全日本ジュニア22 女子シングルプレビュー

全日本ジュニアが11月26・27と行われます。ここで勝てば世界ジュニア内定。そして子シーズンからは枠が増えて8人が全日本へ進出となります。強いジュニアは従来は2年でシニアに上がれたのですが、新ルールでは4年滞留することになるのでその対策で枠が拡がったでしょうか。

今回はその全日本ジュニアのプレビューです。まずは女子シングルを見ていきます。

 

○女子シングルエントリー者今シーズンのベストスコア

  Name Nation Total SP FS
1 Mao SHIMADA JPN 217.68 68.81 148.87
2 Ami NAKAI JPN 205.90 69.00 136.90
3 Mone CHIBA JPN 205.82 70.16 135.66
  (島  田  麻  央) 木下アカデミー 199.35 67.52 131.83
4 Ayumi SHIBAYAMA JPN 188.39 67.09 121.30
  (中  井  亜  美) MFアカデミー 185.86 63.59 122.27
  (柴  山      歩) 木下アカデミー 181.79 63.47 118.32
5 Ikura KUSHIDA JPN 177.02 55.67 121.35
  (櫛  田  育  良) 宇治市立宇治中学校 176.49 60.77 115.72
6 奥  野  友莉菜 駒場学園高校 173.66 63.02 110.64
7 髙  木      謠 MFアカデミー 168.71 60.29 108.42
8 和  田  薫  子 名古屋市立前津中学校 168.45 55.15 113.30
  (千  葉  百  音) 東北高校 167.43 66.37 101.06
9 村  上  遥  奈 木下アカデミー 167.27 55.39 111.88
10 穂  積  乃  愛 駒場学園高校 161.80 56.22 105.58
11 山  田      恵 木下アカデミー 156.06 51.44 104.62
12 岡  本  真  綸 岡山理大附高校 155.37 51.20 104.17
13 清  水  咲  衣 大阪スケート倶楽部 154.24 50.48 103.76
14 田  邊  桜  香 星槎国際横浜 149.13 50.12 99.01
15 岩  崎  陽  菜 なみはやクラブ 140.25 54.22 86.03
16 今  関  友梨香 MFアカデミー 138.87 47.00 91.87
17 中  尾      歩 埼玉アイスアリーナFC 138.03 46.40 91.63
18 長  岡  柚  奈 藤女子 134.91 51.53 83.38
19 鴨  井  彬莉彩 パピオフィギュアクラブ 131.80 49.06 82.74
20 吉  本      玲 神戸クラブ 130.93 50.52 80.41
21 瀬  川  穂  乃 仙台FSC 130.90 48.49 82.41
22 杉  山  菜  那 京都宇治FSC 130.80 46.42 84.38
23 入  江  美  友 Mエイトクラブ 127.25 47.01 80.24
24 岡  万佑子 手稲東中 127.19 40.37 86.82
25 藤  沼  聖  空 埼玉アイスアリーナFC 126.13 47.73 78.40
26 柚  木  心  春 京都宇治FSC 125.93 44.74 81.19
27 花  田  実  優 宇都宮フィギュアC 125.05 39.74 85.31
  上  薗  恋  奈 LYS 99.73   99.73
  宮  本  琉  花 白鳥T・FSC 87.88   87.88
  河  野  莉々愛 木下アカデミー 83.00   83.00

ジュニアグランプリシリーズに出場した選手は国際大会のシーズンベストと国内のシーズンベストをどちらも記してあります。5人全員が国際大会のスコアの方がいいのは不思議なような当然なような。

ノービスAの推薦選手のうち3人はジュニアで今シーズン滑った実績がないためノービスとしてフリーだけのスコアが入っています。

やはりジュニアグランプリ組5人が強く、その中でもジュニアグランプリで優勝した3人が強く、その中でも2勝した島田麻央選手が強い、という数字並べなくても予想付くよというそのままなものが並んでいます。

ジュニアグランプリシリーズにはもう一人、吉田陽菜選手も出場していましたが、吉田選手は国内ではシニアコースということで全日本ジュニアには出てきません。出てくれば上位の混戦具合が増しておもしろかったので残念ですが、その分、ジュニア→シニアの全日本推薦枠が実質的に1枠余裕が出たような形にもなります。全日本推薦枠の8番目付近に同門の木下アカデミー勢がいますので、その辺の計算もチームとしてあったかどうか。

 

ショートはジュニアではトリプルアクセル禁止なので、基礎点がほぼ変わらない中での争いとなるわけですが、そこで誰か島田選手の上へ行けるかどうか。70点を超えるシーズンベストは島田選手の他に千葉百音選手も出しています。60点台後半までは中井亜美選手や柴山歩選手も出しています。フリー最終グループ入りは60点台は必要でしょうか。

トータルは210点台の決着になる可能性もある一方で、国内戦では島田麻央選手も200点に欠けるスコアしか出せていません。フリーで高難度ジャンプが決まってこないとここで土を付けられるのか氷を付けられるのかする可能性も十分にあります。

ノービス勢では上薗選手はフリー100点近いスコアがあり、ジュニアルールでジャンプ要素が増えれば110点近くまで出してくる力があります。ノービス勢の鬼門、ショートプログラムをしっかり乗り越えてくればトップ10くらいには絡んでくる可能性もあります。

 

○シーズンベスト上位6名のフリーの構成

  島田麻央 中井亜美 千葉百音 柴山歩 櫛田育良 奥野友莉菜
1 3A 3A 3Lz+3T 2A 3Lz!+3Tq 2Lz+2T
2 4Tq 3Lz+3T 2A 3Lz!+3T 3S+3T 3F
3 3Lz+3T 3Lo+2A+SEQ 3S FSSp4 2A 2A
4 FSSp4 FSSp4 FCCoSp4 3Lo FSSp3 FSSp4
5 3F+2A+SEQ 2A 3F 3S 3Lz!q 3Lo
6 ChSq1 3F!+1Eu+3S 3Lo ChSq1 3F LSp4
7 3S+3T+2T CCoSp4 CCoSp4 3Lz!+2T+2Lo ChSq1 2A+3T
8 3Lo 3Lo 3F+2A+SEQ CCoSp4 LSp4 3Lz+2T+2Lo
9 3Lz 3Lz 3Lzq+2T+2Lo 2A+3Tq 3Lo 3S
10 CCoSp4 LSp4 ChSq1 3Fq 2A+2T+2Lo CCoSp2V
11 LSp4 ChSq1 LSp4 LSp4 CCoSp4 ChSq1
Base 71.06 64.79 60.34 58.67 57.75 50.25
GOE 14.39 12.06 11.64 5.74 6.39 4.86
PCS 63.42 60.05 63.68 56.33 57.21 49.82
Total 148.87 136.9 135.66 120.74 121.35 104.93

今シーズン一番技術点が高かったときの構成です。基礎点はこれより高かったけれど技術点は伸びなかった、みたいなものや、PCSが良かったのでトータルスコアはこれよりよかった、というものも他にある場合があります。

島田麻央選手のノーミス基礎点は圧倒的です。71.06はこのメンバーで最大とかいうレベルではなく、今シーズンの国際大会すべての中で最大です。追いかけるのは中井亜美選手。トリプルアクセル持ちで64.79まで出しています。千葉百音選手は60.34 4回転練習中とは聞きますが全日本ジュニアまでに完成しているかどうか?

GOEも上位3人は二桁稼ぎます。島田麻央選手はこの試合は4回転で立つところまで行っているのですが、4回転かトリプルアクセル、どちらかで回転不足の転倒となってきた場合にはノーミス中井亜美選手に技術点で上回られる可能性がありますし、千葉選手の高PCSで逆転される可能性もあります。

柴山選手、櫛田選手はとにかくノーミスして表彰台を狙いたいという立ち位置でしょうか。奥野選手は非JGP組の筆頭にいまのところなっていますが、こちらもノーミス構成で全体のスコアを上げていきたいところです。

 

○シーズンベスト上位12名の点の取り方

  Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mao SHIMADA 217.68 93.77 78.17 11.37 25.63 8.74
2 Ami NAKAI 205.90 89.79 71.38 11.09 23.93 9.71
3 Mone CHIBA 205.82 94.60 66.43 9.44 25.47 9.88
4 Ayumi SHIBAYAMA 188.39 88.35 59.96 7.69 23.22 9.17
5 Ikura KUSHIDA 177.02 84.09 63.66 -0.38 21.74 8.91
6 奥  野  友莉菜 173.66 84.55 58.12 0.51 22.29 9.19
7 髙  木      謠 168.71 76.53 61.94 0.30 22.16 8.78
8 和  田  薫  子 168.45 72.25 63.50 3.91 22.09 6.70
9 村  上  遥  奈 167.27 70.46 65.06 3.86 20.40 7.49
10 穂  積  乃  愛 161.80 79.25 50.44 0.95 22.70 8.46
11 山  田      恵 156.06 65.56 64.10 -0.95 20.99 6.36
12 岡  本  真  綸 155.37 67.79 62.05 -1.80 20.64 6.69

女子は優勝争い、表彰台争い、全日本進出枠争い、それぞれ熾烈です。

PCSは千葉選手が島田選手を上回ります。奥野選手も国内参考記録ですがJGP組の櫛田選手を上回るところまで出しています。全日本出場権争いの位置では穂積選手のPCSが高めです。

ジャンプの基礎点は島田麻央選手が圧倒的なのは目に見えていますが国内組で村上遥奈選手が高難度ジャンプ無し構成のJGP組に匹敵するところまで出しています。ペア掛け持ちで点を取るのはジャンプですというちょっと変わった特徴で全日本を目指します。同じく木下アカデミーの山田恵選手も高いジャンプの基礎点です。逆に柴山選手は少しここが落ちます。構成が弱いわけではなくてノーミスで滑り切れていないという形ですので力をはっきりしきりたい今大会です。

ジャンプの加点は高難度ジャンパー2人が二桁稼ぎます。櫛田選手はここを伸ばして表彰台を狙いたいところ。国内組もここがプラスになる出来だと全日本が見えてきそうです。

スピンは島田選手と千葉選手が25点台で世界的にも上位です。島田選手はこれとは別の試合で26.14という今シーズンの世界最高を持っています。

ステップ系要素は千葉選手がトップ。高難度ジャンプがないところをPCSにスピンステップでどこまで差を埋められるか。国内組では奥野選手が9点台で高評価です。

 

