23-24 サリナヨース

2006年6月24日生まれ

シニア1シーズン目

シーズン獲得賞金:$3,000

世界ランキング:32位

シーズンランキング:23位

シーズンベストスコア 181.90(43位) タリントロフィー

ショートプログラムシーズンベスト 63.59 ゴールデンスピン

フリーシーズンベスト 121.01 ヨーロッパ選手権

スピンレベル4率 42/48 = 87.5%(国際大会:37/42 = 88.1%)

ステップレベル4率 7/13 = 53.8%(国際大会:5/11 = 45.5%)

スピンオールレベル4 3/8(国際大会:3/7)

スピンステップオールレベル4 1/8(国際大会:1/7)

ジャンプ回転不足率 11/80 = 13.8%(国際大会:11/70 = 15.7%)

ジャンプ回転不足なし 3/8(国際大会:2/7)

スピンステップオールレベル4ジャンプ回転不足なし 1/8(国際大会:1/7)

 

○23-24シーズンの戦績

Grade Event Pl Total SP FS
IC Tallinn Trophy 1 181.90 61.55 120.35
CS Golden Spin 1 179.40 63.59 115.81
NC Italian Championships 1 192.79 65.27 127.52
EC European Championships 6 180.83 59.82 121.01
IC Tallink Hotels Cup 1 179.65 63.13 116.52
WJ World Junior 7 174.73 57.66 117.07
WC World Championships 20 167.04 59.39 107.65
IC Triglav Trophy 1 175.72 58.75 116.97

サリナヨース選手は、昨季ジュニアグランプリシリーズ2戦で7位と12位、チャレンジャーシリーズワルシャワカップで2位という戦績を残していました。昨季まではスイス代表チームの一員でしたが、今期からはイタリアに移籍しています。

 

今期は18歳になるシーズンですのでジュニアグランプリシリーズにも原理的には出場可能でしたがエントリーなし。年齢はよくても、代表チームを変えたことでエントリー出来ません。

初戦は11月のタリントロフィーとなりました。きっちり昨季のスイス代表として出場した試合から1年と1週間後です。ショートは大きなミスのない演技で61.55 人生初の60点台をマークします。フリーもミスらしいミスなく滑って120.35 トータル181.90はISU非公認ながら初の180点台でイタリア代表となって、そしてシニアカテゴリーの試合として初優勝を果たします。

 

続いて12月に入ってチャレンジャーシリーズの最終戦ゴールデンスピンに出場します。ショートプログラムは全要素プラス評価のスピンステップオールレベル4で63.59とパーソナルベスト更新してトップに立つと、フリーは最終滑走で登場。後半のフリップ2つでアンダーローテーションが付き、微妙な展開となりますが115.81をマーク。トータル179.40で1.89差、僅差で逃げ切ってチャレンジャーシリーズ初優勝を果たしました。

 

イタリアは日本と近い日程でナショナルがあります。イタリアに移籍して初のナショナルです。ショートはまたも全要素プラス評価で65.27 首位と1.15差の2位に付けます。フリーは最終滑走の1人前で登場。中盤のループが2回転になるミスはありましたが、全体的にいい滑りで127.52と自己ベスト相当のスコアをマーク。トータル192.79で首位に立つと最終滑走のペゼッタ選手のスコアは伸びず。移籍して最初のナショナルで優勝。ヨーロッパ選手権の切符を手に入れます。

 

間2週間、年が明けてすぐにヨーロッパ選手権です。ランキングはそれほど高くないので33人中19番滑走と中盤で早くも出番が来ます。今期安定していたショートプログラムでしたが、今回は冒頭のコンビネーションでフリップがアンダーローテーションになり、後半スピンでもミスが出ます。スコアは59.82 この時点で2位。最終的には9位でフリーに進みます。フリーはアンダーローテーションが3つと、回転に苦しむ展開ですが、それでも何とか耐えてまとめたというような試合になりました。フリーは121.01でトータル180.83 終わってみると6位。表彰台とは差がありますが上位入賞を果たしました。

 

2月にタリンクホステルズカップにジュニアカテゴリーで出場します。世界ジュニア向けの調整でしょう。シニアでは1.1倍に入っていなかった単独ルッツがジュニアだと1.1倍に入って63.13をマーク。フリーもステップが抜けたジュニアルールの中で116.52を出してトータル179.65を出して優勝します。

 

