂しいものとなりました。自国と、比較的カザフスタンに近い東欧地域、それに関係性の深めな韓国、といったあたりの選手の参加にとどまっています。日本からも西日本、東日本の大会に出ているよりはチャレンジャーに派遣してもよかったと思いました。三原舞依選手はこの後ファイナル含めて国際試合が3試合続く予定なので国内の調整の方がよかったかもしれませんが、吉田陽菜選手あたりはシニアの試合の経験を積むなら西日本より国際大会の方が、ランキングも上がってよかったような気がします。千葉百音選手とか山下真瑚選手とか本田ルーカス選手とか昨年の全日本の10位台の選手にもこれくらいの時期の国際大会の派遣があってもいいように感じます。

 

チャレンジャーシリーズ8戦目は1週空いて11月の2週目にオーストリアグラーツで開催です。男子ではスウェーデンのニコライマヨロフ選手などが、女子では今大会にも出場した韓国のチェダビン選手、キムミンチェ選手の他、スイスのレポンド選手、アメリカのグレーシーゴールド選手がエントリーしています。今シーズンに入ってゴールド選手が積極的に国際大会に出ている印象です。

 

スケートアメリカ 新時代の幕開け

今年もグランプリシリーズが開幕しました。久しぶりに普通に各大会で普通に観客が入っていくグランプリシリーズ。ロシアや中国開催がないというのは普通ではないですが、比較的ノーマルに近い状態にようやく世界が戻りつつあります。それにしてもスケートアメリカ、例年こんなに盛り上がっていたでしょうか? 割と会場は閑散としていたように記憶していますが、今年のスケートアメリカは観衆の盛り上がりが印象的でした。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ilia MALININ USA 280.37 86.08 194.29
2 Kao MIURA JPN 273.19 94.96 178.23
3 Junhwan CHA KOR 264.05 94.44 169.61
4 Daniel GRASSL ITA 257.68 88.43 169.25
5 Roman SADOVSKY CAN 225.41 78.15 147.26
6 Wesley CHIU CAN 219.90 71.58 148.32
7 Liam KAPEIKIS USA 219.50 74.29 145.21
8 Sena MIYAKE JPN 215.74 77.87 137.87
9 Koshiro SHIMADA JPN 215.12 62.54 152.58
10 Dinh TRAN USA 199.68 64.99 134.69
11 Mihhail SELEVKO EST 191.80 75.75 116.05
12 Donovan CARRILLO MEX 188.28 69.18 119.10

グランプリデビュー戦のマリニン選手が逆転優勝しました。ショートで出遅れているので点差としてはそれほど開きませんでしたがフリーのインパクトは圧倒的でした。4回転アクセルというインパクトだけでなく、平昌~北京の主役たちが退場しているなか、その次の世代ではなく次の次くらいの世代として一気に出てきたあたりのインパクトも強いです。

2位には三浦佳生選手。グランプリ初優勝には届きませんでしたが表彰台を確保しました。ショートフリー合わせて6本の4回転のうち5本で加点付き着氷。これが6本加点付き着氷なら優勝に届いていました。惜しいと言えば惜しいですが、素晴らしいと言えば素晴らしいとも言えます。

3位にチャジュンファン選手。順当に表彰台は確保です。2戦目のNHK杯で2位に入れば高確率でファイナルに進めそうという位置に付けました。

イタリアのグラスル選手は4位で表彰台に届かず。今シーズンはイタリア開催のグランプリファイナル。ジュニアだけでなくシニアのシングルでもイタリア勢にファイナル進出してほしいわけですが、グラスル選手は2戦目で優勝が欲しいという情勢になりました。4戦目のイギリスにエントリー。メンバー的には十分チャンスはあります。

上位4人が強かったですが、日本勢のあと二人、5位あたりには入ってきてほしいところでした。三宅星南選手は8位。フリーが2転倒でスコア伸ばせませんでした。島田高志郎選手は9位。こちらはショートが2転倒で12位スタートが痛すぎました。9位だとランキングポイントがゼロなのも痛いです。来期もグランプリに2戦出る選手でいられるためには、それぞれ2戦目で好結果が欲しいところです。