今シーズンの世界ジュニアは2枠だけ。来シーズンは3枠に拡がるのはほぼ確実かと思いますが、今シーズンは激戦です。全日本で2枠目に入りに行くのは総合的にいろいろと考慮される、という読めないところがあるので、絶対確実な全日本ジュニア優勝の内定枠に入りたいところ。表彰台に乗るのは誰か? 8枠まで広がった全日本出場権も誰がつかめるか? フリーは第2グループ後半あたりからその辺、はらはらする展開になりそうな全日本ジュニアになりそうです。

全日本ジュニアのこれまでの最高スコアは2020年に松生理乃選手が優勝したときの198.38 そこから多少ルールが変わっているというのもありますが、今大会は初の200点決着、場合によっては表彰台ラインが200点台となっていくことが考えられます。

 

 

ワルシャワカップ レベル高め

チャレンジャーシリーズの第9戦、ワルシャワカップが行われました。よくよく考えると開幕直前に端の方とはいえミサイル飛んできて落ちた国の首都です。普通に試合してましたがなかなか怖い世の中になってきています。

グランプリシリーズの時期に入ってくるとチャレンジャーシリーズのメンバーはやや落ちるのが一般的なのですが、今回はレベル高めなメンバーが集まりました。

 

○男子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Kevin AYMOZ FRA 258.02 89.60 168.42
2 Daniel GRASSL ITA 257.76 76.44 181.32
3 Lukas BRITSCHGI SUI 253.66 86.51 167.15
4 Luc ECONOMIDES FRA 222.24 73.37 148.87
5 Maxim NAUMOV USA 218.98 76.17 142.81
6 Vladimir SAMOILOV POL 212.79 77.69 135.10
7 Naoki ROSSI SUI 208.34 75.46 132.88
8 Daniel MARTYNOV USA 204.14 71.75 132.39
9 Mark GORODNITSKY ISR 202.30 67.44 134.86
10 Luc MAIERHOFER AUT 201.50 69.75 131.75
11 Kornel WITKOWSKI POL 200.97 71.70 129.27
12 Ivan SHMURATKO UKR 199.65 74.41 125.24

優勝スコア258.16は今季のチャレンジャーシリーズでは最高スコアです。地元のフランス杯を欠場して心配されていたケビンエイモズ選手がここに出てきて優勝しました。来週フィンランド杯にもエントリーしていますが、元気に出てきてくれそうです。ちなみにチャレンジャーシリーズ初優勝ですが、

僅差の2位にはイタリアのグラスル選手。こちらは真裏で行われたNHK杯の結果によりファイナル進出が確定しました。そういった調整試合で257.76を出してきています。

3位にはスイスのブリッチギー選手が入りました。253.66はパーソナルベスト、初の250点台です。シーズンベストランクがこれで10位に入ってきています。今シーズン、24歳でグランプリシリーズに初めて出場した選手ですが、これでほぼ来シーズンの2枠が取れたのではないかと思われます。世界選手権でも注目株となって来るでしょうか。

チャレンジャーシリーズで表彰台ラインが250点台というのは異常ともいえる高いレベルでした。

 

○ケビンエイモズ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2T   7.20   1.30 8.50 2.000
2 3A   8.00   2.24 10.24 2.714
3 3F   5.30   0.95 6.25 1.714
4 3Lz   5.90   0.24 6.14 0.571
5 CCSp4   3.20   0.96 4.16 3.143
6 StSq4   3.90   1.40 5.30 3.714
7 3T   4.62 x 1.01 5.63 2.571
8 3S+1Eu+3S   10.01 x 0.77 10.78 1.857
9 2A+2A+SEQ   7.26 x 0.73 7.99 2.143
10 FSSp4   3.00   0.90 3.90 3.143
11 ChSq1   3.00   1.60 4.60 3.286
12 CCoSp4   3.50   1.19 4.69 3.286
  TES   64.89   13.29 78.18  

エイモズ選手はケガからの回復期ということで構成的には低めでした。ショートでも4回転は入っていません。ショートフリー通じて全要素プラス評価。4回転なしでもこれくらいのスコアは出せます。個人的には4回転無しのクリーンな演技というのが結構好きなのですが、大きな大会を狙いに行くとそうはいかないのでしょうきっと

ジャンプのスコアは当然伸びていませんが、スピンはショートフリーオールレベル4で25.31を稼いでいて今シーズン全体で3位のスコアでした。

 

○ダニエルグラスル選手フリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lz+3T   15.70   1.61 17.31 1.571
2 4F   11.00   1.76 12.76 1.571
3 4Lo   10.50   1.89 12.39 1.714
4 3A+1Eu+3S   12.80   1.92 14.72 2.429
5 CSSp4   3.00   0.60 3.60 1.857
6 4Lz< F 10.12 x -4.60 5.52 -4.857
7 3Lz+3T   11.11 x 0.59 11.70 1.143
8 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.714
9 3F   5.83 x 0.74 6.57 1.429
10 FCCoSp3   3.00   0.60 3.60 1.857
11 StSq2   2.60   0.57 3.17 2.143
12 CCoSp3   3.00   0.60 3.60 2.000
  TES   91.66   7.08 98.74  

グラスル選手はフリーの構成がフル構成になってきました。4回転が3種類4本。今シーズン初めて4回転ループを投入して成功させています。4回転ルッツの2本目は転倒でした。

基礎点91.66は今シーズン2位の構成。上にいるのはマリニン選手ただ一人です。

今回はスピンステップのレベルがあまりとれずそちらのスコアが伸びていません。ファイナルの表彰台争いが僅差になってくるとその辺が効いてくる可能性が結構あります。

 

○女子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Ekaterina KURAKOVA POL 189.98 64.66 125.32
2 Sarina JOOS SUI 180.31 58.76 121.55
3 Janna JYRKINEN FIN 174.96 62.35 112.61
4 Nicole SCHOTT GER 172.56 52.94 119.62
5 Lea SERNA FRA 163.60 51.41 112.19
6 Livia KAISER SUI 157.57 51.85 105.72
7 Aleksandra GOLOVKINA LTU 157.42 55.49 101.93
8 Kristina ISAEV GER 155.98 49.39 106.59
9 Oona OUNASVUORI FIN 152.14 47.47 104.67
10 Mariia ANDRIICHUK UKR 150.74 51.84 98.90
11 Gerli LIINAMAE EST 149.57 51.69 97.88
12 Anastasija KONGA LAT 145.16 50.36 94.80

ポーランドのクラコワ選手が優勝しました。前週にグランプリシリーズに出ていてスケジュール的には厳しいところでしたが、そこはポーランド国籍になった責任をきっちり果たして大会を盛り上げました。ワルシャワカップは3年ぶり2回目の優勝です。

2位にはスイスのサリナジョーズ選手が入りました。今季はジュニアグランプリ2戦に出て7位と12位という選手です。180.31はパーソナルベスト。当然チャレンジャーシリーズ初表彰台となります。世界ジュニアに出てきて上位を狙う1人になって来るかと思います。

3位にはフィンランドのヤナユルキネン選手。今シーズンからシニアに上がって、チャレンジャーシリーズ3試合目で初表彰台となりました。

 

○エカテリーナクラコワ選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3Lz+2A+SEQ   9.20   0.94 10.14 1.571
2 3Lz   5.90   1.06 6.96 1.571
3 3T   4.20   0.34 4.54 0.714
4 3Lo   4.90   0.78 5.68 1.571
5 FCCoSp4   3.50   0.56 4.06 1.571
6 3Lo+2T   6.82 x 0.20 7.02 0.571
7 3S+2T   6.16 x -0.09 6.07 -0.143
8 2A   3.63 x 0.20 3.83 0.571
9 ChSq1   3.00   0.80 3.80 1.714
10 CCoSp4   3.50   0.35 3.85 1.143
11 StSq4   3.90   0.86 4.76 2.143
12 LSp4   2.70   0.49 3.19 1.857
  TES   57.41   6.49 63.90  

クラコワ選手は今シーズンジャパンオープンを含めて5戦目。フリーは冒頭3連続が定番だったのですが、この試合では構成を変えています。3連続どこで入れるつもりだったのだろう? セカンド3Tが苦手なのがクラコワ選手の泣き所ですが、今大会ではショートでチャレンジしてなんとかqで基礎点満額もらってGOEもわずかなマイナスで留めています。

2回飛ぶジャンプはルッツとループ。これまで3連続の3つ目に入れていたフリップが今回はいませんでした。フリップ、元々あまり得意ではなく、3連続でも決まっていなかったのですが、これからどういう構成にしていこうとしているのでしょう?

