デニステンメモリアル チャレンジャーシリーズの穴場

チャレンジャーシリーズの第7戦、デニステンメモリアルが行われました。今季のチャレンジャーシリーズはほとんどがヨーロッパで行われていて、例外はアメリカ開催のUSインターナショナルと、このカザフスタン開催のデニステンメモリアルの2試合になります。中央アジアが開催地の珍しい試合。デニステンさんの前に精鋭に顔をそろえてほしいところでしたが、グランプリシリーズと重なる時期にもなってきていて、やや寂しい顔ぶれとなっていました。

 

○男子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Nika EGADZE GEO 208.47 71.81 136.66
2 Dias JIRENBAYEV KAZ 192.67 68.52 124.15
3 Vladimir LITVINTSEV AZE 188.77 64.00 124.77
4 Rakhat BRALIN KAZ 181.22 62.47 118.75
5 Kornel WITKOWSKI POL 179.50 47.23 132.27
6 Oleg MELNIKOV KAZ 162.30 57.62 104.68
7 Semen DANILIANTS ARM 158.21 55.62 102.59
8 Yelissey VOLKOV KAZ 101.96 46.82 55.14

男子シングルは8選手の出場です。もう1人欠けたら国際大会としての要件を外れてランキングポイントが出に入らないところでした。

優勝はジョージアのニカエガゼ選手。メンバー中ただ一人、グランプリ2試合にエントリーしている選手です。次週のフランスと5戦目のNHK杯に出場します。チャレンジャーシリーズは昨季のカップオブオーストリアに次いで2勝目です。ジョージアの2番手の位置にいる選手。おそらく今シーズンはクビテラシビリ選手が確保してきた世界選手権の2枠目の椅子に座ってのワールド好成績というのが目標になってくると思います。

2位には地元カザフスタンからディアスジレンバエフ選手。昨シーズン4大陸選手権13位、先日のジュニアグランプリエーニャで9位に入っていた選手です。192.67はパーソナルベスト。チャレンジャーシリーズ初の表彰台。ピカチュウらしきぬいぐるみ片手にうれしそうでした。

3位はアゼルバイジャンからウラジミールリトヴィンツェフ選手。昨シーズンヨーロッパ選手権8位。世界選手権も常連化してますし、実績的には優勝候補かと思ったのですが、スコアが全く伸びず3位に終わりました。グランプリシリーズも最初はエントリーしていたはずが消えていますし問題抱えていたでしょうか? 一応チャレンジャーシリーズ初表彰台でしたがキスアンドクライも1人で特にうれしくもない、というような試合になっていたようでした。

○女子シングル シニア

Pl Name Nation Total SP FS
1 Minchae KIM KOR 158.84 41.05 117.79
2 Anna LEVKOVETS KAZ 145.43 54.16 91.27
3 Dabin CHOI KOR 145.06 49.76 95.30
4 Alexandra FEIGIN BUL 140.96 50.11 90.85
5 Anastasia GRACHEVA MDA 132.66 47.36 85.30
6 Kristina GRIGOROVA BUL 128.91 45.66 83.25
7 Sofiya FARAFONOVA KAZ 122.51 40.63 81.88
8 Antonina DUBININA SRB 118.98 44.42 74.56
9 Bagdana RAKHISHOVA KAZ 111.88 38.16 73.72
10 Yasmin TEKIK KAZ 105.70 33.02 72.68
11 Aleksandra NESTEROVA KGZ 79.05 28.90 50.15

優勝したのは韓国のキムミンチェ選手でした。今シーズンジュニアグランプリ2戦で13位と8位という選手。ただ、昨シーズンのジュニアグランプリで出した192.48というパーソナルベストを持っています。ショートでジャンプ全ミスの41.05というなかなか見ないスコアからフリーでは年齢相応なジュリエットで大逆転優勝です。ルッツでe2回とか不完全なところもありますが、フリーの出来はちょっと今回のメンバーの中ではレベルが全然違いました。ショートではISU公認70点台出したことある選手ですし、ちゃんと滑れば力にだいぶ差がありました。

2位には地元カザフスタンのアンナレフコベツ選手。2007年5月生まれの15歳。昨シーズン世界ジュニア29位でフリーに進めていませんでした。チャレンジャーシリーズでは当然初表彰台。初ランキングポイント獲得。50点台半ばまで出せれば世界ジュニアでフリー進出からジュニアグランプリの枠拡大に貢献できると思います。

3位は韓国のチェダビン選手。国際大会は19年のワルシャワカップ以来3年ぶりです。演技全体の印象は悪くないのですが、ショートフリー合わせてアンダーローテーション6つ、ダウングレード2つ。アジア選手権で優勝したり、オリンピックで7位になった経験のある選手からしたら満足いくスコアなわけもないですが、キスアンドクライでは笑顔が見られました。久しぶりに戻ってきて滑る楽しさを感じているようにもみえました。

 

この大会にはアイスダンスで村元/高橋組が出場して優勝。デニステンさんのメモリアル大会にスケジュール的に厳しい中出場して高橋大輔選手が優勝する。デニステンさんは見ていたでしょうか?

開催時期の問題もあり、シングル競技はメンバー的には寂しいものとなりました。自国と、比較的カザフスタンに近い東欧地域、それに関係性の深めな韓国、といったあたりの選手の参加にとどまっています。日本からも西日本、東日本の大会に出ているよりはチャレンジャーに派遣してもよかったと思いました。三原舞依選手はこの後ファイナル含めて国際試合が3試合続く予定なので国内の調整の方がよかったかもしれませんが、吉田陽菜選手あたりはシニアの試合の経験を積むなら西日本より国際大会の方が、ランキングも上がってよかったような気がします。千葉百音選手とか山下真瑚選手とか本田ルーカス選手とか昨年の全日本の10位台の選手にもこれくらいの時期の国際大会の派遣があってもいいように感じます。

 

チャレンジャーシリーズ8戦目は1週空いて11月の2週目にオーストリアグラーツで開催です。男子ではスウェーデンのニコライマヨロフ選手などが、女子では今大会にも出場した韓国のチェダビン選手、キムミンチェ選手の他、スイスのレポンド選手、アメリカのグレーシーゴールド選手がエントリーしています。今シーズンに入ってゴールド選手が積極的に国際大会に出ている印象です。