 

○イリアマリニン選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4A   12.50   4.11 16.61 3.222
2 4T   9.50   3.12 12.62 3.333
3 4Lz   11.50   1.81 13.31 1.444
4 4S   9.70   2.63 12.33 2.778
5 CCSp4   3.20   0.78 3.98 2.333
6 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.000
7 4Lz<+1Eu+3S< F 14.45 x -4.60 9.85 -5.000
8 3F+3T   10.45 x 0.53 10.98 1.111
9 3Lz+3A+SEQ   15.29 x 1.37 16.66 1.667
10 FSSp4   3.00   0.34 3.34 1.111
11 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
12 CCoSp4   3.50   1.20 4.70 3.556
  TES   99.39   13.02 112.41  

フリーはアクセル含む4回転5本。そこにコンビネーションはすべて1.1倍につぎ込むという構成です。2回飛ぶジャンプは4回転ルッツ。3連続で基礎点削られましたがそれでも99.39の合計基礎点がありました。4回転アクセルもすごいのですが、4回転のルッツが2本というのも大きいです。この構成でノーミスの場合は4.08基礎点が上がって103.47にまでなります。

この構成だとトリプルアクセルが余るので3F+3Tを3A+3Tにすることで基礎点を上げることができるのですが、それはそれで負担なのでしょうか? 1つのプログラムで回転数の違う同じジャンプを1つ目のジャンプとして飛ぶのは辛い、というコメントが選手から聞かれることがありますが、4回転アクセルとトリプルアクセルの間でもそういうことがあるのかもしれません。

 

○三浦佳生選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lo F 10.50   -5.25 5.25 -4.889
2 4T+3T   13.70   3.26 16.96 3.444
3 4S   9.70   3.19 12.89 3.222
4 FCSp3   2.80   0.52 3.32 1.889
5 3A   8.00   -1.94 6.06 -2.222
6 StSq2   2.60   0.74 3.34 2.889
7 4T   10.45 x 1.49 11.94 1.556
8 3A+2A+SEQ   12.43 x 1.71 14.14 2.111
9 3F+1Eu+3S   11.11 x 0.08 11.19 0.111
10 CSSp2   2.30   0.26 2.56 1.222
11 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.111
12 CCoSp4V   2.63   0.53 3.16 1.889
  TES   89.22   5.59 94.81  

フリーは4回転3種類4本構成でした。基礎点は89.22 ジャンプの基礎点はすべて満額入っているのですがスピンステップのレベルが全然取れていません。スピンステップすべてレベル4に出来れば基礎点が3.23上がって92.45にまでなります。マリニン選手との基礎点差はノーミス時比でおおよそ10点ということになります。

2回飛ぶジャンプは4回転のトーループトリプルアクセル。基礎点をここから上げるには、3A+3Aというシークエンスを後半に作って、単独3Lzを入れると3.07基礎点を上げられるのですが、ルッツが苦手ですかね三浦選手。国際大会でジュニア時代からルッツジャンプでGOEプラスをもらったことがありません。ルッツではなく単独3Loだと2.07しか基礎点が上がらないので、3A+3Aを入れていくリスクとは見合わないでしょうか。そうなると4種類目の4回転が求められて、ルッツが苦手ならフリップが入って来ることになります。

フリップであっても4回転4種類5本構成であれば、今回のマリニン選手のノーミス基礎点と5~6点程度の差になってきますので、あとは出来栄え勝負で対応可能な領域に入ってきます。ただし、出来栄え勝負というからにはスピンステップでもしっかり点を取ることが求められます。

 