今期のヨーロッパシニア勢ではシーズンベスト3番目。ヨーロッパ選手権の表彰台が狙える位置にいます。セカンド3Tやフリップの確度が上がってくると世界選手権でも上位が狙えそうではあるので、そのあたりの向上を期待したいです。

 

チャレンジャーシリーズは残り1戦。最終戦はグランプリファイナルの裏でクロアチアにて開催、伝統のゴールデンスピンです。

女子ではカナダのシザース選手、エストニアのキーバス選手、ポーランドのクラコワ選手、アメリカのレビト選手にテネル選手などがエントリー。レビト選手はどう考えてもグランプリファイナルに出るのでここに出てくるとは思えませんがエントリーはまだ消えていないという状態です。

男子はイタリアのグラスル選手にリッツォ選手、アメリカのマリニン選手にプルキネン選手などエントリーしてますが、ここ二もファイナル組がいますので直前でエントリーから外れると思われます。

 

 

グランプリファイナルトリノ 最終戦直前進出条件まとめ(女子シングル)

男子シングルに続いて女子のファイナル進出条件をまとめます

 

女子シングル

通過確定選手:坂本花織、キムイェリム、イサボーレビト 3人

残りの3枠を、すでに試合を終えた3人と、最終戦に出場する中から5選手が争う形です。机上の空論レベルのものもありますが、以下、一人づつファイナル進出条件を記していきます。

 

三原舞依:初戦優勝

1 4位以内でファイナル確定

2 5位の場合 以下のうち2つ以上を満たせばファイナル進出

・ヘンドリックス選手が6位以下であること

・グバノワ選手が3位以下であること

紀平梨花選手が優勝しないか、優勝しても点差が33.09以下であること

・自分のスコアが168.24以上であること

3 6位の場合 以下のすべてを満たせばファイナル進出

・ヘンドリックス選手が7位以下であること

・グバノワ選手が4位以下であること

紀平梨花選手が優勝しないこと

・河辺愛菜選手が優勝しないか、優勝しても点差が34.92以下であること

4 7位以下の場合ファイナル進出は出来ません

 

三原選手は圧倒的に優位な状態です。4位で十分。5位でも実質的には紀平梨花選手が優勝しなければOKです。6位でも可能性はありますがさすがにこれは厳しいでしょう。

 

○ルナヘンドリックス:初戦優勝

1 4位以内でファイナル確定

2 5位の場合 以下のうち2つ以上を満たせばファイナル進出

三原舞依選手が6位以下であること

・グバノワ選手が3位以下であること

紀平梨花選手が優勝しないか、優勝しても点差が32.00以下であること

・自分のスコアが169.33以上であること

3 6位の場合 以下のすべてを満たせばファイナル進出

三原舞依選手が7位以下であること

・グバノワ選手が4位以下であること

紀平梨花選手が優勝しないこと

・河辺愛菜選手が優勝しないか、優勝しても点差が33.83以下であること

4 7位以下の場合ファイナル進出は出来ません

 

ヘンドリックス選手も三原舞依選手とほぼ同様です。初戦のスコアがわずかに違うので、その分点数条件が多少厳しいですが誤差みたいなものです。

 

○アナスタシアグバノワ:初戦193.11の3位

1 2位以内でファイナル確定

2 3位の場合 以下のうち3つ以上が満たされればファイナル進出

三原舞依選手が6位以下であること

・ヘンドリックス選手が6位以下であること

紀平梨花選手が優勝しないこと

・自分のスコアが194.36以上であること

3 4位の場合 以下のすべて条件が満たされればファイナル進出

三原舞依選手が7位以下であること

・ヘンドリックス選手が7位以下であること

紀平梨花選手が3位以下であること

・河辺愛菜選手が優勝しないこと

・自分のスコアが188.41以上であること

4 5位以下の場合はファイナル進出できません

 

グバノワ選手がいろいろとカギを握る立ち位置にいるように見えます。3位や4位でも可能性は残りますが実質的には2位以内が必要でしょう。三原選手、ヘンドリックス選手、どちらかに勝てるか?

 

紀平梨花:初戦184.33の5位

1 優勝した場合 以下のうち2つ以上が満たされればファイナル進出

三原舞依選手が6位以下であること

・ヘンドリックス選手が6位以下であること

・グバノワ選手が3位以下であること

・自分のスコアが201.34以上であること

2 2位の場合 以下のすべてが満たされればファイナル進出

三原舞依選手が7位以下であること

・ヘンドリックス選手が7位以下であること

・グバノワ選手が4位以下であること

・河辺愛菜選手が優勝しないこと

3 3位以下の場合ファイナル進出できません

 

紀平梨花選手は2位でも理論上可能性はあるのですが、実質的にはあり得ないでしょう。優勝が必須。ただし、本調子の紀平梨花選手なら普通に優勝はあるわけで、どこまで調子が上がっているか。今回は上二人が強いので、ほどほどの調子までだと届きませんがスケートカナダから一か月、どうなっているでしょうか? 本調子で勝てた場合には、ここでもグバノワ選手が鍵になります。

 

○河辺愛菜:初戦182.50の6位

1 優勝した場合 以下のすべてが満たされればファイナル進出

三原舞依選手が7位以下か6位で点差が34.94以上つくこと

・ヘンドリックス選手が7位以下か6位で点差が33.85以上つくこと

・グバノワ選手が4位以下であること

2 2位以下の場合ファイナル進出できません

 

河辺愛菜選手にも理論上ファイナル進出の可能性が残ります。ショートフリーでトリプルアクセル込みのノーミスを演じてくれば優勝出来るだけの力はあります。ただ、他力要素が強すぎるのでほぼ机上の空論レベルになってしまうのですが、コロナ欠場×2とかあればありえるかもしれません。

 

○渡辺倫果:初戦優勝 2戦目5位 合計スコア385.66

以下のうち2つ以上が満たされればファイナル進出

三原舞依選手が6位以下か5位で168.22以下であること

・ヘンドリックス選手が6位以下か5位で169.31以下であること

・グバノワ選手が3位以下であること

紀平梨花選手が2位以下か優勝しても201.32以下であること

 

鍵になるのはグバノワ選手。三原、ヘンドリックス両選手がしっかりグバノワ選手に勝つのを祈る立場です。紀平選手が優勝したら素直にあきらめるしかないでしょう。

 

○住吉りをん:初戦3位 2戦目3位 合計スコア387.46

以下のうち3つ以上が満たされればファイナル進出

三原舞依選手が6位以下であること

・ヘンドリックス選手が6位以下であること

・グバノワ選手が4位以下か3位で194.34以下であること

紀平梨花選手が優勝しないこと

 

住吉選手は実質的にはかなり苦しいです。三原選手かヘンドリックス選手、どちらかが6位以下が必要という、現実的にはなかなか・・・。コロナ欠場くらいしか芽がなさそうに見えますが、その二人までなら補欠1番手に残るので、今度こそコロナ欠場代役が回って来る可能性も結構あったりします。

 

○ユヨン:初戦3位 2戦目4位 合計スコア381.51

以下の条件すべてが満たされればファイナル進出

三原舞依選手が7位以下であること

・ヘンドリックス選手が7位以下であること

・グバノワ選手が5位以下か4位で188.39以下であること

紀平梨花選手が3位以下であること

・河辺愛菜選手が優勝しないこと

 

ちょっとこれは天文学的な分母を持った確率でしか生じない事象に見えます。一応、優勝テネル、2位河辺愛菜、3位紀平梨花、4位ソーングレン、5位グバノワ、6位シザース、7位三原舞依、8位ヘンドリックスとか、ありえ・・・、ないなやっぱり。まあ、欠場者とか出ればそんなことも起こりえなくもないということにしておきます。

 

ということで8人で3枠を争うわけですが、机上の空論レベルが結構混ざっています。

確率的には三原選手95% ヘンドリックス選手95% 渡辺選手75% グバノワ選手25% 紀平選手5% 住吉選手5% 河辺選手とユヨン選手は0.1% くらいに感じます。

 

NHK杯以前ではファイナル進出条件はぐちゃぐちゃすぎて訳が分からないところが多かったですが、流石に残り1戦になり何とかまとめられるくらいにはなりました。

こんなごちゃごちゃと点計算しながら見るのが楽しいか、細かいこと忘れて鑑賞するのが楽しいか、人それぞれだとは思いますが、今年こそのファイナル開催を祈りつつ、最終戦を楽しめればと思います

 

 

 

グランプリファイナルトリノ 最終戦直前進出条件まとめ(男子シングル)

NHK杯の最後のところでファイナル進出条件をサラッと書いてはあるのですが、実際には結構複雑な部分もあるので、別に取り出してまとめて記してみることにしました。

 

男子シングル

通過確定選手:宇野昌磨、三浦佳生、山本草太、ダニエルグラスル

グラスル選手がポイント4番手で、これを超える可能性がある選手は3人いるのですが、佐藤駿選手、キーガンメッシング選手の二人は優勝しないとグラスル選手を超えられず、二人同時に優勝することはありえないのでグラスル選手までファイナル確定です。

残りは2枠、すでに試合が終わっている2人と、第6戦に出る中では理論上5人に可能性があります。以下、一人一人条件を記していきます。

 

○イリアマリニン:初戦優勝

1 4位以内でファイナル確定

2 5位の場合 以下の条件のうち4つ以上を満たせばファイナル確定

・佐藤駿選手が3位以下であること

キーガンメッシング選手が優勝しないこと

・壷井達也選手が2位以下か優勝してもマリニン選手との点差が54.23以内であること

・カムデンプルキネン選手が2位以下か優勝してもマリニン選手との点差が61.30以内であること

・自分のスコアが239.07以上であること

3 6位以下の場合はファイナル進出できません

 

圧倒的に優位なのがマリニン選手です。ただ、たまに大崩れすることがあるのと、クビテラシビリ選手やエイモズ選手がいい演技をしてくると、4位のラインが260点台に上がってくることが可能性としてあります。その場合、5位まで落ちると佐藤駿選手やメッシング選手の出来次第で選外になる、という可能性も残ります。

 

○佐藤駿:初戦 249.03の3位

1 優勝でファイナル確定

2 2位の場合 以下のいずれか1つが満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が5位以下であること

キーガンメッシング選手が優勝しないこと

3 3位の場合 以下のすべての条件が満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が6位以下であること

キーガンメッシング選手が4位以下であること

・壷井達也選手が優勝しないこと

・カムデンプルキネン選手が優勝しないこと

・自分のスコアが269.79以上であること

4 4位以下の場合はファイナル進出できません

 

佐藤駿選手は理論上3位でも可能性が残りますが、実質的には2位以内が求められます。2位の場合はメッシング選手が上にいないことというのが事実上の条件です。

 

キーガンメッシング:初戦250.72の4位

1 優勝でファイナル確定

2 2位の場合 以下のすべての条件が満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が6位以下であること

・佐藤駿選手が優勝しないこと

・壷井達也選手が優勝しないこと

・カムデンプルキネン選手が優勝しないこと

3 3位以下の場合はファイナル進出できません

 

メッシング選手は今シーズンで引退と聞いています。最後にファイナルに出る姿も見たいのですが、求められる条件は実質的には優勝です。実はグランプリシリーズの優勝経験というのもないので、それも見てみたいです。

 

○壷井達也:初戦226.13の5位

1 優勝した場合 以下のうち2つ以上満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が6位以下か5位で54.25以上の点差がつくこと

・佐藤駿選手が4位以下であること

・自分のスコアが293.31以上であること

2 2位以下の場合はファイナル進出できません

 

優勝がほぼ必須でしかもマリニン選手との大差か自分がスーパースコアを出すことが最低条件なので、理論上の世界かと思われます。

 