3月にはいって世界ジュニアに出場します。世界ジュニアはスイス時代にも出場できておらず18歳にして初出場です。ショートプログラムは46人滑走の24番滑走と真ん中あたりで出てきます。コンビネーションのセカンドこそアンダーローテーション取られましたが他はしっかり滑り57.66で14位に付けます。フリーは細かく点を削られる部分もありましたが大きく見ればほぼノーミス。117.07を出してトータル174.73 170から175点に9人集まるという僅差の試合展開になりましたが、総合7位に入り、イタリアに来季2枠を確保。新国籍でイタリアに貢献しました。

 

イタリアチャンピオンということで世界選手権にも出場してきます。チャンピオンシップ3大会を1シーズンではしごする選手はそれほど多くありません。ショートは今回もコンビネーションのセカンドがアンダーローテーション取られます。それでも59.39は出すのですが、流石世界選手権はレベルが高い、このスコアでも19位スタートになります。フリーは第1グループ最後の滑走。いつもより細かくジャンプで削られるところがあり107.65 トータル167.04で最終順位は20位となりました。

 

4月に入ってトリグラフトロフィーにも出場。なぜかジュニアカテゴリーの試合に出ていきます。妹さんと同じ試合に出たかったのでしょうか。ただ、妹のノエミ選手はショートプログラムのみの出場でした。試合としては175.72でしっかり優勝してシーズンを終えました。

 

○要素別スコア

Event Total TES PCS J Base J GOE Spin Step
Tallinn Trophy 181.90 102.68 79.22 66.25 1.75 22.86 11.82
Golden Spin 179.40 97.27 82.13 63.91 -0.64 21.70 12.30
Italian Championships 192.79 105.67 87.12 63.05 5.53 23.74 13.35
European Championships 180.83 94.88 85.95 62.63 -2.48 22.14 12.59
Tallink Hotels Cup 179.65 99.34 80.31 63.05 3.33 23.43 9.53
World Junior 174.73 97.85 77.88 66.00 2.14 21.30 8.41
World Championships 167.04 85.56 81.48 60.26 -7.64 20.82 12.12
Triglav Trophy 175.72 96.92 78.80 63.66 0.12 24.35 8.79

トータルスコアはナショナルの190点台はありますが、基本的には180点前後です。世界ジュニアもステップ1本分足せばその水準になってきます。世界選手権だけ他の試合と比べてスコアが低くなりました。

技術点は100点前後。タリントロフィーだけ100点を超えています。PCSの方は80点前後でヨーロッパ選手権の85.95が最高です。1項目平均7点台前半にとどまっています。

ジャンプの基礎点は65点前後あってタリントロフィーの66.25が最高です。この66.25は今シーズン全選手中14位の基礎点になります。高難度ジャンプが無い中ではかなり高い順位です。加点の方はナショナルで+5.53ありますが、他はプラスマイナスゼロ前後になります。世界選手権は著しいマイナスがありました。

スピンはトリグラフトロフィーで24.35まで出しました。ステップ系要素はナショナルで13点台ありますが、国際大会では12点台までとなります。

 

○要素別偏差値

Event Total J Base J GOE Spin Step PCS
Tallinn Trophy 58.60 65.90 59.20 60.48 53.28 49.67
Golden Spin 57.68 63.40 54.30 55.81 55.64 52.07
Italian Championships 62.61 62.48 66.95 64.03 60.78 56.18
European Championships 58.21 62.03 50.53 57.58 57.06 55.21
Tallink Hotels Cup 57.77 62.48 62.44 62.78 67.55 50.57
World Junior 55.96 65.63 60.00 54.19 57.16 48.57
World Championships 53.13 59.50 39.96 52.26 54.75 51.53
Triglav Trophy 56.33 63.13 55.86 66.49 59.46 49.32

トータルスコアは50台後半くらいまでの偏差値です。ナショナルは60台あります。世界選手権は50代前半に留まりました。

ジャンプの基礎点は60台に乗ってきて、いい時は60台中盤前出ます。加点の方は60前後くらいまでです。

スピンも60前後あります。トリグラフトロフィーでは60台後半まで出ました。ステップ系要素はジュニア補正のタリンクホステルズカップだけ60台後半あることになっていますが、他はナショナルで60に乗って以外は50台になります。

PCSは50前後といったところです。

ジャンプの基礎点がしっかり出せる選手ですが、他はまだ偏差値50台後半くらいまでで頭抜けた力があるとまではいかないようです。

 