○ショートフリー合わせた要素別スコア(上位9人)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Ilia MALININ 280.37 123.15 117.39 5.73 23.11 12.99
2 Kao MIURA 273.19 125.57 108.24 10.89 18.81 11.68
3 Junhwan CHA 264.05 132.15 89.35 3.61 24.85 15.09
4 Daniel GRASSL 257.68 122.99 100.97 1.27 22.10 11.35
5 Roman SADOVSKY 225.41 122.28 75.17 -7.66 25.46 12.16
6 Wesley CHIU 219.90 106.70 75.53 2.32 21.93 13.42
7 Liam KAPEIKIS 219.50 107.60 83.86 -6.01 22.22 11.83
8 Sena MIYAKE 215.74 113.86 88.57 -12.74 18.63 11.42
9 Koshiro SHIMADA 215.12 111.14 78.45 -6.00 22.91 10.62

要素別のスコアを見てみます。トータル3位だったチャジュンファン選手がPCSではトップでした。三浦佳生選手が2位でマリニン選手が3位です。

ジャンプの基礎点はマリニン選手が当然のようにトップですが、三浦佳生選手も9.15差で印象ほどの差はありません。グラスル選手も3桁の基礎点でした。三宅星南選手は順位は8位でしたが3位に入ったチャジュンファン選手とジャンプの基礎点はほぼ差がありません。全体の出来の差でこれだけの差になったという形です。

ジャンプの加点は三浦選手がトップ。マリニン選手はショートフリー1ミスづつでGOEはそれほど伸びませんでした。

スピンはカナダのサドフスキー選手がトップです。三浦選手がここの要素で全体11位。伸ばせていません。

ステップ系要素はチャジュンファン選手がトップ。ここはマリニン選手も三浦選手も伸びませんでした。

マリニン選手と三浦選手の差は今回はジャンプで得たスコアはそれほど大きくなく、3.99差でした。それよりもスピンの差4.30の方が大きかったりします。スピンステップで合計5.61負けています。ここで4回転1本増やすくらいの差になってきています。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Kaori SAKAMOTO JPN 217.61 71.72 145.89
2 Isabeau LEVITO USA 206.66 71.30 135.36
3 Amber GLENN USA 197.61 68.42 129.19
4 Haein LEE KOR 179.50 66.24 113.26
5 Ekaterina KURAKOVA POL 178.68 63.65 115.03
6 Gracie GOLD USA 174.09 64.18 109.91
7 Nicole SCHOTT GER 160.35 56.47 103.88
8 Yeonjeong PARK KOR 158.58 60.04 98.54
9 Ahsun YUN KOR 156.70 47.98 108.72
10 Eliska BREZINOVA CZE 153.57 56.65 96.92
11 Marilena KITROMILIS CYP 135.48 46.01 89.47
  Rino MATSUIKE JPN 59.50 59.50  

女子は現世界チャンピオンの坂本花織選手が優勝です。平昌オリンピック以降のISU公認のグランプリシリーズの女子シングルでは、実は最年長優勝だったりします。なかなか20代が勝てない女子のグランプリシリーズになっています。

2位にはアメリカのレビト選手。ロシアがいない今シーズンはジュニア上がりの目玉は世界ジュニアで勝ったこの人です。ショートでは世界チャンピオンに肉薄しましたがフリーでは届かず。これで国際大会ではフリーで6試合連続で130点台。安定していると見るか壁を破り切れないと見るか。2戦目はイギリスにエントリー。2位以内でほぼファイナル確定しますがメンバー的にはチャンスはかなりありそうです。

3位にアンバーグレン選手が入りました。グランプリシリーズ参戦5年目。初のグランプリ表彰台となります。2人を残して点が出て首位に立ち表彰台確定。非常にうれしそうでした。今シーズンのチャンピオンシップのアメリカ代表争い、十分チャンスのある位置につけてきました。