○カムデンプルキネン:初戦219.06の5位

1 優勝した場合 以下のうち2つ以上満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が6位以下か5位で61.32以上の点差がつくこと

・佐藤駿選手が4位以下であること

・自分のスコアが300.38以上であること

2 2位以下の場合はファイナル進出できません

 

初戦のスコアの関係で壷井達也選手よりさらに厳しい条件です。これも机上の空論でしょう。

 

○アダムシャオイムファ:初戦優勝、2戦目5位 合計スコア519.43

以下のうち4つ以上が満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が6位以下か5位で238.43以下であること

・佐藤駿選手が3位以下であること

キーガンメッシング選手が優勝しないこと

・壷井達也選手が2位以下か優勝しても293.29以下であること

・カムデンプルキネン選手が2位以下か優勝しても300.36以下であること

 

すでに試合を終えたアダムシャオイムファ選手は待つ立場です。下2つの条件はほぼ机上の空論ですので上3つのうち2つをどう満たすか。佐藤駿選手が鍵に見えます。ケビンエイモズ選手やクビテラシビリ選手に頑張ってほしい、というのがアダムシャオイムファ選手の立ち位置です。

 

○チャジュンファン:初戦3位 2戦目3位 合計スコア518.81

以下のすべての条件が満たされればファイナル進出

・イリアマリニン選手が6位以下であること

・佐藤駿選手が4位以下か3位で269.77以下であること

キーガンメッシング選手が3位以下であること

・壷井達也選手が優勝しないこと

・カムデンプルキネン選手が優勝しないこと

 

絶対にない、とは言えませんが、なかなか満たしにくい条件です。優勝クビテラシビリ、2位エイモズ、3位メッシング、4位佐藤駿、5位壷井達也、6位マリニン  みたいなことが生じる必要があります。マリニン選手が大崩れした場合にはまったくありえなくはないのかな?

 

というわけで全体で7人に可能性が残りますが、机上の空論レベルが3人いて、ほぼ当確が1人いて、あとの3人で1枠を争うような形です。確率的にはマリニン選手95% アダムシャオイムファ選手で50% 佐藤駿選手が40%、キーガンメッシング選手10%、チャジュンファン選手5%に壷井達也選手とプルキネン選手は0.1%くらいに感じます。

 

男子だけで意外と長くなったので、女子は女子で別エントリーにまとめます。

NHK杯 3カテゴリー制覇はならず

グランプリシリーズ5戦目はNHK杯でした。日本開催、日本のトップ選手が集まっているのでここでも3カテゴリー制覇となるかと思いましたが、今回は2カテゴリーまで。これまででしたら2カテゴリー制覇は普通に男女シングルね、という感じですが、時代は変わりまして、まさかの女子シングルが取れずの男子シングルとペアという2カテゴリーの制覇となりました。また、ファイナル進出券の争奪戦も佳境に入ってきています。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Shoma UNO JPN 279.76 91.66 188.10
2 Sota YAMAMOTO JPN 257.85 96.49 161.36
3 Junhwan CHA KOR 254.76 80.35 174.41
4 Kazuki TOMONO JPN 251.83 85.07 166.76
5 Adam SIAO HIM FA FRA 250.45 87.44 163.01
6 Matteo RIZZO ITA 240.76 78.57 162.19
7 Nika EGADZE GEO 232.86 84.47 148.39
8 Stephen GOGOLEV CAN 221.02 69.01 152.01
9 Gabriele FRANGIPANI ITA 212.31 68.78 143.53
10 Conrad ORZEL CAN 202.69 73.10 129.59
11 Maurizio ZANDRON AUT 201.72 68.21 133.51
12 Tomoki HIWATASHI USA 185.05 57.18 127.87

男子シングル、最終的には順当に宇野昌磨選手が優勝しました。スケートカナダからスコアは伸ばしてきています。グランプリ通算8勝目。これで日本人男子の最多優勝回数に並びました。2戦2勝でファイナル進出決定です。グランプリファイナルはこれで5回目の出場になります。

2位にはショート首位の山本草太選手が残りました。中盤以降、これは危ないか? とひやひやしましたが何とか踏みとどまって2戦連続2位で初のファイナル進出です。フランス杯では257.90 2戦してその差が0.05というのもなかなかないです。

3位にチャジュンファン選手が入ってきました。これでグランプリシリーズ5回目の3位。3位が多いチャジュンファン選手。今シーズンは3位が2つで理論上ファイナルの可能性が残ってはいますが、順当にいけば補欠の1番手ないしは2番手になる見込みです。フリーはいい演技を見せていて世界選手権でメダルを狙ってくるくらいの位置には今シーズン入ってきそうです。

友野選手は4位。これが3位に残っていれば16年ぶりのNHK杯日本勢表彰台独占でした。3位が2つなら代打の神様の法則が発動しそうだったのですが、2戦して3位4位だと補欠もなしの見込みでファイナル出場は来年以降に持ち越しとなりました。

フランス杯優勝のアダムシャオイムファ選手は5位でした。悪く無い演技ではあったのですがフランス杯のような強さは感じられず。4位に入ればファイナルほぼ確定だったのですが5位だと最終戦次第。主に佐藤駿選手の結果待ちになります。

もう一人ファイナルの可能性があったマッテオリッツォ選手はフリーで盛り返しましたが6位に終わりました。残念ながら地元イタリアでのファイナル進出は果たせませんでした。

 

宇野昌磨選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lo   10.50   3.45 13.95 3.111
2 4S   9.70   2.08 11.78 2.000
3 2F   1.80   0.00 1.80 0.111
4 3A+2A+SEQ   11.30   2.06 13.36 2.556
5 ChSq1   3.00   1.86 4.86 3.556
6 FCSp4   3.20   0.87 4.07 2.778
7 4T   10.45 X 1.49 11.94 1.556
8 4T+2T   11.88 X 1.22 13.10 1.222
9 3A   8.80 X 2.17 10.97 2.556
10 StSq3   3.30   1.23 4.53 3.778
11 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 2.889
12 CSSp3   2.60   0.78 3.38 3.000
  TES   80.03   18.26 98.29  

宇野選手は4回転5本構成です。フリップは決まらず。トリプルアクセル2本も決め、大きなミスはフリップくらいに一見見えるのですが、3連続が入っていなかったりセカンド3回転が無かったりと基礎点が予定より大きく削られています。ただ、転倒はなくGOEマイナスがなかったことで加点は大きく膨らみました。

セカンド3回転がなかなか付けられないという課題は今も残ったままのようです。3連続ジャンプは最後のトリプルアクセルに付けられたと思うのですが、なぜつけなかったのでしょう? 今シーズン3試合、3連続がどれも入っておらず、セカンド3回転だけでなく、3連続も課題になってきています。

冒頭の4回転ループは平均GOE+3.111の美しいジャンプでした。今シーズンの4回転ループとして全選手の中で今のところこれが最高評価です。

ファイナルでマリニン選手らを打ち破って初のファイナル戴冠するにはセカンド3回転と3連続が鍵になってきそうに見えます。

 

○山本草太選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S   9.70   2.63 12.33 2.556
2 4T+3T   13.70   1.36 15.06 1.444
3 4T   9.50   1.36 10.86 1.444
4 3Aq q F 8.00   -4.00 4.00 -5.000
5 FCSp4   3.20   0.73 3.93 2.222
6 StSq3   3.30   0.80 4.10 2.333
7 3A+REP F 6.16 X -4.00 2.16 -5.000
8 3F+3T* * 5.83 X -1.29 4.54 -2.556
9 3Lz!+1Eu+3S ! 11.77 X -0.17 11.60 -0.333
10 ChSq1   3.00   1.00 4.00 2.000
11 CSSp4   3.00   0.94 3.94 3.000
12 CCoSp4   3.50   1.05 4.55 3.000
  TES   80.66   0.41 81.07  

本草太選手は4回転3本構成。その3本は成功させたのですが中盤以降崩れました。トリプルアクセルで2転倒、リピートになっているのも痛いです。そのあとでコンビネーション入れてトリプルトーループが3つ目の繰り返しジャンプになってキックアウト。試合終わった後に日本人3選手でジャンプ数えてる姿は微笑ましかったですが、飛んだ瞬間は、これでファイナル吹き飛んだかと思いました。何とか最後にリカバリー3連続を決めてファイナルを確保しています。おそらくトリプルアクセルがリピートになったことで、コンビネーションをもう1回使ってリカバリーしなきゃというところが、2回飛ぶジャンプもう1回使えるという勘違いが生じてしまったのではないかと思われます。予定では3F+2Aでしたからその場の勢いで3回転にとかではなく、意図的にダブルアクセルに行かずにトーループにしてしまっています。フランス杯はトリプルアクセルが抜けて1回転半になり、次のところで2Aを3Tに変えて成功してましたから、同じことをしようとした勘違い。成功体験があだとなったように見えます。

基礎点80.66は結果的に宇野選手は上回っています。出来栄え差で点差がだいぶつきました。ただ、トリプルアクセルしっかり降りて、3Tザヤックミスをなくしてちゃんと2Aにしていたら優勝まであり得ました。4回転3本降りた時にはそれが見えたのですが、トリプルアクセルが残念。あと一歩でした。

シーズンベスト順位は今のところ7位。ファイナルで表彰台を目指すにはノーミスに近いところで勝負する必要があります。

 

友野一希選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T+3T   13.70   2.04 15.74 2.111
2 2S   1.30   0.04 1.34 0.333
3 4T F 9.50   -4.75 4.75 -5.000
4 3Lo   4.90   1.26 6.16 2.556
5 CSSp4   3.00   0.56 3.56 1.889
6 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.667
7 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.889
8 3A+1Eu+3S   14.08 X 1.60 15.68 2.000
9 3F+2T   7.26 X 0.91 8.17 1.556
10 3A   8.80 X 1.37 10.17 1.667
11 ChSq1   3.00   1.71 4.71 3.333
12 CCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.889
  TES   76.14   7.40 83.54  

友野選手も4回転3本構成です。サルコウは抜けて2回転になり、トーループは2本目が転倒でした。トリプルアクセル2本は成功。3連続、セカンド3回転はついて基礎点76.14 もう少し出せますが大崩れはしなかったという形です。結果的には4回転サルコウを決めていれば2位でファイナル可能性が出ていたわけですから、今回もまたあと一歩で惜しいところを逃しています。昨年から、あと一歩というのが多いです。