サリナ・ヨース選手の要素別偏差値レーダーチャート23-24

レーダーチャートは右寄りです。スピンはVが付くことが多く結構ばらつき、ステップはレベル4率が50%なのでやはりばらつきます。ジャンプの加点はほぼ誰が滑ってもばらつく。全部のばらつきがだいたい均されてトータルスコアのばらつきは小さくなるのだけど、世界選手権は全部悪い方に出た、というような形でした。

 

●シーズン最高の基礎点構成

○タリンクホステルズカップ ショートプログラムの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3F+3Tq q 9.50   -0.71 8.79 -1.400
2 2A   3.30   0.66 3.96 2.000
3 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.200
4 3Lz   6.49 x 0.59 7.08 1.000
5 FSSp4   3.00   0.60 3.60 2.000
6 StSq4   3.90   1.30 5.20 3.400
7 LSp4   2.70   0.45 3.15 1.800
  TES   32.39   3.59 35.98  

ショートプログラムは32.39の基礎点がありました。コンビネーションはフリップから飛び、1.1倍には単独ルッツが来ます。スピンステップオールレベル4で32.39です。シーズン前半はショートプログラムで1.1倍ジャンプが無い、という時間配分だったのですが、このタリンホステルカップ以降は1.1倍にルッツが来るような時間配分になりました。この32.39で今シーズン11位タイの基礎点になります。

この構成の完成度を上げていく、というのが今の段階かと思われます。

 

○タリントロフィー フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S   4.30   0.57 4.87 1.200
2 3Lz+2T   7.20   0.39 7.59 0.800
3 2A+3Tq q 7.50   -0.84 6.66 -2.000
4 3Lo   4.90   0.00 4.90 0.200
5 FCSp4   3.20   0.32 3.52 1.000
6 ChSq1   3.00   -0.17 2.83 -0.400
7 3Lz   6.49 x 0.39 6.88 0.600
8 3F+2A+2Lo+SEQ   11.33 x 0.53 11.86 0.800
9 3F   5.83 x 0.35 6.18 0.600
10 CCoSp4   3.50   0.82 4.32 2.400
11 StSq4   3.90   0.91 4.81 2.400
12 FCCoSp4   3.50   0.58 4.08 1.800
  TES   64.65   3.85 68.50  

フリーの最高基礎点は64.65がありました。2回飛ぶジャンプはルッツとフリップ。スピンステップオールレベル4 1.1倍に3連続とルッツにフリップ2本がいるという構成です。スピンもオールレベル4基礎点が10.20になるという最高基礎点の組み合わせになっています。

高難度ジャンプ無しで64.65はかなり高い構成です。今シーズン全選手中5位の構成。高難度ジャンプ無しでこれより上はキムチェヨン選手の64.68があるだけです。高難度ジャンプ無しのほぼ限界に近い構成になっています。これより基礎点上げるにはトリプルアクセルなり4回転の習得が求められるということになります。

 

○平均GOE2.500以上

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Italian Championships SP 7 LSp4   2.70   0.97 3.67 3.571
Tallink Hotels Cup SP 6 StSq4   3.90   1.30 5.20 3.400
European Championships SP 7 LSp4   2.70   0.85 3.55 3.222
Triglav Trophy FS 10 ChSq1   3.00   1.50 4.50 3.200
Triglav Trophy FS 11 FCCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
Triglav Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.99 4.29 3.000
European Championships SP 6 StSq3   3.30   0.94 4.24 2.889
Golden Spin SP 7 LSp4   2.70   0.76 3.46 2.857
Triglav Trophy SP 7 LSp4   2.70   0.81 3.51 2.800
Triglav Trophy FS 9 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
Triglav Trophy SP 3 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
Tallink Hotels Cup FS 10 ChSq1   3.00   1.33 4.33 2.600
Tallink Hotels Cup FS 9 CCoSp4   3.50   0.93 4.43 2.600
Tallinn Trophy SP 6 StSq3   3.30   0.88 4.18 2.600
Italian Championships FS 10 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571
Italian Championships SP 6 StSq4   3.90   1.01 4.91 2.571
Italian Championships SP 3 CCoSp4   3.50   0.91 4.41 2.571

評価が高い要素はステップ、コレオ、スピンとありますが、ISU公認で+3以上出したのはヨーロッパ選手権のレイバックスピンのみでした。レイバックスピンは比較的高いGOEが出やすい要素です。