韓国のイ・ヘイン選手、ポーランドのクラコワ選手、200点を出せる実力者がいたのですがスコア伸びず170点台にとどまっています。その次、6位にグレーシーゴールド選手が入ってきました。ISU公認のグランプリシリーズでショートフリー通じて滑ったのは6シーズンぶりです。ショートもフリーも3Lz+3Tを決めてきました。難しいことができるところまで力は戻っています。あとは、体力が課題なんでしょうか。フリーの後半はちょっと滑れてなかったなあ、という感じはどうしてもありました。今シーズンのアメリカでも世界選手権はちょっと厳しいかと思いますが、4大陸代表くらいまではあるかもしれない、というところまで来ているように感じられます。

日本からもう一人、松生理乃選手はショート終わったところで体調不良ということで棄権しました。順当にいけば表彰台争いができる試合だったのですが残念です。ジュニアの頃からちょっと試合運の無い選手だなあ、というところが気になります。

 

○坂本花織選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.41 4.71 4.333
2 3Lz   5.90   1.77 7.67 3.111
3 3S   4.30   1.17 5.47 2.778
4 CCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.556
5 3F+2T   6.60   1.59 8.19 3.000
6 StSq3   3.30   1.04 4.34 3.111
7 3F+3T   10.45 x 1.44 11.89 2.556
8 FSSp4   3.00   0.73 3.73 2.333
9 2A+3T< 7.33 x -0.91 6.42 -2.667
10 ChSq1   3.00   1.64 4.64 3.333
11 3Lo   5.39 x 1.40 6.79 2.778
12 FCCoSp4   3.50   0.90 4.40 2.667
  TES   59.57   13.08 72.65  

いつもの構成です。9番目の要素が本当は3連続のはずでした。ここでミスが出ていて基礎点が60点を欠いています。基礎点で圧倒するタイプではないので、結果的に楽勝であっても、後半のジャンプのあたりまではどうなるかわからない怖さがあります。今回も3連続が入らなかったところでヒヤッとしました。ステップもレベル3ですしまだまだ万全ではありません。

基本的に昨シーズンと戦い方は変わらないようです。同じ構成の中でどこまでできるか、ということになります。

 

○ショートフリー合わせての要素別スコア(上位8人)

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Kaori SAKAMOTO 217.61 108.06 59.73 11.44 24.05 14.33
2 Isabeau LEVITO 206.66 101.63 62.07 4.42 24.30 14.24
3 Amber GLENN 197.61 96.88 62.30 4.81 20.15 13.47
4 Haein LEE 179.50 93.14 54.17 -2.07 22.85 12.41
5 Ekaterina KURAKOVA 178.68 88.99 56.38 -1.72 22.42 13.61
6 Gracie GOLD 174.09 90.68 46.01 2.76 24.06 12.58
7 Nicole SCHOTT 160.35 83.02 46.32 -0.74 21.17 10.58
8 Yeonjeong PARK 158.58 83.90 43.78 -2.88 23.01 11.77

要素別でみると世界チャンピオン坂本花織選手がやはりPCSトップでした。シニア1年目のレビト選手が早くも100点を超えて2位です。

ジャンプの基礎点は回転不足ながらもトリプルアクセルを入れたアンバーグレン選手がトップでした。加点は坂本花織選手がトップ。ここで稼ぐのが坂本スタイルです。

スピンはレビト選手がトップ。グレーシーゴールド選手が2位でした。

ステップ系要素は坂本選手、レビト選手の二人が14点台を出しています。

 

次週はスケートカナダです。男子は2週連続の三浦佳生選手がファイナル進出を賭けます。優勝で確定、2位でもほぼ確実、3位でも割と有力に残るという位置です。日本からはもう一人宇野選手、世界王者の初戦です。カナダからメッシング選手、中国のボーヤンジン選手、イタリアのリッツォ選手、ラトビアのバシリエフス選手と実力者が他にも顔を連ねます。

女子は紀平梨花選手の国際舞台復帰戦です。渡辺倫果選手はグランプリデビュー戦、そして横井ゆは菜選手は国際舞台での生き残りをある種賭けた試合になります。海外勢では韓国のユヨン選手が初優勝を目指し、カナダからはシーザス選手などが登場です。