スピンステップはすべてレベル4を確保。以前はスピンのレベルが全然取れないことが多かったですが、その辺のレベルの取りこぼしは減っています。

9番目の要素の3F+2Tが新ルール的にはもったいなく、これを3F+2Aにすれば基礎点が2.20上がります。同じ4回転3本でもシークエンス2Aが標準装備をした山本草太選手と比べてその分さが出ます。世界選手権の代表を争う全日本選手権ではその辺が効いてくる可能性もあります。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Shoma UNO 279.76 134.18 93.73 13.62 24.38 14.85
2 Sota YAMAMOTO 257.85 123.32 96.86 2.37 24.82 12.48
3 Junhwan CHA 254.76 125.49 92.95 -2.13 24.71 14.74
4 Kazuki TOMONO 251.83 126.27 89.80 0.45 23.06 14.25
5 Adam SIAO HIM FA 250.45 124.24 87.93 0.92 23.46 13.90
6 Matteo RIZZO 240.76 121.61 81.80 0.80 23.47 13.08
7 Nika EGADZE 232.86 110.94 97.72 -5.34 20.50 10.04
8 Stephen GOGOLEV 221.02 108.27 75.65 3.69 22.41 11.00
9 Gabriele FRANGIPANI 212.31 108.45 80.42 -5.59 19.64 10.39
10 Conrad ORZEL 202.69 102.80 82.31 -12.06 20.13 9.51
11 Maurizio ZANDRON 201.72 101.05 79.53 -6.49 17.56 10.07
12 Tomoki HIWATASHI 185.05 102.96 61.52 -8.13 18.99 10.71

PCSは宇野選手一人だけ抜けていました。ただ1項目平均9.00にはわずかに届かず、本人比では特別よかったわけではありません。その下は125点前後で固まっています。

ジャンプの基礎点はトータルスコアが7位になったニカエガゼ選手がトップです。山本選手は2番目。素直にセカンドジャンプを2Aにしておけばジャンプ基礎点100点に乗ったのですが、飛びすぎ零点でこのスコアになりました。

ジャンプの加点はさすがの宇野選手が一人だけ二桁もらっています。ここの差がやはり大きい。フリー頑張ったゴゴレフ選手が2番目、山本草太選手は3番目です。マイナスになる選手がどうしても大きい項目です。

スピンは山本草太選手がトップでした。ファイナル出場決定者の中では今シーズントップになります。チャジュンファン選手、宇野選手までが24点台入りました。

ステップ系要素は宇野選手がトップでチャジュンファン選手、友野一希選手まで14点台でした。山本選手はショートもフリーもステップレベル3でここの要素は伸びませんでした。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Yelim KIM KOR 204.49 72.22 132.27
2 Kaori SAKAMOTO JPN 201.87 68.07 133.80
3 Rion SUMIYOSHI JPN 193.12 68.01 125.11
4 Audrey SHIN USA 189.00 65.87 123.13
5 Rinka WATANABE JPN 188.07 58.36 129.71
6 Seoyeon JI KOR 184.14 62.92 121.22
7 Niina PETROKINA EST 180.29 58.81 121.48
8 Seoyeong WI KOR 176.74 61.06 115.68
9 Starr ANDREWS USA 174.06 64.13 109.93
10 Olga MIKUTINA AUT 173.36 56.95 116.41
11 Amber GLENN USA 169.36 52.04 117.32
12 Eva-Lotta KIIBUS EST 162.37 48.56 113.81

女子シングルは韓国のキムイェリム選手がグランプリシリーズ初優勝となりました。韓国勢のグランプリシリーズ優勝は2009年のキムユナさん以来です。キムユナさんは14年のソチオリンピックまで現役でしたが、グランプリシリーズには2010年以降出場しませんでした。層の厚い韓国勢ですが優勝は久しぶりとなります。キムイェリム選手はこれでファイナル進出確定です。今シーズンは全6戦で20代選手の優勝となるかと思いましたが、19歳のキムイェリム選手が優勝したことでそれはなくなりました。

坂本花織選手は2位。これまで日本女子はグランプリシリーズ6戦のうち3勝したシーズンはなんどかあるのですが4勝したことはありません。ここでそれを達成するかと思われたのですが、世界チャンピオンのまさかの敗北。随所に強さは見せてはいたものの、全体的には精彩を欠いた演技だったかと思います。全日本でこの出来だと、年明けてからがユニバーシアードで終わってしまう可能性もあるのですが、流石に12月には合わせてくるでしょうか。

住吉りをん選手が2戦連続3位表彰台を確保しました。素晴らしいと見るか惜しかったと見るか。上位がこの出来だったのでノーミスなら優勝までありました。3位2つだとファイナルにはおそらく届かないです。ただ、補欠1番手に残る可能性はかなりあり、アジア選手のファイナル進出者が多いので、現代の事情によりコロナ欠場代役が回ってくる可能性はそれなりにあるかと思います。

4位にオードリーシン選手。アメリカ勢では今シーズンレビト選手が少し抜けていますがその下は混戦です。190点近い点数まで出してきましたので全米選手権表彰台からの世界選手権チャンスもあるかと思います。

渡辺倫果選手はフリーで盛り返して5位に残りました。ファイナルはぎりぎり。渡辺選手的には抜けてる選手が2人くらいいて後はほどほど、みたいな試合が望ましかったのですが、ショートで中位に固まって混戦になるのは最悪の展開。それを何とかフリーで抜け出して5位まで持ってきました。日本女子は1位5位のファイナルに縁があって、2009年鈴木明子さん、2014年本郷理華さん(補欠繰上り、2017年宮原知子さん(補欠繰上り)と3例もあります。最終戦の特にグバノワ選手次第ですが高確率でファイナルに進めるところに何とか残りました。

 

○坂本花織選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   1.41 4.71 4.333
2 3Lz! ! 5.90   0.25 6.15 0.444
3 3S   4.30   0.92 5.22 2.111
4 CCoSp4   3.50   0.70 4.20 2.222
5 3F+2T   6.60   1.29 7.89 2.444
6 StSq3   3.30   1.13 4.43 3.556
7 3Fq+3Tq q 10.45 X -2.35 8.10 -4.222
8 FSSp4   3.00   0.51 3.51 1.778
9 2A+3T+2T   9.68 X 1.20 10.88 2.889
10 ChSq1   3.00   1.36 4.36 2.667
11 1Lo   0.55 X -0.04 0.51 -0.778
12 FCCoSp4   3.50   1.00 4.50 2.778
  TES   57.08   7.38 64.46  

坂本選手のフリーはいつもの構成ですが後半崩れました。3-3のコンビネーションはしかたないとして、最後のループが抜けたのが致命傷でNHK杯3連覇を逃した形です。ループは元来得意な要素なはずでしたが今回はすっぽ抜けました。

冒頭のダブルアクセルはさすがで、平均GOE+4.333はスケートアメリカに続いて今シーズン全体のダブルアクセル最高評価です。今シーズン坂本選手はジャパンオープン含めて5回、平均GOEで+4.000以上のダブルアクセルを飛んでいますが、他に+4.000以上のダブルアクセルを飛んだ選手はいません。

とはいえ、ジャンプの抜け1つと-4を下回るコンビネーション1つあると、さすがにスコアは伸びてきませんでした。

 

○住吉りをん選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4T<< <<  F 4.20   -2.10 2.10 -5.000
2 3Lo   4.90   0.91 5.81 1.889
3 FCCoSp3   3.00   0.64 3.64 2.111
4 3F+3T   9.50   1.29 10.79 2.444
5 3Lz   5.90   0.84 6.74 1.333
6 StSq4   3.90   1.11 5.01 2.778
7 2A+3T   8.25 X 1.26 9.51 3.000
8 3F+2T+2Lo   9.13 X -1.06 8.07 -2.000
9 3S<< <<  F 1.43 X -0.65 0.78 -5.000
10 LSp4   2.70   0.96 3.66 3.556
11 ChSq1   3.00   1.14 4.14 2.222
12 CCoSp3   3.00   0.81 3.81 2.667
  TES   58.91   5.15 64.06  

住吉選手、冒頭4回転トーループに挑みましたがダウングレードの転倒になりました。単純計算でこれを決めていれば2位。また、決めないまでも回転足りての転倒で、最後のサルコウを平均GOE+2.68以上で決めていればやはり2位でした。2位に入っていれば高確率でファイナル進出だったわけで、非常に惜しかったとも言えます。

フランス杯に続いて190点台前半をマーク。200点が見えているのですがなかなか届きません。今回基礎点は58.91 フランス杯のフリーの67.67からだいぶ落としました。ノーミス基礎点は68.51 4回転含めてノーミスなら技術点80点超えが見えていて、トータル145点、総合で210点台まではあります。一度も決めたことのない4回転を全日本で決められる、と考えるのは虫が良すぎるかもしれませんが、それをトリプルアクセルでやってのけたのが渡辺倫果選手なわけで。同じように4回転で住吉選手がそれをやり遂げると、一気に世界選手権代表もありえます。

 

○渡辺倫果選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3A   8.00   -0.46 7.54 -0.556
2 3Lo   4.90   1.12 6.02 2.444
3 3Lo+3T   9.10   1.19 10.29 2.444
4 3F!< ! 4.24   -2.06 2.18 -4.778
5 FCSp4   3.20   0.82 4.02 2.556
6 ChSq1   3.00   0.93 3.93 1.889
7 3Lz+2A+SEQ   10.12 X 1.43 11.55 2.444
8 2A+1Eu+3S   8.91 X 1.17 10.08 2.667
9 CCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.889
10 1Lz   0.66 X -0.23 0.43 -3.778
11 StSq3   3.30   0.66 3.96 2.111
12 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.556
  TES   61.93   5.99 67.92  

フリーはトリプルアクセルを下りました。7.54取れれば十分です。フリップはもともと苦手で下手するとトリプルアクセルより成功率低いという課題ジャンプなのである種想定の範囲内です。最後のルッツも課題で213点出したロンバルディア杯でもこのジャンプは決められずにいました。最近の課題がそのまま出たのがこのフリーだったように見えます。最後のルッツ抜けでファイナルを失いかねないところでしたが何とか生き残りました。ただ、決めていれば今回で確定まで行けたわけですからやはり残念ではあります。