全体的にまだ、1つ1つの要素で高い加点を得ていく、というところには来ていないようです。

 

○セカンド3回転の要素

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Tallinn Trophy SP 1 3F+3Tq q 9.50   -1.06 8.44 -2.600
Tallinn Trophy FS 3 2A+3Tq q 7.50   -0.84 6.66 -2.000
Golden Spin SP 1 3F+3T   9.50   0.64 10.14 1.143
Golden Spin FS 3 2A+3T   7.50   0.34 7.84 0.714
Italian Championships SP 1 3F+3T   9.50   0.32 9.82 0.714
Italian Championships FS 3 2A+3T   7.50   0.34 7.84 0.857
European Championships SP 1 3F!<+3T 8.44   -1.09 7.35 -2.556
European Championships FS 3 2A<+3T 6.84   -0.96 5.88 -2.333
Tallink Hotels Cup SP 1 3F+3Tq q 9.50   -0.71 8.79 -1.400
Tallink Hotels Cup FS 3 2A+3T   7.50   0.28 7.78 0.800
World Junior SP 1 3F!+3T< 8.66   -1.74 6.92 -3.333
World Junior FS 3 2A+3Tq q 7.50   -0.84 6.66 -2.000
World Championships SP 1 3Fq+3T< 8.66   -2.12 6.54 -4.000
World Championships FS 3 2A+3T< 6.66   -0.58 6.08 -1.778
Triglav Trophy SP 1 3F!<+3T< 7.60   -2.12 5.48 -4.800
Triglav Trophy FS 3 2A+3T< 6.66   -0.67 5.99 -2.000

シーズン後半はコンビネーションジャンプに苦しみました。ショートでは冒頭にフリップから、フリーでは3番目の要素でダブルアクセルからセカンド3回転を飛びます。

ショートの3-3は8回飛んでGOEプラスの成功ジャンプは2回。アンダーローテーションが入ったのが4回あって、qも2回あり、チャンピオンシップ3試合はすべてアンダーローテーション付いています。

フリーのダブルアクセルからの方は8回飛んでGOEプラスは3回。こちらもチャンピオンシップ3試合はアンダーローテーション2つとq1つでGOEはすべてマイナスです。

この辺が決まってくると、グランプリシリーズあたりでは上位で戦えそうに思えます。

 

○3連続ジャンプ

Event     Elements    Base   GOE Scores AvGOE
Tallinn Trophy FS 8 3F+2A+2Lo+SEQ   11.33 x 0.53 11.86 0.800
Golden Spin FS 8 3F!<+2A+2Loq+SEQ 10.16 x -2.12 8.04 -4.857
Italian Championships FS 8 3F+2A+2Lo+SEQ   11.33 x 0.53 11.86 1.000
European Championships FS 8 3F!q+2A<+2Loq+SEQ 10.60 x -2.57 8.03 -4.778
Tallink Hotels Cup FS 7 3F+2A+2Lo+SEQ   11.33 x 0.35 11.68 0.600
World Junior FS 7 3F+2A+2Lo+SEQ   11.33 x 0.38 11.71 0.667
World Championships FS 8 3F!q+2Aq+2Lo+SEQ ! 11.33 x -2.35 8.98 -4.111
Triglav Trophy FS 7 3F!+2A+2T+SEQ ! 10.89 x -0.18 10.71 -0.200

3連続ジャンプは1,1倍に入れてきます。3試合だけ7番目の要素なのは、ジュニアの試合でステップが無いため1つ早まっているという形です。

今シーズン8回飛んでGOEプラスは4回です。ただ、マイナスの試合のマイナス幅が大きい。チャンピオンシップ3試合では世界ジュニアのみがプラスでした。

もう少し安定して点を取りたい要素、ということになっています。

 

今期スイスからイタリアへ移籍したサリナヨース選手。フリーは紀平梨花選手の名作、A Beautiful Stormを使っていて、なつかしさも感じました。世界ジュニアで来期2枠も確保してイタリアにも貢献。世界選手権は残念でしたが先への可能性は感じさせてくれました。

この戦績だと来期はグランプリ1枠は回ってきそうに見えます。2枠は微妙でしょうか。ジャンプの基礎点はしっかりあるので、あとは1つ1つの技の精度を上げていくと上位で戦えそうに見えます。