フリーはまだなんとかある程度の結果を出せているのですが問題はショート。ジャンプ3本が揃わないのはまだしも2本も決まってこない試合が結構あります。東京選手権ではショート54.69 最悪、全日本でショート落ちまでありえるスコアです。シーズンベストは国内で68.31まではあります。ただグランプリファイナルで勝負しようとしたら70点台が欲しいところ。トリプルアクセル持ちなのでショートから決めてきめてフリーもそろえると、この間まで無名だった選手がいきなりファイナル制覇もあります。一方で、ショート次第では一人だけ蚊帳の外もある。読めない選手ですが、そこが今の渡辺選手の一つの魅力かもしれません。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Yelim KIM 204.49 99.48 65.06 4.88 23.49 12.58
2 Kaori SAKAMOTO 201.87 103.02 59.51 1.31 24.06 13.97
3 Rion SUMIYOSHI 193.12 93.17 62.60 1.96 23.23 14.16
4 Audrey SHIN 189.00 92.81 56.92 2.47 22.93 13.87
5 Rinka WATANABE 188.07 91.38 62.43 -0.03 22.44 12.85
6 Seoyeon JI 184.14 82.56 65.70 6.35 19.80 9.73
7 Niina PETROKINA 180.29 88.35 57.98 0.08 22.12 12.76
8 Seoyeong WI 176.74 84.71 64.58 -2.97 21.01 10.41
9 Starr ANDREWS 174.06 88.87 52.66 -2.34 23.22 12.65
10 Olga MIKUTINA 173.36 85.61 55.91 -2.81 22.98 12.67
11 Amber GLENN 169.36 89.07 56.31 -8.23 21.32 11.89
12 Eva-Lotta KIIBUS 162.37 82.38 53.88 -0.91 16.05 10.97

PCSはさすがの坂本選手がトップ。ただ103.02は本人比では平凡です。各選手、今大会はあまりPCSが伸びていませんでした。

ジャンプの基礎点は6位に入ったチソヨン選手がトップ。ジャンプの加点もトップで今大会は良くジャンプを決めていました。キムイェリム選手がどちらも2番目。韓国勢の安定したジャンプが今大会は決まっていました。ジャンプの基礎点3番目も韓国のウィソヨン選手でしたが、こちらはGOEはマイナスでした。渡辺倫果選手はショートフリーでトリプルアクセルを入れながら基礎点は5位。ジャンプの抜けで高難度ジャンプを生かしきれませんでした。坂本選手は加点が今回はあまり得られず優勝を逃したかたちです。

スピンは坂本選手がトップ。キムイェリム選手、住吉選手と表彰台勢が続きます。ジャンプでトップのチソヨン選手がスピンは11位でステップが12位。ジャンプ以外のスコアを稼げるようになると、韓国代表の座が近づいてきます。

ステップのトップは住吉選手で14.16 国際大会で2試合続けて14点台を出し、ステップで高い評価を得ています。

 

次週はフィンランドで最終戦です。女子では4位以内でファイナル確定の三原舞依選手、ルナヘンドリックス選手、2位以内でファイナルに進めるグバノワ選手に、201.34以上のスコアで優勝してグバノワ選手が3位以下なら大逆転ファイナルという可能性が残る紀平梨花選手が出場。日本からはもう一人、河辺愛菜選手もエントリーです。なお、上記の4つのうち成立するのが2つまでの時に渡辺倫果選手がファイナル進出ですので、三原、ヘンドリックス、両選手に頑張って上位2位まで占めてもらいたいというのが渡辺選手の立ち位置になります。興業的にも一人トリプルアクセルジャンパーに入っていてもらいたいところかもしれません。紀平選手はファイナルとは別に全日本に向けてどの程度調整が進んでいるのかとう観点でも非常に注目が集まるところです。

男子は4位以内でファイナルのマリニン選手、5位でも他の選手次第で可能性はあります。佐藤駿選手は2位以内必須でかつメッシング選手が優勝しなければファイナル、優勝してもマリニン選手が5位以下ならファイナル、キーガンメッシング選手は優勝でファイナルの他に、壷井達也選手、プルキネン選手も優勝ならスコア次第で大逆転ファイナルも理論上あります。NHK杯で2戦終わったアダムシャオイムファ選手は上記のうち2例以上満たされるとファイナルに進めないので、佐藤駿選手の結果が鍵となります。

他に、日本からは本田ルーカス剛史選手がエントリー。海外勢では初戦大崩れしたクビテラシビリ選手や、初戦は棄権したケビンエイモズ選手といった有力選手もエントリーしています。

 

MKジョンウィルソン杯 悲願の初優勝

グランプリシリーズ4戦目は初のイングランド上陸、イギリスのシェフィールドで行われました。イギリスどうなの? と思いましたが予想外の盛り上がりっぷり。いい大会になったと思います。

 

○女子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Mai MIHARA JPN 217.43 72.23 145.20
2 Isabeau LEVITO USA 215.74 72.06 143.68
3 Anastasiia GUBANOVA GEO 193.11 66.82 126.29
4 Young YOU KOR 191.36 61.21 130.15
5 Ekaterina KURAKOVA POL 190.44 63.46 126.98
6 Nicole SCHOTT GER 181.41 60.38 121.03
7 Gabriella IZZO USA 174.10 62.92 111.18
8 Gabrielle DALEMAN CAN 163.77 58.95 104.82
9 Alexia PAGANINI SUI 156.89 54.63 102.26
10 Julia SAUTER ROU 156.46 52.38 104.08
11 Natasha McKAY GBR 155.20 57.62 97.58
12 Bradie TENNELL USA 153.19 56.50 96.69

ついに三原舞依選手がグランプリシリーズ初優勝。ISU公認のグランプリシリーズで8戦中6回4位というなかなかない記録の持ち主ですが、ついに、ついに、優勝しました。4大陸2勝してるので、大きな大会に縁がないわけではないのですが、グランプリシリーズに勝つのは大変でした。

2位にはイザボーレビト選手。200点一桁を続けていましたが、今回一つ突き抜けて210点台半ばまで来たのですが優勝にはわずかに届かず。冒頭でルッツループという難度の高いコンビネーションを入れたのですが、そのあとに単独のトリプルトーループが入ってしまうと、スコア的には価値がなくなります。むしろ3Lz+3Tに単独3Loの方がGOE稼ぐチャンスが大きいので価値が高い。ちょっと構成面ではもったいなかったです。ただ、これで2位が2つでファイナルはほぼ当確です。

3位にはいろいろあってこれがグランプリデビュー戦となったジョージアのグバノワ選手が入ってきました。グランプリシリーズより先にオリンピックに出たという変わった流れですが、コロナに国籍変更まで挟むとこんなことも生じます。ほぼノーミスなのですがGOEが案外稼げないのが弱点です。最終戦フィンランドにファイナルの可能性を残すのですが、もう少し点を取った3位を持っておきたいところでした。

ユヨン選手は4位。ISU公認のグランプリシリーズ5試合で3位4つ。今回も3位? とか思う展開でしたが4位に終わりました。最後のコンビネーションが決まっていれば表彰台、惜しいところでした。3位と4位なのでファイナルは無しです。トリプルアクセルはクリアに決めたのは2シーズン前まで遡りますので、ちょっと計算できなくなっています。韓国も代表争いし烈ですが、勝ち抜いてこられるでしょうか。

ポーランドのクラコワ選手が5位。カール爺さんで表彰台へというところでしたが見た目の印象ほどスコア伸びず届きませんでした。GOEをあまり稼げないのとセカンド3回転が苦手なのが弱点になっています。

今大会はアメリカのブレイディテネル選手の復帰戦でしたが結果は153.19で12位に終わりました。ショートでは3Lz+3Tを飛ぶ意思を見せていましたし、それなりに足の状態は戻っているのかなとも思う一方、従来は入っていたフリップがショートもフリーも入っていないのは元々あまり得意ではないことによるのか、足の状態のせいなのか、何とも言い難いところ。いずれにしても調整不足は明らかで、次のフィンランドでどこまで戻って来るか? そして1月の全米選手権でどこまでできるか? 心配と期待が相半ばしながら見ていくことになります。

 

三原舞依選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 2A   3.30   0.75 4.05 2.333
2 3Lz+3T   10.10   1.52 11.62 2.667
3 3S   4.30   1.23 5.53 2.889
4 3F!q ! 5.30   -0.83 4.47 -1.444
5 FSSp4   3.00   0.86 3.86 2.778
6 CCoSp4   3.50   1.15 4.65 3.222
7 2A+3Tq q 8.25 x -0.36 7.89 -0.778
8 3Lz+2T+2Lo   9.79 x 1.43 11.22 2.333
9 3Lo   5.39 x 0.77 6.16 1.444
10 StSq4   3.90   1.34 5.24 3.333
11 Chsq1   3.00   1.93 4.93 3.778
12 FCCoSp4   3.50   1.30 4.80 3.667
  TES   63.33   11.09 74.42  

冒頭ダブルアクセルという坂本花織型構成で中野チームは今シーズン合わせてきました。実はトリプルアクセル練習中、という話は聞かないですが、あったら面白い。

並び順は変わっていますが飛ぶジャンプの組み合わせは昨シーズンと変わっていません。ノーミス基礎点63.33 昨シーズンと全く同じです。基礎点上げるには、得意のルッツからのコンビネーションを後半に2つ入れるようなことくらいでしょうか。いずれにしてももうほぼ上限まで来ています。基礎点は坂本花織選手より高い。すなわち、基礎点このままでも中野メソッドでGOEを上げていけばもっとスコアは伸ばせるとは言えます。

ここには載せていませんが、PCSが今回フリーで70点を超えてきました。これは17年のワールドチームトロフィー及びジャパンオープン、すなわち旧ルール兼お祭り試合という参考にならないものを除けば初めてのことでした。そちらの方もまだじわじわとスコアが上がっている状態です。これを11月にすでに出していますので、シーズン後半、完成度が上がった状態でチャンピオンシップの代表い選ばれていると、なかなかすごいスコアが出てくる可能性があります。

なお、ショートで最後のジャンプが通常基礎点1.1倍になるところが、前半扱いになり1.1倍にならないというものがありました。最後僅差の勝負でこの1.01点が効いてくる可能性がありましたが、勝ち切りました。1.01足せば、今シーズントップのスコアになるところでした。

 

○女子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Mai MIHARA 217.43 104.93 65.13 6.30 25.61 15.46
2 Isabeau LEVITO 215.74 103.49 65.97 7.25 24.94 14.09
3 Anastasiia GUBANOVA 193.11 93.78 64.66 5.21 17.30 12.16
4 Young YOU 191.36 95.58 59.55 3.08 21.09 12.06
5 Ekaterina KURAKOVA 190.44 94.38 61.24 -0.30 22.66 12.46
6 Nicole SCHOTT 181.41 89.15 56.59 3.21 20.82 11.64
7 Gabriella IZZO 174.10 89.03 45.41 5.57 22.47 11.62
8 Gabrielle DALEMAN 163.77 83.93 54.36 -5.09 21.79 10.78
9 Alexia PAGANINI 156.89 78.61 51.92 -0.72 17.30 9.78
10 Julia SAUTER 156.46 77.77 49.51 -0.55 20.79 9.94
11 Natasha McKAY 155.20 82.16 39.93 2.31 19.50 11.30
12 Bradie TENNELL 153.19 86.04 47.70 -8.91 24.22 11.14

三原選手のPCSが104.93まで来ました。レビト選手も103.49で100点超え。坂本花織選手、ヘンドリックス選手とシニアの4強を今シーズン構成する形になってきているようにも見えます。

ジャンプの基礎点はレビト選手が65.97で勝ち。三原選手はショートで1.1倍が入らなかったことが効いてますがそれでも65.13まであり高い基礎点です。基礎点で稼ぐイメージの選手ではないのですが、高難度ジャンプ無し組では三原選手の基礎点を超える選手はほとんどいません。

加点もレビト選手が上で三原選手が2番目で続きます。グバノワ選手も5点を超える加点を得ていました。

スピンは三原選手が25.61でトップ。これは今シーズンのシニアでトップのスコアです。トータルスコアは伸びなかったテネル選手ですがスピンは24.22と高いスコアを出しています。一方表彰台に乗ったグバノワ選手ですがスピンのスコアは17.30 トータルスコアに差があるのでスピンが良くても2位に上がれるわけではないですが、200点には乗せることは出来ました。最上層で戦うにはこの辺を伸ばしたいところです。

ステップ系要素では三原選手が15.46 これは今シーズンの最高スコアになります。ステップはショートでは三原選手以外全員レベル3、フリーも三原選手とレビト選手だけレベル4と、レベル4があまり取れていませんでした。

 

○男子シングル

Pl Name Nation Total SP FS
1 Daniel GRASSL ITA 264.35 86.85 177.50
2 Deniss VASILJEVS LAT 254.56 83.01 171.55
3 Shun SATO JPN 249.03 82.68 166.35
4 Koshiro SHIMADA JPN 247.17 80.84 166.33
5 Tatsuya TSUBOI JPN 226.13 76.75 149.38
6 Roman SADOVSKY CAN 219.35 89.49 129.86
7 Jimmy MA USA 214.47 77.72 136.75
8 Morisi KVITELASHVILI GEO 195.25 56.42 138.83
9 Tomoki HIWATASHI USA 188.73 66.68 122.05
10 Corey CIRCELLI CAN 182.81 62.97 119.84
11 Graham NEWBERRY GBR 180.42 64.30 116.12
12 Edward APPLEBY GBR 180.13 62.52 117.61

イタリアのグラスル選手がグランプリシリーズ初優勝です。パーフェクトの出来ではありませんし、昨年のいい時と比べると構成も落としていますが、それでも今回のメンバーの中では力的に頭一つ抜けていたという形でした。これでグランプリ2戦終了。ファイナル進出には優勝が必須という中でしっかり優勝。高確率でファイナルに進めるのですが、今シーズンは混戦なのでNHK杯の順位の並び次第では1位4位でもファイナル進めない可能性も残ります。

2位にはラトビアのデニスバシリエフス選手が入りました。2016年にグランプリデビューから7シーズン目にして初表彰台です。年を超えてから本気出す、という印象があるのですが、今回は結果を出してきました。年々少しづつ力を付けてきている感じがあるので、4回転サルコウを決められればヨーロッパ選手権で勝つチャンスもあるのかもしれません。

佐藤駿選手が3位に入りました。ファイナルを狙うにはできれば2位に入っておきたかったのですが3位でもチャンスは残ります。4回転ルッツを決めていれば2位でした。最終戦でマリニン選手を下して優勝すればファイナル、メッシング選手に勝って2位までくれば自身のスコアとNHK杯次第ではチャンスがある、という位置に残りました。

島田高志郎選手が4位。表彰台とは1.86差。バシリエフス選手と2人で表彰台に乗ればランビエール先生もうれしかったでしょうが、わずかにそこまでは届きませんでした。惜しいと言えば惜しいですが、初戦大崩れしての9位からよく持ち直したとも言えます。世界ランキングが低いのでこの試合も失敗すると来期のグランプリ枠が危ういようにも感じたのですが、このパーソナルベストの247.17でシーズンベストランク13位まで入ってきました。シーズン終わるまで24位以内で残れるかは微妙な線ですが、少なくとも来期も1枠は回ってきそうな雰囲気を感じられる結果を出せたと思います。イギリスでチャップリンよかったです。先へつながる希望が持てた試合でした。

日本からもう一人壷井達也選手も5位に入りました。スコア的にはあまり伸びていませんが、理論上、5位だと次戦優勝でファイナルの可能性も残ります。

今大会でただ一人のグランプリ優勝経験者クビテラシビリ選手はショートから大崩れしての8位に終わりました。波が激しい選手なのでよく見かける光景な気もしますが、いずれにしてもファイナルはこれでなくなっています。

 

○佐藤駿選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4Lzq F 11.50   -5.75 5.75 -5.000
2 4T+2T   10.80   1.49 12.29 1.667
3 3A+1Eu+3S   12.80   1.60 14.40 2.000
4 FCSp4   3.20   0.55 3.75 1.778
5 4T   9.50   2.71 12.21 2.889
6 CSSp4   3.00   0.86 3.86 2.889
7 3A   8.80 x 1.71 10.51 2.111
8 3F!+2T ! 7.26 x 0.00 7.26 0.000
9 3Lo   5.39 x -1.26 4.13 -2.556
10 StSq2   2.60   0.56 3.16 2.111
11 ChSq1   3.00   0.86 3.86 1.778
12 CCoSp4   3.50   0.85 4.35 2.333
  TES   81.35   4.18 85.53  

佐藤駿選手は今回は4回転3本構成でした。2回飛ぶジャンプは4回転トーループトリプルアクセル。昨シーズンはフリップも跳んでいましたがケガの影響もあるとのことで今回は無しです。サルコウはジュニア時代に入れていたことはありますが最近は跳んでいません。トゥ系の4回転3種類を持っている選手、ということになります。

4回転ルッツの転倒はもったいなかったですが、もう1つ、セカンド3Tが入らなかったのもスコア的には残念でした。ショートでもそこでミスが出ているので、今回2位まで入れなかった理由はセカンド3Tにあったとも言えます。

基礎点は81.35 ステップレベル2を4に出来れば82.65にまではなります。4回転に3Tを付けられれば2.9基礎点が上がって85.55というのがこの構成でのノーミス基礎点かと思います。さらに3F+2Tを3F+2Aに出来れば2.2基礎点が上がって87.75までもっていくことができます。さらに4Fも持っているわけですから、ノーミス基礎点90点が本来はあるはずです。実際、昨シーズンのフランス杯では87.84の基礎点、お祭り試合ですがジャパンオープンでは90.54の基礎点構成を組んでいます。今回の試合はまだまだ回復途上の余力ある構成でした。

 

○島田高志郎選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 3S   4.30   0.37 4.67 0.889
2 4T   9.50   3.26 12.76 3.333
3 3A+3T   12.20   -1.49 10.71 -1.333
4 3Lo   4.90   -1.40 3.50 -2.778
5 StSq3   3.30   0.75 4.05 2.333
6 FSSp4   3.00   0.77 3.77 2.667
7 3A+1Eu+3S   14.08 x 2.17 16.25 2.667
8 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
9 3F   5.83 x 1.29 7.12 2.444
10 3Lz+2A+SEQ   10.12 x 1.43 11.55 2.444
11 CCoSp2   2.50   0.46 2.96 1.889
12 FCCoSp4   3.50   0.80 4.30 2.222
  TES   76.23   9.48 85.71  

島田選手は4回転2種類でサルコウトーループを1本づつ飛ぶ構成ですが、今回はサルコウが3回転になりました。結果として2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルサルコウになっています。最後のジャンプで予定ではセカンド3Tを付けるはずだったのですがこれを飛ぶと2回飛ぶジャンプが3種類目になるということで冷静に2Aに切り替えて回避しました。おそらく4回転が3回転になった時にこうする、という練習を積んできていたのだろうと思われます。

基礎点は76.23 これは過去最高の基礎点になっています。スピンステップレベル4に出来ればこの構成のまま基礎点が1.60あがって77.83になります。4回転サルコウが入ると83.23で基礎点80点乗り。さらに最後の2Aを3Tに戻して84.22にまで基礎点は上げられます。今回フリー166.33というパーソナルベストを出しましたが、ノーミスなら180点近いところまでは4回転2本でも出せる計算です。

 

○壷井達也選手のフリーの構成

  Elements    BaseValue   GOE Scores AvGOE
1 4S F 9.70   -4.85 4.85 -5.000
2 3A   8.00   1.37 9.37 1.778
3 3A+1Eu+2S   9.80   0.23 10.03 0.333
4 FSSp4   3.00   0.64 3.64 2.111
5 StSq2   2.60   0.41 3.01 1.556
6 3Lo   4.90   1.47 6.37 3.000
7 3F+3T   10.45 x 0.83 11.28 1.556
8 3F   5.83 x 0.83 6.66 1.556
9 3Lz+2T   7.92 x 1.43 9.35 2.444
10 CCoSp4   3.50   0.65 4.15 1.889
11 ChSq1   3.00   1.07 4.07 2.222
12 FCCoSp3   3.00   0.64 3.64 2.111
  TES   71.70   4.72 76.42  

壷井選手は4回転サルコウを今回は入れてきましたが転倒でした。ショートでは決めていますので、4回転がしっかり構成に入るところまで戻してきたと言えると思います。

2回飛ぶジャンプはトリプルアクセルトリプルフリップでした。セカンド3Tは入りましたが、3連続は2Sではなくて3Sにしたかったところです。

基礎点は71.70 スピンステップレベル4なら73.50に基礎点はできます。3連続のサルコウを3回転に出来れば76.50まで上がります。余っているダブルアクセルを3Lz+2Tのところで3Lz+2Aとして入れればさらに2.20基礎点を上げて78.70にまでできます。4回転増やさずに基礎点上げられるのはそのあたりまで、あるいは3Aからの3連続も1.1倍に入れれば基礎点80点近いところまでは来ますが、80点を超えていくには4回転もう1本が求められる形になります。

 

○男子シングル ショートフリー合わせた要素別スコア

Pl Name Total PCS J Base J GOE Spin Step
1 Daniel GRASSL 264.35 124.18 100.97 3.33 24.19 12.68
2 Deniss VASILJEVS 254.56 128.51 84.18 3.29 25.42 14.16
3 Shun SATO 249.03 121.00 95.85 -1.23 23.29 11.12
4 Koshiro SHIMADA 247.17 118.06 93.13 1.00 22.81 12.17
5 Tatsuya TSUBOI 226.13 111.24 81.56 1.84 22.25 10.24
6 Roman SADOVSKY 219.35 121.85 74.08 -11.79 25.77 13.44
7 Jimmy MA 214.47 113.72 71.75 -5.27 21.33 12.94
8 Morisi KVITELASHVILI 195.25 111.10 57.27 -1.49 18.17 11.20
9 Tomoki HIWATASHI 188.73 106.52 68.04 -12.14 17.29 11.02
10 Corey CIRCELLI 182.81 104.31 56.26 -9.19 21.93 11.50
11 Graham NEWBERRY 180.42 100.65 55.75 -6.80 20.74 12.08
12 Edward APPLEBY 180.13 95.42 61.18 -3.60 18.30 8.83

要素別ではPCSでバシリエフス選手がグラスル選手を上回るスコアでした。128.51は今シーズンここまでで4位の高いスコアです。グラスル選手が2番手でショート1位だったサドフスキー選手が3番目で続きます。佐藤駿選手も平均8.0を上回る121.00まで出してきました。

ジャンプの基礎点はグラスル選手がトップで100点超え。グラスル選手は2戦連続100点超えで、今シーズン100点超えを出している4人の中の1人となっています。佐藤駿選手が2番手で、島田高志郎選手も3番手で続き90点を超えるところまで出しています。

ジャンプの加点はグラスル選手がトップでバシリエフス選手が2位ですが、一桁前半の小さなところにとどまりました。

スピンはサドフスキー選手がトップ。フリーは大崩れしてしまいましたがスピンはすべてレベル4。25.77は今シーズントップのスピンのスコアです。バシリエフス選手も25点台でこの大会で2番目ですし、今シーズン全体でも2位のスコア。スピン上手がこの試合に集まっていました。

ステップ系要素はバシリエフス選手がトップ。サドフスキー選手が2番手で、他は12点台以下とあまり伸びませんでした。

 

次週5戦目はいよいよNHK杯です。メンバーがとんでもないことになっています。

まず男子、初戦優勝が宇野昌磨選手とアダムシャオイムファ選手、初戦2位の山本草太選手、初戦3位のチャジュンファン選手、マッテオリッツォ選手、友野一希選手と表彰台6人が集まってファイナル進出を争います。

女子も初戦優勝の坂本花織選手と渡邊倫果選手、初戦2位のスターアンドリュー選手、キムイェリム選手、さらに初戦3位のアンバーグレン選手に住吉りをん選手とこちらも表彰台6人がファイナル進出を争います。最終戦の顔ぶれを見る限りではNHK杯から勝ち上がれそうなのは3人までかなという風に見えます。

優勝持っている選手は表彰台で確定、4位でもほぼ当確、5位だとどうか? でも可能性結構あるという強い立場。2位のある選手は2位でほぼ当確で3位で可能性残り、4位だと苦しい。3位持っている選手は優勝で確定で2位で可能性が出てくる、3位では苦しいです。

 

アイスチャレンジ ジュニア勢の健闘

チャレンジャーシリーズ第8戦、アイスチャレンジがオーストリアグラーツにて行われました。こういう時期のこういうレベルの大会ですと、地元勢がもう少し上位に行くのかな? と思いましたが、あまりオーストリア勢が伸びるということもなく。今回はジュニア勢の健闘が目立ちました。

 

○女子シングル(上位12名)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Anna PEZZETTA ITA 174.49 60.05 114.44
2 Kaiya RUITER CAN 172.42 55.36 117.06
3 Kimmy REPOND SUI 169.35 53.22 116.13
4 Lorine SCHILD FRA 168.30 57.05 111.25
5 Justine MICLETTE CAN 167.87 60.86 107.01
6 Ahsun YUN KOR 163.82 61.83 101.99
7 Livia KAISER SUI 161.59 58.25 103.34
8 Clare SEO USA 158.49 46.73 111.76
9 Gracie GOLD USA 154.22 55.00 99.22
10 Stefanie PESENDORFER AUT 154.00 53.92 100.08
11 Sara-Maude DUPUIS CAN 153.77 50.49 103.28
12 Jenni SAARINEN FIN 153.28 51.60 101.68

優勝は、イタリアのアンナペゼッタ選手。2007年3月生まれの15歳。昨シーズン世界ジュニア13位。今季もジュニアグランプリ2戦で14位と13位という選手でしたがここでパーソナルベストを出してチャレンジャーシリーズ初優勝となりました。今季はロンバルディア杯にも出ていて、シニアの試合に出場可能となってすぐに、ジュニアグランプリと並行してチャレンジャーシリーズにも出ている形です。

2位にはカナダのカイヤルイター選手。こちらも2006年5月生まれの16歳。ジュニアグランプリは昨シーズン2位と3位でしたが今シーズンは出場せず、このチャレンジャーシリーズに回ってきて表彰台に乗りました。最終的にはフリー後半のフリップの転倒が痛く、これを立っていれば優勝もありました。昨シーズンジュニアルールで179.92まで出していますし、スピンステップでレベル4が1つもないのですが、そのあたりでレベルを取ることとPCSが伸びてくればシニアの上位で戦えるようになっていけそうに感じます。

3位にはスイスのキミ―レポンド選手。何度か取り上げていますが、昨シーズン世界ジュニアで7位に入り、日本の今シーズンのジュニアグランプリ枠を狭めた選手です。今季のジュニアグランプリ2戦は4位と6位。10月のブダペストトロフィーでチャレンジャーシリーズ初優勝を飾り、この試合で2連勝の可能性もありましたが今回は本人比で平凡なスコアとなり3位に終わりました。

結果的に女子の表彰台はジュニア年代でグランプリ出場枠はないけど年齢的にはシニアの試合に何とか出られる、という位置の選手に占められた形になっています。日本にもこの立ち位置の選手は何人かいますが、今シーズンはこの時期のチャレンジャーシリーズ派遣はされていません。

また、グレーシーゴールド選手が9位でした。スケートアメリカでは決まっていた3-3が今回はショートもフリーも入らず。転倒もあり、近年の本人比でもスコアが伸びませんでした。9位だとポイントはいらないので8位には入っておきたかったのですが残念です。

懐かしい顔勢では韓国のチェダビン選手は18位。一見いい滑りにも見えるのですが今回もショートフリー合わせてダウングレード3つ、アンダーローテーション2つ、e1つにq2つとスコアを伸ばせませんでした。韓国勢はショートで1位につけていたりとライブストリーミングのチャットはハングルがあふれて盛り上がっていたのですが、結果には繋がりませんでした。

 

○男子シングル(上位12人)

Pl Name Nation Total SP FS
1 Liam KAPEIKIS USA 223.02 76.46 146.56
2 Andreas NORDEBACK SWE 218.25 75.24 143.01
3 Nikita STAROSTIN GER 217.04 71.96 145.08
4 Tomas-Llorenc GUARINO SABATE ESP 216.05 74.19 141.86
5 Francois PITOT FRA 212.25 59.05 153.20
6 Davide LEWTON BRAIN MON 203.16 70.31 132.85
7 Naoki ROSSI SUI 197.59 69.02 128.57
8 Nikolaj MAJOROV SWE 197.53 65.72 131.81
9 Maurizio ZANDRON AUT 197.32 65.25 132.07
10 Younghyun CHA KOR 196.01 59.27 136.74
11 Raffaele Francesco ZICH ITA 193.43 61.90 131.53
12 Luc MAIERHOFER AUT 184.01 61.34 122.67

男子の優勝はアメリカのリアムカペイキス選手でした。スケートアメリカの7位からスコアを上げてパーソナルベストでチャレンジャーシリーズ初優勝です。フリー冒頭4回転サルコウを成功。ISU公認試合で初のGOEプラスの成功4回転となりました。

2位にはスウェーデンのノルデバック選手が入っています。フィンランディア杯に続いてチャレンジャーシリーズ2度目の表彰台です。今季はジュニアグランプリ2戦で3位と7位、惜しくもファイナルを逃したという選手ですが、シニアカテゴリーのチャレンジャーシリーズで立て続けに結果を出してきています。

3位にはドイツのニキータスターオスティン選手が入りました。僅差の試合でパーソナルベストを出してのチャレンジャーシリーズ初表彰台となりました。

 

チャレンジャーシリーズも今期は残り2試合となってきました。中堅選手にとっては、ISU公認スコアを取るための大事な試合が残り少なくなってきたということでもあります。第9戦は次週、ポーランドにて行われます。男子ではグランプリシリーズ欠場したケビンエイモズ選手が今のところエントリー、イタリアのグラスル選手の名前もあります。女子はドイツのニコルショット選手やフィンランドのエミペルトネン選手などがエントリーです。